私たちは幽霊 作:カムパネルラ
時が流れてどのくらい経ったのでしょうか。気がつけば日が昇り、沈んでは季節を巡って数えることもやめてしまいました。
あれ以降、私の存在に気づいてくれたのは鬼だけでした。鬼にしか私は見えません。鬼としか接することが出来ません。そしてそのうち、快く談笑してくれる鬼と出会うことが何度かありました。
私は幽霊です。もはや人ではないですし、触れることも出来ないので鬼が私を食べようとする事はありません。逆に私が危害を加えることもないのでお互い話しやすい存在となっているのです。
最初はかなり戸惑いましたし、嫌悪でいっぱいだったのですが街を一望出来る場所を教えてくれたり物語を聞かせてくれたりする鬼がいまして、その・・・絆されたと言いますか、確かに鬼は人を食べているんですが私に対して優しいと言いますか・・・はい、普通に仲良くなってしまったんです。
兄弟を殺し、行冥兄ちゃんを死刑においやった元凶ではあるのですがその鬼とは別物なわけで・・・?人にも悪い者はいるし・・・?いやでも鬼は全員人を食べているんですよね・・・。頭でそう分かっていても、優しくされると嫌いになりきれないものなんです。しかもあれからかなりの年月が経っているので憎しみが薄れていると言いますか・・・。薄情だし最低だと言うのは分かっています。でも唯一私を認識してくれるのが鬼だけなのですから仕方ないではないですか・・・!
「私は鬼を憎めばいいのか好きになればいいのか分からないのだけど、どう思う?堕姫ちゃん」
「鬼の私にそれを聞くの?」
「なんだか分からなくなってきちゃって。堕姫ちゃんも妓夫太郎君も人を食べるでしょ?でも私には優しいから、良い人なのか悪い人なのか頭がこんがらがっちゃうの」
「人間からしたら人間を食べる鬼は悪なんじゃない?まあ私としてはどうでもいいけど。弥生から見て私達はなんなの?敵?」
「・・・ううん、お友達」
「それならそれでいいじゃない」
確かに。フラフラ夜道を彷徨って居た時に声をかけてくれたのは堕姫ちゃんです。遊郭で上の方の地位にいたから印象を良くするために声をかけてくれたのかもしれないけど、人との関わりに飢えていた私にとって天使みたいでした。誰かと話したくなった時に来ると、いつも快く受け入れてくれるんですから甘えてしまうのも無理ありません。それに、堕姫ちゃんは私がいる時は人を襲ったりしないんです。たまたまなのか私を思ってくれてるのかはわかりませんが・・・。
「堕姫ちゃん、私堕姫ちゃんのこと好きだよ。私が幽霊じゃなくて堕姫ちゃんが鬼じゃなかったら良かったのになぁ」
「そしたら私達は出会ってないんじゃない?」
「・・・そっか。どう頑張っても、普通のお友達にはなれないね」
悲しい、なぁ。