今年もよろしくお願いします
新たなミッション
オリンピアの事件を終えて、一ヶ月が経った月日。いつもいつも何か大きな事件を終えた一ヶ月後には必ず事件が起きる。そんな習慣のような月日を送る今の俺たちには、今なんの事件もない平和を謳歌をしていた
あのオリンピアの事件の後は、オラリオ外で出現する巨大モンスターも出現することなく収まり、災害のなるような出来事はそれ以来起きなくなった。やはり原初の炎が全ての原因。あれを俺たちが壊したことでオラリオ外にはもう被害もなくなり、上級冒険者達は三週間前にオラリオに帰ってきた。もちろんなぜ急激にモンスター達が外で出なくなった原因は誰も知らない。その原因を知っているヘルメス・ファミリアとへファイストス・ファミリアも含めて、我々はオリンピアの事をあの事件に関わっていない者達に話す気はない。オリンピアが全ての原因だとわかったら、誰もがオリンピアに責任を押し付け攻め入る可能性が高い。もうレア達は原初の炎も使えない一般人に戻った。今彼女達はオリンピア復興のために忙しいはず、このまま幻の永久の神域にして。彼女達の国を攻め入らせないために、今回の件の全てを隠した。だからエイナであるギルド職員にも報告していない。だがあの事件の真相を知っていたウラノスには、ヘルメスが報告していると思う
そして
我々の要求で、エピメテウスの英雄譚を書店で売るようをお願いした。英雄譚の書物はオリンピアから持ち帰った。少し内容を変えて、エピメテウスの全てを知る俺たちが、せめて物思いでエピメテウスを救うための、跡残し
今なら、かつては愚物と呼ばれた彼が、天に逝き、我らのやった事を見て救われたのではないのかと俺は思う。彼は何も残せなかった。残せなかった彼の悲しみを癒すためにもせめてものの慰めである、でもあまり売れはしない。買ってくれる人は居るが、それでもやはり彼の大きな敗北の失敗が歴史に残っている以上はあまりよく思ったりする者はほとんど居ない。だが、それでもいい。そういう人が過去にも居たという事を知ってもらうだけで良い
知って貰うだけで救われるはずだ。何も残せなかった彼の、救いになれるはずだからだ
と言うように、あの事件が過ぎてからはまた平凡な暮らしをしていた。たまにダンジョンの遠征をしたりなどをして、いつもと変わらない毎日だった
しかし
先ほども言った通り、一ヶ月後にはまた事件が起きるはず、だから俺には、また何か思いもしない事件が待っているのではないのかと、事前に団員達に、いつでも戦える準備を用意しておけと伝えてある。リリルカが『いくらなんでも、警戒し過ぎでは?』と俺の言っていることに対して。流石にそんなことが起きるとは日常的に思えないと言う。しかし、それが起きないとも限らないから、ダンジョンと言うのは恐ろしいと言う。皆に今までを思い出させ、規格外な事件ばかりが、まだ小さいこのファミリアを巻き込んで乗り越えて戦ってきた。そんな生活を送る俺たちが、一ヶ月後事に何か起きないとは思えないのである。オリンピアやゼノスに関することにおいても、クノッソスにおいても、何か大きな事件がまた起きるはずだと、もう俺のこの生活にも慣れてしまったのか、いつでも動ける準備は怠らないようにと、皆に厳しく言った
と言うことが
「今現在、俺たちが最も警戒することだな。フェルズ」
「そうか・・・・君はもう・・・英雄でなくても、戦いに慣れてしまっているのだな」
「どっちかと言うと、冒険者としてだ」
今、オラリオ外壁の上でフェルズにあれからの事を話していた。他人に俺たちの生活を話す気はないのだが、フェルズはウラノスの最後の眷属、オリンピアの事も知っているため、この者なら話してもいいはずだと、俺は迷う事なく奴に全てを話していた。もちろんオラリオの外壁の上で話すのは、奴がモンスターと変わりない骨であるからだ。でも、奴とたわいもない話をするわけではない
そう、これは新たな報告
つまりはまた大きな事件の通報である
俺とフェルズがここで話しているのは、俺が奴に呼ばれたから、そうでなければこんなところでこんな話をしたりしない。ゼノスの件での感謝ならとっくにされている。それ以外の用で俺が呼ばれるなら、どう考えても何かの依頼、もしくは通報である。そうでなければ奴だって俺を呼んだりしない。レベル6の戦力である俺なら
「それで?なんの話だ?」
「うむ、実はクノッソスの件でな」
「やはりか、攻略か?」
呼び出された理由は、クノッソスの件、あそこにはまだタナトスとまだその半分が生き残っている。更にバルカ・ペルディクス、そいつも未だにイヴィルスとして残っている。しかし、それを攻略するのは俺たちではなくフィン達ロキ・ファミリアのはずだ。まさかとは思うが、それに俺たちも加われと言うのだろうか
と思ったが
それは予想外の斜め下だった
「クノッソスの攻略は我々ゼノスと、ロキ・ファミリア、ヘルメス・ファミリア、デュオニュユソス・ファミリアが行うため、君たちには一切関わらないで貰いたい」
「・・・・・・・意外だな、お前のことだから、てっきり俺たちも使うのかと思った」
それは予想外のセリフだった
まさかクノッソスの攻略に関して手を出すなと言う頼みとは、ここまで来させといてそんなことを言われるとは思っていなかった
あのウラノスだってクノッソスの攻略を急いでいるはずだ。それに関しては今後関わるなとは、随分とやる気があるセリフなのか、もしくはあまり俺に何かされたくないのかと、フィンかヘルメスが何か言ったのではないのかと思い、理由を聞く
「それはヘルメスとフィンが手を回さないように言われたのか?」
「流石だな、よくわかるんだな?」
「クノッソス攻略は今あいつらの目標だからな、フィンとしては二ヶ月前の戦いをして、ようやく決心して英雄の道を選ぶようになったんだ。俺に邪魔なんてされたくないんだろう。そこまで助けられるなら英雄にはなれない。ヘルメスに関しては、ベルを守るためにも手出しはするなとウラノスに要求したんだろう」
「あの勇者はともかく、よく神ヘルメスが手を回したことによくわかったな?」
「まあ、色々とな、あいつとは一応元協力者だ。考えることはよくわかる」
フィンが俺に協力を求めないのは、もう俺に頼らないで強くなること、だから今後はもう俺は彼を助けることはない。それを決別するための戦いを前回した
ヘルメスに関しては、『あいつ』から彼を守るように言われている。おそらくこれ以上変な陰謀で彼を巻き込むようなことはしてはならないと、『あいつ』かヘスティア辺りが手を回したのではないのかと俺は思う
とにかく今後はクノッソス攻略は一切関わらないようにしろと言われ、まあ、俺もフィン達の目標でもあり、ベートの復讐を邪魔する気はない。なのにわざわざフェルズが俺に言ってくるのはなぜだろうか、それだけは聞く
「だが、なぜそんなことを俺に言う?俺たちは今後クノッソスに関わることなく、今まで通りダンジョンで徐々に下層へと遠征していく予定だったんだぞ?俺たちがクノッソスに関わるとでも?」
「いや、これは勇者から聞いたのだが、君が『アマゾン』から借りを受けているようで、何かあったら、彼女が君を呼ぶと言う助けを得る取引をしているとか」
「ああ、ティオナのことか」
なぜ今後必要のないクノッソスに俺たちが手を貸すと思ったのか、それは前回の戦いでティオナに助けて貰った借りがあるからだ
その借りを返すために、俺は彼女に『俺の耳しか聞こえない笛』を与えた。その笛の音を聞いたら、すぐさま彼女の所へ行って助ける取引をした。
おそらくティオナが万が一、俺を呼ぶ体制を持っていたことから、フィンに止められたのだろう。だから今後を関わらないで、自分たちでやり遂げたいと、俺には関わるなと言ったようだ
「了解した。どうせティオナもフィンに止めらて呼べないだろうしな。お前の言いつけはよくわかった。ただ・・・・・ヘルメス達はともかく、あのリド達とデュオニュソス達が手を貸すとはな」
「リド達は以前あのハイエルフ達に助けて貰った、そのお礼も含めてな。神デュオニュソスは元々ロキ・ファミリアの協力者らしい」
「そうか、にしても・・・・・『あいつ』が動くか」
「ん?どうかしたのか?」
「いや、なんでもない」
リド達がクノッソス攻略に手を貸しているのは、以前逸れたウィーネを助けたお礼も含めてだろう。それだけでなく、今後彼らが襲われないように、ロキ・ファミリアの報告から彼らは全滅したと、偽装報告してくれた
それはいいのだが、デュオニュソスが動く?今までそんな事をする奴だと思えないが、まさかこんなタイミングで動くとは、もしそうなら
次はとんでもないことをするに違いないと、俺は奴を更に警戒した。なにせ最近のあいつは
『酔っている』からな、タイミングとしてはあり得ると思った
「今回はそれだけだな?俺はもうギルド本部へ行く。報告が多いからな」
聞きたいことはもう聞いた。今回はクノッソスの事は関わらない。確かに引き受けた。これに関してもベル達に伝えるつもりはない
だが
『クノッソスの攻略』は手を貸すがな
とにかく、まだこの後も仕事があるため、用が済んだならさっさとギルド本部で向かう。他の仕事もあるため
フェルズの元を去ろうとすると
「確か、下層を目指すと言ったか?」
「ああ、いつまでも簡単な階層だけでは強くなれない。ここは徐々ではあるが『あの場所』へ行こうと思う」
「そうか、なら気をつけるといい」
「なぜ?」
「忘れたかね?そこでは、インターバル的に、『奴』が出てくる頃だ」
「ああ・・・・・あいつか・・・用心はしている。問題ない。それもクリアしなくては強くなれないからな」
突然去ろうとした俺に、フェルズがそろそろその下層にて、『奴』が時間通りに復活するはずだと忠告していた
もちろんそんな事も頭に入れてある。いつまでも上層の怪物達だけでは強くなれない。少しは手こずる敵が必要だと予定に入れている
まさかこの時間帯で出てくるなら、ある意味俺
達には運が良いのかもしれない
まあ、簡単ではないのは変わりはないがな
その忠告を聞いて、俺はフェルズの元を去る
そしてギルド本部にて
「おい田舎ドワーフ!私がエイナさんに依頼を頼まれているのに、貴様も参加するとはどう言うことだ!!」
「黙れヒョイコロエルフ!お前なんぞにエイナちゃんの頼まれた依頼を遂行できるわけないだろう!!」
「なんだと!!」
「なんだやるか!!」
「お二人とも!下層はとても危険な場所ですから、ここはお互い協力して・・・・」
「騒がしいと思ったら、お前達か・・・」
ギルド本部に入って早々、なんだか人一倍声の大きい男が二人。中で怒鳴り散らしていた
それはドルムルとルヴィスである
俺の義兄であるマグニ兄上とモージ兄上の眷属達が中でエイナから頼まれた依頼を二人任されているようで、お互い協力関係は必要ないと喧嘩をしているようだ。
だが、話を聞く限り、下層に関係する話だようだ
「おい、騒ぐのはそこまでにしてくれるか?」
「っ!?ジーク・・・・様・・」
「ジ、ジーク・フリード・・・どうしてここに・・・」
「エイナに呼ばれていたんだ。ここに来て、渡して貰いたいものがあるそうだ。そうだろ?」
「う、うん。ジーク。これを!」
「手紙か・・・・ん?これは・・・ギルドのシーリングスタンプ。まさか・・・」
「うん、そのまさかだよ・・・」
「なに!?まさか・・・恋文!?」
「やっぱり・・・エイナちゃんはジーク・フリードと結婚するのか!?」
「え!?いや、これは恋文じゃなくて」
「おい、これは恋文じゃないぞ。これを見ろ。ギルドマークのシーリングスタンプだ」
「何!?」
「てことは・・・・・」
「ああ。そういうことだろうな」
エイナから手紙を渡され、それが恋文だと、ルヴィスもドルムルも勘違いしているが、そうではなく、二人に手紙に付いている『ギルドマーク』のシーリングスタンプを見せた
それを見た二人も、顔が芳しくなる
これは間違いなく・・・・・
「ジーク・フリード!」
「ん?ロイマンか?」
「ギルド長!?なぜ自室からここまで!?」
「直接私から言わねばならない内容だからだ。それは『ウラノス』様からだ」
「ウラノスが・・・・なぜ」
「ジーク。実はあれのことで・・・」
「あれとは?・・・・っ!そういうことか・・・・」
あまり緊急時にしか出てこないギルド長ロイマンが、俺たちの前に出てきた。それは今渡した送り主を伝えるため
これはまさかのウラノスからだ
内容は相当危険なことであることは間違いないだろう。だが、奴が俺にこれを渡すと言うことは、あれ関係で間違いない
エイナもそれだけを俺に言うと、すぐに理解した。あの創設神からなら
「言っておくが、ジーク・フリード!こればかりは・・・・」
「わかっている。今も俺たちは冒険者だ。これは絶対に受ける。あの事件以来、エイナ以外のお前らギルド職員は信用ならないが、冒険者としての仕事はキッチリやる。だから一々強調するような言い方をしなくてもいい」
ロイマンは今回のことについて、重大であることを強調し、何がなんでも受けてもらわねば困ると言いたいのだろうが
俺が黒竜となったあの日。あの事件以来、俺は街の人々も含めてあまり信用はしていない。だから最近のギルドの仕事も断る形を取っていた。だがこれは別だ。確かに怪物として蔑まれていたが、それでも冒険者としての仕事はしっかりやる
こればかりは断ることなく遂行するのだった
そして内容は
「ミッションか・・・・・」
「驚く話でも無いだろう?俺たちだって今後の予定として計画していたことだ。それが少し早くなっただけだ。そうだろう?」
「あれから一ヶ月後になったのに、ジーク君の言う通り、何か起こるもんだね」
「準備しておいて正解でしたね、まさかリリ達にミッションを掛けられるとは・・・」
「それもあのウラノスからか・・・・」
「奴からミッションを送られると言うことは、目的はただ一つ」
「ゼノス達の『新しい移住先』を調べる事ですね」
「ああ、フェルズから。ヘルメスの要望でダンジョンの遠征の方が良いと要望され、俺たちはダンジョンの遠征に行くべきだと、フェルズから聞かされた」
ウラノスが俺たちに依頼を送られたのは
ダンジョン遠征にて、『ゼノスの居場所』を探すこと
そして『ある物』を手にして持って帰ってくること
の二つ
オリンピアの件とゼノスの件にて、俺とベルが予想以上な成長力を上げたことで、ファミリアのランクも上がり、今はまだ中級の派閥として登録はされているが、いずれ俺とベルの成長速度を考えるなら、上級派閥になるのも時間の問題になる。その理由は・・・・俺とヘスティアしか知らないのだが・・・・・・・・・・・・
今は皆に告げられないが、とにかく、もうこの段階のランクになった以上は下層に進む義務が冒険者にある。これはほぼギルドの要望にもなるが、どの道俺たちは前から計画していた予定でもある。それが少し早くなっただけのこと、驚くことではない
しかしだ
「攻略した階層の更新だけでなく、ある指定のアイテムを回収すること、これがこのミッションの目的だ。だが、このミッションは俺たちだけではない」
「「「え!?」」」
「みんな、この紙に書いてあるんだけど、このミッションは僕たちだけではなく、タケとミアハのファミリアにも遠征に参加するように言われてるんだ」
「ミアハ様と!?」
「タケミカヅチ様の派閥がですか!?」
「それともう一人、ヘルメス・ファミリアから、ヘルメスの眷属になったアイシャも参加する」
「え!?アイシャ様が!?」
「レベル6の俺と、ベルとアイシャでレベル4の二人、そしてヴェルフと命と桜花と千草とダフネとカサンドラのレベル2の六人と、リリルカと春姫のレベル一が二人、このメンバーで遠征を行う。『派閥連合』と言うものだ。まあ俺は一度ロキ・ファミリア所属の時にあそこには行った経験が何度もあるから、それなりには詳しい方だが、それでも油断をしないように」
今回のミッションを行うのは我々だけじゃない。
タケミカヅチとミアハ・ファミリアの二つの派閥
つまりは『派閥連合』にて、このミッションをクリアしろと言うことだ
なぜ、あの二つの派閥がこのミッションに関係するのか、これは実は依頼主であるウラノスとは別ではある。これはギルドからだ
「タケミカヅチとミアハの派閥がこのミッションに関係するのかと言うと、以前俺がファーブニルに変身した後も、あいつらは俺を信じていた。俺達とロキ達で激戦をしていた間に、あいつらは俺の人権を作るためにギルドに抗議をしてくれたらしい」
「桜花殿と千草殿達が・・・」
「ダフネ様やカサンドラ様達も・・・」
「俺の味方をしてくれたはいいが、どの道それはギルド本部を敵に回す行為、当然ながらのペナルティを受けた。それがこのミッションだ。俺たちと共にこのミッションを受けろと、多分、今俺達同時にこの通知が届いているはず、今あいつらもこのミッションの通達を行き届いているはずだ」
「あの大男。まさかギルド本部に殴り込みでもしたんじゃないだろうな?」
「抗議したとしか聞いていない。とにかくこれは俺たちだけのミッションでは無い、このミッションを今週までにクリアせよ。とのことだ」
「今週!?」
「てことは・・・・明日には!」
「ああ。明日には実行しなくては間に合わない」
このミッションもそこまでは長くはない。期間内にクリアしなくてはならない。
これはおそらくウラノスが次の脅威に俺たちを使うことを考えての上だろう
つまりは明日の朝にはダンジョンへ行くしか、週末までには終わる見込みはない。幸い俺たちは22階層までは何度も攻略をこなし、そこまで行って日帰りするくらいは習慣にすることができた。つまりはそこから先の『グレートウォール』はそれ以降になる
当然ながら行くのは俺たちだけではない。タケミカヅチとミアハの派閥を組んで中に入らないとならない。団体で動くとなるなら、打ち合わせを今しなくてはならない
「だから打ち合わせをするぞ。リリルカはミアハ・ファミリアの所に行き、参加するメンバーをここへ連れて来い。命、お前はタケミカヅチ・ファミリアだ。春姫はヘルメスの所へ行きアイシャを連れて来い。今しかできないんだ。さあ、早く」
「は、はい!」
「わかりました!」
「行ってきます!」
もちろん下層に挑むのに、打ち合わせは必要不可欠。何も話もせずに、これからの準備をしなくてはならない事もある。今からでも、それを話し合うために連れて来いと、リリルカと命と春姫に、このミッションに参加するメンバーを連れて来てもらう
派閥連合をするのであれば