浦女探偵   作:梨蘭@仮面バンドライバー

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禁断の果実にオレンジ…鎧武がチラつく第3話です。
ちかりこ初登場です。準レギュラーなので今後もちょくちょく出てきます。


#3 Fなアイドル/禁断の果実

桜が咲く時期となった4月の第2土曜日。この日も黒澤探偵部の部室には3人の姿が。

 

「鞠莉さん、果南さん、おはようございます」

 

「あらダイヤ!今日もシャイニーね♪」

 

「おはようダイヤ。その手に持ってるのは何?」

 

「親戚の方から頂いたみかんですわ。お二人もどうです?」

 

「Oh! I love orange!!喜んで頂くわ!」

 

「私も貰おうかなぁ。あっ、それより2人共聞いた?」

 

「何をです?」

 

「なんか最近、この学校の2年生の子が転校生の子と2人でスクールアイドル?っていうの始めたらしいよ」

 

「そういえば最近屋上から声が聞こえてくるわね。One,Two,Three,Fourって」

 

「あっ!!なんか聞き覚えあるかと思いきやあの方ですの!?まったく、私はまだ部として認めていませんわよ!?」

 

「ダイヤ、何か知ってるの?」

 

ダイヤの話曰く、最近過疎化などによって生徒が少なくなっている浦の星女学院の入学希望者を増やそうと2年生の高海千歌という生徒が、転校生とスクールアイドルを始めたいと創部申請に来たらしい。当のダイヤは部員不足で承認しなかったらしいのだが。

 

「School idol!!良いじゃない!何故承認しなかったの?」

 

「部員が5人集まらなければ認める訳にはいきませんわ。それに2年生になって始めるのは遅いでしょう」

 

「え~!私なら真っ先に承認したわよ?」

 

「鞠莉さんはいつも先の事を見据えなさすぎですわ!もっと…」

 

『計画を立てて行動して下さい!』と言おうとしたが、鞠莉が体育館の方のドアを見た事でダイヤも言うのをやめ、そちらを振り返った。

外には浦女の制服を来たロングヘアの女子生徒が。

 

「あの、黒澤探偵部の皆さん!助けて下さい!」

 

「お、依頼人?どうしたの?そんなに慌てて」

 

「ち、千歌ちゃんがおかしくなっちゃったんです!」

 

「あなた…確か千歌さんとこの前生徒会室に来た転校生の…」

 

「桜内梨子です…それより大変なんです!とにかくこっちへ!」

 

「大事件の予感ね。行きましょう2人とも」

 

梨子に連れられ、屋上に向かった鞠莉達は1人の蜜柑色の髪をした少女がダンスを練習しているのが目に入った。

 

「あれが千歌っち?別に普通じゃないかしら?」

 

「千歌っちって…鞠莉さん、勝手にあだ名を付けないでください…」

 

「やっぱそう見えますよね?でも、しばらく練習を見てて下さい…」

 

4人の人影に気づいたのか、千歌が梨子達の元へ近づいてくる。

 

「あ~!梨子ちゃん遅いよぉ!…ってダイヤさんもいるじゃないですか!」

 

「千歌さん?どういう事ですの?私はスクールアイドルを許可した覚えは…」

 

「まぁまぁダイヤ、それより私はスクールアイドルの練習が見てみたいなぁ。何か1曲踊ってよ」

 

果南は説教をしようとするダイヤを落ち着かせ、千歌達にダンスをするように頼んだ。

その申し出を受け入れた千歌と梨子は自分達で作ったらしいオリジナル曲を踊り始めた。2人とも始めたばかりでところどころダンスが拙い部分もあったが、むしろ始めたばかりにしてはかなりできている方であった。

 

「2人とも、なかなか練習しているのですね。遊び半分だと期待はしていませんでしたが…」

 

「スクールアイドル…なかなか興味深いなぁ~、ゾクゾクするよ」

 

「So good!!」

 

「やったぁ!3年生に褒められた!」

 

「この調子で頑張りましょ、千歌ちゃん!じゃあ休憩にしようか」

 

「は~い!」

 

千歌の返事と同時に梨子が鞠莉達の元へ近づいてくる。そして耳元でこっそりと、

 

「これで様子がおかしいのがわかると思うので、見ていて下さい」

 

と耳打ちしてきた。

すると、千歌は鞄の中から溢れる程のみかんを取り出し美味しそうに食べ始めた。

 

「千歌ちゃんがおかしいっていうのはあれの事なんです」

 

しかし、鞠莉達は頭にクエスチョンマークが浮かぶだけであった。無理もない。目の前にいるのは、みかんを食べている少女でおかしいところは特になさそうだったからだ。

 

「あれがおかしいのですか?千歌さんは単にみかんが好きなだけではないのですか?確かに量は多いような気もしますが…」

 

「私も最初はそう思ってたんですけど、2日前から急にあんな感じになっちゃって…前からみかんは好きだったけど1個か2個ぐらいしか食べてなかったんです」

 

「みかんにハマっただけじゃないの?」

 

「みんなに相談しても、理事長と同じで『ハマっただけじゃない?』って言って信じてくれなくて、黒澤探偵部の皆さんならわかってくれるかなぁと思って依頼に来たんですけど、気のせいなのかな…」

 

「ん?何処からかみかんの匂いが!ちょっと見てこよう!」

 

突然、千歌がみかんの匂いを嗅ぎつけたらしく屋上から校舎の中にいなくなってしまう。

あとを追うと、黒澤探偵部の部室に行き着いた。そこで鞠莉達が目撃したのは、ダイヤの持ってきたみかんを平らげる千歌の姿であった。食べた数は、既に20個以上は軽く超えていた。

 

「ちょっと!わざわざここまで来てみかんを食べなくてもよくないですか!?もう殆ど残ってないじゃないですか!!」

 

「え~!だって食べたいんだからいいじゃないですか~!みかん返して下さい!」

 

「これは私が親戚から頂いた物です!これ以上はぶっぶーですわ!!」

 

その様子を見て、鞠莉はようやくこの状況に疑問を持った。

 

「確かにおかしいわね。鞄の中にまだあれだけ残っていたのに部室のみかんまで食べてしまうなんて」

 

「しかも食べたいから、って理由だけでここまでするんだもん。普通の高校生ならそれくらいの善悪の区別は付けられるはずだよね」

 

「やっぱり気のせいじゃないですよね?実は、昨日千歌ちゃんの家に泊まったんですけど…」

 

そう言って梨子は自らのスマートフォンに保存してあった写真を鞠莉達に見せる。そこには美味しそうにみかんを頬張る千歌の姿があった。隣では姉とおぼしきショートヘアの女性が呆れた顔をして白米を口にしている。そして、ここで2人は更におかしな事に気づく。

 

「これ、周りにあるのは夜ご飯のおかずだよね?お姉さんがまだご飯を食べてるのに、千歌だけこんなにみかんを食べてるなんて」

 

梨子曰く、昨日も千歌の姉がご飯を用意したらしいのだが千歌は要らないと断り、代わりにみかんを多く食べていたらしい。ちなみにその時に飲んでいた物も、みかんジュースだったそうだ。

 

「まさかとは思うけど…千歌っち、ガイアメモリでも使ってるのではないかしら?」

 

「ガイアメモリ?」

 

「えぇ、もしかしたらその副作用で理性がおかしくなりかけている可能性があるわ」

 

「ガイアメモリって言うのはこの気持ち悪い形のUSBメモリみたいなやつだよ。闇社会で違法取引されている危ない物なんだよ」

 

「ん?そういえばこの前千歌ちゃんがこれに似たようなのを…」

 

梨子が何か言いかけた瞬間、突然ダイヤの身体がこちらに飛んで来た。千歌が突き飛ばしたらしい。

 

「もう!じゃあいいですよ!これでみかんの補給をしますから!」

 

千歌が取り出したのは赤い色のガイアメモリだった。メモリには切り開いたみかんのような絵が描かれている。

 

「やっぱり!千歌っちはドーパントだったのね!」

 

\オレンジ!/

 

オレンジメモリを起動させると、千歌の右頬にコネクタが浮かび上がった。

千歌はそこにガイアメモリを挿し、オレンジ・ドーパントに姿を変えた。

オレンジ・ドーパントは身体がみかんのように丸くなっており、頭にはみかんのヘタがついたオレンジ色の帽子を被っている。

 

「あ~美味しい!最高にいい気分だなぁ♪」

 

「そんな…千歌ちゃんがみかんの怪物になっちゃった…」

 

「鞠莉、ダイヤ、行こう!」

 

「すみません…梨子さんはここで待っていて下さい。すぐに戻りますので」

 

3人は千歌が出て行った方に向かう。

グラウンドに出て誰もいないのを確認し、鞠莉はドライバーを装着した。

そして、果南と共にガイアメモリを構えた。

 

\サイクロン!/

\ジョーカー!/

 

「「変身!!」」

 

\サイクロン!ジョーカー!/

 

「ほっ!果南さんキャッチ成功ですわ!」

 

鞠莉と果南はWに変身し、オレンジの姿を探した。すると、校舎裏の坂を登って行くオレンジを発見した。

 

『見つけたよ、鞠莉!』

 

「逃がさないわ!」\トリガー!/

 

\サイクロン!トリガー!/

 

Wがトリガーメモリをドライバーに挿すと、左側の色が青に変わる。胸元にはトリガーマグナムが出現し、オレンジに向けて風を纏った弾丸を発射する。

 

「痛い痛い!痛いよぉ!」

 

「速攻でキメてあげるわ!これでも食らいなさい!」

 

\サイクロン!マキシマムドライブ!/

 

「「トリガーエアロバスター!!」」

 

弾がオレンジに放たれた瞬間、何処からか青い弾丸が飛んで来て、エアロバスターを相殺してしまう。

すると、横からナスカ・ドーパントが現れ、手に持っていたブレードでWを切り裂く。

 

「キャッ!あなたは何者!?」

 

「早く逃げた方がいい。メモリをブレイクされてしまうよ」

 

「あ、ありがとう!」

 

「待ちなさ…キャァッ!」

 

「悪いが彼女の元には行かせない」

 

「邪魔をしないで!」

 

『鞠莉、こいつメモリドライバーをしてる。組織の幹部だよ』

 

果南が指した方を見ると、ナスカの腰にはガンメタリックのような色をしたドライバーが着いていた。UTXの幹部がメモリを安全に使用する為に装着するガイアドライバーだ。

 

「初めまして、かな?仮面ライダー。今君を初めて見たが、私がここまで倒したいと思ったのは君が初めてだ。その身体、真っ二つに引き裂いてやろう」

 

「面白い事言ってくれるわね!やれるものならやってみなさい!」

 

『鞠莉、さっきも言ったけど相手は組織の幹部だよ。気をつけて!』

 

「わかってるわ!これに変えるわ!」

 

\ヒート!/

\メタル!/

 

\ヒート!メタル!/

 

Wは赤と銀に色を変え、ナスカの攻撃を受け止める。ナスカはブレードを縦に振りWを切り裂こうとするが、Wも負けじとメタルシャフトでナスカの攻撃を受け止める。

 

「なかなかやるようだな。流石仮面ライダーだ。だが、そのメモリでは私のスピードについていけないぞ」

 

ナスカはWの一瞬の隙を突き、メタルシャフトを弾くと腹部をブレードで2,3回切り裂いた。ナスカはスピードに秀でている為、スピードの落ちるメタルでは相性が悪かった。ナスカのスピードに着いていけないWは、その攻撃に弾き飛ばされてしまう。

 

「くっ!果南、私に考えがあるの!少しDangerousだけど付き合ってもらえるかしら?」

 

『なんか嫌な予感するんだけど…乗ったよ!』

 

ナスカは地上絵のような翼を展開し、空からW目がけてブレードを振り下ろす。しかしWはそれを受け止め、メタルメモリをドライバーから抜いた。

 

\トリガー!/

\ヒート!トリガー!/

 

「何っ…?」

 

「この町はあなた達の物じゃないわ!」

 

ヒートトリガーとなったWはナスカの腹部にマグナムの銃口を向け、炎を纏った弾丸を連射した。弾丸をもろに浴びたナスカはその場で爆発を起こす。

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

『もう…こんな事だろうと思った…。鞠莉ったら無茶するんだから…』

 

ヒートトリガーは相性が良すぎて強くなりすぎてしまうあまり、火力が最も高く不安定で危険な為、トリガー系のフォームの中では逆に使いづらいデメリットを持つ。

そのまま果南は意識を失い、Wは変身が維持できず解除されてしまう。

 

「はぁ…今日はもう身体が限界だわ。ゆっくり休まないと…」

 

鞠莉はよろよろとした足取りで学校へ戻って行った。

 

 

 

その夜、淡島にある巨大な屋敷では、4人の少女がいつものように食事をしていた。談笑していると、英玲奈が中に入ってくる。

 

「只今戻った。すまない」

 

「お帰りなさい。遅かったじゃない、英玲奈」

 

「あぁ、仮面ライダーと戦ってきた」

 

「どうだったの?仮面ライダーは倒せたの?」

 

「ダメだったよ。むしろ逆にやられてしまった」

 

「あら、そうなの?だらしないわよ英玲奈」

 

「すまないあんじゅ。だが久々に倒しがいがある相手に出会えた気がする。次までに訓練を積んでおくよ」

 

「期待してるわよ英玲奈。いい報告を待っているわ」

 

「私達より先に綺羅家に加入したのにそのザマじゃ勝てないんじゃないの?普通にダメだった事を報告してる時点でおかしいと思うけど」

 

「理亞、年上よ。口の利き方に気をつけなさい」

 

「チッ。ごめんなさい、姉様」

 

「そうだな。これでは聖良と理亞に示しがつかないと反省している。善処しよう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、鞠莉は千歌の家である旅館を訪れていた。どうやら家には帰っているらしい。中に入ろうとすると、旅館の横側で1人の少女が2階の部屋を覗いているのを目撃した。

 

「あなた?そこで何をしているの?」

 

鞠莉が話しかけたのは浦の星女学院の制服を着た少女だった。何処と無く千歌に似ているが、髪色や目が僅かに暗めだ。

 

「千歌っち…じゃないわね。誰なの?」

 

「あ、理事長。私は2年の支倉かさねと言います。って、理事長だからご存知ですよね」

 

「そういえばそんな生徒もいたわね。千歌っちにあまりにも似てたから間違えてしまったわ」

 

鞠莉は浦の星女学院の3年生でもある。鞠莉の父親と浦女の前理事長は昔から交流があり、毎年多額の寄付をしている事から、今年の春より忙しい父の代わりに鞠莉が理事長に指名されたのだ。その為、鞠莉は生徒をある程度把握しているが、かさねと千歌は身内でないにもかかわらず、よく似た容姿をしている為気づかなかった。

 

「よく似てるって言われるんです。他人の空似って言うのかなこういうの」

 

「それで、かさねはどうしてここに?」

 

「高海さんが2日前から朝から晩までみかんばかり食べていて心配になったので様子を見に来たんです。昨日も会長と揉めてたし…」

 

「私も聞いたわ。でも大丈夫!実は黒澤探偵部に依頼が来たのだけど、このマリーがいるからには心配いりません!ちゃんと解決してみせるわ♪」

 

「そっか、理事長は黒澤探偵部の部員でもありましたね。じゃあ、頑張って下さい」

 

そう言ってかさねは旅館から去って行った。すると、入れ違いに隣の家から梨子が現れた。

 

「あの…千歌ちゃんの事なんですけど…まだ解決してないんですか?」

 

「Sorry。昨日仮面ライダーが援護に来たのだけど、別の敵に邪魔されて千歌っちには逃げられてしまったの」

 

鞠莉は自分達が仮面ライダーという事を知られないよう、昨日の事を伝える。

 

「そうなんですか…。私、千歌ちゃんに出会ってスクールアイドルを始めて…。この1週間あっという間だったんですけど、ここまで楽しいと思った事はなかったんです」

 

そう言って梨子は自分の過去を語り始める。梨子は東京の音楽が有名な高校でピアノに打ち込んでいたのだが、去年からスランプに陥ってしまい、その年の大会では鍵盤さえ触れられずに終わってしまったらしい。

そこで海の音を探すべく、梨子はこの内浦に引っ越して来たのだ。この町に来てすぐに千歌と出会い、自分の輝きをいつか見つけられるようにスクールアイドルを始め、辛かった気持ちも少しずつ変わっていったと言う。

 

「私を変えてくれて感謝してるんです…私にとって大切な友達なんです」

 

梨子は涙ながらに続ける。

 

「千歌ちゃんはみかんの味を味わってるだけって言ってて…多分悪い事は何もしてないと思うんです。でもこのままじゃ何か取り返しがつかない事をしちゃうんじゃないかって心配なんです…だからっ!千歌ちゃんを…元に戻してくれませんか…?」

 

「もちろんよ。言われなくてもそうするつもり。仮面ライダーほど力はないかもしれないけど、探偵としてベストを尽くすわ」

 

「ありがとうございます…理事長…」

 

「No,No。マリーでいいわ。私は理事長である前に生徒だから。みんなと分かり合いたいと思っているの」

 

「じゃあ、鞠莉さん。申し訳ないけど、千歌ちゃんをお願いします…」

 

梨子の言葉に鞠莉は笑顔を見せながら頷いた。

 

「ねぇ梨子、1つ確認したいのだけど千歌っちって結構純粋そうよね?ガイアメモリを上手く千歌っちから奪いたいのだけど…ほら、みかんで引き付けてTrapに嵌めるとかできないかなぁと思ったのよ」

 

「まぁ…確かに結構騙されやすそうですけど…」

 

「騙されやすそう…?梨子!!あなた賢いわ!!Very cleverよ!!」

 

「鞠莉さん?」

 

「まだ予想でしかないけど、私の中で1つAnswerが出たわ!ありがとう梨子!」

 

鞠莉はそう言うと、どこかへ走り去って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ダイヤさんが謝りたくてみかんをくれるって言うから来たのに…まだかなぁ」

 

その日の16:00、千歌はダイヤに呼び出され、学校のグラウンドでダイヤを待っていた。しばらく待っていると、校舎の方の階段からダイヤが降りてくる。

 

「千歌さん、こっちです。来てもらっても大丈夫ですか?」

 

「あ、ダイヤさん!来てたんですね!今行きます!」

 

千歌がダイヤに近づこうとした瞬間、コウモリのようなカメラが千歌の目の前に現れ、強烈なフラッシュを千歌に浴びせた。

 

「うわっ!?眩しい!!」

 

その隙にダイヤは千歌の履いているズボンのポケットからオレンジメモリを抜き取り、後ろにいた鞠莉に向かって投げた。

 

「ダイヤ、バットショットもよくやってくれたわね!Congratulationよ!」

 

バットショットというのは、先程のコウモリ型のカメラの名前だ。

これらはメモリガジェットと呼び、ギジメモリをセットする事で自動で変形し動いてくれる便利な機械である。メモリガジェットはバットショット以外にも、鞠莉が腕に身につけているスパイダーショックやリボルギャリーの操作に使うスタッグフォンを所持している。

ちなみに、普通の携帯電話やカメラ、腕時計としても使用可能だ。

 

「相変わらず手荒なマネだけど、しょうがないよね」

 

「あ!理事長!それ返して下さい!みかんが食べられなくなっちゃう!」

 

「そういう訳にはいきません!これは私が預かります!これは危ない物なのよ?」

 

「千歌としてはみかんの味をいつでも味わえるから使っていたい物かもしれないけど、ある意味それって依存症みたいなもんだよ」

 

「ガイアメモリは麻薬と同じなの。しかもそのメモリは力が強いから、あまり使用し過ぎると死ぬわよ?せっかくSchool idolを始めたのにできなくなってもいいの?」

 

千歌はその言葉にハッとなり黙り込む。鞠莉と果南の後ろには、心配そうな顔で千歌を見つめる梨子の姿が。

 

「あなたは自分のエゴの為にそうやって彼女から未来の可能性を奪おうとした。それは許される事じゃないわよ…かさね?」

 

「もう逃げられないよ?いい加減出てきなよ」

 

その言葉に、後ろから1人の女子生徒が歩いて来る。それは、鞠莉が朝出会った2年生の支倉かさねだった。

梨子もそれは予想できなかったらしく、驚いたのか目を見開いている。

 

「支倉さん?どういう事なの?メモリ持ってるのは千歌ちゃんじゃ…」

 

「確かにメモリを持ってるのは千歌っちよ。でもそれは"騙された"から。彼女に」

 

「騙された?」

 

「さっき梨子と会う前に彼女と話したのよ。その時にかさねはこう言ったの。『2日前から朝から晩までみかんばかり食べていた』とね。おかしいと思わない?学校で姿を見る昼間ならともかく、朝と夜も食べている事を知っているのは不自然よ」

 

「梨子ちゃんは一昨日、千歌の家に泊まったから知っていてもおかしくない。それは千歌を常に見ている人しかわからないはず。それ以外で知ってる人がいるとしたら、梨子ちゃんが相談した千歌の友達だろうけど、みんな『ハマっただけ』だと信じていなかったみたいだし」

 

「確かに…そういえば私、支倉さんには千歌ちゃんの事相談してない…」

 

「あなたはずっと千歌っちを観察していたのよ。だから昨日ダイヤと千歌っちが揉めていたのも知っていた。観察する事でメモリの効果も確かめていたんでしょう?」

 

「そんな!そうだったの!?かさねちゃん!!」

 

「バレちゃったか。そうだよ!私はアンタが大嫌いなの!勉強もできないしおっちょこちょいな癖に私に似たような見た目してて!自分がバカにされてるみたいで嫌だったの!」

 

そう声を荒らげながら、かさねはメモリの入手経緯を語り始めた。

 

「5日前の放課後にね、長い髪の女が私にガイアメモリを勧めてきたんだ。その時にたまたま選んだオレンジメモリが『効果が強いメモリだ』って言われたから、これを使って人生めちゃくちゃにしてやろうと思った。だから『プレゼントしたい人がいる』って女からコネクタってのを打ち込む機械を借りて、次の日に『これを使えばみかんがいつでも食べれる』って嘘吹き込んで打ってやったんだよ!バカだよねこの子!こんなくだらない嘘に騙されるんだから!!」

 

「けど残念ね。千歌っちとオレンジメモリは適合率が他の人と比べて高く、メモリの力もコントロールできていたから罪も犯さなかったし、すぐに死ぬ事もなかった」

 

「オレンジメモリについて検索した結果、毒性が強いから体質が合わなきゃ3~4日ほどで死亡してしまう上、オマケに依存性も高い。千歌と相性が良かったから多少の暴走だけで済んだけど、もし相性が悪ければ、気づくのが遅れてたら取り返しのつかない事になってたよ」

 

「私、そんな危ない事してたんだ…騙されて…」

 

「でももう大丈夫よ千歌っち。このメモリさえ壊してしまえば、あなたは暴走する事はなくなるわ。だから安心してSchool idolを続けて♪」

 

「ありがとう…ごめんなさい、みんな…」

 

「かさねさん、違法に販売された物を購入し、他の人に配るのは犯罪ですわ。自首して罪を償って下さい」

 

「…よ」

 

「えっ?」

 

「嫌って言ってんのよ!!」

 

かさねは叫ぶとポケットからガイアメモリを取り出す。そのメモリはオレンジメモリとは打って変わって紫色をしていた。

 

「なっ!?もう1本メモリを!?」

 

「万が一に備えてもう1つ買っといて良かったぁ…ようやくこれを挿せる!」

 

\アノマロカリス!/

 

かさねは首にメモリを挿入し、アノマロカリス・ドーパントに変身した。

 

「こうなったら直接アンタを殺してあげるよ!」

 

「やめてっ!」

 

「邪魔しないでよ桜内さんッ!!」

 

アノマロカリスは千歌を殺そうとするが、梨子が千歌を庇った為失敗した。

梨子はアノマロカリスのパンチを腹部に食らい、気を失ってしまった。

 

「梨子ちゃん!しっかりして!」

 

「次はアンタだよッ!!」

 

「ヤバっ!スタッグお願い!」\ヒート!/

 

\ヒート!マキシマムドライブ!/

 

果南はスタッグフォンにヒートメモリを挿し込むと、スタッグフォンは炎を纏いアノマロカリスに突撃した。

メモリガジェットはWのメモリを使う事で、そのメモリの属性に合わせたマキシマムドライブを発動する事もできるのだ。

 

「もう!鬱陶しい!」

 

アノマロカリスは口から歯のような弾丸を出し、スタッグフォンを地面に落とすと千歌の胸を強く殴り気絶させた。

 

「千歌っち!!」

 

「鞠莉さん!気を失っているだけだから大丈夫ですわ!」

 

「とりあえず高海千歌はこれくらいで勘弁してあげる。まずは先輩達を片付けてからゆっくり殺してあーげよっ!」

 

「片付けられものなら片付けてみなさい!行くわよ果南!」

 

「りょーかいっ!」

 

\サイクロン!/

\ジョーカー!/

 

「「変身!!」」

 

\サイクロン!ジョーカー!/

 

鞠莉と果南もガイアメモリを構え、Wに変身した。

 

「へ~、まさか先輩達が仮面ライダーだったんだぁ…殺しがいがあるよ」

 

「その通りよ。千歌っちを助ける為、あなたに負ける訳にはいかないわ!」

 

「「さぁ、あなたの罪を数えなさい!」」

 

「ふふふ、強がりもいつまで続くかな?」

 

アノマロカリスはWに飛びかかるが、Wには軽々と避けられてしまい、パンチで学校の外へ吹き飛ばされてしまう。

 

「このメモリは水の中が強いって言ったかな?やってみよ!」

 

アノマロカリスはWに弾丸を浴びせると坂を猛スピードで下り、海の方へ逃げて行った。

 

「逃がさないわよ!」

 

Wはハードボイルダーに乗り、アノマロカリスを追いかける。坂を下りきった先にリボルギャリーが現れ、逃げて来たアノマロカリスを海の方へ吹き飛ばした。

そのままアノマロカリスは巨大化し、ビッグ・アノマロカリスになると、追いかけて来たWに先程より大きな弾丸を放つ。

 

『海の敵にはハードスプラッシャーで攻撃しないとね』

 

リボルギャリーに乗ったハードボイルダーは、車体後部を黄色のユニットに付け替えてハードスプラッシャーとなった。ハードスプラッシャーは水中戦に適したバイクだ。

 

『メモリはこの組み合わせが狙いやすい。アイツに最も効果的だよ』

 

\ルナ!/

\トリガー!/

 

\ルナ!トリガー!/

 

Wは黄色と青に色が変わり、ルナトリガーになった。トリガー系フォームでは最もバランスの良い組み合わせだ。Wはトリガーマグナムで銃撃し、アノマロカリスも弾丸を発射するも、Wが撃った弾は変幻自在に方向を変えアノマロカリスの発射した弾丸を全て撃ち落としてしまった。さらに、当たらなかった弾はアノマロカリスに命中する。アノマロカリスがそれを避けようとしても、ホーミング弾はアノマロカリスを追尾し命中してしまう。

アノマロカリスが怯んだ隙に、Wはトリガーマグナムにトリガーメモリをセットする。

 

\トリガー!マキシマムドライブ!/

 

「「トリガーフルバースト!!」」

 

トリガーマグナムから放たれたエネルギー弾は分裂し、アノマロカリスを撃ち抜いた。

アノマロカリスはかさねの姿に戻り、海に落ちてしまうが、Wが腕を伸ばした事でかさねも無事に救出された。かさねの首からはアノマロカリスメモリが排出され、海の中に落ちたのと同時に砕けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Report(報告書)

 

Riko woke up with Chikatchi safely,

The orangememory broke through, too. Dia accepted School idol activity, and two people made a start as School idol. We want to support them who shine from now on.

And I fought against the executive of the organization. I have known the toughness of the organization, but we never lose. To keep the smile of the person of the town.

(千歌っちと梨子は無事に目を覚まし、オレンジメモリもブレイクされた。ダイヤもスクールアイドル活動を認め、2人はスクールアイドルとしてスタートを切った。私達はこれから輝く彼女達を応援していきたいと思う。

そして、組織の幹部とも戦った。組織の手強さを知ってしまったが、私達は町の人の笑顔を守る為に絶対に負けない)

 

「まったく、『ダイヤもスクールアイドル活動を認め』って書いてありますが、あれは鞠莉さんが勝手に部として承認してしまったからでしょう?」

 

「いいじゃない♪実際あの子達のPerformanceは悪いものではなかったでしょ?それに、ダイヤだってノリノリだったじゃない」

 

「なっ、そんな事はありませんわ!まぁ、未熟ではありましたが確かに良かったですし…」

 

「なら応援してあげようよ。ていうか、私達もアイドルやっちゃう?探偵でアイドルで仮面ライダーって面白くない?」

 

「That's great!私達もスクールアイドル部に入部しちゃいましょ♪」

 

「やりませんわ!!」

 

「失礼します」

 

「失礼しま~す」

 

「あら、千歌っちに梨子じゃない♪また依頼?」

 

「この前のお礼に来たんです!助けてもらっちゃったし!本当にありがとうございます♪」

 

「それで、もし良ければなんですけど…私達ももし協力できる事があったら言って下さいね?スクールアイドルなので黒澤探偵部には入れないけど、できる限りお手伝いします!」

 

「それはありがたいよ。私達だけじゃ上手くいかない事もあるし」

 

「あっ!みかんだ!いただきま~す!」

 

「おや?おかしいですわね…メモリブレイクしたのに効果が残ってますわ」

 

「もう大丈夫ですよ!むしろ食べ過ぎて飽きちゃったのでしばらくは2日に1個で十分です♪」

 

「ならいいのですが…また騙されないように気をつけて下さいね?」

 

「はーい!」

 

「あと、来週の日曜日にこの学校の体育館でファーストライブをやるので、是非見に来て下さいね?」

 

「ホント?楽しみだなぁ。探偵部の3人で見に行くよ♪」

 

「ありがとう!じゃあ練習行こ!梨子ちゃん!」

 

「そうね!失礼しました」

 

千歌と梨子は部室から出て行った。鞠莉には2人の後ろ姿はとても楽しそうに見えた。そんな鞠莉の後ろに、とんでもない威圧感が漂っている。

 

「鞠莉さん…?私体育館の初ライブなんて聞いていませんわよ…?」

 

「あら?言った気がするような?気のせいかしら?知らないわ~」

 

「勝手に承認するのもいい加減にして下さい!鞠莉さんは理事長である前に生徒でもあるのですから見本としてしっかりして頂かないと困るのですわ!大体この前だって…」

 

ダイヤが鞠莉に説教をしている姿を見て、果南は僅かに苦笑いを浮かべるのであった。




<次回予告>

ルビィ「今日から黒澤探偵部に入部しました、黒澤ルビィです!よろしくお願いします!」

???「善子ちゃんが入学式から学校に来なくなっちゃって…」

英玲奈「仮面ライダーだったのか」

あんじゅ「倒しましょ、英玲奈」

ツバサ「本当に騒がしいわね…いい迷惑だわ」

鞠莉「1度でダメならもう1度やるだけよ!」

次回 Dの誘惑/新たな仲間

黒澤探偵部メンバーで1番好きなキャラは?

  • 小原鞠莉
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ

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