ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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仲間のための魔剣

 

アイシャ達が戦い続ける中、ヴェルフは鉄を撃ち続ける。普通の魔剣だったら、少し時間がかるだけで、半日も賭けずに完成できる

 

しかし、アダマンタイト

 

こんな上級鉱石を魔剣に使った事例は無い。無いではなく実は不可能だった。いろんな鍛治師も魔剣は作れる。しかし上級鉱石を使っての魔剣は誰もできなかった。できたとしても不良品ばかりで、完成させた者は誰も居ない。あの椿でも

 

 

それができるとしたらと、ヘファイストスがある者を信じた。その者はあまりに魔剣を作れる者でありながら魔剣が嫌いだった

 

だが今は

 

 

 

 

 

「ぬん!まだだ!まだ全然足りない!!!」

 

 

そんなことを言っている暇はない程、今はプライドを捨てた。ヴェルフは今、このアダマンタイトに魂を込めている

 

アダマンタイトの硬さに苦戦しているヴェルフ、思っていた以上に簡単ではなかった。もちろんこれを取り扱うのもヴェルフは初めて、上級鉱石だから、これを使ったら武器を造るのも簡単ではない

 

そこまで時間もない。もうアイシャ達が戦闘を始めて、もうモンスター達はそこまで迫っている

 

今ここまで挑んで無謀だと思えてしまう程、アダマンタイトに熱を込めても形が変えられない。何度も鉄を打っているのに、何も変わらない。

 

 

「まさか・・・ここまでなんて・・・」

 

 

いつだか、ヘファイストスがオリハルコンやアダマンタイトを使った武器の製作を何度も見ていた、それで何度も最高の武器を仕上げてきた

 

だから実感する

 

 

鍛治師も、必ずこの道を通ってきたんだと

 

 

至高の武器を作るために、こんな上級鉱石も使うのも、神を超える武器を作るためなら鍛治師なら誰でもやる試練、それを今ヴェルフはこんなモンスター達に追い詰められたこの状況で挑んでいる

 

もしかしなくても、これがヴェルフの試練でもあるのかもしれない。

 

これを乗り越えなければ、今ここに居る全員が死ぬ

 

皆の命を賭けられたこの状況下で、本当にできるのか、あれだけのことを言っておきながら、今のヴェルフは

 

 

「くそ・・・こんなに・・・難しいのか!」

 

 

かなりの困難に追い込まれる

 

わかってはいたけど、まさかここまで難しいとは思いもしなかった。さっきから何度も打ってもアダマンタイトの形が何も変わらない。何がいけないのか、それすらもわからない

 

火と鉄、それさえあればどこでも打てると言っても。ここまで硬い物だとは思わなかった

 

 

これが今まで鍛治師が至高を目指す必ず通る試練

 

 

それがこんなにも難しいとは、早く完成しないと、アイシャ達は

 

 

「はあ・・・はあ・・・数が多い、これじゃあキリがない」

 

「はあ・・・ダフネちゃん!回復を!」

 

「ぬう!」

 

「ぐう!」

 

「アイシャさん!レベルブーストを!」

 

「よし!春姫!寄越せ!」

 

「まずい!?もう矢が!?」

 

「千草殿!この小刀を!」

 

 

もうアイシャ達も限界に近い。もう体力の限界だ。

 

早くしないとアイシャ達が死んでしまう。このままだといつ誰か一人がくたばってもおかしくない。今、春姫最後の一回であるレベルブーストを使った。アイシャが一時レベル5になり、とりあえず入ってくるマーマンを一人で蹴散らす

 

でも、今それだけが頼りで、もうそれなりに時間を稼ぐことはできない。もう防衛も耐えられない状態に

 

だが、まだ出来上がっていない。このままだと本当に全滅だ

 

そんな状況に追い込まれてヴェルフは

 

 

 

「俺は・・・・何をやっているんだ」

 

 

 

皆に自分に賭けろと言っておきながら、何もできていない。何のために俺からこれを貰って、目標である折れない魔剣が作れないことに、自身の愚かさを責めている

 

なんのために、皆の命を預けられたのか、なんのためにここまで来て、鉄を打っているのか、わからなくなる

 

 

そんなことを思っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そもそもお前は・・・誰のために武器を打っている?』

 

 

「っ!?」

 

 

 

突然、脳裏にいつだか俺がヴェルフに言った言葉を、頭の中でヴェルフは思い出した

 

武器を打つのはなんのため?

 

今までは散々何かのためにも魔剣を打ってきた。仲間のために、俺やベルやリリルカや命や春姫やヘスティアのためにも、何度も嫌いな魔剣を打ってきた

 

そう、全ては仲間のために

 

何度も俺にそれを言われて、気づいて魔剣を造ってきた。そう、その熱い気持ちがあればいいと、いつの間にか、またヴェルフは忘れていた

 

 

なんのために鍛治師になったか、誰のために武器を届けるのか、自分が一番嫌いだった魔剣をなんで造っているのか

 

それは

 

 

 

 

 

 

「仲間のために・・・・そうだ。そうだよな・・・ジーク!」

 

 

彼は今までやってきたことを、こんな状況で追い詰められて焦っていたから忘れていたのか、こんな今まで自分が大事にしてきたことを忘れていたなんて、頭の中で俺に前に言われた言葉を今思い出すまでは思い付かなかった

 

そう、ヘスティア・ファミリアに入った理由も、仲間のためだ。今までの敵を自分が嫌いな魔剣を仕方なく使ったのも仲間のためだ。

 

 

鍛治師は武器を仲間のために届けるために、常に鉄と火を向き合い、至高の武器を仲間に渡してきた

 

 

今度は仲間のために『自身の武器』を作る

 

 

クロッゾの血は大昔の先祖が血を分けたことで、魔力を帯びて魔剣を作れるようになった。その使い道を仲間に使ってきた、今でもそれをすればいい。

 

 

「できるならジークのムスペルスヘイムやベルのファイアボルトに並ぶ、大炎を!」

 

 

もういつまでも守られる存在で居たくない、今度は自分がみんなを守れる程の魔剣の威力を発揮出せる力を

 

ヘファイストスの高みである至高に辿り着けるように、言うなら始まりの高みへ

 

それをここから始める

 

 

 

 

 

 

ガン!ガン!!ガン!!!

 

 

「ああ・・・・・ここからだ!俺の『始高』は!」

 

 

やっとアダマンタイトの形が変わっていく

 

丸い形から長方形へと変わっていく。やっと自身の魂がこのアダマンタイトに届いたのか、鉄を打つ度に形が変わっていく、打っている音も違う。ちゃんと味のある金属音が、やっとここまで辿り着いた

 

 

「ぐわあ!?」

 

「ぬわあ!?」

 

「桜花!?」

 

「っ!?くそ!もう時間か!?」

 

「まずい!?」

 

「防衛が突破された!?」

 

「はあ・・はあ・・・命ちゃん!」

 

「神武・・闘征!!」

 

 

遂に防衛が突破されてしまい。出入り口を盾で塞いだ桜花とボールスが吹っ飛ばされる。そのタイミングでアイシャのレベルブーストも切れてしまう。もう限界らしく、これ以上の防御はもうできない

 

防衛が突破されたら命が最後の一発であるフツノミタマを発動しようとしていたが

 

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

『『『『『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?!?』』』』』

 

 

「っ!?なに!?」

 

「これは!?」

 

「なんだ!?」

 

「炎!?」

 

「後ろから!?」

 

「あのジーク・フリードの魔法と同じ・・」

 

「まさか・・・やったのか!?」

 

「ヴェルフ様!!」

 

「ヴェルフ殿!!」

 

 

突然、皆の後ろから炎の大波が流れてきて、マーマンの大群を一気に一掃した

 

突然の出来事で何がどうなっているのか、一瞬わからなくなったが。それが後ろから来るなら、考えることは一つだけだと、春姫と命はすぐに気づく

 

その炎の波を放ったのは

 

 

 

 

 

 

「悪い!遅くなった!!」

 

 

 

ヴェルフだった

 

ヴェルフの手には赤い刀身に赤黒いオーラを纏う大剣を握っている。どうやら間に合ったらしく、新しい魔剣を完成し、素早くピンチになっている仲間を助けるために、試しでマーマンの大群に振り払い、このルームに入ってきたマーマンの大群を炎で一掃した

 

 

「ジーク。やっとお前のグラムみたいに『折れない魔剣』ができたぜ。まあ・・・お前のムスペルスヘイムにはまだ届いてねえけどな」

 

「鍛治師!やったんだな!?」

 

「ああ!あとは任せろ!」

 

 

今度は自分が皆を守ると、ヴェルフが一人で前に出る。

 

まだマーマンが居るらしく、こちらまで攻めて来ている。それを一掃しようと、新しくできた魔剣を持って、出入り口前に立つ

 

出入り口先では

 

 

『『『『『ガアア!!!』』』』』

 

 

「と言いたいが、少し数が多いな、悪い。俺一人じゃあ魔力が足りない。少し貰えるか?」

 

「あ、はい!!」

 

 

一人で出たが、流石にここに攻めて来るマーマンの数に、少し自分の魔力が足りないと感じ、近くに居たカサンドラに少し魔力を分けて貰う

 

彼女も魔剣の柄を握り、そのまま魔剣を地面に刺す

 

そして、マーマンの新たな大群がこのルームに入ると

 

 

『『『『『ガアアアア!!!』』』』』

 

 

「始高!!煌月!!!」

 

 

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

 

『『『『『ガアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアア!?』』』』』

 

 

「す、すごい・・・まるで太陽・・・まさか!?これが蘇りし太陽!?」

 

 

ヴェルフの新たな折れない魔剣『始高・煌月』

 

その刃から放たれる炎は、まるで太陽のような輝き、それを見たカサンドラはこれが予言の言葉に出た。『蘇りし太陽』のことではないのかと、また希望の芽が見えて来た

 

 

「・・・・・もう、出て来ねえみたいだな」

 

「お前・・・マジかよ」

 

「やったんだな、鍛治師」

 

「ヴェルフさん!やりましたね!」

 

「まさか本当にやるとはね」

 

「イグニス。あんな短時間で完成させるなんて、本当にヘスティア・ファミリア、すごすぎでしょ」

 

「やるじゃないか、イグニス」

 

「やりましたね・・・ヴェルフ様」

 

「ヴェルフ殿ならできると信じてました」

 

 

「ああ、ここから俺に任せてくれ!」

 

 

なんとかヴェルフが短時間で魔剣を完成させた

 

まさか本当にこんな場所で魔剣を造って完成させ、あれだけモンスターに追い込まれて、魔剣の力を発揮させて逆転するなど

 

普通のファミリアならまずできないだろうが

 

それをヴェルフがやり遂げた。この魔剣の力があればどんなモンスターも一掃できる。これでこのルームを出ることができる、そして目指すは27階層へ

 

 

「よし!27階層に行こうぜ!!あいつらを助けに行くんだ!!」

 

 

これで27階層に目指せる手段を手に入れた

 

やっと先に進める。次は27階層へ、俺とベル達が深層に落とされた大穴のあるルームに目指す。これで俺たちを迎えに行けると、再びヴェルフ達に希望が見えてきた

 

必ず、仲間である俺たちを見つけて帰ると

 

 

ヴェルフ達の、仲間捜索が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

27階層

 

 

 

「煌月!!!!!」

 

 

『『『『『ガアアアアアアアア!?』』』』』

 

『『『『ギャアアアアアアアアア!?』』』』

 

 

「す、凄いな。鍛治師の魔剣。また出る幕が無いぞ?」

 

「もう何回も打ってやがるのに、砕けやしねえ」

 

「どうやら本当に折れない魔剣を作っちまったみたいだね」

 

 

27階層にヴェルフ達はなんとか着いた

 

モンスターが出てくると、一気にヴェルフが新しい魔剣『始高・煌月』で一掃する。しかも出て来たモンスター全て消え去る

 

本当にヴェルフの魔剣は火力の高い魔剣にして、もうここまで来て何度も使っているが、折れたり砕けたりもしない。

 

 

本当に折れない魔剣を完成させた

 

 

「モンスター共は・・・もう居ないな?よし!奥へ行こうぜ!」

 

 

「頼りになりそうだね」

 

「ああ」

 

 

まあなんにしても、これで進めるのは間違いない。このまま出てくるモンスターはヴェルフに任せて、27階層の奥のルームまで目指す

 

目指すは俺とベルが深層に落とされた大穴のあるルームへ

 

 

そして、その場所に到着

 

 

「これは・・・・地面に大量の血が・・・」

 

「でも・・・死体がありません」

 

「どうなってやがる!?なんで俺の子分の死体まで無えんだ!?」

 

「ここも地面が血だらけだ。ボールスの言うその新種の怪物に仲間が殺されたってのは本当だな」

 

「まさか・・・・これが厄災」

 

 

27階層の奥のルーム。俺たちが深層に引き摺り込まれた現場に、ヴェルフ達は今到着する

 

現場に着くと、酷い荒れようで、どこもかしくも血だらけで濡れている。間違いなくそのボールスの言ったイレギュラーで出て来た新種のモンスターに殺されたと、現場を光景を見て実感する。だだそんなことが起きたと思うのに

 

 

死体がない

 

 

どういうことだろうか、新種のモンスターがここに居ないなら、奴が食い尽くしたなら奴はまだここに居るはず、しかし、ボールスの言う事なら、奴は俺とベルを連れて下に行った。だから新種のモンスターが食ったわけではない

 

ならなぜ、ボールスの仲間や子分の死体が無いのか

 

すると

 

 

「おい、そこだ!そこにヘラクレスとラビットフットは落とされた」

 

「っ!この穴!?」

 

「大きいですね、確かにワームウォールが出て来た穴で間違いないです」

 

「確か、ワームウォールって階層関係なく地面を越えて移動するとか」

 

「だから深層に行ったって言ってもおかしくないな」

 

 

ボールスに、俺とベルが引き摺り込まれた穴を教えて貰う。ヴェルフと命と千草と桜花が調べる。大きさ的に、間違いなくワームウォールが掘った穴、一度戦ったヴェルフ達でも、穴の大きさからして間違いなかった

 

ワームウォールは階層関係なく移動することを千草も知っている。そうなれば今俺たちが深層に居るってことが確定する

 

なら、これからどうするかだ

 

 

「どうする気だ?これから?」

 

「決まっているだろう。このまま下に行くぞ」

 

「ええ、このままジーク殿やベル殿達を助けに下に行きます」

 

「本気で言ってんのか!?確かにお前の魔剣は凄えが、ここより強い怪物が居るんだぞ!」

 

「だとしても、見捨てるつもりはない。俺も鍛治師に賛成だ。このままあの三人と疾風を助けに行く」

 

「私も!ここまで来たら助けに行きたい!」

 

「どうかしているぞお前ら!?」

 

「そんなことを言える立場あるのかい?あんたに?だって、あんたはベル・クラネルに助けられたんだろう?それなのに、助けた奴を見捨てる程、男がなってないのかい?」

 

「ぐ!?」

 

「あんた、ここまで来たら諦めた方がいいよ。別に付いてかなくてもいいけど、ここから一人で18階層に帰るのはレベル3でも辛いわよ?」

 

「ダフネちゃんの言う通りです、このまま私たちと一緒に居た方が・・・・」

 

「ぐう・・・・・わかった!俺も行く!行けばいいんだろう!」

 

「これで決まりですね・・・・アイシャさん」

 

「よし、ジーク・フリード達を助けに下に行くよ!イグニス!ここからもあんたの魔剣でモンスターを吹き飛ばしな!」

 

「おう!任せろ!」

 

 

俺たちを助けに下へ向かうと、躊躇いはなかった

 

ボールスが初め反対していたが、ベルに助けられたなら恩を返すべきだと、男としても冒険者としても、リヴィラの冒険者だからと言って見捨てるのかとアイシャに言われ、このまま一人で帰ったとしてもここから18階層まで帰るのは無理に等しい、さっきもアーヴァンクに襲われたくらいだ。このままヴェルフ達と共に行動するしか生き残る術はない、そのため文句を言いつつも一緒に同行すると決めた

 

ここから更に強いモンスターが居るが、それでも仲間を見捨てないと、もしもまたモンスターが出て来たら、ヴェルフが吹き飛ばすと煌月の威力を信じてヴェルフが先行する

 

そして下へ向かおうとしたその時

 

 

『『『『『ガアア!!!』』』』』

 

 

「希少種ボルティメリア!?」

 

「なんて数だ!?」

 

「こんな時にこの階層の希少種かよ!?」

 

 

ヴォルティメリア

 

この27階層の湖にしか出ない魚の化石の姿をしたモンスター。蛇のような体をしているのにも関わらず、水棲種でありながら空中に浮かび身体は黒紫色の石でできているため耐久力が高い。特に頭が硬く。大抵の武器は弾かれる。この水の都のトップクラスの一つ

 

それが数多く湖の中から出てくる。普段はそこまで出ないはずなのだが、まさかのここでヴォルティメリアのモンスターパーティだった

 

 

『グウ・・・ガア!』

 

 

カラン!!

 

 

「っ!これって・・・アクセサリー?」

 

「それは!?こいつか!俺の子分を食いやがったのか!」

 

「ここに死体が無いのは、こいつらが食ったからなのか!!」

 

 

『ガア!!』

 

 

「くそ!!」

 

「っ!よせ!」

 

 

ボールスの仲間と子分がここで殺されて死体が無いのが、ボールスが26階層に戻っている間に、ヴォルティメリアが仲間と子分を食べていたようだ

 

ボールスは仲間と子分の仇を取るためにヴォルティメリアに挑むが

 

 

ガキン!!

 

 

「ぐう!?硬い!!」

 

「ぬん!こいつの黒紫色の石は硬い!皮になっている所を狙え!まともに太刀打ちできないモンスターだ!」

 

「耐久力が高い!?」

 

 

ヴォルティメリアの体は上級鉱石でできた武器でなければ斬れない程硬い。黒紫色の石では無い部分である皮を攻撃するしかない

 

だが、あまりにも数が多すぎるため

 

 

「まずい!?囲まれたぞ!?」

 

「よりにとって、こんな時に」

 

「くそ!煌月!!!」

 

 

『『『『『ガアアアアアアア!!??』』』』』

 

 

『『『『ガアアアア!!!』』』』

 

 

「まだ出て来ます!」

 

「ヴェルフ殿の魔剣で吹き飛ばしたのに!また湖から!」

 

「次から次へと!」

 

 

頼りであるヴェルフの魔剣で吹き飛ばしても、また新たなに出てくる

 

これでは埒が明かない。このままだとまたも全滅もあり得る、ヴォルティメリアの数は普通は限られている。なのに無数に出てくるなど、これも完全にイレギュラーなのか、そう思っていると

 

 

『ガア!!』

 

 

「きゃあ!!」

 

「カサンドラ!・・・ぐ!邪魔!」

 

「ぬう・・・あ!」

 

 

『グウ・・・ガア!』

 

 

「ああ・・・・・」

 

「カサンドラ!!!」

 

 

カサンドラがヴォルティメリアの体当たりを受けてしまう。

 

ダフネが気付いて助けに行こうとしたが、ダフネの周りにもヴォルティメリアが囲んでいて、助けに行きたくても邪魔で行けない

 

そのまま倒れたカサンドラを、体当たりをして来たヴォルティメリアが食おうとする

 

しかし

 

 

 

 

 

「♪〜〜〜〜〜〜〜♫」

 

 

『『『『グウ!?』』』』

 

 

「っ!これは・・・」

 

「マーメイドの歌声!?」

 

「っ!あそこだ!」

 

「あれは!・・・」

 

 

「♪〜〜〜〜〜〜〜♫!!!」

 

 

突然、湖の方からマーメイドの歌声が聞こえる

 

その湖の中心にある岩場から、一匹のマーメイドが歌っていた

 

その歌声を聞いたヴォルティメリアが突然動きを止める。カサンドラを食べようとしたヴォルティメリアも、その歌声を聞いた瞬間

 

 

『ガアア!!』

『ギシャア!?』

『グシャア!』

『ガア!?』

 

 

「なんだ!?」

 

「共食い!?」

 

「まさかあのマーメイドの歌声か!?」

 

 

「えっと・・ジークとベルの仲間だよね?・・・・大丈夫?」

 

 

「喋ったぞ!?あのマーメイド!?」

 

「おい・・・鍛治師。あのマーメイド、ジークとベルの仲間って言ったぞ?お前ら確か喋るモンスターと知り合いだったよな?あれってもしかして・・」

 

「あ、ああ。おい、命?春姫?あのマーメイド。まさか?」

 

「ジーク殿が言っていた・・・」

 

「新しいゼノスの・・・マリィ様ですかね?」

 

 

助けたのはマリィだった

 

マーメイドの歌声は相手を惑わして同士討ちができる。マリィはヴェルフ達を助けるために、ヴォルティメリアを惑わせて共食いをさせた

 

マリィは俺の仲間だとわかったのか、助けようとマーメイドの歌声を使った。それでヴォルティメリアの大群を惑わすことができた

 

ヴェルフと命と春姫は、俺とベルの名前をマリィが口にしたため、ゼノスかどうか確認するためにマリィに近づく

 

 

「お前・・・ゼノスか?」

 

「うん!さっきリドから、ジークとベルの仲間がここに居ると思うから、助けろって言われたから助けた!」

 

「リド殿から・・・・」

 

「リド様達がここに居るのですか!?」

 

「うん!・・・・あ!来た!」

 

「「「っ!?」」」

 

 

 

「「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

「今度は武装をしたモンスターが出て来たぞ!?」

 

 

「あいつら!?なんでここに?」

 

「リド!?グロス!?」

 

「ラウラ殿!?ユーノ殿!?」

 

「レット様!?フィア様!?」

 

 

突然、ヴェルフ達がここに来た道から、ゼノス達が一斉にやって来た。そこにリドやグロスなど、この前で友人となったゼノス達が揃って、ここにやって来た

 

ヴェルフとアイシャは急いでリド達の所へ行く

 

 

「おい!リド!グロス!」

 

「ヴェルフっち!アイシャっちも!無事か!」

 

「ああ、なんとかあんたらやあのマーメイドのおかげで!あんたらこそ、なんでここに居るんだい!?」

 

「フェルズに言われた!ここでイレギュラーが起きたとウラノス様から聞いたようで、ジーク・フリード達を助けに行ってくれと!」

 

「フェルズも今の事態を知っているのか!?」

 

「地上のお方、大丈夫ですか?」

 

「ミス命、無事ですか?」

 

「まさかゼノスの皆様が助けに来るとは・・」

 

「いつか借りを返すと言ったではありませんか」

 

「春姫!!」

 

「ウィーネ様!」

 

「助けに来たよ、私ここまで強くなって、春姫を助けに来たんだよ!」

 

「よくここまで強くなれて、私も嬉しいです」

 

「私ジークみたいに強くなるもん!ジークや春姫やベルやリリやヴェルフや命やヘスティア様を守れるように!」

 

 

フェルズからの指示で、俺たちを助けにゼノス達はここまでやってきた。クノッソス攻略を終えてからすぐにであるのに、まさかここで増援が来るなど、ヴェルフ達でも想像つかなかった

 

 

「ちなみに俺っちだけじゃないぜ!」

 

「え?」

 

 

「おお!ヴェル吉!生きているか!」

 

「リド!足早すぎるにゃ!」

 

「うわ!?こんなにヴォルティメリアが!?」

 

「やっと着いた!ゼノス達早すぎ!」

 

 

「あれは!?椿!?」

 

「酒場の皆様!?」

 

「ヘスティア様!なんとか増援を呼べたんですね!ジーク殿の増援も間に合った!」

 

 

更に来た道の入り口から、椿、アーニャ、クロエ、ルノアが現れる

 

椿はヘスティアが呼び、アーニャとクロエとルノアは俺が呼んだ。その増援が今辿り着く。どうやらここまで来る途中で、ゼノス達と鉢合わせして、来ていたのだがゼノス達の方が足が早いのか、少し遅れてやって来た。増援が更に増すなど、こんな好機は無いだろう。

 

だが、ここに来たのは事実。皆、俺やベルやリューやリリルカの助けのために、ファミリアの人間ではない者達がこんなに助けに来るなど、自分たちはこれだけの友人が居たんだなと、命と春姫は思う

 

そんな中で椿は

 

 

「っ!ヴェル吉。その魔剣は・・・」

 

「ああ、お前の眼でもわかるだろう?仲間のために、ジークの持っている魔剣と同じ『折れない魔剣』を作ったぜ」

 

「ふふ、ふははははは!!こいつやりおった!まさか本当に始高に辿り着くとはな!神に頂に手を出すとはな、この青二才が」

 

「何度でも言え、仲間のためには必要なことだ」

 

「ふん、よくここまで来たヴェルフ・クロッゾ。そして、ようこそ地獄へ」

 

「上等だ。仲間のために地獄でもどこでも、俺は始高の頂点を目指す。あのヘファイストス様を超えるような物をな」

 

「ふん、始高もまだわからない小僧が、よく抜かし・・・おる!!」

 

 

『『『『『ガア!?!?』』』』』

 

 

「遅いぞ椿!」

 

「すまんなグロス。手前は力があっても、動きは少し鈍いのでな!!!」

 

 

『『『ガア!?!?』』』

 

 

「す、すごい!あれがキュクロプス!?」

 

「流石はレベル5!モンスターが次々と斬られていく!」

 

 

椿は、ヴェルフが新しく魔剣を手にしているのを見て、椿は笑う。本当に神にしかできない武器をヴェルフは作り出した。この魔剣は自身の魔力を注ぐ必要があるが、それでも魔剣は砕けることはない

 

その至高の武器を上手く作り上げたことに、喜ぶ椿、まるで弟弟子が見ないうちに大きくなったような姉弟子の喜び

 

下手をしなくても、ヘファイストスがこれを見たら喜ぶだろうと、自身の主神が笑う顔を想像する

 

 

「リド!ジークとベルとリリを!」

 

「わかっているマリィ!この下に居るんだろう!」

 

「うん!お願い三人を!」

 

「ああ、わかっている。椿!俺たちは先に行く!ジーク・フリード達の居場所まで道を開く!」

 

「承知した!ならこのモンスターは手前達に任せろ!」

 

「悪い!頼む、グオオオオオオオ!!!」

 

「「「「「グオオオオオオオ!!!」」」」」

 

 

マリィは急いで下の階層に居ると思われる俺たちを助けるようリド達に頼む。このヴォルティメリアは椿達が引き受けて、ゼノス達は一斉に下の階層である連絡路に全員が走っていく

 

 

「春姫、ジークとベルとリリは37階層に居るよ、37階層には今強いモンスターが居て、それを倒すまではジークに待ってろって言われたけど、36階層まで道を開くから、付いて来て欲しい」

 

「ジーク様とベル様とリリ様がここに!」

 

「ウィーネ!行くぞ!」

 

「うん!私も先に行くね。後から付いて来て!」

 

「わかりました!」

 

「自分たちも行きます!」

 

「必ず付いて来てください!」

 

 

ウィーネもレットもフィアもリド達と共に深層へ

 

春姫は、ウィーネから今俺たちが居る階層の場所を教える

 

場所は37階層

 

その階層は今は来るなと言われ、そこに強力なモンスターが居るから、それが仕留めるまでは来るなと言われている

 

でも36階層までなら大丈夫だと思い、それまでの道に生息するモンスターは先にゼノスが片付けるから、このまま付いて来て欲しいと言われる

 

 

「ふん!」

 

「これで終わりかにゃ?」

 

「そうみたいにゃ」

 

「これで終わりね」

 

 

「ジーク・フリードの頼みで来たってことかい?」

 

 

「まあ、そうにゃ」

 

「今ジークは37階層に居るわ」

 

「あの怪物達が道を開いてくれるわ」

 

「手前達は今からあのモンスターの後を追って、ジーク達を助けるのが手前達の依頼だ」

 

 

「そこにジーク様やベル様やリリ様が居るみたいです、そこにリュー様も」

 

「なるほどね、とりあえず休む時間はないわけだ」

 

「何がなんだか分からねえけど、これが終わったら、あのモンスターのことを教えろよ、鍛治師」

 

「ああ、わかっているって」

 

「あれがジーク・フリードの言っていた。喋るモンスターってこと?」

 

「そうじゃないかな?」

 

「マジでヘラクレスの仲間はどうかしてやがる」

 

 

ゼノス達は先に下に行き。椿とアーニャとクロエとルノアがヴォルティメリアを全滅させる

 

もうある程度片付けたのか、もう出てこなくなった。

 

やっと状況と体制が整ったことで、この先の行動を話し合う

 

ゼノス達が37階層までの道を開く、それまでに続くルートに出てくる怪物は全てゼノスが倒してくれる。つまりその道を安全にヴェルフ達は通って、37階層に居る俺たちを救出する

 

それでの遠征は終わる

 

今度は椿達も居るから、安心で深層に行ける

 

 

「よし、行こうぜ!!ジーク達を助けに!」

 

 

「「「「「「おう(はい)(にゃ)!!!」」」」」

 

 

そしてヴェルフ達は休むことなく。この先へと進む。

 

このパーティで深層へ行くのは危険もあるが、それでもゼノス達が道を開いてくれる。これで俺たちの帰りも迎えも問題なく完了する

 

もうじき、この遠征も終わる

 

 

あとは・・・・俺たちがジャガーノートを倒すのみ

 

 

 

 

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