そこへ向かうのは、そんなにかからない。たった30分で着く距離の場所である。それはオラリオ西地区の場所へ向かう
「あのジークさん?一体どこへ向かうのですか?」
「お前でも絶対に近づかない場所だ。『フォールクヴァング』だ。」
「え!?それって!?」
「ああ。フレイヤ・ファミリアのホームだ」
フォールクヴァング
戦いの野とも言われた。フレイヤ・ファミリアの拠点である。そこへ向かうのには誰もが抵抗がある。少しでも主の居場所で土足を踏み荒らす者なら眷属達が殺しにかかるはずだろう。そんな現在最強のファミリアの所に向かう
そこで力を借りるしかないと、俺は手段が最低限考えられなかった
本当ならアイズ達にでも頼もうと思ったが、あいつらはクノッソスで忙しいだろうと頼まなかった
そして
「着いたぞ。とは言ってもここはもう一つの拠点だ」
「本当に来てしまった」
「強くなりたいなら、強者に噛みつけ。これが最も強くなる方法」
フォールヴァングの門前まで来た
ベルはまさかフレイヤ・ファミリアの拠点とは思いもせず、だから門前まで来て大きく緊張し、ここから先はベルは一歩も前へ出れない。ここまで来て怖気つくのは情けないと言うが、今回は無理もない。なにせ主の言うことしか聞かない『獣』しか居ない連中だ。主以外は死を送ってくるような連中だ、そんな巣穴に向かうのは難しいだろう
しかし、こうでもしないと強くなれない。強さを手にするにはまずは自身よりの強者を立ち向かわねば
「それで・・・・どうやって入ります?」
「こうやって入る」
「え!?ちょ!?ジークさん!?」
門前に来たはいいが、それでもどうやって入るのか検討がつかない。だからベルもどうしたらいいかわからない。幸い門番は居ない。通報されないだけマシなのだが
その通報をされる真似を俺がする
それは
「強硬手段だ」
「ちょっとおおおおおおおお!?ジークさあああああああああああん!?」
ドカアアアアアアアアアアアン!!!
グラムで門を斬り裂いた
現最強のファミリアの拠点の門を斬り裂いた。こんな命知らず、誰もやったりなどしないだろう。しかし、俺に死は恐れなどない。何度も捨ててきた俺が、今更こいつらを相手に恐れる理由などない。
しかし
俺もあまりこんな単細胞染みたやり方はしたくなかったが、そんな単細胞しかほとんど居ない連中の拠点を突破するにはこれしかない
言葉で聞くなら、こんな苦労しないからな
「行くぞ。ベル」
「ちょ!?ジークさん!?本当にいいんですか!?」
「門の請求と修理費は俺がする。だから問題ない」
「い、いや!そういうことではなくてですね!」
問題を起こすことは誰でもしない。
しかし、俺は違う
姉上のファミリアに問題を持ち込むくらい、義弟のやることくらい『優しい姉なら』見逃してくれる。姉の信じた上での行動だ
それに、尋ねたところで開けてくれるわけもない。あの姉上の眷属達だ。まともに喋れる奴なんてほとんど居ない。だから無理矢理こじ開けた方が早く話が済む
だが、もちろんそんなことをすれば
「ジーク・フリードが侵入してきたぞ!!!」
「他の眷属である他のベル・クラネルも居るぞ!!」
「英雄ヘラクレスが奇襲をしてきたぞ!」
「全員で囲め!」
「総員出動しろ!」
「あわわわわ!フレイヤ・ファミリアの眷属が総出で!」
「ま、当然だな」
当然ながら眷属総員が俺たちの周囲から現れ、数分もしない内に全員に囲まれ包囲された
常識に考えてこんなことをすれば、奇襲だと思って、姉上の眷属が殺意を露わにして、武器を向けて構えてくるのは当然、ほとんど武器を構えているのは中級冒険者が多い。無論それだけでなく
上級冒険者も
「おいジーク!奇襲をしてくるとは、テメエ覚悟できているんだろうな?」
「一体どういったおつもりですか?ジーク様?」
「あわわ・・・英雄・・・ヘラクレス・・・フレイ様の義弟様が・・・・奇襲!?」
「英雄ヘラクレスが、僕たちのファミリアに奇襲とは、一体なぜ我らのファミリアに?」
「義弟が姉のファミリアに攻撃するなどあり得ない」
「何か訳があるのか?」
「あの英雄が、こんなことをするとは俺たちでも考えきれないな」
「出てくるのが少し遅いな。俺がここに向かってくる気配に気づかなかったのか?配慮が足りないぞ?」
「ジークさん!?奇襲をしといてダメ出しですか!?」
奇襲をされてアレン達、上級冒険者も現れた
しかし、出てくるのが遅い
まず俺が来る前に気配に配慮をするべきだ。そうすれば俺がこんなことをされる前に、俺に尋ねて穏便にできるはずだ。それができなかったなら、ノロマとしか言いようがない。こんな簡単に奇襲されるなど、しかも門番も出てない時点で、話にならないとダメ出しを出す
奇襲をしておいて、俺はアレン達にダメ出しをした
そんなことをする立場はないだろうが、あいにく俺は姉上の眷属達に配慮などしない。むしろ気にしない。俺はまともに喋ることができない『会話すらできない獣』に用はない。だから俺は無視するように、会話も冷静に会話ができるヘディンに訪ねる
「姉上はどこだ?ヘディン」
「ジーク様、流石に義弟であろうとも、ここまでは横暴なのでは?姉上?それはあのお方のことを言っているのですか?」
「それ以外居ないだろう?ここに俺の義理の姉以外は、それでどこに居る?」
「おい聞いていんか!?テメエ!無視してねえで答えろ!なんのつもりだ!!」
「姉上に用があってここに来た。お前達に用はない」
「テメエ!こんなことをしておいてタダで済む思っているんだろうな!」
「なら殺し合うか?それも構わない。俺は『開け方』を知らないから、無理矢理開けただけに過ぎない。気に食わないのなら殺しに来ればいい。もちろん俺もお前達を殺してしまうかもしれないがな」
「ちょ!?ジークさん!?」
ヘディンに姉上がどこに居る聞くが
その前にアレンがどういう了見でこんなことをするのかと聞くが、聞かなくてもこんなことをしているんだ。謝罪をしたくらいで、許されるわけもない。
だからそんなに殺したいのならかかって来いと言い張る
別に殺し合っても構わない。ベル一人守るくらい、こいつらを相手にしても問題ないと、俺はアレンに殺意を向けられても恐れず
すると
「ジーク。一体なんのつもりでここへ来た?」
「オッタルか、お前なら会話ができそうだ。姉上はどこだ。少し取引をしたい」
「取引?」
「え?ジーク?ベル?」
「ん?アイズか?なぜお前がここに居る?」
「アイズさん!?」
「ああ、そういうことか、オッタルに鍛錬して貰っているのか?」
「うん、ジークとベルは?」
「ベルの鍛錬を頼みたいと、姉上に取引を持ちかけてきた」
「え?取引?」
「フレイヤ様に取引だと?」
「ああ、義弟の取引なら、姉上も聞いてくれると思ってな」
騒ぎを起こすと、奥から団長であるオッタルが現れた
流石の奇襲を聞いて、オッタルも落ち着いてはいるが、流石の俺の横暴のやり方に無視はできず、俺の元へとやってきた
更に、その隣でこの場に似合わず、思わぬ人物と遭遇する
それはアイズ・ヴァレンシュタインである
なぜフレイヤ・ファミリアの眷属でもない、アイズが姉上の拠点に居るのか、それは少し汚れた武装と手に剣を所持していた。見る限りオッタルに鍛錬を受けているようだ。
アイズも、これからのクノッソス攻略戦に準備を整えているようだ。そのために力を付けている。目的はレヴィスを倒すためだろうと推測する
とにかく少しは会話ができるオッタルが出てくるのはありがたい。ここではヘディン以外まともに喋れるものは居ないからな、少しは姉上の居場所を聞けると思ったが
その前に
「あら、随分荒い入り方をするのね。ジーク」
「久しく会う。姉上」
「こ、こんばんわ」
「っ!フレイヤ様!」
「オッタル。姉である私に用があるようだから退いてちょうだい。弟が私に頼みに来たのに、それを聞かない姉なんていないわ」
「わかりました。全員下がれ。フレイヤ様の命だ。アレン。お前も下がれ」
「は!?こいつは俺たちの門を壊しやがったんだぞ!そんなことをした野郎を見逃すわけ!」
「アレン。下がって。ここからは私とジークの姉弟の時間なの。邪魔しないで?」
「く!わ、わかりました」
聞く前に姉上であるフレイヤが奥から現れた
俺が自身に用があると聞いて、全員を下がらせて、俺が門を壊して入って来たと言うのに、それを問わずに俺の取引の話を応じてくれた
やはり他を黙らせることができるのは姉上のみ、姉上が早く出て来てくれて助かる。ここでやってもいいが、オッタルとヘディン以外はまともに聞く耳を持たない者ばかりだから、殺さなきゃわからないから、無駄な殺しをせずに済んだと、面倒が減ってよかったと思う
とにかく、姉上に取引を
「姉上。強引な入場で申し訳ない。入り方がわからずな為、門を裂いて入らせて貰った。だが敵対の意思はない。門の修理費は後日引き渡す」
「別に構わないわ。門くらい、それに尋ねたところで、アレン達がジークを入れてくれるとは思えないしね」
「配慮に感謝する。今回は取引でこちらに参った次第」
「取引?何を?」
「今隣に居る俺の仲間であるベル・クラネルに、姉上の眷属であるヘディンに今日の夜までだけでいいから、鍛錬を願いたい」
「え!?僕があの・・・・ヒルド・スレイヴと!?」
「何!?私にその少年をだと!?」
「あら、ヘディンにその坊やを今日の夜までに強くして欲しいと?」
「ああ、こちらの要求はただそれだけ、今日だけで構わない。できるか?」
「ちょ!?ジークさん!?本気で言っているんですか?」
「ああ、ヘディンはこの中では最もまともな男だ。会話も簡単にできる。しかし無駄口を叩けばやられるとだけ覚えておけ、つまりは教えられている分は、奴の言うことを聞けと言うわけだ」
「どうしてヘディンに?」
「ヘディンは魔法も剣の腕も確かな素質がある魔法剣士だ。今ベルもその両方が必要になる。その魔法剣士としての腕を上げるように頼みたい。他にもそれらがある眷属は居るが、ヘグニは人見知りで会話すらできないから無理、アルフリッグ兄弟たちは、腕はあるがワガママなところがあるからまともに鍛錬に付き合うとは思えない。アレンは・・・・ベート並みに論外だから頼んでも無駄だ」
「あ!?テメエそれは俺に言ってんのか!?」
「僕たちがワガママだと!?」
「「「俺たちはそこまで子供ではない!!」」」
「お、俺は・・・・・ちょっと・・無理です」
「事実を言ったまでだ、そんなことを言われたくないなら、まずは対話を試みることを覚えるんだな」
俺がここに来て、姉上に持ちかける取引は
ベルを更に強くするために、今日の夜までヘディンが鍛錬させると言う要求である
ヘディンはこの中では一番に常識のある男。少し取引をして応じてくれるのなら、真面目に鍛錬を組んでくれる男。この中で一番に冷静に行動に物事を判断できる。
俺の要望はここまでだが
姉上がその対価に似合う取引の要求を今度はする。果たしてヘディンを一夜まで鍛錬に使うために、俺への要求はなんであろうか
「いいわ。応じても。ヘディンはどう?私のお願い聞いてくれる?私もジークから少し借りが欲しいの?聞いてくれるかしら?」
「わかりました。貴方様がそうおっしゃるのでしたら、この白兎は私にお任せください」
「礼を言う。姉上、ヘディン。ところでヘディン。俺を様呼ばわりは止めてもらおう。おそらくお前が俺を様呼ばわりするのは、俺がフレイの義弟であるが故であろうが、俺はヒューマンだ。ハイエルフでもない人間をそんな高貴な扱いをする必要はない」
「いいえ、貴方様はフレイ様のご意志を継いだお方にして、我が主様の義弟様。この方の眷属として、フレイ様を信仰するエルフとして、貴方様を我らが信仰する神の家族として、貴方に敬意を示します」
「わかった。お前の好きにしろ。それでは早速取り掛かってくれ。ベル。行け。今日の夜には迎えに行く」
「あ、はい!」
「白兎。私は今日だけお前の師として担当する。私のことは『マスター』と呼べ?よいな?」
「はい!お願いしますマスター!」
「返事だけは良しとしよう。ではやるぞ。こちらに来い」
「はい!行ってきますジークさん!」
「ああ、今日だけでしっかり学べ」
「ベルも鍛錬を頼みに来たんだ」
「お前と同じだアイズ。ベルも強くなるために強者からの学びが必要だ」
姉上は俺の要求を聞いてくれた。やはり今の俺に借りが欲しいようで、俺の取引に簡単に応じてくれた
ヘディンも姉上の命であるなら、簡単に引き受ける。ヘディンはハイエルフでも俺に敬意を示すようなことをするが、エルフと言う種族として、そのエルフが信仰するフレイの実の家族であるなら、そのフレイの妹であるフレイヤの弟であるならと、フレイと姉上同様に俺に敬意を表すと誠意を見せた
あまり時間もないため、さっと鍛錬を開始し、ベルは彼をマスターと呼んで、奥地の方へ行き、ヘディンの修行を開始する
そして
この要求を引き受けてくれた姉上の要望を、今度は俺が聞かなくてはらない
「姉上。ひとまず俺の要求に応じてくれて感謝する」
「気にしないで、私は貴方の姉として貴方のお願いを聞いただけだから」
「そうか、それでは今度は姉上が俺に要求をする番ではあるが、俺になんの対価を差し出せばいい?言っておくがファミリアの移籍はなしで頼む。オッタルとヘディンはいいが、それが以外は面倒なため、姉上のファミリアに入るのには抵抗がある」
「そうね・・・・・」
取引なのだから、当然俺も姉上の要求を聞かなくてはならない
姉上のことだから、どうせ俺を自身のファミリアにコンバージョンさせたいと思っているだろうが、それは無理だと断言する
そもそも俺がヘスティアの恩恵になってからまだ一年も経ってないため、コンバージョンは不可能だった。それに入団したところで面倒な連中と共に過ごすのは、俺も流石に抵抗があるため、面倒ごとを増やさないために、入団は断る
それ以外で頼んだが
そして我が姉上の要求は
「じゃあ、今度私とデートして?」
「「「「「「「っ!?」」」」」」」
「わかった。それくらいなら、ただ今はやめて欲しい。こちらも今は忙しい。来月辺りにしてくれ」
「わかったわ。来月にお願いね?」
「姉上のご要望であるならば」
姉上は俺とのデートの所望される
無論、俺はその取引に応じる。それくらいなら全然構わない。と言うより等々俺に手を出す時が来たようだな、前々から姉上が俺を欲しがっていたのはわかっていた。今この取引を持ちかけて、姉上の狙いを確認できて正解だと思った
俺はその姉上が俺をしっかり取ろうとする欲があるのか、それを確認をするためにもわざと姉上に取引を持ち込んだ。もうそろそろ俺を取りに行くと思っていたからな、それに姉上のことだ、『絶対にそのままの姿になって』デートなんてしないだろう。俺を取るなら絶対に姉上はその姿で参加することはないだろう
とにかく、姉上の要望は聞き入れ、俺は来月辺りに予定に入れる
「フレイヤ様!?本気で言っているのですか!?よりにもよってこの野郎と!」
「別にお前には関係ないだろう。姉上がどこで何をしようが、姉上の勝手だ。眷属であるお前が口出しする権利はないだろう?」
「眷属としてだからだろうが、それとテメエ。このお方を姉上と呼んで、勝手に家族ずらするんじゃねえ」
「前も言ったはずだ。俺の家族合成として成り立った関係だ。俺はフレイ兄上の義弟であり、その兄には実の妹であるフレイヤが居る。そうなってしまえば、実質俺もフレイヤを姉上として扱う他ない。それに姉上もこれに関して否定はない。人の家族合成に文句を言ってくるな。それにお前は特に人のことを言える立場はない。ただでさえ『妹をクズ呼ばわりするような愚兄』だ。家族を大事にできないお前に、そんな俺と姉上が家族の関係があることに関して文句を言う資格はない」
「っ!?テメエ!!殺すぞ!!」
「事実を言ったまでだ。お前が家族を大事にしていないのは、紛れもない事実だ。それすら否定しようものなら、やはりお前は愚兄だ」
俺と姉上がデートをすることに関して、アレンは当然ながら文句が出る
やはりこういう所はベートと同じで品性が劣る
人に文句しかない捻くれた性格をしているアレンは、俺のすることなど何一つ気に食わない。二年前俺がカオス・ヘルツで瀕死状態に追い込んだ時以来、こいつはもう俺の存在は認めない。完全に俺はこいつに嫌われている
それは別に構わない上に、俺もこいつのことはあまり気にしていないが
家族を大事にできない愚兄であることは事実であり、否定できんこと。それでも否定しよう者なら家族を持つ者として愚かであることは明白。それをしてまで姉上に何を捧げるのか。こいつのしたいことが未だにまだわからずで、理解ができんと、こいつの対話は意味がないと常日頃俺は思うのだった
「アレン。私と義弟であるジークが仲良くするのはそんなに不満なのかしら?」
「不満です!こいつはあの黒竜ファフニールを倒した実力は確かにあります!ですが、この領地の門を壊してこの態度!俺の眼には勝手過ぎるとこのクソ野郎排除すべきです!」
「そう、それはつまり・・・・『お兄様が認めた義弟』を殺せと言うのかしら?お兄様が大事にしていた義弟であるジークを?」
「っ!い、いいえ、そ、それは・・・・」
「アレン。貴方が二年前にジークにやられて根に持っているのは知っているわ。それも当時レベル1のジークに、でもこの子はお兄様が認めた家族なの。つまりはお兄様が認めた家族ならお兄様の妹である私もジークを認めないと、お兄様に顔向けできないの。そのお兄様が大事にしていた家族を、私の目の前で殺そうと言うの?それは妹である私としては・・・・・・笑えないわね?」
「っ!?!?い、いいえ。文句はございません。貴方が望まれるままに、俺は貴方の車輪です。そのようなことは・・・・今後なされないことを約束いたします」
「は、初めて見た!?」
「あのお方が怒るところなど!?」
「それだけエルフの主神である神フレイは、フレイヤ様にとって、命よりも大事」
「兄の尊敬を背く者は妹として許さないと言うことか」
「これは当然!!この愚猫が!このお方が怒って常識!!あのフレイ様が大事にしていた家族を!フレイヤ様の家族でもあるジーク様を手に掛けるなど!本来なら我らエルフが裁きを下している!あのリヴェリア様でも許されぬぞ!今度我の前でジーク様を侮辱してみろ!我が全力で貴様を呪い殺す!」
「ヘグニ。お前まで俺を高貴と信仰扱いか、そしてアレン。いい加減学んだらどうだ。兄上に関することを侮辱されれば、妹として怒るのは当然、あまり変なことを言わないことを勧める」
「初めて見た。あの神フレイヤが怒るところなんて・・・」
姉上に守られるのは義弟として申し訳ないと思うが、それでも姉上は尊敬する兄の大事な家族を手にかけるのなら、過去にやられた犯人であろうと、フレイヤと言う美の女神でも、自身の眷属でも許さず
その怒った表情をアルフリッグ兄弟とアレンは驚く、あの優しき女神が眷属を相手にしても我が兄の大事なものに触ろうものなら許さず、ワガママで案外身勝手な女神でも、実の兄を尊敬し、その侮辱する者は許さず、これがヴァン兄妹の妹にして、フレイの妹の神威である
そのフレイヤの神威に、オッタルは初めてではないため驚きはしないが、眷属たち全員が誰もが平伏す。主の神威は初めてであろう。まさか実の兄の大事なものを触れるだけで、ここまで怒りを受けるなど、オッタルたちにおいても初である。オッタルに鍛錬を受けているアイズでも、フレイヤの怒りは恐ろしく思う
しかし、その中には俺と同じく効かない。フレイヤと同じ怒りを見せる眷属も居る
それはダークエルフであるヘグニ・ラグナール
ヘグニは人見知りであり、神々が言う『コミュ障』であり、喋ることがまともにできない男だが
ヘグニもダークエルフではあるが、エルフの一種でありフレイを信仰する者である。アレンの今の暴言は完全にエルフに喧嘩を売る行為。フレイヤの兄が家族として認めている俺を侮辱は、兄の侮辱に繋がる。今ヘグニはフレイヤ同様にエルフとしてアレンに怒っている。我が信仰している兄の大事な家族を見下すようなことをするからだ
俺は別にアレンに文句を言われようが気にしないが、流石にハイエルフでもないのに、ヘグニやヘディンのエルフたちに特別扱いしないで貰いたいが、俺がフレイの仇を取るためにファフニールを殺したことを世界に知られて以来、他のエルフたちにハイエルフのように高貴扱いされて面倒なことになっている
まあ、これで取引は成立になったため、ここを出る
「姉上。もう用は済んだため、もう俺は行く」
「忙しそうね?貴方の仲間の鍛錬を頼むなり、何かあったの?」
「ミッションを掛けられた。これから俺たちだけで下層の攻略をしなくてはならない」
「っ!あら随分と久しぶりじゃない?ミッションだなんて?」
「ああ、ギルドもやって貰いたいものがあるようだ。そのために力をつける準備をしているんだ。俺もこれから報告のためにまたギルド本部にな」
「そうなの。気をつけてねジーク。死んだら許さないから」
「死ねるものならな。夜にベルを迎えにまたここを訪ねる。ではな」
そう言って、俺はここを立ち去る
姉上も、こんな時期にミッションを掛けられるのは珍しいと言う。確かにあのオリンピアの騒動以来で、少し世界に環境変化で野外モンスターは多く出て、鎮圧した後だと言うのに、今度はミッションを掛けられる。久しぶりということもあるだろうが
これはウラノスからの依頼にして、ゼノスたちの移住先の調査。俺としてはあまり珍しい話でもないため、とにかくさっさと事を済ませるためにギルド本部へ向かう
その前に
「オッタル。まだ俺に手を出すなよ。まだその時じゃないからな」
「わかっている。お前はそのミッションで・・・・『俺と同じ』になるのか?」
「推測としてな。段々体がおかしくなっている。今の俺にはもうファフニールの力を余らせる時間はないようだ。もしもこのミッションが終わった時は・・・・お前と同じ土俵に立っているだろうな」
その前にオッタルにまだ俺に手を出さないよう、注意づける
まだ俺はレベル6。しかし、推測として俺がこのミッションを終えた後はオッタルと同じになっているはず
その理由と根拠は、最近ファフニールの力が『自動』に発動するようになってしまっている。それも無意識に、いくらモンスターのドロップアイテムを口にして奴の力を手にしたとしても、それはもう抑えられる状態ではない。このミッションを終えた時、俺はもう人間で無くなっていると、もう抑えられない力によって、レベルも変わると推測しているからである
俺がいつまでも人間で居られるとは限らないことだ。
だからその試しに、俺はあいつに一言
「おい、俺はこれからギルド本部へ行くが、その後は南地区にある廃墟の建物が周辺にある湖に行く。そこはとても静かで少し騒ぎを起こした程度でも、他の者にはバレにくい上に。その周囲に人は居ない。と、言えばわかるか?」
「っ!?テメエ・・・」
「以上だ。どうするかはお前に任せる」
俺はアレンにそのような意味深な言葉を残してから去る
試しにアレンにこの言葉を残しておき、そしてこれを聞いて奴はどう思うか、とにかく俺はもうやるべきことは済んだため、さっさとギルド本部に戻る
準備できる猶予は、今日しかないのだからな