ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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厄災の始まり

 

 

「ぐわああ!?」

 

「きゃああ!?」

 

「ぐはああ!?」

 

 

「く、くそおお、こ、こいつ硬すぎる!?」

 

「前と同じだ、やはりこいつは接近戦で戦うしかない、だが・・・いくらなんでも早すぎる」

 

「ぐわああ!?」

 

「きゃああ!?」

 

「くそ!?もう俺たちだけだ!このままじゃあ・・俺たちは全滅だ!」

 

「こ、このまま・・・・終わるのか・・」

 

「お、おい!?疾風!?」

 

 

俺とリリルカが湖の中でベルを助けている間に、ボールスたちとリューが必死に時間稼ぎで怪物を相手にしているが、大苦戦である

 

流石のイレギュラーモンスターであり、時間を稼ぐにしてもたった数分しか保たない、あまりに奴の攻撃が素早く硬くてまともに戦えず、逆に仲間がどんどん殺されていく。もうたったのボールスとリューしかしか居ない

 

このままだと全滅してしまう。これで終わってしまうのかと、リューは終わりを悟ってしまう。結局またこんなことにしかならないと終わりを決めつけてしまう

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ムスペルス・ヘイム・ドゥンゲル』!!!」

 

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

 

『グウ!?グギャアアアアアアアアアアア!?』

 

 

「な、なんだ!?」

 

「湖の中から黒い炎のブレス!?しかも跳ね返っていない!?今のは・・・・まさか!?」

 

 

突然、湖の中から黒炎のブレスが放出し、怪物の腹に直撃する。しかもマジックリフレクションで跳ね返ることなく、一体なぜ湖の中からそんな攻撃が出てくるか、リューはその黒炎のブレスに身に覚えがある

 

それが一人だけ

 

それは

 

 

「ふ!遅くなったな!」

 

「リューさん!今行きます!」

 

「今戻りました!」

 

 

「ヘラクレス!?ラビット・フット!?」

 

「アーデさん!?クラネルさんも無事で・・・・でもジークさんどうして!?」

 

 

「どうしてとは?・・・・ああ、今の炎か、つまりはこれだ・・・・」

 

 

「な!?ヘラクレスの左腕が『ファフニールの手』に!?」

 

「やっぱり使ってしまったのですね!?あれ程シルから使ってはならないと言われたのに・・・」

 

 

「それは無理な話だ。もう俺の体は限界なんでな」

 

 

今の放ったのは俺だ。俺がファーブニルの闇を使った。その場合は俺の体の部位は黒竜化する。それができた理由は

 

 

俺の左腕が『黒竜の腕』になっていた

 

 

奴に喰われた左腕の切り口から、徐々に骨と肉が生え、再生した。しかし、黒竜の腕となって。皮膚は黒く鱗に変わり、爪の竜爪のように鋭い、まさしくファーブニルの左腕、そこからムスペルス・ヘイム・ドゥンゲルを放った。レアカースなら、ファーブニルの炎なら奴でも防げまい

 

これで今度こそこいつを仕留める

 

 

「ベル、さっさと終わらせるぞ」

 

「はい!今度こそ!ジークさんの左腕の仇を取らせて頂きます!」

 

「リリルカ!二人を治療!」

 

「はい!二人とも下がって!」

 

 

「どうして・・・・そこまで・・・」

 

 

「俺は敵を倒す。誰であろうと!」

 

「ジークさんはこんな怪物を前にしても揺るがなかった!あの人も!彼も!僕は勝ちたい!!!」

 

 

この怪物に再戦を挑む

 

敵である以上、俺は怯む理由はない。ただ敵を薙ぎ倒すまで、これが俺がこのイレギュラーモンスターを倒す理由だ。もう黒竜の腕に変わった。もう制限した戦いをする必要はなかった、ファーブニルの悪化はもう止められなかったのだから、シルの約束を破るのは申し訳ないが、それでも倒す方法がもっと増えた。これは仕方ないことだと、帰ったら彼女に謝って誤魔化すとしよう

 

こいつを倒すためなら、言い訳を聞いてくれるだろう

 

 

ベルはこの強敵に勝って、もっと強くなろうと望み、俺の左腕の仇を取ろうと強大敵でも恐れない。それにこんな敵も『アイズなら』『奴なら』と、目標だった者たちでも恐れずに倒そうと挑んでいたはずだと、そして今英雄として呼ばれる今の俺も奴を目の前にしても怯まず、化物の腕をしてでも挑もうとした

 

自分もこの強敵を倒して、俺やアイズや『奴』にように強くなろうと、この強敵を倒そうと挑む

 

 

「ベル。もう魔法を使っても問題ないぞ?」

 

「え?しかし、ジークさんの魔法も跳ね返したんですよ!?」

 

「ジークさん!?何度やっても無駄です!?奴はどんな魔法をも跳ね返します!!」

 

「どうかな」

 

「え?」

 

 

「ファーブニル・フルーフ!!!」

 

 

『グウ?グウ!?』

 

 

「え!?怪物の体にジークさんのルーン文字が浮き出た!?」

 

「レアカースを掛けた。もう奴は魔法を跳ね返せない。今のブレスの直撃と俺の左腕を食べるのは失敗だったな」

 

 

俺は奴に手を翳して、ファーブニルのレアスキルを使った

 

 

その名はファーブニル・フルーフ

 

 

相手にレアカースを掛けるレアスキル。これを受けた者はスキルや魔法も何もかも使用できなくなる。これで奴のマジックリフレクションは封じた

 

その証拠にあの怪物に体からルーン文字が描かれている。呪われた証である。その理由は俺の先ほど放った黒炎のブレスである。あれはレアカースを掛ける魔法でもある。更に奴は俺の腕を食べた。その腕に俺は呪いが入っている。俺の血は奴の血でもある。それが余計呪いが増し、体の中で呪いが侵食し、もう奴は魔法を跳ね返すことはできない

 

これで臆することなく奴に魔法で殺せる

 

試しに俺が使う

 

 

「ムスペルヘイム・ドゥンゲル!!!」

 

 

『グウ!!・・・ガアア!?ガアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 

「効いている!?ジークさんの魔法で焼けている!?」

 

「これで戦いやすくなった」

 

 

また俺は左腕から黒炎ブレスを放った。ファーブニルの左腕になると、指で描くことなく、手の平で念じるだけでルーン文字が浮かび出る。ファーブニルの力を物にすれば、一々指で描かなくても念じれば発動できるようだ

 

とにかく、今度は魔法が跳ね返ることなく、奴は魔法を吸収しきれず、体に付いている殻の反射板が一気に崩れ、初めは黒だった体が骨の色である灰色に変わった

 

これで見ての通り、もう奴は魔法の攻撃が通用するようになった。

 

だから

 

 

「さあ・・・・反撃だ。やれるな?」

 

「はい!もう僕は負けない!!」

 

 

『グウ!?』

 

 

今度こそ反撃すると、意志を込めて顔を強調させると、怪物はなぜか俺とベルに警戒をするかのような驚愕の顔をした

 

この怪物は人を殺すことしか考えていないはずだと思ったが、まさかそんな顔をするとはな、それだけ俺とベルが危険だと察知したのだろう。警戒心があるとは意外だ

 

だとしたら、次に行動する事は

 

 

『ガア!!!』

 

 

「だろうな!」

 

「ジークさん!?」

 

 

『グウ!?』

 

 

「そうはさせない、悪いがもうお前の速度は覚えた。そしてお前の爪がアダマンタイトでも無駄だ。俺の左腕はオリハルコンよりも硬いからな、ベル!迎撃!」

 

「はい!そうだ。このマフラーを使って!」

 

 

危険を察知した怪物は、何か反撃を受ける前にベルを先に仕留めようとしたが、俺が先回りして奴の爪突きを左手で防いだ。奴の爪は確かにアダマンタイトで盾でも貫けるだろう。しかし、ファーブニルの左腕はオリハルコンより硬い強度、その程度の爪なら防げる。しかも奴の速度はもう学習した、速度パターンも、もう俺は怪物に対応した。奴の動きは俺が封じる

 

その間にベルが片付ける

 

ベルは奴の動きをなるべく止めるために、怯ませるために、首に巻いていたマフラーを、鞭替わりに使う。このマフラーは鞭としても使える。打撃を加えて動きをなるべく抑える

 

 

「は!や!は!」

 

 

『ガア!?グウ!?カア!!』

 

 

「その調子だ。このまま俺たちが押し切るぞ!」

 

「うおおおおお!!」

 

 

「す、すごい、ジークさんとクラネルさんが、あの怪物を圧倒している!?」

 

 

さっきまでは奴の動きがわからないため、対応できなかった。でも俺とベルも、もう攻撃を一度受けたからわかる。もうどういう動きをするのか

 

そしてさせないために、追撃を掛ける。どんな攻撃もやられるなら、もう追い込み続けて攻撃させないようにすればいい

 

 

「ベル!今だ!」

 

「はい!・・・ここだ!!」

 

 

『ガア!?』

 

 

「ベル様があの怪物の腹を取りました!!?」

 

 

「ここで・・・ファイア・ボルト!!!」

 

ドカン!!!

 

 

『グガアアアアアアアアア!!??』

 

 

「例えイレギュラーでも、零距離は苦しいだろう!これはおまけだ!」

 

ビリビリビリリリリリリリリリリ!!!

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアア!!??』

 

 

ベルが奴の腹にナイフを刺し、俺は背中でグラム を刺す。そしてベルはそのままベロ距離でファイア・ボルトを爆発させ、俺はグラムの刀身から奴の全身を痺れさせる

 

外殻が硬いなら、内側を壊せばいいと、俺たちは奴体内から破壊する

 

 

その二撃を受けたことで、怪物から悲鳴が轟かせる。声からして苦しそうだ。効いているのは間違いなく

 

 

俺たちは一度引き下がって、次の攻撃に備える

 

そして次は

 

 

「ベル。次で決める。いいか?」

 

「はい!いつでもやれます!」

 

「よし、終わらせるぞ!グラム、魔剣解放・・」

 

「はい!ファイア・ボルト・・・」

 

 

俺の次の指示で、ベルは自身のナイフに炎を灯した。俺はグラムの魔剣を解放をし、刀身から雷を放出させる

 

つまりは全力

 

 

次で最大の一撃で終わらせると言う意味である

 

 

これ以上奴の戦いを長引かせると、上に居るアイシャたちとも合流できないため、さっさと終わらせようと、この生きてはいけない怪物を仕留める

 

 

「行くぞ!」

 

「はい!うおおおおおおお!!」

 

「ふ!」

 

 

お互い十分な力を武器に込めた。後はその力を奴に叩き込むだけだと、奴の方まで突っ込む

 

 

『ガア!』

 

 

「逃さない!」

 

「させるか!ニブルヘイム・ドゥンゲル!!』

 

 

『グア!?』

 

 

「ベル様のマフラーが首に!?ジーク様の氷魔法で足が凍った!?」

 

 

怪物は俺とベルの攻撃を受けてはいけないと、大きく下がるが

 

そんなことは想定済みで、ベルはゴライアスマフラーで首に巻きつけて引っ張って引き寄せる。俺は奴の足の身動きをとらなくさせるために、ニブルヘイムで四本足全て凍らせる。ファーブニルの力が入っているから、俺たちが一撃を放たなければ壊れない。

 

これで、この一撃は

 

 

 

確実に当たる

 

 

 

「アルゴ・ウェスタ!!!!!」

 

「ヴォルスング・サガ!!!!!」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

 

 

俺たちの最大の一撃を受けた怪物は、大きく爆発した

 

ベルの一撃は頭に直撃し、俺の一撃は腹に直撃した。確実に奴にダメージが入ったのは間違いなく。俺とベルの最大はしっかりとあの怪物は受けた

 

 

「や・・・・やったのか?」

 

「わかりません・・・・」

 

 

「ジークさん・・・クラネルさん・・・・」

 

 

「ジークさん・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

今の一撃は最大だったから、まだ爆風は晴れることなく、煙が舞いそのせいで奴本体が見えない

 

だから倒せたかどうか、確認できない。

 

だが、俺は気配でしっかり奴がどうなったか確認取れた

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや・・・・・・・まだ生きている」

 

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

「そんな・・・・・」

 

 

『グウ・・・・ガアア・・・』

 

 

奴そのものは見えなかったが、俺は気配でしっかりと奴の気配を感じ取れていた。呼吸は正常、口から吐息も聞こえる。その時点でまだ生きていると分かった

 

だが、煙が晴れて奴そのものの姿を見ると、半分程装甲が崩れ、左半分は中の肉が見える外見となった。そして左腕も落とされている。確かに俺とベルの一撃は確実に直撃したが、それでもまだ奴の体そのものは粉砕できなかった。

 

奴は俺とベルの一撃を受けて、体はボロボロになっているも、まだ動けるようで、今度は奴が反撃しようとしていた

 

 

 

が、そこへ

 

 

 

ヒュ!!

 

 

『グウ?・・・ガアアアアアアアア!?』

 

 

「な!?なんだありゃあ!?」

 

「宝玉のような物が、あの怪物の首に取り付きました!?」

 

「あの宝玉は・・・・まさか!?」

 

 

「礼を言うぜ!ヘラクレス!ラビットフット!お前らがこいつを怯ませてくれたおかげで、やっと手に入ったぜ!ここまでしてくれてご苦労なこった!」

 

 

「ジュラ!!貴様!!!」

 

「あの人は・・・まだそんなことを!」

 

 

奴が俺たちに反撃しようとしたところ、突然怪物の頭上から、宝玉のような物が飛んでくる。その宝玉は素早く怪物の首にくっつき、光出して怪物は制御が効かないように暴れだす

 

その宝玉を投げたのは、ジュラ・ハルマー

 

奴が弱っているところを狙っていたようで、それまで隠れていたようだ。俺たちはまんまと奴に利用されたわけだ

 

 

「さあ、俺の化け物!こいつらを殺せ!やっとお前に復讐できる!リオン!ここで悲鳴をあげさせてやる!」

 

 

「ジュラ・ハルマー・・・テメエ!!」

 

「ジュラ・・・・・貴様はどこまでも!!!」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

怪物を物にしたジュラ・ハルマーは、持っている鞭で怪物に指示をしていた。昔にやられた仕返しを、今ここでリューに晴らすようだ

 

その言葉に、ボールスやリューは怒りを示す。まさか本当に化け物を物にして、殺戮を起こそうとするなど、流石は犯罪者だと俺は思った

 

 

しかし

 

 

奴の犯行を向けられているこの状況で、俺はジュラ・ハルマーに大事なことを教える

 

 

「ジュラ・ハルマー。お前に言っておきたいことがある」

 

 

「なんだ?命乞いか?英雄と称えられたお前が命乞いでもするのか?」

 

 

「先ほど、ワームウォールの首に付いていたお前のマジックアイテムを調べさせて貰った。それで一つだけ分かったことがある」

 

 

「あ?なんだ?」

 

 

「お前の持っているそのマジックアイテムは、確かにモンスターを操れる。そう『魔石をジャック』することで」

 

 

「魔石をジャックするだと?」

 

 

「ああ、あの宝玉はモンスターに埋め込まれた魔石を、乗っ取ることで操ることができるマジックアイテムだ」

 

 

ワームウォールを倒した後で、俺は奴の首に付いていたマジックアイテムの宝玉を調べた。見た感じ調べただけでどういう構造なのか理解し、魔石を乗っ取ることで、モンスターの意思を奪うことができると分かった

 

しかしだ

 

この怪物は、リューにも教えて貰ったが

 

 

 

 

 

 

「その怪物は魔石は無いぞ?それでも操れると思っているのか?お前は?」

 

 

「「「「あ!」」」」

 

 

 

「は?・・・・・・・」

 

 

堂々とマジックアイテムを付けたからと前に出ているが、魔石が無いこいつにそんなことをしても無駄、多少の意志を乱れさせることはできるが、魔石が無いなら操ることはできない

 

この証拠に

 

 

「今見た感じ、あの怪物。今お前を見ているぞ?お前を敵だと認識しているんじゃないのか?」

 

 

「っ!・・・・・・っ!?」

 

『グウ・・・・・・・』

 

 

俺の警告を告げて、その警告を従うようにジュラ・ハルマーは恐る恐る怪物の方を振り向くと

 

怪物はジュラ・ハルマーを見ていた

 

あまりに殺意が込められた眼差し、明らかにジュラ・ハルマーの言うことを聞いているようには見えなかった

 

ジュラ・ハルマーもその異変に気づき、再び命令をしようと鞭を叩く

 

 

「お、おい!言うことを聞け!俺はお前の主だぞ!」

 

『グウ・・・・・』

 

「お、おい!き、聞け!聞けよ!」

 

『グウ・・・・・』

 

「あいつらを殺せ!あの英雄も!あの小僧も!あのリオンも殺せ!あの二人も!殺せ・・・・殺せよおおおおおおおお!!!」

 

 

何度呼び掛けても、怪物は応じることはなかった。ジュラ・ハルマーは何度も怪物に必死に命令しているが、怪物は何もせず、ただジュラ・ハルマーを見ていた

 

そして

 

 

 

『グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

「がは!?!?!?」

 

 

ブシャアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

「「な!?」」

 

「「あ!?・・・」」

 

「愚か者が、何でもかんでも欲張るからそんなことになるんだ」

 

 

怪物は言うことを聞くことなく、ジュラ・ハルマーを敵として認識し、奴を尻尾で上半身と下半身を斬り裂いた。結局ジュラ・ハルマーの企みは叶うことなく、逆に自身の確認不足で殺されることに

 

まあ、リューや俺が手を掛ける前に勝手にくたばってくれたから、俺としては楽になった

 

これで犯人は、あとタークスレッドとその絡んでいた者たちだけと

 

このイレギュラーの怪物を倒すのみ

 

ここまで外殻は崩せた。奴ももうほとんどそこまで体力は残っていないだろう。このままこいつの追撃を続ける

 

 

 

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

 

「ベル様!」

 

「クラネルさんが消耗しています!!」

 

「流石にアルゴ・ウェスタを使った後だ。仕方がない」

 

 

ベルにとってアルゴウェスタは最終手段の必殺技だ。いくら新技だとしても、チャージも入った技だ、全身を込めた技にはリスクがある。あの一撃で終わらせるつもりが、それで倒れなかったのだから、今は消耗は激しい。この前のモスヒュージの戦いもその後は消耗して、18階層に帰るまでの体力はなく、リリルカに背負って貰って帰って行った。

 

もうベルに戦える体力はない。俺はまだ戦えるだけの体力はあるため、俺が一人で追撃を掛ける

 

 

 

 

しかし、ここでアクシデントが起こる

 

 

 

『ガアアアアアアア!!!』

 

 

「ぐわ!?」

 

「っ!なに!」

 

 

「ジークさん!?クラネルさん!?」

 

「モンスターが、二人を手で捕まえた!?」

 

「どこに行くつもりだ!?」

 

 

突然怪物は前に居た俺とベルに特攻を掛けた

 

その勢いで、俺も防御に入ったが、爪で串刺しにするのかと思いきや

 

 

 

奴の手はベルの身体ごと掴んで、俺は口で食われてしまい、今はグラムで口を閉じさせないように抑えているが、捕らえられてしまう

 

 

 

モンスターが人を捕まえるなんてことは強化種であるなら有り得る出来事だが、イレギュラーモンスターがそんなことをするなど俺も初めて体験する。さっきまで俺たちを殺すことしか考えていなかったこいつが、なぜいきなり俺たちを手で捕らえるのか、いきなりの行動で俺も対応できなかったため、俺の両腕は口を閉じさせないために抑えているため、身動きが取れないまま、抵抗ができず

 

それだけではない、そのまま俺とベルを持って何処かへと移動しようとしている。しかもボールスやリリルカやリューを無視して

 

そして俺とベルを掴んで、残っている三人を無視して何処へ行くのか、その先は

 

 

 

「どこに!・・・・っ!?あれは大きな穴!?」

 

「あれは・・・・ワームウォールが出てきた穴か!しかもなぜあんなに『複数も穴』が開いているんだ」

 

 

 

奴はそのまま俺とベルを手で掴んだまま、ワームウォールが出てきた大穴に入っていく。俺とベルを捕まえてどこへ行って何をするのか知らないが、少なくともここより下へ向かおうとしているのが分かった

 

更に

 

 

 

落下先では『複数の穴が』開いていた

 

 

 

どこの穴に通じているか知らないが、ジュラ・ハルマーはどこの深層からワームウォールを捕まえたのかは知らないが、奴を使って何度もいろんな深層を飛び越えて移動させていたようだ。どの深層に落とされるかわからないが、

 

今この状況はまずい。このままこいつを倒せずに、皆の側を離れたら、より合流ができなくなる

 

だが、俺たちは奴の手で捕まれて何もできず。

 

 

 

 

そのまま大穴の中へ

 

 

 

「く!」

 

「うわああああああああああああ!?」

 

 

 

俺たちは何もできずに、奴に掴まれたまま、ワームウォールが開けた大穴の中に引き摺り込まれた

 

それを見た、リリルカとリューは

 

 

「ベル様!」

 

「ジークさん!」

 

「お、おい!?お前ら!?」

 

 

それを見たリリルカとリューは、俺とベルを助けようと、リリルカは持っていたバックパックをそのまま置いて行き、リューは木刀で無理に立ち上がって、そのまま二人はボールスを置いて、ワームウォールの大穴に飛んで入る。

 

二人は俺とベルを救出しようと、怪物の背中に乗ってしがみ付く

 

 

『グウ!?』

 

 

「リュー様!これを!」

 

「火炎石!?」

 

「火炎石を怪物の背中に埋め込んでください!これで爆破させましょう!」

 

「魔剣!?・・・よし!ふ!」

 

 

「リリ!?リューさん!?」

 

「何をする気だ!二人とも!」

 

 

「今です!」

 

「点火!」

 

 

背中にしがみ付いた二人は、その背中を至近距離で爆破させようと、ジュラ・ハルマーが仕掛けた火炎石を、今怪物の左半分の中肉の部分に埋め込んで、そのままリリルカが予備手段として取っておいた魔剣で爆破させようと火炎を放った

 

背中にしがみ付いている自分二人も居ると言うのに、二人は自身の身を案じないまま、俺とベルを助けようと至近距離で爆破させた

 

 

そして

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

『グギャアアアアアアアア!!!』

 

 

「うわああ!?」

 

「く!なんて無茶を!」

 

 

背中を爆破して、怪物は苦しみ。その痛みでベルを手から離し。俺は奴の叫びを上げたことで口が緩み出し、噛まれる前に押し返して噛まれずに後方に下がる。なんとか身動きが取れるようになった

 

しかし、至近距離で爆破させたリリルカとリューは爆破に巻き込まれた、その結果

 

 

「がは!」

 

「ぐは!」

 

 

「リリ!!く!」

 

「リュー!ち!」

 

 

二人は散り散りに分かれて爆破で焼かれて吹き飛ばされた。その二人を助けようと、俺とベルは空中で踏ん張って二人の元へ飛ぶ。ベルはリリルカを、俺はリューを助ける

 

リリルカとリューが分かれて吹っ飛んでしまったため、落下先はそれぞれ別の穴に落ちることに、ベルとリリルカとはかなり距離が離れてしまい、ベルとリリルカと一緒の穴に落下できない。しかも俺とリューの落下先の穴はもう目の矢先。落下中で飛ぶことはできず、ベルとリリルカとは別の穴に入る前に

 

ベルに伝える

 

 

「ベル!ここで別れるぞ!なんとか生き残れ!俺もなんとかして、お前達と合流する!とにかく別の階層に落ちても生き残れ!」

 

「ジークさん!?リューさん!?」

 

 

こうして、パーティは更に分裂されてしまい、俺とリューは別の穴に落下し、ベルとリリルカはそのまま下にある大穴に落下して行った

 

 

『グウ・・・・ガアアア!!!』

 

 

そのそれぞれ落下して行った穴に、先ほど爆破で怯んだ怪物は壁にぶつかって引っ付いていたが

 

 

怪物はベルとリリルカが入って行った大穴に追う

 

 

なぜ怪物は俺とリューではなく、ベルとリリルカが入って行った大穴に入っていく、ジュラ・ハルマーのマジックアイテムの影響だろうか、乗っ取られていないが、宝玉は光っており、起動しているのは間違いない。だがそのせいでよくわからない行動をしている

 

まさかとは思うが、自我ができたのではないのかと、ただ人を殺すだけの怪物が、ジュラ・ハルマーのマジックアイテムで意思ができたのかと、俺は思う

 

 

 

とにかく、俺とリューは別の穴に落ち、ベルとリリルカも別の穴に落ちると、ここで分断されることになった

 

もはや合流ができるかどうか、絶望的である

 

 

その理由は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう・・・・あ!ここは・・・」

 

「リリ!起きたんだね!」

 

「ベル様・・・・っ!ベル様!無事ですか!?」

 

「うん、僕はね」

 

「無事でよかったです」

 

「リリも」

 

 

なんとか大穴から地上へと落下した。地面に落下する前にベルはリリルカを担いで壁にマフラーを巻きつけて、地面に落ちる前に壁に引っ付いてから、落下速度を殺してから地面に着く

 

そのタイミングでリリルカが目覚めた。少し火傷の後が残っているが、無事にリリルカが目覚めた

 

しかし

 

 

「ベル様・・・・ここは・・・・」

 

「ここは・・・その・・・・」

 

「壁と地面が白い・・・・っ!?まさか!?」

 

 

「うん、『ホワイトパレス』・・・深層に僕たちは落ちたみたい」

 

「ってことは・・・・・・『37階層』!?」

 

 

最悪な事に、まだレベル4のベルとレベル1のリリルカが落ち先は

 

 

37階層の『ホワイトパレス』

 

 

基準ステイタスレベル4の集団でやっと入れる危険高ランクの階層、第一級の冒険者でも死んでしまうと言う、全体の範囲領域はオラリオと同じと言われた

 

危険地帯

 

 

そこへベルとリリルカは落ちてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方

 

俺とリューは

 

 

 

「・・・・・・っ!ここは?」

 

「気がついたか?」

 

「ジークさん!無事だったんですね!」

 

「よく言うな?お前の方が重傷だったんだぞ?回復魔術で火傷も傷も治した」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「だが、ここから先は油断するな。少しまずい事になった」

 

「え?まずいと言うのは?」

 

「周りを見てみろ。わからないのか?」

 

「え?そういえば・・・・ここは・・・」

 

 

俺たちも落下してから、いろんな穴を通らされた。最終的にここに落ちて、地面で落下死を避けるために、グレイプニルで壁に引っ付き地面との衝突を避けて、ここに着地した

 

それでからリューの治療を行い。なんとか彼女が動けるだけの体力と傷を治した

 

しかし、ここからはそれでも乗り越えられるか分からない場所へと俺たちはいろんな大穴を通じて、ここへと落下した

 

リューが周囲を見ても、どうやらどこだか分からない様子

 

 

周囲には一本の草木すら無い荒れ果てた広大かつ単一の階層、石や砂など全てが赤茶色に染まり、茫漠たる荒野である。ワームウォールが火山のある深層の地面まで飛び越えることなど、聞いた事はないが、まずい場所に落とされた

 

 

ここはどこかと言うと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは大荒野と言う『モイトラ』。49階層だ」

 

 

「4・・・・・49階層!?」

 

 

ここは俺にとって思い出の場所。かつてフィン達と共にここでフォモールの大群とよく戦った荒野、この場所に二年ぶりに来れるとは思いもしなかった。いろいろトラブルがあって、ここに落下されるとは

 

ここはロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアでしか入れない階層

 

 

49階層 モイトラである

 

 

俺とリューとベルとリリルカは深層へと落とされてしまい

 

カサンドラの絶望が的中してしまった

 

 

ここからが俺たちの行動次第で、この絶望を乗り切ることとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、これで終わりではなく。絶望はヴェルフ達にも襲い掛かる

 

 

一方

 

27階層からモンスターの鳴き声を聞いて、気になってしまい。26階層に入れる入り口まで、25回層の最下層に降りてきていた

 

隣では滝があり、27階層まで滝は通じていた。その滝を通じて、下から何かの物音が聞こえた

 

 

「なあ・・・何か物音が聞こえないか?」

 

「かすかだが、何か戦闘をしているような騒音が・・・・」

 

「それに・・・誰かの悲鳴のような声も聞こえました。アイシャ殿は?」

 

「ああ、私も聞こえた。本当にジーク・フリードの言う通り、何か起きたのか」

 

「ベル様・・・リリ様・・・ジーク様・・・」

 

 

25階層の最下層の滝付近にて、戦闘しているかのような騒音と誰かの悲鳴が聞こえる。

 

明らかに27階層で何かが起こっているとしか言いようがない。気になって行くべきだと考えているが、しかし、俺の指示では、ターク・スレッド達が追えなくなった場合は、そのまま25階層で待機と言われている。それを破るか、守るか、その判断をアイシャは考えている

 

だが

 

 

「アイシャさん!27階層に行きましょう!」

 

「春姫?」

 

「ベル様もリリ様もジーク様も何かあったんです!行きましょう!私たちも!」

 

「ま、待ってください!春姫殿!」

 

 

春姫は、もう俺の指示に我慢ができないのか、27階層に行くべきだと皆に声を掛ける。どうしても三人が心配になり、春姫が先に26階層の入り口に入ろうとする

 

しかし

 

 

「ダメです!行かないでください!春姫さん!」

 

「カサンドラ様!?離してください!このままではベル様達が・・・・」

 

 

「行かないでください!27階層に行ったら全員殺されます!!!」

 

 

「え?・・・・」

 

「カサンドラ?あんた何を言っているの?」

 

「とにかく行かないでください!絶対に殺されますから!ここはジークさんの言う通りにここに居ましょう!」

 

 

カサンドラがそれを止めた。カサンドラはどうやら予言通りになったと、人の悲鳴を聞いただけで、もう27階層は予言通りの絶望の地獄となったと確信する、そうなったら確実にみんな殺されると、予言通りにならないよう、ここに止まるべきだとカサンドラが春姫の裾を引っ張ってここに止ませる

 

カサンドラの行動は誰も理解できず、なぜそんなに27階層に行かせたくないか、必死に止める彼女の行動に、皆は理解できずだった

 

しかし

 

 

ここでも地獄が始まる

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

ドカン!!!

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」

 

「なんだ!?」

 

「27階層の滝からだ!」

 

 

突然何かデカい物音が聞こえた。それは27階層の滝からだ。地震のような揺れ、間違いなく何かが生まれる音、それはアイシャにはすぐに分かった

 

 

「この揺れ!?このタイミングで出てくるのか!?全員この場から離れろ!」

 

「バーベラ!?どうした!?」

 

 

アイシャは急いで全員にこの場から離れるように呼び掛ける。この揺れがなんなのかすぐに彼女は気づいた

 

それは

 

 

 

「アンフィス・バエナだ!!この滝を登ってくるぞ!」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「くそ!?こんなタイミングでか!?」

 

「みんな!離れろ!」

 

 

アイシャは、元イシュタルファミリア時代の時に、45階層まで降ったことがある。もちろんその時に階層主を相手した経験がある

 

アンフィス・バエナも、だからその出現方法も、奴が滝を登ることも、全部パターンも知っている。だからここではまずいと、一旦引く

 

そして

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

『ガアアアアアアアア!!!』

 

 

「っ!来たぞ!!!」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

大滝を登る二頭の竜が滝登りした。そして25階層まで上り詰めた。その先は間違いなく、アイシャ達が居た。湖まで上り詰めた

 

そして

 

 

『ガアああああああ!!』

 

 

アンフィス・バエナは25回層の湖に到着し、その飛んできた衝撃で、湖から大波がアイシャ達を襲う

 

 

「踏ん張れ!!」

 

「「「「「ぐ!」」」」」

 

 

大波に流されないように、地面にしがみ付いて波の衝撃に備える。なんとか地面に武器を刺して波に流されずには済んだ

 

しかし、25階層の大湖に

 

 

「くそ・・・・まさかこんなタイミングで出てきちまうのか・・・・」

 

「これがイレギュラーだって言うのか!?ふざけろ!?」

 

「こんな事になるとは・・・」

 

「ジーク殿の言う通り・・・自分たちだけで」

 

「これを倒せって言うの・・・・」

 

「なんて無茶苦茶な・・・」

 

「階層主が・・・私たちの前に!?」

 

 

「ああ・・・・・これが私たちの絶望なの」

 

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 

アイシャ達の前にある大湖に

 

 

インターバルとして復活した。目標の敵であるアンフィス・バエナが出現した。このタイミングで

 

 

レベル4のアイシャとそれ以外のレベル2だけで生き残れるだろうか、俺やベルが居なくても果たせるか、無論戦わなくては生き残れない。目標の敵が今目の前で現れたのだから

 

戦う他無い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とリューは49階層

 

 

ベルとリリルカは37階層

 

 

残りのアイシャ達は25階層でアンフィス・バエナ出現

 

 

これが惨禍の宴、絶望の淵にして地獄の連鎖、普通なら誰でも諦めるような状況である。パーティは分断され、そして最悪な場所に最悪な敵

 

この絶望に乗り切れるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、俺たち次第だな」

 

 

これは絶望と向き合う、生き残りを賭けた冒険である

 

 

 

 

 

 

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