「ふ!は!・・・・ぬ!はああああ!」
『ガアアアアアアアア!!』
俺は単独で全力全開で、バロールに立ち向かう
奴は竜種でもあるから、俺の竜対抗のスキルであるドラゴンスレイヤーが自動的に発動をした。これで奴に対抗できるステイタスになる。俺は竜の天敵でもある。竜は俺にとって好敵手。例えバロールでも竜であるなら対抗手段はある
二年前はカオス・ヘルツでも倒しきれなかった。今もそんな感じだ。まだバロールを追い込んでいる感じもない。お互い交戦を続ける限りじゃあまだ並行戦だ
いつまでも、戦いを継続はできない
理由は
「ジークさん・・・私は何もできないのか・・」
後方でリューを守る結界である。スヴェルヘイムがどこまで守れるかわからないからだ。奴の光閃は予想以上に破壊力があり過ぎる、少し当たるだけででも体が焼き尽くされる。骨も残らずに、出なかければダンジョンの壁を簡単に壊されるはずがない。スヴェルヘイムの盾の結界もそこまで持ち堪えるとは思えない
そんな中で守られているリューは、何かできないかと、俺にレベル4では足手まといと言われて、本当に何もできないのかと、リューはあの時のように何もできないのかと、あのジャガーノートに仲間が殺されるあの瞬間のようだと、自分の弱さをここで、またも体現されてしまう
そんなことを言っても、現状としては何も変わらない。バロールはフィンやリヴェリアやガレスもでも手こずる敵、苦戦は何があって当然の強敵
そんな相手に一人で挑むとなると
やっぱり、こいつを単独で相手していた『オッタル』と張り合っているみたいで、やっぱり好きではない
しかし、ここに敵と現れた。なら戦う以外の選択肢などない。敵で出てきたのなら倒すしかない
もう逃げ場もないのだからな
「はあああ!は!!」
『ガアアアアアアアア!?』
奴の背中を周り、奴の背中にグラムを刺すが、やはり深入りはできそうにはなく、まだ魔石にも届かない。奴の魔石の位置は、奴の背中を触る限り
胸部、つまりは心臓の位置
バロールは大昔にも現れたと言う伝承はいくつもある。これが大昔にも存在した『古代の怪物』か、単独で挑むだけでより奴の強大差がわかる。二年前はそれが当たり前だと、怒りに任せてしっかりこいつの強さを認識していなかった。だからあえて思う
これが上級冒険者が乗り越える壁が
大きいな
でも
俺にとっては、『ファフニールより小さい』
「うおおおおおおおおお!!」
『ガアアアアアアアアア!!』
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
俺が自身の雷を纏い、奴の光閃に迎え撃つ。相変わらず破壊の増す光、俺の雷光と良い勝負。相手が竜だから負けずに居られないのか、生まれた時から大好きな好敵手だったからなのか、竜だからが恨みがあるわけではない。しかし、こいつと言う竜は、俺の強さを確かめている。俺の全力に答えている。戦いを楽しんでいるのか、俺は楽しむ感情はないが
俺はこの竜を倒すために、ここに来たのか、奴を倒すために、カサンドラの予言がここを俺の試練と伝えたのか。単眼の王と言う竜を
いや
「単眼竜は・・・・滅ぶのが運命!!」
そうだ。俺の宿命だったんだ。試練ではない。『俺が竜を殺さねばならない』。俺の宿命だ。奴を倒すのが竜殺しである俺の使命だったんだ
リュー女一人も守れるかと、俺の使命だ
「うおおおおおおおおお!!」
『ガアアアアアアアアアアアアア!!!』
この高揚感はバロールも同じ。先ほどから戦う度にどんどん気力が上がり、奴は俺と戦うことに喜びを見せている。バロールにも生き物としての感情があるようだ。眼が一つしかないがそれを見ただけで、そこに殺意・・・・・否・・・・・喜びの眼をしていた
だからなのか
『ガアアアアアアアアアアアア!!!』
「っ!乱射か!・・・・・まずい!」
突然、奴が自身の本気に俺が付いていけると思ったのか、単独で挑んでいる俺に、もっと確実に砲撃が直撃するように、奴の光閃が雨のように散弾に変わった
だが、それを打たれたら、スヴェルヘイムの結界は破れる
と、思って俺は
光速でリューの元に戻る
『ガアアアアアアアア!!!』
ビュン!ビュン!!ビュン!!!
バロールの眼から数多くの光線の乱射が降り注ぐ。雨のように奴の光弾が降り注ぐ
結界はもう
バリン!!!
「な!?」
流石のレベル六の結界も簡単に壊されてしまった。流石は第四の階層主。レベル六の力でも奴は破壊できてしまう
なら
「ぐう!?がは!!」
「ジークさん!?」
奴の光弾をグラムでいくつか弾き返すが、その弾きれない数もあり、直撃してしまい、簡単に風穴が俺の体に開けられた
「はあ・・・・・やはり奴の閃光はブレスより強力。簡単に人の装備や骨まで焼き尽くして貫通とはな」
「ジークさん!?その体では・・・」
「問題ない。もう『限界』なんでな」
「え?」
確かに俺は奴の閃光に、装備も骨も関係なく体にいくつか貫通された。そこから大量の血が噴き出す。これではもうまともに戦えないと、リューは俺の重症を見て、もう限界だと見切ったが
もう俺は『人では無くなる』。その理由は
「ぐう・・・ぬうう!!」
「な!?風穴から黒い皮膚が生えた!?まさか・・・黒竜化!?」
「もう人間の体は意地できないんでな」
俺の体はもう限界、人体の穴から骨と白い皮膚で再生する。その黒い皮膚はファーブニルの皮膚。無論これは勝手な再生である。死にたくても、怪物として生まれ変わる
もう人間として生き残れぬ。俺はもうファーブニルとして生きている
今更、怪物になるなど、恐れる事無し
「さて戦闘を続行だ、リューを狙うとは、お前・・・・そんなに怖いか?俺が?」
『グウウウウウウウウウウ!!!』
「俺の体に穴を開けたことは見事、しかし随分と今の力で消耗をしているな。そういうのは最後まで取っておくべきだ。今ではない」
「ジークさん。やめてください!これ以上戦ったら、あなたが・・・・」
「それがどうした?死ぬよりはマシだ。怪物になっても生きていれば十分だ。何を躊躇う?」
「シルが・・・シルが見たら悲しみますよ!そんな姿を見たら・・・彼女は」
「約束は確かに破った。でもお前を助けるためなら、俺は厭わない」
「それでも私は嫌です・・・そんなジークさんを見たくない!!」
「やれやれ、敵を前にしてそんなワガママを吐くとは」
バロールは力の使い過ぎで消耗し、力を溜めるために体は動かさずに眼に集中するように力を流しているため、しばらく奴は何もできない
本来なら、この気を逃さずにここで動けない奴を仕留めるのだが、少しは時間はありそうだと、戦闘を一度止め。グラムを地をに刺して、リジルをパンドラボックスに一度しまう。リューと向き合う
何をそこまでお前が躊躇うのか
「なぜだ?何が言いたい?お前はいつもそうだが、肝心なことを言ってくれないから、いつも何が言いたいのかわからない。自分を蔑ろにしたお前が、なぜ俺は駄目だ?まだ価値や資格などで、まだ自分を蔑むか!」
「違います!そうじゃないんです!その姿を見たシルがどんな辛い思いをするか・・・」
「シルはもうわかっている。こうなると、何度も俺は彼女の言うことを聞かないからな、何かのためなら約束を破ると『彼女はわかっている』。だから彼女は悲しむことはない。最善なのは生き残ること、これさえ守れば彼女は喜んでくれる。そう、お前もな」
「・・・・・違うんです。シルだけじゃない!いろんな人たちも!そんな姿をしたあなたなんて見たくない!だからもうそれ以上戦っては・・・」
「戦わなくては死ぬ。もう逃げ場はない。なら生き残るなら戦う他ない。生きるなら戦うしかないと、ファーブニルになっても俺は戦う。俺が怪物の姿になっただけであいつらが辛い顔をするものか!!あいつらはそれでも俺の仲間だ。だから怪物になることを躊躇わない。いつか、こうなるんだ。いつ来る侵食を早めに受け入れた。それだけの話で、何をお前は躊躇う?」
「私は・・・・・・・」
もうここまで来ておいて、なぜそんなことを言うのか、俺には理解できない。いつもこいつは素直なことやハッキリ言ってくれないから、いつも何が言いたいのかわからない
もう俺が怪物の侵食になること、みんなわかっていること
もう限界だって本当は知っていた。ヘスティアも、ベルも、リリルカも、ヴェルフも、命も、春姫も、ウンディーネや、ノームや、エイナや、ペルセフォネや、シルだって
みんなもうわかっていることだ。みんな俺がいつか怪物になるとわかっていた。
なのに、いつか来る怪物になることの未来を、なぜリューは否定する。そんなに俺が怪物になるのが怖いのか、何をそんなに躊躇うのか
教えて欲しい
その理由を
それは
「私が見たくない!これ以上!私のために人間でなくなる貴方を・・・・・『大好きな貴方』のそんな姿を見たくない!!!」
「・・・・・・そうか、それがお前の答えか」
やっと、彼女の本心が聞けた
初めてだ。彼女の心で叫んだ言葉を聞かされたのは、何を今まで何を諦めて自身の言葉を抑えていたのか、俺にやっと彼女の言葉が聞けた
「やっとお前の本心が聞けた。それまですごく時間が掛かったものだ」
「・・・私は・・・貴方にそこまでして欲しくないんです。あの時みたいに、アリーゼみたいに死んでしまうのではないのかと・・・」
「なるほど、理由はわかった。大好きな貴方か・・・・ま、前々からお前が俺に好意を抱いているのは知っていたけどな」
「な!?気付いていたのですか!?」
「なんとなくな。無論俺からそんなことを言うつもりは無い。そういうのは自分から言うものだしな」
「やっぱりジークさんは、二年前から卑怯です。私に意地悪です」
「そうかもな、それだけ・・・俺はお前を気に入っているんだ、こんな俺だが、愛嬌だと思ってくれ」
こんなに二人だけで、楽しく会話できたのも久しぶり、二年前のような会話ができた。そう、こんな感じだ。俺と彼女はこんな感じだ。俺が少しリューを弄んでしまい、彼女が怒りながら恥ずかしくなる
彼女の気持ち、ここに届いた
だから
「リュー。それでも俺はこのファーブニルを解放をさせて貰う」
「なぜ!?」
「俺には『封印を解かねばならない者が』、俺の中に居る。それを解放をせねば。奴を倒せそうにない。そのために侵食を受け入れる」
「封印?何を言って・・・」
「いずれわかる。それとも怪物になった俺を。お前は軽蔑するか?蔑むか?」
「・・・・・・・いいえ!貴方は私の大事な人!貴方が怪物になっても!私の大切な人です!」
「そうか、なら安心だ。今ここに『勝利の風』は吹いた!!」
ああ、彼女にここまで本心を言われると、もう怪物になる恐れも躊躇いも無くなった
もうこれでやっとファーブニルの侵食を完全に受け入れる。と言うより、もうここで解放をしないと、バロールに勝てそうに無い。流石は第四の階層主。レベル6の単独じゃあまともに勝てない。正直情けない話、レアスキルでも発動するしかないが、それを発動できる条件は今はない。つまりは奴と並行戦をするくらいしかできない。
俺の実力不足。流石はバロールってとこか
もう俺の中に居る『あいつを解放をする』しかない。だがファフニールの力が邪魔で『召喚』できない。ファフニールの力で封印されているのか、奴を召喚できない。俺がファフニールの侵食を受け入れるしかない。そしてファーブニルになるしかない。ヴィーブルになるかもしれないが、奴を召喚すれば、あの『レアスキルとあの力』が使える
こいつを召喚したら
『アイズが喜ぶだろうな』
「さあ、行くぞ!!ああああああああああああああああああ!!」
「ジークさん!!」
俺は全身に力を込める
その瞬間、全身の肌色が一瞬にして真っ白くなり、皮膚と言うより、小さい竜鱗に体が変わる。そして両腕は奴の腕に変わり、手の上が黒い鱗が生える。爪も鋭くなり、両眼は完全に蒼い竜眼に変わり、青色の髪が、黒髪に変色する。命と同じ髪色に
それだけでなく、背中の右片方だけ黒い竜の翼が生え。頭の右側だけからファフニールの角が生える。完全に姿をしてはヴィーブルだった
その勢いで
「今だ!来い!」
「ジークさん!?何を!?」
ほとんど、ファフニールの力は俺の体の侵食に集中しているため、今ならその中に封印している奴を召喚できると、俺は胸に手を当てて、俺の魂の中に居る『あいつ』を取り出す
「ヘル、お前の力を使う、見つけた!!!」
俺の魂から『別の魂』を取り出すのに、叔母の力を借りないと上手く取れないため、俺はヘルの力を使って取り出す。亡霊の女神だから『死者の魂』だって引き出せることだって可能。そして見事に俺は右手に
「よし!取れた!」
「なんですか!?その緑色の小さな光は!?」
そうして俺の胸から取り出したのは、『小さい緑色の光』。こいつを手に入れるのにファフニールの力を受け入れなくて取れないなど、こいつまで封印するとは、流石は黒竜ファフニールだと思った
そして、この小さい光は
「これは『精霊の魂』だ。ファフニールが食べた精霊のな!」
「精霊!?これが!?」
まだ原形ができていないが、これは間違いなく
精霊の魂だ。それも四大精霊の
やっとこれで『四人目』。ファフニールが過去に捕食して、腹の中で封印された精霊。もちろん体はもう消滅したため、魂しか残っておらず、その状態がこれである。俺は精霊召喚師であるため、精霊の魂を掴むことなど、基本である。そしてこいつを召喚できれば、俺は統べることができる
こいつを召喚するにはもちろん『対価が必要』になる。こいつはもう魂だけで、体は奴に食われて消滅している、ならこうだと、
召喚を始める
「精霊情報確認!我が魔力で体形を構築!精霊魔力回路生成!魔力結成完了!魂の感覚を構成!精霊召喚魔術陣形成!!精霊よ!我が呼び声に答えよ!精霊召喚!!!」
「っ!!風?・・・いや『嵐』!?」
『グウウウウウ!?』
俺は精霊に召喚に必要な代価を魔力で補う。こいつはもう体を失っている精霊。それを俺の魔力で作り、この精霊が俺の僕として動けるよう、この現世に生きれるための体を作り上げる
その瞬間、その精霊の魂の光から、魔法陣が展開した
それと同時に
俺とリューを包む嵐の竜巻が発生する。その竜巻の強さにバロールは近づけない
それが起こると言うことは、やはりあの『童話』が本物だと、爺さんとおふくろに聞いていたことが本当だと実感する
嵐を起こしているのは、俺ではなく『この精霊』と言うことは、
風の精霊である
それもただの風の精霊ではない。こいつの名前を『俺やアイズが知っている』。この精霊の名前は
「来い!風の大精霊!!『アリア』!!!」
「っ!?アリア!?」
ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!
俺はその精霊の魂を上に投げた。その瞬間、光がどんどん人の形に整形していく。間違いなくこいつは
『ファフニールの片目を落としたアルバートの妻』にして
『アイズの母親』
名前は
風の大精霊アリア。それがこの精霊の名前だ
そして姿を現す。金色のブロンドの長い髪に、白いドレスを着た、青い瞳の女性。これがかつて夫と共にファフニールに食われた。最後の風の大精霊、見事にファフニールの封印から解き放ち、彼女を召喚できた
そして彼女は体は構築され、ゆっくりと地面に落ちていく、彼女が地面に着地する前に、俺が彼女を抱き寄せる
「おい、起きろアリア」
「ん・・・・・あれ?ここどこ?ん?もしかして・・・・『シグ君』!?」
「し・・・シグ君?」
「おそらく『俺の先祖の名前』だ。その様子だと、俺の先祖の名前を言うのなら、自分が誰なのかわかっているようだな、魂の感覚は問題なしか」
「あれ?シグ君にしては・・・・なんかモンスターの翼も生えているし・・・少し小さいような・・・」
「ここは千年後の世界。そして俺はそのシグと言う男の子孫だ」
「ってことは・・・・シグ君の子孫!?千年経っているのに!?まだ生き残りが居たの!?」
「俺の一族を知っているか、俺の名前はジーク・フリード。簡単に説明しよう」
アリアは千年もファフニールの中で生きていた。体は消滅しても魂は生き残る。それが精霊だ。魂が残っていれば、いつでも復活できる、誰かの契約すれば
俺は彼女の体を形成をするために魔力を供給した。そしてアリアは俺の僕になるのと同時に、力を俺に貸さないとならない。そういう契約をして召喚に成功した
そして簡単にここが何処かなのか、俺が誰で、リューが誰なのか説明する
今は遠征中で、ここは49階層で、今は階層主バロールと戦っている最中だと、ここは十数年後の世界だと、今はバロールと交戦中だと、簡単に説明する、あとの説明はこれを終わってからだ
「なるほどね。ここが千年後の未来、私は生きてしまったのね・・そして・・・またここに・・ダンジョンに・・・居るなんて・・」
「そういうことだ。あんたの夫であるアルバートはもう居ない。そして復讐は俺がさせて貰った。だからもう居ないぞ黒竜ファフニールは」
なぜアリアの魂が、俺の体の中に居たかと言うと、ファフニールに食われたアリアの魂は、心臓に流れたのだと思う。そして奴を倒し、心臓を食べた時、それと同時にアリアの魂も俺は食べてしまった。そしての体の中で封印されていた。解き放つにしてもファフニールの力が邪魔で召喚できなかった
ちなみにウンディーネもノームもサラマンダーも、俺の中にアリアが居ることは、同じ大精霊として知っていた。この日のために。彼女を召喚できる方法を模索したが、やはり俺がファフニールの侵食を受け入れなければ、彼女の封印が解けないと思い、俺は何度もしようとしたが、ヘスティアにも反対をされてしまった
だが、もう俺は躊躇うことはない
もうどうしようもないくらいの侵食具合だからな、ここまでになったらもう受け入れるしかないと、自身で引き出して、彼女を呼び寄せた
ってところだな
「ありがとう。あの竜を倒してくれて・・その代わりに・・・そんな姿になっちゃったみたいだけど・・・」
「なら、お礼は俺の力になって貰う。大精霊だから、今俺の魔力繋がりは見えているな?」
「うん、懐かしい、バロールをまた見るなんて・・・バロールを倒すんだね。ここまで来たんだ。シグ君の子孫は・・・」
「あんまり一族の名前を出さないでくれ、ここじゃあ有名過ぎる。俺のことはしっかりジークと呼んでくれ。君付けでも構わんから」
「そうだったわね。それじゃあ私も・・・」
「いや、あんたはここでリューを守ってくれ」
「え?でも・・・・」
「あんたを従わせたことで、俺は火水土風の全てを統べた。ってことだ」
「まさか・・・・ジーク君って精霊召喚師?」
「ああ、ここからは俺一人でやる。あんたの力、俺が貰い受ける」
「なるほどね。わかった。この子のことは任せて、私の力を存分に使って」
「今度こそ決着を付ける・・・」
「ジークさん・・・・」
「大丈夫だ、俺を信じてくれ。いいな?」
「っ・・・・・はい!必ず倒して帰ってきてください!」
「もちろんだ」
アリアにリューの守りを頼む。アリアの嵐ならバロールの閃光は問題なく防げる。俺だけこの竜巻の外に出る。奴を倒しに単独で挑む
もう俺は元素を物にした
つまりは新しい力、そして侵食を受け入れたことで、俺の体はもうファフニールと同じ、だからさっきよりも力は付いた
これでバロールを倒すための条件は揃った
そして俺は、竜巻の外に出て、再びバロールの前に出る
「待たせたな、戦闘続行と行こうか」
『グウウウウウウ!!??』
「どうした?ああ、この姿か?気にするな、お前と同じになっただけだ。手加減はしないぞ?オッタルのように撃退では済まさんからな」
『ガアアアアアア!!!』
「本気を出したか、なら・・・・こちらも全力で『新レアスキル』を使うまでだ!」
これはウンディーネとノームとサラマンダーが教えてくれた精霊召喚師にしか使えない精霊術。これでアリアも召喚できたことで、彼女の体を構築した代価として、俺にはアリアの力を使える
火の大精霊サラマンダー、水の大精霊ウンディーネ、土の大精霊ノーム・ヘッド、そして風の大精霊アリア。
この四大精霊の召喚ができ、この精霊達の力を俺が自由に扱うことができる精霊術を俺は習得した。これで俺は火水土風の元素を統べる
その結果、レアスキルに反映した
その名前は
「行くぞ、『エレメンタル・ゼーレ』!!!」
俺の新しいレアスキル。『エレメンタル・ゼーレ』
四大精霊の力である元素を操ることができる。つまりはウンディーネとノームとサラマンダーとアリアの力を使い放題、もちろんリスクがあり、魔力の消費が激しく。魔力の容量がかなり必要な大きいレアスキル。つまりはマインドダウンしやすくなる
しかし、俺は今ファーブニルになった怪物だ
魔力量なら、かなりある。もう俺は人間の体では絶対に得られない魔力量を手に入れたため、怪物の体で得た力を魔力に変えて、このレアスキルを使用する
それを発動させた、同時刻
ヘスティア・ファミリアホームに居る。ウンディーネとノームとサラマンダーが
「「「っ!?」」」
「ん?どうかしたの?三人とも?」
「声が・・・」
「自身の声で出せる・・・・」
「今まで主様の魔力を借りて声を出せたのに、これは・・・まさか・・・」
「どうかしたの?」
「いいえ、実は我々四大精霊は『体の無い魂だけ』の存在ですので、声を主の魔力を貰って喋っていたのですが・・・・自身の声で出せるようになりました。それだけじゃありません、ダンジョンの方で主の力が感じます」
「・・・・・・まさか」
「はい。主様はやってのけたようです」
「そうなんだ・・・・ジーク君。『四大精霊の召喚師』になれたんだ」
ウンディーネとノームとサラマンダーは俺の魔力を借りて実体化していた。つまりはアリアと同じ存在、精霊とは魂そのものの体。実体化しているには俺の魔力を借りて、グリフォンとグラニは違うが、四大精霊は精霊の中でも一番最上級精霊、元々魂で霊体化の存在、それを俺の魔力で実現し、人の耳に聞こえるよう喋ることもできるようになったのも、俺の魔力で補っていた
しかし
それが俺の魔力無しでも実体化し、自身の声で喋るようになった
むしろ俺の魔力が塊になったことで、体の実体化を完全に果たす。一々俺が魔力を行うことなく、まるでそれすらも自然にできるようになった。そんな四大精霊を自由にできるようなことができるのは、それを統べる者だけ
それだけでなく。ノームとウンディーネとサラマンダーは今ここでヘスティア・ファミリアホームに居るが、異様にダンジョンで俺の力を感じる
まさかとは思うが、本当に四大精霊の力を物にするようなレアスキルを発動させ、四大精霊の召喚師として、四大精霊を統べたとヘスティアは三人の言葉を聞いて、更に俺が強くなったと感じた
そして
上手く『アリアを召喚』させたことも
俺の周りに、炎の魔法陣や水の魔法陣や土の魔法陣や風の魔法陣が出現する、その魔法陣が小さくなり、俺の胸の中に入り込むと、俺は赤青緑茶色といった色のオーラを纏う
これで、俺はウンディーネとノームとサラマンダーとアリアと同じく、これで元素を操れる
『ガア!?』
「意外だな、奴が俺に恐るとは、まあ人間でありながら精霊や怪物の力を持っていたら、恐れもするだろう。さあ、反撃だ!」
『ガアアアアアア!!』
「ふ!」
俺は地に指していたグラムを再び手に取り、奴の閃光を受け止めても、奴を斬り出そうと、いきなり特攻を掛ける
もう俺に奴の光閃は効かない。なぜなら
「風よ!!」
ビュウウウウ!!!
『ガアア!?』
「ほう、やはり『アイズのエアリアル』は悪くないな、だが俺の場合は風ではなく『嵐』だがな」
奴の光閃が容赦無く降り注いでくるが、アリアの風で自身の体を包むように、奴の閃光を風邪で防いだ。これがアイズが普段使うエアリアルだと思うと、やっぱりあいつの魔法は便利だと思った
今度はこっちが迎撃をする。左手に炎を出して、炎の波を起こす
「炎よ!燃え上がれ!!!」
『ガアアアアアアアア!?!?』
「流石はサラマンダーの炎だ。最大火力のムスペルスヘイムにも負けていない、良い炎破だ」
バロールの鱗までも完全に焼き尽くし剥がれていく。しかもかなりの距離だ。ほぼこの階層の地面を燃やし尽くした
ここまでの火力とは、予想以上に強く、サラマンダーの火は火山を簡単に噴火させられる火力を持つとは聞くが、まさかバロールの鱗を燃やし尽くして剥ぎ落とすとは、小さい頃からずっと一緒に居たあいつが、ここまでの強さを持っているとは、身近に居た俺でも思わなかった
更に
「足場を崩して。身動きを止める。土よ!」
ドガガガガガガガガガガガガガガ!!!
『ガアアアアアアアア!?』
そうして、俺は地面に左手を当てると、魔法陣が展開し、そこから一気に全体に地割れが発生する。
マグニチュード7.5位いったか?それくらい地面が簡単に崩壊した。ノームは土や岩や砂を操れると聞いたが、まさかここまでとは・・・岩も操れるなら、ここ全体の地面の岩も操れるはずだと
「岩よ!奴を挟め!」
いくつか大岩を浮かせて、バロールの身動きを封じるために、大岩で奴の体を浮かせて挟む。
『グガアアアアアア!?』
「良い力だ。あのバロールの身動きを封じることができる時が来るとはな」
バロールの体系と並ぶ大きさのある大岩は、バロールに引き寄せられるように、周囲に岩に挟まれる。あの巨大な体をしていたバロールの動きを止めることができるなど、夢にも思わなかった
しかし
『ガアアアアアアアア!!』
「っ!そのまま閃光を打つ気か・・・なら!水よ!」
バロールは大岩で挟まれ、炎で焼かれて、良い具合にやられようでいたのか、苛ついてそのまま俺に目掛けて閃光を眼から出そうとしていた
なら
俺は逃げることなく。真正面から迎え撃つ。そのために足に水を貯めて一気に放出させて、そのまま勢いのままバロールの特攻を掛ける
『ガアアアアアアアアアアアア!!!』
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
「最大火力か!なら・・・ファーブニルの翼でも焼けるか!!」
俺の右背中から翼が生えている。その翼を盾代わりにして、自身の体を包むように翼を閉じる。奴の硬化はアルバートですら、崩せない硬さ
なら、バロールの閃光だって
ガガガガガガガガガガガガ!!!
「うおおおおおおおおお!!!」
『ガアア!?』
バロールの閃光は俺の翼で弾かれてしまう。やはり俺の想い込み通り、ファブニールの翼はバロールの閃光すら通さない。流石は黒竜ファフニールの翼。この程度光、簡単に相殺できる
そして俺はそのまま閃光を弾いたまま、奴の眼に目掛けて、左手で突き刺す
「お前の閃光はこれ以上撃たせない!眼を抉ってやる!!!」
『ガアアアアアアアアア!?!?』
「これで・・・・もう撃てまい!!」
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』
奴の眼を、左手で貫いた。そしてそのまま目を抉って左手で取り出す
眼を抉られて取られたバロールは、苦しそうに首を動かして暴れる、しかし、大岩に挟まれて全く身動きが取れない。ここまで追い込んだのは初めて、二年前は倒し切れなかったのに、今度はしっかり奴を追い込んだ
だが
「そろそろ魔力消費も激しい。そろそろ決着を付けようと」
四大精霊の力は強力だから、消費も激しい。これ以上の長続きはできな、そろそろこいつを終わらせるために、一度俺は下がり、グラムに四つの元素を集める
「劫火のように燃え盛る炎と、怒涛たる鮮やかな水と、果てのない大地の土と、響く荒れる嵐の風。その四つの元素を、我が精霊召喚師が全て統べる!この一撃を持って、単眼の王を打ち砕く!ルーン・ブレイク発動!!!」
新たなレアスキルだけでなく、新たなルーン・ブレイクも発動させる
右に火の魔法陣、左に水の魔法陣、後ろに土の魔法陣、前に風の魔法陣、が出現し。そこから炎や水や土や風が一気にグラムの刃に集まる。そしてグラムの刃が虹色の光を纏う
今度は俺の閃光をバロールに直撃させる
今奴は岩で挟まれて、もう眼が抉られて光閃も出せないため、今奴を完全に殺せる
そして終わらせる
「『エレメンタル・エンドリヒ』!!!!!」
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?』
俺のグラムから、虹色の閃光の光線を出して、バロールの体を焼き尽くす。バロールの悲鳴を出した瞬間から、どんどんバロールの体が灰になる、この破壊力ならドロップアイテムも消してしまいそうだ。魔石すら見えない消滅の光
灰すらも見えない光と共に、バロールは消えた
「はあ・・はあ・・はあ・・・バロール。討伐完了だ」
なんとか単独で、単眼の王である第四の階層主の討伐完了させる。
相変わらず奴の閃光には面倒だったが、なんとか生き残れた。あと報告も面倒だな。これでオッタルの偉業を俺が塗り替えてしまったのだからな、本当にあいつと張り合う気もなければ、別にあいつと争う気なんてない
けど、勝ってしまった。後が面倒なことが多くなると思うが、それでもこれで生き残っただけ
マシだと、今は思うことにした
「ジークさん!」
「ジーク君!無事!」
「ああ、なんとか倒したぞ!」
戦いが終わったと判断し、アリアは自身達を守っていた竜巻を解いて、俺の所まで降りてくる
「すごい!あのバロールを一人で倒すなんて!やっぱりあの人の子孫ね!もしかしてジーク君ってシグ君と力を持っている?」
「さあな、俺の先祖のことはあまり詳しく故郷でも残されていない。名前と簡単なことしか詳細がない」
「だとしても凄いわ。私たちでもあの人でもかなり、あのバロールに苦戦したのに」
「アルバートでも苦戦するか、そうだろうな、古代からバロールは存在したからな、無理もないか」
「ジークさん!無事ですか!?」
「大丈夫だ。そんなに必死にならなくても、俺は生きている、こんな姿だがな」
「また無茶をして。シルに怒られる覚悟はできているんでしょうね」
「無論だ。お前が生きているんだ。十分のはずだ。わかっているさ、彼女ならな」
「もしかしてジーク君とリューちゃんは恋人同士?」
「え!?そ、それは・・・」
「彼女が俺に片思いをしている感じだ」
「な!?ジークさん!?」
「嘘ではないだろう?違うのか?」
「そ、それは・・・・」
「まあ、バロールを倒して喜ぶのはここまでだ。アリア。50階層に行って少し休もう。その間に俺が51階層に行って泉の水を取ってくる。リュー。その間に今ここで俺たちが何をしているか、アリアに説明してくれ、今の時代がどうなっているか、それと・・・アイズのことを話してやれ」
「あ、はい」
「え!?アイズがここに居るの!?」
「ああ、50階層に行ったら、リューが説明してくれる。一旦50階層に行くぞ」
こうして、無事に俺の試練・・・いや使命はなんとか乗り越えて、バロール討伐を成し遂げた
ファーブニルになるリスクを負って、四大精霊の最後の風の精霊アリアを召喚できた、これで精霊召喚師としての偉業は成し遂げた
もちろんこれで終わりではない。ここから帰らないとならない。そのために必要な素材アイテムを取りに行く。
まだ俺たちの苦難と言う試練は始まったばかりだ