浦女探偵   作:梨蘭@仮面バンドライバー

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こちらでは1ヶ月振りとなる更新です。受験がひと段落着いたのでバリバリ書いていきたいと思います。
今回は15話、オリエピです!ドーパントはコンセレ風都にラインナップされているメモリのドーパントが登場します。


#15 Gな奴、出現/沼津市大捜査線

「はぁ、はぁ…」

 

男は息を切らしながら走っていた。というのも、彼は日々続く拘置所での労働に耐えかね、脱獄を試みたからである。結果としては容易く出られたものの、脱獄が見つからない確率は限りなくゼロである。厳重な警備体制の整った日本の拘置所から脱獄した場合、どう足掻いてもこれは避けて通れる道ではないからだ。

 

<郷田容疑者の足取りは依然として掴めておらず、警察は都内の警備体制を強化し捜索に当たっています。目撃情報等は以下の連絡先へと…>

 

ネットニュースに目を通すと、自分の名前が大きく報道されているのに気づく。とはいえ静岡にいる事はまだ気づかれていないだろう。何処か潜伏できるような所を探し、男…郷田恭二は近くにある少し年季の入った家の庭へと入っていく。

 

「何なんだキミは!?」

 

ふと、庭から中年男性と思しき人の声が聞こえ、郷田は慌てて身を隠す。

しかし、それは彼に向けて放たれた言葉ではなかった。死角から様子を伺うと、侍のような白いドーパントが中年男性へと近づいていた。ここからではよく見えないが、手には何かが握られている。

 

「こんなものを打ち込んで何がしたい!警察呼ぶぞ!」

 

「ふふっ、無理ですよ?あなたはもう、ことりのおやつになってしまいましたから♪」

 

\ビーン!/

 

ドーパントは手に持っていた"何か"の音声を鳴らすと、それを男性の腕に挿し込んだ。男性は緑色に光った後、その場で倒れた。

 

「ん〜、やっぱりダメかぁ…このメモリは私の計画には使えそうにないなぁ…」

 

ドーパントは倒れた男性の真上に雨雲を出現させ、そこから赤い雷を落とした。男性は一瞬にして黒く焦げた肉塊へと変貌した。郷田の口からは思わず息が漏れてしまう。

 

「誰ですか?」

 

ドーパントは肉塊を見つめたまま誰かに問いかける。恐らく自分の事だ、気づかれてしまったと察した彼は慌てて立ち去ろうとする。

しかし後方にはいつの間にかグレーのサイドテールの可愛らしい見た目をした少女が立っており、郷田の腕を掴んでいた。それを振り払おうとするが、彼女の力は見かけによらず強かった。

 

「あれ?あなた、拘置所から脱走中の方じゃないですか。静岡にいるなんてビックリしました」

 

「黙れ!!さっさと離せ、殺すぞ!!」

 

「やだなぁ、別に通報したりしませんからご安心を♪ところで…」

 

「何だ?」

 

「人間を超える力に興味はありませんか?」

 

少女…南ことりは紫色のガイアメモリを郷田へと見せつけるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お、美味しい…!」

 

その頃、黒澤探偵部の部室。ルビィ達がコーヒーの入ったカップを見つめながら驚いていた。これらのコーヒーは曜が淹れた物であり、鞠莉やルビィが淹れるそれとは別格と言ってもいい程の味だった。

ちなみに曜はコーヒーを淹れる以外にも料理を得意としており、オム焼きそば…彼女が言うにはヨキソバが特に上手く作れるらしい。

 

「同じ豆を使ってるはずなのに…ここまで違うのはどうしてなのかしら?」

 

「なんか師匠の淹れてくれたコーヒーを思い出すなぁ…」

 

「果南さん、同感ですわ。私も飲んでみた瞬間、お父様の味に近しいと一番初めに思いました」

 

「お父さんもこんな味のコーヒーを…ピギィ、凄いなぁ…」

 

「え?そんなにかなぁ?でもありがとう!今度ヨキソバも作ってあげるね!」

 

「それじゃあ私はシャイ煮をご馳走しようかしら?小原家のTechniqueやGorgeous Foodsを惜しむ事無く使ったマリーの得意料理よ♪」

 

「何それめっちゃ気になる!楽しみにしていますっ!」

 

曜が笑顔で敬礼をした瞬間、ビートルフォンが着信を告げる。画面には『松城俊』の文字が。曜の勤務する沼津署の上司である。

 

「もしもし松城さん?渡辺です!」

 

『渡辺警視?お休みの所悪いね、緊急事態なんだよ!東京の刑務所を脱獄した郷田恭二ってわかるかい?』

 

「あぁ、今逃走中の犯人ですよね?その人がどうかしましたか?」

 

『実は彼が沼津市内で目撃されたとの通報が入ってね、渡辺警視はドーパント対策課だから担当ではない上に今日は休日だと思うけど、君の実績はうちの署でも突出して優れているから郷田容疑者の確保に協力して欲しいんだ。どうかな?』

 

「勿論ですよ!私でいいなら、協力させて下さい!」

 

松城はその言葉に1つ礼を言うと、通話を終了させた。曜もコーヒーを一気に飲み干すと、その場から立ち上がる。

 

「どうしたの?緊急出動命令でも来た?」

 

「拘置所から脱走してる犯人が沼津にいるかもしれないみたい!協力を頼まれたから行ってくるよ!」

 

「あら、それは大変ね!学校に残ってる生徒も早急にHomeに帰さないと!それが終わったら私も犯人を探すのを手伝うわね♪」

 

「ホント!?ありがとう!助かるよ!」

 

生徒に危険が及ぶ可能性があると考えた鞠莉は部活動の中止及び注意喚起、小原家が各家庭に生徒を送り届けるという旨の放送をすべく生徒会室へと向かった。

 

「お姉ちゃん、果南ちゃん、ルビィ達もできる事をやらなきゃ!」

 

「では、ルビィは私と通学路の巡回へ向かいましょう。果南さんはどうします?」

 

「学校の方には先生がいるし、私も鞠莉に同行するよ。万が一の時は状況に応じてファングジョーカーにも変身できるようにしたいからね」

 

「みんなやる事は決まったみたいだね。それじゃあ犯人逮捕に向けて、全速前進、ヨーソロー!」

 

曜の言葉を合図に、全員が探偵部の部室から飛び出した。

 

 

その頃、ツバサとあんじゅ、理亞も既にそのニュースを目にしていた。

聖良は現在仕事で外出しており、屋敷にはいない。

 

<ここで速報です。東京拘置所から脱走中の郷田恭二容疑者が、沼津市内で目撃されたとの通報があり、警察が捜索に…>

 

「あら、市内も今頃騒がしいでしょうね」

 

「今日は姉様が仕事…大丈夫かな」

 

「心配しないで理亞さん、聖良さんには連絡を入れておいたから。あと、ことりさんからこの男と接触したと連絡が入ったわ。ガイアメモリをプレゼントしたそうよ」

 

またことりか、理亞はそう思った。あんじゅは夜の遅い時間によく外出をする事が増えた為、ことりの所へと足を運んでいるのだろうと彼女達は気づいていた。それにもかかわらず、当のツバサは黙認している。あんじゅが自身のやるべき事を遂行しているのだと考えているのだろうか。

一方、鹿角姉妹はことりに得体の知れない不気味さのようなものを感じていた。初めて会合した時からあまり良い印象はなく、むしろあんじゅが彼女に会いに行く度に2人は嫌悪感を抱いているくらいだった。

 

「私、あの人ちょっと苦手かも。口を開けばいつもガイアメモリの事ばかりだし」

 

「執着心が強いのでしょうね。マイペースな割にとんでもない子ね」

 

「まぁ、だからこそ利用する価値があると私は思うけど?計画を上手く進める為の良い手駒になるんじゃないかしら」

 

それもそうね、とツバサは何処か満足そうに微笑んだ後、テレビに再び視線を戻す。あんじゅは髪を触りながらその表情を伺い、席から立ち上がった。

 

「何処へ行くの?」

 

「面白そうだから市内へ行こうと思って。郷田恭二がどんなドーパントになるのかも気になるし」

 

「そう。行ってらっしゃい」

 

あんじゅは少し嬉々とした様子で部屋から出て行った。彼女を心配した理亞は、ツバサにそっと声をかける。

 

「ツバサさん、いいんですか?あんじゅさん、最近ずっとあんな感じですけど…」

 

「私達の計画を進めようとしているのなら特に言う事はないわ。ただ、以前も言った通りことりさんは少し危険な子だから、あんじゅの身の安全を保証できるとは言えないけど」

 

ツバサの返答は思ったよりもドライなものであった。それともあまり関心がないのだろうか、顔からは本心が全く読み取れない。彼女の内面に触れる事は禁じられた行為である気がしたので、理亞もそれ以上の詮索はせずテレビの画面へ向き直るのだった。

 

 

 

「よーし、それじゃあ張り切っていきますか!」

 

「えぇ!…そういえば海未は?さっきからパトカーを多く見るけど、海未からは連絡がないわね」

 

「鞠莉、園田刑事はドーパント対策課に異動になったじゃん。今回は逃走犯の確保が目的だからいないと思うよ」

 

「あ、そうね!海未の部署が異動になったの、未だに慣れないわ」

 

鞠莉はてへぺろ、と言いながら舌を出し、果南はそれを呆れながら見つめていた。

一方の曜は少し警戒した様子を見せている。市内には郷田が沼津にいる事を知らない人間もいる為、何が起きるかはわからない。

 

「曜、もしかしてちょっと緊張してる?」

 

「そりゃあね。逃走犯の確保はまだあまり経験がないってのもあるけど、静岡だと一番危惧しなきゃいけない物があるじゃん」

 

「ガイアメモリか…幹部から直接手に入れる事も不可能ではないもんね。三日ちゃんがそうだったように」

 

実際その被害者である六月三日もあんじゅからメモリを渡され、彼女を含めた中学生数人がそれを使って暴走した事もあったくらいだ。改造が施されていないにしても、郷田がメモリを持っている可能性がゼロとは言い切れない。

 

「そうなる前に、私達が全力を尽くして郷田恭二を確保しなくちゃ。警察と探偵だけでなく、仮面ライダーという肩書きもあるし」

 

「You're right. それじゃあ、私と果南は別の場所を探しに行ってみるわ。何かあったら連絡をお願いね」

 

「了解であります!」

 

鞠莉と果南、曜はそこで一旦別れ郷田の捜索を開始した。

 

「えっと、とりあえず何処へ逃げても確保できるように街と街の境目の警備を厳重にして…」

 

犯人はいつ、どのようなルートを通って逃げるのかはわからない。

郷田は沼津市内で目撃情報があったと報道された。このような状況に置かれた時、大体の犯人は一刻も早く捕まってしまうのを防ぐべく街から出るという行動に出る。曜はそれを見越した上で、まずは街と街の境を重点的に警備するという手段に出たのだ。

 

「あ、でもなぁ…歩いて市内を出るのは厳しいか。車がある訳じゃないし、電車とかは捕まる可能性が高まるから乗り物は使わないだろうしなぁ。そうなるとここら辺の警備を厳重にした方がいいかな…でも万が一逃亡を手伝う仲間がいたらそいつらの車に乗せてもらえば逃げられるし、どうしたらいいんだろう…」

 

交通機関を利用し逃走するという事は金銭面でも厳しく、目撃情報を作ってしまう等逮捕される原因にも成りうるので、足を使っての逃走になるはずだ。その分市から抜けるのは困難になる代わり、市内での確保は容易になる。しかしもし協力者がいる場合はそうはいかない。その点での判断がどうしても迷いどころとなってしまっている。

 

「ん〜、とりあえず外側が多めになるようバランス良く分けようかな?市内は鞠莉ちゃん達も探してくれているし、これで問題ないよね」

 

結果、曜は外側に重点を置いて探すよう依頼する事にした。内側にもある程度の数の警察を配備するようにしたが、鞠莉達もいる為外側に比べては少なめだ。

 

 

一方曜のいる地点から離れた場所では、彼女の上司である松城が付近の捜索に当たっていた。ショッピングセンターの周辺には警官が数人配備されている。

そんな彼らを路地裏から見つめる2人の影が。ことりと郷田だ。

 

「本当に行っていいのかよ?あんなに警察がいたら確実に捕まるぞ」

 

「まだガイアメモリの力を疑っているんですか?それは神の小箱…そう呼ばれているように大きさ自体は小さな物だけど、人間を遥かに超える力は強大に秘められている。だから大丈夫ですよ〜」

 

「ふん、そんな言い方されると余計信用に欠けるな。勝手に通報までしやがって」

 

実は郷田を目撃した事を警察に通報したのはことりであった。彼女曰く、ガイアメモリがある限り警察など虫と同じとの事。

しかしことりは今年で17歳、一般的には高校生である少女が麻薬に近しい物に秀でて詳しいというのも奇妙な事である。こっちは捕まるか捕まらないかの瀬戸際に立たされているというのに、何とも呑気だ。郷田の中にはそのような不信感や苛立ちが存在し、ピークに達しようとしていた。

 

「はぁ…これでも私はガイアメモリの事を研究し尽くしているんです。信頼して下さい」

 

まるで心情を見透かしたかのように、ことりは目を細めてそう言う。掴み所はないが、それでも彼女にかなりの知識や戦闘力がある事は間違いないだろう。自分にそう言い聞かせながら、郷田は立ち上がる。

 

「…わかったよ、素直に使ってみりゃいいんだろ?」

 

「それでいいんですよ、健闘をお祈りしていますね♪」

 

ことりは再び微笑むと、路地裏の奥へと消えて行った。郷田も意を決し、堂々と通りへと歩み出た。

 

「松城警部、容疑者を発見しました!」

 

「本当か?よし、早急に確保しろ!」

 

その言葉と同時に、周囲を巡回していた警官が一斉に向かってくる。だが逃げる必要などない。郷田は囚人服のボタンを1つ開け、首元に打ち込まれたコネクタをさらけ出した。

 

「これさえあれば怖いものなんてないんだよ!!」

 

\ジャイアント!/

 

そしてジャイアントメモリを起動させ、そこへ挿し込む。郷田は地球の記憶を取り込んだ事で巨大化し、ジャイアント・ドーパントへと変貌した。

 

「ドーパントだと…!?」

 

「オォォォッ!!」

 

ジャイアントは近くの建物を破壊し、警官の道筋を塞ぐ。

 

「果南、あれ!」

 

「巨大なドーパントか…郷田恭二じゃないよね?」

 

「とにかく止めないと!行きましょう!」

 

「待って、アイツにはファングで対抗する方がいいかもしれない。ファング来て!」

 

果南はファングを呼び出す。その声に反応し、白い恐竜のガジェットが彼女の左手に収まった。

鞠莉もダブルドライバーを装着し、右手にジョーカーメモリを構える。

 

\ファング!/

\ジョーカー!/

 

「「変身!!」」

 

\ファング!ジョーカー!/

 

果南の身体は風に包まれ、白と黒のWに姿を変えた。Wは抜け殻となった鞠莉の身体をハードボイルダーと共に車の影に隠した後、ジャイアントの方へ走って行った。

松城の頭上にはジャイアントが破壊した建物の瓦礫が迫っていた。Wはファングの角を2回押してショルダーファングを出現させると高く跳躍し、左手でそれを破壊しつつショルダーファングをジャイアントへ投げつける。

 

「仮面ライダー!」

 

『無事でよかったデース!早く逃げて!』

 

「何だお前らは!?」

 

「仮面ライダーW、2人で1人の探偵だよ。あなたは郷田恭二、でいいのかなん?」

 

「あぁ、俺は自由になりたいんだ!その為なら誰であろうと邪魔はさせねぇ!」

 

『ガイアメモリまで手にするなんて随分とDrop outしたものね!これ以上好きにはさせないわよ!』

 

「「さぁ、あなたの罪を数えなさい!」」

 

ジャイアントはショルダーファングを叩き落とし、巨大な腕でWを潰そうと試みる。その剛腕により地面は僅かに揺れ、大きくヒビが入った。

 

「こりゃあなかなか強敵だね。さっさと終わらせないと」

 

\アームファング!/

 

Wはジャイアントの攻撃を躱しながらアームファングを出現させ、右腕を切り裂く。ジャイアントも素早く動き回る様子を見ながら隙ができるのを待ち、左手を伸ばすとその手の中に彼女達を捕らえた。

 

「死ねッ!!」

 

ジャイアントはWを握り潰し、そのまま高くから叩き落とす。そのダメージで変身は解かれ、果南の姿に戻ってしまった。

 

「果南!大丈夫!?」

 

「何とか…でも完全に逃げられたよ…」

 

気づけばそこにジャイアントの姿はなかった。郷田もドーパント体から元に戻った後、逃走してしまったのだろう。

 

「ごめん、マキシマムドライブさえ使ってればメモリブレイクできたのに…」

 

「けど簡単にはいかないでしょうね。次はDefenseにも特化したメタルを使った方がいいわ。やっぱりBigなドーパントにはヒートメタルとハードタービュラーの組み合わせが効果的だと思うの」

 

鞠莉がそう考えるのには理由がある。以前、ティーレックス・ドーパントとの戦闘経験があったからだ。ファングの力を手にする前、巨大化したティーレックスに対しヒートメタルとハードタービュラーを組み合わせた戦法で勝つ事ができた為、今回もそれと同様のパターンでいけばメモリブレイクが容易になるだろう。果南もそれに賛同した。

 

「その前に郷田恭二を見つけないと。問題はそこからだよ」

 

鞠莉と果南はハードボイルダーに乗り、再び郷田の捜索へと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「この辺りにはいないかぁ…もう市内から離れてるのかな」

 

鞠莉達が郷田を逃がしてしまってから数分後。曜の方も特に進展はなく、捜索は難航していた。しかし、松城や鞠莉からの連絡により彼がガイアメモリを持っている事、どんな記憶を内包したメモリなのかという事が判明していたので、曜にとってはそれを知れただけでも大きな事であった。

 

「けど困ったなぁ、鞠莉ちゃんと果南ちゃんみたいにメモリを何本も持ってる訳じゃないから対応できるかどうか…」

 

曜の所持するメモリはアクセルだけであり、フォームチェンジ用を持ち合わせていないのがどうしてもネックとなる。ギジメモリも含めればエンジンも存在するが、正直対抗できるかといえば何ともいえない状況であった。ましてや先日仮面ライダーの力を手にしたばかりなので、巨大なドーパントとの戦闘経験など皆無である。

そんなプレッシャーに苛まれていたその時、ビートルフォンがダイヤからの着信を告げた。

 

「もしもし、ダイヤさん?」

 

『もしもし、曜さん?郷田容疑者の足取りは掴めましたか?』

 

「ガイアメモリを持っている事だけはわかったんだけど、対策が見つからなくて困ってるんだよね。足取りも不明のままだし…」

 

『そうですよね、鞠莉さんから連絡が来たのも先程ですから無理もありませんわ。何より、今回のドーパントは巨人の記憶を持つ厄介なメモリですもの。私はスカルしか持っていない上に戦闘経験も少ないので尚更ですわ』

 

「でもそれを言い訳にしちゃいけないよね。みんなが笑顔で過ごせるようにやるべき事はやらないと」

 

『その通りですわ。もし戦闘経験の少ない私達が郷田容疑者に会ったとしても、その時は全力で止めましょう』

 

「だね…なんて、噂をすれば私の近くにそれっぽい人が来たよ」

 

数メートル離れた先には辺りを見回す郷田の姿が。このまま逃がす訳にはいかない。その使命感と共に曜はゆっくりと近づく。

 

「あら、どうやら通話している場合ではなさそうですわね。無事を祈っています」

 

ダイヤとの通信が途切れたのを確認し、歩くスピードを少しずつ上げる。そして郷田の前に立ち塞がった後、警察手帳を彼の目前に突き出した。

 

「郷田恭二容疑者、だよね?あなたを逮捕しに来たよ。メモリを捨てて大人しく投降して下さい」

 

「断る、と言ったら?」

 

「それがあなたの答えか…なら力づくでも逮捕するまでだよ!」

 

\ジャイアント!/

\アクセル!/

 

「変…身っ!!」

 

曜はアクセルドライバーにアクセルメモリを挿し込み、グリップを捻った。郷田も首のコネクタにジャイアントメモリを挿し、ジャイアント・ドーパントに姿を変えた。

 

「警察も仮面ライダーだったのか、めんどくせぇ奴等だ」

 

「それはあなたもね。さてと…全速前進、振り切るとしますか!!」

 

アクセルはエンジンブレードを構え、ジャイアントの元へ駆けて行く。ジャイアントも巨大な拳を振りかざし、アクセルをなぎ払おうとする。

その風圧で彼女は一瞬よろめくが、すぐに体制を立て直す。しかし、既に剛腕は頭上数センチに迫っていた。

 

「っ!?」

 

その時、ジャイアントの腕に火炎弾が撃ち込まれた。空にはハードタービュラーに乗り、バットショットの付いたトリガーマグナムを持つW・ヒートトリガーの姿が。

 

「鞠莉ちゃん!」

 

「残念でした!曜は簡単にやらせないわよ!」

 

『デカいから何処にいるのかバレバレだよ、それとも自首する気にでもなった?』

 

「フン、違うな!俺は自由になるんだ!警察だろうと仮面ライダーだろうと全て潰してやる!!」

 

「言ってくれるじゃない!それならこれを受けてみなさい!」\メタル!/

 

\ヒート!メタル!/

 

Wは赤と銀に変わり、ドライバーから引き抜いたメタルメモリをメタルシャフトへと装填する。

 

\メタル!マキシマムドライブ!/

 

「「メタルブランディング!!」」

 

鞠莉と果南は声を合わせ、炎を纏ったメタルシャフトを手にジャイアントへと飛んで行く。

 

「そんなもん効くと思うか!!」

 

ジャイアントは高くから拳を振り下ろし、Wを撃墜させてしまった。唯一の対抗策と言われていたヒートメタルも、最早ジャイアントの敵ではなかった。

 

『ダメか…!あの腕が厄介だなぁ』

 

同時に果南はメモリブレイクに失敗した原因に気づく。ティーレックスとジャイアントには腕の有無という決定的な違いがあったからだ。

 

「確かに、考えてみればティーレックスをブレイクできたのはAttack Patternが頭を打ちつけるぐらいしかなかったからかもしれないわね。頭だと可動域も小さいけど、腕はそうじゃないから簡単にはいかなそうね。遠距離なら何とかなりそうだけど…」

 

「遠距離…鞠莉ちゃん、トリガーに戻してみたら?それなら…!」

 

『いや、ヒートトリガーのマキシマムだとあの腕でガードされる可能性も考えられるかも。ここはルナトリガーにしよう、他にデカいドーパントだとアノマロカリスもそれで倒したから』

 

「OK!それじゃあルナトリガーで行きましょう!」

 

鞠莉がドライバーに手をかけた瞬間、目の前に何かが現れジャイアントの巨体を吹き飛ばした。

 

「何?果南、リボルギャリー呼んだの?」

 

『私は知らないけど…』

 

「じゃあ一体…」

 

3人がジャイアントを吹き飛ばしたマシンの方を見ると、そこにはリボルギャリーとはまた違った濃い青と黒のマシンがあった。

 

「これ、もしかして…!」

 

同時にアクセルは不思議な気配を感じ、後ろを向く。その視線の先には赤のロングコートと帽子を着用し、黒のサングラスをかけた茶髪の女性・ディライトが。

 

「誰なの?」

 

「ディライトだよ。私にドライバーとメモリ、エンジンブレードを提供してくれた人」

 

『ディライト…前に曜が言ってたね』

 

ディライトは青のマシンを指差す。その動きには、これは彼女が作った物であるという事が示されていた。

 

「私の新しい力…!よし、やってみよう!」

 

「どうやら出番を取られたみたいね」

 

『ま、郷田恭二が捕まるんじゃ何でもいいよ。ここは曜に譲ろう』

 

アクセルはバイクフォームへと変形し、青のマシン…ガンナーAと合体しアクセルガンナーになった。

 

「全速前進!ヨーソロー!!」

 

アクセルガンナーはゆっくりと起き上がったジャイアントに向け、走り出す。ガンナーAの砲台からは弾が放たれ、再びジャイアントを吹き飛ばしたのだった。

 

「威力も十分…このまま振り切るよ!」

 

アクセルの目が青く発光したのと同時に、ガンナーAの砲台が開く。それによりエネルギーがチャージされ、ジャイアントへと強力な必殺のビーム砲が浴びせられた。ジャイアントは大きく爆発を起こし、完全に撃破されたのだった。

 

「やったわ!」

 

煙が晴れ、中からは元の姿に戻った郷田の姿が現れる。同時にジャイアントメモリは地面に落ち、砕け散った。

 

「郷田恭二、逃走未遂罪及びガイアメモリ所持罪により逮捕します!色々と聞かせてもらうよ」

 

変身を解いた曜は手錠を持ち、膝から崩れ落ちた郷田へと近づく。

 

「曜、危ない!!」

 

\ルナ!ジョーカー!/

 

すると突如鞠莉が叫び、腕を伸ばして曜を郷田から遠ざけた。その瞬間、いつの間にか現れていた雲から赤の雷が落ち、郷田を焼き尽くした。先程まで自分がいた場所はその雷により黒く焦げ、郷田は一瞬にしてヒトの原型をとどめていないものへと変化した。

 

「今のって…」

 

「ごめんなさい、曜が限界だったわ…」

 

『秘密保持?となると郷田恭二は幹部から直接メモリを渡されたんだ…』

 

鞠莉達は肉塊に成り果てた郷田の姿を見て、その場で呆然と立ち尽くしている他なかった。

そして近くのビルの屋上からは、あんじゅと白のドーパントが3人の姿を眺めている。

 

「これで良かったんですか?」

 

「良かったのかって…あなたの正体とメモリを渡した事、最悪組織の存在がバレてしまうじゃない」

 

「ふふっ、それもそうですね」

 

白のドーパントは右耳に手を近づけてメモリを抜く。ドーパント体から元の姿に戻ると、メイド服を着た少女が現れた。そのドーパントの変身者はことりであり、彼女は不気味な笑みを浮かべるのだった。

 

「仮面ライダー…面白い子達だなぁ♪いずれことりのおやつにしてあげるから、覚悟して下さいね?」




<次回予告>

千歌「スクコレ静岡の公式サイト見て!!」

ダイヤ「正直下手、ですわね…」

果南「ドームの道化師?」

曜「これ以上変な噂を流すのはやめてもらえないかな?」

次回 嘘つきなL/AI企業と謎の道化師






???「いやそれ児○だよ!!」

???「秘書がいる!それは社長として成功する為の"必勝"法〜!」

???「今のは、秘書と必ず勝つという意味の必勝を掛けた大変面白い…」


そして彼らはまさか…!?
次回を楽しみにし〜ないと!!

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