と頼みの通達をすると
「マジかよ・・・」
「いいのですか?そんな事をして?」
「勝つためにはこうするしかない。リリルカに関しては問題ないだろう。『あいつ』はファミリア内で扱き使われているみたいだから。そんな事をしても問題ない」
俺が通達した必勝法の作戦内容に二人は驚いている。リリルカに関してはこんな事をしても問題ないとは思うが、ヴェルフに関してはこれを実行するとエルフの反感を更に受けるのではないと、あまりにオススメできない上に、本人のプライドを捻じ曲げる事にもなるのだが、勝つためにはこれしか方法が無かった
「こちらは弱小ファミリアだ。それくらいのことをしてなくては城に入り込むことは不可能だ。どうだ?もしプライドに反するならやめるが?」
「リリは隠密行動は取れますし、成りすます事も可能ですが・・・・ヴェルフ様が・・・」
「わかった。そうすれば勝てるんだな?」
「え!?ヴェルフ様!?」
「いいのか?」
「良いも悪いも。団長が俺に命令しているんだ。断る理由は無いし。そうしなければ勝てないのなら尚更そうするべきだと。選択する余地は無いさ」
「感謝する。明日中で完成できるか?」
「ああ。明日中までなら完成できる。任せてくれ団長!」
「よし・・・・リリルカは行けるか?」
「はい!その作戦リリにお任せです!」
「了解した。では明日作戦準備に掛かる。リュー。お前もこれで構わないな?」
「私はジークさんのする事に異議を言うことはありません。ジークさんのためなら・・・」
「そうか・・・・もう遅いから寝よう。明日も早いからな?」
なんとか今日でリリルカを助ける事に成功し、無事コンバージョンをさせることができた。人材は揃った。あとはより奴らを潰せるための細工をしなくてはならない。そのためには『新しい武器』と『スパイ』を作ること
それを明日に実行し。アポロン・ファミリアを防壁を崩すための準備に取りかかる
そしてベルは今日は帰ってこないまま。アイズとティオナに修行を見てもらい。少しでも強くなろうと寝る暇を無くしてでも今は頑張っている頃だろう
それだけ。今のベルではヒュアキントスに勝てない。勝つには機動力が必要になるからだ。そのために今日はホームに帰らないまま泊まりがけで修行をして貰っている
俺はベルにはそれと言った才能は確かに無い。だが
それが成長するととんでもない力を所持することを理解しているから。あいつにヒュアキントスを任せようと思っているからである
翌日
ヴェルフに頼んだ仕事は朝から食事を終えた後に自分の家に帰ってすぐに始めた。そうでもしないと俺の要望に今日までには間に合わないらしい。
その間にヴェルフ以外の俺たちだけで、別の仕事を実行をしていた。まずは『ある奴』を見つけないとならないのだが、そう時間も掛からずにそいつを捕まえる事に成功し、ある事をして情報を吐かせ。身動きを取れないようにした
そしてリリルカに『ある物』を渡してからあとは任せ。俺とヘスティアはリリルカと別れてホームに戻ろうとしていた
「これで準備完了だね?」
「ああ。あとはヴェルフに頼んだ仕事を済み。ベルが帰ってきたらステイタスの更新をすれば完了だ」
ほとんどの準備は整い。あとは残る二人の準備が完了すれば奴らに勝てる。ヘスティアも言ってはあるのだが、実は戦争遊戯に参加するのはこのメンバーだけでは無い事を言った
それはどのファミリアも驚く事。俺がフレイの弟でなければ実現できない事。それを戦争遊戯で出て貰おうと作戦に入れている
もちろんそれは『あいつら』のこと。あいつらも言い方を変えればヘスティアの眷属。俺は最初からこれを作戦に入れているため。アポロンからの申し出を受ける時から計画していた。
あいつの眷属の逃げ場は無いと言っても過言なほど。もはや俺はアポロン・ファミリアを追い詰めたも同然にの考えをしていた
と、思っていると
「っ!」
「ん?どうしたの?ジーク君?」
「・・・・・・知り合いが目の前に居る」
「知り合い?・・・ん?あの猫人のこと?」
「ああ。まさかお前が街中で出てくるとはな・・・・・・アレン」
「まさかあのお方の言う通りテメエが帰ってきたとはな・・・・・ジーク」
「誰なの?」
「アレン・フローメル。二年前少しこいつと喧嘩した。フレイヤ・ファミリアの副団長だ」
「フレイヤの眷属!?」
アレン・フローメル
フレイヤ・ファミリア副団長。豊饒の女主人で働くアーニャ・フローメルの実兄。レベル6で。都市最速の称号を持つ全冒険者の中で最も瞬足に早い猫人
小柄で口が悪いが、フレイヤを心の底から敬愛しており、他の女性には触れられることすら穢れると拒絶する。単にフレイヤ以外の女に興味がないだけのクソ猫
実はロキたちは知らないが二年前こいつと偶然酒場で出くわし肩をぶつかってきただけで謝りもしなかったこいつに、俺のカオス・ヘルツのスキルが発動してしまい。怒り狂ってこいつを殺しかけたことがある。幸いその場にシルが居て。彼女が俺を止めたことで俺は怒りを抑えたが、このことは公に知られずに済んだが、それ以来俺はこいつに眼をつけられ、かなり俺を恨んでいたのを覚えている
レベル1の俺に負けるのが悔しいと思うのか、かなり恨まれていた
もしかしてあの時の仕返しのために。またも目の前に現れたのかと聞いてみる
「何の用だアレン?こっちは戦争遊戯で忙しい。お前と遊んでいる暇は無いぞ?」
「ち、性格が変わったとは聞いていたが、相変わらずの減らず口を叩きやがる。フレイヤ様がそこの酒場にてお待ちだ。そこに小さい神も付いてこい」
「フレイヤが?」
「そこに居るのかい!?」
「ああ。そこで待っている。アポロン・ファミリアの戦争遊戯についてお話をしたいそうだ」
「どうするヘスティア?断ると面倒だぞ?」
「そうだね・・・・・苦手だけど。フレイヤがどうして僕たちを呼ぶかきになるしね。わかった。今行くよ?」
「ああ。さっさと中に入れ」
アレンの申し出を受けて、すぐその隣にある酒場でフレイヤが待っているらしい。目的は戦争遊戯の勝機があるかの確認だろうが、その話をする必要が無いほどもう勝機があるのだが、それでも俺がフレイの弟だからなのか心配しているようだ。今までそんな素振りや姿は見せなかった癖に、バベルに降りてまで話をするために酒場で待つなど。随分とフレイヤらしく無い行為だと感じた
しかも、魔力を感じてみる限り。フレイヤだけじゃないようだ
「ジーク君?・・・これって・・」
「ああ。オッタルも含めて全眷属揃っているようだ。珍しい光景だ」
「やあヘスティア?ジーク?」
「まさかここで俺たちを呼ぶとはな・・・」
その酒場で待っているのはフレイヤだけじゃない
この都市最強であり唯一のレベル7である団長の『猛者』オッタル。
次に『白黒の騎士』にして『白妖の魔杖』と言う二つ名を持ったヘディン・セルランドと言うエルフと『黒妖の魔剣』と言う二つ名のヘグニ・ラグナールと言うダークエルフ。白と黒の妖精にしてレベル6のエルフの第一冒険者の二人。フレイヤ・ファミリアの最強戦力の一角
次に『四人の小人』とも言われ、フィンと同じくパルゥムでありながらの第一冒険者。二つ名は『炎金の四戦士』と呼ばれる四人兄弟一緒の二つ名を持った。長兄のアルフリッグ・ガリバー。弟のドヴァリン・ガリバー。ベーリング・ガリバー。グレール・ガリバーの『ガリバー兄弟』。剣・鎚・槍・斧と言った兄弟それぞれ違う武器を持ったレベル5の冒険者である。この四人が一緒に揃った戦闘術は最強に近い程。防壁を崩す特攻部隊
最後に副団長の俺たちに案内したアーニャの実兄であるアレン・フローメル
フレイヤの周りに立って警備をしていた。フレイヤ・ファミリアの眷属全員が揃うと言うありえない状況に、周りに居る市民たちもなんの冗談だと恐怖で怯えていた
こいつらがフレイヤに忠誠を誓っているとは言え、全員で警備なんて必要ないと思うが、フレイヤに手を出させないようにしっかり周囲に居て警備をしていた
「ここまでする必要があったのかい?フレイヤ?」
「私もそう思うのだけどこの子たちが聞かなくてね。特に・・・・・・ジークに用があるとヘディンとヘグニがねえ・・・」
「ヘディンとヘグニが?まさかフレイ関係か?」
「はい。フレイヤ様から聞きました。まさか貴方様があの我らが崇拝するフレイ様の幼馴染にして義弟とは存じあげませんでした」
「・・・・・・・」
「まさか白黒の騎士が俺に会いたがるとはな、まあエルフだから当然か・・」
「はい。あの我らが啀み合っていた元ロキ・ファミリアの団員とは言え。今でなら貴方に接触できると思い。馳せ参じました。フレイ様の様にお美しい方だ」
「・・・・・・」
「悪いが謙遜として受け取らせて貰う。俺はヒューマンだぞ?そう言う言葉はリヴェリアだけに言え。俺はそこまで高貴の身分では無い。いくらフレイのレーヴァテインを継承したとは言えな」
そうして誰も持つことのできないフレイ専用の神器であるレーヴァテインを一応見せてフレイの弟だと証明するが、それでもヒューマン如きに崇拝するなど、いくらフレイの弟だからと言って特別扱いはされたくなかった
あまりそう言うのは好きじゃないため。膝を着いて敬意を見せても謙遜として受け取る以外なかった
だが会話をする限り、ヘグニは無口だったことは初めて知った。言葉を交わすことなく敬意は見せているが、あまりおしゃべりが得意じゃない男だと理解した
「け。ジーク如きに頭を下げやがって・・・」
「黙れアレン。二年前ジーク様を怒らせて殺されかけた男が、よくもそんなことが言える。それでも私と同じレベル6か?」
「なんだと!?」
「おい。言い争いはやめろ。フレイヤの前だぞ。俺はお前らの言い争いを聞くためにヘスティアと一緒にここまで足を運んだわけじゃないんだぞ」
「ジークの言う通りだ。フレイヤ様の前で恥を見せるな二人とも」
「む・・申し訳ありません」
「・・・・・」
「出過ぎた真似をしてしまいました」
「いいわ。それに新鮮だしね。貴方達が私の前で本音を見せるなんて・・・・ジークが居るからかしら?」
「す、すごいねジーク君。第一冒険者達にそれもフレイヤの眷属にこれだけ言いたい事が言えるなんて・・・・君も第一冒険者だから?」
「俺は当然のことをしたまでだヘスティア」
そうでもしないと話が進まないからでもある
でも意外だ。まさか二年前に俺がアレンを殺しかけたことをヘディンが知っているとは。フィン達でさえ知らないと言うのに、知ったのはその当時あいつがボロボロの状態でホームに帰ってから事情を知ったのか。どうもアレンの面汚しは他の団員も知っているようだ
だがそんな話をする余裕も無く。俺たちはさっさと話を進めようと椅子に座り。目の前に居るフレイヤと話をする
「それで・・・・・話はなんだい?」
「団員数が増えたことは聞いたのだけど。それでアポロンのファミリアに勝てるの?」
「まさかそれで勝算が無かったら手を貸すつもりだったのか?そんなことをしなくてもこちらでやれるから問題ない。それに手を貸してくれるのは嬉しいが。返せるものが無い」
「別にお礼なんて要らないわよ。お兄様の義弟であるなら私の姉でもあるのだから。姉が義弟を守るのは当然でしょう?」
「だが戦争遊戯だ。俺たちは俺たちの力だけで解決したい。フレイヤ・ファミリアと手を組んでいるのかと他の奴らに聞かれたらヘスティア・ファミリアも所詮おこぼれを貰っているファミリアだと言われそうでな。あまりにお前のファミリアに頼るのは・・・・非常に難しい」
「まあ。そこはジーク君の言う通りだと僕も一理ある。アポロンは少しでも僕たちが何か行動するだけで怪しい目をして、二年前のジーク君に散々なことを言うだろうしね。それが君のファミリアと裏で手引きしていたなんて事を知ったら何を言うかわかったものじゃないよ」
「そんなの私が黙らせればいいことよ。昨日助っ人を拒もうとしたようにね」
「黙らせたのか?」
「ああ。アポロンの奴ヘルメスの提案で数の少ない僕らじゃあいくら第一冒険者が一人居ても大変だろうからと助っ人を用意させるべきだと要求したんだけど。かなりアポロンが拒んでね?『神聖なるウォーゲームを汚すことになるだろう』と言っていたけど、そこでフレイヤが・・・」
「助っ人を一人だけ用意するだけであなたのファミリアは弱いの?って挑発したわ」
「他の神もお前の魅了に掛けられるのだから、当然お前の言葉を賛成するだろうな。それにアポロンもいくら汚い手を使おうがフレイヤを相手にするようなプライドは流石に持ち合わせていなかっただろうしな」
「もしもアポロンが戦争遊戯を申し込まずに実力であなたを奪おうものなら私が落としていたしね」
「大丈夫だ。それほどもう俺は二年前のようにはもう落ちない。信頼してくれる仲間や主神も居るしな」
「本当に大丈夫なの?」
「それくらい奴を落とせる準備はできた」
「でもジーク君?あの作戦は流石にアポロンも・・・・・」
「ああ、確かに言ってくるだろうな。じゃあ協力してくれれば頼んでくれるか?」
「ええ、もちろんよ?何をしたら良いかしら?」
「それは・・・・・・『・・・・・・・・・』」
「ん!?」
「ねえフレイヤ?フレイの義弟だけのことはあるでしょ?」
「驚いたわ。お兄様は本当にジークに全てを託したのね。レーヴァテインも含めて・・・・・・本当にあのトールの息子とは思えないわ」
「ジーク様!?あなた様は本当に・・・」
「!?・・・・・・」
「ヘディン。その様というのは言わないで貰いたいが、事実だ。そうすれば更に確実に勝利を手にできる。だが・・・・・そんな事をすればあいつが何を言うか」
「大丈夫よ。私がなんとかフォローすればいいのね?」
「そう言う事だ。まあ何か言ってくればの話だ。何か言ったらフォローして欲しい」
「いいわ。そんな簡単な事でいいなら・・・」
「あとは特に自分たちでなんとかできる。それだけ協力を頼む」
「ええ。任せて」
「本当に僕たちを助けるために呼んだのかい?」
「そうよ。姉として弟を守るのは当然でしょ?」
「もう姉のように振る舞う気かい?」
「こいつはこう言う奴だ。ヘスティア」
俺がフレイの幼馴染で弟のように育ててくれたとは言え。フレイの妹として俺の姉のように振る舞いをして、俺の関係を築きあげようとしていた。俺もヘスティアも俺との関係を作ろうとしているとフレイヤの狙いに気づいた
本当に欲のためなら自分のプライドも使うとは、予想以上に行動すのが早い
そして俺からロキ・ファミリアとの関係を完全に絶たせてヘスティア・ファミリアの交流を深めようとしているのもヘスティアもわかっていた
「あとは俺たちを呼んだ用はあるか?」
「いいえ。私はただあなたやヘスティアを助けたいだけよ?」
「そうか・・・・・・・ところでなぜお前の眷属全員がここに居るんだ?何かに狙われているのか?」
「それなんだけど。みんなジークを一目見たいと、オッタルは私の護衛で、それ以外はあなたが気になって私と一緒に行きたいと言ってきたのよ」
「ヘディンとヘグニはそうだと聞いたが、まさかアレンやガリバー兄弟まで俺に会いたがるとはな・・・・・・・俺がフレイヤに偉そうな態度を取っているのが気にくわなかったか?」
「確かにそれはある。でも一目しっかりと見てみたかった」
「でもフレイヤ様の兄であるフレイ様の義弟であるなら手は出せない」
「二年前見かけたことはあるが、あのフィンにも並ぶイケメンだ」
「只者ではないと感じる。最速でレベル5になったのもわかる」
「おい?こいつらはこんなに別々に言うのか?」
「私も驚いているわ。いつもは口を揃えるのにね。あなたが目の前に居ると色々言いたいことがあるようね」
「ガリバー兄弟がここまでお喋りだったとはな」
ガリバー兄弟は長男から何かを言ってから兄弟揃ってその後に何か言うのだが、俺を目の前にした瞬間。それぞれ兄弟別々のことを言い始めた。フレイヤも居ると言うのに、珍しく俺に対して兄弟別々の言葉を言い出した
フレイヤもそんな四人の会話を始めて聞き、新鮮だと思うのか止めようともしなかった
「護衛がオッタルなら、アレンはなんだ?」
「俺はテメエが本当にここに戻ってきたのか確認したかっただけだ」
「それで戻ってきた俺に、二年前の続きでもする気か?」
「できるならな。フレイヤ様に止められている以上はもうできねえけどな」
「そうか。礼を言うフレイヤ。こんな『クソ猫』とまた殺し合うなんて御免だからな。もうこいつのことはどうでもいいしな」
「ぷ!?く・・・・・クソ猫ww」
「ジーク君・・ぷ!・・・それはなんでも・・・ぷw・・言い過ぎだよw」
「テ、テメエ!?また俺をそんな風に言うか!!」
「うるさいぞクソ猫?フレイヤの前で見っともないぞ?」
「うるせえ!!やっぱりテメエはぶっ殺す!」
「ふはははは!ジーク様それはとてもすばらしい名前ですな!アレン?いっその事二つ名を『クソ猫』と変えたらどうだ?」
「ふははははははは!」
「なにテメエらも笑っているんだ!!特にヘグニ!テメエ普段しゃべらねえ癖に笑ってるんじゃねえ!!」
「ぷw・・・クソ猫」
「あのアレンにクソ猫と呼ぶとは・・」
「やはり面白いジーク・フリード・・」
「今日からファミリア内でアレンの事を『クソ猫』と呼ぼう」
「おいチビ四人!テメエらまでぶっ殺されてえか!!」
「おいクs・・・・・・・・アレン。フレイヤ様の前で醜い姿を見せるな。フレイヤ・ファミリアの副団長として我らのファミリアに泥を塗る気か?」
「オッタル!!テメエ今『クソ猫』って言いかけただろ!?なにテメエまでジークの言葉に影響してやがる!!」
「ぷぷぷぷぷ・・・ヘスティア?ジークって面白いわね?」
「本当にすごいよ。第一冒険者をここまでバカにするなんて・・・」
「こんな奴。ベートと扱いは変わらん」
「ジークテメエ!!あの『ヴァナルガンド』と俺を一緒にするな!!」
哀れだなアレン
これがアーニャの兄とは思えんほど、見るに絶えん
性格は本当にベートと変わらん単細胞だ。俺が相手をするまでも無いような価値の無い男だ。言っても聞かない野良猫と変わらん。こんな奴とベートを俺は相手にしなければならないと思うと。先が思い遣られると思った
それほどこいつを相手にするのが面倒だった
「そろそろ帰らせて貰う。帰って色々しなくてはならないからな」
「そうだね。フレイヤ?協力ありがとう。じゃあ明日は頼むわね?」
「ええ。任せてちょうだい」
「ジーク!まだ話は終わってねえぞ!」
「俺はお前に用は無い」
もうアレンの相手にするのが面倒になったため、あまりここで世間話をしても、ホームで留守番を頼んでいるリューに申し訳ないと思い。さっさとホームに帰ろうとヘスティアと一緒にフレイヤに別れをして酒場を出る
まさかあのフレイヤが俺たちに協力するとは思っていなかったが、これでアポロンも下手に俺には手を出せないと、フレイヤから保険を貰った
まああいつのことだから俺の作戦のことについて文句を言うだろうと思うため、フレイヤの思惑通りになってしまうが、協力を頼んだ
まあこれで俺のやろうとする作戦は誰の文句を言わせないまま実行出来るようにはなった
そしてホームに帰ると
「ん?」
「あれは・・・・・・タケ?命君?」
ホームの入り口の前で、リューに話しかけているタケミカヅチと命が居た。確か昨日の夜タケミカヅチはなぜか落ち着きがなかった。何かあったのだろうかと、すぐさま三人の会話に割り込んだ
「どうしたリュー?」
「ジークさん。神ヘスティアもちょうどいいタイミングでお帰りしましたね。タケミカヅチ様があなた方にご用があるようで・・・」
「僕らに?どうかしたのタケ?命君まで連れて何かあったかい?」
「ジーク、ヘスティア。実は話したいことがあってな・・・」
タケミカヅチは俺たちに用があるようで、わざわざ俺たちのホームまで足を運んだらしい。だがなぜ桜花達を連れずに命だけを連れてくるのか、ここに来る用が予想つかなかった
そしてタケミカヅチの用とは・・・・
「命君を僕らのファミリアにコンバージョンをさせるだって!?」
「正気か・・・・・・」
「はいジーク殿。自分はジーク殿達を助けたいが為に、一年だけヘスティア・ファミリアに移籍したいと願っています」
「命がねがいでたんだ。是非とも命を使って欲しい」
タケミカヅチと命がホームにやってきたのは、ヤマト・命が俺たちのファミリアにコンバージョンをして、戦争遊戯を手伝いたいと願い出た
別にこれ以上手助けは必要ないと思うが。極東の武士だからなのか。友人をどうしても助けないわけにはいかないようだな、昨日の夜タケミカヅチが悩んでいそうな顔をしているのわ、俺たちをどう助けるかを悩んでいたのだと、今理解した
「しかしなぜだ?なぜそこまで俺たちを助けようとする?極東の武士道だからか?」
「それもあります。ですが・・・・・・・本当は罪滅ぼしがしたいのです」
「罪滅ぼし?なんのだい?」
「ヘスティア。俺たちの眷属は以前18階層に向かったお前の眷属を俺たちはパスパレードをしてしまった」
「まさかその罪滅ぼしのためにか?別に気にするなと言ったはずだが?」
「いいえ!自分はそれでも自分たちのしたことが許せないのです。桜花殿からは許可は貰っています。それだけでなくジーク殿達を助けたい所存でもあります!」
「話を聞く限りじゃあ律義な奴だな。どうするヘスティア?作戦は命一人加わってくらいでなら建て直せる。命がファミリアに加わってくれるなら作戦はより成功しやすくもなるからな」
「そうだね・・・・・加わってくれるのは嬉しいからね。僕らのファミリアは人数は少ないし。よろしく頼むよ?」
「はい!よろしくお願いします!」
「命をよろしく頼む。ジーク」
「ああ、一年とは言え。団員になるとあれば仲間として扱おう」
まさかこのタイミングでまたも新しい団員が入ってくれるとは思ってもいなかったが
タケミカヅチ・ファミリアの団員であったヤマト・命が一年の期間ではあるが、俺たちのファミリアに移籍してくれた
友人を捨て置く訳にもいかず、過去の過ちを取り戻したいなど。極東の武士道と言うのは騎士道のように正しい道を歩むものだと、俺は命の正義感に驚かされた。自分のファミリアをやめてでも友人であるファミリアに移籍して助太刀とは。なかなかの精神を持っていると。命には桜花とは別の力を所持するとわかった
そうしてコンバージョンを済ませて、改めてヤマト・命はヘスティア・ファミリアとなった
「これからよろしく頼みます。ジーク殿」
「ああ。一年の期間とは言え仲間とし歓迎する」
ヤマト・命が加わったとなれば、新しく作戦を建て直さないとならない。もちろん命が入ったことで更に勝機が見えたも同然だった
命には城に特攻して貰おうと思い。もう一度どう城に攻め入れるか考えている
すると
「ジークさん!ただいま帰りました!」
「ジーク!注文の品!完成したぜ!」
「ベル殿!ヴェルフ殿!」
日が落ちる前にベルとヴェルフが帰ってきた。ベルは少し汚れて、ヴェルフは手に何かを包んだ袋を持っていた
「帰ってきたか。ベル。アイズとティオナにちゃんと教わったか?」
「はい!アイズさんとティオナさんが冒険者相手の戦い方を教えてくれました!」
「そうか・・・・ヴェルフはできたか?」
「ああ!団長の命令通り注文の品は完成したぜ!」
「よし。それじゃあ明日の作戦を話す前に、まずは夕飯にしよう。もう遅いからな」
「そうだな。俺も腹が減ったぜ」
「そうだね。でも・・・・・リューさんはともかく、なんで命さんが?」
「一年の期間だが団員になった。俺たちを助けるために一年だけ俺たちのファミリアに移籍してくれた」
「え!?命さんが!?」
「はい!自分はジーク殿達を助けたい所存でこちらに移籍させて貰いました!よろしくお願いします!」
「マジかよ・・・命までこっちに移籍したのかよ・・・」
「彼女の意志で決めたことだ。団員になってくれるのであれば。人数の少ないファミリアとしても幸いだからな」
ベルとヴェルフに命がコンバージョンをしたことを簡単に説明してから、夕飯の支度をした。命も料理上手らしく、俺と一緒に料理を手伝ってくれた。本人が言うにはタケミカヅチ・ファミリアでは千草と一緒に料理担当をしていたらしい
確かに野菜を切るのも上手く。料理慣れをしているのはわかる。だが本人は俺の調理裁きが物凄く上手いと評価し。味付けや調味料を掛けるバランスが上手いと。なぜか女のプライドとして負けたくないのか俺の料理の腕を羨ましく思っていた。二人掛かりでやればそこまで時間もかからずに全員分の料理をすぐに出せた
そして夕飯を済ませた後は、食器を洗い終えてから、リリルカ以外の団員と助っ人のリューに作戦を伝えていた
そして昨日の夜居なかったベルにリリルカのコンバージョンをしたと言う説明も含めて、会議のように教会の祭壇で作戦内容を通達する
「と言う訳だ。これで奴らの城を破壊し。ベルにヒュアキントスを追い詰めて欲しい」
「はい!わかりました!」
「でもよ・・・・・・そんなことをしていいのか?」
「大丈夫だ。保険は掛けてある」
「保険?」
「今日フレイヤに会ってね。それでもうジーク君の姉の立場になったのか、ジーク君を弟だと思って、アポロンが何か言ったらフォローするようにしてくれるんだよ」
「あのフレイヤ様が!?」
「おいおい・・・いくらジークがあの神フレイヤの兄貴の神フレイの義理の弟だからって、妹である神フレイヤもジークを弟として扱うのかよ・・・」
「あのフレイヤ様が・・・・ジーク殿を・・・」
「明らかにジーク君の関係を深めようとしているのは明白だったね・・・」
「会ったのですか?あの神フレイヤに?」
「ああ、目的はそれだけじゃないが。俺とロキ達の関係を離したい目的でもあったぞ。リュー」
「そうでしょうね。フレイヤ・ファミリアとロキ・ファミリアはライバルファミリアでもあって、敵対にもあるファミリアですから。ですが神フレイヤはフレイ様を今も愛し。そしてフレイ様の義理であってもあなたを弟として愛したいのだと。少しフレイヤ様の愛に同情をしてしまいます」
「今のセリフ。お前がフレイを崇拝しているから理由としては十分だが。フレイヤに同情するのはエルフとしては通らないと思うぞ?」
リューの今の発言に俺はツッコミをしてしまった
フレイヤの味方をするなとは言わないが、フレイヤ自身はエルフの祖国に関係はない。ただその眷属を入れているだけの関係でしかない
でもその祖国の主神でもあったフレイの妹であるならば、エルフとしても崇拝しなければいけないお方なのかもしれないとリューは少しエルフとしてフレイヤに崇拝とはいかないが、その愛情には同情した
「とにかくフレイヤが俺たちを助けてくれるのは確実だ。もうアポロンに好き勝手は言わせない」
「だろうな。なにせあのフレイヤ様だからな・・・」
「いくらアポロン様でもフレイヤ様に言い返すことは無理だと思います・・」
「それこそ逆鱗に触れるに等しいでしょう。フレイ様の弟を奪おうとしている時点で、神フレイヤを敵に回しているも同然ですから・・・」
「なんだか・・・・ジークさんが本当にウチのファミリアに居て良かったと思いますね。神様?」
「うん・・・・・もしこれがフレイヤのファミリアに行ったりでもしたらどうなっていたことか・・」
「作戦内容に話を戻すぞ。よって城の防壁を崩すために今はリリルカは仕事で不在だ」
「てことはリリはコンバージョンはできたんですね?ジークさん」
「ああ、そして今は仕事に取り掛かっているため今日は帰ってこない」
アポロン・ファミリアは今城の防壁を作成しているところだからな、その防壁を崩そうとリリルカは今御身行動を取っているため、今日は帰ってこない
「もちろん連絡できるための魔道具も持たせているため、いつでもリリルカに防壁を崩し、アポロン・ファミリアの作戦を混乱させる指示も出せる。つまりは・・・・・・全て準備は整った」
奴らを潰すための作戦はもう整った。白の防壁も奴らを混乱させるのも。ヒュアキントスを追い詰めることも。全ての作戦の準備は完了した
あとは明日に備えるだけ
「俺たちの作戦はうまくいく。お前達の準備は?」
「僕は行けます!!」
「俺もだ!みんなで勝とうぜ!アポロン・ファミリアに!」
「弱小ファミリアの底力を見せてやりましょう!!」
「よし・・・リュー。お前には申し訳ないと思っている。エルフのプライドを壊すことになるが頼みたい」
「いいえ。ジークさんを助けるためならば。私のエルフとしてのプライドは捨てます。全てジークさんのために・・・」
「感謝する。ヘスティア。俺たちはこれで奴らを叩き潰せるぞ?」
「うん!みんなアポロンに教えてあげよう!僕らの団長にまたも手を出すものなら僕らは全力で君たちを倒すと!僕らの底力を見せてやろう!」
「おう!」
「「「はい!!!」」」
「ああ」
「今日はもう寝て明日に備えよう!」
アポロン・ファミリアを落とすだけの作戦の準備もできた。あとは明日を待つのみと今日は早めに眠るとした
この作戦は些か卑怯にも及ぶものだが、それでも奴らを潰すには必要な方法だ。失敗してもすぐさま作戦を建て直すようにプランもいくつか用意している。アポロンを憎みはしている。またも俺に手を出し。今度は実力行使で俺を手にしようものなら滅ぼすまで
奴に後悔させてやろう。下界に降りて好き勝手したことを、それが自分の痛みにつながることを奴やその眷属に思い知らせてやると、ヘスティアには申し訳ないがこの戦争遊戯を復讐と俺は思い。二年前の借りを返そうと
寝る前だと言うのに怒りが回っていた
「ん!」
すると、外で何やら『神の神威』を感じた。その神威は俺が一番に知っている者。まさかそいつがここに来るとは思ってはおらず。俺はすぐそいつの元へ外に出る
「どうしたのジーク君?」
「少し外で涼しみたい。それから寝させてくれ」
「うん。わかった。遅くならない内にね?」
「ああ・・・」
そうヘスティアに言ったが、実は嘘で
外に客が来ているため対応するために外に出た。ここでも俺の嘘にヘスティアは気づかないとなれば、やはり俺の『あのスキル』は神は俺の嘘を見抜くことはできないようだ
その客はヘスティアには言いたくないような嫌う相手。だから嘘をついた。明日に備えようと言うのに、その前に会いたくないその客に会って話をしてから寝ようなど。彼女だったら最悪だと思うだろうと気を使い。俺だけで対応する
そして外に出て。客は横の崩壊した神殿の柱の影に隠れている
その客とは
「そこに隠れているのはわかっているぞ・・・・・・・ロキ」
「ああ・・・・やっぱりわかるんやな」
「これでもお前の姉の息子で・・・元お前の眷属だからな」
それはロキだった。
感知をする限り。冒険者の魔力は感じず、眷属は連れずにロキしか居なかった。まさか一人でここに来るとは思っては居なかったが、まさかこんな夜に訪ねてくるとはロキらしくもないとも思った
なんでこんな時間に訪ねてくるのかは知らないが。とりあえず用件を聞く
「それで・・何しに来た?まさか心配でここに来たのか?」
「まあ・・・・・立場は無いんやけど・・・そうや」
「そうか・・・・奴らを潰せる作戦はもう整っている。あとは明日で俺たちの実力を発揮するのみだ。心配しなくても勝てる勝算は作ってある」
「そうなんか・・・・大丈夫なら安心や・・・」
「ああ、だから心配しなくても俺たちでやれる。だが密かにお前がアイズとティオナに協力を要請させたことは感謝する。おかげでベルも冒険者同士の戦い方を知ったはずだからな・・・」
「力になれればなんだってええんや・・・・」
「さっきから随分と困惑な喋り方をしているな。そこまで二年前の俺の疑いをしたことに後悔しているのか?」
「うん。そうや・・・・・図々しいとは思っているんやけど・・・・それでも知らなかったとは言え・・・ジークはウチの甥やし・・・・心配しないわけには・・・ウチとしては我慢できなかったんや」
「二年前の俺とお前はこんな風な会話は全然なかったのに、随分と丸くなったものだ。何度も言うが俺はお前に恨みはない。そう気に病むのはもうやめろ。俺はもう俺の生きる道を見つけて生きているからな・・」
「じゃあ・・・今でもアポロンは恨んどるんか?」
「憎いな。もう放ってくれるならともかく。またも吹っ掛けたんだ。今度は俺自ら実力行使で復讐するのみだ。降りかかる火の粉は払うまでだ」
アポロンも放っておけば俺も手を出さないのと言うのに、そうまで俺に手を出すのであれば俺から振り払うまでだと。もはやアポロンに容赦しないと、俺も全力を尽くそうとしていた。
ロキは俺が別のファミリアになっても未だに心配しているようだ。本当に俺がトールの息子だと知った瞬間。まさか本当に甥として扱うとは思っていなかった
こいつが子ども想いの神なことは十分承知している。だが俺が団員だった頃はそんな風に扱われてはいなかった。おふくろの血を引いているからなのか。当時は母と相反するように、いつも俺はロキと言い争いをしていた
それでトールの息子と知った瞬間、性格が変わったかのように俺の扱いを変えた
当時の俺はロキにとってどう嫌われていたのか。こいつの今の俺への扱いと対応をどうしてそのようなことを今更するのか気になってしまった
だが
もう俺にロキを気にすることはできない。ロキ達を想う感情を完全に失った以上。ロキに心配を受けた感情でさえも、俺は勝手にすればいいと
叔母としての扱いすらもしておらず。俺はただの元主神としか扱ってなかった
それだけを聞いてロキは去り、俺も明日に備えて寝た