そして、決戦の地である。オリンピアに
時間がかかることなく上陸する
ここまでは炎獣に襲われることなく、無事にオリンピアの海岸まで辿り着く事ができた。アフロディーテの船は、あの魔法大国産の『マギアナウス』と言う『魔船』で、帆を張らなくても『魔晶炉』が積んでおり、船に動力を付けているため、陸路で歩くよりも速度が出て早く着く事ができた。そんなマギアナウスをどこで手に入れたのか、気になってアフロディーテに聞こうと思ったが、どうせ魅了して安値で買ったに違いないと何も聞かなかった
だがこれで、予想より早く、オリンピアに着けた
全総員は武器を持ってオリンピアの結界外へ歩いた。海岸までの距離はそこまでないため、普通に歩きでオリンピアの結界外まで辿り着く
目的地である。オリンピアに
そして、俺とベルが、皆より前へ出て、結界の前へ立っていた
「ここまで・・・・やっと戻ってきましたね」
「ああ、なんとしてでも、ヘスティアのシナリオを破壊する」
ウェスタの祭壇前まで、俺とベルは来ていた。近くに来ると、街の方にも、そして神殿にも『ヘスティアの力』を感じる。予想通り彼女の儀式はもう少し完成する
「ジークさん?ヘスティア様は?」
「神殿内だ。オリンピアはもう・・・・彼女の力でいっぱいだ。もはや永久の神域ではない。彼女が閉じ込めた『パンドラの箱』だな。中に入れば、溜め込んだ絶望が一気にこちらに迫ってくるだろうな。彼女はそれを抑えようとしている」
「儀式はどうなっています?」
「神の力を感じる限り、今日で完成する。あって・・・・・・大体二時間だな。俺たちの猶予は」
「それまでに・・・ヘスティア様を止めます」
ベルは俺の気配察知で、今の状況がどうなっているかを聞く
結界を見る限りでは、俺たちが飛ばされた後となんら変わりはない。だが、もはやオリンピアの姿はしていない。
「来た時とイメージが違うな?」
「はい、リリも驚いています。これがヘスティア様の神殿だなんて」
「人智を超えているとしか言いようがありません」
「神の御技・・・とでも言うのでしょう」
ヴェルフ達も、改めてこの風景を見ているが、悍ましさを感じている。街は全て廃墟、神殿の周りには彼女が建設した三つの塔。そこにオリンピアの姿はなかった
感じなくても、結界内は彼女の力で、今にも溢れそうな状態だ。そしてその増量のある力を感じる限りでは、儀式は今日で完成する。あと二時間で、それまでに決着をつけるしかない
なんとしてでも
すると
「っ!」
「どうしました?ジークさん?」
「予想通り、エピメテウスの気配を感知した。それも戦士団や巫女達を連れて、移動するのを」
「「「「「っ!」」」」」
「だが、今は対応しない。奴らに先を越されるのは頭に入れろ。奴らを倒すのは中に入ってからだ」
俺たちが辿り着いたのを、監視役が居たのか、俺たちが再びここに来ることを見越して、あちらも準備していたに違いないと、エピメテウスが教団を率いて、こちらに向かっているのを感知した
だが、迎え撃ったりなどしない
奴らを倒すのは中に入ってから、そして神殿内と塔内で奴らを叩く。三つ巴になることは変わりない。そのためにも戦えるオリンピアの市民を戦闘員で出している。数はこちらの方が上だ。あとは俺たちの戦果次第だ
だからこちらから出向くことはしない
「それで・・・・僕たちにしか壊せないんですよね?」
「ああ、やるぞ。ベル」
「はい!」
そして、決戦に入るために、俺とベルが結界を壊す
彼女の結界は、彼女のイコルを得ているベルと、神の力を引き裂くレアスキルを持つ俺のみ。彼女の炎の結界は完全に壊せる
その証拠に、俺とベルがお互いのオリジナル武器を結界の前に出すと
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!
「っ!ベルのヘスティアナイフが、結界の炎を吸い付いている!?」
「ジーク様のグラムから放つ雷が、炎の結界をどんどん剥がれていきます!?」
「ベル君は恩恵を取り戻し。ヘスティアのイコルが入ったナイフなら、原初の火でできた結界も打ち消せるからね」
「おまけにジークの神に対抗できるレアスキル。これなら・・・・結界を壊せるわ!」
ベルのナイフが結界の炎を吸収し、俺のグラムから放つ黒い雷が炎の結界を剥がしていく。やはり予想通り、俺とベルなら簡単に壊せる
これで証拠としては十分、出し惜しみすることなく
「行くぞ?ベル?」
「はい!」
俺とベルは武器を上に上げて、力を込めて、結界を
一刀両断する
「「はあ!!」」
バリン!!!!!
と、俺とベルの一振りが、結界にヒビをが入り、徐々にガラスが割れるかのように、俺たちの前にある結界の壁だけが、真っ直ぐな縦の穴が貫通して壊れた
そして
目の前には、オリンピアの光景もない。彼女が作った炎の神殿と街ができていた
「これが・・・・・ヘスティア様の!?」
「ああ、やはりオリンピアの姿はない。彼女が原初の火で作った。神殿」
「そう、『アエデス・ウェスタ』じゃ」
「キュロス。これがヘスティアの、天界にある神殿か?」
「そうじゃ、ヘスティアの神殿じゃ。原初の火で再現したのじゃろう。儀式を作るために」
結界を壊して、俺とベルが中に入ると、周りを見渡しても、オリンピアの姿はない。街は燃え、峠の先に、神殿の周辺に三つの塔がある。こんな人が暮らせそうに思えない場所が、彼女が天界で移住した神殿とは、俺たちからすれば穏やかさもない。むしろ地獄そのものの世界だった
だが後ろから、キュロスが間違いなくヘスティアの神殿だと証言し、俺たちの隣に立った
大神がここまで言うんだ。間違いないだろう。だが、流石にここに長いはしたくないな、確かにこれである意味『神域』になったと思うが、彼女の住む世界なら、こんな世界など生きづらいだけだと、俺もこんな風景は気に食わない
これが神域だと言うなら、俺からすればパンドラの絶望そのものだな。原初の火にそんな能力で異界化したとしても
そして
「ベル。ヘスティアはあの中央にある祭壇、その最下層にある聖火台。そこで今彼女が浄化のための力を集めようとしている」
「じゃあ、それまでに塔に集めた力を僕たちで破壊すればいいんですね?」
「ああ。そうすれば中央祭壇に集まる力はなくなり。彼女のシナリオを壊せる。もちろん中央にも結界が張られているが、問題ない。俺が破壊し、中に入ってアルテミスとアフロディーテとレアと共に止める」
「それじゃあ、あとは決行するのじゃな?」
「ああ。これで終わらせるぞ。ベル」
「はい!」
あとはもう戦って勝利を掴むだけ、勝利条件は全て把握した。あとは全員で挑んで、この先の未来を俺たちの手で取り戻すのみと
俺とベルとキュロスは、武器を持った皆の方へと、後ろを向いた
そして、俺が全軍に告げる
「これより!!我らは永久の神域オリンピアを落とす!これは神の決着たる物語ではない!神に逆らいつつも!我らが信じた未来を勝ち取るための物語だ!皆!力を合わせ!剣を取れ!!」
これは、俺たち人間がパンドラの絶望に立ち向かう物語だ。決して神だけの物語ではないと、
これは俺たちの物語だと、告げる
「今こそ!オリンピアを正しい姿へと!!我らの手で取り戻す時だ!!!」
「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」」」」
「す、すごい・・・・ジークさんがまた、英雄らしいことを」
「ほう!やはりあの男の息子だな!演説も戦士らしくて、懐かしい限りじゃ!」
俺がその演説をして、剣を上に上げると
アルテミスやアフロディーテの眷属、オリンピアの市民も。そしてあのアポロンの眷属までも、俺の演説に答えるように、武器を上げて掛け声を上げた
俺の見る限りだと全員
俺の姿に、ベルは英雄らしいと言い、またも俺に憧れ。キュロスはやはり親と同じ顔をしていると、懐かしさを感じていた。どうやら俺の父もこのようなことをしていたらしい
全員の覚悟を見えたのを確認して、
俺とベルとキュロスは再びオリンピアの方を向く。
そして
開戦
「全軍!!俺とベルに続けええええええええええええええええええええええええええ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
今、オリンピアの決戦を始め
俺とベルがオリンピアの街へ走ると、後ろに居た仲間や冒険者や戦士達も、俺とベルを追いかけるように、オリンピアの街へ進軍し、突入した
こんな戦争染みたことをするのは、久しぶりだ
そして
『『『『ガアアアアアアアアア!!!!』』』』
「前方から炎人!かなりの数だ!迎え撃て!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
当然、街に潜んだ炎人が、今まで相手したことのない数で、押して来た
数からして、『オリンピアの住人』なのだろう。だが、関係ない。相手は元ここの住人であろうと、これは戦い。敵であるなら踏み倒すと、眷属達と難民達は武器を前に出して、迎え撃つ
その間に道を、俺が作る
「全員俺の前に出るなよ!道を作る!アルテミス!前方に『涙』を流すぞ!」
「『月の涙』!?まずい!総員!ジークの言われた通り!ジークの前に出るな!」
道を作る方法は、前方では炎人が様々な場所から出てきている。なら一斉に『雨を降らせればいい』
そう、『アルテミスの涙』を
俺は天に向けて、オリオンの弓の糸を引いて、矢を作って天に放つ
「バラバラに出ても無駄だ。雨でも流してやる。全て打ち抜け『ムーン・レイン』!!!」
俺が天に放った一つの矢が、一斉に雨のように束になって前方に散り散りになって地面に彷徨う炎人を蹴散らす。矢の雨が、次々に前方に居た炎人たちを射抜く
『『『『グウウ!!??』』』』
「前方の炎人が、一気に消えていく!」
「道が開けました!」
「流石は私のオリオン!!」
「行け!!塔へと向かうんだ!!!」
「はい!皆さん行きましょう!」
「ベル殿も!また後で!」
「ベル様!無事で!」
「ご武運を!」
「俺たちも目的地へ向かう!後で武器を届けるぜ!ベル!」
「うん!みんな無事に生き残って!」
俺が道を作ったおかげで、前方にある炎人が一気に消えた。今が好機だと、俺はベルに塔へと迎えと走らせ
ベルは、リリルカと春姫、命も、ヴェルフも、それぞれの部隊に分かれて、仲間を連れて、塔や鍛冶屋へと走る
しかし
「架かれ、焔の橋!!!」
「「「「っ!?」」」」
「これは!?」
「来たか・・・・エピメテウス!」
突然、後ろから、聞いたことのある声がした。それは俺とベルが壊した結界から、そしてその聞いたことのある声の主は
エピメテウスだった
エピメテウスは地面に神器を刺すと、そこから、俺たちの頭上に炎の道橋が出現する、空中に架かった橋は祭壇まで伸びている。その橋の上で、エピメテウスと兵士達と巫女が渡って行った
予想通り、エピメテウス達に先を越された
「構うな!奴らは祭壇内で倒すと決めている。奴らのしたことに狼狽えるな!それよりこっちにも敵が増えたぞ!ヘクトル!サンドロ!ベックリン!応戦しろ!」
「「「っ!」」」
「エピメテウス様達が塔を先に制圧するために、あの侵略者達を打倒せよ!!!」
「「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」」
「プロメテウス教団の戦士団!?」
「増援を出させないために、こっちも抑えるつもりか!?」
「ほう、教団の戦士団か、その程度の敵は常に我らの日常自判事。そうとは思えないか?戦争慣れしているお前達!!!」
「「「「「はい!姫様!!」」」」」
「アキレウス!!貴様に命令されなくとも、我らアフロディーテ・ファミリアの力!見せてやる!」
「ほう・・・なら、見せて貰おうか!」
エピメテウスは、決して塔の制圧を早めるのではなく、俺たちに増援を出させないために、プロメテウス教団の戦士団をこちらに寄越してきた
だが、アフロディーテ・ファミリアは戦争慣れした。国家系ファミリア。モンスターが敵でも人間が敵でも、戦争ばっかしているイリオス王国においては、相手が戦士団でも、容赦はしない
そして
「レア様!本当に裏切りをなさったのですか!?」
「なんとでも言いなさい!これは私の贖罪なのです!娘を人間に戻すために母親としてのすべき事、誰にも邪魔はさせません!」
「オリンピアの戦士が、巫女を狙うとは、なんとも戦士とは思えない外道だな!それが街のためにもなってないから、余計虫唾が走る!」
「ぐわああ!」
「ここは俺たちで制圧するぞ!!」
「「「「「おお!!!」」」」」
予定通り、俺とレアとアルテミスは、アフロディーテ・ファミリアと難民達と共に、ベル達の邪魔をさせないように、ここで足止めをする
その間にベル達は、それぞれの塔に侵入を開始する。もう既にエピメテウス達が待ち構えているが、それでもベル達なら乗り越えるはずだと、敵が居ても問題ないと、俺は心配せずに目の前の敵を駆逐するのだった