ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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ヘスティア眷属の反撃

 

「ぐう!?・・・・」

 

 

「ヴェルフ!?どうしたの!?」

 

「今度は左腕です!?」

 

「またジークさんが自殺をしているのですか!?」

 

 

『いいえ!違います!これは・・・・・』

 

 

「ああ・・・・・成功だ!!ジークがヘスティア様を助けることに成功した!!これはそのメッセージだ!!」

 

 

「これって・・・そういう印なの!?」

 

 

「はい!あいつ・・・ヘスティア様を説得できたんだな!」

 

 

ヴェルフは瀕死でありながらも、神器の製作を続けていた途中、突然ヴェルフの左腕から血が流れた。しかし、それはまるで切り傷のような跡が付けられた

 

そこには

 

 

『竈の神のマーク』が刻まれていた

 

 

と、メッセージが書かれた。

 

これは予め、俺が教えたメッセージ、もしも救えた場合の印。これを左腕に刻むと教えてあった

 

このメッセージが刻まれたことで、ヴェルフはヘスティアを救えたと知り、大喜びする

 

 

「やったぞ!ノーム!ヘスティア様が帰ってきたぞ!!」

 

『はい!やりました!』

 

「まったく、あの子ったら。心配をかけ過ぎなのよ!」

 

「これでまずはひと段落ですね!」

 

「はい!」

 

 

なんとか俺の作戦が成功したことを、まずは大喜びをするヴェルフ達

 

しかし

 

まだ戦いは終わっていない。肝心のエピメテウスはまだ倒していない。その倒すための武器をまだ完成していない

 

 

だから

 

 

「よし、じゃああの子は助かったことだし、もうひと頑張りするわよ。ヴェルフ!」

 

「へファイストス様。お願いがあります」

 

「なに?」

 

 

「ここからは俺だけでやらせてください!!」

 

 

「な!?何を言っているの!?」

 

「まだへファイストス様の腕が必要なんですよ!」

 

「まだ肝心の刃が完成していません!」

 

 

突然ヴェルフは、まだ完全に完成していない状態でありながら、今度は自分一人で鉄を打たせてくれと頼む

 

神の業でなければ完成できない

 

なのに、ヴェルフは無茶でありながら、これを一人でやらせてくれと言う。しかも神器を作るには神血が必要。それをまだ流しこめていないのにも関わらず。ここから先は一人でやらせてくれと言う

 

当然の無茶なのだが

 

 

『へファイストス様はここまでにしましょう。この先はヴェルフさんにやらせましょう』

 

「な!?何を言っているのノーム!?まだ私の仕事は残って・・・・・」

 

『ヴェルフさんを信じましょう。もう『彼の心』に火がつきました』

 

「っ!?・・・・・・そういうことね。わかったわ。あとはお願いヴェルフ」

 

 

「はい!!!」

 

 

「よろしいのですか?」

 

「まだピエログリフが刻まれていませんが・・」

 

「その必要ないくらい、今のヴェルフの方がいいわ。あれを見なさい二人とも」

 

「っ!?あれは!?」

 

「胸から火のようなものが!?」

 

 

へファイストスは休んで、彼に全て任せて一人で始めるヴェルフ

 

アクタとカリスが心配になっているが、それを必要ないくらい、ヴェルフはもうやる気になっている。その理由は

 

 

彼の胸から、火が溢れ出ていた

 

 

まさしく心を燃やしたのだ。それを見たへファイストスもこれ以上は手を出してはならないと理解した。今彼も想いを貫く時が来た

 

 

「そうだ。ジークやベルだってみんな戦っている。だから俺も捧げるぜ!この全てを!!」

 

 

その神器を打つと、どんどんその神器が燃え出す。今ここに新たな力が注がれる。ヴェルフの全てを今ここに打ち込む

 

そう、全てを

 

 

「な!?ヴェルフさんの血を!?」

 

「神器に流し込んでいる!?」

 

 

「私の打った鉄の後に、それを入れるなんて、まさか・・・ヴェルフは・・・・」

 

『そう、そのまさかです』

 

 

ヴェルフが作ろうとしているのは、神器だけではない。その証拠に自分自身の血を流している。そんなやり方をしているのは間違いなく。自身にしか作れない唯一の炎

 

その炎が注がれる。彼の心の全てがその鉄に打ち込まれた

 

 

「そうだ!俺はあいつらに武器を渡さないといけねえんだ!!あいつらが英雄になれる最高の武器を!今ここで・・・・・神を超える武器を造るぜ!!!」

 

 

ブワアアアアアアアア!!!

 

 

彼の胸に流れ落ちた炎が、遂に外に、この鍛冶屋に広がるように燃え出した

 

この現象はただ一つ

 

 

 

「「っ!?」」

 

「ヴェルフ・・・貴方!?恩恵が!?」

 

『はい!彼も取り戻せました!!』

 

 

ヴェルフも自分の心を燃やして、ヘスティアの恩恵を取り戻した

 

恩恵を取り戻したことで、彼の特有の魔剣を作り出すことができる。今彼が作ろうとしているのは神器を超える剣

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが俺がベルを英雄にさせる剣!!これは神器でもあって、魔剣でもある剣!!その名は・・・・・希望の炎!『ウェスタ・エルピス』」

 

 

「まさか・・・神創武器と魔剣を合わせた剣。言うなら・・・・『神創魔剣』!!神器でもあり魔剣でもある剣よ!!未だ誰も作ったことのない神器の混合された剣よ!」

 

「ですが・・・・柄がありません!」

 

「なぜ刃だけ・・・」

 

『ベルさんが持っているナイフで繋げるんです。そうすればベルさんの力を大幅に上げることができるんです。そういう仕組みなんです』

 

 

希望の炎『ウェスタ・エルピス』

 

ヴェルフの血も注がれたと言うのに、刃にもピエログリフの輝きが機能している。そしてその刃から白い炎が溢れている

 

神器と魔剣が合わさった剣、人類初の新たな新種の剣。ヴェルフの全てを注ぎ込んだ剣。この新しい剣で、エピメテウスを倒すことができる

 

 

「休んでいる暇はねえ。アクタ!カリス!中央祭壇に行くぞ!!援護してくれ!!こいつをベルに届けに行くんだ!」

 

「「はい!お任せを!」」

 

「行ってきます!へファイストス様!」

 

 

「ええ、行きなさい。貴方の役目を」

 

『覚悟は決まったようですね』

 

 

もちろん休むことはない

 

これをベルに届けるまでは、だからヴェルフは傷を負っていながらも、ベルの所へ向かう。それが終わるまで、ヴェルフの戦いは終わらない

 

もちろんここを出た後も炎人は多い、アクタとカリスの援護を必要として、三人は中央祭壇へと向かっていく

 

 

「ヴェルフ・・・大きくなったのね。しかも神が作れなかった武器を・・・」

 

『ヴェルフさん、あとはお願いします』

 

「ヴェルフ。なんとかやるのよ」

 

 

へファイストスはもう体力切れ、ノームに守られながら、鍛冶屋で休む

 

全てをヴェルフに任せて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして命も

 

 

「ふふ・・・・やりました・・・」

 

 

「え?」

 

「何がだ!?」

 

『命さん!まさか主様がやりましたのですね!?』

 

 

「はい!ジーク殿がヘスティア様を助けました!それがこの印です!!」

 

 

「ジークさんが、ヘスティア様を助け出せたのですか!?」

 

「やったようじゃな、ジーク。何と言う無茶・・・・しかし、見事!!」

 

 

命にも印が付けられた

 

そして歓喜にも喜ぶ。望みが叶い。ヘスティアを救出することに成功したのだから、しかし、まだ戦いは終わらない

 

だから

 

武器を持って戦う

 

 

「ここまで成功したのなら、自分も負けていられない。ヘスティア様が救われても戦いは終わっていない。自分はまだ戦う!戦って終わらせる!!今度は・・・・自分の番です!!」

 

 

「っ!?ヤマトさん!?」

 

「なんだ!?ヘスティア・ファミリアの眷属の胸から、炎が!?」

 

『命さん・・・心を燃やしたのですね』

 

「そうじゃ・・それでいい・・・心と想いで動け、それこそ『人間の力』じゃ!」

 

 

命も胸から炎が溢れ出た

 

彼女の心からも炎が溢れ出す。想いこそ強さ。そんな思い込みの激しい言葉など、現実からすれば幻想に過ぎないだろう。

 

しかし

 

それでも命の力の源が想いであるなら、その想いが彼女の力となり、彼女の全てが発揮される

 

タケミカヅチに教えて貰った全てを、叩き込んだ上で、全てを吐き出す

 

 

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

「「「「「「ぐわあああああああああああああああああ!!」」」」」」

 

 

「ヤマトさん!?まさか・・・恩恵を!?」

 

「あの動きにして剣捌き。間違いない!?」

 

『取り戻したのですね。恩恵を!』

 

「うむ、それでこそじゃ。流石はジークとベルの仲間じゃ」

 

 

「・・・・・・そうか・・・私もここまでか」

 

 

命も恩恵を取り戻した

 

心を燃やしたことで、やっとヘスティアの封印が解けたのだ。彼女もやり遂げた。そしてその力が爆発し、目の前に居た戦士団や巫女も全て、居合いで蹴散らした。恩恵を取り戻したことだけで、彼女が今ここに居る誰よりも

 

命は上回った

 

その姿を、ウェスタの巫女は諦めを示す

 

これ以上は無駄になる。命の思いがウェスタの巫女に届いた

 

だから

 

 

「『命くん』!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「僕を倒すんだ!そうすれば塔は機能停止する!」

 

 

「・・・・わかりました!参ります!ヘスティア様!」

 

 

「そうだ!僕を倒すんだ!命くん!その手で切り開け!!」

 

 

「はい!うおおおおおおおおおお!!!」

 

 

ウェスタの巫女がわざわざこの塔の機能を停止することを、守る側の彼女がわざわざこの塔の攻略法を教える、しかも炎の結界も張らずに、倒されるように無防備になった

 

 

「行きます!・・・フツノミタマ!!!」

 

 

「ぐう!・・・それでいい・・・・強くなったね・・・命・・くん・・・があ!!」

 

 

命はウェスタの巫女を重力魔法で踏み潰した

 

そしてウェスタの巫女は光となって消えた。そして柱に集まった力は消えた。完全にヘスティアとしての行動を取ってしまっているが、それでもヘスティアの一部の存在。命が諦めないで戦う姿を見て、成長したなと親でありながら喜んだ、きっと本物にもその姿が届いているはず

 

 

「はあ・・・はあ・・・やりました」

 

「ヤマトさん!やりましたね!」

 

「ええ、ですがまだ終わっていません。この塔の機能は停止しました。ここまでに来た道である迷路も無くなっているはずです。このまま倒しに行きましょう。エピメテウスを」

 

「あの大英雄に挑むつもりか!?」

 

「自分たちの戦いは終わっていません。ヘスティア様は救われても、肝心の敵であるエピメテウスが倒されていません。今からベル殿の援護に行きましょう!」

 

「はい!わかりました!同胞!行きましょう!」

 

「まったく、ヘスティア・ファミリアの眷属は無茶苦茶だ。全員移動するぞ!中央祭壇に向かうぞ!」

 

「「「「「おう!」」」」」

 

 

東の塔は制圧完了した。柱の機能も停止完了した

 

しかし、まだ戦いは終わっていない。この戦いの黒幕であるエピメテウスは倒されていない

 

ベルだけに任せることなく、自分達にも何かできるはずだと、援護をしに向かう。先ほどまで苦戦しながらも疲れたと言うのにも関わらず、まだ諦めることなく、このまま黒幕の所へと、命を先陣として皆走っていく

 

残されたウンディーネとキュロスは

 

 

『キュロス様。これは貴方が予想していたことですか?』

 

「まさか、水の大精霊。ワシでもここまでとは思っておらん。じゃが、やはり大きくなっている。これでいいのじゃ。神々の想像を遥かに超える成長力を・・・」

 

『そうですか・・・とにかく私は命さん達を追います。貴方は?』

 

「ワシは遠くで見守らせてもらう。これはもう、ワシの出る幕じゃあないのでな」

 

 

ウンディーネはこれもキュロスが予想していた、狙いなのではないのかと思ったが

 

あいにく、彼はここまで想像しきれていない。しかし、それでもやはり神の思うような結末よりも、人間の起こす奇跡の方が遥かにいいはずだと、これ以上は何もせずに、子供だけにやらせるべきだと、キュロスはまた別の所に行き。遠くで子供達の戦いを見送る

 

ウンディーネは、『彼の正体』を知っているが故に、そうではないのかと思ったが、少なくともキュロスはそこまで想像しきれていないのなら、やはりこうなるように仕向けている訳ではないと、『首謀者』であっても、そこまでしないのなら、やはりベルの祖父であると、ウンディーネは彼を疑うことをやめた。大精霊であるウンディーネからすれば、このような『大神』は怪しいからだ

 

とにかく、これで二つ落とせた

 

 

残りは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリルカと春姫

 

 

「く!っ!・・・これは!?春姫様!印は来てますか!?」

 

「はい!来てます!ヘスティア様が助かりました!!」

 

 

「っ!?本当かい!?」

 

「ヘスティア様が、儀式をやめたのですか!?」

 

 

「はい!ジーク様が成功をさせました!!」

 

 

「だろうね、ヘスティアもまさか眷属まで命を賭けられたなんて知れば、止めるのは当然だろうな、彼女としては、ジーク君は本当に神でも容赦ないな」

 

 

 

リリルカと春姫にも印が届いていた

 

まさかの無謀な作戦が上手く成功を果たした。あまりの奇跡に一度は二人も涙を流した喜ぶ。初めはあまり二人はこの俺の作戦に賛成していなかった。しかし覚悟のある行動が奇跡を生んだ。まさしくこの瞬間はチャンスでもあり、逆転でもある

 

目的は果たした。あとは止めるべき相手をなんとか止めるだけ、命とベルとは違って、敵を倒すのではなく、止めると言う説得をしないとならない。

 

今の自分にできるかなんてわからない

 

しかし

 

 

できるできない関係なしに、やれなければならない

 

 

やっと目的は果たせた。あとは今立ち向かっている敵を止めることが残っている。今の自分にできることを

 

 

「どうしてなの!?なぜウェスタ様は儀式を止めるのです!?これでは私の幼馴染が救われない!」

 

 

「それは救いじゃあありません!」

 

 

「っ!?」

 

 

ミヌキアが、春姫達からヘスティアが儀式を辞めた知らせを聞いて、酷く絶望をした。炎で焼かれた幼馴染たちを救えないと、儀式が中止されたことに嘆く

 

しかし

 

春姫がそれを否定する

 

 

それは救いではないと

 

 

「わからないのですか!?それは救いじゃありません!それは苦しみを増やすことです!そんなことをしても焼かれた幼馴染は救われません!もう死んだ命が戻ることはないんですよ!それでも浄化すれば助かる命だと、本当に原初の炎をなんとか治せばなんとかなると思っているのですか!?」

 

 

「黙れ!!貴方に何がわかる!?」

 

 

「わかりますよ!!幼馴染を救いたい気持ちが!!だって私は元は娼婦で!幼馴染に関わらないで欲しいと!私が酷い人に無理矢理娼婦をされて、幼馴染が必死に助けようと一度は死にかけたんです!」

 

 

「っ!?」

 

 

幼馴染を助けたい気持ちは春姫もわかる

 

自分もそうだったから

 

彼女は元娼婦。幼馴染でもある命は、娼婦を無理してやっている彼女を助けようとした。そのためにその娼婦をした組織に殺されかけた。それを無理させた幼馴染を自分なんかのために死んで欲しくない。だからもう関わらせないように、彼女を無理しないで欲しいと、助けを求めなかった

 

だからわかる

 

幼馴染を想う気持ちは

 

 

「もうやめましょう!こんなことをしても意味はありません!そんなことをして救われないと、なぜわからないのですか!!私のように後悔するだけですよ!」

 

 

「黙れ!貴方の綺麗事なんて聞きたくない!!」

 

 

「っ!」

 

「春姫!!」

 

 

ミヌキアは彼女の説得があまりに気に食わないのか、彼女に炎を投げた

 

春姫はそれに対して避けようともせずに受け止めようとする

 

こればかりは逃げないで向き合おうとしているのか、彼女の痛みを受け止めようとする

 

 

しかし

 

 

『『ガアア!!』』

 

「っ!?」

 

 

「なに!?」

 

 

「なんだ!?炎人二体が春姫を守った!?」

 

 

突然あり得ぬことが起きた

 

自我のない炎人が急に春姫の前に立って、ミヌキアの炎を受け止めた。そんなあり得ぬ出来事に、春姫すらも驚く

 

なぜその炎人が春姫を守ったのは

 

それは

 

 

『オネガイ・・・・ミヌキア・・ヲ・・タスケテ』

 

『カノジョ・・ヲ・・・タスケて』

 

 

「っ!?」

 

 

「なんだ?炎人が何か言っているぞ?」

 

 

「まさか・・・貴方達は・・・」

 

 

『カノジョヲ・・・トメテ・・・』

 

『ミヌキア・・ヲ・・・スクッテ・・』

 

 

「・・・・っ!わかりました!!任せてください!!」

 

 

春姫の耳には届いた

 

今の目の前に居た炎人は間違いなく、ミヌキアの幼馴染二人

 

その炎人も、ミヌキアを助けきれなかった怨念が宿っているようで

 

ミヌキアを止めてくれと、春姫も同じ幼馴染を想う者同士として、この想いを通す

 

 

春姫は炎人の両隣の間に立つ

 

 

「ミヌキア様!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「貴方の苦しみは・・・私が癒します!!」

 

 

ブウウン!!!

 

 

「っ!?隣に居た炎人が!?春姫の体に入っていく!?」

 

 

春姫は覚悟を決めた

 

もう絶対にその苦しみを増やしてはならないと、今苦しむ幼馴染を守ろうと、ミヌキアの前に立ち

 

 

ミヌキアの幼馴染が、一つの炎になり、春姫の胸の中に入っていく

 

 

そして春姫の胸からも、想いの炎が

 

 

「もう私は!苦しみから逃げたりなんてしない!!ちゃんと受け止める!!!」

 

 

ボワアアアアアア!!!

 

彼女の胸に秘めた炎が、今この場全体に溢れ出て広がる

 

彼女の想いが力となって覚醒した

 

 

「っ!?春姫ちゃんも!恩恵の封印を解いた!?まさかあの炎人二体が春姫ちゃんの力になったのか!?彼女も原初の炎を会得したのか!?」

 

 

そう、彼女も恩恵の封印を解除した

 

想い一つで

 

そしてあの焼かれた炎人の炎から力を貰い。このミヌキアの幼馴染である炎人の執念を癒すために、二人から力を貰い

 

今苦しんでいるミヌキアを助けようと

 

炎を手にした春姫は、ミヌキアの方まで走る

 

 

「うおおおおお!!」

 

 

「く、来るな・・・来るな!!!」

 

 

ミヌキアはそれに恐れて、春姫に炎を投げ込む

 

効かない

 

ミヌキアの幼馴染が春姫を守っているのか、彼女の体から炎のようなオーラが流れ、彼女の体を守る

 

 

「く!!」

 

 

「っ!」

 

 

炎を何度も投げても倒れない春姫は、ミヌキアの目先まで辿り着く

 

 

そして

 

 

「もう苦しまないで!!」

 

 

「な!?」

 

 

「貴方の幼馴染は!今も貴方を見守っています!」

 

 

と、春姫は優しくミヌキアを抱き付く

 

苦しい嘆きを癒そうと、彼女は優しく彼女を抱きしめる。以前にも春姫はベルに助けられたように、今度は春姫がミヌキアを助ける

 

春姫が彼女を抱きしめたのは。それだけじゃない

 

 

「聞いて!!この二人の声を!」

 

 

「声?」

 

 

『ミヌキア・・・・』

 

『ワタシタチヨ・・・・・オボエテイル?』

 

 

「っ!?」

 

 

突然、ミヌキアの耳にも声が聞こえた。誰に聞いてもわからない声が、春姫にはわからない声が、ミヌキアにも聞こえた

 

そしてその声はミヌキアが一番に知っている声。

 

少し裏声のような声ではあるが、間違いなく知る声

 

この声は

 

 

「まさか・・・・『アルテア』『リア』!!」

 

 

春姫に力を授けた炎人はミヌキアの幼馴染

 

アルテアとリア

 

春姫を抱きしめられたことで、彼女のたちの声がしっかりと聞こえた。その二人がミヌキアを止める

 

 

『ワタシは・・・ダイジョブダヨ!』

 

『ミヌキアとガルシアを・・・・マモレタカラ、コレデ・・・・マンゾクダヨ』

 

 

「ああ・・・・・そんな・・・でも・・・」

 

『ジャア・・・ヤクソクシテクレル?』

 

『ソレヲ・・・シテクレレバ・・ウレシイヨ?』

 

「何を?」

 

 

『ガルシアと・・・・結婚式を・・アゲテ』

 

『幸せな二人で・・・・アゲテ』

 

 

「アルテア・・・リア・・・」

 

 

『ガルシア・・・キイテ』

 

『ワタシタチハ・・・ダイジョウブダヨ・・・ミヌキア・・ヲ・・・幸せに・・・してアゲテ』

 

 

「アルテア・・リア・・・お前達・・・すまねえ!!」

 

 

『ミヌキア・・・・』

 

『聞いて・・・・・』

 

 

「なに?・・・・・」

 

 

 

『『結婚おめでとう!!』』

 

 

 

「うう・・・・ありがとう!!」

 

「ああ!!絶対に幸せにしてみせる!見ててくれ!!」

 

 

彼女に抱きしめてくれたことで、しっかりと二人の声が聞こえた。それを聞いて、ガルシアまでも、その言葉を聞いたことで涙を流し、祝えなかったお祝いの言葉も聞いて、もう二人の声が聞こえなくなった。

 

もう春姫の中に入り込んでしまったからなのか、もう彼女達二人の声が消えた

 

 

「ミヌキア様・・まだやり直せます。お二人の願いは生き返らせることではなく、お二人が幸せになることです。その願いを叶えましょう」

 

 

「うう・・・ええ・・・もう私はこんなことを止める。もうあの炎には頼らない。私はこれからも・・・ガルシアと歩いていくから・・・」

 

「ああ、俺も彼女達の願いを叶えるために、こんなことはもうやめだ」

 

 

「お前・・・・・」

 

 

ミヌキアとガルシアはもう戦うことをやめた

 

彼女達の願いは二人が幸せになること、彼女達が救われることではないと知った瞬間、もうこれは意味はないと、ガルシアも一度武器を下ろした

 

春姫の説得が上手くいった

 

 

しかし

 

 

 

『『『ガアアアア!!』』』

 

 

「炎獣!?なんでこのタイミングに!?しかもなんで春姫の近くに!?」

 

「まさか!・・春姫さんが恩恵を取り戻したのを脅威に感じたからなのか、彼女を先に潰すつもりです!!」

 

「っ!!春姫!!!」

 

 

突然春姫の周りに炎獣が現れた

 

聖火の女神の恩恵を持つ彼女が脅威だと感じたからなのか、炎獣が他の戦士団や巫女達を無視して、春姫だけ狙おうとしている

 

いち早くアイシャドウが助けようとする

 

 

でも

 

 

彼女はもう逃げない

 

 

「大きくなれ!」

 

「っ!?詠唱!?」

 

「其の力に其の器。数多の財に数多の願い。鐘の音が告げるその時まで、どうか栄華と幻想を、大きくなれ!!神撰を食らいしこの体。神に賜いしこの金光。槌へと至り土へと還り、どうか貴方へ祝福を!!」

 

「これは・・・・九尾!?まさか!?春姫!力を寄越しな!!!」

 

 

 

 

「ウチデノコヅチ!!!」

 

 

 

彼女の尻から『九重尾』と呼ばれる九本の尻尾が具現化された

 

おそらくあの二人の炎を貰った上で発現させたものに過ぎないが、その力が一つではなく

 

複数へと力が分けられていく

 

その力は『仲間全員』に分けられていく

 

 

「これは!?」

 

「力が漲る!!」

 

 

「金光の加護・・・まさかこれは!?」

 

「そうさ!!レベルブーストの全体付与さ!!」

 

 

「イシュタルが欲しかった力が、春姫ちゃん自身で開花させた!!彼女もまた成長した!!」

 

 

かつてイシュタルが手に入れたかった力を、彼女が開花させた。殺生石も無しに

 

彼女も大きくなったのだ。一人にしか付与できないレベルブーストを、味方全体に付与できるようになった

 

 

「アイシャさん!皆さん!お願いします!!守ってください!!」

 

 

「任せな!!さあ!やり返すよお前ら!!」

 

「「「「「おお!!!」」」」

 

「これならやれます!!」

 

 

春姫が味方全体に付与したことで、全員レベル1上がる。アポロンの眷属はレベル3に、アイシャとアスフィは5。これなら炎獣が多くても無双ができる

 

 

「蹴散らせ!!!」

 

「「「「おおお!!!」」」』

 

 

『『『ガアア!!??』』』

 

 

あれだけ多く居た炎獣が次々へとアイシャとアスフィたちが倒していく。完全に形成逆転。今レベルが高くなったアイシャ達を倒すことは炎獣には不可能

 

 

「来れ!蛮勇の覇者!雄々しき戦士よ、たくましき豪傑よ、よく深き非道の英傑よ!女帝の帝帯が欲しくば照明せよ!我が身を満たし我が身を貫き、我が身を殺し証明せよ!飢える我が刃はヒッポリュテー!!ヘル・カイオス!!!」

 

 

『『『『ガアアアアアアアアアアア!!!』』』』

 

 

『タラリア!!殲滅します!!!』

 

 

『『『『ガアアアアアアア!!』』』』

 

 

数多かった炎獣がどんどん消えていく、そんな姿を見ている戦士団や巫女たちも戦意を無くしていく。あの圧倒的な力を見せつけられて、彼らは戦う気力を失くす

 

 

しかし

 

 

 

「私は・・・それでも!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

アエミリアだけは認めなかった

 

今体に残る炎の全ての力を解き放つ。無双するアイシャとアスフィを襲い掛かる。

 

 

「く!あんた!」

 

「まだこれでも止まりませんか!」

 

 

「私には救いたい妹がいる!こんなとこで終われるか!!」

 

 

アエミリアは諦めきれない

 

妹を失った執念が大きく、ヘスティアが儀式をやめたとしても、もう一度再開させて炎になった妹を救うために、悪事であろうと救おうして見せようとする

 

たった一人の妹のために、姉である彼女は戦い続ける

 

 

「アエミリア様・・・どうしたら・・・」

 

 

そんな姿を見て、リリルカはなんとかしようとする。その姿はまるで道を踏み外しかけた自分の姿に似ている。きっと彼女はアエミリアと同じ存在。大切な者を失い。それをずっと味わった自分と同じ

 

しかし

 

それでもリリルカに何ができるのか、頭で何度も考える

 

 

そんな時

 

 

『助けて・・・・』

 

 

「っ!?」

 

 

突然リリルカの横で小さな炎人が居た。でも梅き声ではなく、人の声だった。聖火の恩恵の一部を持っていたからなのか、リリルカはその小さな炎人の声が聞こえた

 

そして、それがリリルカの知る人間だと

 

 

「まさか・・・アエミリア様の妹様・・・」

 

『お姉ちゃんを助けて・・・私じゃあ・・・何もできない・・・助けたい・・・苦しんでいる・・お姉ちゃんを助けたい!!』

 

「・・・・・・・」

 

『私は・・いつもお姉ちゃんに迷惑をかけて・・助けられてばかり・・・いつも私は何もできなくて・・助けたい!苦しんでいるお姉ちゃんを助けたい!』

 

「っ・・・・・・・」

 

 

その小さな炎人は泣いていた。

 

姉もそうだが、一番に苦しんでいるのは妹の方だった。今まで本当は助けたかったのだろう。リリルカは彼女の記憶を通して今までの光景が見えた

 

アエミリアの妹は、今何もできないリリルカと同じだった

 

本当は気持ちではなんとかしたいとあるのだが、力では何も及ばずで、アエミリアの妹はいつも姉には及ばずで、いつも姉に頼って生きてきたらしい。そしてあの災害で自分が焼かれる所を見たアエミリアは嘆くように泣き叫んだを見た。そんな姿を見た彼女はこう叫ぶ

 

 

『迷惑をかけてごめんね。お姉ちゃん』

 

 

それを見て聞いたリリルカは、まるで今の自分だった

 

今もそうだ。春姫は何かできて自分にはできていない。少しでも力にならなければ、一人では何もできない

 

なら

 

 

二人でなら

 

 

「聞いてください!」

 

『っ!?』

 

「リリが力になります!私の体を使ってください!!あなたと私でアエミリア様を助けましょう!!」

 

『っ!・・うん!!お願い!!』

 

「行きますよ!!あなたの名前は?」

 

『『アエロア』!!』

 

「アエロア!!一緒にお姉ちゃんを助けましょう!!」」

 

『うん!!』

 

 

リリルカはその小さな炎人の手を取る

 

そして彼女と言う炎が、リリルカの胸の中に入り込む。熱く焼ける苦しい炎。だが、それでも受け入れ。今度こそ悲しむ誰かのための力になりたいと、想いを貫き体が燃え盛る

 

 

「リリちゃん!?」

 

「リリ様!?」

 

 

そんな炎人と一つとなって燃える彼女をヘルメスと春姫が見た

 

これは死ではない。誰かの力になれるような炎のような熱き想い。灰になっても消えぬ。誰かのための力と言う炎

 

 

「私の刻印は私のもの。私の刻印は誰かのもの!!リリは・・・皆の力になる!!!」

 

 

ブワアアアアアアアア!!!」

 

 

「っ!これは!?」

 

「なんと言うことだ!?まさかリリちゃんも恩恵の封印を解いた!?想いだけで!?」

 

 

彼女は次に行動に移したのは、詠唱

 

誰かのためになれる力と誰かを救う光と言う名の炎を、その二つになろうと、弱い自分を受けいれて、強い自分になろうと、誰かのように強く変わろうと、姿が変貌する

 

 

「シンダー・エラ!!」

 

 

「っ!?なに!?」

 

 

魔法名を唱えた瞬間

 

焼かれた体が、今度は光り輝き、その場の全てを照らし出しだ。眩しく輝く光はその階層の全てを一瞬だけ照らし、その光は徐々に小さくなる

 

そして小さくなった光から、人影が見えた

 

その人影の姿は

 

 

 

「お姉ちゃん・・・・」

 

 

「っ!?アエロア!?」

 

 

リリルカに包まれた光は、アエミリアの妹の姿へと変わった。

 

彼女が使った変身魔法は、アエロアに変身することだった。でも少し違う。変身したのは何も姿だけではない。心も。少し彼女に貸している。だから今の姿は間違いなくアエロアである

 

体はあくまでリリルカなだけである

 

 

「お姉ちゃん。もういいんだよ。私お姉ちゃんに今までたくさん助けて貰ったからもう大丈夫だよ。私はもうお姉ちゃんと一緒にいられてよかったよ。もう叶わなくなるけど、今度はお姉ちゃんが幸せになるようなことを探して生きてほしい」

 

「そんなことない!アエロア!私は貴方に何もしれあげらなかった!私は何も・・・」

 

「ううん。いつも一緒に居てくれた。それだけで私は嬉しいから!」

 

「ア・・アエロア・・・」

 

 

「お姉ちゃん!私は死んでもお姉ちゃんの側に居るよ!!お姉ちゃん大好き!!」

 

「ええ!!私も大好き!!私もいつでも一緒だからね!」

 

 

アエロアは涙を流すアエミリアに強く抱きしめる

 

もう一人でも大丈夫。なぜなら心の中でいつも居る。一人で不安な姉を、何もできない自分が唯一できることで励ます

 

誰も燃やすことのできない永遠の姉妹愛

 

 

リリルカができる。最高の力だった

 

 

強く抱きしめた後、アエロアとしての体は消え、リリルカとしての姿へと元に戻る。そしてリリルカからもアエミリアに一言

 

 

「貴方はもう一人じゃない。そしてアエロア様はいつでも貴方の中で生きてます。だから、今貴方は妹さんのために、このオリンピアで生きましょう」

 

 

「・・・・・・ええ・・・・それがあの子のためになるなら・・・・」

 

 

アエミリアは確かに妹を亡くした

 

しかし、それでも彼女の中にアエロアは居る。だからもう救う必要はない。そしてここで生きて、多くの仲間と共にこれからも生きてゆく

 

やっと

 

アエミリアも。今のリリルカと同じく、誰かのためになれる自分になった

 

 

「皆さん。もうやめましょう」

 

「アエミリア様・・・・」

 

「もうこれ以上は苦しみです。こんなのは無意味です。やめましょう」

 

「っ・・・・・わかりました。全員!戦闘中止!」

 

 

 

「ふう、なんとか巫女や戦士団も収まってくれたか」

 

 

アエミリアが他の戦士団や巫女達に戦闘中止する指示を送った

 

もう儀式を再開させる理由も、燃えた人たちを救う必要はない。なぜならもう救われたから、苦しんで生きるアエミリアやミヌキアを救えた。

 

これ以上戦っても無意味

 

 

だから

 

 

「そうだ。戦いをやめよ。これ以上得られるものはない」

 

 

「ウェスタの巫女」

 

 

「二人ともこっちに・・・・」

 

 

「春姫様!」

 

「はい!」

 

 

ウェスタの巫女が巫女達の悲しみを見て、これ以上の戦いは無意味と判断し

 

この柱も、もはや力を温存させる意味も泣いため、この先は子供達の戦いのみで決着をつけるべきだと、ここの戦いも終わらせようとする

 

 

「二人とも、ここまでよく頑張ってきた。二人も成長したんだね」

 

「ヘスティア様・・・」

 

「僕はヘスティアじゃない。そのヘスティアの一部なだけで偽物だ。でも君達が大きくなったことだけはわかるよ」

 

「ヘスティア様。私たちは諦めません。例え過去の英雄が相手でも・・・」

 

 

「そうか、わかったよ。それじゃあ・・・本物の僕によろしくね。さあ、あともう少しだよ」

 

 

と言って

 

リリルカが自身が防衛として用意した魔剣で

 

 

ウェスタの巫女を斬った

 

 

そして彼女は光となって消え、柱の機能は停止し、ヘスティアが溜めていた神の力が消えていく

 

 

これにて、全ての塔にある柱は制圧完了した

 

 

ヘスティアは救われ、儀式もできなくなり、ほぼ目標は達成した。

 

 

 

しかし

 

 

 

まだ現況であるエピメテウスと原初の炎は残っている

 

 

 

あの男が残っている以上、例えヘスティアが救われたとしても、儀式ができなくなったとしても、あの男が世界に復讐をしようとする限り、この戦いは終わらず、いつまで経っても戦いは終わらず、オリンピアも救われない

 

 

つまりはまだ戦いは終わっていない

 

 

いくら塔を全て制圧しても、まだ戦いは終わらない。元凶を叩かねば

 

だから

 

 

「春姫様、ベル様のところに行きましょう!」

 

「はい!エピメテウス様は、今は絶対にベル様のところに居るはずです。私たちも行きましょう!」

 

「今から援護へ向かうのですか?」

 

「あの古代の英雄様を相手に?」

 

「ベル様だけにそれをやらせるのも苦しいです。だから自分達もエピメテウス様を抑えに行きましょう」

 

「神器を持つ相手でも。諦めないで戦いましょう。ウチデノコヅチはまだ使えます。疲れているとは思いますが、あともう少しなんです。頑張って行きましょう!」

 

「わかりました・・・あとあの大英雄だけですからね」

 

「あいよ。あと一人を倒して終わりなんだ!アポロンの眷属共!もう踏ん張りしな!」

 

「「「「おお!!」」」」

 

 

リリルカと春姫と話し合い、このままベルのところに行って、エピメテウスを倒しに援護をしに行く

 

目的は果たしても、まだ敵は残っている

 

その敵を撃ち倒しに、ベルの援護へと向かう

 

 

 

 

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