一方ゼノス達はと言うと
フィンの頼みで六体目のデミ・スピリットを倒しているのだが、戦況としてはあまり良くない。相手は魔法を撃ってばかりで、ゼノスは魔法も無い肉弾戦勝負。どうやってもデミ・スピリットに勝ち目が無いと、増援をフィンに化けているリリルカとフェルズに通信する
「リリっち!フェルズ!なんとか俺たちに増援をくれ!このままじゃあやられる」
『もう少しだ。もう少しだけ耐えてくれ』
『とっておきの増援をフェルズが用意している。それまで保ってくれ!』
「保ってくれって・・・・どんなだけ待たせる気だよ!グロスも居ねえし、これ以上は保たねえよ!」
増援は用意していると言われているが、それを言われてから数十分も待っているのだが、一向に来ない。本当に来るのかゼノスをまとめるリドがどんどん不安になる
しかもグロスも居ない
お使いがあるとかで、今は不在。なんのお使いでどこへ行ったのかは知らないが、とにかく増援が無いとやられてしまうと、絶賛ピンチである
すると
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「な、なんだ!?」
「地面からだぞ!?」
「何か来るぞ!?」
突然地面から揺れが起きる
地面の底から何か起きているのか、いや、何かこちらに迫ってきている地鳴りだった、地面から何が迫ってくるのかリド達でもわからないが、新たな敵かもしれないと警戒して身構える
すると
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「あ、アステリオス!?」
「なんであいつがここに!?」
『来たみたいだね』
『リド。それがお前達の増援だ』
「呼んだのか!?あいつを!?」
地面から出てきたのはアステリオス
これがゼノスの加勢である。ダンジョンから呼び寄せたらしく、ここまで呼んだのようだが、フェルズはずっとクノッソスに居たわけであり
誰かがアステリオスをダンジョンから呼んだ以外無いだろう、一体誰がアステリオスを呼んだのだろうか
「間に合ったみたいだな?」
「グロス!?お前今までどこに行っていたんだよ!?」
「フェルズのお使いで、アルルとヘルガと一緒に深層へ行っていた。強くなるために深層の怪物と戦っていたアステリオスを見つけて、ここに連れてきた」
「ガウガウ!」
「キイ!」
「アステリオスが手伝ってくれるのは嬉しいが、あいつ一人加わったところで、状況は変わるのか?」
「私は変わると思うけどな」
「は?」
グロスとアルルとヘルガが、フェルズの使いで深層に潜っていたアステリオスをここへ連れてきたようだ
リドだけではデミ・スピリットを倒せるとは思えないフェルズの考えではあるが、アステリオスだけでは加勢にしては足りないとリドは言う。グロスはそんなふうには思えない
その理由は
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「うお!?突進か!?」
『っ!?ちい!!』
ガン!ガン!!ガン!!
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「デミ・スピリットの魔法が効いてねえ!?」
アステリオスは迷うことなく、敵と思えるデミ・スピリットに突進を掛ける
その勢いはかなり強く、体当たりされると気づいたデミ・スピリットがアステリオスに魔法を展開して火炎弾をアステリオスに直撃するが
怯むことなく、効いている様子もないまま。アステリオスは気にせずに突進をして
デミ・スピリットの体に体当たりを打撃する
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
『ギイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』
「タックルしただけで、下半身の顔を潰しやがった」
「だから言っただろう。アステリオスは更に強くなっている。あの小僧と次の決闘のためにな」
加勢としては十分な発揮をした
アステリオスがデミ・スピリットにタックルしただけで、デミ・スピリットの下半身部分である巨大な人面がアステリオスが体当たりしただけで、顔面がへこんだ
深層で更に強くなってきたようで、デミ・スピリットの魔法を直撃しても怯むことなく、更には突進でデミ・スピリットの体をヘコませるなど。ベルとの次の決闘のために力を更に付けたようだ
「ベルっち。確かヘスティア・ファミリアも来ていて、この下の階に居たはずだよな?」
「ああ、フェルズの話が本当ならな」
「この事はアステリオスには黙っておこうぜ」
「小僧の姿を見たら、問答無用で挑むだろうからな」
フェルズから俺たちが来ていることはきいている。って事はベルもだ。アステリオスにとってはベルは標的。今は目的を見失ったら困ると、大事な戦力として黙っておくことにした
とにかく、これでゼノスの方も問題なし。アステリオスが来た事で戦況が大きく有利になった
一方ヘスティアとグリフォンは
「あそこだ。グリフォン君!」
「着陸します!」
ヘスティアはグリフォンの背に乗って、上空からクノッソスに侵入する。扉以外に緑肉によって別の地面に盛り上がってる穴が開いており、そこからクノッソス内に入れる。
「着きました。主様からルートを書かれてありますね?」
「うん、この先にある隠しルームだ。でも・・・・・扉が中途半端に開いている」
俺から地図を貰っており、エニュオが居ると思われるルートを書いておき、この事件の真犯人であるエニュオが居ると思われるルームはこの先に隠れている。グリフォンの気配察知ではこのルームに怪物は居ない上に、壁や地面にへばり付く緑肉は死んでいる、となると近くにエニュオが居てもおかしく無いだろう。わざわざ怪物を側に置いておくなんて真似はしないだろうから
だが、その隠し部屋の扉が中途半端に少しだけ開いている。こんな簡単に見つかるとなると、もう誰かが先にエニュオと対面している者が居るのだと、まあその人物は神であり、ここに居るのは一人しかいないのだが、エニュオに因縁があるのか『あの神』が先に居るとヘスティアは予想する
とにかくドアを開けて中へと入る
すると
「っ!?・・・・ドチビ!?ジークの精霊!?なんでここに!?」
「やっぱりロキか、先に来ている事は予想をしていたよ。僕も個人的に決着を着けに来たんだよ」
「そしてやはり主の言う通り、やはり『神デメテルがエニュオでは無い』で正解でした」
「こんな下らない壁画がこんな場所にある時点と、この『ぶどう酒』の匂い。君がエニュオだったなんてね。本当に『この下界でも変わらないんだね』?」
中に入ると、神が二人
まずはロキ、今までクノッソスの攻略を目指したファミリアの主神、己の眷属を偉く痛ぶった犯人を、彼女も決着を付けるために、ここまでやってきた。まあそこはヘスティアの予想う通りである事は驚いてはいない
しかし、もう一人神が居る。できるならヘスティアがここに居ることを信じたくない神が
残念ながらこれは事実。結局変わらなかった。下界に居ても驚く程に変わる事はなかった。いつまでも『狂気であり』『酔っ払い』だった。下界の子供達と冒険者では無い一般市民まで愛されていたのに
それを裏切ってまでその神は狂気に墜ちていた
このルームに辿り着いて、壁に壁画がある。その壁画はとても『悪趣味な絵』。でも『ヘスティアはこの壁画を知っている』。そしてこの『ニーズホッグを滅した大精霊の術式を知っている』。ダンジョンの奥底で『アレを手に入れた』のだと。ヘスティアが知る限りじゃあ
一人だけ。こんなことをできるのは。ヘスティアが信じたくない。その神が目の前にいる
それは
「本当にどうかしているね?そんなに狂気が楽しいのかい?ねえ?エニュオ?君だったなんてね・・・・・・・・・・デュオニュソス!!!」
「まさか・・・・・・・君が来てくれるなんてね。本当に忌々しいね、ヘスティア・・・・・しかも私の正体を知っていたなんてね。今回も私の目論見を壊しに来たなんて、本当に忌々しい」
「どの口が言っているんだよ。みんなを騙して、本当に狂っているよ君は」
その正体はデュオニュソス
この前のロキ・ファミリアがクノッソス攻略で失敗しエニュオに強制送還されたと、タナトスと共に天に逝ってしまったとギルドに通告された
しかし、そうでは無い
奴こそがエニュオだった
オラリオの一般市民にも愛され、自身の眷属にも愛された。どんなに優しい主神だったことか。下界の人間の愚かさでも愛してあげる。そんな優しい男で、フィルヴィスが恋した神だ
だが
残念ながらこれは事実、エニュオの正体はデュオニュソスだった。俺の友人の振りをしていた狂気の神である
「ロキはわかるけど、なぜ君が私の正体に辿り着いたんだい?ましてやここでも私にあまり関わろうとしない君が?」
「もちろん僕は君がそんなことをするはずないって信じていたよ。僕は君が怖かったしね。だから僕は君のことを疑う真似はしなかった。『病気はもう治ったんだ』てね。でも・・・・『君に初めて会った時から疑ってた子供が居てね』」
「疑っていた子供?誰だ?」
「ジーク君だよ」
「っ!?」
「なんやて!?ジークはずっとデュオニュソスがエニュオだと疑っていたってことか!?」
「正確にはデュオニュソスと初めて会った後からエニュオだと疑うようになったよ。ジーク君もそれでからエニュオに関して調べるようになった。初めに気づいたのはジーク君だよ。ジーク君はただの人間じゃない。半分は僕たち同じ神なんだ。そして半神には厄介な力を持っている。それは『僕たち神の嘘を見破る』ことができる」
「なんやて!?半神にそんな力があるんか!?」
「なんだと!?ではジーク君は最初から私のことを・・・・」
「そうだよ。君のことなんて一切信じていなかった。ジーク君は、君がボロが出るまで待っていたんだろうね。『君の計画を壊す』ために」
最初にエニュオがデュオニュソスだと気づいたのは俺だ
初めてデュオニュソスに会った時の俺は
こんな狂気な神も居るんだなと、思った
半神である俺は神の嘘を見抜ける。神は下界の子供の嘘を見抜ける。しかし、俺は逆に『神の嘘を見抜ける』。だから俺は初めて奴と出会った時からこいつがエニュオではないのかと、デュオニュソスに関して調べるようになり、葡萄酒、デミ・スピリット、ダンジョンの深層から登ってくる穢れた精霊の胎児など数多く調べた。そして最もこれが重要だった
デュオニュソスはなんの神なのか、ワインの神と酩酊の神、豊穣の神と、一見調べる限りでは、普通の作物の神だと分かった。
しかし
爺さんとヘスティアからあの言葉を聞くまでは、デュオニュソスはある神でもある
それは
狂気な神
天界ではロキみたいにいろんな神を騙して殺し合いをさせたとヘスティアから聞いた。そんな叔母のすることに似たした男が、ロキみたいに普通に酒に酔って子供と遊んでいるだけの男神だと思った
だが
調べれば調べる程、爺さん眼にも俺の眼にも嘘ばっかりだと。もうあいつ以外居ないだろうと確信した。俺は
「まさかあの忌々しい英雄にも見抜かれているなんてね・・・・なら今までなんで私がエニュオだと。なぜ彼は言わなかった?」
「それはフィルヴィス君が君を止めてくれると、『本当の友人』を信じていたからだってさ?」
「なに?フィルヴィスがだと?なぜフィルヴィスが?・・・・・」
「もちろんジーク君はフィルヴィス君の正体も知っている、知っていた上でジーク君は『エルフとしてのフィルヴィス』君を信じていた。『エイン』ではなく『流石に君はフィルヴィス君には恩恵をそのまま』にしているみたいだしね?それだけ君もフィルヴィス君を愛しているなら、フィルヴィス君が君の計画をなんとかしてくれると、フィルヴィス君を信じてあえて君がエニュだと言わなかった。でも・・・・・やっぱりダメだったようだね、だからここに僕たちはやってきた、友人を助けるためにね?」
「ふん、なるほど。フィルヴィスを信じた上に私のことは今まで友人扱いしていなかったわけだ。だが君たちに何ができる?もう計画は始まっている!フィルヴィスも私の計画通りに動いているに過ぎない。それで何ができる!」
俺はあえてデュオニュソスがエニュオだと皆には言わなかったのは
フィルヴィスが止めてくれると信じたから
フィルヴィスは全て知っているはず、そしてフィルヴィスの正体も俺は知っている。それでもフィヴィスには自身としての意志はあった。恩恵もそのままにしているようだしな。彼女はデュオニュソスを愛していた、愛しているなら彼女を信じて何もせず、デュオニュソスの計画が間違いだと思って止めてくれると思い、あえて彼女を信じて何もしなかった
しかし、残念ながら彼女はデュオニュソスを愛したからこそ、彼の言う通りに動いてしまった
なら
俺たちがここに来てやる事は一つ
「できるんだなそれが、君は僕の英雄と僕のベル君を先に落とすべきだった。あの二人が戦場に出たら僕たちの勝利はもう決まっている。デュオニュソス・・・・・君はもう負けているよ。ねえグリフォン君?」
「そうですね。主が戦場に来てしまったら、ベルさんが冒険を始めてしまっては・・・」
「なんやて?ジークが来とるんか?」
「なんだ?なぜ君はそんなに余裕なんだ?」
ただそれだけ
俺たちがここに来た。何かを救うため、何かを助けるため。どんな邪神の企みをも壊しにここへやってきた
全ては友人を助けるために、英雄のファミリアがここに来た
だからヘスティアとグリフォンも余裕だ。デュオニュソスの目論見はもう見切っている。それでも勝ち目があると?本当にデュオニュソスは思っているのだろうか?もしそうなら
それは彼は間抜けと言うことになる
「一応聞くけどさ、またオルギアでも狙っているのかい?」
「そうだとも!流石だよヘスティア。君ならわかると思っていたよ。ロキと違って、私と同じオリュンポスの神々だ。私のすることを天界でも止められた。本当に君は忌々しいゴミだ!」
「忌々しいのはどっちだ。君だろう!!!」
「なに?」
「下界の子供達にどれだけの信頼を得ていると思っているんだ!それなのにオラリオを滅ぼそうとするなんて、君はやっぱり異常だ!!下界の子供の悲鳴こそが美酒?イカれているにも程がある!だから僕は今まで君のすることを止めてきたんだ!」
ヘスティアは珍しく怒っていた。天界時代からデュオニュソスの異常さに恐怖を抱きながらもなんとか止めてきた
それくらい、彼のする事は理解できなかった。説明が無くとも今デュオニュソスが何をしようとしているのがわかる。
その理由に
「そのためにも『ペニア』も利用したんだろう!」
「その通りだヘスティア。君までわかっていたなんてな」
「全部ジーク君に教えて貰ったよ」
デュオニュソスはペニアも利用していた
実は前のクノッソス攻略で二柱の神の送還を確認されている。一つはタナトス。二つ目はデュオニュソスだと言われているが
しかし
実は『ペニア』である
クノッソスに酒を飲むばかりで自堕落な生活をする神、『貧困の神ペニア』。酒を与えれば簡単に喜ぶような、酒好きな神でもあった
だからデュオニュソスは利用した
「ペニアに酒を飲ませて酔わせ、その間に眷属の恩恵を自分ではなくペニアに変えさせたんだろう、それがバレないように眷属にも酒を飲ませて酔わせた。君の眷属をこの緑肉の魔力路にするために。ペニアを酔わせて送還させて、自分の眷属の恩恵を切って緑肉の餌にしたんだろう!!」
「ドチビ!?なんで自分そんなにわかるん!?」
「正解だよ。なんでそこまでわかるんだい?」
「天界の頃と同じ手口だからだよ!!君はいつもそうだ!酒を相手に飲ませて酔っている時に、狂気なことをさせる!君のお得意の手口だ!!」
酒で酔い潰れた者を利用する。それがデュオニュソスの神で殺し合いをさせる手口だった。天界の時からそうだった。ヘスティアもオリュンポスの神だからこそ。デュオニュソスと言う神を知っていた。デュオニュソスもオリュンポスの神の一人、だからこそ知っていた。デュオニュソスの神と言う。『オリュンポスの中でも狂気な神』は
オルギアを実現させるために、眷属も他の神も利用して殺した。それをヘスティアが知っていた。同じオリュンポスの神だから
だから何度も、彼に恐怖を抱いても止めて来た。もちろんゼウスやヘラも。彼を止めて来た
下界に降りればさすがにやめると思った。下界の素晴らしさに眷属と共に生きることで、考えが変わると思った
しかし
変わらなかった。眷属と他の神を利用して自身の快楽のために、全てはオルギアと言う狂乱のために
「本当にどうかしている!!君のそれは病気だ!!そんなに楽しいのか!眷属や他の神、醸造家の一般市民も。どんなに君を信用したのか!!!」
「ドチビ・・・・・・」
狂乱と言うオルギア
大昔みたいにモンスターを地上に解き放つ事。オラリオと言う蓋を壊して、地上にモンスターを解き放って、モンスターに殺される人間の惨めな姿が見たいと、天界の時から何も変わっていなかった狂気の姿
下界の子供達に愛される姿を何度もヘスティアは街で見た。それだけでなく、冒険者に向いてない者やダンジョンを恐れて潜れない者や娼婦として売り飛ばされそうになった者達も優しく眷属に迎え入れた。この前のクノッソス攻略もデュオニュソス・ファミリアが出ているなら、その者達もデュオニュソスのために慣れてない戦いをした。
なのにだ。その信頼を全て無にしてまで、己の快楽のために全て騙した
その愚行がヘスティアには許せない行いだった。だから
「今回も君の思惑通りになると思わないことだね!!!」
「君たちに何ができる!!君に何が!!」
天界時代から彼を止めてきたように、今回もヘスティアがデュオニュソスを止める
それで何ができるのかと、デュオニュソスは荒ぶりながら否定してくる。今度も自分のしたいことを邪魔されてイライラしているのか、いつもの優しいデュオニュソスはもう居ない。完全に邪神の顔の姿だった
ヘスティアがこれだけ言えるのは常に眷属を信じているからだ。必ず自身の眷属がなんとかしてくれると主神として信じる
ヘスティアは眷属を信じ
デュオニュソスは眷属をも自身の快楽のために捨てた
下界の子供を信じるヘスティアが勝つか、下界の子供の殺戮を企むデュオニュソスが勝つか
それは眷属である俺たちの戦果次第である