ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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神を信じ、仲間を信じ、己を信じる

 

 

 

そして最後にベルにも届く

 

 

「く!・・・・っ!?これは!?」

 

 

「どうしたのベル!?」

 

「白兎の左腕から血が流れてきたぞ!?」

 

「まさか!?ジーク君がまた自分を傷つけることをしているのか!?」

 

 

最後にベルにも知らせが届く。

 

ベルの左腕にもしっかりと印の傷が付けられた。もちろんこの印のような傷の意味はわかっている

 

だからまずは喜びを見せてしまう

 

 

「っ・・・やりました!!ジークさんがヘスティア様を助けることができました!これはその知らせの印です!!」

 

 

「え!?ヘスティア様が儀式をやめたの!?」

 

「まさか・・・・成功させたのか!?」

 

「やっぱりヘスティアは儀式をやめたか、それはそうだろうな、ジーク君達が心中するような真似をしたら、家族を守ろうとした身としては、やめないなんてことは彼女なんてしないだろうな。ジーク君も家族のために他の仲間の命をも危機に晒すなど、ベル君も含めて本当に覚悟がある」

 

 

ベルがイリア達にも伝えた。『ヘスティアが儀式をやめて、俺たちの所に戻ってきた』と

 

イリア自身としては予想外だと思い。ヒュアキントスもそう思っている。まさか下界の救済をやめて、眷属が心中をやめさせるために儀式を中止するとは思いもしなかった

 

だがアポロンは絶対にこうなるとわかっていた

 

俺がヘスティアの儀式を行う場合は心中すると言う作戦をすると言うのは間違いなく知らなかった。でもそんなことをされたら、神々の中で一番優しいあの女神が、そんなことをされたら、今やっていることが無駄になる。そうなるのなら、今皆で一度考え直してなんとかする方を、選ぶ他彼女に選択がなかったのだろう

 

彼女をよく知るアポロンなら、彼女はそうするしかないと、また眷属一枚取られたと、ますます俺たちがすごい存在だとアポロンは思っていた

 

 

ベルは喜びを見せるが

 

 

しかし、エピメテウスは

 

 

 

「そうか、それは都合が良い」

 

 

「「「っ!?」」」

 

「・・・・・・・」

 

 

「利用できる女神が自ら儀式をやめたのなら、尚更俺の野望が叶いやすくなる。感謝はするぞ聖火の女神の眷属達」

 

 

エピメテウスとしては自身の野望がより近づく行為であるため

 

彼も喜びでもあるが、それと同時に完全な悪意を示している。原初の炎は彼女の半分のアルカナム。つまりは彼女が一番に原初の炎をコントロールできる。彼女が儀式に出たのなら、より自分が彼女を利用できると、俺のやったことは自分達ファミリアのためにはなったが、同時にエピメテウスの目論みにも叶えてしまう

 

だが、そんなものは

 

 

「貴方のためじゃあありません。神様を貴方には渡したりなんてしません!」

 

 

「それができるのか?ジーク・フリードより弱いお前が!!小僧!!」

 

 

「ぐ!ぐわあ!!」

 

「ベル!!」

 

 

ベルが何がなんでもヘスティアはエピメテウスには絶対に渡さないと断言するが

 

それでもエピメテウスに未だ敵う相手ではないことは変わりないため、またもエピメテウスの黒い火炎を受けてしまう。まだ攻められている状況であることは事実変わりない

 

 

「く!・・・」

 

 

「ここまで追い詰められて、まだ諦めないと言うか!!」

 

 

「はあ・・・はあ・・・ええ!諦めませんよ!絶対に貴方の野望を止めます!!」

 

 

「そうか・・・そこまで言われて、尚俺に立ち向かうと言うか、なら!殺すまでだ!!」

 

 

「あれは!?ベル!逃げて!!」

 

「っ!?」

 

 

エピメテウスがあまりにベルがひつこく立ち上がるのが気に食わぬ、そして何度心を折るようなことを言っても、折れることなくベルは何度言われても。自分に立ち向かってくる鬱陶しさに、もう我慢できず、そろそろベルにトドメを刺そうと

 

穢れた炎を使う

 

それがわかったイリアは、ベルに今すぐ避けろと指示をするが、魔法ではないため、放つのが速攻であった

 

 

「罰せよ!!カフカス!!!」

 

 

「ぐ!?ぐわあああああああああああ!!!」

 

 

「ベルウウウウウウウウウウウ!!!」

 

 

エピメテウスの本気の炎の技に、ベルは直撃を受けてしまい。そのまま後ろにあった壁すらも壊され、そのまま外へと吹き飛ばされた

 

 

「うわああああああああああ!!!」

 

 

先ほどベルが居た場所は塔の最上階に近い所、そこから真下へと落下していく

 

 

「ぐ!ぐわあああ!!」

 

 

落下した先は

 

 

運よく、中央神殿の入り口前だった

 

ヘスティアに祭壇の入り口前に落とされてしまった。塔の最上階からここまで落下されて死なないのはもはや奇跡でしかないが、それでも俺が付けた傷と言い、今のエピメテウスの一撃も含めて、今かなり危険な状態となっている

 

 

もちろん、休む暇もなく

 

 

「小僧?これでもまだ同じことが言えるか?中央祭壇を前にして、これだけ追い詰められてまだそんなふざけたことを言うか?あの男もそうだが、お前も信じがたい存在だ。これだけ言われてまだ足掻くか?」

 

 

「はあ・・・はあ・・・何度でも・・・僕は!!」

 

 

塔の最上階から、ここまでエピメテウスは飛んできた。エピメテウスもこれだけで死なないとわかっていたのか、もしくは倒れる無様な姿を見たいのか、ここまで来た

 

もちろんベルはもう瀕死に近い。だけど諦めない。何があろうと、どんな攻撃を受けても

 

だから、そんなイラつきを見せたベルに、もうエピメテウスは我慢がならない

 

 

「なら殺してやる!!お前が何度も立つのなら!俺が息の根を止めるまでだ!!」

 

 

「く!・・・・・」

 

 

エピメテウスはもうこれ以上ベルの言葉など聞きたくないからと、今度こそ命を絶たねばわかるまいと、先ほどの攻撃よりも更に大きい攻撃を放つ

 

もちろん、今のベルに避ける気力はない

 

それを受けても

 

諦めたくないとベルは受け止めようとする

 

 

「これで果てるがいい!!!」

 

 

「っ!!」

 

 

エピメテウスの炎の鷲と言う剣から、大きな炎が放出された。その炎をベルは避けることなく受け止めようとする

 

死にそうになっても諦めぬと覚悟を入れる

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

「いちいち世話の焼ける兎だ!!くだらん張りなどするな!!」

 

「っ!?」

 

 

 

ベルの前にヒュアキントスが現れた。ここまで来るのに、階段だけでは下るだけでは間に合わないはず、まさかとは思うが、彼はあのベルが吹き飛ばされた、塔の最上階の壁の穴から出てきて、ここまで落下して降りてきたのだ。

 

そしてベルの盾となった

 

本来ならそんなことをするわけないだろう。今だってアポロンのためだけに戦っているに過ぎない。しかし、それでもベルが必死にも攻撃を受けてもそれでも立ち上がる根性に、自分は何もしないでベルに負けるのだけは、アポロンの眷属として不甲斐ないと、こんな小僧に負けたくないと、自分もエピメテウスの攻撃を自ら受ける

 

 

「お前・・・・その小僧を守ったか。要らん真似を・・・・・」

 

 

「ヒュアキントスさん!?」

 

「誰が・・・守っただと?・・・・俺はこの兎に負けたくなかっただけだ・・・この兎が仲間・・・だと・・・ふざけたことを抜かすな!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「私はアポロン様の眷属だ!!私はアポロン様のために戦う戦士だ!!貴様と違って誰かのために戦う私とでは、格が違う!!私は神ヘスティアのために戦うのではない!!アポロン様のためにこの下界を救うのだ!!」

 

 

「くだらんことを抜かすか!!」

 

 

「我が名は愛!光の寵児!我が太陽に木の実を注ぐ!!」

 

 

「詠唱か・・・・」

 

 

「我が名は罪!風の悋気!一陣の突風をこの身に呼ぶ!放つ火輪の一投!来れ西方の風!!『アロ・ゼフュロス』!!!」

 

 

ヒュアキントスがベルを守ったのは、決してベルのためではない、ベルよりも自分は自身の神のために覚悟あると言う示しを見せたかっただけ

 

だからベルを殺そうとする炎を自信が己で受け止め、それでも死なない。その強さを示した。だが、それで終わりではない。今ここでベルよりも先にこの男を始末しようと、瀕死になりながらもそのまま自身の魔法を放って倒そうとする

 

 

しかし

 

 

「ふん、小賢しい!!」

 

 

「な!?弾いた!?」

 

 

「お前が先に消えるがい!」

 

 

「ぐわあ!!」

 

「ヒュアキントスさん!!??」

 

「がああ・・・・・」

 

 

エピメテウスがあまりにヒュアキントスが鬱陶しいのか、彼の腹には、エピメテウスの剣を串刺しされた

 

流石のヒュアキントスもこの重傷には耐えられない

 

 

「哀れだな・・・神の恩恵を受けてこの程度で、そして神は自身の子供がこんな傷を受けて尚、神々はお前を助けたりなどしない。神々は相変わらず、子供を玩具としか思ってないからな、子供が死にかけても助けない。プロメテウスも同じだ。結局神々は我々を助けたりなどしないのだ。そいつらのために戦っても無駄なことだ」

 

 

「だから・・神を恨み・・世界を壊すのか?」

 

 

「・・・・・何?」

 

 

「我が主は私の成長を見守っているのだ!私もアポロン様の助けを求めない!!私はアポロン様に助けて貰うために戦っているのではない!!アポロン様を守るために戦っているのだ!」

 

 

「なんだと?」

 

 

「これは神愛だ!これを疑うような真似など私にとって一生の恥だ!私はこの命をもアポロン様のために捧げる!貴様の言葉など聞く耳持つか!」

 

 

「くだらんことを・・・」

 

 

「お前は間違いなく愚物だ!!目と耳を塞ぎ、何が信じられないからと世界に復讐するだと、貴様はただの馬鹿だ!!神でだけではなく他者の言葉にも耳を貸そうともしない。憎悪に焼かれて周囲に破壊をもたらす!ふ!滑稽とは貴様のことだ!!!」

 

 

「黙れ・・・」

 

 

「昔日の英雄が逆恨みとは!哀れにも程がある!!絶望したと言うのなら大人しく隠居でもしていろ!!老害!!!」

 

 

「黙れと言っているだろうがああああ!!!」

 

 

「グフ!!」

 

「ヒュアキントスさん!?」

 

 

ヒュアキントスは下界ですらもどうでもいい。この世に生きる理由などない。しかし、そこにアポロンが居る。ただそれだけのために彼は生きている。彼にとってそれがこの世で全ての幸せだった。だからそのために命をも使う

 

今エピメテウスに、腹に串刺しされた剣を、更に奥に押し込まれたとしても

 

だから

 

 

「ぬう!!」

 

 

「っ!?何を!?」

 

 

「貴様に見せてやる。神を思う我が信念を!!」

 

 

ヒュアキントスは武器を捨て、剣を握るヒュアキントスの手を両手で掴む。それをする理由がある

 

それは

 

 

ヒュン!!!

 

 

「っ!?なに!?奴の魔法がこっちに跳ね返ってきた!!」

 

 

「これが私の覚悟だ!!!『ルブレ』!!!」

 

 

ドカアアアアアアアアアン!!!

 

 

「一緒に爆発した!?」

 

 

ヒュアキントスは無駄に魔法を放ったわけではない。彼の魔法は放った後に狙った相手まで跳ね返る仕組みの魔法である

 

エピメテウスの両腕を掴んだ状態で、共に自爆を仕掛けた。自分とて主神のためなら命をも賭けられると、別に張り合いをする場合ではないが、ヒュアキントスは嫉妬がましい性格があると言うか、俺やベルに何やら負けたくない意地があった

 

だが、今の行いは自殺に等しいため

 

 

「がは・・・・はあ・・・・」

 

「ヒュアキントスさん!?」

 

「やめろ!・・・貴様にも助けなど求めない・・・これは私があのお方に捧げる・・・犠牲だ・・助けなど要らない」

 

 

爆発の煙から、ヒュアキントスさんが出てくる

 

腹から剣は抜けたが、全身火傷を負っていて、ふらふらと体を揺らしながらよろけていた、ベルは倒れそうになる彼を背負うとしたが、手で振り下ろされてしまい、これは自分のしたかったことだったと、他者の助けを求めない

 

しかし

 

 

「そんなことを言っている場合じゃないですよ!」

 

「おい!やめろ!」

 

「ここに居たら危険です!それに早く貴方をどこかに避難させないと、エピメテウスが!」

 

「なに?・・・・っ!?」

 

 

「ただの小僧だと思って、甘く見ていたようだ」

 

 

「な!?」

 

「あれでは倒れません!あの人は原初の穢れた炎を持っているんですよ!魔法だけでは勝てません!」

 

 

ベルは無理矢理でもヒュアキントスの左腕を掴んで無理に背負うとする。ヒュアキントスがそれを受けたくないと、振り払おうとするが、ベルが無理に彼をここから逃がそうとするのは

 

 

まだエピメテウスが生きているからだ

 

 

あの程度であの大英雄は倒れない。穢れたの炎の全てを持つ男、その炎が彼を守っているため、実質体が炎の壁で全体にまで、できているため、ヒュアキントスの意地の魔法でも絶対に倒れない

 

 

「どうやら俺は甘く見過ぎていた。お前達の意地だろうが、俺においてはどうでもいいことだ。これ以上お前たちの言葉を聞くのも耳障りだ」

 

 

「この炎の増加!?まずい!!」

 

「く!?」

 

 

「消えろ!!!」

 

 

「ちぃ!?」

 

「な!?」

 

 

エピメテウスは、まさかここまで自分が揚げ足を取られるとは思いもしなかった

 

しかも、まだこんな幼い子供二人に、ここまで手こずらせるなど、もう流石に付き合っていられないと、さっさと殺して終わりにしょうと、自身の体にある炎のほとんどを使って、ベルとヒュアキントスをさっさと始末する

 

二人に、更なる大きな炎の波が襲いかかる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

『ハイドロ・ウエーブ!!』

 

「ルミノス・ウインド!!!」

 

「フツノミタマ!!」

 

 

「っ!?なに!?」

 

 

「これって・・・・ウンディーネさん!リューさん!命さん!」

 

「リッソス・・・・・」

 

『お待たせしました。ベルさん!』

 

「ここから先は私たちも!」

 

「助太刀します!ベル殿も!」

 

「しっかりしろ!ヒュアキントス!我々も来たぞ!」

 

 

「他の眷属共か・・・あの巫女共と戦士共はしくじっか・・・」

 

 

大きな炎の波を、大きな水の波と風の弾丸と重力魔法で塞がれた

 

それをしたのは、ウンディーネとリューと命だった。その後にリッソスや他のアポロンの眷属もやってきた。東の塔を制圧した命たちが加勢にやってきた

 

 

更に

 

 

「リリたちも居ますよ!」

 

「助けに来ました!」

 

「後は貴方だけです。エピメテウス」

 

「あんたをぶっ潰せば終わるってことだろ?簡単じゃないか・・・」

 

 

「リリ!春姫さん!アスフィさん!アイシャさん!!」

 

 

ここで西の塔の制圧していたリリルカと春姫たちも加勢に入る。良いタイミングで皆が揃った。これで塔を制圧した者たち全員がここに集った

 

 

残りはエピメテウスのみ

 

 

この男だけを倒せば、今度こそこのオリンピアの事件を終わらせることはできる。この元凶にして黒幕を倒せば今度こそこのオリンピアにも明日がやってくる

 

だが、簡単ではない

 

 

「ふん、貴様らなど所詮は烏合の衆、穢れた炎を纏うこの俺に敵うとでも?」

 

 

「そんなことを一々言われなくても、リリたちが一番わかっています」

 

「ですが、それでも引き下がるわけにはいきません!」

 

「貴方を止めるまで、死ぬまで足掻くまでです!」

 

「そうでなければ、ここまで来たりなどしません」

 

「貴方が昔日の経験があろうとも、私たちは貴方が世界を壊す者なら、力づくで止めるまでです」

 

「そういうことだ。観念することだね」

 

『どう言われようと、私も彼女たちも、大英雄である貴方を相手にしても下がる気はありません、貴方の目論みは絶対に阻止させていただきます』

 

 

「水の大精霊までも、俺の邪魔をすると言うのか、小賢しいことを・・・・」

 

 

勝てないことなど、百も承知

 

そんなことはリリルカや春姫だって理解している。しかし、だからと言って引き下がるわけにはいかない。エピメテウスがどれ程強いにしても諦める選択など無し。全員死ぬ覚悟でエピメテウスに挑もうと武器を取る

 

 

だが、これだけではない

 

 

「そういうことだ。貴様のやることなど、今を生きる我々は受け入れたりなどしない」

 

 

「っ!誰だ!」

 

 

「ヘクトルさん!?」

 

「ベックリン様!サンドロ様!」

 

「街に居る炎人を全部倒せたのですか!?」

 

「ああ、全て倒し終えた」

 

「はい!戦士団の協力のおかげで!」

 

「なんとかここまで倒せた!」

 

 

「ち、あの女神の眷属共か」

 

 

まさかの良いタイミングで、ヘクトル達、アフロディーテ・ファミリアも加勢に入った

 

街に潜む炎人や炎獣はなんとか倒し終えたうようだ。そして次なる戦いにして、全ての元凶であるエピメテウスを止めるために、ここまで来たようだ

 

もちろん、寝返った戦士団も含めて

 

 

「エトン様・・・いいえ・・・エピメテウス様・・・先程レア様に聞きました・・・これを行うのは・・・貴方の野望で、本当にオリンピアを救うつもりはないと言うのですか?」

 

 

「レアが教えたか・・・ああ、そうだとも。お前達は言うなら私の駒に過ぎない。私はオリンピアをも復讐の内の一つだ。お前達は最初から私に騙されていたのだ。本当に馬鹿な奴らだ。もちろんその後ろの弱者な市民もな」

 

 

「神官様・・・」

 

「本当にオリンピアを滅ぼすつもりなんですか?」

 

 

「そうだとも!!改めてお前達にも言っておこう!俺は世界を壊したいのだ!俺に仕打ちをしたこの世界を俺は壊す。俺と同じ苦しみを味わって貰う!!」

 

 

「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

 

完全に英雄としての名を捨てた、復讐者としての姿だった

 

もはやオリンピアを救った人の顔ではなく、その神域を壊す破壊者と言う悪者の顔だった。守ってきた者たちの信頼もなく、もはや他者は全て自分の野望に使うための道具や駒としての扱いでしかなかった

 

 

もう、本当に彼はオリンピアを滅ぼすことしか頭にない

 

 

だから、それを聞いたオリンピアの戦士団とその市民達は

 

 

「みんな、この男はもう私たちの英雄でもなんでもない。このオリンピアの敵だ!!!」

 

 

「「「「「絶対に許さない!!!」」」」」

 

 

 

「は!!炎を少し持っているだけの戦士団と、それすら持てぬ武器を使いも分からない愚民に何ができる!!!」

 

 

エピメテウスは本当に敵だとわかった瞬間、皆気を引き締めて武器を取った。

 

エピメテウスはこの街の元市民だった者たちを前にしても、野望を続けることを全員にしらしめ。その市民や利用した戦士団も、この手で焼き尽くそうと神器を構えた

 

 

「全員残らず、焼き尽くしてくれる!!消えろ!!!」

 

 

『水よ!!』

 

「タラリア!」

 

「参ります!」

 

「ぶっ殺す!!」

 

「貫く!!」

 

「かかれ!!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」

 

 

エピメテウスを一人に全員でかかる

 

確かに相手は一人、しかし、穢れた炎の本体を持つ者。ステイタスを極めている冒険者でもかなり厳しく、エピメテウスの体は炎に守られているため、いくらレベルがかなり上でも

 

 

「はあ!!」

 

 

「「「「「ぐわああああああ!!!」」」」」

 

 

「燃え尽きろ!!」

 

 

「「「「「がああああああ!!!」」」」」」

 

 

エピメテウスの神器から放たれる炎の斬撃に、戦士団も含め、全員吹き飛ばされる

 

数では完全にこちらが有利であるはずなのに、力で負けているため、残念ながらこちらが不利な状況であることは変わりなかった

 

 

「まずい!みんなが!リッソスさん!ヒュアキントスさんをお願いします!」

 

「わかった!行け!」

 

「はい!」

 

 

流石に皆だけで任せるわけにもいかず、ベルも急いでヒュアキントスをリッソスに任せ、早く自分もエピメテウスを止めようと、まだ傷を多く負担している状態であるのにも関わらず、そのまま傷を癒すことなく彼に立ち向かう

 

 

「はあ!!」

 

 

「ぬう!小僧!まだ諦めないのか!これだけの力の差があって、なぜ立ち向かう!?」

 

 

「そんなことを言われなくてもわかるはずです!僕は貴方を止めるまでやめない!!」

 

 

「ここまでされて尚。立ち上がるか!いいだろう!!完全に殺すまでだ!!デミ・アルカナムを力を見せてやろう!」

 

 

「っ!?」

 

 

立ち向かうのはいいが、エピメテウスもそう流石に我慢ができず、穢れた炎を半分を使う。

 

だが

 

仮に大きな炎を出しても、まだベルには多くの仲間の数が居る、だからそれを消し去ろうと、更に技を繰り出す

 

 

「今度こそ消え果てろ!!お前の不快な言葉もここまでだ!炎征の兵よ!!」

 

 

「っ!?炎人!?・・・いや・・・・炎の兵士!?」

 

 

「奴の炎から兵士が生まれただと!?」

 

 

「原初の火より生まれし焔の万軍!私の記憶を喰らった穢れた炎の所業だ!踏み潰され制圧され、炎の鯨波に呑まれろ!体の全てを滅ぼされるがいい!!ここに居る全員だ!!」

 

 

「く!応戦だ!!かかれ!!」

 

「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」

 

 

エピメテウスは神器を地面に刺した瞬間、そこから炎が現れ、その炎が人の形となって、襲いかかる

 

ヘクトルが全員に指揮を送り、応戦するよう全員に呼び掛ける

 

しかし

 

 

「ぐわ!」

「があ!」

「ぬあ!!」

 

 

「は!!・・・く!原初の炎でできた兵士!炎人とは別者!?」

 

 

「そうだとも!そんなそこらに焼かれた灰よりも私の炎でできた兵の方が・・・・遥かに上だ!」

 

 

「しまった!?・・・・ぐわああ!!」

 

「ヘクトルさん!?」

 

「「姫様!?」」

 

 

エピメテウスが出した炎の兵士は街に潜んだ炎人よりも強く、戦士団や武器を持った市民でも中々に立ち向かえない。そのフォローにヘクトルが入るが、その背後を取られ

 

ヘクトルはエピメテウスに背中を斬られる

 

これ以上兵士たちに指揮を送って、自分の計画の邪魔を遮るのを阻止するために、まずは将であるヘクトルを襲った

 

更に

 

 

「貴様らも消えろ!!」

 

 

「ぐわ!?」

 

「がは!!」

 

「くそ!!」

 

 

「リューさん!アスフィさん!アイシャさん!」

 

 

エピメテウスはそれと同時にこの中でレベルの高い冒険者を先に仕留めようと、リューとアスフィとアイシャを先に仕留める

 

このままだと状況が不利になる

 

それを判断したウンディーネが攻撃を繰り出す

 

 

『ウォーター・ウェーブ!!!』

 

「ウンディーネさん!」

 

 

「っ!ジーク・フリードの水精霊か!」

 

 

『古代英雄エピメテウス!これ以上はさせません!私たちが愚かだと言いますが、貴方も私達と同じ、この下界で生まれた生き物!それと貴方が何が違うと言うのです!貴方も人間です!世界を変えても人は変わらないのです!それがわからずに今まで生きてきたわけじゃないはずです!』

 

 

「水の大精霊、貴様は所詮は神の成り底なし、神にもなれない半端者が、俺にわかったような口を吐くな!!」

 

 

『ぐう!きゃあ!!』

 

「ウンディーネさん!」

 

 

ウンディーネが説得ではないが、エピメテウスの野望は何があっても叶わない。そんなことをしても人は変わらない

 

むしろ余計酷くなるだけだと、そう言ってエピメテウスのやることを阻止しようにも、水の大精霊であるウンディーネでも、エピメテウスに敵うことができず、ウンディーネもエピメテウスに吹き飛ばされる

 

 

これで、レベルの高い、冒険者や精霊がやられてしまった

 

しかし

 

 

「フツノミタマ!!!」

 

 

「ぐ!?重力魔法だと!?」

 

 

「今です!!リリ殿!」

 

「クラウ・ソラス!!!」

 

 

「光の短剣!?・・・グフ!?」

 

 

「命さん!リリ!」

 

「やりましたよ!リリ殿!」

 

「皆さんが時間を稼いでくれたおかけで、やっとエピメテウスに一発入れることができました!」

 

「リリ様のクラス・ソラスなら届くはずだと。やはり火の加護を持つ私たちならできるはずだと、やはりやって正解でした」

 

 

皆がエピメテウスにやられている間に、少しでもエピメテウスにダメージを入れられないかを、リリルカは探していたようだ。エピメテウスは穢れた炎で全身を守られていると聞いた

 

なら、ヘスティアの恩恵を持つ力なら、彼の穢れた炎の匹敵するかもしれないと、試しに攻撃してみたが

 

どうやら正解らしく、彼の横腹を見事貫通した

 

リリルカの考えはどうやら正解だった。彼の身に纏う炎を剥がすには、それと同じ聖火ではなければ、彼は倒せない。つまりはヘスティアの眷属だけ。だからどうあっても、ヘスティアの眷属ではないヘクトル達では不可能。つまり彼に敵うのはヘスティアの恩恵を持つベル達だけだった

 

しかし

 

 

「お・・・お・・・おのれ!!くだらんことを!!」

 

 

「きゃああ!!」

「ぐわああ!!」

 

「リリ!?」

 

「命ちゃん!?」

 

 

「ウェスタの眷属共!よくも俺に傷を与えたな、貴様らを先に仕留めてやる!!炎の兵士!!」

 

 

「っ!?まずい!」

 

「どうしたら・・・・」

 

 

エピメテウスはリリルカに初めて致命傷を受けたことに苛立ち、怒って先にベル達を仕留めようと、今度は戦士団や市民を襲っていた炎の戦士団が一気に全員ベル達の方へ向かってくる

 

このままだと確実にやられる

 

対応するにしても、エピメテウスもまだ残っていて、応戦するにも奴はまだ穢れた炎の力を更に強くさせていて、いくら止めに入っても止めきれない

 

完全に危機ある状態となった

 

それでも、ベルは少しでも考えて、この場を切り抜ける方法を考えるは見つからない

 

果たして、どうこの場を凌ぐか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、その時

 

ベル達が知る、男の声が聞こえた

 

 

「ベルウウウウウウウウ!!!」

 

 

「お待たせしました!!」

 

「なんとか間に合いました!!」

 

 

「っ!ヴェルフ!?」

 

「ヴェルフ様!?・・」

 

「アクタ殿!?・・」

 

「カリス様!?・・」

 

 

「っ!?今度は何者だ!?」

 

 

突然知っている声が聞こえた

 

それはヴェルフ

 

と、それを護衛するアクタとカリスだった。

 

そしてヴェルフの背にはデカイ大剣のような物を背負っていた。その背負っていた大剣をヴェルフはそれを手に取って、ベルに投げた

 

 

「受け取れ!!ベル!!」

 

 

「っ!うん!・・・・・取った!」

 

「これは!?」

 

「柄のない大剣です!?」

 

「でも!どことなくベル殿の剣に似てます!?」

 

 

「ヘスティア様のナイフをそれに差せ!繋げるんだ!」

 

 

突然ヴェルフに渡されたのは、ベルの持つヘスティア・ナイフの形をした、大剣である

 

しかし、柄はない。持つ所がない大剣、しかしその柄の穴からヘスティア・ナイフがちょうど入れられる穴があった

 

 

「それは!もう一つの神炎の剣にして希望の炎!!アエデス・エルピスだ!」

 

 

「っ!?・・・させるか!罰せよ!カフカス!!!」

 

 

「っ!!!」

 

 

エピメテウスがその大剣を見ただけで、すぐにそれが自分に対応できる神器だとわかり、すぐさまその剣を壊そうと技を繰り出す

 

だが

 

それよりも早くベルはその大剣にナイフをセットする

 

そしてそのナイフが繋がることで、刃に刻まれたピエログリフが光る、そしてその刃から白い炎が噴き出す

 

 

「はあああああああ!!!」

 

 

ベルはその大剣を使い、エピメテウスの技を

 

 

一刀両断にする

 

 

「なに!?・・・カフカスを・・・斬っただと!?」

 

 

「これで・・・・貴方を止められる!!」

 

 

ベルの体から炎のオーラが吹き溢れる、神器魔剣がベルの力を発揮する。今エピメテウスに対抗できる上に、彼を倒すことのできる。炎の鷲を超える。炎の剣が誕生した

 

これでやっとエピメテウスと同格の戦いができる

 

 

「神器を持って来たか・・・この剣に敵うのなら・・・・やってみろ!!」

 

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

 

「っ!?なんて力だ!?先程の力とワケが違う!!」

 

 

強度もある。先程までたくさんの武器をエピメテウスは壊してきた。しかし、この剣だけは違う。それだけではない。ベルの体にある火の加護までも、その神器魔剣が力を放出している。魔剣が火の加護を強くし、神器が彼の力を退ける

 

これなら、勝てる

 

 

「僕は絶対に諦めない!絶対に!!」

 

 

「主神も!お前達も!あの一族も!そして貴様も!これで三度目だ!!邪魔されるのも楯突くのも!炎に呪われたこの身に敵わぬなぜ理解できない!!」

 

 

「理解できます!負けるのも!失うのも!辛くなるのも何もかもが嘆きです!!それでも僕は諦めない!僕は救いたい!何がなんでも!『敗北の果てに勝利の先がある』!」

 

 

「っ!?貴様・・・・・それは誰の言葉だ!!それはまさかあの男の言葉か!!」

 

 

「そうです!ジークさんの言葉です!僕たちはいつもいつも負け続けてきました!そしてここまでやってきた!僕たちは負けたことで、いろんなことを理解して分かち合って、そして託されるんだ!そして僕はその託された全部を使って戦う!!勝ち続けるまで!!」

 

 

「その言葉・・・あの男とあの一族の英雄達の言葉・・・・それを俺によくも言ったな!!小僧!!!」

 

 

エピメテウスは、もはや油断などしない。ベルが今まで会った中で一番嫌いな小僧だとわかった。

 

それがわかった瞬間、激戦を繰り広げてでも。ベルに襲いかかる

 

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

 

「はあああああああああ!!」

 

 

「まずい!みんな離れろ!!ここはベルにしか戦えねえ!!」

 

 

あまりの激戦に

 

ヴェルフは、みんなをなるべく遠く離れるように呼びかける

 

エピメテウスに一度は挑んだから皆わかる。今彼に敵うのはベルだけ、何もできず悔しいことはあるかもしれない

 

しかし

 

それでも彼にしかできない。と、彼の戦いを見送るしかできず、皆遠くへと下がる

 

 

そのままベルとエピメテウスの戦いが繰り広げる

 

 

 

 

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