幻想の果て   作:セメダイン広住

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とある占い師

ーーー「どうした、こんな処で」ーーー

 

...驚いた

まさかこんな所で今朝の雑魚妖怪に会うとは

 

「もうすぐ日が暮れる、そのうち人喰い妖怪が出てくr...ってなんだお前泣いているのか」

 

泣いているのを見られてた!

...そんな事はもはやどうでもいいか

ここは私の知らない幻想郷 私の事なんて誰も知らないんだ

 

「......」

 

「...黙っていては分からないではないか、全く...しょうがない私の家に来い そこで話を聞いてやろう」

 

驚いた 家に来いだって?妖怪が人間を家に誘うなんて聞いたことがない

 

「...自分の家でゆっくり私を喰うつもりか?」

茶化す 必死の余裕アピールだ

 

「俺の話を聞いていたのか!?話を聞いてやると言ったのだ!俺は妖怪だが人間は喰わん!」

目の前の妖怪はそう言うと私の手を引っ張り歩きだした

 

「お、おい!私はまだ行くなんて...!」

 

「家がないのだろう いいから来い!」

...私は黙って妖怪の後を付いていった

 

 

ーーー

 

ーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

 

結局私は妖怪に案内されるまま家まで来てしまった

...家と言っても洞穴だが

地面には少しカビの生えた蓙が敷いてある

私と妖怪は向かい合うように座っていた

 

「では、話をしてもらおう 何故あんな処でうずくまって泣いていた 巫女の所には行かなかったのか?」

 

 

「......」

私は黙っていた

どうせこいつに言っても信じてはくれないだろう

霊夢に館の門番にメイド、使い魔、本の虫

皆に説明したが嘘つき呼ばわり 確かに私は嘘ばっかり吐いてたかもしれないが...

 

「......グスッ」

また涙が出てきた

いっその事 目の前の妖怪が私の事を喰ってでもくれれば...

 

「...ハァ」

妖怪は自分の頭を掻きながらため息をついた

 

「どうしたものか...そうだな自己紹介がまだだったか

まずは互いの素性を教えてから話そう」

 

自己紹介だ?...やけに人間臭い 妖怪だな

 

「ふむ では私から...私の名前...あー...妖怪になってからは無いか」

ん?(妖怪になってから)?

 

「まぁ、私の事は「易者」と呼んでくれ 一応「元」人間だ」

 

...易...者...易者?...易者!?

 

「易者だとぉ!?」

 

「うおっ!?なんだ急に大声を出して...そうだ易者だ 訳あって妖怪になった元人間だ」

 

易者...私はこいつを知っている

外の世界を見て幻想郷の生活に嫌気が差して妖怪になった

たしか小鈴を利用して一度死んでから妖怪として復活したんだっけ?そしてすぐに霊夢に退治された...

 

しかし、その事件があったのは 逆様異変 があってから暫く経ってからだ...

霊夢(この幻想郷)の話では最後の異変は 春雪異変 だ

この時代にこいつ(易者)がいるのは時系列的にもおかしい...

 

「な、なんでお前がいるんだ!?時系列の事は別と考えてもなんで霊夢に退治されてないんだ!?」

 

「なんだ、俺の事を知っているのか」

私がやっと喋った事が嬉しいのかニヤニヤしている

 

「いいから 私の質問に答えてくれ!なんで霊夢に退治されていない!?そもそもなんでこの時代にお前が存在しているんだ!?」

どうやら私は早合点していた様だ

「この幻想郷」は私がいた幻想郷とは 私の存在 以外にも大きく違う所がある

 

「...ふむ 前者の質問には答えてられるが 後者の...時代云々については答えられないな」

 

「...分かった とにかく教えてくれ なんでお前は退治されてないんだ?」

 

そう言うと易者は薄気味悪く笑いながら言った

 

 

「簡単だ 博霊の巫女が「妖怪巫女」だからだよ」

 

 

 


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