ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

109 / 201
家族のためなら命厭わず

 

 

 

 

一方ヴェルフは

 

 

「ぐふ!?・・・がは!!」

 

 

「っ!?ヴェルフ!?」

 

「どうしたんですか!?」

 

「なぜ出血が!?口から体から!?攻撃なんて受けていないのに!?」

 

 

エピメテウスを倒すための神器を製作していたヴェルフが、突然周りに敵もなく、攻撃を受けてもいないのに、突然血反吐を出すヴェルフ。それだけでなく体から血がダラダラと垂れる

 

もちろん攻撃も受けてもいないのにも関わらず、血を流したことに、神であるへファイストスでも、アクタやカリスでもわからない

 

だけど

 

ノームは知っていた

 

 

『主様。あのマジックアイテムを使って、また自殺をしているようですね』

 

「「自殺!?」」

 

「どういうこと!?ノーム!?」

 

『主様は、もしもヘスティア様がどんな説得をしても、自身を犠牲にしても計画を実行する場合、自分達の命も心中すると、主様はヘスティア様の計画を止めるために、ヴェルフさん達をもヘスティア様が計画を無理に実行した場合は命をも差し出す作戦をすると、今右腕に付けている青い腕輪のマジックアイテムによって、主様がダメージを受けると自動的にヴェルフさんもそのダメージを負っているんです』

 

「ジークさんの受けたダメージが、ヴェルフさんにも!?」

 

「この青い腕輪が!?」

 

「まさか・・・今のジーク・フリードは!?」

 

『はい。ヴェルフさんの容体を見る限り、腹に魔剣を刺したに違いありません。でなければ背中からにも血が流れたりしません。主様はヘスティア様の計画を阻止するために命を捧げる事を選んだようです」

 

「まともじゃないわ!」

 

 

へファイストスからしても、俺のこの作戦は人間としてもあり得ないだろう

 

しかし

 

こうでもしないと止められないと、ノームもヴェルフのこの死にそうな状態を見て、やっぱりヘスティアが俺の話を聞いてくれず、何がなんでも計画を実行すると、それを阻止するために自分達眷属も命を捧げると、無茶な作戦を実行した

 

 

「ヴェルフ!今すぐそれを・・・」

 

 

「やめてください!これは俺の覚悟でもあるんです!」

 

 

「っ!?」

 

「ヘスティア様もわかってないですね。俺たちの根性を。俺もジークと同じなんですよ。家族のためなら自分の命も賭ける。それが俺たちだってわからないんですかね!この程度で俺は折れねえぞ!!絶対にヘスティア様の計画をぶっ壊してやる!」

 

「ヴェルフさん・・・・」

 

「でもせめて傷を・・」

 

「要らねえカリス!アクタ!今回復したところで、ジークが傷を付ければまた傷が増える。やったところで無駄だ。それに治す気はねえ!これは俺の覚悟なんだ!邪魔するな!」

 

『へファイストス様。お続きを、これはヴェルフさんの決めたことでもあるんです。彼のことは気にせずに続けてください。彼を想うのなら』

 

「だけど・・・・・」

 

 

「さあやりましょう!・・俺は・・ぐふ!・・・それでも命を賭けてヘスティア様を助ける!!」

 

 

「・・・・・・まったく、ヘスティア!本当にやめなかったら、私は許さないから!」

 

 

へファイストスは神器の製作を続ける

 

ヴェルフがここまでの覚悟を示したため、やむを得ず神器の製作を続ける。そしてへファイストスは少しだけヘスティアを恨んだ。確かに自分は何もできずに彼女の望むままに計画を好きにさせているが、それでも眷属のためにはならず、自分の想い人であるヴェルフをここまで無茶させたことに、苛立ちを見せた

 

本気でこの計画をやめなかった時は、自分も消滅されてでもハンマーで殴りに行くと、ヘスティアが今止めることを信じて、神器の製作を引き続き始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方命は

 

 

 

「がは!・・・・うう!!」

 

 

「ヤマトさん!?」

 

「どうした!?ヘスティア・ファミリアの眷属!?」

 

 

命の方でも同じだった

 

命も青い腕輪をしていた。俺の自殺が彼女の体にも影響が出ていた。そのため彼女も血反吐を吐き。腹にも血の出血が大量に出てくる。

 

インターバルなど存在せず、すぐに俺と同じ傷を味わい。一度は刀を握ってはいたが、そのダメージで一度刀を落とし掛ける。それでも耐えて刀を無理にでも握り締める

 

 

『まさか主。本当に自殺をしたのですか・・』

 

「どういうことですか!?ウンディーネ様!?」

 

『主の作戦です。もしもヘスティア様が計画を続ける場合、それを阻止するために、主のダメージを共に味わうマジックアイテムを使って、命さんも皆さんも主のダメージを負っているんです。主神と共に心中をするおつもりです』

 

「なんですって!?」

 

「正気か!?ジーク・フリードも!?主神の計画を止めるために死ぬ気か!?」

 

 

「ええ!死んでも構いません!!」

 

 

「「っ!?」」

 

『命さん・・・』

 

「神ヘスティアのために命を差し出す覚悟じゃな」

 

 

主神のためなら命をも捧げる。行としては人のためにならないだろう

 

しかし

 

命にとっては自分の命よりも、やらねばならないことがある

 

何があろうと、彼女も譲らない。命を賭けてヘスティアの計画を止める覚悟

 

 

「主神が命を賭けて世界を救おうと言うのに、眷属である自分達が命を賭けないなんて、そんな家族として見過ごせるはずない!!だから自分も命を賭けてヘスティア様の馬鹿な計画を止めます!それで死んでも悔いありません!!」

 

 

「ヤマトさん・・・・貴方もジークさんみたいに」

 

「なんと言う覚悟だ・・・・」

 

『これが今のヘスティア・ファミリアの絆なんです』

 

 

「命を燃やしてでも守る。これがヘスティアの子供達の覚悟か」

 

 

命の覚悟に、誰も驚愕をする

 

普通ならそんなことは誰も望まないだろう。しかし、今の彼女の覚悟に誰もが止めることができない。アポロン・ファミリアの眷属達やそのリッソスですら、その覚悟に痛感した

 

 

そしてキュロスは、これがヘスティアの眷属の絆にして覚悟であると

 

 

ベルがここまで強くなったわけが、今やっと彼は実感した。なぜあの幼い子供がここまで強くなれたのか、理由が命が示していた

 

 

何があろうと折れない。命も覚悟を示す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、春姫やリリルカも

 

 

「うぐ!・・・がは!!」

 

「ぶ!・・・・ああ!!」

 

 

「っ!?春姫!?どうした!?」

 

「アーデさん!?なぜ出血が!?」

 

「なんだ!?リリちゃんと春姫ちゃんの腹から、出血が出てきたぞ!?」

 

 

当然、春姫やリリルカも、俺のダメージを受けている。もちろん腹に傷穴が開き。口からは大量の血反吐を吐き出し

 

まだ戦いに慣れていない二人が、初めての重傷を受けてしまい。敵を目の前にして少し下がってよろけそうになる

 

もちろん敵からダメージを受けたわけでもないから、神であるヘルメスでもなぜ重症な傷を負っているのか理由がわからない

 

 

「はあ・・・はあ・・・ジーク様が計画したんです・・・もしもヘスティア様が死んでもこの計画を実行した場合は・・・自分達も命を捧げると・・・・そうすれば彼女も止まるはずだと・・・・ですからジーク様と同じ傷を一緒に負うことができる・・・この腕輪のマジックアイテムで・・・一緒に心中をしているんです」

 

「は!?なんだいそれは!?」

 

「こうでもしないと・・・ヘスティア様は止まらなそうですからね・・・ですからヘスティア様の計画をなんとしてでも止めるために・・・・リリ達も・・・死ぬ覚悟でこのような危険なマジックアイテムを使っているんです・・・今ダメージを受けていると言うことは・・・ジーク様がヘスティア様の所に着いて・・・それでも聞き分けをしないから、おそらく腹に剣でも刺したんでしょうね・・・」

 

「なんと言う無謀を、それでは死んでしまいます!?」

 

「春姫!今すぐそれを外せ!!」

 

「アーデさんも!それを今すぐ外してください!」

 

 

「「嫌です!!絶対に外しません!!」」

 

 

「「っ!?」」

 

 

頑固にも二人はそのマジックアイテムを外さない

 

確かに痛い。ここまでの痛みが体中に伝わると涙が出てくる。味わったことのない痛みだ。しかし、それでもやめない。絶対に意地でも外さない

 

これは自分達の覚悟にして根性。死にかけでもこればかりは譲らない。何があろうと

 

 

「絶対に私は外しません!これはヘスティア様に見せる覚悟なんです!!私にはきっと何もできない、だけど!命を一緒に賭けることはできます!!」

 

「リリも外しません!ヘスティア様に見返すための作戦です!物凄く痛いですけど・・・それでもリリは命を賭けてヘスティア様の馬鹿な計画を止めます!!」

 

 

「春姫・・・・」

 

「アーデさん・・・」

 

 

「そうか、ヘスティアが世界のために死ぬのなら、リリちゃん達はヘスティアのために死ぬのか、今頃ヘスティアは焦っているだろうな、またしてもジーク君にまた一歩取られたな、今度こそヘスティアも選択を迫られるな、世界を救って自分を殺してリリちゃんたちも死ぬか、リリちゃん達が死ないために計画をやめて、本当にみんなでこのオリンピアを救うために原初の炎を破壊するのか、これはヘスティアにとって最大の選択になるな」

 

 

春姫もリリルカも折れない揺るぎない覚悟

 

ヘスティアが世界のために死ぬのなら自分達も死ぬ。そんな今まで俺がやってきた事を自分もするのなら、リリルカや春姫だってすると、

 

主神を想う。誰であろうと譲れないヘスティアの眷属である絆の示し

 

その揺るぎのない覚悟に、ヘルメスは彼女達二人の邪魔をせずに、神として見届ける

 

 

勝つのは彼女達の意地か

 

それともヘスティアの意地なのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして最後は・・・

 

 

ベル

 

 

「ぐう!!・・・・がは!!!」

 

 

「っ!なんだ!?」

 

 

「どうしたのベル!?」

 

「どうした白ウサギ!?攻撃も受けてないのになぜ血が出る!?」

 

「血反吐だけではない!なんだ!?腹からも出血が!?」

 

 

エピメテウスと戦っている最中、なんとかエピメテウスの攻撃を避けながらも諦めずに攻撃を仕掛けていた

 

しかし

 

突然、エピメテウスの攻撃も全て避けていたはずのベルが突然、血反吐を吐き、腹から大量の出血が流れた

 

突然の出血を流したベルに、敵であるエピメテウスでも驚愕する。

 

 

「小僧!?貴様・・・何をした!?なぜ貴様がダメージを受けている!?」

 

 

「今、もしかしたらジークさんが・・・神様の所へ辿り着いたはずです。そこでもし神様にジークさんの説得に応じない場合、ジークさんが建てた計画で、僕もジークさんと同じダメージを負うこのマジックアイテムの腕輪で、一緒に心中をするんです」

 

 

「ジーク君と同じダメージを負う!?ジーク君の計画とはなんだ!?ベル君!?」

 

 

「ジークさんの計画は・・・神様は自分の命を使って下界を救うと決めた・・・なら自分達もそれを共にすると・・・神様がこの計画を止めるには・・・自分達も散る事をすれば・・・神様はこの計画を・・・僕たちを想って止めるはずだと・・・・神様を信じて心中をしているんです」

 

 

「心中だと!?」

 

「本気なのか!?ベル君!?」

 

「ベル!その腕輪を外して!!」

 

 

「嫌です!!!僕は絶対に外さない!!」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

ベルの意志も固く、イリアに言われてもベルは腕輪を外さない。

 

ヘスティアは優しき神、いくら世界を救うために自分の命を捧げるにしても、そこに俺たちの命も賭けられていれば、俺たちの事を考えて止めるはずだと、俺たちを助けるはずが、俺たちを殺しているとなれば、この計画を止めるはずだと

 

ヘスティアが止めるための条件作りとして、自分達の命を自分達で殺そうとすれば、脅しではあるけど、彼女が止めると信じてこのような無謀な作戦をしている

 

ヘスティア・ファミリアの自殺作戦である

 

 

全ては主神である。ヘスティアを救うため

 

 

「僕は命を捨てる!神様のために!僕は神様のためならこの命!惜しくない!!!」

 

 

「ベル・・・・」

 

 

「ぐう!小僧!!俺たちを道具としか思っていない神のために死ぬ気か!!」

 

 

「神様はそんな神じゃない!!僕らのためならなんでもして、どんな神様よりも優しくて、自分のことは眷属に任せずに自分で責任を果たし、そして!!僕たち眷属を愛している・・・・・僕らの神様ヘスティア様だ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「貴方にはわからない!!このヘスティア様がくれた愛を!!僕らはそのためなら死んでも構わない!絶対に神様を一人になんてさせない!!」

 

 

「ふざけた事を・・・・抜かすなあああ!!」

 

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

「ベル・・・・・・」

 

 

重症な体であると言うのに、ベルはそれでも戦い。やめたりしない。この程度の苦しみを味わってでも、救いたい神が居る。俺たちにとってヘスティアは家族であり、彼女は俺たちを道具するような、そこら辺に居る邪神じゃない

 

大切な家族だ

 

 

それをわからせるためにも、ベルはエピメテウスとの戦いを続ける

 

 

エピメテウスにとっての神様は最悪な存在、しかし、俺たちは・・・・全員じゃないけど、ヘスティアは違う

 

 

この下界に居る中で、一番優しき女神

 

 

プロメテウスとは違う。ヘスティアはそんな事をするような女神じゃない

 

 

だから命を賭けることができる

 

 

でなければ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の顔が驚愕している

 

恩恵を通してまだベル達の様子を伺うことができる。だから今何がどうなっているのか知っている。ベル達が今どうなっているのかも

 

だから

 

こんなことになるなんて思いもしないだろう

 

 

まさか俺だけでなく、ベル達までも自殺をするなど信じ難い

 

 

しかし、これは事実。本気でヘスティアが死ぬのなら自分達も死ぬ。彼女だけに全てを終わらせない。家族として終わるのは俺たちも

 

 

「狂っている狂っている狂っている!!いかれている!!!正気で言っているのか!?このままだと死ぬんだぞ!」

 

 

「そうと言っているんだが?お前だけを死なせるつもりはない。死ぬなら俺たちもだ。だから好きに計画をすればいい。俺たちは少なくともお前の家族として望みは叶えている。その後で俺たちが心中しても構わんはずだ。俺たちはお前の家族だ。お前のためなら死んでも構わない」

 

 

「我はそんなことのために・・・下界を救うためでは・・・」

 

 

「じゃあなんのためだ?ヘスティア?」

 

 

「っ!?」

 

 

「君が望んだ結果だ。そしてそこに俺たちの命が賭けられるなど、そんなものは君の予想不足だ。俺たちがそんなことをされて平気でのうのうと生きてゆくと思うか?家族である君一人を犠牲にして生きると思うか?それだけは正しくないと俺に教えてくれたのは君だ。それを教えた君がそれをやるのか?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

「もしそれが神の決着たる物語なら、それは神の責任ではない、ただの『君の我儘』だ!!」

 

 

「っ・・・・・・・・」

 

 

俺はヘスティアに犠牲の恐ろしさを教えた

 

誰かを犠牲にしても、それ以外の仲間が一人犠牲にして生きていこうなど、思うはずがない。だから家族なら共に死ぬ。それが人間の考えだ

 

その人間がそんな事を考えないと、彼女が侮った

 

彼女の計画は穴があったのと同義。もはや彼女の言う言葉は全てただの我儘。聞く耳値しない理論。そんな言葉など俺は聞く気はない

 

もちろん、もうこれ以上聞いても意味がないとわかっている

 

だから

 

 

「ヘスティア。君はどうしてもこの計画をやめないと言うのだな?」

 

 

「だったら・・・どうすると言う?」

 

 

ここまでは俺の作戦。これで上手くいっている

 

そして最後の作戦に移行する。この作戦もベル達の同意を得ている。だから臆する事なくこれを実行する

 

普通の人間ならこんなことはしない

 

しかし、俺たちは違う

 

 

その最後の作戦は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ俺たちにもう生きる理由はない。君より先に、その下にある溶岩の海に落ちて自殺するとしよう」

 

 

 

「っ!?!?!?」

 

 

「ジークさん!?」

 

「本気で言っているの!?」

 

「ジーク!やめろ!そんなことはヘスティアのためにならない!」

 

 

「ヘスティアがこれから死ぬのに、俺たちが先に死んではダメなのか?理由は聞く気はない。俺たちがヘスティアより早く死ぬだけのことだ。難しい話でもない」

 

 

ヘスティアがこれだけの重傷見せても計画を実行をすると揺るがないのなら

 

俺たちは今ヘスティアの下にある原初の炎である。溶岩の海に落ちて、先にヘスティアより死のうとする

 

別にこれからヘスティアも死ぬんだ。だったら俺たちが先に死んでも問題ないはず、決して彼女だけを死なせるつもりないと。覚悟を見せる

 

 

「何を馬鹿な事を・・・・お前達にまだ必要としている者も・・・・」

 

 

「それは君もだ。君も俺たちにとって大切な家族だ!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「それに君は言ったはずだ。約束したはずだ。『もう僕を一人にしないでくれ』と、そう望んだのは君だ!だから俺たちも死ぬとも!!君のためならこの人生・・・春姫や命もリリルカもヴェルフもベル・・・・俺も捨てよう!!君のためなら!!!」

 

 

「わ・・・・私は・・・・・」

 

 

望んだ結果だ。全てヘスティアの

 

その願いを叶えているに違いない。家族として眷属として、俺たちは家族のために死を選んだけだ。もう一人にしない

 

何がなんでも

 

 

「さあ話はもう終わりだ。その原初の炎と共に俺たちは先に死ぬとしよう」

 

 

「しょ・・・・正気なのか!?」

 

 

「ジークさん!」

 

「ジーク!やめて!」

 

「やめるんだジーク!こんな事をしても・・」

 

 

「信じろ!!ヘスティアを!!!」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

「ヘスティアが必ず俺たちを助けてくれる。だから止めるな。ヘスティアを信じるんだ」

 

 

俺は長話をしても意味はないと、さっさと死に急いで、彼女の真下にある溶岩の方へと歩いていく

 

もちろん俺に恋をしているレアとアフロディーテとアルテミスに止めらるが、このような無謀な作戦を、必ずヘスティアが助けてくれると信じて止めるなと、俺は一度は止められたが、彼女達の手を払って、俺は彼女の真下へと歩く

 

 

 

「よ、よせ・・来るな・・・来るな!!人間!!」

 

 

ヘスティアは俺を近づかせないために自身のアルカナムで、炎の波で俺を押し返そうとする

 

 

しかし

 

 

「ふん!」

 

 

「な!?」

 

 

「忘れたのか?俺は今恩恵を手にしている。君のアルカナムは俺に通用しない。何があろうとここに来た以上。もう君に俺を止めることはできない。残念だったな、せいぜい俺たちが死ぬ様をただ見届けろ」

 

 

「よせ・・・やめろ・・・やめてくれえ!!」

 

 

俺のレアスキルで神の力は通用しない

 

今恩恵を手にしている俺には炎の波であろうと、簡単に手で振り払える。どんなに大きな炎の波でも、俺が手で振り払うだけで消える

 

もはや彼女に俺は止められない

 

そして一歩。一歩。一歩と・・・どんどん彼女の真下にある溶岩へ近づいてく。それに近づくだけで焼ける。体が燃えそうになる

 

 

「やめろ!近づくな!それ以上進むな・・やめろ・・・やめろ・・・・やめろおおお!!!」

 

 

彼女の悲鳴が聞こえる

 

しかし

 

俺は止まらない。これは俺たちの彼女が望まない代償。それでも愛は示せる。そのために命を散る。

 

 

これが俺たちの美しい最後。これが人間の美しい終わり方

 

 

 

 

 

そして

 

 

あと一歩で

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

彼女の真下にある溶岩の海へと、足を踏み出して

 

 

落下していく

 

 

「「ジーク!!」」

 

「ジークさん!」

 

 

アフロディーテとアルテミス、レアが叫んだ時には手遅れ、もうその時には俺は落下して行った。誰も止めることなく

 

俺たちは

 

溶岩の海に焼かれて、死ぬ最後を迎えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

「ジーク君!!やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

「!」

 

 

確かに俺は溶岩の海に落ちたが、その先を回り込んだ

 

 

元の姿に戻ったヘスティアが現れた

 

 

ヘスティアが俺を抱き寄せて、溶岩に落ちることなく、そのままアルテミス達のところまで、彼女と一緒に後ろまで吹っ飛んだ

 

やはり予想通り

 

俺の命を賭けたら、必ず助けてくれると、この作戦をして信じて正解だった

 

 

彼女なら助けてくれると

 

 

そのままアルテミスのところに吹っ飛び、彼女は俺が地面の横になって抱き寄せたまま、彼女は俺に愚痴を話す

 

 

「酷いよジーク君も、ベル君も、サポーター君もヴェルフ君も命君も春姫君も!これは僕の仕事なのに!」

 

「君の炎をなんとかするのは、別に君だけでなんとかする必要もないだろう。俺たちは家族なんだ。家族に相談してからでも遅くないだろう」

 

「だって・・・これは僕の炎だから、僕が責任取って当然なんだよ。なのにずるいよ!」

 

「そうだな、だけど家族が犠牲になるのはもう耐えられない。俺はもう失うのは苦しいんだ。もう二度だけでいい。三度は味わいたくないんだ」

 

 

ヘスティアの頑固には本当に迷惑だ

 

でも、それこそ家族の相談でいいだろう。それをすれば簡単に済む話なんだ。俺たちは家族。無理にヘスティア一人が解決すればいいと言う話じゃない。今までが俺たちがそうだったようにな

 

 

「まったく!ヘスティア!みんなに謝る覚悟あるんでしょうね!」

 

「ヘスティア。かつての私も愚かだったが、今のお前も愚かだ。眷属と共に解決に導くべきだと。なぜ主神として気づかないんだ。今回ばかりは本当にジーク達に謝罪した方がいい」

 

「ヘスティア様、私もこんな事を言える立場はありません、ですが・・・ジークさん達を信じてやってください」

 

 

「うん、アフロディーテ、アルテミス、レア君。僕の間違いだったよ」

 

 

アフロディーテやアルテミスやレアでさえも、軽く説教された。一人の問題だったとしても、家族と一緒に解決する方が良い

 

そう、それがファミリアと言うものだ

 

だから俺は

 

 

『自分の家族』にこう言う

 

 

 

「嗚呼・・・・家族と言うのはいつも、変な愛を持っているな。そう思いませんか・・・・・『兄上』?」

 

 

 

 

「ああ、そうだねジーク」

 

 

 

 

「「「っ!?」」」

 

「え?・・・・君は・・・なんでここに!?」

 

 

突然俺の後ろで、誰が男神の声が聞こえた

 

 

彼は、ヘスティアを抱えて起き上がった俺の後ろに居る。その男神は俺の家族。振り向かなくてもわかる。アフロディーテたちやヘスティアは振り向いて誰なのかはわかったが、なぜここに居るのか信じられない。そんなことはどうでもよく、ここまでやっと答えが出せたのか、もう力は貸さなくても良いと、俺は兄上に感謝を伝える

 

 

「兄上。感謝します。貴方のおかげで俺は家族を救うことができました」

 

「その割にはまた無茶したね?ジーク」

 

「ヘスティアが必ず助けてくれると信じていたからこそだ。こればかりは俺たちと彼女の信頼の勝利だ」

 

「そうだね。これは君たちの信頼の勝利だ。でもショックだな、僕よりヘスティアの方が信頼は強いのかい?」

 

「いいえ、貴方は信頼じゃない・・・・愛しています兄上」

 

「僕も愛している。僕の愛する弟よ」

 

 

「ここから先は・・・俺たちにやらせてください兄上」

 

「ああ、じゃあねジーク」

 

「ええ、また会いましょう・・・兄上」

 

「アフロディーテ、アルテミス・・・・僕の弟を頼んだよ」

 

 

「そういうことね・・・・ええ、その内私が貴方のことをお兄さんと呼ぶ日が来るわ」

 

「それは私だアフロディーテ。だが・・・ジークを助けてくれてありがとう」

 

 

「ヘスティア。今度こそ信じてあげて、大丈夫。ジーク達なら君を助けてくれるよ」

 

 

「ああ・・・そうか・・・・・君なのか・・・ジーク君に恩恵の力を授けていたのは・・・だからジーク君は人間にも戻って・・・・ああ・・・任せてくれ・・・・そして僕からも言わせてくれ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フレイ』

 

 

 

 

 

 

と、兄上はヘスティアのその言葉を聞いて、また消えた

 

 

一瞬だった。兄上がもう主神を助けることに成功したから、ここから先もう自分達で解決すると、兄上はもう俺に力を貸すのをやめて、俺の背中が光り、俺の恩恵はヘスティアの恩恵へと戻る

 

いつの日か、また会いましょうとさよならを告げた

 

そして、肝心のヘスティアを助けることに成功したため

 

 

「ぐう!!」

 

「ジーク君!?」

 

「ヘスティアは救えたと、ベル達にメッセージを知らせねば・・・」

 

 

俺は腹に刺していたグラムを引き抜き、左腕にメッセージを切り刻む。ハート・リングのマジックアイテムは機能している。だから今自分に傷を付けても、ベル達に同じ傷が左腕に刻まれる

 

 

 

「これでよし。さあ、もう躊躇うことはない。全員本気を出せ。救うべき者は救えた。あとは俺たちの本当の力を出して、敵を倒すだけだ!」

 

 

 

ヘスティアはもう救えた

 

あとは倒すべき敵を打ち倒すだけ。だからもう惜しむこともなく、目的は達成され、あとはこの戦いを終わらせるには敵を倒すために本気を出せと、俺は左腕にグラムでメッセージを刻んだ

 

 

つまりは、もうこの戦いも終盤である

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。