ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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第二章 第二次アポロン事件編
災厄 再び


18階層で漆黒のゴライアスを倒し無事地上に帰ることができた俺たちヘスティア・ファミリアは。それから一週間後の月日が流れた

 

 

「「「乾杯!」」」

 

「ああ。乾杯だ」

 

「いいなあ。ベルとジークはランクアップして。だが俺もこれでレベル2だぜ!」

 

「羨ましいですヴェルフ様。私も早くレベル2にはなりたいです」

 

「俺がここまで強くなったのは元のファミリアで経験をしているからこんなレベルになっただけだぞ。ヴェルフ」

 

「そうだよヴェルフ。僕は色々苦労したけど・・・ジークさんは元はロキ・ファミリアやそのあとはフレイ様のファミリアで活躍していたんだから」

 

「でも。これでジークは第一級冒険者なんだろう?」

 

「ああ。先ほどエイナに申請をして貰い完了した。俺も第一級冒険者としてギルドに登録された」

 

「それでベルはレベル3だから第二級冒険者か。俺も早くそこまで強くなりたいぜ!」

 

「そうしたらリリだって。追いつきたいですよ」

 

 

あれからの一週間は何事も無く、俺たちは混合パーティーでヴェルフとリリルカと組み。ダンジョンの18階層まで日帰り出来るところまで繰り返しをしていた。二人もやっと中層の仕組みがわかるようになったからなのか、慣れもあって中層のモンスターに苦戦をしなくなった

 

ハッキリ言って、二人はそこまで下級冒険者とは思えない実力だ。18階層を日帰りするのに普通はレベル3になってないと簡単ではない。いくら早めにゴライアスを排除してから17階層には出てこなかくなったとはいえ。ここまでの成長はレベル1や2では簡単にうまく行くはずない

 

だがその成果もあり。ヴェルフがやっと今日でランクアップを完了し。レベル2となって鍛治アビリティを得るようになった。

 

 

今は豊穣の女主人とは違う別の店で宴会をしていた。ヘスティアも誘ったが、彼女は別の宴会でバイトの打上げに行ってしまい。俺たち眷属だけで楽しんでいた

 

 

「じゃあこのパーティーも解散ですね?」

 

「ん?そう言う理由でこのパーティーを組んでいたのかリリルカ?」

 

「ええ、ジーク様はまだリリ達が組んでから後にヘスティア様の眷属になったから知りませんでしたけど」

 

「ヴェルフはそう言う目的でもあって僕たちと組んでいたんです」

 

「そうか、今でもお前のことをヘファイストス・ファミリアの団員は仲間外れにするかヴェルフ?」

 

「まあ・・・・あんま納得してない奴はまだ居るな」

 

「そうか・・・まだ気まずいなら、俺たちとまだ組んでいるか?」

 

「え?いいのか?」

 

「いいも何も。ファミリア内で孤立している以上は、組んでくれる宛ては無いんだろう?」

 

「そうだよヴェルフ!僕たちとまだ組んで居よう!」

 

「そうですよ!ジーク様だってヴェルフ様のことを頼りにしていますよ?」

 

「ああ、俺もスミスの力は借りたい。そこはもちろんお前の自由だ。決めてくれ」

 

「そうか・・・・・じゃあまだ俺と組んでくれ!!」

 

「ああ。今度は桜花達も呼んでみるか?」

 

「いいですね!」

 

「あいつらなら賛成しそうだな?」

 

「ジーク様が居ますからね!」

 

 

そう行った理由でパーティーを組んでいるとは知らなかった

 

確かにリリルカはソーマ・ファミリアで、ヴェルフはヘファイストス・ファミリア。混合パーティーとは言え。俺も含めて随分とならず者同士とで組み方をしているなと思ったらそう言う理由だったのだと、初めて知った

 

確かにレベル2で鍛治アビリティを得れば店を開いてマシな防具と武器を作ることができる。本人はクロッゾの魔剣を嫌っているから。それ以外を作るとしては鍛治アビリティを得るしか無いからな。確かにヴェルフとしては必要なことだな

 

 

今度は桜花達も含めて18階層の下を行ってみるのもいいかもなと俺は考えていたため、三人に提案してみる

 

 

「桜花達もレベル2だから、タケミカヅチ・ファミリアともパーティーを組んで20階層まで行ってみるか?」

 

「20階層ですか!?」

 

「もちろんモンスターの数は倍だ。もちろん新しいモンスターも居る。18階層まで何度も日帰りするだけじゃあ強くはなれない。桜花達も含んでも苦戦はするが、攻略できないわけじゃない。もちろんこれは俺の提案だが・・・・どうだ?」

 

「タケミカヅチ・ファミリアの眷属の皆様と一緒に潜る場合ですよね?」

 

「そうだ。そうじゃない場合は19階層の入り口までだな」

 

「とにかく桜花さん達次第なんですね?」

 

「ああ。今度誘ってみよう」

 

「はい」

 

「俺もベルみたいにレベル3やジークみたいに第一級冒険者になりてえ!」

 

「レベル3ならなれると思うが・・・レベル5までは難しいぞ」

 

 

少しでも俺たちに近づきたいとヴェルフがランクアップしたいと目標を決めているようだが。レベル3はともかく、レベル5はかなり難しい。椿でさえあいつはレベル5ではあるが、自分が作った武器をダンジョンで一人で試し切りをして何年も繰り返してでやっとレベル5になった。鍛治師でレベル5は現状のオラリオの冒険者記録ではあいつが初めて。それだけで鍛治師でのランクアップは探索系冒険者とはあまりに別であり、普通のランクアップ上げではレベル5は到底不可能

 

ヴェルフはその壁を自分の血で乗り越えられると思うが、問題はその血を今でも否定しているか、受け入れるかで、今後は変わってくる

 

その血族を乗り越えた時。もしかしたらレベル5までヴェルフは到達できるかもしれない

 

今の現状。まだ自分の家柄を憎むようじゃあ無理だと、俺は思っている

 

だが、口にしてももう仕方ないと思い。そんなことを言わなくても自分で理解していると思い。あえて俺はヴェルフにそのことは言わなかった

 

 

「ふう・・・・はあ・・・」

 

「っ!」

 

 

突然俺は上の方から深呼吸するような声が聞こえた。それは俺にしか聞こえない声。そして俺しか知らない呼吸。それは声だけで誰だがもわかる。そしてその魔力もしっかり感知している

 

その発した人物は、俺があまりに会いたくない奴でもある。でもこれは俺とあいつだけの合図でもあり。他の奴らには理解できない合図。これは『呼んでいる』と言う合図

 

まさかあいつがここに居るとは思っても居なかったが、合図で呼んでいる以上は、仕方ないと思い。俺はワインが入ったグラスを持って上の階に行く

 

 

「あれ?どうかしたんですかジークさん?」

 

「すまない。上に俺の知り合いが居る。呼んでいるから少し会ってくる。すぐ帰ってくるから三人はそのまま楽しんでくれ」

 

「ああ、はい」

 

「あと・・・付いてくるなよ。お前達にとっては面倒な相手だからな」

 

「え?」

 

「俺たちじゃあ面倒?」

 

「そう言う相手だ。喧嘩にならないから心配するな」

 

 

ベル達に用事を行って。俺一人で上の階に行く。

 

ベル達に会わせたくないのは本当に俺でも面倒と思うような人物。正直あいつがこの合図を使うことも、呼ぶことも珍しいと言うか、何の真似だと問いかけたいほどだ

 

そいつも俺のことは嫌いなはず、なぜ俺を呼ぶのだろうな

 

 

そうして二階に上がると、テーブル席もあるが。呼んだ人物はその奥のカウンター席に座っている。もちろんその人物は一人だけ

 

 

その人物は・・・・・・

 

 

 

 

「お前が俺を呼ぶとは珍しいな。そしてまだその『古い合図』を使うとは・・・・・・・・一体どういう風の吹き回しだ・・・・・ベート?」

 

「お前とは・・・・キッチリ話さなければならねえことがあるからだ」

 

「お前と話すことなんて俺からは無いが、一応呼ばれたから来てやった」

 

 

ベート・ローガ

 

また一人で酒場で一人酒を飲んでいたのだろう。こいつが酒を飲んで酔ったら面倒だからな。だからたまにこうやって一人で酒を飲んでいる。二年前は俺がこいつを無理矢理連れてって挑発をさせたりして、無理に二人で飲んでこいつが酔っては喧嘩をした。こんな安酒で酔うだなんてまだこいつも子供だがな

 

だがそんな懐かしい思い出ももう叶う事はないだろう。俺はもう酒を飲んでも二年前のように無邪気に生きれない

 

 

それに二人で勝手に決めたこの合図を未だにこいつが使うとは意外だと思ったしな

 

久しいのか俺も自然とこいつの所に来てしまった。こいつが多分ここに居たのは俺たちが来る前からだろう。まだ酒を飲んでいるらしく。酒に合うつまみしかカウンターに置かれてない。またこいつは二年前同様にかなり酒を飲んでいるようだ

 

 

それで俺を呼ぶとなると、また俺に何か当て付けるようなことを聞きたいのだろうか。とにかく俺も隣に座って奴の話を聞く

 

 

「また一人で飲んでいるのか?静かに飲むならフィンでも誘えばいいだろうに・・・」

 

「お前だって二年前は一人で飲んでいたこともあっただろうが」

 

「そうだな。だが今は一人じゃない。仲間が居る。こうして俺は仲間と一緒に食事を楽しんでいる。もう一人になることすらできない」

 

「ち!・・・・お前は本当に・・・」

 

「それで?言いたいことはなんだ?」

 

「なんでお前はそこまで変わった?あれから二年たっただけでどうしてそこまで強くなれた?」

 

「なんだまたそんなことか?そんなことを聞いてどうする?真似をしてでも強くなりたいのか?」

 

「テメエが強くなったことは自分より強い奴と戦って強くなったにちげえねえが。お前がすっかり別人になった。お前は二年前から何をして変わった」

 

「・・・・・・・・・戦場に居た」

 

「!?」

 

「とは言っても相手も大概モンスターだけどな。言語喋れるモンスターだ。知り合いの主神の眷属になって。モンスターやヒューマンと戦争をしていた」

 

「お前が・・・・・戦争に!?」

 

「ああ。珍しくないだろ。何処かの地方や国で戦争をしていることなんて」

 

 

これは嘘ではない

 

俺はロキ・ファミリアをやめて故郷に帰った後は、色々フレイに言われるも。あいつの眷属になった。職業としては島に住むモンスター を狩るハンターの仕事をしているのだが

 

大本はただ・・・・戦士に過ぎなかった

 

俺たちの故郷を狙おうとする。ヒューマンや『炎の巨人族』を相手に戦争をした。それで多くの敵を容赦なしに殺してきた。もちろんその中には子供も居た。それでも戦争だからと容赦はせず。故郷を守るために国崩しなんてものをした

 

当然おふくろを殺したあの『亡霊女神』を14歳の頃に殺したことで、俺はもう『神殺しの大罪』を所持し。その大罪を持っていながらも俺はフレイの眷属になって飽き足らず神を三人殺した。

 

 

それをしたことで俺はレベル4まで強くなれた

 

 

「お前・・・・・殺したのか?同族を?」

 

「当たり前だろ。戦争だぞ?相手が誰だろうと敵だ。殺すのは当然だろ。モンスターと変わりない」

 

「それを・・・・あいつら知っているのか?」

 

「いや、知らない。知られたりでもしたら・・・・・あいつらは同情するからな。あいつらはそれほど優しい奴らだ」

 

「なんでお前が・・・・・そんなくだらねえことを」

 

「ヒューマンは優しい生き物だと思っていたのか?お前ら亜人とは全然違って、戦いを好み。相手の全てを奪うまで殺し戦い続ける。それがヒューマンだ。だから俺だって皆殺しだってした。二度と俺の大事なものを奪わせないために。誰だろうと・・・・敵なら容赦はしない。ダンジョンだって戦場と変わりない」

 

「皆殺し・・・・よくそんなクソな真似ができたな?」

 

「甘い考えなど必要ない。仲間を想う以外はな。俺はせっかく得た仲間を失いたくない。そのために殺しは必要だ。冒険者はモンスター をも殺している。冒険者は正義の味方でもなんでもない。ただの・・・・・・命殺しだ」

 

 

人を殺して神を殺しても罪悪感はまったく無い。神を殺すことでさえも恐怖など一切無し。あるのは怒りと憎しみのみ。俺の大事なものを守るためなら誰だろうと神であろうと許しはしなかった

 

下界に降りて俺を敵として欺くからそんな目にあうんだ。

 

 

神はここが面白い楽園だと思ったか。ヒューマン・・・・・人間に殺されないかと思っていたのか。他の神々が許すとでも思っていたか

 

 

俺はお前ら神が全知全能の存在だとは信じない

 

 

所詮お前らも、俺たちヒューマンと変わりない存在だ。それに力があるか無いかの差だ。あったとしても恐れない。怒りで神に思い知らせるだけだ

 

 

「じゃあ・・・・・・・俺たちがお前らの敵になったら俺たちも殺すのか?」

 

「ああ。俺たちの邪魔をするなら・・・・・容赦はしない」

 

「!?」

 

 

もちろん冗談ではない

 

ベートが自分勝手に自分のファミリアが俺たちヘスティア・ファミリアの敵になると言ってきた瞬間

 

俺は『竜の眼』をしてでも、本気だった

 

 

信じてくれたアイズ・レフィーヤ・ラウルでも・・・・それでも俺は殺しをすることを選ぶだろう。もはや俺の心はレベル5になった瞬間、俺はもう罪悪感を無くしている。かつての仲間でさえも俺は手に掛ける

 

恨まれても構わない程に、俺は自分のことしか考えていない。例えベル達が止めようとしても俺は必ずその怒りを果たしてしまう

 

もう本当に力を得るために感情を捨てた。強い力には代償が居るように、俺は感情を捨てて強くなった

 

 

「お前・・・・なんだそれは!?・・」

 

「強くなるために代償を払っただけだ」

 

 

ベートが俺に睨まれた瞬間。珍しく脅えた

 

 

もはや人としての扱いもやめた方がいい程、俺はモンスターとなったも同然

 

殺されても文句は言えない力を得た

 

死ぬ時はベル達に殺されたい。恨まれてでもその方を選びたい

 

そんな真似をする俺はいつかは恨まれて終わる。それなら仲間に殺されたい。最後くらい惨めに潔く死にたい。絶対に叶わない願いだが。殺しは悪。そんな容赦のない男には相応しい結末だ

 

 

それほど俺はもう自分の命に意味は無くなっていた

 

 

『取り消せ!!』

 

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

「下でベル達が居る。何かトラブルだろうな。話はここまでだ」

 

「おい!」

 

 

そうして俺はベートの話を無理に切って、グラスを持って下に降りる。今の声は間違いなくベルだった。下でトラブルを起こしたにしか思えなかった。理由は下にベル以外の冒険者の魔力を感知し、その冒険者達と揉め事しているのだとわかった

 

その冒険者たちとは

 

 

「おい。何をしている?」

 

「ん!?ジークさん!」

 

「こいつらがいきなり喧嘩吹っ掛けてきたんだ!」

 

 

「あ!ジーク!」

 

「テメエ!ここに居たのか!」

 

 

「ん!リリルカ。まさか?」

 

「はい!アポロン・ファミリアです!」

 

「なぜこいつらがここに?」

 

「わかりません!ですがいきなりベル様とヘスティア様のことを侮辱したんです!」

 

「ほう・・・・・」

 

 

ベル達に喧嘩を売ってきたのは。アポロン・ファミリア。団長のヒュアキントスも居る

 

まさかここで憎きアポロン・ファミリアに出会うとは思っていなかった。だが。そこはもうどうでもいい。こいつらだってオラリオの冒険者だ。ここに居ておかしくはない。

 

だが

 

あれから二年また俺たちに被害を齎し。俺のように屈辱と侮辱を与えるか

 

穏便に行こうと思ったが。やはりこいつらに言葉は通用しない

 

 

 

 

「おい。なんの真似だ?あれから二年経ってもお前らは弱いやつしか狙わないのか?」

 

「へ!やっと出てきたかジーク!あれから帰ってこないと思っていたけど!やっぱり帰ってきたかこの嘘つき!」

 

「お前こそチビガキ。いい加減レベル2になったか?まさかとは思うがあれから二年経ってもまだレベル1か。そしてその後ろに居る獣人もまだレベル2か。臆病者で軟弱者共め。所詮その程度か」

 

「なんだと!?」

 

「テメエ!!」

 

「レベル5になったからって調子こきやがって!」

 

 

「じゃあ今ここで俺を倒せるんだろうな?それだけほざいているなら余裕だろ?」

 

「「「う!?」」」

 

「所詮その程度か。張り合いが無いな。あれから二年経ってもその程度とは。ヒュアキントス。お前がここに居るってことは・・・・俺が居ることを確認しに来たか?」

 

「久しぶりだな・・・ジーク・フリード。二年ぶりだ。お前がロキ・ファミリアをやめて故郷に帰った時は驚いたが、まさか再び現れるとはな・・・」

 

「それでなんの真似だ?リリルカが言うには俺の仲間であるベルと主神であるヘスティアを侮辱したそうだな?返答次第で・・・・お前らをここで排除するが?」

 

「いいのか?また二年前みたいに罪が重なるだけだぞ?」

 

「安心しろ。ヘスティアの許可が出ている。オラリオでは俺の価値など餌に等しいからな。狙ってくる奴は必ず出てくるとヘスティアに伝えた。そしたらもしもの場合は喧嘩をしてでも構わないと許可を得ている。だから二年前は俺はお前らに太刀打ちできなかったが、今回は話は別だ。レベル三のお前と、それ以下のお前ら。全員かかってきても構わんぞ?もちろんこっちはお前らを排除するだけの理由はある。主神と仲間を侮辱した。それがお前らを排除する理由だ。さあどうする?」

 

「く・・・・」

 

 

ヒュアキントスも団長としてバカじゃないようだ。こいつもレベル5になったことをギルドの通達を知っているようで、俺を二年前のように冤罪を吹っかけることができず、喧嘩してもまともに勝てないと現状とレベル差を考えて抵抗はできずだった

 

更にもっとヒュアキントス達が俺たちに喧嘩を吹っ掛けることのできない出来事が

 

上からやってきた

 

 

「ギャーギャーうるせえな」

 

「ん!?ヴァナルガンド!?」

 

 

上の階からベートが出てきた。珍しく喧嘩を止めてくれるらしい。喧嘩をする側のこいつがどういう風の吹き回しだろうな。だがこれは俺の問題だと下がらせる

 

 

「ベート下がれ。これは俺たちの問題だ。お前が突っ掛かる必要はない」

 

「黙れジーク。こっちはせっかくの酒が不味くなるだけだ。誰もテメエのためじゃねえ」

 

「こんな安酒、飲んでも美味いとも思ってない癖によく言う」

 

「だとしても目障りだ。失せろ雑魚共。今度は俺が代わりにテメエらをぶっ殺すぞ?」

 

「ヴァナルガンド・・・・・二年前ジーク・フリードを見捨てた癖に、今更こいつを助けるのか?疑った貴様が?」

 

「黙れ雑魚。なんで俺がジークのために動く?俺は本当にあの時はこいつが信用ならねえから疑った。それだけだ。それでこいつは自分でやめて。別のファミリアに入ってお前らより強くなった。お前らみたいな雑魚とはちげえんだよこいつは・・・・」

 

「お前。俺を褒めているのか?俺を貶しているのか?どっちなんだ?」

 

 

ベートがツンデレとはよくロキが二年前に言っていたが、確かにそうかもしれないと今の言葉を聞いて思った。結局何が言いたいこともわからない上に、結果的に俺のためになるような言い方をしている

 

考えが弱い奴だなと何回か思っているが、ここまでとはな

 

 

「ち・・・・・行くぞ」

 

 

そうしてまた喧嘩もせずに言いたい放題言って。ヒュアキントス団長を含めてアポロン・ファミリアは店から出て行く。

 

 

そしてベートはまたも俺の前に立ち。何かを言ってくる

 

 

「おいジーク。俺もこの前の遠征でレベル6になった」

 

「聞いている。ティオネやティオナ。そしてアイズも・・・・・レベル6になったようだな」

 

「ああ。そしてお前と俺はたったレベル1の差ではあるが、正直お前が別のファミリアに入って所要期間一週間でレベル5になったことが気にくわねえ。そこの白兎のように『レコード・ホルダー』に登録されたことにもな」

 

「その程度で俺は満足しない。俺がベルと同じレコード・ホルダーに登録されたこともな。俺はお前やフィンよりも先に強くなる。まだ俺はこの程度で喜んでもいない」

 

「調子こくなよ。テメエが最速になったところで、テメエが俺に追いつく事はねえ。アイズにもフィンにもな」

 

「何か勘違いしていないか?」

 

「は?」

 

 

「俺は・・・・・・・・・

 

 

 

お前らなど『通過点』に過ぎない」

 

 

「!?」

 

「俺がいつまでもお前やフィンに追い付こうとも競っているとでも思っていたのか?俺はお前らなど強さの対象にしてもいないどころか。お前らの『相手すら』もしていない。勝手に俺をお前らの競い相手にするな。前も言ったがお前らなどどうでもいい」

 

「なんだと!」

 

「もう別のファミリアだぞ?いつまでも俺がお前らに加担すると思うか?俺はもうお前らのことを対象にもしていない。わかったらさっさとお前も帰れ。これ以上お前と話す事はない。それと合図はもう使うな。次それを使っても無視をするからな」

 

「ち・・・・・ああ、そうかよ。くそ」

 

 

そうしてベートは金を置いて出て行った

 

多分上の階であいつが座っていたカウンター席に置いてある飯と酒は全然腹に入れてないだろうと思っていた。そこまであいつはこの店自体に用は無く。俺にそれだけを言いたいがために俺を待っていたのだろうか。もしくは俺の言葉に嫌気をさしたのか、酒を飲む気がしなくなったのか飯も食う気もしなくなったのか

 

もうここに居る気をベートは完全に無くしていた

 

 

それにしてもまさかアポロン・ファミリアがあれから二年経って今度はベルを狙うとは本当にひつこく外道な連中だ。いい加減俺たちを放って置く気はアポロンは無いようだなとアポロンの考えを推測した

 

 

「ヴァナルガンドが居たのかよ・・・」

 

「ああ。目的はもちろん俺だがな。それより大丈夫だったか?」

 

「はい!僕らは大丈夫です!」

 

「ジーク様が止めてくれなかったらとんでもないことになっていましたよ」

 

「ああ・・・・アポロン・ファミリアの連中がいきなり暴言を言ってきたんだ。もしかしなくても・・・」

 

「ああ。目的は俺だろうな。ひつこい連中だ」

 

「またジークさんに冤罪を吹っかけるつもりじゃあないですか?」

 

「その可能性が大きいな。もう騒ぎを起こした以上ここにはいられない。帰るぞ」

 

「はい!」

 

「そうですね・・・」

 

「大ごとになっちまったしな・・・・・」

 

 

アポロン・ファミリアと揉め事を起こしたことで。店の中はざわつき。大ごとになるため流石にもうここには居られないと。店を出る

 

だがこれで俺もベル達も学習した

 

あいつらが二年経っても俺たちにまだバカなことをして来ることに、アポロン・ファミリアが完璧なる敵だと確信した。そこまでしてアポロンは俺が欲しいのだろうか

 

クズな神ではあるが。相手を少し考えたらそんな真似なんてしないだろうに、第一冒険者である俺でも。弱小ファミリアなら勝てるとでも舞い上がったのだろう

 

どの道この事はすぐにホームに帰ってヘスティアに報告するようにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか・・・・アポロンがまた君やベル君たちにまで喧嘩を吹っかけてきたんだね?」

 

「ああ。狙いはもしかしなくても俺だ」

 

「まったく・・・・アポロンめ・・・」

 

 

ホームに帰ると、ヘスティアに状況を伝えたら。即呆れた顔をし、アポロンのやる事にうんざりしていた。天界でもアポロンはひつこく、何度もヘスティアにもプロポーズをひつこくしていたようで、気に入った子供や神などをひつこく追いかけ回したりなどをしていた事もヘスティアは知っていたらしい

 

 

「それで喧嘩にまでなったかい?」

 

「いや・・・俺がなんとか止めた。あっちは相当その気で居たがな。俺が出てきた瞬間帰っていった」

 

「そうか、流石にアポロンの子供でも第一冒険者になったジーク君と殺り合おうとは思わないだろうからね」

 

「だとしても。今回吹っかけたりしてきたとなると・・・」

 

「ああ。恐らくまた何かしてくるだろうね」

 

「ベル。ホームの戸締まりをしっかりしろ。もしかしたらホームに襲撃をしてくる可能性が高い」

 

「はい!」

 

「ヴェルフ。お前はヘファイストス・ファミリア所属だから何もしてこないと思うが・・・・・念のため用心しろ」

 

「そうだな。そうする」

 

「リリルカ・・・・・・特にお前だけは一番気をつけろ」

 

「え?どうしてリリが一番気を付けなければならないんですか?」

 

「アポロン・ファミリアは・・・・・・・・・・裏でソーマ・ファミリアの団員の一部と繋がりがあるからだ。その名は団長のザニスとか言う男だ」

 

「!?」

 

「知っているようだな?」

 

「え、ええ」

 

 

ソーマ・ファミリアの団長。ザニスとか言う男が居る

 

そいつは団員を騙してでも金を強奪する凶悪な男。ソーマファミリアは主神であるソーマが趣味で『神酒ソーマ』を造ることだけを目的としたファミリアで、その神酒に酔う眷属などソーマは見向きもしないため、団長であるザニスに全てを任せているせいで、ザニスが好き勝手にファミリアを動かしている

 

もちろんソーマ自身もザニスがアポロン・ファミリアと勝手に手を組んでいることは知らない。そしてザニスが犯した罪も知らない

 

知ったとしても何もしないため、ザニスが好き放題自分の都合よくソーマ・ファミリアを支配している

 

 

「ザニスがもし・・・・これからリリルカがアポロン・ファミリアといざこざを起こすとなると。あいつはお前に接触するだろうからな。お前は・・・・・ソーマ・ファミリアの団員だからな」

 

「ええ。あの方ならやりかねないです。ですがジーク様が何故そのようなことを?」

 

「念の為自分で調べていた。ここ一週間でな。エイナにも色々聞いたが、アポロン・ファミリアとソーマ・ファミリアの一部が繋がっている情報を掴んで。調べた所・・・・・ザニスが関わっていることを知った」

 

「多分・・・・・リリを使ってまた金儲けを企んでいらっしゃるんでしょうね」

 

「それがソーマ・ファミリアだ。リリルカ。念の為用心しろ。何かあった時は俺たちが助ける」

 

「ありがとうございます・・・」

 

 

「今日はもう解散だ。アポロン・ファミリアとソーマ・ファミリアに注意しろ」

 

「おう」

「はい」

 

 

そうしてヴェルフとリリルカはヘスティア・ホームを出て行き。今自分の家に帰る。ソーマ・ファミリアは金儲けのためにアポロン・ファミリアと手を組み。俺たちに何か被害を持ち出してくるのは確実

 

敵はアポロンファミリアだけでなく。ソーマ・ファミリアまでもが敵となるか、まだわからないが、少なくとも関係がないとは限らない

 

 

「ジーク君。ごめんね。多分僕が神会で・・・・・君がトールの息子だとフレイの弟だと言うからこんな目に・・・」

 

「自分を責めるなヘスティア。君のせいじゃない。これは二年前の続きだ。俺が帰ってきたら再び俺を狙うのは奴の欲望だ。それに加えて俺が特別な存在だと価値が上がっただけに過ぎない。むしろ俺のせいで君やベルに迷惑をかけてしまったな。すまない。俺はどうしても君やベルの侮辱を許せなかかったからこうなっただけだ」

 

「そんなことないよ!団員として当然のことをしたよ!」

 

「そうですよ!ジークさんは何も間違っていません!」

 

「そうか・・・・・だとしてもついにヘスティア・ファミリアにも敵対するファミリアができたことには変わりない。明日から大変になるぞ?」

 

 

そうしてもう遅いと、二人をさっさとシャワーを浴びさせて就寝するように言った

 

二人の励ましは・・・・本当は全然心に響いてない

 

正直本当に『嘘つき冒険者』と呼ばれるのが相応しいと思ってしまうほど。もう俺は本心が全然違う言葉を言ってしまっている。迷惑をかけたことに申し訳ないと思うのは本心ではなく団員としての心遣い。ベルや主神をバカにされ反論したことも団長としての義務

 

俺の本心は

 

 

 

完全に奴らに復讐したかったからだ

 

 

あれから二年経って奴らは何もしないなら放っておくつもりだった。なのにまたも俺たちにちょっかい吹っ掛けるなど・・・・・・・大罪に等しいほど憎かった

 

もはや俺が奴やその眷属たちに会ったら睨んでいるだろう

 

 

それほど・・・・・・また俺は怒りを隠すことができずに剥き出しにしてしまい。顔には出てはいなくても感情では憎しみを抱いているため

 

 

竜の眼をしたまま、俺は教会を出て空を見上げ。こう呟く

 

 

 

「できることなら太陽を粉々に壊し。冥界に落としてやる」

 

 

と、俺は完全に私怨に囚われていた

 

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