夜中、俺とヘスティアは俺の自室にて、故郷に連絡できるマジックアイテムである『水晶』で、俺は爺さんとサーナ達に、ここまでの進境を報告している
主に、俺が黒竜の力を制御して。俺が二代目ファーブニルとなったことを、自由に人間に戻れることを、もうサーナの薬はもう必要ないと、今に至るまでのステイタスを全て話す
『ジーク!凄い姿に!まるでメイジ様と同じ姿に!?』
『凄い!お兄ちゃんが私と同じ姿に!』
『これでもうサーナさんのお薬は必要ないですね』
『うむ、ヘスティアよ。ジークは遂に黒竜までも我が物にしたのだな?』
「うん、当然できると思ったよ。これでもうジーク君は怪物になるのも自分の意志でなんとかできる」
「これでやっと自由の身となった感じだな」
『もはや半神半人なのか、怪物なのか、もはや生物として混合過ぎて、なにがなんだかわからんな、お前は』
『スカサハ、そう言わずに、ジークが黒竜の力を使って自由に変身できるなど、奇跡ではない限りはあり得ないのですから』
『でもよかった。これでフレイの犠牲は無駄で無くなったわ』
「ああ、ゲルズ姉上、これで兄上の犠牲も報われる」
サーナ、メイジ、ヘイムダル、オーディン、スカサハ、ヒルデ、ゲルズに俺は今の現状を伝える
聞く限りでは大喜びだった。まあ師匠の言うとおり、改めて皆に水晶越しではあるが、黒竜人に変身した姿を皆に見せるが、これでは半神半人なのか、怪物なのか、もはや生物としては異生物過ぎて人間なのか怪しくなった
とにかく、これでもう俺は黒竜の侵食は無くなり、常に俺の意志で変身できるようになったことで皆も安心する
サーナとメイジは大喜びだな、サーナはこれでもう薬は必要なく俺は自由に変身できることに喜び、もう侵食もないと、無事に俺として生きれることに、一番心配していたのは間違いないからな
メイジは自分と同じヴィーブルのように変身できる姿を見て、これで本当に実の兄妹になってくれたと喜んでくれた
黒竜の侵食の問題はもう無いと伝える
そして
「爺さん。アリアを召喚した。これで『ダンジョンが騒ぎを起こす』。そういうことだよな?」
『まあ、そうだろうな、デュオニュソスもそんな言葉を吐くとは』
『エニュオの正体がデュオニュソスであることは知ってはいましたが、ダンジョンが限界、私たち神々が下界に降りて千年経ってダンジョンを管理していたとはいえ、もうウラノスでもどうにもならないようですね』
『『ダンジョンオラトリアの話はまだ終わっていない』。色々覚悟した方がいいぞ、ジーク。ヘスティア』
「ジーク君もわかっていたんだね?」
「ある程度はな」
アリアの召喚を果たしたと伝えた
アリアの魂が俺の中に入っていると、爺さんが教えてくれたから俺はアリアが俺の中に居るとわかり、俺は召喚するために準備を整えて果たした
しかし
爺さんもヘイムダルも、『アリアとアイズ』が、どれだけこの下界で特別なのかわかっているため、ロキがなぜそこまでアイズのことを隠したがるのが、関わりのある二人には特にわかっていた
これから、『下界の謎』に直面すると、俺に二人は警告を掛ける。それは今までよりもかなりの苦難である予知な証拠だ
「まあ、今まで通り皆と共に乗り越えるさ、話は終わりだ。これで俺からは以上だが、ヘスティアは?」
「僕も特にないよ。オーディン達は何かある?」
『私たちから聞きたいことはもう何も無いですが・・・・』
『ジーク。私から一つだけ伝えたいことがある』
「なんだ?爺さん?」
俺から伝えたいことはもうない
他に何か聞きたいことはあるかと聞き、サーナたちは大事なことを全部聞けたと、もう特に無いと言うが、爺さんから一つだけ伝えたいことがあるようだ
爺さんの言うことなら、確実にこれから危機のあることを伝えるのだろうと、爺さんの眼に疑わしいものが見えたのか、それを伝えれる
それは
『フレイヤには気をつけよ、お主を『もうそろそろ奪うつもりだぞ』?』
「ああ・・・・・やっぱり姉上のことか」
「っ!やっぱり、オーディンはわかるんだね?フレイヤがジーク君に手を出すことを?」
『あの女神の事はフレイと同様に理解できるからな。ジークも自覚があるようだな?』
「まあな」
『どんな神様なの?フレイの妹さんって?』
「正確に言うには、欲張りな女だ。ゲルズ姉上」
爺さんが伝える内容は警告の言葉
フレイヤには気をつけよ
これを言われると言うことは、遠くからでも爺さんの眼は千里眼でよく見えるのか、姉上の企みまでわかっているようで、俺がレベル7になり、黒竜の力を物にし、四大精霊術も扱えるとなると、もはやこんな異生物が欲しいと、なんでも欲しがる姉上がそろそろ俺を取りに動くと、警告を掛けられる
俺も予想していたことであり。自覚はしている。俺にいつまでも味方してくれるわけではないと、俺の考えをヘイムダルもわかってくれた
「そうか、もう来るか」
『ジーク。予知していたなら、『なぜフレイヤとその派閥を捻り潰さない』?』
「どういうことだ?爺さん?」
『お主はもうそれだけの強さを得た。それも人間が手にするには不可能な力まで、それを手にしながらなぜフレイヤとその眷属を捻り潰さない?』
「驕りすぎだ。いくら黒竜の力を得たからと言って、四大精霊の力までもあるからと言って、姉上の眷属に勝てるほど、俺一人では何もできない」
「そうだよ。オーディン。流石にそれは買い被りじゃない?」
『いや、ヘスティア、ジークはやろうと思えばやれる。それこそファーブニルそのものに変身すれば、フレイヤの眷属とて一掃できる。お主はそれほど敵を倒せる手段をいくつも持っているのに、フレイヤを倒さないのはなぜか?いや・・・・フレイヤではないな、その派閥を倒すことができないのか?』
「爺さん?いや・・・・・・『祖父上』?何が言いたいのです?」
祖父上の意味深の言葉に、流石の俺も『自身の故郷の態度』で話す。それだけ爺さんの言うことは全て当たり、確かに姉上の派閥に戦争を出向くことはできる
しかし
俺はそれでも姉上とその派閥を潰せない。姉上から手を出すのを待っているわけではない。ギルドのペナルティを恐れているわけではない。こっちから攻撃してもいい、あれほど好き放題やる姉上を相手に、こっちだって好き放題襲撃だってできる。義兄上の妹であり、俺の義姉だから手を出せないからじゃない
祖父上は気づいている
今まで俺が姉上に手を出せない理由、本気を出せば姉上も倒せるかもしれない。それでもしない理由を、ヴァルハラの大神には見抜かれている。
その理由は
『もしやフレイヤの眷属の中に、『お主の大事な下界の子供が居る』。だからフレイヤの派閥を捻り潰せない。と言うことか?』
「そうだと言ったら、なんです?」
『やはりか・・・・・』
「ジーク君、まさかそれってシル君?」
「そうだが?」
『え?ジーク?貴方が大事にしている人が居るの?フレイ様の妹様の眷属の中に?誰なの!?』
「・・・・・・・・」
『何も答えないとなると、相当じゃな』
「え!?でも彼女は・・・・」
「知っているさ、『彼女の正体』くらい、それでも・・・・・」
その通りだった。俺が姉上の派閥に手を出せない理由
姉上の眷属に、俺の大事にしている人が居る
だから潰せない、彼女の敵になれない。彼女が入っている派閥に手を出せない。彼女を殺すことになる。それはできない。俺は彼女のためにも、姉上を倒すことはできない
『なるほど、ではそのフレイヤの眷属を奪えばいいのではないか?』
「そう言うと思ってましたよ。貴方のことですから、しかし、どの道姉上がいずれ手を出す、それならその時に迎え撃てばいいのです。こちらから手を出す必要はありません。祖父上は姉上の振る舞いをよく知っているようで、なんでも欲しがるあの女神のすることなら、俺でも取るだろうと警戒しているようですね。まあ、俺も姉上の考えが義弟としてわかるようになりましたけど」
『それで、その者は女だな?』
「そうです」
『ちょ!?ジーク!?』
「二年前から俺は彼女が気になってはいました。今でも彼女のことは大事です」
『なら、なぜその娘を取らない?』
「理由があると言います。理由は・・・・・『俺の心』です」
「やっぱり!?ジーク君はレベル7になって、また感情が!?」
『っ!お主、まさかレベル7で・・・・』
「そういうことです」
『え!?ジーク!?貴方まさか!?』
『『持ってかれたか』、セタンタ・・・・・』
彼女がそんなに大事なら奪えばいいと言われるが、それでも奪えない、いや
『その気がない』『俺はもう壊れている』
俺が彼女を取れないのは俺の心が原因、だから取りに行こうにも取れない。もちろんそれは祖父上やサーナ達にも気づいている。俺の心の闇に関わること
それに彼女も姉上に行動を制限され、俺のものになることができないはず、彼女も取れない。姉上が取りに来る。これからそんなことが起こると
俺も祖父上も予感している
「だとしてもです、今は大事に思っているだけの感情はまだありますので問題ないです。俺はそこまで心を捨てたわけではありません」
『うむ、そうか、ではこれからはどうする気だ?』
「姉上が手を出すなら迎え撃つのみです。そこまで姉上の勝手はさせません」
「でもフレイヤは・・・・」
「ああ、オッタルたちを使うだろうな、それでもだ。いずれ戦う相手だったわけだ。何があろうと姉上の勝手はさせない」
『そうか、それでその娘に何かあっても、後悔はないか?』
「ありません、俺にはもうそれすら・・・」
「ジーク君・・・・」
『ジーク・・・・・』
「とにかく祖父上の警戒は承知しました。ですが、ここから先は俺一人で・・・いいえ、ヘスティア・ファミリアで対処させて貰います。話はここまでで大丈夫ですか?」
『うむ、わかった、私からは以上だ。お主らは?』
『私はありません』
『私もだ』
『私もないよ。オーディン』
『ジーク。私はいつまでも貴方を想っているわ』
『私もよ。例え貴方の心が・・・壊されても』
「サーナ。ヒルデ。大事に思う気持ちはある。だからそう心配しないでくれ。今でも幼馴染であるお前達二人が俺は今でも大事だ」
『そう、それなら・・・・』
『私たちからは以上です』
『うむ、これからは『お主にとっての試練』が始まるかもしれん。精進するようにな』
「心得ています。では皆も元気で」
それだけを話して、俺は通信を切る
もうそこまで来たのかと、祖父上達の話を聞いて、いつか姉上が俺に手を出そうとする時が予感していた、そして今になった。前々から気づいている。姉上がいい加減俺に手を出すことくらい、英雄を好むと言うか、英雄を支配したいと言うか、あの姉には厄介さを感じる
しかしだ
俺が誰のものになろうと、もう俺には愛とかもわからなくなった
「ジーク君・・・・・」
「ヘスティア。わかっていただろう?こうなることは?」
「うん、だけど・・・・」
「いいんだ。それでもまだ感情があるだけマシだ」
「辛くない?」
「辛くない。これは俺が選んだことだ。それに原因がわかったところで、どうにもならん。そうだろう?」
「そうだね。君はいつまでその代価を払わないとならないの?」
「さあ、死ぬまでだろな」
「・・・・・・・・」
兄の愛、母の愛、家族の愛、仲間の愛、たくさんの愛で俺もここまで成長した。なのに、なぜこんなにも余計わからなくなったのか、姉上が俺を欲しいと言われても答えられない。彼女が俺を欲しいと言われても俺は望めない。いつから強さを得るために、これだけの代償を重ね過ぎたのか、こんなにも俺は壊れたのだろうか、異生物だからとかの理由ではなく、もはや心が人ではなかった
レベル7になったことで、カオス・ヘルツがまた感情を俺から奪った
それは
愛情である
これから俺は誰も愛せない男になるのではないのかと、姉上がこれから手を出そうが、この先の未来に不安だけしか残らなくなった。それすら不安であることも感じられずに
「兄上、もし貴方がまだここに居たら、今の俺にどんなことを言ってくれますか?」
迫り来る姉がもう時期やってくるにして、今ここに居ない兄に俺は助けの言葉を吐いた、正直貴方が居てくれたら今の俺になんとかしてくれると思った、久しく俺は兄上に他力本願をした
それとも姉上が俺に教えてくれるか?それとも彼女が俺に愛を教えてくれるか?
愛を望みたかった俺に、俺は兄にもっと愛を教えて欲しかったと、ヘスティアがこれだけ俺を助けようにも、それすら望むことすらできず、むしろもう誰にもどうにもならない
自分の望みが叶わない絶望に、ただただ、嘆くことができない無心を味わうことになった
次回:クリスマス編
聖夜の夢想歌