西の塔
そこでは第二部隊である。リリルカと春姫を中心に、ヘルメス、アスフィ、アイシャ、アポロンの眷属が西の塔へと進入していた
塔の中であまりにもダンジョンと同じ迷宮のような構造になって、初めは一時的に迷っていたが、なぜか自然に体からこの道筋が間違っていると、ヘスティアの恩恵の流れを感じ始めて来たのか、正しいルートを見つけたようで、今そのルートを進んでいる最中である
「本当に合っているのか?春姫?」
「はい。間違いありません。どうしてか体から感じるんです」
「こっちで間違いありません、恩恵がなくなったにも関わらず、なぜかこの道が体からこの道を通ればいいと、体が感じるんです」
「ステイタスは封印されても、力の流れはつながっているんですか?ヘルメス様?」
「確かにステイタスは封印されている。でも、決してリリちゃんや春姫ちゃんに恩恵自体が消えたわけではない。まだその恩恵があるおかげで、ヘスティアの神威を通して、このヘスティアが作った迷宮の正しい道筋を教えてくれているんだ」
「ですけど、この道の正しい道はわかるにはわかるのですが」
「わかると言うか、何かに導かれているような・・・」
「それは頂上に行けばわかるさ」
「もしかして・・・・ジーク様の言っていた。頂上に何かあるのですか?」
「まあね」
リリルカと春姫は、正しいルートが体から感じると言うよりも、何かこの先にある力に反応して、その力が感じる道を通っているだけだった
ヘルメスは当然わかっていた。神は全能であり全知だ。当然この先に何かあると過程していくと四人は覚える
しかも
ドカン!!!ドカン!!!ドカン!!!
「「っ!?」」
「これは!?」
「爆発!?上からです!?」
「どうやら先に『戦っている者』が居るようだね」
「まさか・・・・」
「皆さん!急ぎましょう!」
突然正しい道を進んでいる先で、突然爆発が鳴った。それだけでなく、何やら戦っている音と声が聞こえた。
この騒音が聞こえると言うことは、もうリリルカや春姫も何も言わずに上へと急いで向かう
その騒音が鳴り経ってから、目の前に階段を見つけ、その先を駆け上がると
『ガアア!!!』
『ガアア!!!』
『ガアア!!!!』
「止めろ!なんとしてでも!」
「巫女の儀式を完璧にするんだ!」
「やっぱり!」
「オリンピアの兵士と巫女達です!」
「炎人もいるね」
「見たところ、炎人が必死に儀式を破壊しようとしているようですね」
「オリンピアの兵士と巫女は必死に守っているようだ。一応オリンピアの巫女の儀式を中止だけは阻止しているようだ。完全に四つ巴になっている。他勢力のぶつかり合いだな」
「オリンピアの巫女?番人ですか?」
「ああ。ほら、あれだ」
「「ん??」」
炎人たちは必死に儀式を壊そうとし、それをオリンピアの兵士長の居ない別動隊の兵士たちと巫女達がそれを守っている
そして、肝心の柱と言うのは、おそらく目の前にある4の柱の中心に大きい青い炎雨が上に上昇している
そしてその下に、オリンピアの巫女が居た
だが、その巫女は
「ああ・・・・もう面倒くさいな、僕は眠いんだから静かにして欲しいな。ああ、なんだか小腹まで減ってきた。そこら辺に何か食べ物でも無いかな?」
「・・・・・・なんですか、あれ?」
「あれが巫女ですか?それも番人の?髪色が違うただのヘスティア様にしか見えないのですが?」
「まあ、所詮はヘスティアの写し身だから、少し彼女の本性と言うか、それらしい部分が出ちゃっているんだろう」
その儀式の中心で、寝転がっている青色の髪をしたヘスティアが居た
だがあまりにもだらけきっている。まさしく彼女のダメな部分が出ている。どうやらヘスティアの分身であるが故に、彼女の性格までもがコピーされてしまったようだ
だが、しかし
「つまりあの巫女を倒せばいいんだろう?」
「ああ、そうすれば儀式は止まる」
「なら、この乱戦に乱入して・・・っ!」
「っ!避けろ!」
「「っ!?」」
巫女を倒せば、この儀式は確かに止まる
だが、そう簡単には上手くはいかない
その証拠に
ドガン!!!ドガン!!!
リリルカと春姫の前に炎の弾丸が降りかかる
そしてその先に
「やっぱり来ましたね。ウェスタの眷属」
「ここに来ることはわかっていました」
「ミヌキア様・・」
「アエミリア様・・・・」
「そう簡単に、儀式は壊させるわけにはいきません」
「私たちの悲願のため、何があろうと引き下がる気はありません。それでも戦うことを諦めては貰えないのですか?」
「ええ、私たちにも譲れない者があります」
「私たちも守りたい人が居るんです。ミヌキア様、アエミリア様、そこを退いてください。オリンピアを救うためにも、儀式を破壊しないと行けないんです」
「・・・・・・お断りします」
「ミヌキア様!」
「私たちにだって譲れない願いがある。だから・・・・あなた達を殺してでも儀式を完成させる!」
「アエミリア様」
「皆さん!!ウェスタの眷属を蹴散らします!炎人と共に斬れ!!!」
「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
「チビすけ!春姫!下がれ!」
「あとは私たちでやります。行きますよアポロンの眷属の皆さん!!」
「「「「うおおおおおおおお!!」」」」
予想もすることなく、結局戦いとなった
お互い譲れない目的がある、戦う理由は揃っているため、引き下がることなく、炎人にも対応しながら、向かってくる敵を倒していく
「ふ!炎人まで数が多い上に、兵士や巫女達の人数も多い!」
「エピメテウスは全勢力を使って、この戦場に投入したようですね。外でジーク・フリード達もこれの半分も相手しているはずなんですが」
あまりにも数が多すぎて終わりが見えない
炎人もゾロゾロとこの儀式に集まってきて、倒して倒しても新しい数が増えてキリがない。教団の兵士達も今度は全勢力をここへ投入しているせいもあり、レベル4であるアイシャとアスフィでも中々にこの状況を打破できない
しかし
「固まってください!散り散りになったら押しつぶされます!固まってください!」
「アイシャさん。後ろに下がってください!そのままじゃあ潰されます!」
「っ!あなた達。まさか・・・・」
「こちらの動きを読んでいる!?」
春姫とリリルカが彼女達の動きを先読みした
まさかその二人にそんな力があるのかと、驚くことはあるだろう。二人にはこれくらいしかできないかもしれない。戦えないにしても
しかし
「邪魔をするな!!」
「小娘!やめろ!」
「ぐわ!!」
「きゃあ!!」
「春姫!」
「アーデさん!」
ミヌキアとアエミリアがリリルカと春姫の厄介さを覚えたのか、アイシャとアスフィを無視して、彼女達二人を攻撃した
これ以上動きを読まれたら、この戦況を打破されてしまうと、まずはリリルカと春姫を落とそうとする
「ぐ・・・・ミヌキア様・・・」
「これ以上邪魔をしないでください!なぜそこまでして私たちの儀式を止めるんですか!貴方は世界がどうなってもいいと言うのですか!」
「世界だって救いたいです!でも、そのためにヘスティア様を殺すなんて、間違っています!」
ミヌキアは春姫に自分のやっていることが間違いだと言う。確かにヘスティアのやることは間違っていない。それは他の人間が聞いても正しいと言ってしまうだろう
しかし
だからと言って、自分の家族が世界の犠牲になる。そんな犠牲を伴うで実行するなど、春姫からすれば認めたくない
「どうして・・・ミヌキア様は・・・そこまでできるのです!こんなことをしても何もならないと言うのに、人を殺してでも叶えたい願いがあるのですか!英雄エピメテウスに騙されていると言うのに!」
「それは・・・・」
春姫は、ミヌキアと出会って、本当は優しい人だと知っていた
なのに、なぜこのようなことをしてでも、その悲願を達成しようとするのか、初めてここに来て、いろんな所をオリンピアを案内してくれた彼女が、なぜそこまでするのか
その答えは
別の者から、答えた
「彼女の幼馴染を救うためだ!」
「え?」
「ガルシア!?」
突然、ミヌキアの後ろから教団の兵士が現れ、兵士の兜を脱いで答えた。顔を見ると、年齢的にミヌキアと同い歳の男性。おそらく彼女のことを知る人物だろう
そして、そのガルシアが彼女こんなことをする経緯を話す
「彼女には幼馴染が居た。それも二人も、巫女仲間で、彼女と一緒に巫女になるのが夢だった。そして三人一緒に巫女なることできた。夢が叶い、一緒にこのオリンピアのために働こうとした。だが・・・・あの災害で・・・その二人の幼馴染が死んだ」
「っ!?てことは・・・まさか」
「ああ、そこに彼女の幼馴染が二人・・・そこに居る!!」
『『ガア!!』』
「そんなことが・・・・」
「だから彼女は!!この儀式であの二人を救うんだ!一緒にこのオリンピアのために戦うと決意したあの二人を助けるために、今も自分のしていることが間違いだとわかっていても、この儀式を完成させたいんだ!!」
「ミヌキア様が・・・・そのような過去が」
「同情しなくてもいいわよ」
「っ!」
「そうよ。私のやろうとしていることなんて間違っているわよ。ガルシアだって初めはこんなことは間違っているって説得されたけど、それでも私はやり遂げないといけないのよ」
「ミヌキア・・・」
「だってそうでもしなきゃ・・・・・あの時!!私とガルシアを庇って死んだ二人の報いは消えない!!」
「庇った!?」
ミヌキアがここまでするのは、かつて一緒にこの役職に就こうと、一緒に巫女になろうとした幼馴染の苦しみを救うため
巫女になった彼女達三人は、その後にあの大災害で死んだ。彼女とガルシアを庇って死んだ
その大災害で炎人となった。だからその苦しみを救うために、彼女はこのようなことをする。外道であってでも
だが、なぜガルシアがミヌキアのことを知っているのか、
それはアイシャが答えた
「ガルシア・・とか言ったけ?あんた、その女の男か?」
「ああ、俺とミヌキアはもう少しで結婚式を挙げるはずだった」
「っ!?」
「やっぱり・・・だからお前はその女のことを知っていたのか」
「ミヌキアの幼馴染が、俺に彼女を紹介してくれた。そして付き合って、結婚もして結婚式を挙げるはずだった。そしてあの二人に、俺たちの結婚式を祝ってくれるはずだった。なのに!!あの災害で!全部消えた!!」
「だからガルシアも無理して、私と一緒に貴方達の敵になっているの!私と彼に出会えたのも!私が必死にここまで巫女になれたのも!あの二人のおかげなのよ!貴方に何がわかるのよ!幼馴染を失った私の気持ちに、何がわかるのよ!!」
「ぐ!!」
「春姫!!・・・ぐ!」
「邪魔をしないでください!」
「あんた!男ならその女止めるもんだろう!」
「俺も彼女と同じ気持ちなんだ!!あの時、死ぬのは俺だったらこんなことにはならなかった!愛しいを人を失くした気持ちは、お前達にはわからない話だ!!」
「ぐ!!」
アイシャが春姫を助けに行こうと、ミヌキアを倒そうとするが、それをガルシアが阻止した。ガルシアも本当は助けたい。こんなことをしてでも、それでもミヌキアとガルシアなりの譲れない想いがある。だから今は外道に堕ちてでもやり遂げる
「貴方達には何がわかる!幼馴染を救えなかった私の気持ちなんて、貴方にはわからないでしょう!」
「く!」
ミヌキアは春姫を押し倒して足で踏みつける
ミヌキアの今の憎しみはガルシア以外誰にもわからない。ずっと巫女になるまで一緒に楽しく側に居た親友でもあり、夫と出会えたキッカケを作ってくれた人でもある
そんな大事な人を失くした、誰であろうと今苦しむ彼女を救える人はいない
だが
「あの時!!死ぬのが私だったらよかったのに!!」
「っ!!!」
何度も踏みつけながらミヌキアはそう叫んだ
あの時死ぬのが自分だったら、どれほど今苦しまずに済んだのか、そう思うと、あの災害での過去がもはや後悔でしかなかった
その後悔を、春姫にぶつけるが
その言葉に春姫は
「そんなことを言わないで下さい!!!」
「っ!?」
「何!?」
「春姫!?」
春姫はミヌキアのその言葉だけは認めず
踏みつけて来る足を手で掴み、突き出して止める。その言葉だけは絶対に認めない。春姫は救われた人の気持ちなんてわからない。
そんなはずない
救われた幼馴染の気持ちだけはわかる
「私にも・・・・大事な幼馴染が居ます。その幼馴染は私を助けたいがために、多くの人を自分の大事な刀で斬ってでも私を助けた」
「っ!?」
「私はヘスティア様の眷属になる前は娼婦でした、いつも毎日男のために働かなきゃいけない立場で、誰かに助けを呼んでも助けてくれず、そんな暗闇の世界で生きてました。でも!!そんな私を助けてくれる幼馴染と英雄が居ました!!」
「まさか・・・・貴方も!?」
「そうです!私も貴方と同じです。救われた命なんです!もう関わらないで欲しいとも思いました。私なんかを助けたらきっと不幸なことが起こるって、助けを呼びませんでした。それでも!!!私の幼馴染と英雄は諦めませんでした!私を助けるためにどんな危ないこともした。そして助けられて、私はその人達のために生きると決めたんです!!ですから!!!」
「な!?」
倒れていた春姫は、今度はミヌキアを押し倒して、彼女の両手を掴んで、自分の両手で抑えた
「貴方のために救った幼馴染のためにも!そんなことを言わないで!これからその二人の分も生きてください!!!!救われた命なら!!!」
「っ!・・・・・・」
ミヌキアはそれだけを聞いて何も答えることができない。そして両手を掴まれて抵抗できない
救われた幼馴染の分も含めて、これからを生きる
そんなことを言われたことは、ガルシアにも言われたことはないだろう。だって本当はわかっているから、本当はこんなことしても、失った幼馴染を救えない。それでも炎人となった二人を助けたかった。でも、今、同じ気持ちを持っている春姫に抗えない
「ミヌキア!!・・ぬ!」
「邪魔すんじゃないよ!あんたの相手は私だ!あの女の相手は春姫がしているんだ!邪魔をするな!」
ガルシアはミヌキアを助けに行きたいが、アイシャに邪魔されて何もできない
このまま春姫はミヌキアを抑え込む
そのもう一方で
リリルカは
「ぐ!」
「なぜ貴方のような子まで、こんなことをしてまで戦うんです?」
リリルカはアエミリアに追い込まれていた
アエミリアは、リリルカがあまりにも幼いにしても頭が回る賢い子だと、このまま生かすわけにはいかないと、仕留めたいのだが
なぜか彼女はリリルカを殺さない。それどころか、なぜこんなことをすのか問われる
だが、リリルカの答えは
「そんなもの決まっています!リリ達にも助けたい家族が居るんです。だから何があっても。リリ達でも引き下がりません」
「魔剣!?どうしてそこまで!?それだけ幼いにも関わらず」
「幼さは関係ありません、救いたい人のために死に物狂いになっているだけです。先ほどからリリを殺せるのに、どうしてリリを殺さないのです?」
「それは・・・・」
リリルカはここまで追い込まれているにも関わらず、引き下がらない
力になれるかなんてわからない。だけど、家族が今死に急ごうとする。その家族を救うために、自分よりも強いアエミリアを前にしてもリリルカは引き下がらない。ヴェルフから念のために用意して貰った魔剣を持って、アエミリアに向ける
それになぜかアエミリアはリリルカを炎で燃やさない
今でも魔剣を持っているだけのリリルカを倒すことなんて原初の炎の一部を持っている彼女においては簡単なはず、なのに殺さないアエミリアの理由は
「貴方が・・・・私の妹と同じだから・・・」
「っ!?・・・・それが・・・貴方が英雄エピメテウス様に従う理由ですか・・・・」
「ええ、私も・・・・家族を失ったのよ」
アエミリアがリリルカの敵になる理由は、アエミリアも妹が災害によって死んだ。
そして儀式を完成させて、炎人となった妹を救うのが目的だ。彼女もミヌキア同様に救いたい家族が居て、そのために敵になろうとしている
だけど
「たとえ儀式が完成しても、炎人になったと言うことは体は燃えていると言うこと、つまりは死んでいるんですよ。それでもヘスティア様が浄化を完成させるために、リリ達の敵になるつもりですか?」
「ええ!そうよ!私だってミヌキアと同じよ!私の大切な妹!私みたいに巫女になりたいって毎日頑張った子が、あの災害で死んだのよ!」
「・・・・・・・」
「私だけじゃないわ!みんなもそうなのよ!私たち巫女は全員家族を取り戻すために、こんな外道なことをしているのよ!ヘスティア様を犠牲にしているなんて酷い事を承知しているわ!それでも家族を取り戻したいのよ!もう一人になりたくないのよ!大事なものを取り戻したいのよ!なのに・・・・・なんで貴方が私の妹と同じ顔をしているのよ!」
「アエミリア様・・・・・」
アエミリアはリリルカと同じ顔をしていると、妹に似て殺すことができない
でも家族を取り戻したいと、彼女は一応手から炎を放出する。あとはそれだけを放つだけなのだが、その一歩が中々に彼女から出ない
それを目の前にしても、リリルカは
「リリ達も同じです」
「っ!?」
「リリも親も居ない。それでも毎日必死になって一人で生きた。人生の中では今の貴方のように卑怯なこともしました。そんな酷い事をしても自分のためにもならない。そんな事をしてもいつまでも一人です!!!」
「っ・・・・・・」
「リリはそんな事をして、遂にツケが回ったのか、不運な事で殺されそうになりました。当時仲間と一時的に側に居たから助かりましたけど、生き残るためとは言えど、悪いことはしてはいけないと、思い知りました。皆さんにも心配されますし、こんな事をしても意味がないって、貴方のしていることを妹さんがどんな思いをするか!!」
「くう・・・・・そんな綺麗事!!」
「綺麗事でも!妹さんのためならやめるべきです!死んだ人は帰らないんです!貴方の家族は今も他にも居るはずです!今貴方がやるべきことはこんなことじゃないはずです!!それでもするのなら、リリに撃ってみてください!!」
「そんな覚悟をしてまで・・・・・・」
春姫同様に、リリルカも必死に彼女を止める
まるで過去の自分を見るような感じで、アエミリアの悲しみを必死に止めようとするリリルカ、ベルのようにまだ西の塔の柱はまだ落とせそうにないが、それでも春姫とリリルカは助けたい人を止めてでも、必死にミヌキアとアエミリアを、時間を賭けて止めに入った