ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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49階層主 バロール

 

 

 

その数時間前、一方俺たちはと言うと

 

 

49階層 モイトラ

 

 

「187・・・188・・・189・・・・・・これで・・・・200!次だ!」

 

「す、すごい・・・一人でフォモールを全部!?」

 

 

俺とリューはと言うと、ここに落下した後、すぐにフォモールの軍勢が迫っていたため、リューを後方でスヴェルヘイムの結界を張って待機させ、俺一人でフォモールの大群を一人で無双をしていた

 

まさか二年ぶりにフォモール達を倒す戦いをすることになるとはな、まだ先だと思っていたが、まさかここで再び奴らを倒せる時がこんなに早くなるとは、ある意味運の悪さを感じる

 

奴らは無限ではないが、一気に大群と呼ぶ数のモンスターパーティが当たり前なため、それを一人で鎮圧していた

 

 

二年前はカオス・ヘルツに頼り切りだが。もう一人で普通に倒すことができる。リューはあの怪物から俺たちを解放するために爆破を起こして自身もその爆破に巻き込まれ負傷したため、右足が深く負傷したため、俺が一人で無双をしている

 

 

「これで・・・・最後だ」

 

 

『ガアア!?!?』

 

 

「ふう・・・・もうレベル6だと、この数でも楽に倒せるようになった」

 

 

こんなオッタルの真似事をするとは思いもしなかったが、リューは戦える状態ではないため、俺がやるしかない。必要な回復アイテムはアイシャ達に渡してしまった。もう俺には回復アイテムはない。あるとしたら俺の魔術くらいだ。リューの足は俺がなんとかするしかないだろう

 

オッタルでも単独でここまで来た。その真似事をすることになると、なんだかあいつと張り合っているみたいで、あまりに好きじゃない

 

だけど戦えるのは俺だけなため、俺一人でフォモールを殲滅した。リューを守っているスヴェルヘイムの結界を気にしながら戦っていたため、途中数えるのをやめてしまい。俺は大体数百匹のフォモールを蹴散らした

 

一人でここまでやるのは初めてだ。黒竜の左腕でかなりの力を発揮してしまい。もう俺の体がどんどん人間離れになっていくのがわかる。そのおかげでもうフォモールの大群程度では相手にならない

 

どこまで俺の体は侵食し、人間で無くなるのか。もはや時間の問題だった

 

まあ、そのおかげでリューは守れたため、良しとしよう

 

 

「リュー。俺の魔術で足を治す。動かすな」

 

「ジークさん・・・私のことはいいですから・・・放って・・・」

 

バチン!!!

 

「痛!?・・・・・」

 

「ふざけたことを言える立場か?馬鹿者が。仲間の復讐は分からんでもないが、だからと言って、シルに心配を掛けさせといて、更には見捨てろだと?随分と偉そうなことを言うんだな?お前は?」

 

「え、偉そうなわけでは・・・お、怒ってます?」

 

「心はほぼ無いが、怒りはまだ心にある。お前を助けるためにここまで来た。助けてくれと言った覚えはないにしても、散々俺に生き残って欲しいと言った本人が今度は見捨てろだと?俺に命令できる立場だと思っているのか?」

 

「っ・・・・すいませんでした。その様子だと・・・シルも怒ってます?」

 

「当たり前だ。アーニャも、ルノアも、クロエも、ミアも怒っていた。酒場の皆はお前を家族だと思っていたんだぞ?それをお前は過去に囚われて勝手に誰も言わずに復讐しにここまで来た。ふざけていると言ってもおかしくないだろう。シルの頼みでもここに来たんだ。なのにそんなことを言うとは、それがかつて正義を名乗った者の一人の言葉か?」

 

「も・・・申し訳ありません」

 

 

俺は軽くだが、リューが自分を放って生き残れと言ったが、そんなふざけたことを言うリューを俺は彼女の頬を叩いた

 

シルだって助けて欲しいと俺に頼んできた。まだ生きる理由もたくさんの仲間も居る。なのにまだ過去に仲間を嵌め殺した敵をまだ野放しにしていたと。それだけで勝手な行動をし、仲間を心配かけさせた

 

それで見捨てろとは、これではアストレア・ファミリアの正義を汚しているとしか言いようがない。過去の仲間が見たらどんなことを言うか、まさかこんな所まで来てこんなことを言うとは呆れて、俺は怒ってしまった

 

ジュラ・ハルマーはもう死んだ。ここでもうリューが恨む敵はもう消えた。なのになぜそこまで命を落とそうとするのか、理解できない

 

それに

 

 

「言っておくが、今アーニャとルノアとクロエが、ヘファイストスの眷属である椿を連れて、ここまで来ているんだぞ?」

 

「な!?なぜ!?」

 

「なぜ?決まっている。お前を助けに行くためだ。お前の仲間は『アリーゼ・ローヴェル』『ゴジョウノ・輝夜』『ライラ』だけだと思ったか?」

 

「まさかシルが・・・そのような」

 

「これだけ仲間が居るのに、それでも命を落として、かつての仲間のところに行きたいか?天に逝けば会えるかなど、絶対とは言い切れないのにか?」

 

「・・・・・・わかりました。もう言わないでください。もうジークさんの説教は心に来ますから」

 

「それを言われる前に気付け。お前は本当に二年前から、皆から『ポンコツ』だと言われているが、俺はお前を『馬鹿者』だと言わせて貰う」

 

「懐かしいですね。あなたにまたそのようなことを言われるとは・・・・」

 

 

二年前も俺は彼女にそう言った

 

感情がしっかりある二年前は俺は彼女にそのような侮辱をした。本当に真面目すぎるが故に、少しだけ度が過ぎているような馬鹿をするから、俺はこいつを偶にそのようなことをしたら、容赦なくそのようなことを言った

 

それでも、俺にとっても彼女は大事で、知り合えてよかったと思う

 

だから彼女が見捨てて欲しいと言った時は許せなかった

 

かつて俺も命を捨ててでも守ろうとした。その時にもリューは必死に俺に命を大事にしてくれと言われた

 

俺にだけ命を大事にしておけと言っておきながら、自分は良いのだと、納得できるはずがないから、俺は彼女の言葉が不快で、俺はやっぱりこいつは馬鹿者だと思う

 

こいつはある意味、あれから変わらないのだと分かった

 

 

「足は治したから移動するぞ。今から51階層に向かう」

 

「51?どうして?」

 

「一度50階層で休み、それから俺は51階層で『カドモスの泉』で新しい魔法薬を作る。回復が無ければ流石にここからは帰れない」

 

「カドモスの泉?」

 

「ああ、アストレア・ファミリアは45階層までしか行ってなかったな、ガドモスと言う竜が居るんだが、その近くに泉がある。その泉の水は貴重なアイテムで、特に回復薬の素材に必要でディアンケヒト・ファミリアがよく上級派閥にそれを取って来るよう依頼して来る、俺も今それを取るべきだと考えている」

 

「じゃあ一度・・・・50階層に行くのですね?」

 

「上手く行ければな、走れるか?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「よし、ここはとても広い。次のモンスターが出て来る前に、ここを出るぞ」

 

「はい!」

 

 

ここまで来たからには仕方がないと。まずはアイテムの補給が必要になる。俺もリューも回復アイテムはない。いくら魔法や魔術でもそればかり頼ってはいつマインドダウンを起こしても不思議ではないため、やはりアイテムでなければここから上に帰れないと。二年前でフィン達とここまで来たからここの恐ろしさを知っている

 

だから、帰れるための補給は必要だと、アイテムが無いなら作るしかないと、まずはその素材集めを始める

 

モンスターが全て片付いた今ここで、モイトラの草原を走っていると、リューは話しかけて来る

 

 

「ところで・・・なぜ『アリーゼ』達のことをジークさんが知っているんです?しかも・・・私が殺してしまったことも?」

 

「眷属の名前はギルドの情報を見た。後は・・・・」

 

 

なぜ俺がリューの元仲間である眷属の名前。『アストレア・ファミリア』のことを知っているのかと言うと、当然15年前くらいのオラリオの経緯はギルドの情報に残っているためアストレア・ファミリアの情報は簡単に分かった

 

あとは

 

 

「一週間前に、新たなアストレア・ファミリアの拠点を見つけ、アストレアに会いに行って、詳しく話を聞いた」

 

「な!?アストレア様に会いに行ったのですか!?今そこに!?」

 

「ああ、直接俺が会いに行った。お前がここ最近、アスフィから情報を貰ってイヴィルス狩りをしていたのは知っている。それをしていると言うことは、まだお前が過去に囚われているのだと、詳しい話をアストレアに聞く必要があると、俺が直接、ヘスティアに時間を貰って、オラリオに出て聞いてきた」

 

 

ここから東に、ゾーリンゲンと言う都市がある、その近くにある森林地帯で新しい拠点で新しい眷属を作ったアストレアの新しいファミリアを、爺さんに頼んで探してもらった

 

あまりにリューの過去の囚われように、何か仲間を救えなかったような感じではなく、何か仲間にとんでもないことをしたのではないのかと、俺は気になって、本人に聞くしかないと、主神であるアストレアに聞いた。

 

本人が言うには、あの怪物を倒すために、仲間を犠牲にしなきゃいけないらしく、仲間が囮になっている間に、魔法で仲間を巻き添いにする覚悟で怪物に打ったらしく、しかし怪物は倒せず、仲間も無駄死に自分が殺してしまったと、それで罪滅ぼしで復讐しているのではないのかと、リューが仲間が死んでダンジョンから帰ったあの日に、そうリューから聞かされたと言っていた

 

もしも今でも過去の仲間のために復讐をしているなら、そうならと、アストレアは俺に頼みをしてきた

 

 

「アストレアから伝言を貰っている」

 

「アストレア様から・・・何を・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『もう過去を受け入れて生きなさい。それが今貴方に必要な正義です』と、お前の主神はそう言っていた、今のお前には必要な正しさだな」

 

 

 

「・・・・・・・・私は・・・」

 

 

アストレアからしっかりと伝言を貰い、今彼女にそれを伝える。

 

しかし、それでも彼女はなぜか罪悪感に囚われる。もう復讐対象も居ないと言うのに、もう新しい仲間も居て、ジュラ・ハルマーが死んだ。それでもまだ過去にこだわるなら

 

受け入れられないなら、あと一つだけ復讐できる

 

 

「ジュラ・ハルマーはもう死んだ。お前が手を汚すことなくな。だがもしもまだ過去から拭きれないなら、あの怪物を倒すしかない。過去から受け入れるには・・・」

 

「あの怪物・・・・『ジャガーノート』を」

 

「ジャガーノート?あのイレギュラーに名前があったのか?」

 

「はい、創神ウラノスの『メイジ』を知っていますよね?」

 

「メイジ・・・・フェルズか、あいつがあの怪物のことを知っているのか?」

 

「そうみたいです。神ウラノスからの提案で、私がファミリア殺しをギルドが見逃す代わりに、その怪物のことを秘密にしろと、ルドラ・ファミリアを滅ぼして、シルに拾われた数日後に、建物裏からそのメイジの声だけ聞こえて、そういう取引を持ち出されました」

 

 

あの怪物を倒すしかない。仲間を殺したのはそいつが原因だ。なら仲間を殺したあの怪物を殺さねば

 

 

リューが言うには名前があるらしく、『ジャガーノート』と言う破壊者と言う意味を込められた名前。ウラノスが付けたとフェルズが言っていたらしい

 

ウラノスはダンジョンでどこで何をしているかわかる。だから大方、リューの過去もダンジョンで何が起こったのかも知っている

 

 

フェルズが、シルに拾われてあの酒場の店員になってから数日後に、どこかの建物でフェルズが姿を見せることなく、声だけでリューにある提案を持ち出されたらしい

 

そのジャガーノートについてを口外しないこと、その代わりリューがファミリア殺しをしたことについて、ギルドは罪を追求しないこと

 

と言う取引をフェルズにされたらしい。なぜフェルズがそれを口外してはならないと言われたのか、もう二度と奴をダンジョンで出現させたくないため、あまりにも強力でそんなものがイヴィルスに利用されると困るためと、ウラノスの考えで内密にするよう言われる

 

その代わりルドラ・ファミリアで眷属を皆殺しについては罪を問わないと、指名手配には変わりないが、ギルドは捕縛しないと見逃すと取引した

 

俺もそのウラノスの考えには納得だ。通りでギルドの情報には無いモンスターだと思った。ギルドの情報でもイレギュラーに関しての記録はある。しかし、あまりにも強力なためにイヴィルスに利用されないために、口外しないようにする妥当である。そして今利用する馬鹿が現れた訳だしな、ジュラ・ハルマーと言う愚か者が

 

俺もなんとなくダンジョンの壁を深く掘ると危険だと、勘付いていたが、まさかあんな怪物が出るとはな

 

 

なるほど、経緯としては十分だ

 

 

しかし

 

 

「そのジャガーノートはまだ俺たちを追っている。奴は今俺とベルを殺すまで追いかけて探しているだろうな」

 

「っ!?ここに居るのですか?」

 

「それはわからん、気配を探す限りじゃあ・・・・ここら辺じゃないな、もっと上だな」

 

「まさか・・・私たちを探しているとは」

 

「そういう生き物なんだろう。倒すべきをしっかり倒し切るまでは消えない。それがジャガーノートなんだろう。怖いか?今からあの怪物を倒しに行くのが・・・・」

 

「それは・・・・はい、ジークさんはあれを見て恐ろしいとは思わないんですね?」

 

「シルが泣いたり怒ったりするより全然マシだ。恐怖よりも優先するのは、確実なる排除だ。俺も血眼になってあいつを探す程殺意しか湧かない。あれを恐ろしいと言うなら、黒竜を相手にする方が恐ろしくも感じるものでな」

 

「そうでしたね、もっと大きい敵を倒していましたね。・・・・でも羨ましいです」

 

「何がだ?」

 

「貴方は何も恐れずに敵を倒しに行く、私は今でも・・・あの怪物が怖いです」

 

「俺とベルが一緒でもか?」

 

「え?」

 

「俺はこの後、51階層で泉の水を手にし、回復アイテムを作ったら、急いでベルとリリルカを探しに上に戻る。あの二人もどこかで負傷しながらなんとか生き長らえているはずだ。二人と合流したら、あいつを探して再び倒しに行く。奴を野放しにするつもりはない。奴は何があっても確実に排除する。怖いなら戦わなくていい。だが奴を殺さないまま、地上に帰る気はない。あいつは危険だ。仕留めるまではダンジョンを出る気はない。奴と戦う時が来たら、ベルも戦うだろうな」

 

 

奴は何があっても排除する

 

今は上に戻るための補給集めのために、一旦51階層を目指すだけであって、体制と補給の整い次第とベルとリリルカと合流してから、再び奴を殺しに行くと、ジャガーノートを野放しにするつもりはない

 

あんな冒険者を一人残らず殺し尽くす怪物にして、いろんな対策や即死効果を持っている怪物など、放っておく方が危険だ。だからジャガーノートを殺すことが予定に決まっている。奴はそもそも俺とベルを追いかけて深層に潜り込んでいるのを、ここに来る前に目撃している

 

奴を野放しにした状態で地上に帰るなど、俺とベルを追って地上まで追いかけて来るかもしれない。そうなったら地上で生きている人たちが容赦なく殺される

 

そうなる前に、ダンジョン内で確実に殺す

 

どうあってもジャガーノートは危険分子として、逃げるわけにも行かず、確実に討伐すると予定に入れている

 

 

「だから・・・お前はどうする?」

 

「私は・・・・・・」

 

「怖いなら戦わなくていい。俺は戦う。ベルも戦うと思うぞ。あいつはこれからも強大な敵を前にしても揺るがないからな。無理して戦う必要はない。それで過去から受け入れることができるなら」

 

「・・・・もし私が戦ったとして、殺されそうになったら助けてくれますか?」

 

「当然だ。何を当然なことを聞いて来る?ここまでお前を助けて、アーニャやクロエやルノアもこれからここに来ると言うのに、まさかとは思うが自身のことを無価値だと思っているのか?」

 

「私は・・・・・いろんな人を見捨ててしまった。そんな私に価値など・・・」

 

 

 

「随分な矛盾を言うのだな?俺も何度も命を二回も削っておいて、それでも俺に生きて欲しいと言ってきた。お前の言葉とは思えんな」

 

「それは・・・・・」

 

「こういう時は価値で決めるな。頼ってくれる仲間がいるなら頼っていんんだ。それでも命を張ると言っているんだぞ?なら躊躇うことはないだろう。それにお前の仲間が囮になって、お前に魔法を打てと仲間に言われたなら、それは『お前に託すと言う、仲間の想い』だぞ」

 

「っ!?」

 

「これはアストレアもわかっていた。お前は知らないだろうから、これを話しておく」

 

 

 

俺はアストレアから、当時仲間が全員殺され、リュー一人が帰ってきた時、アストレアはものすごく体を震えていたと、聞いた

 

アストレアは女神でリューの嘘などお見通し、ダンジョンでルドラ・ファミリアに嵌められて、ジャガーノートを出現されて、仲間はその怪物にほとんどやられ、幹部と副団長と団長の三人が、リューを守るために囮になって、その間にジャガーノートに魔法を打って倒せと、アストレアはリューがダンジョンでそのようなことがあったのだと、経緯を神威で読み取ったとアストレアは言っていた

 

結果

 

 

 

怪物は倒せず、ただ仲間を魔法で殺してしまうだけだった

 

 

 

そんな虚しい結果を迎えてしまい。自分以外は全滅していまい。その後は、どこかでただ怪物は自動的に消滅したらしく、ルドラ・ファミリアは何人か失って、リューだけが生き残ると言う最悪な結末となったと

 

アストレアは、ただ当時のリューを見てそのような悲惨な冒険の結末だったと、リューが詳しく言わなくても、アリーゼ達がどうなったか女神であり主神であるアストレアは、悲しき過去を背負ってしまったとリューの悲しさを共感する。

 

本人としても許せないと、アリーゼ達をハメ殺されたことに関しては恨みがあると言っていた。アストレアも当時はルドラに復讐してやりたいと、しかし、そうなるともう正義とは言えない。もはや私怨であると、正義の女神である彼女は復讐する勇気はない。その代わりにリューに、『もう正義を捨てなさい』と、リューは恨みを捨てることのできそうにない彼女を見て少しでも楽にさせるために、その言葉を言ったと言っていた

 

その後、アストレアはリューの言う通り、何も言わずにここオラリオを出て行った。オラリオにはもう戻れないと言っていた

 

『アリーゼ達と過ごした楽しい日々を思い出してしまう』と、『心の中で思い出にしたい』と、アストレアがオラリオに戻ることはもうしないと、本人は言っていた

 

 

そして、ルドラ・ファミリアに復讐してもいいから

 

 

 

『お願いだから、今を噛み締めて、アリーゼ達の分も含めて生きて欲しい』と

 

 

 

そのために当時正義を捨てろと、当時のリューに言ったのだと、そういう意味があると言っていた

 

少なくとも、アストレアはリューがアリーゼ達を殺してしまったわけでも、見捨てたわけでもない

 

 

託されたのだと、アリーゼ達の最後の想いを託されて魔法を打ったのだと

 

 

決してリューを見限ったわけでも破門したわけではないと、今も必死で生きて欲しいと願っていると

 

 

アストレアが話していたことを全て話した

 

 

「アストレア様がそのようなことを・・・・」

 

「だから当時のお前に『正義を捨てなさい』と言ったらしい、今お前はアリーゼ達の想いもアストレアの想いまで捨てて、死を迎えようとしている。全くもって美しくない終わりだ。託された者達の想いを心に残さずに死ぬとは、いつからお前は正義を掲げるのをやめた?ルドラの眷属を殺してからか?あの怪物に恐ろしくなってからか?どっちだ?」

 

「怪物に・・・恐ろしく思っています。それに・・・・・私はアリーゼ達の所に逝きたかった。そうすればもう一人ではないと・・・」

 

「俺やシルが居るのに、アーニャやルノアやクロエやミアも居るというのに、どこが一人なんだ?お前の全てはアストレアとアリーゼ達だけか?」

 

「・・・・・・」

 

「お前の復讐も間違いじゃない。俺だって話を聞く限り、俺も許し難い。俺なら堂々やる。そんな奴らは殺しで正当化させるまでだ。俺は正義を掲げる気はない。だが、仲間のためにと言う正義は成り立つ。俺はいつも最善を尽くして戦う。この世に完全な正義など存在しない。俺は兄上の想いで、ファフニールに復讐した。だからお前の気持ちも俺はわかる」

 

「ジークさんが・・・フレイ様の」

 

「心の感情がほとんど殺されている俺でも、兄上の想いは消えない。俺はもう死ぬことはできない。いろんな人や家族や仲間の想いで俺は生きている。命を賭ける時はあるが、その時は大切なことのためだけで良い。だから俺は友人であるお前のためでも命を張れるぞ?」

 

「どうして・・・そんなに私のことを・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「決まっている。お前は俺にとってここオラリオで『初めてできた。友人』だからだ。見捨てるなど、絶対にしない」

 

 

「っ!?・・・・・・・」

 

 

ああ、忘れもしない

 

シルの次に彼女と友人になれたことを、その次がペルセフォネだ。二年前はあり得ないくらいクソガキで、ファミリア内でも気軽に喋れるのはラウルかティオナかレフィーヤかアイズくらいだった。

 

シルはとても話しやすかった。その次に俺の心を許せる相手がリューだった。リューを物凄く気に入っていたんだ。正しく生きようとするこいつが、美しくて真っ直ぐしかできない馬鹿だけど、俺はこいつが本当は正義の味方と言えるくらい良い友人だって、こいつの凄さを言える

 

でも、今は過去やジャガーノートのせいで、正義を抱くことができない

 

なら、俺が彼女が正義を名乗れるだけのことをすると

 

 

 

 

 

リューのためなら、自身の命だって賭けると平気で答える

 

 

 

だが、それでも納得できないなら

 

 

 

「それでも信用できないなら、ここで見ておけ、この先は俺がお前を守る証を見せてやる」

 

 

「え?何を?」

 

 

突然、俺はリューに命を賭けられるかどうか、証明できるかどうかの証を、俺は勝手ながら見せるために、俺はグラムとリジルを取り出す

 

リューはモンスターが出てきたのだと、思って全体を見渡すが、フォモールは一匹も居ない

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それより、もっと危険な怪物が現れる

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

「な、なんです!?この揺れは!?」

 

「決まっているだろう?ここは49階層だ。そしてこの揺れは新たに『巨大な怪物』を出現させる合図、と言えばわかる・・・・」

 

「巨大な怪物・・・・・・っ!?まさか!?」

 

 

突然地面が揺れ出す。ダンジョンでそんなことが起こるのはただ一つ。それだけを聞いて、リューはこれから何が出るのか、どうして俺が武器を二つ出して、前を振り返るのか

 

それはただ一つ

 

 

怪物が出て来るから

 

 

しかし、『ただの怪物』ではない。ここは49階層、ここで巨大な怪物と言ったら、何が出ると思うだろう。冒険者の誰もが聞けば絶対に答えられる

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

 

 

「階層主!?バロール!?」

 

「やっぱり出てきたか、期間としてはまだ先なんだがな、カサンドラの予言は間違いじゃなかったな」

 

「まだ先!?じゃあどうして出て来るんです!?」

 

「決まっているイレギュラーだ。ダンジョンが殺しに掛かっているんだろう。『階層を破壊する敵を排除しよう』と」

 

 

突然俺とリューの前にある地面から

 

 

第四の階層主である『バロール』が出現した

 

 

巨人と変わりないサイズ、翼のない陸竜系の巨大な白い竜の形をした一つ目のモンスター。これは間違いなく、49階層主バロールで間違いない。フォモールのボスみたいなモンスターで、一つ目の魔眼から、ブレスとは違う光閃を放つ

 

二年前は、カオス・ヘルツでも死に掛けた、昔の俺でもレアスキルでも殺すことができなかった敵。その時はロキ・ファミリア総員で戦って時間をかなり賭けてやっと倒せるレベル、あいつらが『全員居て倒せる』と勝てない強大な怪物。今度は勝てるかどうか、まあ当然俺次第である

 

カサンドラの言うことは正しく、バロールがインターバルでまだ出てこない時期だが、それでも出て来るなら当然のイレギュラーである。ここで俺はリューを守るために一人で戦う。こいつを倒さないと、先に進めないしな

 

 

「ジークさん!逃げましょう!」

 

「無理だ。もう逃げられない」

 

「え?」

 

 

『ガアアアアア!!』

 

 

「ふ!」

 

「うわあ!?」

 

 

ドカアアアアアアアアアン!!!

 

 

「れ、連絡路が!?」

 

「これで閉じ込めれた。相変わらずあいつの光閃は長いな、あんな後方範囲まで狙えるとは、あいつの光閃はあんな遠くまで打てるとは流石だ」

 

 

階層主のモンスターは必ず獲物を逃さないために、退路を塞いでから戦うのは、もはや階層ぬしと戦う上で基本

 

奴の眼から放たれる魔眼の光閃が。後方の遥か遠くにあった48階層の連絡路の入り口を壊した。決して俺たちを狙ったわけではなく、逃げられないよう出口を塞いだだけである。もちろん前はバロールが立ち塞がり、もうここで戦うしかない

 

まあ、俺は逃げるつもりもないがな

 

 

「ジークさん!」

 

「お前はここで見ていろ」

 

「まさかお一人で!?」

 

「言っておくが、レベル4じゃあ足手まといにしかならない。黙って見ておけ、俺は死ぬつもりはない。こいつを倒して、俺はお前と一緒に帰る」

 

「ジークさん・・・・・」

 

 

 

「さて、俺の運命はどうなるか・・・・」

 

 

 

 

これは俺の試練でもある

 

リューを守り切れるかどうかだ、本当に強大な敵を目の前にしても、その言葉が証明できるか、当然俺次第だが、簡単ではないこんな敵は、他のフォモール達が出てこないだけマシだがな

 

レベル6でなきゃ奴は倒せない。リューのレベルでは到底太刀打ちできない。だから俺一人でやるしかない

 

 

二年前カオス・ヘルツでも倒しきれなかったこの敵を、どう倒すのか

 

 

 

 

 

俺の限界を賭けて勝負に挑む

 

 

 

 

 

 

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