浦女探偵   作:梨蘭@仮面バンドライバー

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ファングジョーカー本格登場な7話です。
Pixivの方は現在14話まで投稿されているので、今の所ストックは残り半分となります。それから受験も近い為、一旦キリのいいこの回で更新をストップさせて頂きます。受験に合格次第、更新を再開していく予定でいます。勝手ではありますが宜しくお願いします。


#7 覚醒するK/失われた光

果南は走っていた。何処かわかりもしない真っ暗な空間の中を、1人で走り続けていた。あてもなく、ただひたすらに。

どれくらい走っただろうか。1つの小さな白い光が見え、そこには笑顔でこちらに手を振る金髪の少女のシルエットが。

小原鞠莉。戦いや探偵業を共にする果南の大切な親友だ。果南はただ手を振り続ける鞠莉の元へと駆け寄る。

しかし、突如として何者かの姿が鞠莉のシルエットを切り裂いた。鞠莉のシルエットは紙のようにバラバラになってしまい、目の前の光もそれに応えるかのように消えた。

突然の事に果南が戸惑うと、目の前には仮面ライダーWが立っていた。だがその姿は、本来の緑と黒のWではない。目の前に立つWは白と黒の姿をしており、身体は刃のように鋭くなっていた。

 

「ガァァァァァァァッ!!」

 

その咆哮と共に周囲は炎に包まれ、白と黒のWは野獣の如く暴れ回った。何もない空間で、ただひたすらに。

その姿を見た果南はただ恐怖に震えているだけだった。かつての記憶がフラッシュバックし、激しい頭痛が彼女を襲った。あの日の事をずっと忘れられない。

果南は自分が自分でなくなってしまう恐怖を知っている。何故なら、向こうで暴れている白と黒のWは自分自身だからだ。

 

「ウァァァァァァッ!!」

 

果南の耳にはWの激しい悲痛な叫び声が響くだけだった。

 

 

「果南!大丈夫?」

 

「はっ!!?はぁ…夢かぁ…」

 

果南は保健室のベッドで目を覚ます。ゆっくりと身体を起こすと、そこには鞠莉とダイヤ、ルビィの姿があった。先程見ていた光景は夢だったのだ。

 

「まったく、熱があるのに学校に来るなんてぶっぶーですわよ?」

 

「熱、38℃もあって凄くうなされてたし…」

 

「バレーの授業をしていたら急に果南が倒れて…ビックリしたわ」

 

「ゴメン、探偵部の事もあるし休んじゃいけないと思って。でもそんなに体調悪くないし…」

 

「探偵部が大事なのはわかりますが、今は休んで下さい。養護教諭の先生も1日ゆっくりすれば治ると仰っていました」

 

「そこまで重症じゃなくて良かったわ。ポカリ買って来るからちょっと待っててね」

 

「ありがと…心配かけちゃってゴメンね」

 

鞠莉はスポーツドリンクを買う為、自動販売機コーナーへ向かった。

ダイヤは冷蔵庫から冷却シートを取り出し、果南に渡そうとする。その時、ベットの下にファングがいるのに気づいた。

 

「ん?果南さん、この恐竜のロボットは新しいメモリガジェットですか?ずっと果南さんの方を見てますが…」

 

「っ!?やだ!!こっち来ないでッ!!」

 

「果南ちゃん!?」

 

果南は起き上がり、ファングに向けて枕を投げつけた。それだけでなくかけていた布団を蹴り飛ばし、机の上の本やティッシュ箱、椅子を使ってファングを必死に追い払おうとする。

まるで何かに取り憑かれたかのような果南の行動に驚き、ダイヤは慌てて果南を制止した。

 

「やめなさい果南さん!落ち着いて下さい!」

 

「ダイヤ!?どうしたの!?」

 

丁度スポーツドリンクを買って来た鞠莉が保健室に戻って来た。鞠莉は散らかった保健室を見て、思わず驚愕する。

 

「鞠莉ちゃん!えっと、恐竜のロボットが…」

 

「恐竜のロボットがベッドの下にいて、それを見た瞬間果南さんが急に暴れ出して…」

 

「恐竜のロボット?まさか…」

 

「そうだよ鞠莉、ファングが私の元に戻って来たんだよ…!もう嫌だよッ!!見たくないよアイツなんか!!」

 

「果南さん!!落ち着きなさいと言っているでしょう!?風邪も酷くなりますわよ!!」

 

ダイヤが声を荒らげる果南を落ち着かせる一方、ルビィはファングについて鞠莉に尋ねた。

 

「ねぇ鞠莉ちゃん、ファングって何?」

 

「ファングというのは…簡単に言ってしまえばWの第7のメモリ。サイクロンやジョーカーと言ったメモリと違い、メモリ自体が意思を持っているの」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後、部室で鞠莉はダイヤとルビィにファングメモリについての説明をした。果南はファングの名前を出すだけで冷静さを欠いてしまうので、保健室で寝かせている。

 

「ファングは果南をボディサイドとして変身するの。ビギンズナイトの話をした時には言わなかったんだけど、あの日1度だけ私達はファングを使って変身した。だけどあのメモリを使った瞬間、果南の中の何かが壊れた…獣のように暴れ続けたの」

 

「鞠莉さんは果南さんの暴走を止められなかったのですか?」

 

「ファングの力の大きさが原因で、Wの力がコントロールできなかったの。別荘に帰って目が覚めた時に、果南が普段見せないようなFaceでファングを追い払ってるのを見て…この力は使ってはいけないと思った」

 

「じゃあ、果南ちゃんがファングさんを嫌いなのは、自分が暴走しちゃうから怖いって事なのかな…?」

 

「Yes.あのメモリは果南の自我まで奪ってしまうほどの力を持ったメモリなの。だからこれからはファングという言葉を果南の前で出さないで欲しい。ファングがなくても私達は今のままで十分戦えるわ」

 

「ですが、だとしたら何故ファングは今になって戻って来たのでしょうか…」

 

ファングはビギンズナイトの日以来、2年の間ずっと姿を見せなかったのだ。そのファングが再び現れたのには何か理由があるのだろうか。

そんな事を考えていると、鞠莉のスタッグフォンが鳴り出した。海未からの着信だ。

 

「もしもし?海未じゃない。どうしたの?」

 

『鞠莉ですか!?仮面ライダーと名乗る怪人が銀行を襲撃するという事件が起きたそうなんです!!どういう事なのか調べてもらえませんか!?』

 

「何よそれ…わかったわ!すぐ調べてみるわね!」

 

「何かあったの?」

 

「仮面ライダーと名乗る怪人が市内の銀行を襲って大金を盗んで行ったらしいの。ダイヤ、何か知らないわよね?」

 

「私は何もしていませんわよ!?まさかとは思いますが鞠莉さんではないですわよね!?」

 

「No,No!!私な訳ないでしょうダイヤ!今日は授業だから変身できないし!」

 

「そうですよね…私達の名前を使ってこんな事をするなんて許せませんわ!今すぐその汚らわしい偽物を探しましょう!」

 

鞠莉とダイヤは仮面ライダーを名乗る怪人を探すべくバイクを走らせる。鞠莉が偽物を探していると、奇妙な姿をした赤とグレーのドーパントが現金輸送車を襲っているのを発見した。

 

\ジョーカー!/

 

「アイツね!果南、風邪引いてる中悪いけど肩貸して!」

 

『ん…?ドーパントでも出たの?ちょっと待って』

 

すると、鞠莉のドライバーにサイクロンメモリが転送されて来た。

鞠莉はジョーカーメモリと共にサイクロンメモリをドライバーに挿し、Wに変身した。

 

\サイクロン!ジョーカー!/

 

「あ?なんだテメェは?」

 

「仮面ライダーよ!でも私達はあなたみたいな悪人じゃないわ!」

 

「ほぅ、お前が本物か…邪魔すんな!」

 

ドーパントは左手の機関銃からミサイルを発射してきた。Wは機関銃から放たれる連続ミサイルの攻撃により上手く前に進めない。

 

『こっちで行こっか』\トリガー!/

 

\サイクロン!トリガー!/

 

果南はトリガーにメモリをチェンジし、ミサイルをトリガーマグナムの弾で迎え撃つ。そこへ、ドーパントの持つトランシーバーに着信が入る。

 

『よく聞いてアームズさん、いい作戦を思いついたの。ここは一旦引いて』

 

「そうかい、わかったよ」

 

アームズと呼ばれたドーパントは指示通りバイクのスピードを上げ、Wが追って来ないように煙幕弾を放ち、どこかへ去って行った。

 

「逃げたようね…何が目的なのかしら?」

 

『ん?これは…あのドーパントが落として行った弾かなん?何かの手掛かりになるかも』

 

 

一方綺羅家では、聖良と理亞がラジオの収録に向かうところだった。

 

「では、行ってきます」

 

「行ってきます」

 

「気をつけてね。それにしても楽しみね、あんじゅ。試験とはいえ全国で『RADIO A-RISE』が放送されるんだから」

 

「そうね。アイドルとして頑張って来た甲斐があったわね」

 

「けど、ガイアメモリの方はどうなっているのかしら?そろそろ新しいメモリも増やしたいと思っているのよ」

 

「ごめんなさい。その計画も進めているところなの」

 

「ならいいけど…ねぇあんじゅ、私達は何かしら?」

 

「っ…!」

 

その言葉により、部屋の空気が冷たくなる。ツバサの怪しげな笑みを見たあんじゅの背中には、言葉にできない恐怖が走っている。

 

「…地球に選ばれた、新たな歴史の創世者。そうでしょう?」

 

「よくわかっているじゃない。流石同士だわ。ところで、さっきは誰に連絡をしていたの?まさか彼氏ができた、とかではないわよね?」

 

「ふふっ、まさか。私が配ったメモリの使用者よ。私達の邪魔をする仮面ライダーを潰す為に従ってもらってるの。まぁ、使用者は一応男性なんだけど」

 

先程アームズと話していたのはあんじゅだったのだ。彼女はとある目的を達成する為、彼と組んで仮面ライダーを倒そうとしていた。

 

「そう…仮面ライダーの実力は未だ未知数。油断してヘマをしないようにね。あと、恋愛関係に発展しないように」

 

「ならないわよ。それじゃあ、私も出かけてくるわね」

 

あんじゅはそう言い部屋を出た。

部屋の外ではあんじゅに話があったのか、英玲奈が待っていた。

 

「英玲奈、何の用?」

 

「君が危ない男と関わっているのではないかと心配になってね。アームズのメモリだろう?購入者を調べた結果、傷害事件を犯したという前科を持つ凶悪犯だ。大丈夫なのか?」

 

「心配してくれなくても結構よ。それを分かった上で私はメモリを渡しているし、万が一裏切ったなら彼も消すだけ。そういう英玲奈こそ最近の戦いぶりは何なの?不調なのかしら?」

 

「彼女達はなかなか頭が切れるからな。予想外の行動をしてくるから面白いよ」

 

「はぁ…呑気な事を吐いてられるのも今のうちよ。私達の大切な物を取り戻す為にもっと尽力して欲しいわ」

 

あんじゅは呆れたように溜息をつくと、そのまま屋敷を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、果南もすっかり回復しアームズの居場所について調べる事になった。

メモリ名も特定し、あとは彼の居場所を調べるだけだ。

 

「あと一押しかな。何かキーワードはない?」

 

「そうね…あいつの落として行った弾を調べれば何かわかるはずよ。それにしても変な形ねぇこれ」

 

「なんかこれ…りんごみたいな形してる?」

 

「ルビィ、真面目に考えなさい。こうしているうちにまた他の場所が襲われるかもしれませんよ?犯人は前科があるので放っておけません」

 

「いや、りんご…案外キーワードになるかもしれない。入れてみるよ」

 

果南はりんごをキーワードに入れ検索する。すると本棚が風で遠ざかり、手元に1冊の本が残った。

 

「犯人の場所がわかったよ」

 

アームズの潜伏場所は裾野市郊外にある『電化製品店Apple』という建物の跡地だった。

鞠莉達はその場へ向かい、男と対峙する。

 

「もう観念しなさい!メモリを捨てて罪を償うのよ」

 

「無理だな!メモリ捨てるくらいなら人間なんかやめてやるよ!」

 

\アームズ!/

 

男は左目の近くにあるコネクタにメモリを挿し、アームズ・ドーパントに変身した。

 

「果南、変身よ!」

 

「もちろん!」

 

\サイクロン!/

\ジョーカー!/

 

「「変身!!」」

 

\サイクロン!ジョーカー!/

 

鞠莉と果南もWに変身し、アームズに向かって行く。アームズは昨日と同様に機関銃を装備し、Wに攻撃する。

 

\ヒート!トリガー!/

 

「ヒートトリガーのSuper powerをお見舞いしてあげるわ!」

 

Wは銃撃を避けつつ、火炎弾をアームズに向けて撃つ。火力の高い弾をまともに食らったアームズは数メートル後ろに吹き飛んだ。

 

\ヒート!ジョーカー!/

 

「ここまでよ!ハァッ!」

 

「それはこっちの台詞だよ!」

 

Wはメモリをジョーカーに変え、アームズに近づく。しかしその瞬間、アームズの左手は機関銃から大きな剣に変わり、Wの身体を切り裂いた。

 

「キャアッ!?武器が変わった!?」

 

『左手の武器を自在に変えられるのか…アームズの名を持つのに相応しいね』

 

Wは剣を受け止め反撃体制に入る。Wは炎を纏ったキックをアームズに仕掛けるも、右手に持っていた大きな盾に防がれてしまう。さらにその盾は剣としても使う事ができ、Wは2つの剣の攻撃に追い詰められ形成が逆転してしまった。

 

「ふぅ…そろそろ潮時かな」

 

アームズが手を挙げると、物陰からマスカレイド・ドーパントの大軍が現れ、ルビィを人質にとってしまう。

 

「マスカレイド!?組織と結託していたのね!」

 

「ピギィ!!お姉ちゃん!!」

 

「ルビィ!今助けます!」\スカル!/

 

ダイヤはスカルメモリを起動させるも、背後にいたマスカレイドからの攻撃によりメモリを落としてしまった。

アームズはスカルメモリを拾うと左手を再び機関銃に変え、ルビィに銃を向ける。

 

「やめなさい!ルビィに何をするつもりですの!?」

 

「おい、Wの右側!変身を解除して大人しく俺の元に来い!そうすればこの女は解放してやる」

 

『やっぱり、狙いは私なんだね』

 

あんじゅが立てた作戦は、アームズにわざと銃弾を残させてこの場所を調べさせて罠に嵌め、果南を捕らえるというものだった。

理由は不明だが、果南はビギンズナイトで組織に捕まって以来追われ身となっているのだ。

 

「果南、メモリをルナに変えてルビィを助けるわよ」

 

『だね。それならアームズにもかなり有効だと思う』

 

果南がヒートメモリをドライバーから抜く。その動きを見逃さなかったアームズは、ドライバーに向け銃撃する。

 

「果南さん!!」

 

『えっ?』

 

ダイヤがアームズの動きに気づき果南に呼びかけるが、ダブルドライバーの右側のスロットは先程の銃撃で銀の塊に覆われてしまい、ソウルサイドのメモリチェンジが不可能になってしまった。

 

『!?しまっ…』

 

「これで終わりだ!!」

 

「キャアッ!!」

 

アームズはWに強烈なミサイルを放ち、変身を解除させてしまった。

鞠莉のドライバーの右スロットは隙間なく完全に塞がれてしまっており、Wに変身する事ができなくなってしまった。

 

「ハッハッハッハッ!!これでお前らは変身できない!!さぁ、俺についてくる覚悟はできたかい?右側サンよぉ…?」

 

「…わかった。みんなを助けてくれるんでしょ?なら…」

 

「ダメ果南ちゃん!ルビィの事はいいから逃げて!」

 

「何言ってるのさ!殺されるかもしれないんだよ!?」

 

「果南ちゃんが捕まっちゃうよりはいいよ!こっちには鞠莉ちゃんもお姉ちゃんもいるから大丈夫だよ!」

 

「私達は変身できません。ですがこの状況は必ずどうにかします!だから早く!」

 

「そうよ果南逃げなさい!あなたの力を悪用してTownを泣かせてしまうよりはこれがBestな方法よ!ついて行ったら私達の仲もそれまでと思いなさい!!」

 

(…必ず助けに行くから。だから待ってて、3人共)

 

果南は鞠莉達の説得によりアームズについて行くのをやめ、リボルギャリーを呼び出した。

 

「待て!逃がすかよ!」

 

アームズは弾を連続発射するが、果南はそれを全て避けリボルギャリーに乗り込んだ。果南を乗せたリボルギャリーは猛スピードで発進し、学校へと走り去った。

 

「チクショウ、アイツになんて説明すりゃいいんだよ…まぁいい。人質もたくさんいるしな。右側は何もできないからこのまま諦めてもらうしかなさそうだ」

 

「果南が何もできない?どうかしら?私もダイヤもルビィも果南を信じてるわ。きっと何か策を見つけて私達の元に来てくれるはずよ」

 

その様子をあんじゅは陰から観察していた。あんじゅは自身の計画した作戦の失敗に苛立ちを隠せない。

 

「手緩すぎるわ…逃げる前にすぐ捕まえてしまえばよかったのに!これだから男は役に立たない…!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

部室に戻った果南は1人で頭を抱えていた。スパイダーショックやバットショットは鞠莉が持っており、果南の手元にあるガジェットはスタッグフォンのみだった。スタッグフォンにサイクロン、ヒート、ルナを挿す事により発動するマキシマムドライブでは火力不足だ。当然ながら、リボルギャリーやハードボイルダーなどのビークルではドーパントに対抗する事ができない。

 

「これだけじゃアームズには敵わない。何か他の物があれば…」

 

その時、何かが鳴く声を耳にする。足元を見ると、ファングが果南の方を見上げぴょんぴょんと跳ねていた。

 

「何しに来たの!?来るなっ!!」

 

果南は机の上にあった本やパソコンを投げつけ、ファングを追い払おうとする。しかし、ファングが何かを訴えかけているのに気づいたのか、物を投げつける手を止めた。

 

「そうだ…ファングなら私をボディとして変身できる。鞠莉のドライバーが無効化されていても、私のドライバーは無事だから…」

 

果南はファングに手を伸ばそうとするが、ビギンズナイトの出来事を思い出してしまい手が動かせなかった。自身が暴走してしまう恐怖の方が勝ってしまったのだ。

 

「失礼します…ダイヤさん、いますか?」

 

果南がしばらく動けないでいると、部室にダイヤを探しに来た梨子が入って来た。梨子の気配を察知したファングはどこかへ去って行く。

 

「梨子ちゃん。ダイヤなら鞠莉とルビィちゃんと外出してるよ。事件が起こったんだ」

 

「そうなんですか…海開きの事で相談があって来たんだけど、どうしよう…」

 

「とりあえず、ダイヤなら当分戻らないよ。週明けの方がいいかも」

 

「わかりました。また来ますね」

 

「待って梨子ちゃん」

 

「…はい?」

 

果南は出て行こうとする梨子を引き止める。勢いで引き止めてしまった為、何を話せばいいかわからず口ごもってしまう。果南はぎこちない口調ながらも、梨子にある問いかけをする。

 

「今回の事件さ、凄く大変な事件なんだよね。鞠莉達もどうしようもない状況で私の力が必要なんだけど、過去のトラウマが原因で1歩踏み出せないんだ。そんな時、梨子ちゃんならどうする?」

 

梨子は少し考え込むような仕草をしながら果南の質問に答える。

 

「大切な人を信じ、勇気を出してやってみる…かな。けど、昔の私じゃ行動も起こさずすぐに諦めていたと思います」

 

「どういう事?」

 

「果南さんには話してないですよね。私、ピアノをやってるんです。去年まで音楽が有名な東京の高校にいたんですけど、みんなの期待に応えなきゃってどこか追い詰められてて、楽しく弾けなくて…その年のコンクールは頭が真っ白になっちゃって鍵盤さえ触れませんでした」

 

「そっか、梨子ちゃんも向こうで色々あったんだね」

 

「ピアノばかりやってたから友達もできなくて、誰にも悩みを打ち明けられなかったんです。それでも鍵盤に触ろうとしたけど、結局コンクールのトラウマがフラッシュバックしちゃって手が動きませんでした」

 

果南は先程ファングに手を伸ばそうとしたが、結局手が動かなかった事を思い出した。梨子の話がその時の状況に似ていたからだ。

 

「それで海の音を探す為に内浦に転校して来たんです。そしたら千歌ちゃんと出会いました。千歌ちゃんはスクールアイドルに憧れていて、真っ直ぐに夢を語っていました。何にも囚われずひたすらに…」

 

果南は梨子の目をじっと見ながら真剣に話を聞いている。梨子はさらに言葉を続けた。

 

「スクールアイドルには私も誘われたんです。最初は本気でやってる千歌ちゃんに失礼だと思って断ってました。でも千歌ちゃんは『笑顔になれたらまた弾けばいい、みんなを笑顔にできるのはとっても素敵な事だ』って言ってくれて…私も輝きたいと思いスクールアイドルを始めました。苦労する事もあったけど、0から1を目指して努力するうちに私も笑顔になれたんです…って、なんか全然関係ない話になっちゃいましたね」

 

「いいよ、続けて」

 

「話をまとめると、ピアノの事で悩んでいた私は千歌ちゃんとスクールアイドルを始めて、自分でも輝けるんだって…ずっと忘れていた事を思い出せた気がします。今なら逃げていた事にも向き合えるんじゃないかって思えるんです」

 

「千歌との出会いで、梨子ちゃんは変われたと思ってるんだね」

 

「はい。だから今年もコンクールに出るつもりです。勇気は私の胸にあるんだって教えてくれた千歌ちゃんを信じて挑戦してみます。果南さんも鞠莉さん達の事を信じれば、きっと少しでも前に進めると思いますよ」

 

果南は自分が組織について行こうとする時、みんなはそれを止めてくれた。その上鞠莉には『私達の仲もそれまでと思え』と言われたのを思い出した。きっと鞠莉は自分を信じているから、親友を超えた存在と思っているからこそあのように言ってくれた。そう確信した果南の中で、1つの覚悟が決まる。

 

「よし、答えが出たよ。ありがとう、梨子ちゃん」

 

「本当ですか?全然力になれないかもって思ってたんですけど、それならよかったです」

 

梨子はお互いに頑張りましょう、と手を振りながら部室を後にした。そこへファングが再び現れ、鳴きながら果南を見上げている。果南が手を差し出すと、ファングは手に飛び乗った。

 

「みんな、信じてくれてありがとう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、男のアジトではダイヤと鞠莉がロープに巻かれ宙吊りにされていた。結局、鞠莉とダイヤは生身でマスカレイド達に立ち向かったものの、歯が立たずそのまま捕まってしまったのだ。2人の足元にはアームズの能力で生成した無数の針が生えており、ルビィはダイヤと鞠莉が落ちないように必死でロープを掴んでいた。その手は血が滲んでおり、真っ赤になっていた。

 

「ルビィ、もう無理しないで。そんな怪我をしてまで私を助ける必要はありません。私より鞠莉さんを優先して下さい。16年間不甲斐ない私と一緒に過ごしてくれてありがとうございます」

 

「何言ってるのよダイヤ!ルビィ、私じゃなくてダイヤを助けて!あなたの大切な姉なんでしょう?」

 

「2人共何言ってるの!?ルビィ嫌だよ!そんな事言わないで3人で一緒に帰ろうよ!」

 

「いい絵だなぁ!絆を感じるぜ…」

 

しかし、ルビィは長時間ロープを掴んでいる為体力も既に限界を迎えていた。腕や身体の痛みがピークに達し、ルビィの手からロープがするりと抜ける。ダイヤと鞠莉は死を覚悟した…

 

「…?私、生きてますわ」

 

「ダイヤ、あれ!」

 

鞠莉が頭上を見上げると、そこにはダイヤのロープを咥え、鞠莉のロープを踏みながら支えているファングの姿があった。すると広い空間にバイクのエンジン音が響き渡る。果南がハードボイルダーに乗って助けに来たのだ。

ハードボイルダーは3体のマスカレイドを吹き飛ばし、そのまま停止する。

 

「来たか!ようやくついてくる気になったようだなぁ!!」

 

「残念だけど違うよ。私は鞠莉達を助けに来た。そうやっていつまでも私を舐めていていいの?私はもう、あなたがどうなっても知らないよ」

 

「果南!!まさかファングを使うつもりなの!?」

 

「覚悟ならできてるよ。ダイヤと鞠莉が命懸けで戦ったんだから、私も戦うしかない。私を信じてくれたみんなを裏切りたくない!その為なら私は…自分が自分じゃなくなっても構わない!だから地獄の底まで私と相乗りして、鞠莉!」

 

「果南さん…」

 

「来て、ファング!」

 

果南の呼びかけに反応したファングは支えていた鞠莉とダイヤをルビィの方へ飛ばし、果南の手に着地する。

 

「あのメモリ…まさか!」

 

陰から観察していたあんじゅも見覚えのあるガジェットに動揺する。ファングはビギンズナイトの時、彼女を追い詰めたメモリだからだ。

 

\ファング!/

 

果南がファングをメモリに変形させ起動スイッチを押すと、腰にドライバーが出現する。それと同時に、鞠莉のドライバーに残っていたジョーカーメモリが果南のドライバーの左スロットへと転送された。果南は迷いなくジョーカーメモリを挿し込む。

 

「ダメっ!!果南!!」

 

「変身!!」

 

果南はファングメモリを右スロットに挿し込み、ドライバーを展開する。

 

\ファング!ジョーカー!/

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

 

果南が叫んだのと同時に、鞠莉はルビィの膝の上に倒れた。それは鞠莉の意識が果南と完全に一体化した事を意味していた。

白い風と衝撃波が巻き起こり、果南の身体は白と黒のW・ファングジョーカーに姿を変えた。

 

「果南ちゃんの身体が、本当にWになっちゃった…」

 

「グルァァァァァァァッ!!」

 

Wは雄叫びを上げると、襲いかかって来たマスカレイドの大軍を次々と圧倒していく。その動きは、まさに"野獣"そのものだ。

 

「あれがファングの力…凄いですわ」

 

\アームファング!/

 

Wがファングメモリの角を1回押すと、右腕に白い刃が出現する。

マスカレイドはWに切り裂かれ爆発四散した。Wと戦う前に70体ほどいたマスカレイドは半分以上が倒されてしまった。

 

「何だよあれ!俺聞いてねーぞ!?このままじゃやべぇ!」

 

\ショルダーファング!/

 

今度はファングメモリの角を2回押す。肩から白い刃が生え、Wはそれをブーメランのように投げつけマスカレイドを消し去っていく。全てのマスカレイドが消滅したのを見たアームズはその場から逃走しようとするが、Wの投げたショルダーファングの攻撃をまともに食らってしまい逃げられなかった。

動けないアームズにWは強烈なパンチやキックなどを叩き込む。一撃があまりにも重く、アームズはかなりダメージを受けていた。

 

『果南落ち着いて!流石にやりすぎよ!』

 

「ガァァァァッ!」

 

鞠莉は果南を止めようとするが、果南は完全に自我を失って暴走している為言葉が届かない。

アームズはルビィの元へ走り出し、そのまま人質にとってしまう。

 

「オイ!俺を殺したらこいつも死ぬぞ!仲間を捨てるかその力を捨てるか選べ!」

 

「なんて卑怯なマネを!果南さんやめて下さい!ルビィだけは傷つけないで!」

 

「ウゥ…?ガァァッ!」

 

\アームファング!/

 

Wの動きが一瞬止まる。しかしすぐにアームズの元へ走り出し、腕の刃でルビィもろともアームズを切り裂こうとしていた。

 

「果南ちゃんストップ!!」

 

「おやめなさい果南さん!!」

 

『やめて果南!!お願い!!お願いだからッ!!』

 

「アァァァァァァァッ!!」

 

鞠莉達の言葉も届かず暴走する果南はとうとうルビィに近づき、首を刎ねようとしていた。

 

『やめてぇぇぇぇっ!!』

 

鞠莉が叫んだ瞬間、意識が何処かに飛ばされる。目を覚ますと、そこは大きな棚が大量に並んでいる空間があった。足元には本がバラバラに散らかっており、辺りは炎に包まれていた。

 

「ここ、まさか地球の本棚…?そうよ!果南はここできっと迷っているんだわ!自分を失う恐怖に怯えながら…」

 

鞠莉は果南を探そうと地球の本棚の中を走り出した。

 

「果南!果南っ!何処にいるの?返事して!」

 

何度も何度も果南の名前を呼びながら彼女の姿を探す。声が枯れるくらい名前を呼び、足も痛くなるほど走り続ける。

どれくらいそれを続けただろうか。鞠莉の目には本が不自然に積み重なった場所が映った。そこに果南がいると確信した鞠莉は、本を掻き分けて果南の姿を探した。ある程度本を退かすと、その中から眠っている果南の顔が見えた。

 

「果南!しっかりして!果南!」

 

「あ…鞠莉。そっか、やっぱ私怖かったんだなぁ。自分を失うのが」

 

「良かった…心配したのよ!?ダイヤもルビィも、私も!!」

 

「えへへ…鞠莉達の事信じてよかったよ。ここに来る前に梨子ちゃんに言われたんだ。『みんなを信じれば前に進める』って。そしたら正解だったよ、鞠莉達も私の事をちゃんと信じてくれていた。ありがとう」

 

「当たり前じゃないっ…!だって私達、2人で1人なのよ?どっちが欠けてもWじゃない。黒澤探偵部だって同じよ!」

 

果南は腕を伸ばし、泣きじゃくる鞠莉の手を取る。そのまま優しく鞠莉を抱きしめると、2人は何かが吹っ切れたかのように涙を流した。

それに合わせるかのように燃えていた地球の本棚の炎が消え、元の光を取り戻す。

 

死んでしまう…そう思い込んでいたルビィは自分が生きている事を確認する。目の前には、先程と雰囲気が変わったWの姿があった。

 

「ルビィちゃん、もう大丈夫だよ」

 

「果南さん!元に戻ったんですね!」

 

「ピギィ…良かったよぉ〜」

 

「何だと!?どういう事だよ!!」

 

「うるさいなぁ…ルビィちゃんを離せ!」

 

「ぐわぁ!」

 

Wはアームズにパンチを浴びせ、いつもの決め台詞を放つ。

 

「「さぁ、あなたの罪を数えなさい!」」

 

果南はアームファングでアームズを切り裂き、ルビィからアームズを遠ざけた。

アームズは左手を大剣に変えて二刀流でWに攻撃をしかけるが、ファングの力を使いこなせるようになった2人にとって、アームズは強敵ではなかった。

Wは素早い動きで攻撃を躱しながら右腕に攻撃し、アームズが持っていた剣を振り落とす。そのまま懐にパンチを叩き込み、アームズを吹っ飛ばした。

 

「よし、そろそろ仕上げるよ!」

 

『そうね…ファングの必殺技だからファングストライザーよ!一緒に言ってくれる?果南!』

 

「はいはい、ファングストライザーね。わかったよ♪」

 

果南はファングメモリの角を3回押す。それはアームファングやショルダーファングを超える、ファングジョーカーの最強の技だ。

 

\ファング!マキシマムドライブ!/

 

Wの右足には大きな白い刃が生える。Wは高く飛び上がると、水色のオーラを纏いながら回転しアームズを切り裂いた。

 

「「ファングストライザー!!」」

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」

 

男は変身を解除され意識を失うと、アームズメモリもブレイクされた。

果南はアームズが持っていたスカルメモリをダイヤに返し、彼女と鞠莉を拘束していたロープを切断した。

 

「はい、ダイヤ。師匠の形見、絶対離さないでね」

 

「ありがとうございます、果南さん。お役に立てず申し訳ありません」

 

「いいって。結局みんな助かったんだし良かったよ」

 

「これでまた、4人で帰れるね♪」

 

『そうね!学校にCome backしましょう♪でもその前に…あなたを倒してからよ!』

 

鞠莉は陰に隠れているあんじゅの方を見る。このままでは自分が組織の幹部だとバレてしまう、ファングの力に負けメモリブレイクされてしまうと危惧したあんじゅはその場から逃げ出す。

 

「待てっ!ぐっ…」

 

果南があんじゅを追おうとするも、果南はアームズとの戦闘で体力を使い果たしており、そのまま変身を解除されてしまった。

 

「お疲れ様、果南。病み上がりなのに頑張ったわね。ここからは選手交代よ!もう少しだけ付き合って♪」

 

「了解、任せたよ!」

 

鞠莉のドライバーの右スロットを覆っていた銀の塊は、アームズメモリをブレイクした事によりなくなっていた。

果南はサイクロンメモリを出しスイッチを押す。

 

\サイクロン!/

 

「遠く離れた敵にはこっちで行こうかしら?」

 

\トリガー!/

 

「「変身!!」」

 

\サイクロン!トリガー!/

 

風が巻き起こると、鞠莉はWに姿を変える。ルビィは倒れた果南の身体を受け止める。

 

「よいしょっ!2人共、あとちょっとがんばルビィ!だよ♪」

 

「Of course!がんばルビィしちゃうわよ!」

 

Wはハードボイルダーに乗り込み、あんじゅを追う。

 

\タブー!/

 

あんじゅはハードボイルダーのエンジン音を聞き、ガイアドライバーにメモリを挿しタブー・ドーパントに変身する。後ろには既にWが近づいており、トリガーマグナムから放たれる風の弾がタブーを襲う。

タブーは飛び回りながら弾を避け、手から赤い光弾を放った。Wはそれをもろともせず撃ち返す。

 

『空を飛ばれちゃ厄介だなぁ。こっちに変えるよ』\ルナ!/

 

\ルナ!トリガー!/

 

Wは黄色と青に変わり、追尾弾を放ちながらタブーの光弾を撃ち落とす。

 

\トリガー!マキシマムドライブ!/

 

「「トリガーフルバースト!!」」

 

Wはトリガーマグナムにメモリを挿し、マキシマムドライブを放った。タブーも出せる限りの光弾を出し迎え撃とうとするが、全てを撃ち落とす事ができずエネルギー弾に囲まれる。

そこへ横から青い影が現れ、タブーの危機を救った。タブーが影の正体を確認しようと上を見上げると、そこには自身を介抱するナスカ・ドーパントの姿があった。

 

「英玲奈!私を助けてくれたの?」

 

「あぁ、ようやくナスカの超高速を回得した。これでいつでも君を救える」

 

英玲奈はあんじゅに隠れて特訓を重ねており、ナスカの力をパワーアップさせたのだ。

 

タブーに逃げられてしまったWは変身を解除しようとすると、たまたま捜査で訪れていた海未と遭遇する。

 

「あら、仮面ライダーじゃないですか。今日もお疲れ様です」

 

『お疲れ様。突然で悪いんだけどさ、少し離れたところにある電化製品店の跡地に偽物の仮面ライダーを名乗って銀行を襲っていた犯人が眠っているはずだから、そこに確保に向かってよ』

 

果南がそう告げると、そのままWはハードボイルダーを走らせ去ってしまった。海未はその姿に心を打たれる。

 

「仮面ライダー、やはり素敵です…でも、何故偽物の仮面ライダーがいる事を知ってるんでしょう?」

 

海未は疑問を抱えつつ、パトカーを走らせアームズの男の確保に向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

男は逮捕され、偽仮面ライダー事件は終わりを告げた。果南もファングという新たな力を手にしたが、2年間姿を見せなかったファングが現れた事はあまりいい事でないと鞠莉は思った。

一体沼津に何が起ころうとしているのか、一抹の不安を覚えるのであった。

 

「のぉぉぉぉっ!!」

 

鞠莉が部室に向かおうとすると、ダイヤのものと思われる素っ頓狂な叫び声が響き渡る。部室の前にはダイヤの声を聞いたのかバレー部やバスケ部の生徒が集まっていた。

鞠莉は慌てて部室の中へ駆け込むと、そこには床に座り込んだダイヤとそれを心配そうに見つめるルビィ、目を逸らしながら謝る果南の姿があった。

床には無残に壊れた白いパソコンが落ちていた。ダイヤの物だ。鞠莉達がアームズに捕まり、果南が1人で部室に戻って来た時にファングを追い払おうとそのパソコンを投げた結果、壊れてしまったのだ。

 

「お姉ちゃん、大丈夫…?」

 

「生徒総会で使う資料がぁ…最初からになってしまいましたわ…明後日までなのに…修理代、最悪買い替えが必要ですよね…出費が…」

 

「あはは…ゴメン、ファング追い払うのに夢中だったからつい…」

 

「…冷静になれとあれほど言ったでしょうがァ!!果南さぁん!!」

 

「お、お姉ちゃん!もう謝ってるし許してあげても…」

 

「ホントに申し訳ありませんっ!もうファングは怖くないし力も使いこなせるからこんな事しない!約束するから!何なら資料作るのも手伝うし!ねっ?」

 

「言いましたわね…?」

 

「…あっ」

 

果南は慌てて口を手で覆う。同時に勢いでつい手伝うと言ってしまった自分を呪いたくなった。

 

「言いましたわねぇ!?それなら至急資料作りに向かいますわよ!!ほら早く!!」

 

「え!?ちょ待ってわかったから!!腕引っ張んないで〜!」

 

「あぁ…今度はお姉ちゃんが暴走しちゃった…!どうしよう…」

 

「これは大変な事になりそうね…Fightよ、果南」

 

ルビィはおかしなスイッチの入ってしまったダイヤを見ながらそわそわし、鞠莉はその様子を眺めながら微笑んでいた。

棚の上でファングもその様子を眺め、小さく鳴き声を上げていた。その横には、青いカブトムシのようなガジェットが。鞠莉達がそれに気づくのは、もう少し先の話。




<次回予告>

聖良・理亞 <<Saintプリンセス、特別編!!>>

鞠莉「Oh!!始まったわ〜!!」

聖良「何故こんな映像が…」

理亞「私そんな事言ってない!」

鞠莉「何かの間違いよ!」

???「あいつらさえ消えればあの2人は活躍してくれるはず…!」

理亞「私を怒らせないで!!」

次回 Sプリンセス/大炎上

黒澤探偵部メンバーで好きなキャラは?

  • 小原鞠莉
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  • 黒澤ルビィ

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