幻想の果て   作:セメダイン広住

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1つ目の幻想郷
家無き魔女


 

Zzz...

 

チュンチュン

鳥の鳴き声が聞こえる...

 

「ん...あぁ」

朝か 私は体を起こす

まだ眠いが体内時計はもう起きる時間だと言っている

...それにしても 今日はやけに風を感じる朝だ

窓を開けっ放しにしていたのか?

 

 

「ん?...んん!?」

家がない

私は自分の家があったであろう場所に布団だけを残して寝ていた

 

「えぇ...と...はぁ 最悪な朝だ...」

何故か私は落ち着いていた 眠いからね

 

「家が消えてるか...はてさてどうするか」

スキマ妖怪の仕業か昨日の友人の仕業か 心当たりがありすぎる

 

 

ガサガサ

 

 

「...妖怪か」

奥の木々の間から数匹の妖怪が顔を覗かせ私を見ている

まぁ、こんな森の奥に人間が無防備に寝ていたら寄ってくるのも当然か...

 

「私は食っても旨くないぞ~」

すこし茶化してみる 仮にも森の妖怪だ 私の事くらい知っているだろう

魔法の実験と言ってはよくその辺の雑魚妖怪を実験台にしている

 

 

すると一匹の妖怪が言った

「あんたは誰だ?昨日はいなかったよな?こんな森に人間一人で何のようだ」

 

「おいおい、まさかこの 霧雨魔理沙 様を知らないのか?お前たち森の妖怪だろ?」

なんとこの妖怪達は私を知らないらしい...少し寂しいな

すると妖怪達が何やら話し合いを始めた

 

...

......

..........

 

少し経つと妖怪達は私にこう言ってきた

 

妖怪A「そんな奴は聞いたことがない」

妖怪B「ナイー」

妖怪A「それにお前人間だろう?この森に人間は住んでいない」

妖怪C「人形使いは住んでいるがな」

妖怪B「ガナー」

 

...ん?どういうことだ?

私はこの森に長いこと住んでいる それこそ魔法の森を出て私の名前は幻想郷では結構有名なはずなのだが...

 

「んー...あっ、そうだ じゃあここに家があったよな?今朝起きたら消えてたんだ 何か心当たりはあるか?」

 

妖怪A「家?そんなのあったか?」

妖怪B「ナイー」

妖怪C「無いなこの辺りは昔から木が生えないから妖怪や妖精の溜まり場になっている」

妖怪B「ルー」

 

 

...訳が分からんどういうことだ?

家なんて無かった?話が食い違う...ややこしい この妖怪達が嘘を吐いている?いやでも何でわざわざそんな嘘を...

私が寝起きの頭で必死に考えていると

 

妖怪A「...とにかくここは我々(妖怪&妖精)の場所だ 家だの霧雨だの訳の分からんことを言ってないで去るならサレ」

妖怪B「喰うぞ」

 

「...分かったよ すぐに出てくよ 悪かったな」

この場にとどまっても少なくもと状況は良くならないだろう...

と言っても何処に行くか...

 

妖怪C「...困っているなら博霊の巫女の所にでも行ったらどうだ?」

 

意外だなまさか妖怪が人間にアドバイスをするなんて しかも霊夢の所に行けか...妥当な意見だな

 

「良いアドバイスありがとう しかし、妖怪が目の前の人間(餌)を前にして博霊の巫女の所に行けか...お前本当に妖怪か?」

 

妖怪C「ハハハ、全ての妖怪が人間を喰うなんて思わないことだな」

妖怪A「少なからず我々の様に人語を話せ人間と友好な関係を持つ妖怪もいる」

妖怪B「ニンゲン食べナイノカー?」

妖怪C「...こんなやつ(妖怪B)見たいに馬鹿を装ってる妖怪もいるから気を付けろよ」

 

「フッ」

私は妖怪の意外な一面を見て笑った

まさかこんな雑魚妖怪(偏見)でもこんなに友好的な奴がいたとはな

 

「忠告ありがとうな、まぁいいや とりあえず霊夢の所に行くか」

そうして私はいつもの様に箒に股がり...

 

「箒が無い!?」

どうやら家ごと消えてしまったようだ

別に箒が無くても飛べるには飛べるのだが...

いかんせん華が無い 魔女=箒 なんだがなぁ

「はぁ...本当に朝から最悪だぜ」

とりあえず無いものはしょうがないと私は空を飛び魔法の森を後にした

 

...

 

......

 

.........

 

妖怪A「あいつ飛べたのか」

妖怪C「能力持ちか...尚更手を出さなくて正解だったな」

妖怪B「ニンゲン喰う...そして人間の力モラウ...」

妖怪A「お前...ジ○リでも見たのか?」

 

 

ーーー

 

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森を出てしばらく飛んでいると見覚えのある神社が目に映る

神社に近づくとお馴染みの紅白の服を着た人物が境内の掃除をしていた

 

そして境内に着地した私はいつもの様にその人物に言った

 

「よう!霊夢!」

そして、私の家が無くなったことを説明しようとしたその時、その人物は私の顔を見て戸惑いながら言った

 

「あんた...だれ?」

 

 

 

 


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