ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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ヴェーラ・ファミリアの依頼

 

 

タルヴィ達が食事をある程度済ませて、酒場のラストオーダーが終えた後で、洗い物は流石にシル達に任せて。俺はタルヴィ達が座る席に混ざり、ベルテーンの国の現状を聞く

 

 

「さて、酒場も終えた。今なら話ができる。全部話せ。沼の王を倒したいのなら、奴を仕留める正しい情報が必要だからな。それと俺のことはヘラクレスと呼ぶな。ジークと呼べ。あまり英雄呼ばわりされるのが好きじゃない」

 

 

「ジーク殿は我らの国をどこまで知っているのですか?」

 

 

「沼の王が『生命の泉』とリンクし、やられても再生する怪物になり。誰も倒しきれないのが現状。そのためお前達はやむを得ず、沼の王を数年間封じ込める魔法を持つ巫女を犠牲にして。今国は保っている状態。国を捨てて逃げればいいが、何か理由があって国から出れない。いや・・・『生命の泉』を手放すことができない。と言ったところだな」

 

 

「・・・・・・すごい。我々の国をほぼ把握している!?」

 

 

「ジークさん?ベルテーンと言うのは?」

 

「オラリオは知らないのは当然。他国との干渉控えている国だ。とは言ってもほぼ集落だ。だが数百年の歴史を誇る国。ヴェーラ・ファミリアがその国を守る、他国からは幻の国、もしくは霧の国と呼ばれている。なぜそこまで他国との干渉をしないのか、その理由は生命の泉を他国から守るためだ」

 

「生命の泉とは?」

 

「生命の泉は、そのベルテーンのすぐ近くの森に生息する泉があり、その泉はポーションのような効力を持つ水。飲むだけで体を清めることができる。いわば回復の泉だ、彼らは・・・・俺もそこまでは知らないが、その池を守ろうと必死になっている。だから他国に知られるのはまずい。そんな貴重な湖は他国なら欲しがる。ベルテーンは国とは言っても村落。病を観る医者も居ない田舎なら。尚更だろうな」

 

「なるほど。他国との戦争を控えると同時に、その生命の泉を秘密にし守る。そのためにはまずは国の情報を他国に流さないこと。確かにオラリオも知らなくて当然だな。知っている者が居るなら旅の者だけだな」

 

 

「本当に我々にお詳しいですね。ジーク殿」

 

 

「じゃあ、なんでジーク君は知っているんだい?」

 

「俺の祖父が話してくれたんだ。と言えばわかるだろう?」

 

「ああ、オーディンか」

 

「なるほど、あの戦争の神か」

 

「俺の故郷は敵国になりそうな敵を徹底的に襲撃する。とは言ってもそれは俺のやり方なんだが。兄上の派閥時代に、祖父に敵国になりそうな場所はあるかと聞き、ベルテーンの存在を知った。祖父の眼は霧の国でも知る事ができる」

 

「あのオーディンならできそうだな」

 

「あいつの千里眼はなんでも見通すからな」

 

 

俺がベルテーンと言う国を知っているのは

 

兄上の派閥時代に他国で敵国になりそうな場所はあるかと、祖父に聞き、故郷を守ろうと敵国を一掃しようと企んでいた考えを持っていた

 

そこである程度聞いた。ベルテーンがどんな国か、そこを守る派閥は居るのか、その村には何かあるのか、それも含めて全部聞き、敵国であるなら排除すると、カオス・ヘルツが感情を無くし始めた時の、俺は冷酷だった

 

しかし

 

あそこはあるモンスターにより被害を受け、敵国になるどころか、貧困に悩まされて、敵ではないと判断し、そのまま何もせずにただその国があると聞いて、手を出さずにいた

 

まさか

 

その者たちが俺に遂に依頼を出すとはな

 

 

「先程、ウスカリさんが言っていた。その国を救って欲しいとはどういう事なんです?」

 

「本人が居るんだ。本人に聞いた方が早い。こっちはある程度、お前達の国の知っている事はもう話した。今度はそっちが話して貰う」

 

 

「はい。確かにベルテーンのことはジーク殿の今言った通りで間違いありません。その国の近くにある生命の泉で突然、ある一匹のモンスターがその泉に落ち。その泉の力を奪い。泉の環境が激変し、毒のヘドロと瘴気を撒き散らし、我々の大事な泉を汚され、過酷な国となってしまったのです」

 

「無論、俺たちはそいつを倒そうと総力を上げて戦った。だが、奴は泉と一体化しちまって、泉の回復力を奪い、何度も再生する化け物になり、倒しても倒してもキリがなく。終わらない戦いを強いられていた」

 

 

「そしていつしか、手に負えない強さとなって、敗北が続いた。それが沼の王。だな?」

 

 

「ああ、ジーク・フリード。その通りだ」

 

 

突然一匹のモンスターに大事な泉を奪われた

 

その泉を取り戻そうと戦ったが、泉の力で倒して再生する不死身となり、ヴェーラ・ファミリアは沼の王に誰も勝てずに、過酷を負うことになった

 

 

「では、タルヴィさんが生贄の巫女とは?」

 

 

「「・・・・・・・・」」

 

「それは・・・・・・」

 

 

「話さないのなら、俺が代わりに話す。お前達がここに居る理由も、そのタルヴィと言う女に、せめて『最後の思い出作り』としてここに来たのだと、大体理解したからな」

 

 

「「っ!?」

 

「ジーク!?私がここに来た本当の理由がわかったの!?」

 

 

「お前が生贄の巫女なら尚更だ。いや・・・ベルテーンの姫なら、使命があるなら想像が着く」

 

「生贄の巫女って・・・・まさか」

 

「沼の王を止めるために、生贄になるってことか?」

 

「ああ、そういうことだ」

 

「「っ!?」」

 

「俺は爺さんに聞いた。ではその沼の王を倒しきれない彼らはどうしたと聞いたことがある。そして爺さんの口から、『生贄の巫女に魔法を発動をさせて、その怪物に取り込ませて眠らせる』と。ベルテーンはその沼の王を数年間眠らせるために、生贄の巫女を作りだし、国を守るため巫女になる者を犠牲にする。それが倒せない沼の王の対策らしい」

 

「本当なんですか!?ウスカリさん!?」

 

「本当ですか!?タルヴィ様!?」

 

 

「・・・・・・・・はい」

 

「そうだよ、春姫。それが私の使命なの」

 

「ジーク・フリード。あんたウチの姫様のことまでよく知ってんな?」

 

 

「俺の祖父がなんでも知っている神だからな」

 

 

タルヴィはベルテーンの姫にして。国を守る巫女として犠牲にならない存在

 

そのためにいろんな種族で子を継続させたのだろう。おそらくだがタルヴィの先祖達は代々巫女として受け継がれ、子を残したら沼の王の犠牲になると、ベルテーンの王族の使命なのだろう

 

 

「うん、英雄ジークの言う通り、私は国を守るために犠牲にならないといけないの。そうでもしなければ国は滅んでしまう。そのために私の先祖達はいろんな種族で子孫を残し続け。子孫を残したら次は沼の王の犠牲になってきた。それが私たちの巫女の血筋、スイクラーデの一子。沼の王を眠らせる魔法を受け継ぐことができて、それを自身の体ごと沼の王を取り込ませないと。眠らすことができないの」

 

 

「道理でいろんな種族の力が感じるわけだ」

 

「どうしてですか!?タルヴィさんが犠牲にならないと、どうしてもダメなんですか!?」

 

 

「うん、そうしなきゃダメなの。春姫。そうしなければ私たちのベルテーンは救えないから」

 

 

「では聞かせてもらおう。なぜそこまで犠牲にならなくてはならないのか。そもそも国を手放せない理由はなんだ?そんな怪物が居るなら国を捨てればいい。いや・・・・・『生命の泉を手放せない』理由はなんだ?」

 

 

「それは私が説明します」

 

 

タルヴィは犠牲にならないと、国が救われない

 

 

ならその理由はなんなのかと聞く。国が滅ぶと言うより、泉を手放せない。その理由はなんなのか。そんな怪物が居るのなら国を捨てて生きるために逃げればいい。しかし。それでも彼らには生命の泉が必要だった。その理由を

 

ウスカリと言う年齢の高そうなエルフが話す

 

 

「実は、我らベルテーンの者は。始まりの民から『永遠の宿痾』と言う。病気を抱えているんです」

 

 

「生まれた時から宿す難病持ちか」

 

 

「はい。我らはこの難病を抱え、いろんな地でこの病気を治そうと世界中を旅していました。しかし見つからず。力尽きそうになった時、生命の泉を偶然見つけました。その水は我らの発作を止めることのできる。我々の生きる希望なのです。そしてその近くでベルテーンと言う国を築き。短命な種族である我らは。その病は子孫である今を生きる我々にも継続している」

 

 

「つまりお前達はあの生命の水を定期的に飲まないと、死んでしまうと言うことだな?」

 

 

「はい。国を捨てることができないのは、生命の泉が無ければ死んでしまうからです。だから国を捨てることができないのです。この病をどうにかできるのはあの泉の泉水のみです」

 

 

「そうか、それで国を捨てることができないのか。では今はどうしている?沼の王に生命の泉を取られたはず。なら水も汚染しているのではないか?」

 

 

「はい。沼の王が生命の泉と一体化したことにより。泉の水は汚染されました。私や兵士たちが度重なる濾過を行い。どうにか飲むことはできます」

 

「化け物の体液が入った汚れた水を飲まないと生きられないなど。もはや生き恥だ」

 

「っ・・・・・・・・・・」

 

 

「なるほど、その病をなんとかすればいいと思うが、生まれ持っていた病にして子孫に継続する難病だと。アミッドでも、俺でも治せるか怪しいな」

 

「ジーク君でも難しい?」

 

「症状を聞く限りではな、もはやアレルギーだな」

 

 

永遠の宿輪

 

先祖から代々受け継がれてしまった難病。その難病を治す方法はなく。旅をして彼らはその病を治そうと必死になり、辿り着いた先が生命の泉。その泉水を定期的に飲まねば死んでしまう病気

 

生まれ持っての病気で治すのは本当に難しい。それこそアレルギーと呼んでも良いほどだ。生命の泉が無ければ生きられない。長い旅をして見つけた泉を手放すことは

 

ベルテーンの者達にはできなかった

 

 

「しかし、お前達どうしてそのタルヴィと言う女性を生贄にすれば沼の王と言う怪物を止めることができると気づいたんだ?誰かに方法を教えて貰ったとしか思えないんだが?」

 

 

「それは数百年前に我らの故郷に現れた、我らの主神ヴェーラにより、対策する方法がそれしかないからと。仰ったもので、我々はやむを得ず、ヴェーラ様の言葉を信じて生贄を捧げることを選びました」

 

 

「ヴェーラが提案したのか。生贄を捧げることで沼の王を止められると」

 

「あの『正直者のヴェーラ』なら。確かにそう言ってもおかしくない。その沼の王が倒しきれない場合を、考えた結果だろうね」

 

「どんな神なんだ?ヘスティア?」

 

「底意地の悪い神で。捻くれたことをばかり言う女神。でも嘘を付かない女神で、言葉に対して正直に答えてはくれる女神なんだ」

 

「なるほど。国を沼の王から守るためにはそうするしか、他に方法はその主神が考える限りではなかったわけか」

 

 

沼の王を倒せない場合を考えて、ヴェーラと言う女神は最低限の提案をした

 

それを実行する他なく、国を守るために巫女を差し出して保っていた。今の状況の話を聞く限りでは、そうするしかないだろう。国と言う多くの者を救うには、一人の人物が犠牲になる。ヴェーラの判断は俺も正しいと思う

 

 

「でしたら、他国や私たちオラリオの冒険者に頼れば良いのではないのですか?」

 

 

「もうしました。四百年前に、ですが全滅しました」

 

 

「「っ!?」」

 

「何度倒しても再生をするんだ。全滅してもおかしくないな」

 

 

「我が国で財産と呼べるような報酬をかき集めて、依頼しました。それでも勝てず、ギルドに更に強い、ゼウスやヘラのような強いファミリアを貸して欲しいとも言いました。ですが同時のギルドは・・・・『国を捨てた方が賢明』だと、断られました」

 

 

「「・・・・・・・」」

 

「ゼウスとヘラの派閥は当時ベヒーモスとリヴァイアサンの討伐に忙しかった。だからギルドはお前達の事情を知らぬ故に、国を捨てろと言ったのだろう。他国が危機だろうが、世界を滅ぼすかもしれない怪物を専念すべきと、ベルテーンの問題に付き合う暇がなかった。そこで生命の泉の件を話すのもいいが。ギルドが欲しがる可能性もあるため、他者に泉を渡さないためにも。事情を話さずに諦めた。ってところか?」

 

 

「はい。ジーク殿の言う通りです」

 

 

「なるほど、他国に頼るのもオラリオに頼るのもダメ。沼の王は倒せない。完全に八方塞がりでお前達はこの少女を犠牲にする他なかった訳か」

 

「っ!じゃあ生贄になるタルヴィ君が、今日僕らと楽しく、わざわざ遠くまでここオラリオで過ごしていたのは!?」

 

「死ぬ前に、良い思い出作りをしたかったのだろう、死ぬ前に生きてしたいことをさせる。配下達の情けだろうな」

 

「「っ!?」」

 

 

「うん。私オラリオに一度行ってみたかったから、死ぬ前にこんな楽しいことを味わえて良かったよ。そして友達にも会えた」

 

 

「タルヴィ様・・・・・・」

 

 

春姫がそれこそオラリオに頼めばいいと、他国に力を借りるべきだと言った。

 

 

しかし、そんなことはもうしていた

 

 

結果敗北、そしてそれ以上の強い派閥を応援を頼んだが、当時、ベヒーモスとリヴァイアサンに強い派閥は専念していたため、残念ながらベルテーンの依頼は拒否された

 

そのため犠牲でしか国を救えない。そのためのタルヴィだ

 

ならタルヴィは配下達を連れて、なぜオラリオで今日遊んでいるのか、それは死にゆく人の情けである。死ぬ前に良い思い出を作ってから死ぬ。死にゆく犠牲者の最後の情けだ。タルヴィは一度でもいいからオラリオに来たかったらしい。故郷に比べてここには楽しいことがいっぱいある。死ぬ前に味わいたかったのだろう

 

だから彼女はここに来た。

 

 

そして偶然、春姫と出会い、出会ったばかりとはいえ友人になった

 

 

と言ったところか

 

 

「そんな・・・・・・・」

 

「沼の王は泉とリンクして再生し倒せない。自分達でも戦った。他にも頼った。しかし、倒せず、だから犠牲しか生きられない。彼らの残された選択肢だった」

 

「っ・・・・・・ジークさん!!なんとかなりませんか?」

 

 

「っ!」

 

「小僧・・・・・・」

 

「ベル・・・・・・」

 

 

話を全部聞いた上で、俺の仲間であるベル・クラネルは俺に救済方法はないかと聞かれる

 

新しい友人を得たが故に、命に危機あることがあるのなら解決したいと、友人を新しく得たこの少年は、現代英雄と呼ばれる俺に彼女の救済方法を尋ねられる。誰かを救いたいと言う。一心の想いで

 

 

「またワガママを言ってすいません。それでもやっぱり僕は納得できません!!また英雄信仰なことを言いますけど、犠牲して生まれる救いなんて無いと思います!!僕はタルヴィさんを救う方法と国を救う方法。両方を手にしたいです!もちろん僕じゃあ無理ですけど、ジークさんならなんとかできませんか!?僕、どうしてもタルヴィさんを助けたいです!!」

 

「そう言うと思った」

 

「私もです!!タルヴィさんのことは今日会ったばかりですけど、それでも助けたいです!かつてジーク様達が私を助けたように!お願いします!!どうかタルヴィ様を助けてください!国を救うためとは言っても、タルヴィ様を生贄にさせたくありません!!ジーク様!!!」

 

「お前もか、春姫・・・・・」

 

 

「春姫・・・・ベル・・・・・もうやめて!!二人ともいいの。これは私のしたいことだから・・・・・」

 

 

 

「じゃあ死んでもいいんですか!?後悔はないんですか!?」

 

「私は嫌です!!貴方が良くても、私は嫌です!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「わかってますよ。そうしなきゃ国を救えないことも。今まで犠牲になった人も浮かばれないのも。けど!!」

 

「それでタルヴィさんが死んで丸く収まるわけじゃあないんですよ!眠るだけってことは、またタルヴィさんのような人がこの先で犠牲になる。そして私は嫌です!初めて他国のお友達ができたのに、それを出会ったばかりで失うのは!!」

 

 

「ベル・・・・春姫・・・・・」

 

 

「どうなんだい?ジーク君?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

ベルと春姫は、タルヴィが犠牲になることを納得しない。

 

どうにかして救う方法を考えて欲しいと俺に言ってくる。国を救うためとはいえ、正しくないことを誰かにするか、もしくは自分が納得できない状況になると、誰であろうと勝手に意見をしてはお節介なことをする。二人の悪い癖だ

 

しかし、それでもタルヴィを救いたい気持ちはわかった。仲間の頼みを聞かないわけには行かない

 

 

敵は沼の王。欠点は何度倒しても再生する。おそらくだが、他にもモンスターは居るだろう

 

 

そんな敵を倒せるのか、結論は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、沼の王は倒せる。確実に、今の俺なら」

 

 

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

「本当ですか!?」

 

「倒せるんですか!?」

 

「本当かい?ジーク君?」

 

「ああ、ただし・・・・」

 

「「ただし?」」

 

 

 

 

「沼の王は倒せても、泉は俺でも治せない」

 

 

 

「「・・・・・・・・」」

 

「そうだね。沼の王は倒せても、泉は治る訳じゃないもんね」

 

「倒しても、泉の汚染はそのままだからな」

 

 

沼の王は倒せると、ハッキリ言える

 

再生する怪物など、ファーブニルのレアカースが使える今の俺なら叩くことができる、泉とのリンクして再生しているのなら、その力を封印すれば、もう泉とのリンクも外すことができる。だから倒すのは実質可能だ

 

 

 

 

もう沼の王に汚染された泉は俺でもなんともならない

 

 

 

俺でも自然を変える力はない。俺ができるのは怪物を仕留めるだけ、泉はなんともならない。治せそうな者を知っているくらいで、怪物の体液で汚染された泉は俺でも何もできない上にやったこともない。

 

 

「泉は俺でも無理だ。それを治す術は俺は知らない」

 

「汚染された泉はジークでもなんともできないのか?」

 

「タケミカヅチ。あんたは俺がなんでもできる奴だと思っているのか?」

 

「まあな、お前は今まで偉業を多く成し遂げた。そんなお前ならできると思った。流石にお前でも限界はあるか。この前も含めて何かできると思ったんだが・・・」

 

「そこまでは不可能だ。環境を変えるのは人間には不可能だ、だが、沼の王は倒せる」

 

 

「その話、本当ですか?」

 

 

「ああ、泉とリンクをして再生する。それはもう奴の力になった。じゃあ俺のレアスキルで封印すればいい。そうすれば再生することなく倒し切れる」

 

「じゃあジークさんが沼の王の力を封印して倒せるんですね?」

 

「泉はなんともならないが、少なくともタルヴィ。お前を助けることはできる。泉はそのままになるが、どうする?」

 

 

「私は・・・・・助かるの?」

 

 

「これまでの通りの生活にはなるが、少なくとも、もう巫女を犠牲にする必要は無くなる。もう死人を出さずに済む。どうするかお前達が決めろ。俺はもう春姫とベルが頼み込んでくる訳だから、二人に頼まれる以上は俺はやる。あとはお前がそれを望むかだ。どうする?タルヴィ?」

 

 

「私は・・・・・・」

 

 

沼の王はなんとかできるから、もうベルと春姫にも頼まれるし。俺が沼の王を倒しに行くことは決まっている。しかし、それをタルヴィが望むかだ

 

犠牲になる彼女が望まないのならやる気はない。俺は今までベルテーンの事情を知っていた。それでも何もしないのは俺に関係がないと同時に、別の者に救われても彼らにお節介だと思われるだろうと何もしなかった。

 

しかも彼らは、今までどんな派閥に頼んでもダメだったことを経験した彼らはもう他派閥に頼むことを諦めていた。でなければリダリと言う男が現れた時、『やっぱり英雄さんに頼んでみないか』と言っていた。やっぱりと言うことは、ここに来たときは『当初は俺に頼む気などなかった』。頼む気もないことに関わる気はない

 

 

果たして、依頼を出してせめて沼の王だけでも殺すか、はたまたこのまま国が永遠に救われない生贄を続けるか、生きるか死ぬかだ。

 

どうするかはタルヴィが決める

 

 

すると

 

 

「姫様。私はジーク殿に依頼を出すべきだと思います」

 

「旦那の言う通りだ。ここはジーク・フリードに賭けてみようぜ、お嬢」

 

「ウスカリ、リダリまで」

 

「泉はこれまで通り、私たちが濾過を続けます。沼の王が消えるだけでも我らの国が、完全ではないですが、救われます。この大英雄ヘラクレスに。頼るべきです」

 

「俺もだ。泉もなんとかしてくれるなら嬉しいことだが、あの沼の王をだけでも滅ぼすことができるなら。俺はジーク・フリードに賭ける」

 

「「「「「「あの怪物が消えるなら、これまでの生活でも我慢できます!!!」」」」」

 

「みんな・・・・・・・」

 

 

「タルヴィ様」

 

 

「っ!」

 

 

「生きることを諦めないでください。生きてしたいことがいっぱいまだあるはずです。私はあります。来年もタルヴィ様と聖夜祭を楽しみたいです」

 

 

「春姫・・・・・・」

 

 

「生贄にして救われる国はない。それでも続けることが正しいと思うか?タルヴィ?」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

タルヴィは迷っていた

 

生贄しか国は救えないと思っていた。それだけでなく今まで犠牲になった巫女たちの想いを無駄にすると考えているだろう。それならその因果をここで絶ってしまった方が犠牲になった者達に報われると思うがな

 

皆が犠牲になったおかげで、やっとあの怪物を倒せる方法が見つかったと

 

さて、皆に説得され、どうするか

 

 

タルヴィの答えは

 

 

 

 

 

 

 

「みんな。私は生きていいのかな?」

 

 

 

「ああ、もちろんだ!」

 

「そうだ。それでいいんだ」

 

「「「「「「姫様。生きましょう!」」」」」

 

 

「タルヴィさん!」

 

「タルヴィ様!」

 

「答えは決まったか?」

 

 

 

「うん、ジーク!その他のベルたちも、お願い!私たちの国を救って!!」

 

 

「ジークさん!」

 

「ジーク様!」

 

「決まりだ」

 

 

こうして聖夜祭の初日だと言うのに

 

 

他国系ファミリアの依頼を受ける

目的は近隣付近に生息する『沼の王』を討伐

 

 

厄介なのは再生する能力、それは俺が抑えるにしても。おそらく敵はその単体だけではないはず、沼の王の存在は知っているが、今どのような状態になっているか、存在は知っていても、奴の現状はわかっていないため、沼の王の現状を聞く

 

 

「だが、討伐は受け入れるが、奴の今の現状を教えてくれないとわからない。存在は知っているが、今どんな状態になっているのかは知らない。どうせ敵はその沼の王本体だけじゃないと思うが、ウスカリ、どうなんだ?」

 

「ジーク殿の言う通りです。奴は分身を数多く体で生成し、泉の周辺や我らの国を攻め込むようなことばかりしてきます。今の所はここに居ない騎士たちでなんとか国に攻め込まれずに耐えてはいます」

 

「数は?」

 

「・・・・・・数百は居ます」

 

「数百!?」

 

「やはり一筋縄ではいかないか、ウスカリ、ヴェーラ・ファミリアの眷属の数は?」

 

「百数十人くらいしか居ません」

 

「それだけの数でよく国を守ってきたな、沼の王との日々の戦闘で。騎士たちもだいぶ強いようだ。そのためウスカリとリダリはレベル4か」

 

「っ!よく分かりましたね?手合わせもしていないのに」

 

「魔力量を測れる体で察知できるため、お前たちのレベルは大体わかる。だが、それでも数が足りない」

 

「ジークさんが加わっても難しいですか?」

 

「俺は奴本体にレアカースを掛けないとキリが無くなる。その間に分身が国を攻め込まれたら困るだろ?だから本体を叩く間に分身たちに攻め込まれないために防衛も必要だ」

 

「なるほど、てことはこちらも戦力を揃えないとならないか」

 

「ああ、沼の王の戦いは、国を守りながらの攻防戦だ」

 

 

敵の数と戦況を聞かねばまともに戦えない

 

沼の王と言う名前だから、体は泥でできている沼系の怪物。自身の体に付いている泥で分身を作り、ウスカリの国を攻め込む

 

本体にレアカースを掛けなければ分身たちも倒しきれないと再生されるのが邪魔だ。

 

となると

 

 

 

本体を倒すための攻める勢力と、国を分身たちから守る勢力が二つ必要がある

 

 

 

「しかも、魔石が見つからないのです」

 

「魔石が見つからない?それはあまりにも奴の体が大きいと言うことか?」

 

「体が大きいと言いますか・・・・沼の王はもはや怪物ではなく、怪物単体の体ではないと言う意味で、泉に流れる川までも奴の体になったと言えばいいでしょうか」

 

「なるほど、泉と一体化したことで、その地形そのものが奴の体になった訳だな?」

 

「はい。もはや我々の守る泉が、一種のダンジョンになっているのです」

 

「ダンジョン!?・・・・・」

 

「奴が源泉と一体化したせいだ。その土地そのものが奴の体になった。これから俺たちが挑むのは、他国のダンジョンってわけだ。おそらく地脈そのものも乗っ取られ、それで分身を作っているのだろうな」

 

「はい、そのため、奴のどこに魔石があるのか見つけることすらできません」

 

 

予想以上の敵だ。沼の王は生命の泉を奪ったことで、その周辺の土地そのものに体を宿すとなると

 

 

もはやダンジョンと同じ、『生きる土地その者の怪物』だ

 

 

だからどこに魔石があるのかわからない。しかも再生して、奴の体の奥を調べることができない。確かにこれはかなり強敵だ。再生する怪物、土地の地脈を利用して環境を汚染し分身を作る。魔石はとある場所に奥深く隠していてわからない

 

まるで階層主だな

 

今回の敵は強敵のようだ

 

 

だが

 

 

「沼の王の魔石の位置は、俺が奴の近くに行けば、魔力察知で確認できるから問題ない」

 

「本当ですか!?」

 

「とは言っても。どうせその生命の泉にあるのだろう。でなければ奴が再生するはずがないからな、魔石を隠すにもちょうどいい場所だ。砕けたら再生するつもりで、泉の底に隠しているはずだ」

 

「どの道、あとは現場に行って、現状を確認して作戦を建てるしかないってわけか」

 

「ああ、あと・・・・・戦力もな」

 

「分身も出るとなると、確かにこちらも数を揃えないとな」

 

「なるべくレベル4二人ともう一人レベル5が欲しい。そうすれば国の防衛はなんとかなるだろう。沼の王はリダリたちをずっと相手してきた。となると沼の王は相当の強さだと仮定するべきだろう」

 

「そういえばジーク・フリードのレベルは幾つだ?」

 

「レベル7だ」

 

「「「「「レベル7!?」」」」」

 

「流石は英雄。レベルまで都市最高レベルとは」

 

「それでも数を揃えなくては・・・・」

 

 

国を守れるだけの数を揃えないとならない

 

いくら俺が居ても、国を守れるだけの数が足りない。敵は単体ではない。分身と言う数百を相手にしなければならない。そうなると俺がレベル高いにしても、他は必要だ。そういう軍勢の敵は一気に魔法で潰す方法もあるが、彼らはその生命の泉を取り戻すのも目的。そのため、使うとしたらニブルヘイムしか使えない、泉の環境になるべく被害を出さない戦法を取るしかない

 

そのため白兵戦ができる者が必要だ

 

あと三人は必要だ

 

なら

 

 

「春姫。あとでアイシャを呼んで来い」

 

 

「アイシャ様に頼むのですか?」

 

「ああ、彼女はアマゾネスで白兵戦は得意なはず。彼女を戦力に入れる。お前の頼みなら聞いてくれるはずだ」

 

「分かりました。居場所は知っていますので、あとで呼んできます」

 

「それとリュー。お前もだ」

 

「え!?わ・・・私もですか?」

 

「そうだ。お前の速さは優秀だ。力を貸してくれないか?」

 

「同胞。すまないが、貴殿も我らの国を救ってはくれないだろうか?」

 

「分かりました。しかしミア母さんが・・・・」

 

「俺がなんとかする。ミア!今日の給料も要らない。この者たちの依頼を受けた後の一週間、俺がタダで働く。だからリューをしばらく貸してくれ」

 

「あいよ。リュー。行ってきな」

 

「はい、力になります。ジークさん。同胞も」

 

「ありがとうございます」

 

「これで二名揃った」

 

 

俺は春姫にアイシャを呼ぶよう頼み、俺はミアに許可を貰ってリューを借りる。

 

リューとアイシャが居れば、素早さと豪快さがあれば多数の敵を蹴散らすことができるだろう。アイシャは敵が多く居ても好きに暴れるから問題なし。リューは素早い上に、泉に影響を与えることのない風の魔法を持っている。二人は多数の敵において必要な人材だ

 

アイシャは春姫に頼めばなんとかなる。リューはミアにいろんな対価と引き換えに、なんとかリューを借りれた

 

 

あとは

 

 

「あとは椿だな」

 

「椿くん?なんで?」

 

「あいつは今、ヴェルフの代わりにこっちでホームの留守番をしてくれている。それはサラマンダーにでも頼んで、椿にも同行して貰う。あいつはどんなものでも持っている武器でなんでも斬ろうとするから、敵の数関係なしに大いに戦ってくれるはずだ。彼女も連れて行く。頼めばやってくれるだろう。なにせ、自身の作った武器を試し斬りしただけで強くなった女だからな」

 

「そ、そうなんだ・・・・わかった。椿くんには僕が頼んでおくよ」

 

「頼む。ヘスティア」

 

 

最後に椿を呼んでおく

 

実はヴェルフは聖夜祭の最後の日まで、ヘファイストス・ファミリアのホームから帰ってこない。その彼の代わりとして椿をヘファイストスが貸してくれた。万が一の武器の調整が必要な鍛治師として。椿を貸してくれた

 

今は椿はヴェルフの鍛冶部屋で留守番している。ならどこかへ連れて戦ってもらっても問題はないはず。彼女にもこの依頼に同行して貰う

 

 

「ジークくんの精霊は連れて行く?」

 

「ああ、ウンディーネとグラニとグリフォン。そして・・・・・・シルフだな」

 

「シルフくん?どうして?」

 

「魔力が切れたりするとまずい。あいつは他の精霊と違って、俺の魔力がないと消えてしまうかもしれないからな」

 

「ああ、シルフくんの体はジークくんの魔力で作っているんだっけ?」

 

「ああ、アイズと過ごしていると思うが、彼女には悪いが、同行して貰う」

 

 

もちろん俺の精霊たちも連れて行く

 

連れて行くのは移動に有効なグリフォンとグラニ。そしてウンディーネとシルフである。ウンディーネは水の精霊であるため、森に影響もない水攻撃が沼系の怪物に有効だ。そしてシルフなんだが、彼女はウンディーネや他の精霊と違って、体は俺の魔力生成しているため、俺が出かけている間に魔力が切れてシルフが消えて天に逝っているなんてあっても困るため、基本的に俺が出かける際はシルフも同行。シルフの体はファフニールにやられたため、俺の魔力で体を生成しているため、魔力切れにならないよう、俺となるべく側を離れないようにして貰う

 

今頃アイズと過ごしていると思うが、彼女にも連れて行くよう頼むしかない

 

 

「タルヴィ。あとは俺たちで戦いに参加する者たちに説明はしておく、宿は取ってあるだろう?お前たちは先に休んで、明日の昼前に門前で集まってくれ。明日オラリオを出るぞ」

 

「早めに依頼を受けてくれるの?」

 

「沼の王はそこまで待たせてくれるとは思えないしな。早めの方が良いだろう。依頼は受ける。だから今日はもう休め」

 

「うん、わかった。本当にありがとう。ジーク。ベル。春姫。私たちの国の危機を救ってくれなんて。無茶に頼んだりして」

 

「ありがとうございます」

 

「感謝する」

 

「俺は仲間に頼まれたから、団長として務めを果たしているだけだ」

 

「僕はその・・・・・ワガママで」

 

「どうしても納得できなかったもので」

 

「と言う感じで、いつも俺たちはこんなものさ。何か納得できなければ、なんでもかんでも解決しようとして無茶なことばかりする」

 

「それが僕たちヘスティア・ファミリアだからね」

 

「すげえな、これが大英雄ヘラクレスのファミリア。ヘスティア・ファミリアか」

 

 

今回も、俺たちは。巻き込まれると言うより、面倒事に自分達から首を突っ込むと言う、大きなお節介をする

 

今回はベルと春姫の要望だ。友人を助けたいからと他国の問題に首を突っ込む。ヘスティア・ファミリアをリダリは変な派閥だと思うだろう。そう言われてもおかしくないくらい。俺たちは戦いを自分達で作るのだろう

 

 

 

 

今回の依頼

 

 

ベルテーンの怪物、沼の王の撃破

 

 

 

聖夜祭があ流と言うに、今日も俺たちは戦いに身を投じる。全てはベルと春姫の友を助けるためである

 

 

 

 

 

 

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