ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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ミッション前半 終了

 

 

18階層 リヴィラの街

 

 

ドルムル達とルヴィス達をリヴィラの治療院に搬送させた。腕が切れたルヴィスの腕は俺の回復魔術で切断した腕を生えさせた

 

その他はなんとか回復薬や包帯を撒いたりなどをして、なんとかドルムル達やルヴィス達はなんとか無事に全員欠けることなく生き残ることができた

 

しかし、重傷が激しいため、これ以上の探索は続行はできず、ここでミッションはリタイアとドルムルとルヴィスが判断した。まだ地上に出れるような万全な状態ではないため、今は休息をしてリヴィラの治療院のベッドで休んでいる。

 

 

「すまない。私たちの治療に、私の腕まで治していただきありがとうございます」

 

「昨日も言ったが、兄上達の眷属を助けたかっただけだ。何も気にする必要はない。それにお前達は以前俺を助けてくれた。その礼として受け取ってくれればいい」

 

「俺たちまですまねえ。他の仲間までも」

 

「これくらい問題ない。命があるなら治しようがある。とは言っても今回のミッションはリタイアして貰う。せっかく治って酷くなっても困るしな」

 

 

その治療院で、俺がドルムル達とルヴィス達を治した

 

このリヴィラの治療院で治せはするが、無駄に金が高く重傷者が居たにしても、金を多く取ろうと高値を要求してくるため、利用金だけ払い、他は俺が金を使うまでもなく、俺の作った回復薬と回復魔術で、切断した腕すらも治せる

 

以前あの内戦を助けてくれた礼も兼ねて、ドルムル達とルヴィス達を完治した。しかし、これ以上の探索続行は不可能であるため、彼らは安静を取るために。ここでミッションはリタイアとなった

 

彼らの治療を済ませて、俺は治療院を出て、自身の設置したテントに戻ろうとする

 

すると

 

 

「あ!居た!ジーク・フリード!ちょっといい!」

 

「ん?ダフネとカサンドラか?どうかしたのか?」

 

「あの・・・少しお願いがありまして・・」

 

「大変なんだ!お願い!」

 

「何かトラブルか?」

 

「とにかく来て!」

 

「わかった。今行く」

 

 

ダフネとカサンドラが突然訪ねてきた

 

何か困るようなことがあったため、俺が必要だと、俺をある場所へ連れて行こうとする。ダフネとカサンドラの顔を見る限り、何かのトラブルにあって、焦っているようだが、果たして一体なんのトラブルだろうと

 

思ってみたが

 

 

カサンドラとダフネに連れて来られた場所は、ある『雑貨屋』だった

 

 

「ひい!?おい!卑怯だぞ!英雄ヘラクレスを呼んでくるなんてよ!しかもなんでここにジーク・フリードが居るんだ!?」

 

 

「だって私たちと同じパーティだもん、ねえ?」

 

「なんだ?高値のアイテムを負けるつもりなのか?」

 

「だってこれ高いんだもん!」

 

「次のミッションに必要なアイテムを買おうとここへ伺ったら、必要なアイテムが全てここにあったのですが、どれも高くて・・・」

 

「この店主が自ら調達した物ばかりだ。値段が高いのは仕方ない。ま、確かにこのいろんなアイテムだけで高値で売りつけようとするのは、確かに商売悪さではあるけどな」

 

 

「う!?」

 

 

「まあいい、これでいいか?7万ヴァリスはあるぞ?要らないなら他を当たる」

 

 

「え?お、おう、わかった。も、持っていけ」

 

 

「これでいいな?」

 

「え!?負けることなく7万ヴァリスで払う気!?」

 

「いくらなんでも、これだけでそんな多くの金を払う必要は・・・」

 

「この程度の端た金。欲しいならくれてやる」

 

「でも、確かジークさんのファミリアは借金があると聞いたのですが」

 

「これは俺の個人の金だ。ヘスティアの借金を返せる程、多く持っているが、ヘスティアが作った借金だと、俺に払わせてくれなかった。とにかく、もう用は済んだな?俺はもう行く」

 

「あ、待ってよ!流石にここまでさせたんだから、この後カフェでも行かない?奢るからさ?」

 

「何か一杯だけでも・・・」

 

「ここはリヴィラだ。カフェでも高いぞ?それでもいいなら甘えさせて貰う。紅茶一杯でいいぞ」

 

 

このいろんなアイテムを奢ったお礼として、近くにあるカフェで一杯だけでもどうだと、ダフネとカサンドラに誘われ、その誘いを受け、近くにあるカフェへと向かう

 

別にあの程度の金、このアイテムのほとんどは次のミッションに必要な物ばかり、それを手にするなら、躊躇うことなく俺は金を払った

 

カサンドラとダフネからすれば、あれだけのアイテムだけで7万は流石に高いと思うのは当然であり、何かお礼をしなければ、割に合わなかったのだろう。ここは全部冒険者が自ら用意している物ばかりだ、多少の値段がついても仕方がないとは思うが、それでも無駄に金を欲張ろうと変な商売方法するから、ダフネがあの商人に文句を言うのはわからない話でもない

 

 

「悪いな、金を払って貰って、もし足りないならやるぞ?」

 

「別にいいわよ。このくらい、それに私たちもそこまでお金困ってないし」

 

「さっきの金額よりは全然、よくあれだけのためにあんな大金を渡しましたね?」

 

「時間も惜しいから、さっさと払えばいいと、早く済ますことを考えた上だ。それに金ならまた稼げばいい、そうとは思わないか?」

 

「レベル6のあんたなら多く稼げそうね」

 

「レベルの低い私たちでは・・・そこまで・・・」

 

「ある程度は稼げるだろう?それでも金が足りないと言うなら、お前達二人もミアハのファミリアに入ったならわかると思うが、『ミアハが余計な事をしなければ』、金に困らないファミリアになるんだがな?」

 

「ま、まあね・・・・」

 

「あはははは、でもそのおかげで市民の方や他のファミリアからも信頼が強いんですよね」

 

「タケミカヅチ同様に、唯一の男神で義神はタケミカヅチとあのミアハくらいだからな」

 

 

あの商人にあれだけのアイテムだけで、軽々と高値で買おうとする、俺の意味不明な行いに、少し理解の無さを覚える

 

俺としては金なんて、冒険者をやっていればいつでも稼げると思っている。稼ぐ方法がいくらでもあるこの冒険者の職業なら、モンスターから魔石を多く手にすればそれだけで何万も手に入れられる、また稼げばいいし、あのアイテムを負けるための時間を費やすくらいなら、高い金をさっさと払って、その分をまた金を稼ぐために怪物狩りをして稼げばいい。また稼ぐのだから、あれくらいなら払っても問題ない

 

それでもダフネとカサンドラに金は大事だと思うのなら、ミアハの眷属として金銭感覚がおかしくなる程、ミアハが困っている者に『金を払わせる事無く』金を費やして作った回復薬を渡しているからだろう

 

もはや商売とは言えない。もはやボランティアだ。

 

だが、そのおかげでミアハに信頼は強く、オラリオに住む者たちはミアハに好感があり、金に困りのある者hはほとんどはミアハのファミリアを利用している。

 

ま、なんにしてもある意味プラマイゼロの生活をしているのだと、ミアハ・ファミリアの家計事情を察してそれ以上は何も言わなかった

 

 

「でも、金と言い、戦いもそうですけど、ジークさんは凄いですね、私の夢なんかも簡単に変えてくれますし」

 

「ん?予知夢のことか?」

 

「あんた!またそんなことを言っているの?あんたの夢なんて信じるわけないでしょ?」

 

「え!?でも・・・だって・・・」

 

「なるほど、ダフネは何がなんでも信じないのか?カサンドラの予知夢を?」

 

「当たり前でしょう?そういうジーク・フリードはこの子の夢を信じるの?」

 

「少なくとも俺は信じている。何せ『嘘ではなかった』だろう?『緑の苔がたくさんの人を飲み込む』。つまりは強化種のモスヒュージがたくさんの冒険者に寄生木を植え付けた。嘘ではないだろう?」

 

「っ!それは・・・・・・」

 

 

カサンドラは俺が予知夢の運命を簡単に破ってくれると褒め

 

ダフネはまだそんなデタラメなことを言うのかと、ダフネはカサンドラの予知夢を信じない。

 

実際に見てもない未来を、夢の中で見るなど、ダフネとしては信じられない。夢の中で自身の未来を見るなど、そもそも未来を見ることができるなどありえないと思うのが当然、そんなことは非現実的だ

 

だが、俺はそれでも信じた。嘘ではないからな

 

最悪な未来だったとしても。それをどう打ち破るかが問題だ。どんな最悪な未来でも自分の決めた選択で未来が決まるものだ。だから全ては自分次第、むしろそれを教えてくれるのは有難い。それがこの先の危険を察知できるのだから、対策しようがある。

 

確かに非現実的なことである。あまりに信じられないからそこまでダフネは信じられないようだ

 

 

「信じてもいいんじゃないのか?別に嘘をついているわけじゃないんだ。カサンドラの言う予知夢は確かに酷いものだが、酷いからこの先警戒できるんじゃないのか?」

 

「でも・・・・・」

 

「ま、カサンドラの言う言葉があまりに信じられないのは仕方がない。それを信じてくれと言っても難しいからな」

 

「うう・・・・」

 

「でも、カサンドラは信じてやれ」

 

「え?」

 

「カサンドラの予知夢を信じるのは無理でも、カサンドラを信じるのはできるだろう?二人はいつも仲が良いみたいだから、そこは信頼し合える方がいいぞ」

 

「ま、まあね・・・」

 

「それはどういう意味で?」

 

「意味も何も、お互い信じあうのは良いことだろう、それができれば予知夢に悩まされることもなくなる。お前達はそれに振り回されそうだから、俺なりにアドバイスしただけに過ぎない。聞くかはもちろんお前達に任せる」

 

「は、はい・・・・」

 

「私はそうでもないけど、ジーク・フリードは私達を見てそう思うの?」

 

「ああ、そんな感じはした。お前が否定するばかりだから、予知夢について振り回されいると思う」

 

 

俺はカサンドラとダフネに、居るとは思えないが、俺なりのアドバイスを置いておく

 

予知夢に囚われることなく、お互いを信頼し続けると言うこと、これは絶対に必要かはわからないが、少なくともダフネが否定する限りは、これが必要だと俺は今思う

 

それだけで、これから苦渋選択をできるように、この教えを二人に置いていく

 

二人に言うことはそれだけ

 

 

「俺が言えることはここまでだ。紅茶一杯分は感謝する。俺はもうテントに戻る、また後でな」

 

「あ、うん」

 

「わかりました。それではまた後ほど」

 

 

そう言って、俺はダフネとカサンドラより先にテントへと戻っていく

 

ダフネはあまりにカサンドラの言う言葉が信じられない。今ここでそれを信じられるようにならなければならないものだと、俺はあの二人の試練だと思った

 

カサンドラの言う事は少なくとも俺は嘘ではないと信じられるが、ダフネはあまりに現実味のない予言など、彼女は信じないのは当然、だからそれが原因で今信頼にズレがあると感じる

 

信頼はこの先では大切、状況判断も付かなくなる、それができるようにならないと、もしも危険な状況の時、お互い信頼できなくて判断を間違えるなんてこともある。その辺りはあの二人に任せようと、どこで乗り越えるかはあの二人次第だと、俺はあえて何もしない。せめて助言すれば十分だと、それ以上は不要だと考えたまで

 

 

 

 

 

そして、俺は自身のテントに戻ってある報告をする

 

俺の錬金術で製作した『オクルス』で、ある者に報告を上げる、それは

 

 

『そうなんだ。上手くミッションを遂行できているようでよかったよ。じゃあ死者は無しだね?』

 

「ああ、問題なく、ルヴィス達とドルムル達は俺で治しておいた。だがミッションの続行は容体により不可能と見做して、リタイアさせた。と言った現状だな、ヘスティア」

 

 

その報告先は、俺たちの主神であるヘスティアだった

 

ヘスティアに予めオクルスを持たせて、いつでも報告できるようにしていた。案外俺が作った連絡アイテムはダンジョンの中でも使えると以前使用して連絡範囲を把握し、20階層までなら地上に居る者に連絡できると理解し、18階層に拠点を設置していれば連絡できると思い、報告連絡を入れた次第である

 

 

『危険な探索みたいだったけど、それでもみんな諦めずに頑張ったんだね?』

 

「ああ、少なくともあのオリンピアで成長はできている、言うならあの旅は俺たちにとって良い試練だった。あのリリルカですらも、諦めずに皆を信頼して行動した、これは高く評価することだ」

 

『その他はどうだった?』

 

「桜花達やダフネ達もよく動いてくれた。俺たちに負けない戦力を発揮しようと、必死にも付いて来ていた、アイシャの方は・・・リリルカに多少な無茶な頼みを引き受けたりと、レベルが俺とベル以外で上でありながら、俺とベルが居なくなった後で、よく残された皆を支えた。ここまでよく助け合えたと、まずは上乗だと思っている」

 

『そうなんだ。にしてもベル君・・・相変わらず無茶をしたんだね?』

 

「その事については俺も同意する。ベルが仲間想いなのは理解しているが、まさか自身の身を考えずに助けに行くとは、やはり英雄を目指す者は常識外れと認識した。ベルを改めてな」

 

『それがベル君だからね、にしても・・・使ってくれたんだ、僕の『もう一つの名前』を』

 

「『アルゴ・ウェスタ』。一度目はあのオリンピアで使った。その名前をヘディンに教わった技を、ベルはその名前にした。アイズみたいにそれに近い技を持っていた方が、この先にも有利になる。まずは一歩前進だ。レベル4の力を発揮し始めたんだからな」

 

『うん、あの本物の英雄に出会って、その名前を受け継いで、ここまで来たんだね。あの子は』

 

「ああ、『あいつ』の言うように、もっと先へ行くだろう。願うなら『俺の先』まで」

 

 

ヘスティアに皆の活躍を伝えた。その中で最もその話を聞いた中で嬉しかったのは

 

 

ベルがより更に強くなったこと

 

 

レベル6のヘディンに教わったことを活かして、この技を編み出し、この名前を付けた。あのオリンピアの邪竜を倒した一撃の名前、ベルに似合う名前だと思うが、今度はもうヘスティアの眷属にふさわしい技を放ち、強化種を打ち倒した。レベル4としての力をやっと発揮し始めた彼には良い戦果

 

彼を想うヘスティア、自身のもう一つの名を使った技を使って貰って、かなり喜んでいた

 

これからもベルはこのように強くなるのだと、やはり危険な試練な程、強くなれるものはないと思う

 

 

「この調子で良い報告をしたいものだが、次は・・・・・」

 

『階層主を倒すんだね?』

 

「ああ、25から27階層のどの辺りに出るかわからないが、奴を討伐するのがこのミッションの最終目的だ。苦戦は更にするだろう」

 

『アンフィス・バエナ。確か・・・そういう名前の『竜』だよね?じゃあジーク君が居れば楽勝じゃない?』

 

「俺のスキルは確かに竜対策のレアスキルだ、だからと言って油断してはならない、変なことも起こるかもしれないからな、だから次の報告は良いとは言えないかもしれないことだけ承知しておいてくれ」

 

 

まだこのミッションは終わっていない

 

アイテムは確かにこれで全て回収を終えた。あとは階層主のアンフィス・バエナを倒すだけ、その巨大なモンスターを倒すだけにしても、そのモンスターが竜だったとしても油断は禁物だとヘスティアに伝える

 

確かに俺のスキルは竜に対抗できる絶対的なレアスキルだ。だからと言って油断は指定はいけない。どんな時でも状況分析して戦うこと、これがダンジョン攻略に一番必要なこと、決して勝てる見込みがあるからと調子に乗らないこと、これをしっかりして行動すれば無事に生き残れる

 

それだけでなく、そうでないイレギュラーが起こるかもしれないと、次の報告をする際は良いとは限らないと予めヘスティアに言っておく

 

ダンジョンに絶対など存在しないからな、尚更である

 

 

「とにかく、以上だ。次の報告を待ってくれ」

 

『うん、ベル君達にも伝えて欲しいけど、頑張って全員で生き残ってきてね』

 

「ああ、最前提を目指す。では切るぞ」

 

 

これにて、報告は以上であり、俺はヘスティアの連絡を切る

 

次は本当にレベル6の俺が居るからと言って油断のできないミッション、このメンバーでアンフィス・バエナに挑むにしても、全員で生き残れるかわからない。下手をすれば湖の中に叩き込まれると、一度相手をしてきた俺からすれば油断など絶対にできない相手だと見込んでいるからだ

 

まあ、だからと言って最善を尽くすつもりで、全員の生き残りを賭けて挑むのだがな

 

 

ヘスティアの連絡を終えると

 

 

「あ、ジーク殿。戻られていたのですね?」

 

「私達も、食材の調達から戻ってまいりました」

 

「命と春姫か、今日も夕飯の担当を頼む。食材は足りそうか?足りないなら俺の鍋を使うか?」

 

「いいえ、なんとか足りそうです」

 

「ダンジョンはモンスターだけでなく、食材も生み出すんですね?しかもこの階層でも」

 

「だからゼノス達も、俺たちを迎えた時、食材を振る舞った、それが理由だ」

 

 

 

命と春姫がテント拠点に帰ってきた

 

先ほど、命と春姫はこの階層で自然に生まれる食材を調達していた。ダンジョンは怪物だけでなく、食材も生み出す

 

木の隅や崖にキノコなど、自然に生まれる食材や木の実をも生み出すため、階層によるが食材を攻略途中でも確保できる。もちろん階層全てに出てくるわけではないが、ここ18階層は特に出やすい、セーフティルームだからなのかもしれない

 

 

「そういえばヘスティアから聞いたぞ。春姫。お前は殺生石無しで複数レベルブーストを掛けられるようになったと」

 

「はい、これもアイシャさんの魔導書のおかげです」

 

「春姫殿が皆さんにも掛けられるようになって、大分戦況も変わりました」

 

「俺やベルが居なくてもなんとかなりそうだな、しかし、それは最終手段だろう?それを使用した後のお前は、一度マインドダウンするだろう?」

 

「はい、軽くではありますが、五人分掛けた後は、もう私は一気に体力を消耗します」

 

「使うタイミングを考えた方がいい。例えば初めは四人だけにして、相手が怯み欠けた時に、最後の一人に掛けるとか、そういう使い道もあるはずだ」

 

「なるほど、二回に分ける方法もありますね」

 

「私としては、それを何度もできるようになれれば、皆さんのためになれるのですが・・・」

 

「無理して体に負担が回るだけだ。レベルブーストと言う、異常な力を扱うんだ。そう言うのは少しずつ慣れてから、何度もできるか試せばいい」

 

「そうですよ、妖力と言うのはそれだけ強力なんですから」

 

「そうですよね・・・でも私にはこれしかできませんので、なんとか頑張りたいんです」

 

「ま、誰かのために何かしようとするのは良いことだ。それは高く評価する」

 

 

春姫は、できるなら五人分掛けた後も、もう一人だけウチデノコヅチを使えたらと、負担の大きい魔法でありながら、もう一人分だけできるようになりたいと無茶を言う

 

五人数分で一回使うだけでマインドダウンすると言うのに、皆の力になりたいからなのか、自身にできることは少ないからと、なるべくレベルブーストの回数を増やそうとする

 

確かにそうすれば戦況としては有利になる。しかし、それで春姫にも負担が掛かるのは好ましくないと、あまりそのような無茶をしないよう言っておく、だが向上心は素晴らしいと春姫も強くなったと理解できる

 

 

「命もタケミカヅチに教わったことを活かしていたな、周囲の攻撃に的確に排除していたじゃないか」

 

「はい、タケミカヅチ様に技だけでは足りないと言われ、体術も学んでおき、春姫殿に近づく敵を倒していました」

 

「そうだな、ダフネにも頼んであるが、サポートを守れる防衛も必要だ。それを守るために技以外も覚えるのは自身の戦法を変えるのも戦いの内だ」

 

「ジーク様、ジーク様とベル様が逸れた後、命ちゃんがあの『クリスタルローチン』を倒したんですよ」

 

「ほう、やるな。あの転がるウニを倒すことができるとは、普通は潰されるのがオチだと言うのに、刀の扱いを物にしたんだな?」

 

「自分もベル殿やジーク殿にも負けてられませんから」

 

 

強くなったのは何も春姫だけじゃない

 

命もだ。

 

命は主に防衛を守る護衛だが、それでも襲ってくる敵を、後衛に近づかせないよう全て倒していた。次も後衛の守備は彼女に任せていいと俺は考えた

 

 

「次の戦いは更に過酷になる。二人もこの先でも励むように」

 

「次はいよいよ階層主ですか・・・」

 

「確か25階層でも現れるんですよね?」

 

「ああ、25から27階層は海水が繋がっている、奴が泳いで下の階層に行くこともできる。湖や滝がある範囲は奴のフィールドだと思え」

 

「はい、油断をしないよう頑張ります」

 

「私もやれることを精一杯頑張ります」

 

 

その強さが活かしきれているかはこれから次第

 

次の階層主戦でなんとかやれるか、それで活かせるのか、ここからが本題みたいなものだ。まだこのミッションは始まりに過ぎない。命と春姫の修行の成果はここから結果が見れるものだ

 

 

「俺は外に出る、武器の手入れをしなくてはならくてな」

 

「それはヴェルフ殿に任せればいいのでは?」

 

「俺の武器は特殊武装だ。だから俺がやらないとダメなんだ」

 

「そういえば、ジーク様の持つ魔剣グラムは、ヴェルフ様でも『触りたくない』と言っていた程でしたね」

 

「ああ、だからこれは俺の仕事だ。これで失礼する」

 

 

一度テントの外に出て、自身の武器の手入れを始める

 

武器の手入れはヴェルフがしてくれるのだが、俺の武器のほとんどは特殊武器、おいそれとヴェルフでも触らせることはできない、どんな鍛治師であろうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テントの外に出て、風呂敷を広げて、グラムやら俺に使う武器を並べて置いておく、もちろんそれだけでなくそれ以外に俺が使用するかもしれないリジルも含めて、俺が持っている全ての武器を手入れする。それはもしもグラム以外の剣も使うかもしれないからだ

 

特に、この新たなに造った『短剣』

 

この短剣は絶対にこの先に必要になる。そう思って俺は予めに用意した、この短剣はヴェルフが製作した物ではなく、俺の錬金術で製作した物だ、これを造るのにウンディーネやノームやサラマンダーの力を借りた。かなり強力な短剣。下手するとヴェルフの魔剣にも負けないかもしれない

 

 

だが、こいつには『ある条件』を満たさないと使用できない

 

 

この短剣は、精霊の魔力で構築された刃、だからウンディーネとサラマンダーとノームの精霊の力で製作した物、しかし

 

 

実は『あともう一人の精霊』の力も入っている

 

 

俺は精霊召喚師で、『奴』の力を少しだけ入れることができた。まあそれは『奴が俺の体の中に居る』からなのだが、そいつを召喚しないと、まともにこの短剣の力が使えない。奴を召喚しようとしたが、やはり何かの条件が必要で俺の体の中から召喚はできなかった

 

まあ、その時は『ピンチ』になった時にできるだろうと、ウンディーネ達が奴の召喚方法を教えてくれた。もちろんタダでは済まないが、この先で何かイレギュラーな事が起こるかもしれないと、そのために奴を召喚する必要がある。それができるかは俺次第だがな、とりあえずこの事は後回しにして、刃だけ上手く綺麗にしておいた

 

奴をこの先のミッションで召喚できるのか、それが今回の俺の試練だ

 

俺にとってこのミッションはそういうものだと思っている。皆それぞれ試練のあるミッションだと俺は思っている

 

その証拠に

 

 

「あ、ジーク。武器の手入れをしているのか」

 

「そのままでもいいから、話をしてもいいですか?」

 

「桜花と千草か、どうかしたのか?」

 

 

武器の磨きをしていると、桜花と千草がテントに戻ってきた。

 

戻ってきて早々、俺と話がしたいと頼まれる。俺に話したい話など、俺からしても想像つかない。こんな休んでいる日に真面目な顔をして話すことなど、普通の話ではないと見た

 

そして彼の話すことは

 

 

「俺が強くなるために、何か足りない事はあるか?あったら教えてくれないか?」

 

「・・・・・・・千草?こいつは昨日お前を守れなかったことを悔やんでいるのか?」

 

「うん、そうなんです。桜花昨日のミッションで私がやられたのを見て、自分がもっと頑張れば私がやられずに済んだと、自分を責めているんです」

 

「なるほど、そういうことか」

 

「あれは私が油断しただけで、別に桜花のせいでは・・・・」

 

 

桜花の話をされたのは、もっと強くなるために、今自分に強くなる方法があるのかと話をされる

 

昨日モスヒュージにやられた千草が、もっと前衛である桜花が頑張ればやられずに済んだと、自分の足りなさを後悔する桜花

 

レベルの高い俺からもっとより皆を守れる方法はないのかと聞かれる。昨日どのように千草がやられたのか、見てもいないため、その時の状況に居なかった自分が、どうすればよかったのか、など、残念ながら良い助言はできない

 

それでも助言が欲しいなら、言える事は一つ

 

 

 

「誰かがやられる前に、『自分が率先して前』に出てみればどうだ?」

 

 

 

「え!?」

 

「それって・・・俺が身代わりになれと言うことか?」

 

「ああ、無茶苦茶なことを言うが、その方がこれからどんな敵が出ても、恐れる恐怖も『慣れ』で無くなり、他者だって守れるようになる。まあ完全に自信が盾になる自殺行為だがな」

 

 

俺は桜花の身も気にせず、そのような無茶を言った

 

実際に千草がやられる所を俺は見ていない。だからその時桜花はどうするべきだったかとかは何も言えない。だからせめて自分が前に出ている分は後衛を守るために自分が引き付けて、代わりに身代わりになるなど、まるで死ねと言わんばかりに、後衛である千草の防御ほぼ無い。だったら前衛が後衛がやられぬように、無謀ながらも特攻などをして敵の気をこっちに回すなどをして、自分が身代わりになるなどをすると、

 

俺としてはそういうことしか助言ができなかった

 

 

「自分も殺されないように敵を引き付けるには自分を盾にするように、特攻を掛けるなど、自身で無茶でもしたらどうだ?そうすれば敵はお前を狙いやすくなり、後衛を潰さずには住むはずだ」

 

「でもジークさん!それだと桜花が・・・」

 

「無論下手をしなくても死ぬな。だがそれで終わるなら、それは桜花の弱さだ」

 

「っ!?」

 

「全ては桜花次第だ。桜花が自身も犠牲になることなく、生き残って後衛を守る事ができるのか、こいつの勇気次第で決まる」

 

「俺の・・・・勇気次第・・・」

 

「皆、死を恐れるあまり、勇気を持って戦う者はほとんど居ない、それを乗り越えた者だけが、上級冒険者になれる。桜花の覚悟が本物であればな、『誰かがやられる前に、自分がやられても、そいつを倒す』。その覚悟があれば後衛を守れる。俺はその上で戦っている」

 

「誰かがやられる前に・・・・俺が先に敵を倒す特攻をか・・・・・」

 

「昨日千草がやられる現場に居なかった俺の、言える言葉はこれしかない。次のミッションでそれをやってみせろ、そうでなければ・・・お前以外の誰かが死ぬだけだ」

 

「・・・・・わかった。次は更に戦いが激しくなるから、少し覚悟を入れ直さなくちゃな」

 

「桜花、あまり気にしないで、本当に私が油断しただけだから」

 

「だとしても、二度も俺はお前を守れなかった、このままじゃあ居られないんだ」

 

 

千草は桜花に無茶なしないで貰いたいと注意を受けるが、少し無茶をしてでも強くならなければと、桜花は千草のお願いは聞けなかった

 

まあ、ここは男の意地と言うもの

 

強くなって仲間を守り続ける。彼なりの強さを求める目的。その目的を達成するために、自身の身を盾にしてでも先陣に立つこと、後衛である千草を二度も守れなかった桜花にとっては、絶対的に足りぬ力

 

その力を前衛として使えるか、これからのミッションに賭けられていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方辺りに、俺は自身の武器の手入れを終了し、全員で夕飯を食い終えた後、食器の片付けは命たちに任せて、俺は次のミッションに必要になりそうなパンドラボックスの中に入っているアイテムを確認しようとしたが

 

 

「なあジーク。少し飲んで行かねえか?」

 

「酒か?軽くだけだぞ?明日ミッションの続きをするんだ。二日酔いしてできなかったなど、言い訳付かないような事はするなよ?」

 

「わかっているって、たった酒の一二本だけだって」

 

 

夕食を終えて、ヴェルフが少しだけ酒を飲みたいと誘われる。

 

明日は遠征の続きがあると言うのに、その前日の夜で酔い潰れるのかと、こんな夕を食い終えた後に酒を飲もうとしていた

 

別に俺は酒をどれだけ飲んでも『酔えない』が、ヴェルフは前衛の仕事があるため、俺がここで断って一人で飲みに行かせたら二日酔いで明日の遠征が遅れるかもしれないため、飲む量を見張った方が良いと、俺が見張りも含めてヴェルフの誘いを受ける

 

 

「なんだい?クロッゾ?これから飲みに行くのかい?」

 

「お?アンティラネイラ?お前も飲みに行くか?」

 

「そうだね、ちょっとジークフリードと楽しみたいからね」

 

「性欲の話ならそこらに居るリヴィラの冒険者の男共にしろ、別に俺はお前の裸にも性交にも興味はない。それと飲むのは程々にな、特にアイシャは」

 

 

テントから、俺たちの会話を聞いたアイシャが出てきた、そして俺たちと共にお酒を飲みたいと、アイシャも俺たちと一緒にリヴィラの酒場に向かう

 

本能に強いアイシャも飲みすぎるかもしれないからと、歯止めを知らなそうなアイシャも見張る必要があると、今日の酒は楽しく飲めないなと予想した。俺は酒はゆっくり飲みたいのだがな

 

 

 

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