ダンジョンから帰った時は、バベルの前でヘスティアとミアが酒場から迎えが来ていた。どうやらテロリストと戦っている間に前夜祭は終わっている深夜頃だった
どうやら時間をかけ過ぎたようで、前夜祭の続きもする暇はなくなった。とは言ってもみんな戦いで疲れたため、酒場に着いたら俺とシル以外は、酒場のテーブル席で一瞬で眠ってしまった。ベルまでも、それほど今日の戦いは疲れるほど苦戦だったと言うわけだ。ベルに関しては完全に怪我人で疲れて眠っても仕方がなかった
アーニャ達はミアに任せて、俺はベルを背中に背負って自身のホームに帰った。前夜祭は残念ながら諦める方向になった
まあでも、今日は本番ではない
次の日が本番なんだ。今日の夜はゆっくり休むしか無くなった
そして次の日
聖夜祭当日の夜を迎えた
昼は豊饒の女主人で働いて、夜はミアが約束した通り、俺たちが貸し切りで酒場を使わせてもらう
まだここにヴェルフ達は来ていない、後ほど来ると朝ヘスティアがわざわざ聞きに行って、後ほど来ると聞いた。一応ウンディーネとノームが迎えに行っている
まだヴェルフ達が来ていないが、せっかく作った料理が冷めてしまうため、先にご馳走だけをテーブルに並べ、先に軽く楽しむ。ヴェルフ達の分は来た時に新しく作る
「うわあ!美味しそう!これ全部パパが?」
「ミアのもある。俺とミアで半分料理を作ったんだ」
「美味しそう!」
「ジークの料理久しぶりにゃ!」
「久々の豪勢な料理ね」
「ジークさん、分罰しましたね」
「すごい料理じゃないか!店長くんのも美味しそうだ」
「ジークと久しぶりに派手に作ったから、たらふく食べな!」
俺とミアで洋食系の料理をたくさん作った
とりあえずこの後、ヴェルフ達だけでなく、ヘファイトスやタケミカヅチやミアハのファミリアも来る。あとで来てそこから新しく作るにしても、大量に作っておかないとあっという間になくなってしまう
とりあえず、今並べているテーブルに置けない程の料理を用意した
その中で、大いにメインが用意していた
それは
「これがメインだ。ノエル」
「これは・・・・・なに?」
「『ブッシュ・ド・ノエル』と言うケーキだ。お前の名前の由来でもあるケーキだ」
「ノエルと同じ名前!」
「お前のためにこれを作った」
「美味しそう!早く食べたい!」
「お皿に乗せるから、待ってて」
ノエルと同じ名前の付いたケーキを用意した
やはり聖夜祭にはケーキは必須、子供でも大人でも好きなものだ。ノエルなら気にいると思って用意した。偶然だったのか、ノエルと同じ名前のあるケーキを思い出して、面白さを出すために作った
全員分の皿を用意して、ケーキを包丁で切って分ける
まだヴェルフ達が来てないが、先に乾杯を始める
「まだヴェルフ達が来てないが、料理が冷める前に、先に始めよう、全員グラスを」
「ノエル。コップ持って」
「う、うん!」
「また後でもするが、先に乾杯だけ始めよう。それでは・・・・・・良い聖夜を!」
「「「「「「「良い聖夜を!」」」」」」」
グラスを持って乾杯を上げる
なんとか皆で無事に聖夜祭を祝えて良かったと思っている。それは昨日あんなことがあったためでもある。この一年色々あったかもしれないが、今日に至るまでいろんなことがあったなと、俺たちの旅もここまで来たんだなと一年を振り返ってしまった
それだけ聖夜であるこの日はゆっくりできて、心地の良い気分になれた。感情をいくつも殺された俺が、こんな気分を感じられるなんて、不思議な気分だがな
「美味しいにゃ!この肉!」
「こら!ウチのも取っておくにゃ!」
「あんたら取りすぎなのよ!ていうか野菜も食え!」
「ベル君!はい!あーん!」
「あ、はい。神様」
「全く騒がしい娘達だよ」
「でも、ミアさんも楽しそうです」
「・・・・・・・・」
全員揃ってないとはいえ、久しく皆の楽しい顔を見たなと思う
それだけこの一年・・・いや、黒竜ファーブニルになった俺の最近まではこんな笑顔を晒せないほど、苦しい時間を今まで送ったと今になって実感する
今になって幸せを感じるのだろうか、そんな簡単なこともわからないくらい、俺は最近までいろんなことが鈍くなっていたのだろうか
今だけのこの楽しい時間は、なぜか俺の心にも安らぎを感じた
「パパ?どうしたの?」
「っ!いや、なんでもない。ノエル?楽しいか?」
「うん!すっごく楽しい!みんなと楽しくこんなパーティしたの初めて!」
「喜んでくれたなら何よりだ」
「特にケーキが一番美味しい!美味しいよね?ママ?」
「うん、パパの作ったケーキはすっごく美味しい」
「味も申し分ないようで何よりだ」
「パパ、すっごく嬉しそうで、楽しそう」
「そうか?そうなのか?俺の顔を見てそう思うのなら、俺もちゃんと人になれたなと思うな」
ノエルから俺の顔を見て楽しそうだと言ってくれた
喜びの感情は確かにまだあるが、今まで顔に出したことなんてなかったと言うのに、そういう部分はまだ出せるんだなと、まだ俺も人らしいことができるんだなと思った
黒竜ファーブニルになってからは、市民に嫌な眼で見られ続けていたのだから、あまりにあの事件のあとで楽しいとは言えない日常を送っていたからなのか、このような皆が笑顔になるような楽しいことをして、俺もなんがか今だけがともても楽しいと思えている
これも。ノエルがそうさせてくれているのだろうか、なんにしても、ノエルと過ごすこの時間がとても愛しかった
だから、彼女に聖夜のプレゼントする
「ノエル。これを」
「なに?これ?箱?」
「ジーク?これは?」
「プレゼントだ。開けてみてくれ」
「うん。でもそうやって・・・」
「ノエル。手伝うね。えっと・・こうして・・・・・あ!これって」
「ネックレスだ。受け取って欲しい」
「すごい綺麗・・・・」
「これは雪の結晶?ジーク、これもしかして昨日の夜で作ってた?」
「ああ、あるクリスタルを使って俺が作った」
俺がノエルにプレゼントしたのは、雪の結晶のネックレス。あるクリスタルを加工をして作った宝石のネックレス
実はあの戦いの後で、皆が寝ている間に少し俺は夜更かしをして制作していた。ノエルのためを思って少し上級の宝石を使った
ノエルはシルに箱を開けてもらって、首に付けてもらう
「わあ!ありがとう!パパ!」
「似合っている。喜んでくれてなによりだ」
「いいな、ノエル。私もそういうのジークから欲しいな」
「そう言うだろうと思って、君の分もある」
「え!私の分もあるの!?」
「ああ、君のはこの炎のネックレスだ」
「うわあ!炎の形をしている!ありがとうジーク!」
「君の分も作った甲斐があった。今付けるから後ろを向いてくれ」
ノエルだけじゃあ、シルが羨むと思って、シルの分も作っておいた。彼女には火の玉のような形をしたネックレスをプレゼントする
シルは喜び、すぐに首を回して付けようと俺が彼女の後ろに回って彼女の首にネックレスを付ける
「ありがとうジーク!似合っている?」
「ああ、とてもな。そうだろうノエル?」
「うん!似合っているよ!ママ!」
「ふふ、ありがとう!」
「コラ!何家族らしい振る舞いしているにゃ!」
「シル!あんただけジークにプレゼントを貰うとか卑怯にゃ!」
「本当にあんたばっかり抜け駆けし過ぎよ」
「う、羨ましいです」
「全くあんた達は、ノエルの前ではしゃぐんじゃないよ。ジークのことになると本当に落ち着きないね」
「でも、本当に家族みたいですね。そう思いませんか?神様」
「うん、本当に今だけはそう見えるかも、まあ・・・・どうせシル君が狙っているだろうけど」
「・・・・・・・・」
シルとノエルで家族ごっこのようなやり取りしている。アーニャ達がなぜかそれに文句を言ってきて、もしかしてアーニャ達も何かプレゼントが欲しかったのだろうか、でも今の光景を見て、そしてノエルとシルを見て本当の家族のような感じがしてとても楽しく思える
昔を思い出す。母上と兄上や他の家族と一緒にパーティをした思い出、それと同じ感覚だった。
それだけ懐かしく、幸せを感じられない俺があの時の、家族が居た幸せを再び思い出す
すると
「パパ」
「ん?なんだ?」
「ありがとう。私を家族にしてくれて」
「っ!そうか・・・・」
「ジーク、まさかもう・・・」
「ああ、その時が来たんだ。いや、構わんとも、それに俺も伝えたい。こんな俺だが、パパと呼んでくれて嬉しかった」
「ママもよ。永遠に忘れない。貴方のことも。貴方と一緒に過ごしたこの日々も絶対に忘れない」
突然、ノエルが家族にしてくれた感謝を伝えてきた
それを聞いて、俺とシルはどういう意味でこのタイミングでそんなことを言うのか、正体を知った俺とシルはわかっていた。だからせめてもののために。俺もシルもノエルに感謝を返す
その突然のやり取りに、ベル達が急遽戸惑う
「どうかしたにゃ?」
「なんでいきなり感謝なんか・・・」
「あまりにもノエルが嬉しすぎたからじゃない?」
「にしては・・・なんだか雰囲気が違います」
「本当の親みたいになってくれたから、じゃないんですか?」
当然ながら、ベル達にはわからない。ベル達からすれば本当の家族になれたような気をして、ただ感謝を伝えたに過ぎないと思っている
しかし
ヘスティアとミアは
「そうかい・・・・おい女神様、もう限界らしいみたいだよ」
「うん、そうだね店主君。ベル君、それに他の店員君達も、いいかな?」
「どうしたんですか?神様?」
「何か御用でしょうか?」
「「「?」」」
ヘスティアとミアはノエルの正体を知っていたからなのか、突然ノエルの感謝がなんの意味を示しているのか、わかっていたため、ベル達にも教えるために、一旦ベル達を呼び出す
「どうしたんですか?神様?」
「実はノエル君のことで、話してないことがあるんだけど、精霊なのは知っているでしょう?」
「ええ、それは確かに昨日ダンジョンに行く前に」
「実はノエル君なんだけど・・・・」
正体は教えていたようだが、まだノエルがどういう生き物でどういう『性質』なのか、そこまでは話していない
ヘスティアとミアはそれがとても残酷だと知って何も話さなかった。それは
「ノエル君は、楽しい思い出を作ると、自動的に消滅するんだ」
「「「「は?」」」」
「え?どういうことなんですか!?」
「ノエル君と言う思い出の精霊・・・・いや、厳密には『幸福の精霊』は、良い思い出を求める生き物で、その幸福を得られると彼女は消えてしまうんだ」
幸福の精霊、思い出を記憶する精霊でそこから幸福を感じたいがために人と関係を作る生き物、本当は人の幸せを羨む精霊でもある。なぜなら
幸福の精霊は、人との関係を気付ける程、寿命があまりないからだ
元々魔力が無いと言うのもある。精霊は常に体には魔力を帯びて実体化する。そしてノエルは人との関係を気づいて幸福を得ることで魔力を得られる。しかし、その魔力が無限に溜められる訳ではない。それが溜まり過ぎると体は量子化してしまい。光になって消えてまた別の命へと変わりゆく
それがノエルと言う、幸福の精霊である
「そんな・・・・じゃあジークさんとシルさんは・・・・」
「うん、わかっている。だからせめて幸福の思い出を作ろうとしているんだと思う、こればかりは変えられないってわかっているから」
「そんな精霊が居たなんて・・・」
「リューは知っていた?」
「いいえ、私もエルフですが、このような精霊は初めて知りました」
「そんにゃ・・ノエルが・・・・どうにもできないにゃ?」
「うん、こればかりはどうにも、こういう精霊なんだ。結末を受け入れるしかない」
幸福の精霊は幸福を得ると消えてしまう悲しい精霊
元々幸福を得ることで体に魔力を帯びる精霊、つまりは幸福が魔力の根源、これで上級の精霊なのだ。その魔法は奇跡を起こすとも言われる。はっきり言うならノエルのような精霊は絶滅危惧種と言っても良いほどだ。それに幸福をどれだけ得られようと、体は保たない
精霊においても取れる分の魔力は限られている、その限界が命に関わるのがノエルと言う幸福の精霊だ
幸福を十分得たノエルは、次の生まれ変わりに備えて
今ここで、俺たちと過ごしてくれた感謝を伝えようと消える前に、俺とシルと一緒になれたことを、幸せだったと伝える
「パパ、ママ、私の家族になってくれてありがとう」
「俺もだ。ノエル。俺とシルの娘になってくれてありがとう。お前が忘れても。俺とシルと過ごした思い出は消えない」
「私もだよ。ノエル。私とジークの娘になってくれてありがとう。貴方の過ごしたことは絶対に忘れない」
「パパ・・・ママ・・・・・ありがとう。ノエルはパパとママに会えてよかった。ノエルはすごく幸せ!!」
俺とシルはノエルに優しく抱き付いてお互い感謝を伝えた
ノエルがこの冬で過ごした日々を思い出すことはなく忘れてしまう。残念なことに、しかし、俺とシルが覚えていれば十分だと、ノエルがこの日々を忘れても良いから、俺とシルは本当の家族のように過ごせたこの感謝を伝えた
無論、これが思い出に残らなくてもいい、それでもこの家族で過ごせたこの愛は嘘では無いのだから
そして
最後の感謝をノエルが俺とシルに伝えると
彼女は光になって消えた
「・・・・・・・・」
「大丈夫か?シル?」
「うん、大丈夫。また会えるよね?」
「ああ、この街でノエルと会ったんだ。またこの街のどこかで会えるはずだ」
ノエルが光になり、俺はシルの肩を優しく手を置いて抱き寄せる。
次ノエルとどこで会えるかはわからない、別に生息地がある訳ではない。おそらくあまりに幸福とは無縁のような場所に現れる可能性がある。その時はまた魔力が無くなって貧乏な姿に戻るだろう
それがノエルの習慣である
「ジークさん、これでよかったんですか?」
「良いも悪いもない。これがノエルと言う精霊だ。その生き方を変えるのは俺たちにはできない。言うならセミと同じだ。生き物の中に寿命が短い者も居る。ノエルもその一種なんだ」
「悲しい精霊なんですね・・・・」
「まあね、でも思い出は残ったと思うの。ちゃんとノエルも思い出を持っていてくれたから、ほら?」
「にゃ?ジークがノエルにプレゼントした箱?あ!?」
「そういえば!ジークがプレゼントしたネックレス!?」
「もしかして持って行った!?」
「うん、しっかりね。でなければそこら辺にも落ちてないしね」
ベル達は俺とシルが、ノエルが居なくなって悲しくはないかと聞かれるが、これがノエルの終わりでもあるため、彼女の終わりを変えることは神でもできない。こればかりは受け入れるしかできない。幸福の精霊は人との思い出を残す存在だ
その証拠に
俺がプレゼントしたネックレスの箱には中身はなく、ノエルが立っていた床にはネックレスのような物も落ちていなかった
大切な物が受け取ってくれた。これで良いんだ、思い出を俺とシルは受け取り、大切なものをノエルは受け取った。お互い得られるものは得られた。聖夜にしては素晴らしい贈りものになった
「ノエル君は行ったんだね。ジーク君なら精霊召喚師だからなんとかすると思った」
「それは俺でもできない。確かに長く生きて貰いたい気持ちはある。しっかりとお別れは言えた。こうでもしないとノエルのためにはならない、これで十分だ、それにとても楽しかったんだこの聖夜を送るまでが」
「うん、本当の家族みたいで楽しかった。このネックレスを付けるたびに、あの子を思い出そうね?」
「ああ、来年の聖夜は当たり前に思い出すことができるだろうな」
「あんた達にとっては、良い思い出になったね」
ヘスティアからは俺ならなんとかすると思った
しかし、そんなことは俺でもできない。それは幸福の精霊の生き方を曲げる行為でもあり、精霊の命を変えることは俺でもできない。どんな精霊魔法でもな
でも、俺とシルの娘であるノエルは、旅立ったんだ。子はいつか親の元から旅立つ。その子としての役割を果たしんだ
それにあの子からしっかりと幸せだと言ってくれた。決して続かない幸せだったとしても思い出せばいい、それで良いはずだ
本当に家族として充実な日々を送れた。ミアの言う通り、俺とシルにとって忘れることのない思い出を彼女から貰ったんだ
これが幸せだと言って良いはずだと、俺は思った
すると
「悪い!遅れた!」
「すいません!遅れました!」
「少し仕事が長引きまして!」
「今リリ達も来ました!」
『ただいま、戻りました』
『主、皆様を連れて参りました。少し遅くなり申し訳ありません』
「ヴェルフ!命さんも!」
「やっと来たね!春姫君!サポーター君!」
「今、戻ってきたか」
「仕事が中々終わらなくてな、あとでヘファイストス様も来るから」
「こちらもです。あとでタケミカヅチ様達も来ます」
「よく酒場を貸し切りできましたね、あとギルドの方である・・・・エイナさんも来るそうです」
「あとでミアハ様たち御一行も来ます」
「やっとみんなで揃ったね、でも、少し来るのが遅いから少し早めにやらせて貰っているよ」
やっと、ここでヘスティア・ファミリアが集まる
ヴェルフ、命、春姫、リリルカ、友人達の仕事を終わらせて、パーティを開く酒場にやってきた。
どうやら、聖夜祭に関する仕事で大忙しであまり時間通りにここへは来れなかったようだ。ウンディーネやノームにここまで連れて来てもらったが、俺たちの知り合いだと思う人物も誘うよう言って、あとでエイナやヘファイストスやタケミカヅチやミアハなど、たくさんの友人が来るようだ
そして帰ってきた。ウンディーネとノームは、ノエルがいないことに気づき、俺に行方を聞く
『主様、あの子は?』
「行ったぞ。俺のプレゼントを持ってな」
『そうですか、だとしたら、とても幸せそうでしたか?』
「ああ、俺とシルが親でよかったと、言っていた」
『彼女が無事幸せであるなら、私も同胞として嬉しい限りです』
ウンディーネとノームはそれだけ聞くと、何も言わず、とにかく精霊として幸福得られて行ったことに満足した。
二人もノエルの結末を四大精霊として知っているため、無事に目的を果たした行ったことに喜びを見せる。二人も同胞としてノエルを心配していたんだ。珍しい精霊でもあるため、二人もノエルが無事に果たせるのかどうなるか、深入りはしないようにしていたようだが、しっかり気になっていたようだ
とにかく、無事に果たせて、二人は喜ぶ限りだった
「なんの話だ?・・・・ってうお!?ベル!?」
「どうしたんですか!?その怪我は!?」
「まさか、私たちが仕事をしている間に、お一人でダンジョンでも行っていたんですか!?」
「包帯を巻く程、苦戦する戦いでもしたんですか!?」
「ああ、ちょっと色々あってね」
「そうだな、みんなにも話そうか、お前達が居なかった間のことを」
仕事でホームに居なかったヴェルフ達にノエルと過ごした日々を話す。早速思い出を誰かに話すことができた
ノエルと過ごした日々を話し、ノエルを狙う犯罪者を倒すためにベルが無茶などしたことなど、起きたことを全て話す
まさか聖夜の日にこんなことが起きたのだと、ヴェルフ達やヘファイストス達も驚く、まあ実に驚いたのは、俺とシルを親と認識して過ごしたノエルだろう
精霊の中にはこういう存在が居るとベル達も改めて学ぶ、このような特別な精霊も居るのだと
しかし
俺とシルは違う。ノエルを精霊だとは思っていない
俺やシルにとってこの聖夜は家族と過ごした大切な思い出となった。だから娘だ。ノエルを精霊ではなく、本当に俺とシルの娘として想った日々だったんだ。俺にとっても良い思い出を貰ったと言うプレゼントをくれたんだ
来年もこのような聖夜を送れると良いだろう
願わくば、いつまでもノエルを自然と思い出せるような、良い聖夜を
「ジーク」
「ん?」
「良い、聖夜を」
「ああ、君も良い聖夜を」
来年もそうなると信じて、シルと果汁ジュースの入ったグラスを乾杯して願った
二日後
俺はファーブニルの悪化が激しいとため、ヘスティアからダンジョンの出入りを禁止された、そのため俺はホームでの仕事、もしくは自由にこの街の外出、をしか俺の行動範囲が制限されてしまった
そのため、今は自由時間を取り、外出している。
そこで
「ごめんねジーク、手伝わせて」
「構わない。暇であるため今は手伝わせてくれ」
今は酒場のバイトをしている。もうアーニャ達を借りた分の返しは済ましたが、酒場の仕事は好きでもあるため、俺はシルの買い出しを手伝いをしている
「皆、来年に向けて買い出しをしているのか」
「うん、年初めの買い出しはできるにはできるけど、人が多くなって混んでて大変になるから、今の内にある程度揃えておきたいみたい」
「ま、備えるのは良いことだからな」
今は来年の年初めの買い出しをしている
来年も酒場は繁盛すると思われるミアの考えで市場にやってきた。二日前は聖夜で大盛り上がりだったのに、年初めにもイベントがあるようで、その買い出しをしている
荷物が多くなることを予想として、俺も買い出しの手伝いをしていた
その時に
奇跡が起こる
「ふふふ・・・・ふふふ・・・・ふふふ」
「っ!」
「え!?」
突然、買い出しをして歩いている最中、突如横から、見覚えのある『少しボロい服を着た少女』が楽しそうに走っていた。俺とシルに見向きもせずに笑いながら走って行く
その少女に、見覚えがあった
「ねえジーク、まさか・・・」
「ああ、あの様子だと。新しい幸福を見つけたようだ」
「そうなの・・・・またどこかで幸せになってね」
「俺たちはいつまでもお前の幸福を願っている」
俺とシルはその少女を追いかけなかった
少女が物凄く楽しそうであったため、邪魔をせずに彼女が走り去るのを見送る。別の者と関係を作ってまた幸福を満たしているようだ。またあの少女が幸せになれることを信じて、俺とシルは『親』ながら願った
ノエルに幸あれと
奇跡の聖夜祭編 END
今年の投稿はこれで終わりです
次の投稿は来年の初めをお待ちください
ここまで、ご愛読ありがとうございました