ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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殺戮者を断ち切る 正義の風

 

 

「ベル。あの結晶石だ。そこを壊せば出れる」

 

「はい!・・・・っ!ここだけ作りが悪い!」

 

 

俺たちはセーフティルームの先を大分進んでいた

 

かなり長く、敵も今の所無し、本当にこのような場所があったとは意外だ。これもベルの運の良さだろう。セーフティルームの先を進んで行き止まりだったが、その場所の横で脆そうな結晶石を見つけ、それを壊して第四円壁に戻る

 

 

「戻って来ましたね」

 

「ああ」

 

「ジャガーノートの気配はありますか?」

 

「ああ。この先に」

 

「確かにするわね、獣の声が」

 

「アリアでもわかるか?」

 

「うん、あのファフニール程じゃないけど、確かに強そうなのがこの先に居る」

 

 

「ジークさん」

 

「ああ、行くぞ」

 

 

俺たちはセーフティルームを抜け出して、再び大円壁に戻る。目的は36階層の連絡路のある『第五円壁』の『獣の間』。そこを目指す

 

しかし

 

 

そこには『ジャガーノート』が

 

 

だが奴を野放しにしてはならない。あんな危険な怪物は倒すまでだと、俺もベルも率先して戦いに出る。ジャガーノートの恐ろしさを実感して俺たちだからこそ、あれを確実に排除するためにこの先を歩いている

 

今は第四壁エリアにいるのだが、なぜかモンスターは出てこない。なぜだかは知らないが

 

そんなことを考えていると

 

 

「っ!ジーク様!第円壁です!」

 

「灰色、間違いない。あとはあれを超えるだけだ」

 

「でも、そこに・・・・・」

 

 

「ああ、居るぞ?あの先に・・・しかも、『この壁の先』に」

 

 

「「っ!?」」

 

「うん、居るわね。あの先に、何か・・」

 

 

先に進むと、第四円壁がもう見つかる

 

どうやら先ほど進んだ道は正規ルートの近道だったようだ。あのコロシアムの下を行かなければ、こんな簡単に進めることはない

 

しかし

 

 

この壁を超えた先に、ジャガーノートが居る

 

 

アリアでもわかるようで、この壁を超えた先に待ち構えているのか、この壁の向こうで待っているのか、目的の敵はすぐそこに居た

 

討伐する前に、これからの行動を話し合う

 

 

「アリアはリューとリリルカと共にあの第四壁の通路で待機し、風の守りで二人を守れ。その間に俺とベルがこの先に進み、ジャガーノートを片付ける」

 

「お二人だけで?」

 

「ああ、奴の目的は俺とベルだ。ならお望みである俺とベルが出た方いいだろう。準備はいいか?ベル?」

 

「はい、もう十分回復しました。もうあいつには負けません!」

 

「意気込みとしては十分だ」

 

 

アリアは第四円壁の通路の中でリューとリリルカでを風で守りをして待機

 

その間に俺とベルが片付ける。奴が俺とベルを目的に動いているなら、俺とベルが出た方がいい。目的の者が目の前に居るなら、他にリリルカとアリアに被害は出ない。ここは奴の目的である俺とベルが出る他なかった

 

そんな方針で

 

 

 

「ジークさん!私にも戦わせてください!」

 

 

「「っ!」」

 

「リューさん!」

 

「リュー。お前もか・・・・」

 

 

リューがジャガーノートを倒したいと、戦いに出たいと志願する。

 

もう過去から逃げたくないのか、あるいは奴を倒すことでやっと過去からの縛りが消えるのか、自身の力で倒したいと、これから奴を倒す直前で、彼女は志願を出した

 

 

「奴に立ち向かう勇気はあるか?」

 

 

「実は言うと・・・まだ怖いです・・・でも・・・・ジークさんやクラネルと一緒なら怖くない」

 

 

「リューさん・・・・・」

 

「いいだろう。お前の手で倒せ。俺はお前を信じる。お前が奴を倒すと」

 

 

「っ・・・・はい!」

 

 

「ベル。予定変更。俺とお前はサポートだ。奴が攻撃できない状態まで追い込む。止めは彼女が取る。いいな?」

 

「はい!お願いしますリューさん!」

 

 

「はい!任せてください!」

 

 

これで作戦は決まった

 

俺とベルはサポート、リューがジャガーノートに止めを刺す。そういう方針となった

 

リューが覚悟をして決めたこと、それを邪魔するつもりもない。それで彼女が過去から乗り越えることができるのなら、彼女はまだジャガーノートに恐れをしている。しかし、俺とベルが居るなら怖くないと、まだ共に戦える仲間が居るなら、自身から戦いに出る

 

彼女は勇気はないと言った。なら

 

 

「リュー。もしもあのジャガーノートにリューがまた出会すようなことがあったらと、もしもの事を俺はアストレアに聞いた。そしたらアストレアは、こう答えた」

 

「っ!なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「『みんなの正義をもう一度掲て、倒して』。だそうだ。あの女神の仇の言葉だ」

 

 

「アストレア様が・・・そんなことを」

 

 

「勇気は持てなくても、正義は捨てても。『アリーゼ達の正義は捨てるな』。俺からは以上だ」

 

 

「アリーゼ達の正義を・・・」

 

 

「リューちゃん。私は貴方の過去を知らないけど、貴方に風の加護を」

 

「リュー様、絶対に倒せるって信じてます!」

 

「リューさん!僕とジークさんが全力でサポートします。僕はリューさんの正義を信じます!」

 

 

「アリアさん、アーデさん、クラネルさん・・・」

 

 

「覚悟は決まったな?行くぞ?」

 

 

「・・・・・・はい!!!」

 

 

もう一度正義を手にすることはできる

 

アリアも、リリルカも、ベルも、ここに居ないアーニャ達やシルだって、皆リューを信じている。その正義をもう一度取る時

 

一度は捨てても、何度も正義を掲げることはできる。あのジャガーノートを倒す正義を

 

リューは再び手にする

 

 

そして、第四円壁を超える

 

 

第四円壁の通路の中で、アリアはリリルカと共に風の壁を張って待機する

 

そして俺とベルとリューだけ第五円壁に出る。第四円壁を越えると、モンスターは一体も居ない、しかも、なぜか静かだ

 

 

「モンスター・・・居ませんね?」

 

「ええ、ですが・・・・」

 

「ああ、その原因が・・・・・」

 

 

壁を超えたのに、モンスターが一体も居ないなどあり得るはずがない。ここは深層だ。セーフティルーム以外では常にモンスターだらけ、それでも居ないなら、原因はただ一つ

 

 

「あそこだ!壁に張りついている!」

 

「「っ!?」」

 

 

『ガアア!!!』

 

 

「ジャガーノート!やっぱりここに!?」

 

「でも!なんか姿がおかしいです!」

 

 

『ガア!!』

 

 

「散開!!」

 

「「っ!」」

 

 

第四壁の上部の壁にジャガーノートが張り付いていた

 

奴は俺たちを見つけると、リリルカの言う通り、俺とベルを探していたのか、血相を変えて地上に降りて来た。しかし、ベルが言うには奴の姿が異なると言う。奴の今の姿は

 

 

『グウウ!・・・・・』

 

 

「あれは!?僕が斬り落としたはずの左腕にスカルシープの骨が!?」

 

「あの左腕の肉、『バーバリアンの肉』か。まさか、ジャガーノートはここの階層に生息する怪物を食って、自身の体にしたのか」

 

「そんなことができるのですか!?」

 

「普通のモンスターはできるはずがない。だが、あのジャガーノートはそれが可能なんだろう。流石はイレギュラーモンスターってところだ」

 

「まるで・・・キメラだ!?」

 

 

奴は27階層で、俺とベルで半分体を破壊し尽くされた。だからこの階層に生息する怪物を捕食して、自身の体を代用させるように、その食べた怪物の体で左腕と尻尾を再生したようだ。

 

スカルシープの頭骨、バーバリアンの体肉、スパルトイの骨、リザードマン・エリートの鱗、オブシディアン・ソルジャーの体石など、全てこの階層に出てくる怪物の一部を体にして再生させたようだ

 

だが、壁からここまで降りてくる感じ、動きが鈍くなっている。27海藻の時とは違って瞬足に動くことはできない

 

代わりに

 

 

『ガアア!!!』

 

 

「っ!あの左腕の爪!避けろ!『ウダイオスの杭突』だ!」

 

「「っ!?」」

 

 

『ガアアアアア!!』

 

 

「く!」

 

「どうしてジャガーノートがウダイオスの爪を!?」

 

「ベル。お前確か?さっきコロシアムでウダイオスが出て来た時、『左腕が無い状態』で出て来たと言ったな?」

 

「そうですけど・・・まさか!?」

 

「ああ、あいつ。お前がウダイオスを倒す前に。奴もウダイオスに挑んで、左腕を捕食したようだ」

 

「だからあの時、コロシアムで左腕が無いウダイオスが出て来たのか!?」

 

 

 

突然奴の左爪を地面に刺した。そして地面から奴の体の骨の一部である杭突が出てくる

 

一瞬で俺の眼には、奴の左爪がなんのモンスターの爪をしているか見えた

 

 

それは『ウダイオスの左爪』

 

 

あの玉座の間の荒れようと、ベルがウダイオスが突然コロシアムに現れ左腕無しで現れる。全ての原因がわかった

 

奴はここに降りて、すぐに階層主のウダイオスをも体の一部にしようと、玉座の間で階層主ウダイオスを襲ったのだと、それで左腕を捕食し、ウダイオスはジャガーノートに勝てないと確信したのか、奴が第四円壁のエリアに移動するなど今までの経歴にも無いが、そのエリアにあるコロシアムに逃げ出し。ベルの前に左腕無しで出て来たと

 

このジャガーノートは俺たちを見つける前に、階層主の体をも一部にしていたようだ

 

瞬足で動くことはもうできない代わりに、怪物の一部を体にして、その怪物の習性を使って攻撃するとは

 

 

ベルの言う通り、これではいろんな怪物の体をしたキメラだ

 

だとしても

 

 

「27階層で戦ったよりはマシになっている!奴に魔法は通用する!ベル!奴の体をバラバラにするぞ!お前は左を崩せ!俺は右を崩す!」

 

「はい!」

 

 

『ガア!!』

 

 

倒すことは変わりはない

 

奴がこの階層のモンスターを体の一部にしようが、27階層で戦ったような戦闘方法はもうしない。奴は瞬足の動きはもうできない代わりに、スカルシープとウダイオスの杭突が飛んでくるくらい、あとはまだ破壊できてないアダマンタイトの爪である右腕、それは俺が壊す

 

 

『ガア!!』

 

 

「動きを予想して避けろ!」

 

「く!本当にウダイオスみたいに早い!?」

 

「しかも。スカルシープの杭突まで飛んでくるか」

 

 

『ガアア!!』

 

 

「その右爪は俺が壊す!グラム魔剣解放!!砕けろ!!」

 

 

バリン!!!

 

 

「ガア!?」

 

 

「ジャガーノートの右爪が砕けて斬れた!!」

 

「よし、あとは左と尻尾!リュー!お前は詠唱を!」

 

「はい!」

 

 

俺がグラムの魔剣の力を解放して、奴の右腕のアダマンタイトの爪を破壊する。奴の腕がアダマンタイトでも、俺のグラムの切れ味には勝てない。グラムは何で作られているかは知らないが、オリハルコンですら簡単に斬り裂く

 

これで俺は右を崩せた。あとは左と尻尾、その間にリューは詠唱して魔法の準備、ジャガーノートの体には、俺が27階層レアカースを掛けて、奴の体にはまだルーン文字が刻まれている。魔法反射は無効されて、今の奴は魔法が通用する

 

 

「確かあの杭突は体の一部として繋がっているはず、それなら・・ファイアボルト!」

 

「アルゴ・ウェスタか?何をする気だ?」

 

 

突然ベルは、ナイフにファイアボルトを掛け、アルゴ・ウェスタを発動させる。

 

だが直撃させるのは離れ過ぎている。何かを狙うために発動をさせたのだと、ベルには考えがあるのだと、俺はベルの考えを信じて、ベルのやりたいようにやらせる

 

 

『ガアア!!』

 

 

「ウダイオスの杭突か!しかも全域!まずいリューを!」

 

「それを待ってた!」

 

「っ!やはり考えがあると思ったが、何をする気だ!」

 

 

ジャガーノートは左爪をまた地面に刺し

 

杭突を今度は全域に広がるように地面から突き出していく。そうなったら今地面に居る俺とベルとリューは完全に貫かれると、俺は詠唱を始めているリューを守りに、一旦リューの所へ守りに入る

 

 

ガシュ!!

 

「ぐう!」

 

「ジークさん!?」

 

「俺に構うな!詠唱を続けろ!今の俺はファーブニルだ。奴の攻撃では貫けない!」

 

 

俺は片方の翼でリューを包むように守り、代わりに俺がジャガーノートの杭突に貫かれるが、装備は貫かれても体は貫いていない。俺の今の体はファーブニルの皮膚と鱗、ウダイオスの爪では貫けない

 

 

ベルは

 

 

「ぐわ!?」

 

「ベル!」

 

「腹に直撃したか!」

 

 

ベルは体を守るような装備もしてないため、ベルは腹に三つの杭突を貫かれる。

 

 

 

「これで壊せる!アルゴ・ウェスタ!!!」

 

「っ!奴の杭突にアルゴ・ウェスタを刺した!」

 

 

ベルはそのまま奴の杭突にナイフを刺した。まさかベルの狙いは

 

 

ドガン!ドガン!!ドガン!!!

 

 

『ガアアアアアアアア!?』

 

 

「ジャガーノートの左腕が爆発した!?」

 

「そうか、奴の杭突はあの左腕に繋がっている。それで一気に内側から爆発させようと、わざと杭突を受けたのか、ウダイオスと戦って学んだな」

 

 

ベルの狙いは左腕を爆破させること

 

しかし、アルゴウェスタで破壊しようにも、奴の杭突を飛ばして来て全く近づけない。そこでウダイオスの杭突で攻撃して来たら、攻撃を受ける覚悟で直撃され、その攻撃して来た杭突にナイフを刺した。ウダイオスの杭突は体の一部の骨、繋がってもおかしくはない。ベルはウダイオス戦で奴の攻撃手段を学んで、杭突の中で爆破を起こした

 

繋がっている左腕が内側から爆発する

 

 

「がは!!ぐ!・・・ファイア・ボルト!」

 

ボン!!

 

「ぐわあああ!!ぬう!!」

 

「貫かれた穴をファイアボルトで傷口を塞いだ。なんて無茶を、まあ、間違ってはいないがな!」

 

 

ベルはウダイオスの杭突を体から抜いて、その傷口をファイアボルトで軽く焼かす。当然痛みは激しいがこれで傷口は塞がる。そのまま追撃しようと、今度はベルがジャガーノートの腹の懐に近づく

 

そして

 

 

「ファイア・ボルト!!」

 

 

ドカン!!!

 

 

『ガアアアアアアアア!!??』

 

 

零距離で、甲殻が剥がされた腹肉にファイアボルトを至近距離で放つ。しかし、それでも苦しむばかりで、爆破はしない。おそらく足りないだろう。ベルが続けて魔法を放とうするが

 

 

『ガアアアアアアアア!!』

 

 

「っ!?尻尾!?」

 

 

ベルを吹き飛ばそうと、ジャガーノートはリザードマンの鱗でできた尻尾でなぎ払いをしてくる

 

しかし

 

 

ザシュ!!!

 

 

『ガアアアアア!?』

 

 

「させん!」

 

「ジークさん!」

 

 

その尻尾を、ベルに直撃される前に俺が切断させる。そして俺もジャガーノートの懐に近づき

 

 

「ベル!続けるぞ!」

 

「はい!ファイアボルト!」

 

「ムスペルスヘイム!!」

 

 

ドカン!!!ドカン!!!

 

 

『ガアアアアアアアア!?!?』

 

 

「ぐ!」

 

「がは!」

 

 

至近距離で俺もジャガーノートにムスペルスヘイムを放つ。ベルも続けて魔法を放つと、火炎魔法同士がぶつかった衝撃により、ジャガーノートの体は破裂するように爆発する。その爆破で俺もベルも後方に吹き飛ばされる

 

しかし

 

 

 

『ガアアアアアアアア!!』

 

 

「まだ生きている!?」

 

 

爆破したジャガーノートは、胴体と顔だけが残り、そのまま爆破で天井に吹き飛び張り付く。まだあれだけの攻撃を受けても生きていた

 

だが、これでいい

 

 

「ベル!ここまでだ!」

 

「っ!」

 

 

俺とベルの役割はここまで、奴の胴体にスカルシープの頭が残っているが、もう攻撃手段はスカルシープの杭突を飛ばすくらいしかできない。これだけなら

 

 

「終わらせろ!リュー!!」

 

「リューさん!!」

 

 

ベルも状況がわかったのか、あの状態のジャガーノートは

 

 

 

 

リューが止めを刺すと、俺とベルは彼女に託す

 

 

「はい!今度こそ、みんながくれた正義で、お前を倒す!!」

 

 

『ガア!?』

 

 

リューの周りに、ルミノス・ウインドの球弾が浮いていた。数は十二個。それだけでジャガーノートを倒そうと宙に浮いていた

 

 

「っ!あれは!」

 

 

そのルミノス・ウインドの球弾に『人影』のような者が見えた。それは女性、アマゾネスやエルフやドワーフや狼人やパルゥムやヒューマンの人影が、その人影は間違いなく

 

 

「リュー、仲間の正義を再び持ったか!」

 

 

「みんな・・・・・私に力を!!」

 

 

どうやら彼女がもう一人ではないと、やっと気づいたのか、ルミノス・ウインドの球弾にかつての仲間の人影が俺の眼に映っていた

 

つまり、リューが皆の想いを背負って宿敵を倒そうと、再び正義を手にした

 

 

「ノイン!ネーゼ!」

 

 

リューの足に球弾が二つ回り、その名前を挙げられた人影がリューの背中を押すように、ジャガーノートに向かって飛んで加速する

 

 

『ガアア!!』

 

ビュン!!

 

「アスタ!リャーナ!」

 

 

ジャガーノートは向かってくるリューにスカルシープの杭突を、斬れて左腕の内側から放出するが

 

リューの周りに飛んでいるルミノス・ウインドの球弾の二つが、リューを守るように抱きつき、空中でありながら、横に避け、見事に回避した

 

 

「セルティ!イスカ!マリュー!」

 

 

杭突が飛んでくる中、その攻撃を防ごうと、三つの球弾の人影がジャガーノートの飛んでくる杭突を跳ね返す

 

 

「ああ、これは妄想だ。幻想だ。それでも!!」

 

 

仲間の人影はリューの周りはただのリューが想像している幻想と言う。確かにルミノス・ウインドは風魔法で、人の魂は込められていない。しかし、俺の眼にはしっかりとそれが見える。かつて共に過ごした彼女の仲間が、ヘルのアルカナムを受け継いでしまったから俺の眼に見えるのか

 

彼女の周りには

 

 

かつての仲間が、ジャガーノートを倒そうと、リューは皆と共に戦っている

 

 

「輝夜!!!」

 

 

ビュン!!

 

 

『ガアアアアア!?』

 

 

一つの球弾がジャガーノートの胴体に直撃した。胴体に付いていたスカルシープの頭は壊れた。その直撃したジャガーノートは真下に落下する

 

 

「ライラ!!」

 

 

ビュン!!

 

 

地面に落下する前に、止めを刺そうと、パルゥムの女がリューの背中を押す。そのまま真下に落下するジャガーノートへ

 

そして彼女の右手には、赤髪のヒューマンと手を繋ぐ姿が、あの赤髪の女がアリーゼだろうな、最後の別れをしようと、彼女は最後にその者に言って

 

 

終わらせる

 

 

「ありがとう・・・・アリーゼ!みんな!」

 

(ふふ・・・・・頑張れ!リュー!)

 

 

「っ!この声は・・・・まさか!」

 

 

今。女の声が聞こえた。リューが手を繋いだ赤髪の女から

 

あれがリューの妄想と本人は言っているが。俺からすれば何が妄想だと思う。ちゃんとお前の側に居たではないか、今も一人で戦ってなど居なかった

 

彼女は今まで、彼女たちの想いを持っているじゃないかと、俺はリューや『彼女たち』を見て、そう思う

 

 

 

そして。ジャガーノートに、過去に、苦しみに、憎しみに

 

 

 

 

 

さよならを告げる。再び彼女たちの正義を掲げるために

 

 

 

 

 

 

 

「ルヴィア!!!!!!」

 

 

 

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???』

 

 

ドボン!!!!!!!

 

 

彼女が胴体に最後のルミノス・ウインドの球弾を撃ち込み。ジャガーノートは悲鳴を上げて、白い灰になって消えた

 

 

「ふ!」

 

「っ!・・・ジークさん!」

 

「終わったな。倒したぞ?お前がな」

 

「ああ・・・・・終わったんですね」

 

 

地面に落下するリューを俺が空を飛んで受け止める。そしてしっかりと奴に止めをさせたと。過去と決着できたと伝える

 

そんな言葉を聞いた彼女はとても安心した笑顔を晒す。やっとだな、彼女が再び笑う顔を見るのは、二年ぶりだ。その顔を見るのは

 

もうジャガーノートは消えた。これで確実に。ジャガーノートが消えると、リリルカとアリアが通路の中から出てくる

 

 

「やりました!」

 

「やったね!ベル君!リューちゃん!ジーク君!」

 

「はい!」

 

「ああ、もうジャガーノートは消え去った」

 

「ベル様!治療します!動かないでください!」

 

「ああ、うん。ありがとう」

 

「すごい戦いだったわ、三人とも凄かったわ。あら?リューちゃん?」

 

「ふう・・・ふう・・・ふう・・・」

 

「ジャガーノートを倒せて安心したんだろう。寝かせてやれ」

 

「リューちゃん、頑張ったんだね」

 

「ああ。宿敵を倒したんだ。無理もない」

 

 

リリルカは急いでベルの治療に入り、アリアは俺とリューの治療に入るが、リューがもうそのまま寝てしまった。宿敵であるジャガーノートを倒せたことで、安心して眠ってしまったのだろうと推測する。

 

まあ彼女にとって、ジャガーノートは宿願の敵、もうこれで過去の縛りは消えたのだ。安心して眠っても仕方がない

 

 

これで、しっかりとリューの過去に決着が着いたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のに

 

 

 

『『『『『『グウウ!!』』』』』』

 

 

 

「っ!あれは!」

 

「スパルトイです!?しかもあんなに!?」

 

「あの怪物が暴れているから、壁の穴に隠れていたのね!」

 

「まあ、ここはダンジョンだからな、ここは第五円壁エリアでも怪物は居る」

 

 

ジャガーノートを倒し終えたばかりだと言うのに、壁の小さな穴からスパルトイの大群が出てくる。どうやらジャガーノートに食われないよう小さな壁に入って避難していたようだ

 

ジャガーノートが居なくなった瞬間、俺たちの前に、壁穴から現れる。もう安心だろうと出て来たようだ

 

ここは第五エリアでも37階層の一つ。ジャガーノートを倒し終えても、まだ別にモンスターが居るなどおかしくもなかった

 

敵であることは変わりなく、俺一人で出る

 

 

「アリア。リューを頼む」

 

「ジーク君!?一人で戦う気!?」

 

「ジークさん!僕も・・・う!」

 

「ベル様!ダメです!その傷では!」

 

「お前は休んでいろ。俺一人でも片付けられる」

 

 

リューをアリアに任せて、俺が一人でスパルトイの大群を相手にする

 

ベルも一緒に戦おうと立ち上がるが、ジャガーノートの体を吹き飛ばした爆破の負傷と貫かれた傷穴を塞いだにしても痛みは残っているため、残念ながらリリルカの言う通り休むしかない

 

この程度の数でも、俺一人で問題はない。ジャガーノートの攻撃に俺は何一つ効いてない。体はファーブニル。ゼウスとヘラの眷属の攻撃や魔法でも効かない、『硬化皮膚』。まだ戦えるだけの体力を持っていたため、一人で出向く

 

 

しかし

 

 

「っ!これは!」

 

「ん?どうかしたんですか?ジーク様?」

 

「俺が戦う必要はないようだ」

 

「え?なぜ?」

 

 

俺は一度足を止める

 

リリルカになぜ足を止めたか戦う必要がないのかと聞かれる、なぜ俺が戦う必要がないと答えたか、それは

 

 

とんでもない『加勢』がここに来たと感知したから

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ふ!!!」」」

 

 

ザシュ!ザシュ!ザシュ!

 

 

『『『『『『ガアア!?』」』』』』

 

 

 

「な!?」

 

「え!?」

 

「エルフとダークエルフと猫人?」

 

 

「なぜお前たちがここに居る?アレン、ヘグニ、ヘディン?」

 

 

 

スパルトイ大群が一斉に斬り裂かれて消えていく

 

斬り裂いたのはそのスパルトイの大群の後ろから猛スピードで消し去った三人

 

 

フレイヤ・ファミリア幹部

 

 

ダークエルフのヘグニ・ラグナール

 

エルフのヘディン・セルランド

 

少し包帯を巻いた負傷気味の猫人のアレン・フローメル

 

 

なぜここに居るはずのない。あの姉上のファミリアがここ居るのだろうか、まさか姉上がここに救助を出したのだろうか、とにかく、聞かねばわからぬと問いだす

 

 

「なぜお前たちがここに?」

 

 

「っ!やはりそのお姿はジーク様でしたか」

 

「ジーク様の体が竜の皮膚と角と翼を!?禍々しい姿、しかしその姿はまるで竜の騎士!?」

 

「テメエ、あのお方の言う通り、『やっぱりファーブニルになりやがった』のか!」

 

 

「なぜお前たちが俺がファーブニルになったのを知っているかは知らんが、人の質問に答えろ。なぜお前たちがここに居る?」

 

 

「我々はシル様に言われ、ここまでやってまいりました。あなたとあのエルフを救助するようにと、49階層まで落とされたと聞きましたが、どうやら自身の足でここまで来たようですね」

 

 

「っ!シルがそのようなことを、やっぱり彼女は俺の今の現状を心を通して知ったのか・・・じゃあシルが今の俺のこの姿になっていることも・・」

 

 

「はい。なぜかはわかりませんが、シル様はなぜか黒竜ファーブニルになったから、なるべく救助を急ぐよう言われました」

 

 

「シル。本当に君は俺の心と繋がっているのか?」

 

 

三人がここに来たのは、シルに言われて来たからだと

 

ヘディンが言うには、シルは何も知らないはずなのに、突然俺とリューが49階層に落とされ、尚且つあれ程使ってはならないファーブニルの力を使い、奴そのものになり掛けていると感づいたのか、今すぐアーニャたちだけでは足りないと思ったのか、アレンとヘディンとヘグニを救助隊として向かわせたようだ

 

まさか本当に彼女は俺の心が繋がっているのか、『あのレアスキル』のせいで、俺の今の現状を心を通して知っているようだ

 

 

「お前たちがシルから依頼されたのだと、事情は聞いた。三人とも。後は自分の足で帰れる。シルが無茶なことを言ったとはいえ、ここまで怪物を倒してくれたんだ。感謝する」

 

 

「おお!フレイ様の義弟様が我に感謝を!勿体なきお言葉!」

 

「いいえ、私はシル様に言われたまで、エルフとして貴方様を見捨てることができない。当然でございます。そして・・・・よく生き残った馬鹿弟子」

 

 

「マスター・・・・・はい!」

 

 

ヘグニは、フレイの義弟に感謝に喜び。ヘディンもエルフとしてもシルに言われたからでもあるが、個人的には、このダンジョンに挑む前に修行の成果を見ようと、ベルが今でも生きているかの確認もあるようだ。ヘディンも自身の手で育てた弟子をしっかり見ていたようだ

 

だが、今も無事に生き残っているようで、それ以上何も言わなかった

 

 

「お前にも礼を言う。アレン。そんな負傷でありながら・・・」

 

 

「ち!俺はあのお方に言われたからだ。テメエのためじゃねえ。それに・・・本当にファーブニルになったのか確認のためにもだ」

 

 

「見ての通りだ。仲間や友人のために人間をやめた」

 

 

「つまりは更に強くなったってことだよな?『俺が倒すはずだったファフニール』みたいに?」

 

 

「まあ、これでバロールを倒した」

 

 

「っ!?テメエ!?」

 

「まさか!?」

 

「倒したのですか?あのバロールを!?まさかお一人で?」

 

 

「まあな」

 

 

「て、テメエ!あのオッタルでもできなかったことをやりやがったのか!?テメエが!?」

 

 

「まあな、人間をやめただけのことはあるだろう?ドロップアイテムごと消したから証拠は出せない。嘘だと思うなら勝手にしてくれ」

 

 

「まさかあのお方の言う通り・・・」

 

「間違いなく、オッタルよりも上、あの大猪を超えて黒竜が・・ジーク様が塗り替えた!」

 

「テメエ、そこまで強く・・・・」

 

 

嘘は言っていないが、アレンがあまりにも俺の姿を信じられないと同時に、その力を手にしたのなら『再戦』を求めているのだと思う

 

まあ、この姿になった理由を挙げるなら、証拠のためにバロールを倒すためだと言った。その言葉を聞いて三人は驚愕する。団長のオッタルのした偉業を俺が塗り替えたと。別に張り合うつもりはなく、ただこの姿になった動機を言っただけ、張り合う気などなかった

 

 

「詳しい話は、後ほど彼女から聞いてくれ、彼女なら俺の全てを知っている。早くしないと、俺の仲間と友人が来るぞ?」

 

 

「っ!来ているのですか?」

 

 

「気配で敏感にな、お前らが居ると厄介な奴も居るぞ?例えばアーニャとか」

 

 

「っ!あいつがここに居るのか!」

 

 

「リューを助けるためにな、お前たちがここに居ると警戒されるから、もう帰った方がいいぞ。とにかく、ここまでの救助感謝する。後は自分たちで帰れる」

 

 

36階層に、ゼノスとヴェルフたちの気配を感知した

 

もうすぐここまでやってくる。あれだけ待っていろと言ったのに、言うことを聞けず、仲間のためにここまで来るようだ

 

そこにアーニャも居ると、アレンのためにも念のため、早く別ルートから出ていくよう言っておく

 

 

「では最後に二つ。あの剣姫に似た女は何者ですか?新しい眷属が配属した話は聞いていませんが・・・」

 

 

「話が長くなる。そこも彼女に詳しく聞けばわかる。簡単に言うなら、俺の新しい精霊だ」

 

 

「っ!流石はジーク様です。また新たな精霊を統べるとは、それと18階層でシル様がお待ちです。お早く18階層にお戻りください」

 

 

「なに!?彼女がダンジョンに来ているのか!?」

 

 

「はい。そこでアルフリッグ、ガリバー兄弟に護衛をさせています。あのエルフと貴方様が心配だと、早く会いたいからと、18階層まで連れて行くよう指示されました」

 

 

「どうしても待つ我慢ができなくなったか、分かった。すぐ行く。待っててくれと言ってくれ」

 

 

「わかりました。我々は先に18階層に戻ってお待ちしています。任務は完了だ。行くぞ」

 

「では失礼します。ジーク様」

 

「ジーク。この体が治ったら、その姿で俺とまた勝負しやがれ!」

 

 

「暇だったらな」

 

 

「ち!」

 

 

そう言って、三人は急いでこの階層を出て、別ルートから18階層に帰っていく

 

アリアについては話が長いため、それとあまり名前も出すわけにもいかないため、俺の新しい精霊として、彼女の名前は隠した。知られると面倒だからな

 

 

俺にとってこれが一番驚くこと、まさか彼女がここに来ているのだと、18階層まで来て待っているのだと、帰るのを待つよう言ったのに、リューの身と俺がこんな姿に危険を感じたのか、待つことが我慢できず、シルはガリバー兄弟を護衛に付けて待っているようだ

 

なら、急がねばな

 

 

「36階層の連絡路付近に行くぞ。もうすぐ近くだ。リューは俺が担ぐ。もう時期、俺の仲間と友人が来る」

 

「あの人たちは?ジーク君の知り合い?」

 

「ま、俺の姉上の眷属だと、わかりやすく思ってくれ」

 

「ゼノスとヴェルフ様ですか?」

 

「ああ、もう近くに来ている」

 

「みんな、ここまで来てくれたんだ」

 

「ここに居続けるのはまずい。行くぞ!」

 

 

もうすぐゼノスとヴェルフがやってくる。待っていろと言ったのに

 

なるべく安全な場所で合流したいと、36階層に続く連絡路付近で合流するべくと、この階層の出口に向かう

 

 

この長い遠征も、もう少しで終わりを迎えようとしている

 

目的は果たし、あとは合流のみ

 

 

 

 

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