早朝
俺たちのホームにて、全員集ってからダンジョンへ向かうのだが、当然ながら時間通りに全員が集まることはなかった
ヴェルフはまだ武器の製作に時間がかかるのか、俺たちの仲間でありながら、まだ鍛冶部屋から出てこない。そしてカサンドラが、突然駄々を捏ねてダンジョンへ行きたがらないと、理由はわからないが、先に来ているミアハとナァーザがそう言って。まだダフネとカサンドラと時間がかかると連絡が来た
それ以外がちゃんと来ていて、なぜかその三人が、出発の時間をも迫っているにも関わらず、まだ現れない。遅れそうだと自身で言っていたアイシャですら先に来ていた
話を聞く限り、まだ遅くなりそうだ
だから、まだヴェルフとダフネとカサンドラが時間がかかるなら、俺も少し時間を貰うと、別の場所へ行く
その場所は
「そうなの。ジークは・・・行くんだね。下層に」
「ああ、久しくあの場所へ行く。今日から行くのだが、その前に君に伝えようと思ってな、言っておくが、これが最後って言う意味ではないぞ。シル」
その場所は豊穣の女主人と言う酒場
そこで俺が最も大事にする女性。シル・フローヴァのところへ行き。遠征に出る前に、彼女から、ちゃんと生き残れるために彼女から勇気のある言葉を貰おうと、ここまでやってきた
少しだけの時間なら、彼女と会う時間が貰えると、ここに少しの時間だけやってきた
「ジーク。頑張ってね、また死んだなんて聞いたら許さないんだからね」
「もちろんだ。君のためにも生き残ってみせる。一度は潜った場所だ。二年前は何度も行っているから問題ない」
「絶対だよ?」
「ああ、もちろんだ」
そう言って、彼女は俺を優しく抱きしめる
それだけでも、俺は生き残れる気がすると、心が一度安らぐ、やはり彼女の愛は俺に力をくれる。だから俺も今回も生き残ってみせると誓える
「ちょっと何をしているにゃ!!」
「シル!ジークに抱きつくなにゃ!」
「あの事件以来!本当に仲が深まりすぎでしょ!離れなさいよ!」
「あ!アーニャ!クロエ!ルノア!何をするのよ!」
「っ!とにかく、必ず生き残ってみせる。心配しないでくれ」
あまりシルとの時間は長くはない
アーニャ達も居て、あまり俺たちの行動が気に食わないのか、シルを無理矢理引き剥がして、俺から離れさせる
どうやらあまりに俺とのやりとりに不満ああったようだ。理由はわからないが
ただこの三人が出てきているにも関わらず、リューが出てこない
「リューが見当たらないが、彼女は?」
「それが今週から出勤してこないの」
「そうか・・・・・・・『やはり』か」
「っ!ジーク?まさかリューがどこ行ったのか?知っているの?」
「おそらくだが。その話をする前に、シルやアーニャ達はリューの過去のことについて知ってはいるな?」
「それは知っているにゃ」
「ミャーも知っているにゃ」
「私も、前にミア母さんに聞いたけど、それがどうかしたの?」
「実は、これはエイナに聞いた話だが・・・『・・・・・・・・』・・・・・・・・・」
「「「っ!?」」」
「本当なの!?その話!?」
「ああ、間違いないとギルドは判断している、それにそのことについても、『俺はミッションに含まれている』。そのために、間違いなくあいつは」
「そうなの。だから今週からリューは」
リューが店の奥からも出てこない
俺がここに来れば彼女がいつも来るのに、この日は来なかった。その理由を俺は、おそらくではあるが予想としてここに居るに違いないと断言する
シル達も、その話を聞いて、その可能性が高いと、俺の断言を信じる
シル達もリューの過去についてはある程度知っているため、その話を聞いた瞬間、シル達でもリューの行き先に確信が付いたのか、俺のその話をすぐに信じた
俺もこの『情報』については、エイナに聞いた話で本当かどうかはわからないが、でもその話を聞く限りではこれしかあり得ないと、リューの行方を予想した
「ジーク。もしその話が本当なら・・・リューを」
「わかっている。しかし俺でも苦戦する場所でもあるんだ。『トラブル』は出てくるはずだ」
「じゃあミャー達も一緒に行った方がいいにゃ」
「確かに来て欲しいが、まずは本当かどうかがわからない、わかるまでは着いてくるのは無駄になる可能性もある。それに俺たちの仕事だ。お前達にそこまで力を借りるつもりはない、そのために、シル。これを耳に付けさせて貰う」
「これは?イヤリング?」
「耳に穴を開けることなく、付けれるイヤリングだ。このイヤリングから、俺のこのギャラルホルンの音を、俺が遠くでこれを吹いても、そのイヤリングから音を拾うことができる。これを聞いたらダンジョンまで助けに来て欲しい。できるか?アーニャ?クロエ?ルノア?」
「任せたにゃ!」
「わかったにゃ!」
「わかった!それ以外にも増援を出せる冒険者に協力を頼んでおくよ」
「すまない。頼む。シル。合図を送るから、アーニャ達に知らせを」
「うん、リューを見つけたらお願い」
「ああ、俺はもう行く。救援合図を待っててくて」
シル達に、それだけを頼んでおく
シルの耳にイヤリングを付けた、そのイヤリングは俺が所持している『ギャラルホルン』の音を、俺が遠くでそれを鳴らしても聞こえるマジックアイテム。シルに渡したイヤリングはオクルスでできている。連絡も可能だ
そのギャラルホルンの音を聞いたら、増援要請である合図であり、そうしたらアーニャ達はダンジョンに行き、救助へ向かう頼みをする
リューのその話が本当かはわからないが
少なくとも可能性はあると言うことで、まだはっきりしないため、まだ酒場で待って貰い、音が聞こえたら来て貰う手筈を整える
どんなにしても、リューのことに関しても、やはりこのミッションはかなりの難易度になると、覚悟を決める他ないと、俺は思うばかりだった
それだけを言って、俺はホームに戻る。そろそろ全員揃っているはずなため、俺もいち早く戻る
そして、ホームに戻ると
今度は朝不在だった。ヴェルフもカサンドラもダフネも揃っていた。桜花には大斧を所持している。どうやらやっと全員準備が整ったようだ。これでミッションに向かうことができる
「全員、今度こそ揃ったようだな」
「あ!ジークさん!」
「悪い!この大男分が時間がかかっちまってな」
「間に合ったなら十分だ。ダフネもカサンドラも問題ないな」
「それなんだけどジーク。この子が」
「あのジークさん!この遠征を延期・・・もしくは中止できませんか?」
「なぜ?」
「それなんですけど、また夢を見て」
「お前の予知夢か、それで?」
「『気持ち悪い緑の苔が、たくさんの人を飲み込もう』としてて」
「カサンドラ、いくらなんでもここでやめるわけないでしょ?そうよね?ジーク・フリード」
「『緑の苔がたくさんの人を飲み込む』。ああ・・・・・今『あいつ』が居るのか、なら良い試練になりそうだな」
「ジーク・フリード?」
「カサンドラ、お前の予知夢は便利だな、おかげでこの先、何が起こるのか理解した」
「ですよね!なら延期か中止に・・」
「いや、それでも中止する気も延期する気もない。そんなことでも対象としてはやるべき試練であり、やめるつもりはない。もう期間だってあるんだ。ここは全員を信じてそんな予言であろうとも乗り越える。お前の予知夢は頼りではあるが、そんな困難でも仲間を信じるべきでは?」
「あ、そ、そうですね」
「不安になる気持ちはわかる。しかしそれが下層なんだ。予期せぬ事であろうと対応できるようにならないとだ。よって拒否だ」
カサンドラが予知夢で、この先、危険なモンスターがダンジョンに潜んでいると、彼女の夢が教えてくれた
緑の苔が、たくさんの人を飲み込む
その『事』について、俺はなんのことだが理解し、この先をもう計画すべきだと、対策を考える
そして、カサンドラに中止を頼まれるが、これは拒否。危険なのは承知、しかしそれを乗り越えるのが冒険と言うもの
よってカサンドラの意見は拒否。恐怖を抱くにしては仕方なし、しかし、それでももう『猶予』はない。ここでやられねば先に進めない
『主様、全員揃いました』
『そろそろかと』
『ご武運を祈っています』
「ああ、よし!全員揃ったな!最後に主神達、俺たちが行く前に助言を!」
「ああ、好きに暴れて来い。全力で!」
「留守は任せて、気をつけてね!」
「無茶をしてはならぬぞ。何かあれば私やナァーザが増援を回す手配をする」
「サポートは任せて」
「ジーク君。ベル君。みんなも!油断は禁物だぜ?そして・・・・・・・頑張るんだよ?」
「ああ!」
「はい!」
「「「「「「「「「はい(おう)!!!」」」」」」」」」
ダンジョンに行く前に、最後に主神たちの言葉を聞いてから向かう。ホームの留守に関しては全て主神やウンディーネ達精霊に任せている。
あとは俺たちが無事にこのミッションをクリアして、再びここへ戻ってくるだけであった
ここで全員揃い、準備が整った
そして
「よし!派閥連合!これよりミッションを開始する!!!」
そして俺たちは、ダンジョンへ向かう
目指すは下層へ