浦女探偵   作:梨蘭@仮面バンドライバー

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ルビィちゃん加入、そして黒澤ダイヤと宝石のダイヤモンドとダイヤモンドのドーパントと3つもダイヤモンドに関する単語がありちょっと読みづらい4話です。


#4 Dの誘惑/新たな仲間

「きょ、今日から黒澤探偵部に入部しました、黒澤ルビィです!よろしくお願いします!」

 

ある日の放課後、黒澤探偵部に1人の新入生が入部した。彼女は黒澤ルビィ。今年から浦の星女学院に入学した1年生で、ダイヤの妹だ。

 

「ルビィ!超久しぶりじゃない~!見ないうちにCuteになったわね♪」

 

「えへへ…そんな事ないよ、鞠莉ちゃん」

 

「2人共、今日からルビィをよろしくお願いしますね」

 

「Of course!頑張りましょ!」

 

「がんばルビィ!」

 

「じゃあ、ルビィちゃんには黒澤探偵部マニュアルを渡しておかないとね。ここにWの秘密とか、探偵としての心得が書かれてるから、なくさないようにちゃんと持っててね」

 

そう言って果南は少し厚めの冊子をルビィに手渡す。創部当初から新入生に必ず配っている、黒澤探偵部オリジナルの本だ。

 

「それにしても、今年は部員1人だけですか…まぁ1人も入らないよりはいいですが…」

 

ダイヤの視線の先には、大量に余っている黒澤探偵部マニュアルが。毎年新入生がたくさん入った時の為に多めに作っているのだが、近年は少子化で生徒が減っている事が原因なのか、必ず余ってしまう。

 

「2年生は部員がいないもんね~、千歌達が入ってくれたら嬉しいんだけど、スクールアイドルとの両立は大変だよね」

 

「そうよねぇ。他のStudentsも協力はしてくれるんだけど、入りたいとはまた別問題って事なのかしら?」

 

「ルビィ、本当に申し訳ないのですが他の1年生を何人か勧誘してくれませんか?もし部活に入っていない人がいたらできるだけ黒澤探偵部に入部して欲しいのですが…」

 

「ぅゅ!何人か声かけてみるね♪あ、そういえばルビィの友達が今日依頼に来るらしいんだけど…」

 

「失礼します。ルビィちゃん、いますか?」

 

部室のドアが開くと、茶髪の特徴的な喋り方の少女がひょっこり顔を出す。

 

「あ、花丸ちゃん!黒澤探偵部へようこそ!」

 

「あなたがルビィのお友達ですか?いつもルビィがお世話になっています。キレイな方ですわね」

 

「あ、お姉さんのダイヤさんでしたっけ?そんな事ないずら…じゃなかった、ないです」

 

「それで、花丸は何の依頼で来たの?」

 

「あ、あの、善子ちゃんが入学式から学校に来なくなっちゃって…」

 

「善子ちゃんって、津島さんの事?確か、自己紹介の時に失敗?しちゃって帰っちゃったよね。今も学校来てないし…」

 

「あー、高校デビューしようとして失敗しちゃった感じ?それで家に引きこもっちゃったから力を貸して学校に行かせたいというのが依頼かなん?」

 

「いえ、この前家にノートを届けに行ったんですけど家にも帰ってないらしくて…幼稚園が同じだったんですけど、マルは何か他に原因があるんじゃないかと思ったんです」

 

「入学式で自己紹介に失敗して勢いで帰ってしまったから、親御さんにも合わせる顔がなくて家出してしまった可能性はないのですか?」

 

「流石にそこまでメンタルは弱くないと思います。善子ちゃんのお母さんに聞いたら、ゆーちゅーぶ?って動画アプリの生放送で気になるのを見つけたらしいずら。なんか質問コーナーみたいな感じだったらしくて、1つ気になる質問があって…」

 

「これかしら?『堕天使ヨハネのリトルデーモンの為のOfficialチャンネル』の『チャンネル登録者2万人記念!堕天使が答える禁断の質問LIVE』っていう動画かしら?」

 

「あ、多分それです」

 

鞠莉はURLをクリックし、動画を再生した。しばらく見ていると、気になる質問が。

 

<では次の質問に行くわよ。リトルデーモン・シャム猫からの質問よ。『ヨハネ様、こんにちは。ヨハネ様は今沼津を住処としているようですが、淡島のSaint A-RISEというホテルの近くに綺羅家という家があり、その家が謎に包まれていると聞いたのですが、何かご存知ですか?』なるほどねぇ…ごめんなさい。私は生憎その噂を聞いた事がないの。でも何だか面白そうね。そのうち淡島に堕天して調べてみるわ♪じゃあ次の質問に…>

 

一通りその質問を聞き終えた鞠莉達は、原因は綺羅家という家にあるのではないかと睨む。

 

「マルの予想でしかないんですが、もしかしたら善子ちゃんはここで行方不明になってしまったんじゃないかって思うんです。えっと、つまり消えてしまった善子ちゃんを探して欲しい、というのがマルの依頼です」

 

「綺羅家で大まかに検索したのだけど、掲示板にこんな記事を見つけたわ」

 

鞠莉がサイトを開く。そのサイトには、怪しい内容が書き込まれていた。

 

「『俺あそこ泊まったけど、寂れたかのように人の出入りする気配がなかったぞ』」

 

「『わかるわかる。門が堅く閉ざされてて一般人が入れないようになってるらしい』」

 

「『そのホテルでバイトしてた事あるんだけど、綺羅家にこっそり忍び込もうとしたら先輩に見つかって物凄い剣幕で注意されたよ。従業員の一部と家の人以外は立入禁止って言われた』ですって。怪しいですわね」

 

「とりあえず、善子を見てないか淡島に聞き込みに行く必要があるわね。さっきの話を聞く感じだと、理由はわからないけど家には入れないから綺羅家が関与している可能性は薄いと思うの。もしかしたら別の人間に誘拐された可能性もあるわ」

 

「確かに。チャンネル登録してる人の数も多いから、もしかしたらアンチの犯行とかかもしれないね。人気者にアンチは付き物だし」

 

「園田刑事にも一応連絡しておきますわ。協力して下さるかもしれません」

 

「安心して、花丸。善子は私達黒澤探偵部がきっと見つけてみせるわ」

 

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

花丸は深々とお辞儀をした。その様子を見たルビィは一瞬不安そうな顔をしたが、すぐに何か覚悟を決めたかのような表情に変わった。

この時のルビィが何を考えているのか、花丸はおろか鞠莉達3人も気づいていなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、鞠莉とダイヤは淡島に向かい善子や怪しい人間の目撃情報を集めていた。果南は学校で部活中の生徒に聞き込みや地球の本棚で検索をしていた。

しかしどちらも有益な情報を得る事ができず、捜索は難航していた。

 

「ダイヤ!何か良い情報はあったかしら?」

 

「ダメですわ。善子さんの事は誰も目撃していないみたいです」

 

「そうよね。入学式から時間がだいぶ経ってしまったのも原因ね」

 

「となるとやはり…」

 

ダイヤはホテルの近くに立っている大きな屋敷を見る。もしかしたら綺羅家の中にいるはずだと感じたからだ。

 

「鞠莉さんはさっき家に入れないから綺羅家は関係ないと言いましたよね?私は逆に家に入れないからこそ、あの家の者が善子さんを連れ去った可能性があると思っています」

 

「そういう捉え方もあるわね。綺羅家に行ってみましょう」

 

 

 

一方綺羅家の屋敷。外からあんじゅが戻って来たところだった。

 

「ねぇ、外が騒がしかったけど何が起きてるの?まさか私達がガイアメモリを流通させている事がバレちゃったのかしら?」

 

「それはないわ。静岡県内に工場を幾つも隠し持ってるから製造や流通が知られる事はないし、ホテルの人間にも言わないよう口止めしているもの」

 

「淡島で行方不明の女子高生がいて、その捜索をしているみたいです。私も先程警察から聞き込みを受けました」

 

その時、外の様子を見に行っていた聖良も屋敷の中に戻って来た。

 

「あなたの事は信じているけど、ボロを出していないわよね?メモリの事は話してない?」

 

「大丈夫です。行方不明者を見たかどうかしか聞かれていないので」

 

「ならいいわ。仮に警察が私達に疑いをかけたとしても、行方不明となった女子高生はここにはいない。そもそも一般人を入れてメモリの事がバレたらまずいじゃない」

 

「何も気にする必要はなさそうね。理亞さんと英玲奈が戻って来ていないのが気になるけど…」

 

理亞と英玲奈の安否を心配するあんじゅ。

その頃、屋敷の外には鞠莉とダイヤが到着していた。

 

「本当に大きなHomeね。私の家と同じくらいあるわ」

 

「ホテル経営者ですし、長女の綺羅ツバサは人気アイドル『A-RISE』のリーダーですもの。淡島という小さな島を丸々所有していて当然でしょう」

 

ダイヤの話曰く、綺羅は淡島の全てを領有している一家で、淡島にある水族館やホテルなども綺羅家が経営している。綺羅家の両親は既に他界しており、残った長女のツバサが島の所有権を引き継ぎ淡島全体を管理しているという。

更に、ツバサは『A-RISE』というアイドルグループを結成し活動もしている為、静岡で彼女の存在を知らない人間はいない。

 

「そこの君達」

 

鞠莉とダイヤが話していると、英玲奈が2人に話しかけてきた。

 

「あなた、A-RISEの英玲奈さん!?まさかこんな所でお会い出来るとは光栄ですわ!サインをして頂きたいのです!」

 

「あぁ、ファンの子達か。てっきり不審者かと思ったよ」

 

英玲奈は手際よく色紙にサインを書き込み、ダイヤに返却する。

 

「ところで英玲奈さん、この家の中ってどうなっているかご存知ですか?」

 

「すまない。関係者以外に話す事はできないんだ。基本入れるのは水族館とホテルの一部のスタッフだけで、それ以外の人が入るにはツバサの許可が必要だ」

 

「まさかとは思うけど、この中に行方不明の女子高生が誘拐されている可能性はないわよね?綺羅家の話を聞く感じおかしな評判しか聞かないけど」

 

「ちょっと鞠莉さん」

 

「関係者以外立入禁止の家には基本人を入れる事はない。かといって誰かを拉致する必要もない。A‐RISEとしてあってはならない事だからな」

 

「そう。なら警察に疑われないようせいぜい気をつけて。私にはあなた達が怪しいようにしか見えないけれど。アイドル活動に支障をきたさないようにね」

 

「フッ。面白い子だな、君は」

 

英玲奈はそう言うと門の鍵を開け、屋敷の中へと入って行った。先程の会話で、ダイヤは英玲奈と鞠莉の間にライバル心のようなものが芽生えてしまったと頭を抱える。

 

「鞠莉さん…初対面なのだからもう少し発言に気を遣って下さい」

 

「話し方に少しイラッとしたのよね。気をつけるわ」

 

「まぁ怪しいという点では私も同感ですわ。周りに手がかりがないかもう少し調べてみましょう」

 

「あっ、お姉ちゃん…」

 

「ルビィに花丸さん!?どうしてここに?」

 

声のした方を見ると、屋敷の門の向こうにルビィと花丸の姿があった。

2人は制服ではなく、メイド服を着ている。

 

「Wao!!2人共よく屋敷に入れたわね!ツバサから許可もらえたの?」

 

「あ、実は無断で潜入しちゃって…先輩メイドさんに鍵忘れて入れなくなったって説明したら入れたんだ」

 

「何をやってるんですか!花丸さんまで巻き込んで…バレてしまったらどうなるかわからないのですよ?」

 

「あ、マルはルビィちゃんについて来ただけで…」

 

「ゴメンねお姉ちゃん。でもルビィ、花丸ちゃんが困ってるのに放っておけないよ。ルビィにも手伝わせて」

 

「まだ入部したばかりの1年生が潜入捜査なんて危険ですわ!今すぐ戻って来なさい!」

 

「危ないのはもちろんわかってる!でもルビィが頑張らなきゃ花丸ちゃんも安心できないし、津島さんも助けられないよ!」

 

「ルビィちゃん!待つずら!」

 

「ルビィ!花丸さん!…まったく」

 

ルビィは1分1秒でも善子を見つけ出したいが為に、危険を冒してまで綺羅家に潜入してしまったのだ。ダイヤの静止を無視し、ルビィと花丸は屋敷の中へと消えてしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうしよう…あんな事言っちゃったけど無事に津島さんを助けられるかな…?助けられてもお姉ちゃんにあとで怒られちゃいそう…」

 

「でももう後戻りはできないずら。めぼしい所を探して善子ちゃんがいなかったら諦めよう」

 

「そうだね。でも花丸ちゃん、着いて来ちゃって大丈夫なの?探偵部じゃないんだし、待っていても…」

 

「それはできないずら。マルと善子ちゃんは仲良しだし、ルビィちゃんが1人で行く方が危ないし」

 

「ちょっと!あんた達誰?ここの人間じゃないでしょ!」

 

ルビィと花丸が話していると、屋敷の中に入って来た理亞と鉢合わせしてしまう。

 

「もしかして、『Saint Snow』の理亞ちゃん?凄い!綺羅家の人だったんだ!いつも応援してるよ!」

 

「チッ、そんな事どうでもいいから質問に答えなさいよ!あんた達は誰って聞いてるでしょ!?」

 

「あ、ごめんなさい!えっと、ルビィ…じゃなかった、私達はここで1日バイトさせてもらってるんだ!」

 

「そうずら!オラ…マル達は決して怪しい者じゃないずら!」

 

「バイトなんてあるんだ、知らなかった。バイトだからってくれぐれもおかしな事だけはしないで。分かった?」

 

「ぅゅ…じゃなかった、はい!」

 

理亞はバイトだと信じたのか、何も言わずその場から去っていった。

ルビィと花丸はこっそりあとを追い、理亞が2階の方へ向かったのを確認すると、再び善子を探す為に1階の探索を始めた。

 

「ん?今誰かいたずら!」

 

「花丸ちゃん、どうしたの?」

 

ルビィが何かを見つけた花丸のあとを追うと、透明な宝石のドーパントが部屋に入ろうとしていたのを目撃した。

 

「誰!?」

 

「あれは宝石の妖怪!?未来ずら〜!」

 

「わわわ花丸ちゃん!あれはドーパントって言って、ガイアメモリで変身した怪物なんだよ!逃げなきゃ!」

 

「見たわね!バラされる前に殺してあげるわ!」

 

ドーパントはルビィと花丸に宝石を飛ばす。ルビィと花丸はその攻撃を避け、ホテルの連絡通路へ走り出した。

 

 

 

一方、まだ屋敷の近くを歩いていた鞠莉は攻撃音に気づきダブルドライバーを装着する。

ダブルドライバーを装着すると鞠莉と果南の意識が繋がる為、電話を使わずに会話する事が可能になるのだ。

 

「果南!連絡通路の辺りから変な音がするの!花丸とルビィが襲われてるかもしれないわ!」

 

『え?あの2人屋敷に入れたの…って言ってる場合じゃないよね。ちょっと待って!』

 

\サイクロン!/

\ジョーカー!/

 

「「変身!!」」

 

鞠莉もジョーカーメモリを起動させ、2本のメモリをドライバーに挿し展開した。

 

\サイクロン!ジョーカー!/

 

鞠莉はWに変身し、連絡通路の方へ走る。連絡通路でドーパントに追いかけられている花丸とルビィを見つけ、ドーパントに攻撃する。

 

「アウチ!硬い身体のドーパントね!」

 

「凄いずら!仮面ライダーも来たずらよ、ルビィちゃん!」

 

「鞠莉ちゃ…仮面ライダーさん、来てくれてありがとう!」

 

「2人共もう大丈夫よ。今のうちに逃げて!」

 

「行こう花丸ちゃん!」

 

Wがドーパントを引きつける間に、花丸とルビィはホテルの方へ走り出した。

 

『透明な宝石のドーパント…メモリはDIAMOND(ダイヤモンド)かな?』

 

「何だかダイヤが使いそうなメモリね。ダイヤの頭よりも硬かったわ」

 

「何訳のわからない事を!ハッ!」

 

ダイヤモンド・ドーパントは指から宝石を飛ばす。Wは宝石を躱し、メモリをヒートとトリガーに変える。

 

\ヒート!/

\トリガー!/

 

\ヒート!トリガー!/

 

赤と青に変わったWは、トリガーマグナムから火炎弾を撃つ。ヒートとトリガーは火力が高い組み合わせの為、ダイヤモンドにはよく効いていた。

 

「さ、さっさとメモリブレイクしちゃいましょ!」

 

『ヒートジョーカーのマキシマムでブレイクしようか。ダイヤモンドって意外に割れやすいからね、メタルを使うまでもないよ』

 

\ジョーカー!/

 

\ヒート!ジョーカー!/

 

鞠莉はメモリをジョーカーに戻し、すぐさまマキシマムスロットにジョーカーメモリを挿す。

 

\ジョーカー!マキシマムドライブ!/

 

「「ジョーカーグレネード!!」」

 

Wは2つに分かれ、手に赤と紫の炎を纏って連続パンチを食らわせる。

しかし、ダイヤモンドは思ったよりも硬度があり、多少ヒビが入ったのみでメモリブレイクには至らなかった。

 

『メモリブレイクできなかった。しぶといなぁ。まぁ、普通のダイヤモンドと同じな訳ないか』

 

「1度でダメならもう1度やるだけよ!今度こそ決めるわ!」

 

Wはマキシマムスロットのボタンを押そうとするが、ダイヤモンドは身体から宝石を飛ばしてWを怯ませ姿を消した。

Wも変身を解除し、ホテルの方へ向かう。ホテルの扉の方では、ルビィと花丸が話していた。

 

「あれ?理事長さん!どうしてここから来たんですか?」

 

「マリーでいいわ。連絡通路から大きい音がしたから駆けつけたのよ。それにしても、綺羅家も一般人を立入禁止にしてるのに警備が随分と緩いわね」

 

「ルビィ!鞠莉さんも花丸さんもこんな所に!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「もう、2人共無茶しすぎで…向こうから足音が聞こえますわ!ここではバレてしまうので場所を移動しましょう」

 

鞠莉達は関係者に見つからないよう、連絡通路からフロントに場所を移して先程あった事をダイヤに話した。

 

「ダイヤモンドのドーパント、ですか…綺羅家の人間ではなく、彼女が善子さんの行方を知ってそうですわね」

 

「そうなのよ〜、ダイヤの頭よりも硬いドーパントでメモリブレイクできなかったのよ。あと1〜2発ぐらい食らわせないとダメかもしれないわ」

 

「なるほど…って!私の頭より硬いってどういう意味ですか!!」

 

「というか…ルビィは津島さんがあのドーパントに変身してると思うんだよね」

 

「Why?何故そう思ったの?」

 

ルビィの予想だと、善子は護身と戦闘力の獲得を目的にダイヤモンドメモリを購入したのではないか、との事。

しかし…

 

「でもなんでマル達を殺そうとしたんだろう。善子ちゃんはそんな悪い事しないずら」

 

花丸が言うには、善子は名前に善という漢字がついている通り、いい子であり悪い事は一切しないというのだ。

 

「善子さんの事はよく知りませんが…花丸さんの話を聞く限り嘘は言っていなさそうですし、全く犯人の目星がつきませんね」

 

「ねぇ、今日はお洒落な服装の人が多いね。何かやってるのかな?」

 

「『綺羅家ダイヤモンド展示会』ですって。凄く高そうね…でも小原家にあるプラチナの原石だって負けていないわ!」

 

「あぁ…もしかしたら連絡通路の警備が薄かったのは今日が展示会だからかもしれませんね。先程の足音はこのダイヤモンドを運んでいたのでしょう」

 

鞠莉の指差す先には、ショーケースに入ったダイヤモンドが沢山並んでいた。一般人はともかく、普通のホテル経営者が買えるほどの量ではない。

 

「もし善子ちゃんがドーパントだとしたら、このダイヤモンドを盗む為にガイアメモリを手に入れたという事もありえるんでしょうか…」

 

「でも善子は綺羅家のMysteryを追ってここまで来たはずよ。違うと思うわ。まぁ、潜入したら行き当たりばったりで見つけたというPatternもありそうだけど…」

 

「キャァァッ!!」

 

突如、後ろ側から悲鳴が響き渡る。悲鳴のした方を見ると、ダイヤモンド・ドーパントがショーケースのダイヤモンドを全て盗み逃げようとするところだった。

 

「そのダイヤは綺羅家の物よ!こちらに渡しなさい!」

 

「黙れ!このダイヤモンドは全て私のモノよ!返す訳にはいかないわ!それと…」

 

ダイヤモンドは鞠莉の隙を見てルビィと花丸の方へ走り、2人を気絶させた。

 

「あなた!ルビィと花丸さんに何をするつもりですの!?」

 

「私のダイヤを盗もうとした罰として、この子達もダイヤに変えてやるのよ!返して欲しければ私の隠れ家へ来なさい!」

 

ダイヤモンドは気を失ったルビィと花丸を抱え、どこかへ去ってしまった。

 

「まずいですわね…隠れ家の場所もわかりませんし」

 

「ひたすら探すしかないけれど…2人を放っておくわけにはいかないわ!二手に分かれて探しましょう!」

 

鞠莉とダイヤはホテルから出ると、ダイヤモンドの隠れ家を探す為に二手に分かれた。鞠莉はドライバーを装着し果南に呼びかける。

 

「果南!ルビィと花丸が連れ去られたの!変身よ!」

 

しばらく走ると、サイクロンメモリが転送されて来た。鞠莉はジョーカーメモリと共にそれをドライバーに挿し込み、Wに変身した。

その様子を遠くから見る、2人の人影が。英玲奈とあんじゅだ。

 

「あれはさっきの…仮面ライダーだったのか」

 

「仮面ライダーと一般ドーパントがこの島を騒がせているのね。倒しましょ、英玲奈」

 

\タブー!/

\ナスカ!/

 

英玲奈とあんじゅはドライバーにメモリを挿し、ナスカ・ドーパントとタブー・ドーパントに姿を変えた。

タブーは指から赤い光弾を出すと、Wに向けてそれを発射した。

 

「キャッ!あなたはビギンズナイトの!」

 

「お久しぶり、仮面ライダーさん。私の怖さ、忘れちゃった訳ではないわよね?」

 

「ここで決着をつけよう。私達が君を倒してみせる」

 

「今はあなた達に用はないの!」

 

\トリガー!/

\サイクロン!トリガー!/

 

Wはタブーの放つ光弾をトリガーマグナムで迎え撃つ。しかし、横からはナスカが攻撃してきて上手く戦えない。

 

『こりゃメタルの方が良さそうだね。弾に気を取られがちになっちゃうよ』

 

\メタル!/

\サイクロン!メタル!/

 

「タービュラーに乗って来てよかったわ。そっちも呼ぶわね!」

 

Wはナスカとタブーの攻撃を受け止めつつ、ハードタービュラーを呼び出し風でタブーを吹き飛ばす。Wはそのままハードタービュラーに飛び乗り、その場から飛び去る。

タブーは光弾を飛ばしハードタービュラーを墜落させようとするが、搭載された魚雷に全て相殺されてしまい、Wには逃げられてしまった。

 

「逃げられてしまったか…ガッ!?あんじゅ、何をする!?」

 

ナスカは突然何者から攻撃を受ける。ナスカに攻撃したのは、なんとタブーだった。

 

「英玲奈、あなたがもう少し追い詰めていれば逃げられなかったのよ?それでもナスカメモリの持ち主なの?」

 

ナスカは攻撃のダメージで変身を解除されてしまう。英玲奈は立ち上がるもその場でよろけてしまう。

同じく変身解除したあんじゅは英玲奈に見向きもせず、屋敷へ去って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ルビィ!花丸さん!何処にいるんですか!?」

 

ダイヤは淡島神社の中でルビィと花丸を探していた。本堂の近くを通りかかると、本堂の斜め後ろ側に少し古びた洋風の建物があるのに気づく。

 

「まさか、ここが…?」

 

ダイヤは恐る恐る扉を開け、中に入る。中は薄暗く、瓦礫の山となっていた。

 

「ルビィ…?花丸さん…?」

 

「あーあ、誰か来たと思ったらバレちゃった〜」

 

奥からエコーのかかったような女性の声がする。ダイヤは奥に走ると、大きな部屋にたどり着く。そこには十字架に張り付けられたルビィと花丸、そしてお団子ヘアの少女の姿があった。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ルビィ!花丸さん!そしてこの人は…」

 

「ダイヤさん!この子が善子ちゃんです!善子ちゃんはやっぱりドーパントじゃなかったずら!」

 

「人質は黙ってなさい!…それにしてもあなた、ダイヤという名前なのね。私よりダイヤモンドが相応しそうな名前してて…許せない!」

 

ダイヤモンドはダイヤに襲いかかる。ダイヤも応戦するが、ドーパントに人間がかなう訳もなく、突き飛ばされてしまう。ダイヤモンドは十字架にダイヤを張り付けてしまい、誰も抵抗できなくなってしまった。

 

「アッハハハ!いい気分だわ!もう私の邪魔をする者は誰もいない!アンタ達もダイヤに変えてこのまま世界中のダイヤを私の物にしてやるわ!まずはアンタからッ!」

 

ダイヤモンドは花丸に光線を浴びせようとする。しかし、後ろから何者かの銃撃が命中しそれは防がれる。

 

「グッ!!誰なの!?」

 

「みんなお待たせ!助けに来たわよ」

 

「鞠莉さん!」

 

部屋にはサイクロントリガーにフォームチェンジしたWが入って来た。

 

\メタル!/

\サイクロン!メタル!/

 

Wはメモリをメタルに変え、メタルシャフトでダイヤモンドを殴る。ダイヤモンドが向こうに転げた隙に、Wは十字架に張り付けられたルビィ達を助け出した。

 

「もう大丈夫よ。善子を連れて逃げて!」

 

「させないわよッ!!」

 

「ずらっ!?」

 

ダイヤモンドは花丸を捕らえ、再び光線を浴びせようと試みる。しかしそれは、横からの攻撃によりまたもや失敗してしまう。なんと、ルビィが部屋に落ちていた鉄パイプをダイヤモンドに叩きつけたのだ。

 

「る、ルビィの依頼人に…触っちゃダメっ!!」

 

「ルビィ…」

 

その姿を見て、ダイヤと鞠莉・果南の3人は驚く。ルビィの姿が、ダイヤと彼女の父である剛と重なったからだ。

 

「よく頑張ったわね、ルビィ!一瞬涙が出そうになっちゃったわ」

 

『ダイヤモンド・ドーパント!簡単に人や物を傷つけた事、絶対許さないよ!』

 

「「さぁ、あなたの罪を数えなさい!」」

 

Wは決め台詞に合わせダイヤモンドをメタルシャフトで吹き飛ばす。Wとダイヤモンドの姿が遠ざかったのを確認し、ルビィ達は隠れ家を出た。

 

 

 

一方綺羅家の地下深くでは、ツバサがガイアドライバーを装着し佇んでいた。

 

「本当に騒がしいわね…いい迷惑だわ」

 

\テラー!/

 

ツバサがテラーメモリを起動すると、メモリはツバサの手から離れドライバーの挿入口に入っていく。ツバサの身体が浮かぶと、ドス黒いオーラが彼女を包みテラー・ドーパントに姿を変えた。テラーは粘膜のような物質に包まれると、その場から姿を消した。

 

 

 

場面は変わって森の中。そこではWとダイヤモンド・ドーパントが交戦していた。ダイヤモンド・ドーパントはWをダイヤモンドに変えようと光線を浴びせようとするも、途中でエネルギーの流れが断たれてしまう。

 

「な、何で!?どうして光線が出せないの!?」

 

「どうしたの?私をダイヤに変えるんじゃないの?」

 

『多分、あれが原因で光が出せなくなったんだろうね』

 

果南はダイヤモンドの身体の一部を指す。そこは1度目の戦闘でヒートジョーカーのマキシマムドライブを食らった場所であり、そこには大きなヒビが入っていた。

 

『その上ルビィちゃんがあそこを鉄パイプで叩きつけてヒビが広がった。ルビィちゃんが攻撃してくれなかったら能力を封じられなかっただろうね』

 

「ルビィ、本当にいい活躍をしてくれたわね!頼りになる仲間だわ!」

 

\メタル!マキシマムドライブ!/

 

Wはメタルメモリをメタルシャフトに挿す。メタルシャフトは緑色の風を纏い、Wは回転しながらメタルシャフトを連続で叩き込む。

 

「「メタルツイスター!!」」

 

ダイヤモンドの身体のヒビはさらに広がるが、まだメモリブレイクには至らなかった。

しかし、ダイヤモンドは確実にダメージを受けており、立っているのがやっとの状態になっていた。

 

『1度でダメならもう1度、だよね?鞠莉!』

 

「そうね!それでもダメなら何発でもいくわ!」

 

\ヒート!/

\ヒート!メタル!/

 

Wはメモリを変え、ヒートメタルにチェンジする。すぐにメタルメモリをドライバーから抜き、メタルシャフトにメモリをセットする。

 

\メタル!マキシマムドライブ!/

 

「「メタルブランディング!!」」

 

Wは炎を纏ったメタルシャフトをダイヤモンドに叩きつけた。ダイヤモンドの身体は大きな音を立てて割れ、爆散した。

煙の中からは、砕けたダイヤモンドメモリとホテルの制服を着た女が姿を表した。

 

『やっと終わった…本当に手間のかかるドーパントだったね』

 

「そうね。さ、戻りましょうか」

 

Wが女を抱えその場から立ち去ろうとすると、突如粘膜状の物質が辺りを覆い尽くした。

 

「フフフフフ…」

 

「誰なの!?」

 

Wが笑い声のした方を見ると、禍々しいオーラを纏ったテラー・ドーパントが立っていた。

 

『これヤバいかも!逃げよう、鞠莉!』

 

「そうね!ここは退きましょう!」

 

Wはハードタービュラーを呼び出し、一目散にその場から飛び去った。

淡島神社に辿り着くと、そこには逃げて来たダイヤ達とホテルの従業員や一般の客と思われる人達が階段を降りて行くのが見えた。

 

「ダイヤ!今の人達は?」

 

「鞠莉さん!ドーパントを倒したんですね!あの方々はおそらくドーパントに姿を変えられてしまったのでしょう。隠れ家から突然出てきましたわ」

 

Wは変身を解除し、鞠莉の姿になる。

 

「えぇ!?鞠莉さんが仮面ライダーだったんですか!?未来ずらー…」

 

「ともかく無事で良かったです。善子さんや行方不明の方も見つかりましたし、あとは警察に任せましょう」

 

「えぇ、そうね」

 

鞠莉は先程の黒いオーラを纏ったドーパントの姿を思い出す。同じ事を考えていたのか、まだ意識の繋がっていた果南が話しかけてくる。

 

『鞠莉、もしかしたら私達は見ちゃったのかもね…敵の根源を』

 

その言葉に鞠莉はそうね、と返し淡島神社をあとにした。

 

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Report(報告書)

 

The woman of the dopant is arrested, Peace came again in the island.

So that Yoshiko who woke up says, It seemed to be attacked by sudden dopant when I worked outskirts of the Kira home. Probably woman would misunderstand it when Yoshiko came to steal a diamond. I thought that the attachment for her diamond was terrible.

And I was able to watch the activity of the Ruby this time, too. Her figure reminds of a Takeshi, I realized a connection of the blood some other time.

(ドーパントの女は逮捕され、島に再び平穏が訪れた。

目を覚ました善子が言うには、綺羅家の周辺を歩いていたら突然ドーパントに襲われたらしい。おそらく女は善子がダイヤモンドを盗みに来たのだと勘違いしたのだろう。彼女のダイヤモンドに対する執着心は恐ろしいものだと思った。

そして、今回はルビィの活躍も見る事ができた。彼女の姿は剛を思い出させ、血の繋がりを改めて実感した)

 

「それにしても、今回のルビィは本当に大活躍だったわね。あれがなかったら勝てなかったかもしれないわ」

 

「えへへ、ありがとう鞠莉ちゃん!これからもがんばルビィしちゃうね♪」

 

「ですが!くれぐれも無茶はしないように!花丸さんがついて来たとはいえ、あれは依頼人を危険に晒しかねないです!以後気をつけて下さい!」

 

「あっ…ごめんなさい、お姉ちゃん…」

 

「まぁ、ルビィの成長が見られて良かったと思っていますわ。本当にありがとう、ルビィ」

 

ルビィはダイヤの言葉に嬉しそうな顔をする。鞠莉はその光景を見て、いつか父親の事を伝えないと、と思うのであった。

 

「それにしても善子ちゃん、ここに何しに来たの?まさか入部希望?」

 

「ヨハネよ。んな訳ないでしょ、この魔眼がある限り、私に見えない真実なんて存在しないのですから。ギラン」

 

「クラスの子と話している時にまたドジっちゃったずら♪それで恥ずかしくて探偵部の部室に…」

 

「お〜い!!バラすなずら丸!!」

 

「そういえば善子さん、綺羅家については何かわかりましたの?」

 

「だからヨハネよ。上陸して早々あのドーパントに捕まって何もわからなかったわ。これからまたゆっくり調べていくから待っていなさい、このヨハネの魔眼にかかれば綺羅家など…」

 

「また堕天使出ちゃってるずらよ」

 

「べ、別にここなら堕天使でもいいのよ!私はこの後復帰記念生放送があるから帰るわよ、ずら丸!」

 

「それじゃあ失礼しました〜、ルビィちゃん、皆さん、今回は本当にありがとう。これからも頑張って下さい♪」

 

花丸の言葉に、鞠莉達は頷くのだった。




<次回予告>

???「遥ちゃん… 妹を探してくれませんか?」

果南「死者が生き返る、か…そんなのありえないよ!!」

デス「私の名はデス。死の世界を司る神」

???「変身…」

\スカル!/

ルビィ「あれって、お父さんだよね…?」

鞠莉「お願いやめて剛!」

果南『師匠はあの時死んだんだよ!?』

次回 Wのはじまり/蘇る記憶

黒澤探偵部メンバーで好きなキャラは?

  • 小原鞠莉
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 黒澤ルビィ

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