ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

137 / 201
カサンドラの危険な予知夢

 

 

テントに戻ると、リリルカが皆を集めた。本来ならアンフィス・バエナ討伐をするはずだったが、先ほどのでき事を、リヴィラで起こったことを皆に説明する

 

あまりに急なことで驚くのも無理はないだろう。まさかこんな非常事態が発生するとは、やはりダンジョン攻略はトラブルが付き物だ。まさか今まで何度も俺たちを助けてくれたあのリューが、まさか人殺しをするのだと、あり得ない事態となった

 

その説明を皆にする

 

それを聞いた皆はというと

 

 

「本当にあのリュー殿が?」

 

「何度も私達を助けてくれた人が、他の冒険者を?」

 

「あのエルフがそんな事をするとは思えねえよ」

 

「前の黒いゴライアスの時も、共に戦ってくれた。少なくともそんな事をするとは・・・」

 

「私も桜花も信じられません」

 

「私はそこまであのエルフに関わっていないけど、でも私とカサンドラがまだアポロン様の眷属だった時に、ジークフリード達にウォーゲームを挑んだ際は・・・」

 

「私達を止めようと、ジークさんの味方になってましたね」

 

「あのエルフがね・・・・」

 

「やっぱり皆さんもそう思いますよね?」

 

「リューさんが・・・・そんな事をするなんて・・・」

 

 

「皆、そう思うか」

 

 

リュー・リオンが同業者を殺したと言う事件

 

今朝に起きた事件をありのまま話すと、誰も彼もがリューがそんな殺人をしたなどと、全員が疑う。今まで何度も俺たちを助けてくれた。俺を見張ると言う意味でも、そんなエルフが、突然の人殺し、あり得ないと誰もがこの事件の犯人を信じない

 

だが

 

もしもこれをするとなれば、考えることは一つ

 

 

「確か、疾風の所属であるアストレア・ファミリアは、過去にルドラ・ファミリアに騙されて、パーティは全滅し、疾風だけが生き残り、その後疾風は復讐のために、ルドラ・ファミリアの団員を皆殺しにしたと、ギルドから聞いたな」

 

「はい、主神であるルドラはガネーシャ・ファミリアに拘束され、送還させられましたが、リュー様のしたことは完全に冒険者の違反行為であり、ギルドからは指名手配とし、ブラックリストに載せられました」

 

「一応指名手配にはなっているのね」

 

「だとしても、あのリュー殿が人殺しをしたなんて」

 

「私も信じられません。あのリュー様がそんな事をするわけ・・・」

 

「ジークさんは何か知りませんか?ジークさんが一番彼女と関係が深いですし、何か知りませんか?」

 

 

リューは過去に、ルドラ・ファミリアと言うイヴィルスの派閥に騙されて、仲間は一人残らず殺されて、リューだけが生き残った。その後、主神であるアストレアをオラリオに出ていくよう、安全のために避難を懇願し、主神をそれを受け入れ、彼女にステイタスを置いて、アストレア・ファミリアはそれ以降このオラリオから居なくなった

 

その後

 

 

リューは復讐のためにルドラ・ファミリアの団員全てを復讐した

 

 

一人残らず確実に殺して行った。正義を重んじる彼女が、仲間のために人殺しをしたのだ。受け入れがたい憎しみを抱いて、彼女は全員を殺すことを成し遂げた。主神であるルドラまでは手を出さずに、その後ガネーシャ・ファミリアが拘束し。天界に送還させ、事件は解決するのかと思いきや

 

闇派閥であろうと、ルドラ・ファミリアは当時はまだギルドではテロリスト扱いしてはおらず、同業者を殺すことは冒険者の違反であり、彼女は同業者を殺した大罪人としてお尋ね者となった

 

そんな彼女は今でも身を潜めてミアの店で働き、友人であるシャクティも、彼女の事情を聞いて罪は見逃していた

 

 

のに

 

 

またも人殺しをしていた

 

 

なぜ彼女は何度も俺たちを助けてくれた。誰よりも正義を重んじ信じ、俺を何度も見捨てなかったエルフだ。なぜそんな彼女がそんなことをしたのか

 

 

 

当然、俺は

 

 

 

「ああ、知っている。彼女の復讐がまだ終わっていないからだ」

 

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「リューさんの・・・・復讐が終わっていない?」

 

「ああ。彼女はルドラ・ファミリアの生き残りを探している」

 

 

当然俺は知っていた

 

彼女がなぜここに居て、なぜこのようなことをしているのかを、このタイミングでは流石に予想はできなかったが、なぜ『彼女がここに居るのか』までは知っている

 

 

「ルドラ・ファミリアの生き残り!?まだ居たのかい?」

 

「ああ、リューと同じく一人だけな。名前は『ジュラ・ハルマー』。猫人でテイマーだった。奴がリューの暗殺から逃れて生きていたことが、ヘルメスの情報から発覚した。奴は今までクノッソスで生きていたらしく、リューの襲撃を受けていながら、生きながらいていた。今のあいつはヘルメス・ファミリアの協力でクノッソスに調査していたはずだが、その途中で移動するジュラ・バルマーでも見つけて、ここまで追ってきたんだと、推測する」

 

「ジュラ・ハルマーって、確か怪物をペットにする。あのイカれテイマーか」

 

「そいつだけは生きていると、ヘルメスがギルドに報告した。そしてその知らせ通りに、リューも知ってここに来た。しかもここからリューの魔力気配もする。彼女は間違いなく27階層に居るな」

 

「じゃあ、そのジュラって人も・・・」

 

「ああ、今ダンジョンに居るだろな、リューに追われているなら」

 

 

リューはジュラ・ハルマーをクノッソスで見つけ、そしてここまで追いかけてきた。クノッソスはダンジョンにも繋がっている。ここに来てもおかしくはない

 

仕留めきれない復讐対象を今度こそ始末するために、ここまで追いかけてきた

 

しかしだ

 

 

「それでどうするんですか?リュー様を助けるのですか?」

 

「俺はそのつもりだ。リューは俺の友人だ。俺は何がなんでもあいつを助けに行こうと、これからの予定を変えるつもりだ」

 

「だとしても、あのリュー様が過去で仕留めることができなかった復讐対象を殺すために、あのリヴィラの死んだ冒険者も殺すのは、ジーク様の友人でもあるリュー様でも、どうにもできないのでは・・・・」

 

「足や腕に切り傷がありました、身動きが取れない状態で脅して、情報を吐かせていたのでしょうか?だとしても、あの人を殺すなんて・・」

 

「しかも目撃証言まで出ているんだろう?これは物凄く状況としても。ジーク・フリード?不利だぞ?」

 

 

リューが殺人を行う事情と過去は把握した。それでも俺はリューを助けに行こうと、これからの計画を変更を提案する

 

しかしだ

 

ジュラ・ハルマーの正確な居場所を吐かせるために、あのリヴィラで死体となったあの男を殺してしまうと言う事実、更にその男を殺した目撃者まで出てしまう。もはや彼女の事情を把握したとしても、助けることは難しいと状況となったと思っている

 

 

そうでもない

 

 

「問題ない。そもそもあのターク・スレッドとか言う男。あの男は嘘を付いている」

 

「え?あの犬人がですか?」

 

「ああ、あのターク・スレッドは嘘を付いていた。おそらくジュラ・ハルマーと組んでいる男だろう。ジュラ・ハルマーを守るために、あの男は邪魔であるリューを消すために、犯人をリューである事を仕立て、リヴィラの者達を騙した。少しでもリューを犯罪者として捕縛するためにな」

 

「あの犬人がリュー様の復讐対象と手を組んでいるから、邪魔であるリュー様を犯人扱いして、少しでもリュー様の評判を悪くするために、あのような証言を?」

 

「間違いなくな」

 

「なんでその犬人が嘘を付いているって断言できるんだい?ジーク・フリード?何か知っての発言かい?」

 

 

目撃者まで出てきたと言う話、確かにこれではリューの評判は悪くなる一方。仮にリューを助け出しても、それでこれから彼女をどうするのかも考えねばならない

 

だが、そんなことを考える必要はない

 

そもそもあの男が犯罪人の手引き『共犯』であることは間違いない。そしてターク・スレッドがなぜ嘘を付いていると断言できるのか、それは完璧な証言が俺にできるからだ

 

それは

 

 

 

「それは当然、あの死体である『ジャン』と言う冒険者。それは・・・・・・・・・・・・『??????』からだ」

 

 

 

「「「「「「「え!?」」」」」」」

 

「な!?それ本当なんですか!?」

 

「ああ、あの男もブラックリストでな。犯罪者だからな」

 

 

俺は決定的な証言を、ターク・スレッドが嘘であることを明確に皆に知らしめた

 

だが、あまりに良い顔をしていない。それはそうだろう。こんなことはハッキリ言うなら、『最悪な手段』だからだ。あまりの証言に皆が 大驚失色している。これは俺にとっては『当然』なのだがな、包み隠さずに答えた。それを言ってあまりに、俺を見て良い顔色をしていない

 

 

「実は言うと、ギルドからミッションを『俺だけ』追加されている。今リューが追っているジュラ・ハルマーだ。それを捕らえるよう言われている」

 

「ど、どうしてジークさんだけに!?」

 

「俺が志願した。奴はまともじゃない。過去の犯罪歴を見たことがある。完璧な凶悪犯だ。奴を野放しにはできない。奴がまだ生きているならまた『ロクでもない事』をしているに違いない。それをする前に俺が捕縛する」

 

「ロクでもない事とは?」

 

「奴はテイマーだ。怪物を調教してペットにする。下層に居るモンスターをペットにして、好き勝手暴れるかもしれないと言う目論みがあると、ギルドは推測している」

 

「「「「「「!」」」」」」」

 

「それってまさか・・・・・アンフィス・バエナとかですか?」

 

「さあな、目的はまだわからないが、ギルドの調べによるとそういう奴らしい、リューが奴を追うのもわかる。だから・・・俺が確実に奴を止める」

 

 

これは俺だけのミッションだ。ジュラ・ハルマーと言う男を捕縛すると言うミッション

 

俺の捕縛対象が近くに居る以上。任務果たすしかない。それにリューが馬鹿をやってまた罪を重ねて、自身の居場所を更に無くすなんてことがあっては困る。せっかくシルが用意した居場所を、自身の恨みで無くすなど、彼女の友人として見過ごせぬ

 

 

「話はもう終わりだ。それでこれからの指示を言い渡す。ここから先は部隊を分ける。俺一人で討伐隊に入る。ボールス達が見つかる前に、リューを止め、ジュラ・ハルマーを捕縛する。お前達はあのターク・スレッドとか言う男とそれに連んでいる男を監視して欲しい、何か気に食わぬ行動を取ったら捕縛しろ。最悪殺しても構わん」

 

「待ってください!?お一人でやるつもりですか!?」

 

「ああ、俺一人で27階層に行く。これは俺のミッションだ。俺一人でやる。その間のベル達はあのターク・スレッドとそれに連んでいる者達を監視、その時にもしも25階層でアンフィス・バエナが出てきたら、お前達で倒せ。これも任務だ。これが今回の作戦だ」

 

 

これからの作戦の指示を言い渡した

 

俺は、一人でボールスの討伐に参加する。奴らと途中まで参加し、リューが近くで気配を感知したら、すぐにボールスのパーティから離れ、単独で行動し、リューを止め、ジュラを捕縛したら、そのままボールスに何も言わずにこのテントに戻る

 

その間のベル達は、この嘘の証言をしたターク・スレッド達を監視し、隙を見つけたら捕縛。ジュラと言う犯罪人の共犯者だ。犯罪人としてギルドに送る。その間に自身の場所にアンフィス・バエナが出た場合、そのまま討伐する

 

今回は分担して行動する。これしか、ミッションもクリアできない。リューも救えない。これしかない

 

 

「27階層!?」

 

「ん?どうかしたのかカサンドラ?随分と青ざめているな?俺のこの建てた作戦は不満か?それともまた何か予知夢でも見たか?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

「なるほど、見たんだな。構わんから教えろ、何を見た?」

 

「えっと・・・・『大いなる厄災来る・近づくこと無かれ其は破滅の化身・触れること無かれ其は万死の宣託者・母の嘆きが災禍を喚び、絶望が産声を放つ・幾重もの慟哭を生贄に築かれるは紅き肉の道・蒼き水流もまた血河へと果て・異形の輩は歓喜する・奈落の下流は溜まり溢れた骸を押し流し・母に全てを返すだろう・

栗鼠は肉の花を咲かす・狐は儚く千切れる・鎚は砕かれる・異邦の武士達は命を弄ばれる。

血塗れの娼婦は狐の形見を持ち去るものの数多の爪牙に辱められ弔われる・友は悲しみを遺す・破滅の導き手を約束されし妖精は・逆巻く白き炎を道連れに・過酷を紡ぐ・そして絶望の檻は棺へとかわり、汝を苛む・忘れるな。求めし光は蘇りし太陽のもと他ならない・破片を集め・火を捧げ・日輪の灯火を請え・心せよ・其は惨禍の宴』・・・となっています」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ジークさん?」

 

「27階層には来るな。そこからダンジョンが新たに『厄災』もしくは『絶望』と言うモンスターが生まれる。そいつは全ての生き物を殺す破壊者。これから27階層はそのモンスターに殺された者たちの死体の道となる。そこに居合わせた。その場にあった花にリリルカの血が注がれる。春姫は無惨に体を引き千切られ、ヴェルフは武器ごと体が砕かれる。命と桜花と千草は串刺しにされ、無惨な死体を晒される。限界まで戦ったアイシャはそれでも敵わず、せめて春姫の形見を持ち去ろうとするが、逃げることができずに、爪で貫かれて体がバラバラになる。ダフネも無惨に殺されカサンドラは親友の死を目の当たりにし、涙を流して絶望する。リューはそれに誘い込まれた被害者。俺とベルと共に更に地獄へと向かい、そしてその先に絶望が待ち受け、本当の現実を知る。逃げ場もない地獄の檻にて追い詰められる。しかし、諦めるな。求めるは希望。檻を抜けたければ消えた太陽を求めて東を目指して下へ潜れ。上に行けば死だ。新しい武器を作って乗り越えよ。これは悲劇の始まりである・・・・・こう言うことか?」

 

「っ!?ジークさんもまさか予知夢を!?」

 

「違う。俺はお前のその言葉を解析しただけだ」

 

 

俺はカサンドラの言葉を解析しただけ、俺も予知夢を見れるわけじゃない。

 

予知夢の予言は、俺も多少は解析できる。昔俺の故郷の『選択科目』だったから、ある程度の予言の解析は勉強済み。だからカサンドラが言うには

 

27階層には俺とベル以外来るな。27階層には階層主以上の怪物をダンジョンが生み出す。その怪物にリリルカ達がやられる。リューはその怪物に追い込まれる。彼女と共に下層へ潜ってしまう

 

そういうことだろうな、なぜ俺とベルが予言に出されていないかは謎だ。だから俺とベルの予言があるか一応聞く

 

 

「カサンドラ、お前のその予言に、俺とベルが出ていない。何か俺とベルについての予言はないのか?」

 

「えっと・・・さっきの続きで『絶望の淵にて、白炎は死体の王を目前に、栗鼠を死守になりて盾を示し、命を灯す炎の拳を地に叩き付ける・黒炎は単眼の王を打ち砕くため、内なる怪物を解放し、心火の呪縛から希望の嵐を生み出し、黒炎は元素を支配する』・・・・と言う予言です」

 

「・・・・・・・・まさか・・・・・俺とベルは・・・・・・そうなるのか・・・・」

 

「ジークさん?」

 

「これは・・・・・最大の『試練』だな」

 

 

カサンドラの俺とベルの予言

 

まさかな、これを口にすることなく、やはり俺とベルはこれが末路なんだと、これが運命だと知らしめられた

 

今の予言を聞いて。尚更俺はこの作戦を実行する

 

 

「リューは俺の友人だ。見捨てるつもりはない。だから俺一人で行くつもりだが、ベル?お前は俺と共に来るか?27階層に?」

 

「僕がですか?」

 

「ああ、カサンドラの予知夢が確かなら、俺とベルは27階層に行っても死にはしないとは思う。しかし、強大なモンスターがこれから生まれるらしい、それでも一緒に行く覚悟がお前にあるか?リューを助けるために・・・」

 

「・・・・・・わかりました。僕も27階層に行きます」

 

「よし、あとは・・・・リリルカ。お前もどうだ?共に行くか?」

 

「え?リリがですか?」

 

「ジークさん!?リリルカさんは!?」

 

「わかっている。でも『血が流れる』だけで死ぬわけではないだろう。何かあればベルが助けるから問題ない。俺もフォローする。どうだリリルカ?」

 

「ジーク様。カサンドラ様の言っていることは予言なんですか?」

 

「ああ、信じられないかもしれないが、俺は信じている。こんな残酷なことを俺は信じる他ないからな、それにカサンドラが嘘を言うわけでもないからな」

 

「本当にジーク・フリードはカサンドラの予知夢を信じているのね?」

 

「相変わらずお前は信じないんだな?ダフネ?」

 

「信じるわけないでしょ。そんな言葉」

 

「だが今までも、カサンドラの予言は確かだった。嘘ではない。信じられないのも仕方がない。予言と言うのはそういうものだ。だが、それでもやる。そんな悪い予言が先にあろうと、俺にとっては『運命』なら、乗り越えるまで。リリルカ?それでお前はどうする?27階層で多くの冒険者が殺す怪物が生まれ、たくさんの殺戮が出てくるだろうが、それでも俺とベルと共に、リューを助けるために地獄へ行く覚悟はあるか?」

 

「っ・・・・・・・行きます」

 

「リリルカさん!」

 

「リリにそんな所を誘うと言うことは、リリが必要だと言うことですね?」

 

「その通りだ。覚悟があるならな?」

 

「行きます。カサンドラ様の悪い予言があっても乗り越えてみせます」

 

「決まりだな」

 

 

俺とベルとリリルカは討伐隊に加わることが決まった

 

どんな怪物が出るかなんて、俺でもわからない。少なくとも『母の嘆きが災禍を喚び』と言う予言、間違いなくダンジョンで生み出されるイレギュラー。そいつがこれから討伐隊を殺戮する。カサンドラの言う言葉なら

 

さて、どうなるか

 

 

「と言うわけで、アイシャ。残りのヴェルフ達と共に、25階層でターク・スレッドと並びにその仲間も見張れ、よからぬ行動をしたら捕らえろ、抵抗する場合は殺しても構わん。いいな?何があっても27階層だけは来るな」

 

「ここで部隊が分担か、アンフィス・バエナはどうする?」

 

「カサンドラの予言なら・・・・27階層に出ることはない。だから・・・・予想なら25階層に出てくるだろう。残りのお前達で倒せ。これもお前達の試練だ」

 

「な!?私たちだけで!?」

 

「やってみせろ。弱いからって言い訳をするな。ダフネ、なんのために今日まで修行を重ねたのか、強い者に勝つためだ。だからお前達だけでやってみせろ。どうだ?桜花?千草?お前達はどうする?」

 

「ふう・・・・強いお前ばかりには頼ってばかりだと意味ないからな、出てきたら俺はやる」

 

「こ、怖いですけど・・・・やってみせます!」

 

「二人は覚悟を決めているぞ?ダフネ?あとはお前だけだ。どうする?このミッションをリタイアもできる。するか?」

 

「はあ・・・・・・・わかった!やるわよ!」

 

「これで一致した。アイシャ。そっちの班を指揮はお前が取れ」

 

「あいよ。あとは任せな」

 

「頼む。ヴェルフ。命。春姫。アイシャの指示に従い動け、桜花と千草とダフネとカサンドラと共に行動しろ」

 

「わかった・・・」

 

「お気をつけて、ベル殿も、リリ殿も」

 

「ご武運を・・・・リュー様と無事に帰ってきてください」

 

 

これで全員、俺の作戦に応じた

 

部隊を二つに分けられた。俺とベルとリリルカは、共にボールスの討伐隊に協力し、途中までは同行し、リューが近くに居た場合、ボールス達からこっそり離れて先にリューを止め、ジュラを見つけ次第捕縛し。それが済んだら、ボールス達に俺が殺したと嘘を付いて、この事件を終わらせる

 

そしてアイシャ達は、嘘を付いたターク・スレッド達を見張る。リューを犯罪人仕立てるくらいだ。ジュラ・ハルマーと組んでいるには間違いない。おそらく27階層まで行くことはなく、どこかでジュラ・ハルマーのために何か行動を取るかもしれない。もしもよからぬことをしたら捕らえるか、抵抗した場合は殺しても構わないと伝える。ま、これはアイシャにしかできない事だろうがな

 

とにかくカサンドラの予言を信じて、この作戦の役割で分担になった。この作戦が上手く行くとは思えない、イレギュラーが起こる前提の作戦だ。生き残れるかは俺たち次第である

 

だが、この作戦を行う前に、少し『協力要請』をするしかない

 

 

「リリルカ、このオクルスはヘスティアに連絡できる。念の為今回の件を報告し、今おそらくヴェルフの鍛治部屋で椿が居るはずだ。増援要請を出せ。椿に協力を頼め」

 

「わかりました!」

 

 

だが、もしものことで俺たちだけでは生き残れない程、状況が不利な場合もある。救助もできる増援が必要だと、リリルカにヘスティアに連絡できるオクルスを渡し、今俺たちのホームでヴェルフの鍛冶部屋に居ると思われる、椿・コルブランドに増援を頼むように指示をする

 

更に

 

 

「ヴェルフ、例の奴はできたか?」

 

「ああ、ゴライアスのマフラーだろう?」

 

「それをベルに、念のためにな」

 

「え?僕に?」

 

「ほらよ、ベル。これジークに頼まれたゴライアスの皮で造ったマフラーだ。頑丈だから防御にも使えるぞ」

 

「あ、ありがとう。ヴェルフ」

 

 

念のために、ベルに新しい装備を付けておく

 

何が起こるかわからない上に、ベルは防御になる物は持ち合わせていない。ヴェルフに頼んだ奴を、ベルに渡しておく、ゴライアスの皮でできたマフラー、布のように柔らかいが、皮自体が硬いため、攻撃も防御もできる。この先はベルの試練にもなる。必要な物は必ず持たせる

 

そして俺も、ギャラルホルンを出して、シルと連絡をする

 

 

「聞こえるか?シル?」

 

『っ!ジーク!?』

 

「リューを見つけたぞ。やはりダンジョンに居たぞ。昔の復讐の続きだ」

 

『やっぱり!リューを見たの?』

 

「後ろ姿だけな。これで情報通りになった。シル。アーニャとクロエとルノアに増援を頼む。ダンジョンに行く前にヘスティア・ホームへ行ってくれ。リリルカもヘスティアに連絡して、へファイストスの椿を増援要請している。彼女と共にダンジョンに来てくれ」

 

『うん!わかった!ジーク!無事にリューを助けて帰ってきて!』

 

「ああ、必ずだ」

 

 

シルに必要な増援を頼んだ

 

アーニャとクロエとルノアだけでなく、今リリルカがヘスティアに増援要請を頼んだ、椿と共に来るよう呼びかける

 

増援は多い方が良いと、念の為にレベル5の増援も頼んでおく、今から27階層まで早くは来れないはず、準備も兼ねて、それまでに俺たちが事を済めばいいが

 

ま、カサンドラの予言が確かなら、『俺もベル』もこの試練はもはや死一直線だろうがな

 

 

「準備しろ!これよりミッションと同時にテロ狩りを始める!必ず全員でリューを連れて帰るぞ!」

 

 

これより、階層主退治とリュー救出とイヴィルスの残党狩りの三つのミッションをするべく

 

次の戦いに出るために、最大の戦力を発揮するために、大掛かりの準備を始める

 

ロキ・ファミリア時代の時でもやらなかったこの試練。どう乗り越えるのか、カサンドラの予言通り死が襲い掛かるのか

 

全ては俺たち次第となる

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。