ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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前夜祭とは言え、羽目を外しすぎるのも良くはない

「ティオナさん。ティオネさん。その大剣闘祭は第一冒険者は誰が出るんですか?」

 

「えっと・・・・・・ウチのファミリアでは・・フィンとガレスと・・・・ベートとアイズだね!」

 

「フレイヤ・ファミリアも居るわよ。猛者のオッタル。アレン・フローメルにブリンガル兄弟。それとガネーシャ・ファミリア団長のシャクティ」

 

「あとヘルメス・ファミリアで。アスフィさんやルルネさんも出ていますよ?」

 

 

「あいつらはともかく。まさかシャクティやアスフィ達も出るとは思ってなかった」

 

 

大剣闘祭に参加している冒険者は聞いてないため、誰が出るかなど聞いてない。改めてティオナ達に聞いたが、まさかヘルメス・ファミリアやガネーシャ・ファミリアが出るとは思ってもいなかった。あいつらはそこまで戦いに興味は無いはずだが。自分から進んで戦いに出るとは俺は思ってもいなかった

 

ギルド主催の模様しでもあるため、オラリオの力を他の国に見せるだけのイベント、本気出して戦うことは禁止。興行用の芝居らしいことをして模擬戦として戦わないとならない。

 

と、ロイマンが参加している冒険者に注意を呼びかけると思うが、上級冒険者達は・・・・いや、あいつらが絶対に言うことを聞くはずないだろうと。ストッパー役としてヘルメス・ファミリアとガネーシャ・ファミリアを参加させているかもしれない

 

あいつらが他のファミリアに挑むチャンスはこれくらいしか無いため、絶対に言うことを聞かずに本気でやることをロイマンは知っているからこそ、ストッパー役をも参加させるようにしたのだろうと。ロイマンは保険を用意したのだろうと理解した

 

アスフィたちに頼んでもあいつらレベル6共を止められるとは思えないほど怪しいがな。フィンでさえも

 

 

「おいジーク?やっぱり今年も混んでいるみたいだぜ?ほら?」

 

「ああ。みたいだなヴェルフ」

 

「入れそうに無いですね。ジーク様」

 

 

闘技場の前に着いたが、受付場が酷くなっている。いろんな冒険者が押し寄せて受付人に入場したいがために交渉しているようだ。それも多くの人数が殺気立ってて押し寄せているため

 

どうあっても割り込みが出来ないほどの不可能な状況だった

 

 

「ああ。もうこれは無理だな」

 

「ええ!入りたい!」

 

「とは言ってもこれじゃあ無理よ・・」

 

「割り込む隙すら無いですね・・」

 

 

「でも・・・ジーク君の言う通り難しいよ。これ」

 

「でも・・・見てみたいです。アイズさん達が戦うところ・・・」

 

「それは俺も見てえけど・・・」

 

「流石にこれでは・・・ジーク様の言う通り諦めるしか・・・」

 

 

俺たちは完全に諦めるしかなかった。ベルとティオナがまだ諦めずに粘ろうとしている。それでも多くの人数が受付馬で押し寄せていて入ることができない。もう門の所でガネーシャ・ファミリアの憲兵まで出て、押し寄せる冒険者達を追い出していた。

 

もう席は満席。こればかりは諦めようと帰ろうとしたが

 

 

 

「なんとか出来るか?・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレイヤ?」

 

「ええ。私がなんとかするわ」

 

 

「「「「「「「え!?」」」」」」」

 

 

突然俺たちの後ろからフレイヤが着替えて後ろに立っていたことに気づいていた。その両隣にはヘディンとヘグニも居る。ティオナ達と出会った後にまた二人が跡を追っていたのだと理解した。理由はフレイヤが美女コンテストも終わった後に義弟である俺と一緒に出店を回りたいがために。またヘディンとヘグニに無茶なことを言って追うようにしたのだと理解した

 

突然フレイヤが現れたことに、全員驚いた

 

 

「フレイヤ!?いつの間に!?」

 

「あら?さっきぶりね。ヘスティア」

 

 

「またお前ら俺を跡を追っていたな?ヘディン?ヘグニ?」

 

「ええ。申し訳ありませんジーク様。これもフレイヤ様の命令ですので・・・フレイヤ様があなたと出店を回りたいと言うもので・・・」

「跡を追いました」

 

「だろうな・・・」

 

「まさか神フレイヤがまだ外に居るだなんて・・・」

 

「バベルに帰ったわけじゃあないんだね・・・」

 

「しかもあの・・・・・白黒の騎士。『白妖の魔杖』のヘディン・セルランドと『黒妖の魔剣』のヘグニ・ラグナールが居るだなんて・・・私初めて見ました」

 

「同胞の者よ。我らはフレイヤ様の護衛のため外にも出ます」

「・・・・・・」

 

 

「まさかここまで追ってくるなんて・・・・じゃあフレイヤ?これジーク君のためにも頼めない?」

 

「ええ。私の魅了でなんとかするわヘスティア」

 

 

「ジーク?あんたいつの間にここまで神フレイヤと交流していたの?」

 

「もしかして・・・・俺らが仕事をしている間にか?」

 

「確か・・・・・リリ達が仕事している間に神フレイヤに会ったとか・・・」

 

 

「ああ。その時眷属全員にも面責した。ベル達はまだだが。俺とヘスティアは交流済みだ」

 

 

ティオネとヴェルフやリリルカに俺とヘスティアがいつの間にかフレイヤ・ファミリアと交流していたと白状した

 

ティオネたちは俺がフレイの幼馴染で義弟だと言うことを知り。いつかフレイヤが俺に近づいてくることはあるだろうと予想していたが。まさかもう俺とヘスティアだけがフレイヤだけでなくその眷属全員まで交流があったなど思いも知なかっただろう

 

ティオネ達ロキ・ファミリアからすれば。フレイヤ・ファミリアはライバルファミリアでもあるため、ヘスティア・ファミリアとフレイヤ・ファミリアが交流した以上。今後俺に近づくのが危ういと考えているようだ

 

 

まあ俺からすればただの義姉のファミリアとしか扱っていない。そこまで仲が良いと言うわけではない、ロキ・ファミリアからすればライバル・ファミリアに交流を掛けるのは危険だとティオナも思っているほど。それはヴェルフやリリルカも同じ、あの都市最強の一角の派閥であるフレイヤ・ファミリアの交流があるのは、何かフレイヤが俺たちに何かを狙っているから交流を掛けているのではないかと危機を思っているからだ

 

とは言っても狙いは言わなくてもわかる通り、俺だがな

 

とにかく俺たちが闘技場入れるように、フレイヤが警備や受付の者に魅了を掛けて。闘技場に無理矢理入ろうとする

 

 

 

「ねえ?私たちを入れてくれないかしら?」

 

「こ、これは!?神フレイヤ様!?神ヘスティア様!?」

 

「悪いんだけど・・・・僕たちを闘技場に入れてくれないかな?その・・・・神の特権って奴で?」

 

「私達のお願い・・・・・聞いてくれるかしら?」

 

「は、はい!!どうぞ!神フレイヤ様!神ヘスティア様!中の席も用意します!おい!今すぐこの方達に手配しろ!」

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

 

「すまないなフレイヤ。礼を言う」

 

「うん。僕からも礼を言うよフレイヤ」

 

「別にいいわよ。私は義弟と一緒に大剣闘祭が見たいだけよ。だからジーク?席は私の隣よ?」

 

「ああ。それくらい問題ない」

 

 

「もう完全にフレイヤ様はジークを義弟として扱っているんですね?ヘスティア様?」

 

「フレイの義弟だからってのもあるから・・・・・フレイの義弟なら、当然フレイの妹ならジーク君は当然義弟。ジーク君に姉としての関係を結ぼうとしているんだよ」

 

「下心丸だしね・・・」

 

 

まあなんとかフレイヤの魅了でなんとか闘技場に入れた。おまけに席も全員分無理やり用意してくれるらしく。受付の者が憲兵達に席まで用意する手配をしてくれた。そのお礼としてフレイヤが席の隣を俺にしてくれと要求された。別にその程度の要求なら別に構わないと引き受けた

 

まさか俺と遊びたいがためにここまで追いかけてくるとは思っても見なかったが、そう言う行動はやっぱり『彼女』とそっくりだった

 

 

 

 

 

 

中に入り。観客席とは別にそれよりもっと高い階層にある特別VIPルームに案内して貰い。そこに高級そうなソファーが人数分用意してくれた。机には飲み物や食べ物がある

 

 

「うわあ〜。闘技場にこんな綺麗な部屋があったんだ〜」

 

「特別ゲスト用の部屋だろうな。ここは」

 

 

「ガネーシャがいつの間にこんな部屋を作っておいたんだね」

 

「ああ。フレイヤ?もう始まっているみたいだぞ?」

 

「ええ。少し遅れちゃったわね」

 

 

もう大剣闘祭はもう開催しているようで、オッタルやフィン達が戦っていた。少し出遅れたようで、もうフィン達は戦っていた。あまり本気を出さずにギルドの命令通りお芝居程度で戦うようにはしているが

 

 

「あの・・・・ジークさん?」

 

「どうしたベル?」

 

「確かギルドの指示でお芝居で戦うだけであって、本気で戦うわけじゃないんですよね?」

 

「ああ、その通りだ。それがどうかしたのか?」

 

「あの・・・・・あそこでベートさんとオッタルさんが明らかに本気で戦っているように見えるんですが・・・・」

 

 

「ああ、それはあいつらだから当然だ。例年通りだなフレイヤ?」

 

「ええ。オッタルは根からの武人だからギルドの指示なんて聞かないわ。戦う時はいつだって本気よ」

 

 

「ベートもあのオッタルに挑めるとなれば、ギルドの指示なんて聞くわけないしね・・」

 

「そうですね。ベートさんはベートさんですから・・」

 

 

「あ!アイズも戦っているよ!」

 

「相手は・・・・・ヴァナフレイヤのアレン・フローメル!?」

 

「フレイヤ・ファミリアの副団長ですか・・・・」

 

 

「あっちも本気でやってないジーク君?」

 

「アイズとアレンも戦わないわけがない」

 

「アレンも暴れたい放題しているわね」

 

 

闘技場にてやりたい放題暴れる。オッタルとベートとアレンとアイズ

 

戦うことにしか興味ないあいつらがこんな違うファミリアの眷属と戦える絶好のチャンスを逃すわけもなく。もう明らかにギルドの指示を無視してやりたい放題暴れていた

 

例年通りの結果だった

 

 

それ以外はウォーミングアップ程度にしかやってなかった。ガレスもフィンも芝居通りに動いているため、アスフィやシャクティの相手に軽く動いたり攻撃を避けたりと本気に出している様子は無い

 

 

「でもジーク様?あの剣姫たちが本気になってやっていますけど・・・・・もしかしなくても・・」

 

「当然本気で戦わない奴らをあいつらが巻き込む。それで他の連中があいつらを止めに入るだろうな」

 

 

リリルカはこのイベントの結末がわかっているのか。アイズたち4人が絶対に他の奴らのことを考えずに巻き込んでやりたい放題暴れるとすぐに俺と同じように想像が付いていた

 

って思っていると

 

オッタルが手に負えないほど本気になっていた。アスフィもシャクティもフィンもオッタルを止める方に優先し、もう完全に芝居は崩れた。アスフィが魔道具で爆破を使うなど、フィンが素早く動くなど。ガレスが本気の腕力で斧を振りかざすなど。もはや状況は本気の戦いになっていた

 

 

「ああ〜。また今年もこうなっちゃったわね」

 

「フィンたち。もう本気になっているね・・・」

 

「皆さん。もうお芝居どころじゃあ無くなっています」

 

 

「す、すごい・・・・これが第一冒険者の戦い!」

 

「ベル様!?ここは感激するところじゃあありません!!」

 

「ベルも冒険者として血が滾ってやがる!?」

 

「ベル君もあっち行ったら戦いそうだよ・・・」

 

 

「またこうなりましたね・・・・フレイヤ様」

「・・・・・」

 

「そうね。ジークも行ってみる?乱入者として・・」

 

「今俺は武器を所持していない。戦うには無理がある」

 

 

フレイヤが俺を今から大剣闘祭に乱入したらと聞かれるが、あいにく今日は武器を持っていない。昨日少し魔剣グラムの刀身を調整していたため、今日はリジルもフロッティも部屋に置いてきてある

 

グランド・デイの前夜祭でもあるため、流石に武器は必要ないと思った。何か危険なことがあるなら格闘で済ませるつもりでもあった。格闘だけではあいつらに刃が立たない。乱入するにしては無理がある

 

 

 

のだが

 

武器がない訳でも無い。腰にグレイプニルにもある。それと二人の形見でもあるミョルニルとレーヴァテインの二つ、これしか戦うことかできない

 

あいにくこの程度のお遊びで二人の武器を使うと言うのは、少し俺としては不服な感情を抱いていた

 

 

「あ!フレイヤ様!」

 

「ん?あらロイマン?どうかしたのかしら?」

 

「止めに来たのか?」

 

「ジーク・フリードも居たのか!?」

 

 

と考えている最中に、下の階に居るロイマンに声を掛けられた。受付の者か誰かに俺たちがVIPルームに居ることを聞いたのか。俺たちにオッタルたちを止めるようにと頼みに来たようだ

 

 

「あの激戦を目撃した大使殿たちが次々と気絶しています!どうかフレイヤ様!あなた様の眷属をお止め下さい!」

 

「どうしようかしら。私は今やっと面白くなってきたと思うのだけどね・・・」

 

「やり過ぎな部分もあるがな」

 

 

フレイヤはロイマンの頼みを受けるか迷っていた。確かに芝居程度では戦いに覇気を感じられない。他の国大使たちからすれば恐ろしいかもしれないが、オラリオの街の人や冒険者たちは満足できない

 

今物凄く酷い有様ではあるが、これを見ているベルも上級冒険者の本気の戦いを見れて意外と楽しんでいる。ここで止めたりすれば観客からのブーイングも出るだろう

 

でもオッタルたちが暴れ過ぎると闘技場が壊れる恐れもある

 

 

 

選択は二つ。

 

 

フレイヤに頼んで、止めに入るか

 

 

もしくは

 

 

穏便に行くために俺自らが出るかだ

 

 

安全のある方法での楽しみをベルやフレイヤに提供するために

 

 

 

「ジーク?」

 

「ジーク君?」

 

 

俺は席を立った。俺の選択は今日は祭りだからと俺も少し羽目を外してみようかと戦場に出るのだった

 

 

「フレイヤ。ヘスティア。このまま続けば闘技場が崩れる。だから俺が安全のある大剣闘祭に変える」

 

「え?てことはあなた乱入する気?」

 

「彼らを止められるのかい?」

 

「ああ。今ここでやめても観客に不満の声が出る。だから俺が安全があり、尚且つ楽しめる戦いをお前らに見せてやる」

 

「でも・・・・どうやって?」

 

 

「見ていればわかる」

 

 

「あ!ジーク君!」

 

 

俺は席を立ち。そのまま闘技場のフィールドまで飛んだ

 

止めても構わないが、フレイヤとベルがせっかく楽しんでいるため。水を指して止めるわけにもいかず。だからと言って暴れ過ぎるのも闘技場が壊れてしまうため。俺が自ら出て少し戦場を修正をかける

 

そして俺は闘技場のフィールドに着地すると、暴れている奴らをまず呼び止める

 

 

「全員止まれ!!」

 

 

「「「「「「ぬ!?」」」」」」

 

 

『おおっと!?乱入者が現れたぞ!?なんとあのスキールニルのジークフリードだ!?』

 

 

「ジーク!?」

 

「まさか・・・・お前さんが来るとは・・」

 

「へえ・・・・あいつがここに来たってことは・・・」

 

「戦いに来たのかな。ジーク」

 

 

ロキ・ファミリアであるフィンやガレスやベートもアイズも俺が出てきたことに驚く。ベートやアイズは俺が乱入者だと思って挑もうとしている

 

 

「ほう・・・・ジークが戦場に来るか」

 

「乱入してきたか・・・・いいぜ。二年前の続きができる」

 

「フレイ様の義弟」

「まさか第一冒険者として戦いたくなったのか?」

「レベル5・・・・俺たちとどれほど強いか確かめたい」

「それな・・・」

 

 

俺が突然現れた瞬間。実況者も驚いて大きな声で発声し。観客もまたも盛り上がっている。一部恐れている者も居るが、俺の突然の登場に参加者も驚いてこちらの方に向いてきた

 

フレイヤ・ファミリアも、特にアレンが二年前の続きをしようと挑もうとしているのがわかる

 

 

「ジーク!?」

 

「久しいなシャクティ。相変わらず憲兵として忙しそうだな。ここでも・・」

 

「ジーク?どうしてここに?」

 

「アスフィ。お前らじゃあこいつらを止められない。だから俺が拘束しに来た」

 

「それは助かります。あなたもこの方達を止めてください」

 

「やった!ジークが止めに来てくれたなら幸いだよ!」

 

 

 

「ああ。だが拘束するのは・・・・・『オッタル以外』な?」

 

「「「え?」」」

 

 

「グレイプニル」

 

 

腰に付いていた。鎖をアスフィたちに放った。投げられた鎖は波のように増殖し、アスフィたちを襲い掛かる

 

 

「え!?」

 

「きゃあ!?」

 

「え!?なんで!?」

 

 

「何!?」

 

「ぬお!?」

 

「は!?またこの鎖!?」

 

「なにこれ!?」

 

 

「な!?テメエ!?」

 

「ぬ!?」

「ぐ!?」

「な!?」

「む!?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

俺は腰に付いていたグレイプニルを外してアスフィに投げると。彼女を縛り。そしてその次にシャクティやルルネやフィンやアレンたちをも増殖した鎖の波に押し寄せられ。オッタル以外を身動き取らせないようにまとめて鎖に縛られ拘束した

 

 

「ちょっとジーク!?これはどういう意味です!?」

 

「お前らが暴れるから穏便にいこうとお前らだけを全員拘束しだけだ」

 

「オッタル以外とはどういうことです!?」

 

 

「大剣闘祭を俺が安全のある模擬戦をするためにあいつが必要なだけだ」

 

 

「はい!?どういうことです!?」

 

「いいからお前らは端に居ろ」

 

 

「「「「「うわああああああ!!!」」」」」

 

「「「きゃあああああ!!」」」

 

 

俺はグレイプニルに縛られて繋がっているアスフィたちを引っ張って端にへと投げた。なるべく巻き添えを避けるために

 

 

「ジーク!?なにをする気だい!?」

 

「見ていればわかる。そこで見ていろフィン」

 

「ジーク!テメエこれを解け!」

 

「また俺らを縛りやがって!」

 

「お前らもそこにいろ。暴れるとその縛り方がより酷くなるから気を付けろ」

 

 

俺はオッタル以外の参加者を黙らせて。俺はオッタルの方へ歩き。奴はなにもせずにただ立ち尽くしていた

 

 

「なんの真似だジーク?」

 

「オッタル。フレイヤがあそこに居る」

 

「ん!?フレイヤ様が・・・・」

 

 

「ああ。フレイヤ!!こいつらが暴れるくらいなら。ここで俺とオッタルの一対一の勝負をする!その方がこいつらが暴れて闘技場を壊されるよりはマシなはずだ!構わないな?」

 

 

『なんですって!?』

 

『ジーク君がレベル7の冒険者君を相手に一対一の勝負!?』

 

『本気ですかジークさん!?』

 

 

俺はVIPルームに居るフレイヤたちに大きな声で宣言した。あいつらが暴れて闘技場が壊れるくらいなら、俺とオッタルの一対一の勝負をした方が闘技場が壊れずに穏便に済み、俺が自ら戦って一対一の戦いにして修正を掛ければと考えつき。そうすれば闘技場が壊れることなく、熱い戦いが見れると、面倒ではあるがそっちの方を選んだ

 

 

「もちろんこれはイベントだ。オッタル相手にレベル5の俺じゃあ到底敵わない。だから・・・・・・・・・ミョルニルとレーヴァテインを使う!!」

 

 

『『え!?』』

 

「「「「「なに!?」」」」」

 

 

「ショーとしてはこれで十分だろう。どうだ?見たくないか?俺がミョルニルとレーヴァテインを使ってオッタルに挑む姿を!!」

 

 

『ジーク君がトールとフレイの専用武器を使ってレベル7に挑むなんて・・』

 

『面白いわね・・・・いいわ!!オッタル!神器を使ったジークと戦って頂戴!私はジークがお兄様の剣をどれほど使えるか見てみたいわ!!』

 

 

「はっ!かしこまりました!ジーク・・・その挑戦。しかと引き受けた」

 

「これならレベル7のあんたにも遅れは取らない」

 

 

『なんと!!!ジーク・フリードが神トールと神フレイの神器でレベル7のオッタルに挑む気だ!!』

 

「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

もちろんこれは大きなイベントだ

 

ド派手なことをしなくては盛り上がれない。そうすればベルもフレイヤも少しは楽しめて気が済むだろう。穏便にいき闘技場が壊れずに済むには俺が自らおふくろとフレイの神器を使って戦うしかなかった。

 

俺個人としては祭りでもあるのだから。羽目を外すのもいいと思って自ら出た。首に掛けられたチェーンに通しているミョルニルとレーヴァテインを外し

 

大きくして右手にミョルニルと左手にレーヴァテインを持つ

 

あの二人の形見でもある神器を使うのは俺としてはあの二人に申し訳ない話だが。もしもの場合だと託された以上は使うしかなかった。こんなことに使うとは思っていなかったがな

 

 

「俺からも感謝するぞジーク。お前と一対一の勝負は俺もしてみたいと思っていた。更にフレイヤ様の兄君でもあるフレイ様のレーヴァテインに挑むことなど。滅多にないことだ」

 

「俺もこんな形ではあるが、あんたに挑むことになるとは思ってもいなかったがな。レベル5の今の俺じゃあまともに勝てないが、おふくろとフレイの神器を使えばこれで対等だ!」

 

 

俺はオッタルに立ち向かうためにミョルニルとレーヴァテインの力を全力で使い。ミョルニルから雷が流れ。レーヴァテインから黄色い光が発光した。本当に全力全開で挑むようにした。俺はいつかオッタルと勝負する日が来るのでは無いかと予想はしていたが。まさかこんな形で俺は挑んでしまうとは。いつか挑もうとは思っていたが

 

まさか前夜祭で味わえるとは思ってもいなかった。しかも私服で挑むとは

 

羽目を外すと言うよりは違い過ぎるが・・・・・・随分と俺は楽しもうと言う感情はまだカオス・ヘルツに消されてないと確信した

 

 

 

 

俺の準備が完了したと確認したオッタルは背中に担いでいた大剣二つを構えて。勝負を開始する

 

 

「いくぞオッタル?」

 

「来い。ジーク!!」

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「はあ!!」

 

 

オッタルが先に攻めてきた。両手大剣が振りかざし。俺は雷を帯びたミョルニルと光に包まれたレーヴァテインで防ぐ

 

 

「ぐ!?」

 

「く!?」

 

 

俺たちの武器がお互いぶつかると。金属音ではなく、爆音が鳴り響いた。そのあまりの音に観客席数名が耳を押さえた。光の火花と雷の火花が吹き出し、大きな衝撃がフィールドに広がった。

 

 

「ふ!・・・・・・はあ!!」

 

「ぬ!?」

 

 

俺は両手大剣をレーヴァテインだけ押さえて、その間にミョルニルを後ろに下げてから、レーヴァテインの刀身の後部をミョルニルで叩き。オッタルの両大剣がミョルニルの叩きつけられた衝撃に弾かれた。その勢いによりオッタルは後ろへ吹っ飛ばされそうになったが。堪えた

 

 

「ふ!」

 

「ぬん・・・・・・く!!」

 

「は!や!ぜやあ!」

 

「ふ!は!でやあ!」

 

 

オッタルが堪えた隙に俺はミョルニルとレーヴァテインを交互でオッタルに叩き斬りつける。オッタルもそれを防ごうと両手大剣をしっかりと持ち。その動きに合わせて防御する

 

 

「ふん!」

 

「っ!」

 

「は!!!」

 

 

オッタルも攻められてばかりと言うわけにもいかず。反撃しようと両手大剣を大きく後ろに回し。同時に横一線に振りかざした

 

その横に振りかざした衝撃に突風が舞った。その威力は絶大で突風だけで少し闘技場の壁にヒビが入っていた

 

だが

 

「ん!?」

 

 

振りかざした後、オッタルの目の前から俺の姿が消えていた

 

あの振りかざした威力を防いだ感触もなく。完全に避けてどこかに移動したと確信が付くが、それでも周囲を見ても俺の姿が無い。その場で動かないまま眼だけを動かして俺を探そうとオッタルはしていたが

 

 

「オッタル!大剣の上だ!!」

 

「ぬ!?」

 

 

グレイプニルで縛られたアレンの掛け声により。俺の姿を見つける。俺は奴の大剣の上に乗っていた

 

流石にあの大きな威力は俺も防いだとしてもその威力で後ろに吹き飛ばされると思い。素早く避けて大剣の上に乗ったのだ。大剣の重さで俺の重さまでは認識できず、オッタルは大剣の重さにしか感触が伝わらず、俺が剣の上に乗ることで重量がより増加したことには気付かなかった。

 

 

「は!!」

 

「ぐう!?」

 

 

俺はオッタルが二つの大剣を振りかざした両手が塞っている隙に、レーヴァテインで奴の頭に巻いている銭金に目掛けて斬り落とし。銭金は真っ二つに斬れて地面に落ちる。そして俺はオッタルの額にダメージを与えて後ろに飛んで下がる

 

銭金が落ちた後は、オッタルの額から少し血がポタポタと垂らした

 

 

「嘘だろ!?」

 

「ジークがオッタルの銭金を斬り落とした!?」

 

「あのオッタルに傷を入れるとは・・・」

 

 

「ジーク・・・・やっぱりすごい・・・・」

 

 

「嘘だろ・・・あのオッタルが・・・」

 

 

「オッタルに血が・・・」

「初めて見た」

「オッタルが追い詰められた姿を見るとは」

「ジーク。やはり強い」

 

 


『フレイヤ!?今の見たかい!?』

 

『ええ。完全にジークはお兄様のレーヴァテインをうまく扱えているわ・・・』

 

 

レベル5とは思えない戦闘技術で俺はオッタルに傷を少し与えることができた。だが剣が振り下ろされる前にオッタルは少し顔を下げて避けていたことに俺は気づいた

 

レベル7なのだからやはりそう簡単には倒せないと俺は再度構える。だが少し傷を入れられたのは事実

 

 

その光景にロキ・ファミリアであるベートやフィンやガレスやアイズ。オッタルの仲間でもあるフレイヤ・ファミリアであるアレンやガリバー兄弟も驚いていた。オッタルがここまでレベル格下の冒険者に血を流される光景など。見たこともないからだろう

 

だが俺からすればまだまだだ。少し血を垂らすだけじゃあ届かない

 

 

「見事だ。レベル5でここまで俺を追い詰めるとは・・・・・流石はフレイヤ様の兄君であるフレイ様の義弟」

 

「剣捌きは負けないつもりだ。レベル5でレベル7の攻撃を喰らえば一溜まりもないが・・・・・避ければ問題ないことだ」

 

「なるほど・・・フィンと同じく頭が回るようだな。それなら・・・・・・フレイヤ様には申し訳ないが・・・・・本気で行かせて貰う!」

 

「望むところだ」

 

 

もちろんさっきのがオッタルの全力とは俺も思ってもいない。今奴の体から魔力の増大な放出が感じる。言葉通り本気で来るのがわかる。頭に血が登ったのか本気の顔が見えた

 

今度はレベル7の本気、こっちはレベル5でハンデの『ミョルニル』と『レーヴァテイン』をうまく活用して挑む

 

 

相手としては・・・・・・・・・不足なし

 

 

「はああああ!!」

 

「うおおおお!!」

 

 

またも両者の武器が激突する。さっきよりも金属音と突風と衝撃がデカくなる。ミョルニルとレーヴァテインに威力をカバーしてもらっているとは言え、さっきのオッタルの攻撃の威力が変わっているのだとわかる

 

少しでも力を緩めれば押されるとすぐにわかる

 

 

「ぬん!・・・・ふ!!」

 

「がは!!」

 

 

オッタルは力尽くでレーヴァテインとミョルニルを弾き。その弾かれた隙に。頭で頭突きされ、腹に直撃された

 

その直撃がデカく。後ろに吹っ飛んだ。腹に強烈な痛みを感じる。顔には出てないが、やはりレベル7の攻撃がデカく。少し損傷を食らう

 

もちろん休むことなく。オッタルは俺を襲いかかり両大剣を振り続ける

 

 

「ふ!は!おお!!」

 

「ふ!く!はあ!!」

 

 

大剣の乱舞を俺はレーヴァテインとミョルニルを両方振り回して防ぐ。重さと威力は神器のカバーによりこちらも同じで。オッタルの大剣裁きの動きを読み、俺はその大剣を防ぐ

 

だが押されているのは確か。このままただと壁に追い詰められる。それでは動きづらくなると思い

 

 

俺はレーヴァテインに力を入れる

 

 

「ふ!!」

 

「ぬ!?刀身から発光が!?威力が強い!?」

 

 

俺はレーヴァテインに力を込めると、俺の力に答えてくれるのか。全体に発光していたレーヴァテインが、刀身が輝きすぎて見えないほどに発光が強くなる。そしてその状態でレーヴァテインを一振して刀身から斬撃を出す

 

 

「は!!!」

 

「なに!?」

 

 

「オッタルの大剣が折れた!?」

 

「嘘だろ・・・・あの猪野郎の大剣をあの光る剣で折りやがた!?」

 

 

「オッタルの剣を・・・・折るだと・・・・ジーク。テメエ本当にどこまで強くなってやがる!?」

 

「すごい・・・・猛者の剣を折るだなんて・・・・あれは・・魔法なの?」

 

 

『レーヴァテインに魔力を込めたから刀身から斬撃が!』

 

『レーヴァテインに魔力が込められたら、光の斬撃と斬れ味が強くなる。オッタルの大剣でも真っ二つになるわ・・・・ジーク・・・本当にお兄様の聖剣をここまで・・・・・・』

 

 

俺がレーヴァテインを振りかざしたことで、刀身から光の斬撃を放出し。その斬撃をオッタルが片方の大剣で防ぐが、その大剣の刀身が真っ二つになった。上級鉱石でできた大剣が光の斬撃により。削る音も聞くことがないまま一瞬で斬り裂かれてしまった。片方の大剣はもう武器として使い物にならなくなった

 

 

その光景に観客だけでなく、闘技場の中で俺の横の壁際に縛られているフィンたちやVIPルームで見ているヘスティアやフレイヤも驚いていた

 

 

ヘスティアとフレイヤは俺がフレイの義弟なのはわかっている上に、レーヴァテインを託されていると言うことは扱いはなっていると言うことがわかっていたのだが、予想以上に俺がレーヴァテインの扱いをわかっていることに、動きそのものがフレイだと。二人は驚きを隠せなかった

 

フィン達は俺がオッタルの大剣を片方折る光景を見て。もう今までの俺じゃないと俺を再認識した。オッタルの剣を折るなんてことは今までオッタルに挑んだ冒険者でも。ポセイドン・ファミリアのレベル7でも不可能だった。都市最強の冒険者の剣を追った光景に。観客に居る冒険者も俺が本当にレベル5なのかと疑った

 

 

その中でベートとアレンは特に悔しがっていた

二人にとってオッタルを倒すのは目標でもあり、アレンからすれば自分のファミリアでフレイヤにオッタルが一番の強さと認められていることに悔しがっているのだが

 

そんなオッタルを俺が負かしていた

 

二人にとって一番大嫌いな俺に自分の目標が先に追い詰められる光景を見て、今からでも参戦したいほど。我慢ができないほど俺に負けているとレベルは自分たちよりも下だと言うのに、敗北感を感じた

 

俺の言葉が気にくわない。存在自体全てが嫌いな俺が先に自分の目標が追い詰められるなど。プライドとは別に屈辱だった。

 

ベートもアレンも。もう俺がオッタルの剣を折ったことで、俺を『雑魚』とは認識できなくなった

 

 

剣が折れた隙に、俺はミョルニルから雷撃をオッタルに直撃する

 

 

「稲妻よ!!」

 

「ぐう!!」

 

 

ミョルニルから放つ雷撃が、オッタルは大剣で防いでも感電するため、防ぐことができず体に通り、倒れた

 

その隙を狙って更に砲撃する

 

 

「ふ!」

 

 

『雷雲が!?』

 

『ミョルニルで雷を落とす気ね・・』

 

 

ヘスティアとフレイヤは知っていた。ミョルニルが嵐を起こす神器だと。トールの戦いを見たことのある二人は。ミョルニルの能力を知っているのか。俺の次の攻撃のパターンを知っていた

 

俺はミョルニルを上に掲げると、掲げた先から雷雲ができる。その雷雲にミョルニルから雷を送り。その雷雲が雷を送り込まれた瞬間、電流が流れるかのように。俺はオッタルに向けてミョルニルを振り下ろし。それと同時に雷雲から雷が放出し。オッタルの上に落ちてくる

 

 

「は!!」

 

「ぐおおおおおおおおお!!」

 

 

苦しそうにオッタルは足掻くが。それでも雷雲は雷を落とすのやめず。そのままオッタルに雷を落とす。オッタルが地面に這いつくばり雷に襲われる姿を観客は呆然しているのか、盛り上がる歓声も出ない

 

レベル7のオッタルがここまで追い詰められるなど見たこともないからである

 

 

俺は一度雷を落とすのやめて。今度はジャンプして雷を纏わりついたミョルニルで叩こうとする

 

 

「ふううら!!」

 

 

このままハンマーで殴られればオッタルは負けると。観客は目が離せない瞬間をしっかりと声も出さずに見ていた。このまま俺が勝ってしまうのかと。ついにレベル7のオッタルが負ける瞬間を見られるのではないかと、奇跡的瞬間を見ようとする

 

 

「ぬ!」

 

「く!」

 

 

だが、そんな奇跡的な瞬間は訪れず

 

オッタルは雷が収まった後俺が更に攻撃を仕掛けるために飛んでいるのに気づき。いち早く横に避けて。ミョルニルの一撃を躱す

 

そして俺が地面にミョルニルを叩き潰した隙に

 

 

「ぐ!?」

 

「うおおお!!」

 

「ぐわ!!」

 

 

オッタルは俺の首を掴み。後ろに放り投げた。やはりそこまでレベル7は伊達ではなく。この程度の追い込みでは追い詰めることはできなかった

 

そしてオッタルは立ち上がり、大剣を持たずに俺を殴ろうと襲い掛かるが、ミョルニルで反撃するのだが

 

 

「な!」

 

「確かに神トールとフレイ様の神器は強力だ。だが・・・それを握る手を潰せばいい!」

 

「ぐわ!!」

 

 

俺はミョルニルを持った右手の手首を右手で掴まれてしまい。そして左手で俺の手首を殴り。その痛みと衝撃により俺はミョルニルを後ろに投げるように離してしまった

 

 

「く!」

 

「はあ!」

 

「がは!!」

 

 

レーヴァテインも同様に斬りかかろうとしたが、レーヴァテインを払おうとまたも手首を右手で叩かれてしまい。横にレーヴァテインは落ちた。

 

オッタルも神器に敵わないのであれば。その神器を握る手から取り上げればいいと格闘術で俺から神器を離した。もちろん神器を無くした俺では格闘でオッタルに挑んでもレベル差で敵わない

 

だからすぐに二つを呼ぼうとするが

 

 

「ぐう!!」

 

「神器は呼ばせない。はあ!!」

 

「ぐわあ!!」

 

 

俺がミョルニルとレーヴァテインを呼び出すことは知っているのか。そうはさせないと、俺の首を掴んでオッタルの後ろへと投げ飛ばされた。壁際まで投げ飛ばされてしまった。ミョルニルとレーヴァテインから遠く離れしまった

 

 

「ふ!」

 

 

俺は神器無しではオッタルには勝てないと、レーヴァテインとミョルニルに手を伸ばすと、ミョルニルとレーヴァテインが宙に浮き。俺の手まで飛んでくるが

 

 

「は!」

 

「ぬん!」

 

「ぐ!」

 

「そうはさせん」

 

 

「ぬん!ぐうう・・・・・」

 

 

俺は手に届く前にオッタルが俺の腹に向けて足を踏みつけてきた。強くもされ。その足の方に手を抑えるのに集中しなければならないと俺はミョルニルとレーヴァテインを呼ぶのやめた。それがわかるとミョルニルもレーヴァテインも飛んでくることなく地面に落ちた。

 

 

「ぐう!」

 

 

もちろんレベル5ではオッタルの足の蹴りの重さに抗うことができる訳もなく。そのまま足に胸を潰されそうになっていた

 

俺はその敗北感に『二年前を』思い出した

 

 

その二年前と言うのはフィン達に疑われた後、俺は怒りベートやティオネと喧嘩したこと。大勢の前で軽蔑の眼差しを受けたあの日。ガレスやフィンにも足で抑えられたあの日

 

 

この痛みの感覚のせいで、それを思い出したのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は『怒った』

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

「ぬ!?ぐ!?」

 

 

突然俺の体から黒い雷と黒い風のような闇が吹き出した。竜の眼になり。俺はその放出した黒い雷と闇にオッタルは後ろに吹き飛ばされた

 

そして俺は立ち上がり。竜の鳴き声のように咆哮した。青髪がだんだんと黒く染まった。闘技場の壁や地面が地割れなどヒビがさっきよりも入る

 

俺は歩くだけで、地面に踏んだ跡がきっちりとできるほど地割れができていた

 

 

「フィン!あれは!?」

 

「ああ・・・・不味い!!ジークが怒った!」

 

「あの野郎・・・・しかもなんだあの黒い雷と黒い風は!?」

 

 

フィン達はあの二年前の疑いの後で喧嘩したことは今でも覚えている。そして黒い髪に染まって怒った俺を止めるのも苦労したこともしっかり覚えている。その暴れる威力も知っている。だからそれで暴れると闘技場が絶対に崩壊するとフェン達は不味いと焦った

 

 

『ヘスティア?ジークのあれは何!?』

 

『不味い!!ジーク君のレアスキルが発動した!!』

 

 

ヘスティアも俺の『カオス・ヘルツ』に発動したことに気づいた。足で踏まれ抑えられた痛みを思い出し。そのせいで俺は『本性』を覚醒してしまう。そのせいで俺の心臓の一部となった『あの竜』の力を発揮し。カオス・ヘルツの能力は怒りを剥き出す事でレベル差関係無しに相手を圧倒し殺すことのできるレアスキル

 

オッタルでも俺のこの怒りには勝てない

 

 

だが。この黒い雷や闇は二年前フィン達と喧嘩した時は出していない

 

せいぜい髪が黒く染まるくらいだった

 

 

なのにこれだけに異様な力。こんなのは誰も見たことがなければ。恐ろしいと誰も震えていた。フィン達でさえも知らない力。目の前に居オッタルでさえも

 

 

 

だが

 

 

 

この闇は・・・・・・・アイズは知っていた

 

 

「嘘・・・ジーク・・・・・なんでその闇を!?」

 

 

彼女は驚いた。それは思い出したくもないもの。それが彼女を変えてしまい全てを無くした原因。それは間違いなくあの『竜の力』。なぜ自分にとっての標的の力を俺が放出していることにアイズは混乱している

 

 

あの忌々しい竜の力を俺は怒りによって使用することができる

 

 

憎い。殺したい。滅ぼしたい。妬ましいと憤怒の黒雷が俺の体から吹き出しだ。あのオッタルの足の踏み付けが二年前を憎しみを思い出すだけで怒りを込み上げた

 

このまま罪のないオッタルに怒りをぶつけそうになる

 

 

だが

 

 

「ふ!・・・これは怒りをぶつけるほどじゃない・・」

 

 

これは闘技場の戦いであって。相手に怒りをぶつけるようなオッタルに恨みのある戦いではない。

 

だから俺は体の力を抜いて。深呼吸をして怒りをコントロールする。こんなこともあろうかとカオス・ヘルツを緊急解除できるように怒りを収める方法を前から考えていた。こんなことにまでカオス・ヘルツで怒りをぶつけたくはないがためである

 

そして俺の体から黒雷と黒い風である闇は俺から吹き出すことが無くなる。髪も青髪に戻る。それでからまたもオッタルの方に向き直す

 

 

「ジーク・・・その力はなんだ?」

 

「気にするな。俺のレアスキルが少し発動しただけだ。少し俺が変なことを起こしてしまったが・・・・・・・・そろそろお前と決着をつける!」

 

「いいだろう・・・」

 

 

俺に少し変なことを起こしてしまったが。このまま長引けばこの決闘に決着が付かなくなる上に闘技場が壊れてしまう

 

この決闘に決着を付けようと、ミョルニルとレーヴァテインを持って雷と光を大いに貯める。ミョルニルの雷とレーヴァテインの光でオッタルを倒すしかない

 

オッタルもさっき俺が噴き出した黒雷や闇が体から放出すると言う異変を起越したことに理解はできないが、それでも決着を付けようとする俺の意志に答えて、大剣を広い両手で握り。自分の力を全て大剣に込めた

 

 

お互いその貯めた力を一気に解き放とうと走る

 

 

「はああああああああ!!!」

 

「うおおおおおおおお!!!」

 

 

全ての力を全力で相手に解き放とうと。俺とオッタルは武器を顔に目掛けて叩き込む

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

『『そこまで(だ)(よ)!!』』

 

 

「「っ!?」」

 

 

VIPルームに居るヘスティアとフレイヤに声で止められた

 

その声に応じて俺とオッタルはお互い顔の前で武器を勢いで止めた。その止めた衝撃により少し突風が起きた。観客席の多数がその突風に吹き飛ばされそうになった

 

流石の俺もオッタルも流石に神の指示では聞かないわけにもいかずに、力を全力で出しきっていたのだがその指示を聞いた瞬間にお互い力が抜けてしまい。今から力を入れても、もうさっきまでの力は出せず。再戦は完全に不可能となった

 

 

『ジーク!オッタル!そこまでよ!それ以上力を出したら闘技場が壊れるわ。もう見せ物としては十分よ!』

 

『二人とも武器を収めるんだ!これ以上は祭だけの模様しにならない!』

 

 

「はっ!ジーク・・・どうやらここまでのようだ」

 

「ああ。俺も熱くなりすぎたようだ。俺から穏便に済ませるようにするつもりが、自分からそれを抂げてしまうとは・・・・・・俺も所詮冒険者と言うことか」

 

 

ヘスティアとフレイヤが止めなければ、最後の一撃がもしぶつかっていたら闘技場は無事ではいられなかっただろう。俺が穏便に終わらせるつもりが、どうやら一度怒りを出したせいなのか目的がいつの間にかオッタルを倒す方向に変わってしまった

 

それほど一回怒り出すだけで、自分の目的を見失い。ただ相手を倒すことだけに集中してしまうのかもしれない。おまけにカオス・ヘルツのせいで身の回りの安全を考慮しなかった

 

つまりオッタル倒して終わらせようと。その代償である身の回りのことはどうでもいいと思っていた。カオス・ヘルツの能力は本当に他人のことを考えない自分の目的と怒りのみしか感じることのない。言うなら精神病のレアスキルだ

 

 

 

『もう見せ物としては十分のはずだよ。ここに僕とフレイヤの神の権限により大剣闘祭のイベントを終了とする!』

 

『これ以上は闘技場が危うくなるわ。続きは明日にして今日はもう終わりにしましょう。みんないいわね?』

 

 

「「「「「「はーい!!フレイヤ様!!」」」」」」」

 

 

フレイヤの魅了により。観客達を言い聞かせて今日は大剣闘祭を強制終了させた。闘技場もそこまでとは言わないが。俺とオッタルのせいで地面や壁を壊しすぎたため。これ以上を続けるには観客にも命が無いと、安全のために今日の大剣闘祭は終了した

 

フレイヤはここまで見れば満足なのだろうか。ここで無かったらあのまま死力を尽すまで続けさせていたのだろうか、あのままやっていれば俺は勝てたのだろうか。と普通は考えるのだが

 

今は自分のやったことの失態を受け入れ。カオス・ヘルツの怒りをもっとコントロールしなくてはならないと見直すようにして、ミョルニルとレーヴァテインを小さくしてチェーンネックレスに付けて戻した

 

 

「戻れグレイプニル!」

 

 

そうしてフィンやアイズ達を拘束していたグレイプニルを呼んで手を伸ばすと、勝手に動くように彼らを縛りから解放し、増殖していた鎖が一つに集まり。元のウォレットチェーンに戻り。俺の手のひらに吸い寄せられるように飛んできた。そして飛んできたグレイプニルを掴んで、腰に付けて戻した

 

 

開放した奴らは立ち上がり、もう早速さっきの戦闘についてオッタルではなく俺に問い掛けて来た

 

 

「おいジーク!言っておくがお前があの猪野郎に少し追い込んだからと言って、俺はお前に負けてねえからな!」

 

「は?何を言っているベート?」

 

「ジーク!テメエがオッタルを追い込めたのはあのお方の兄君とお前の母親である神トールの神器を使ったから追い込めたけであって、お前の実力じゃないからな!」

 

「当然だろ。お前も何を言っているアレン?」

 

 

なんとなくベートとアレンの言いたいことはわかる。ただの負け惜しみにも聞こえる。二人でもあそこまでオッタルの頭に傷を付けたことは無いだろう。それをまだレベル下の奴に負けるなど。悔しくて自分達よりも弱くないと抗議してきた

 

あいつを少し追い詰めた程度では俺としても嬉しく無い。そんなことはどうでもいいと二人のことに対しては何一つあまり言い返さなかった

 

 

今度はフィンとガレスが近寄ってくる

 

 

「ジーク。神の武器を使ったとは言え見事だった。君があそこまで見ないうちに強くなるなんて・・・・・思いもしなかった」

 

「動きが明らかにレベル5とは思えんほどじゃった」

 

 

「倒すことはできないが、追い込むぐらいが限界だがな」

 

 

 ウォーゲームではあまりに戦いをするよりも指示ばかりでそれらしい実力を見せていない。そして今改めて目の前で俺が戦う姿を見てフィンとガレスは驚いていた。しかも相手はオッタル。そのオッタルに傷を入れられる程の動きを見せるなど。二年前とは違う実力を手にしていると

 

もう第一冒険者としての戦い方を凌駕していると、二人は驚きを隠せなかった

 

 

「俺たちは驚いている」

「あのオッタルをここまで追い込むとは・・」

「我ら。お前の恐ろしさを再認識」

「流石はあのお方とあのお方の兄君の弟だ」

 

 

「お前達ガリバー兄弟にそんなことを言われるとはな・・」

 

 

ガリバー兄弟達でさえも。自分たちの団長であるオッタルをそこまで追い込むなど見たことがなく。その者が居るとすれば、ここには居ない『ポセイドン・ファミリアの団長』のみ。それを自分たちと同じレベル5でここまでやれるとは。流石に思わなかったようだ

 

 

「ジーク!すごいよ!」

 

「ジーク。驚きました・・・・あの猛者をここまで追い込むとは・・・」

 

「私たちでさえ苦戦したと言うのに・・・・・」

 

 

「俺はまあチートで言うなの方法で追い込んだだけだ。そんなすごい話じゃない。まあ俺が半神だったらここまでいかないがな」

 

 

ルルネもアスフィもシャクティもすごいと言ってくるが、俺はあの二人の武器の力を借りただけであって、俺本来の力ではない。レベル5がレベル7に挑むと言うのは酷なものでもあるのだ。レベル6とレベル7でも大きな差があるらしいと聞いた。その誰も簡単にはなれないレベル7を相手に追い詰めるとしたら神の力を借りるしか無理に決まっている

 

俺はチートで追い詰めただけであって、俺の力ではない

 

褒められるほどでは無かった

 

 

そして最後にアイズが質問しに近寄ってくる。だがアイズの質問だけは何を聞いてくるのかもう理解しているため、とても答えづらかった

 

 

「ねえ?ジーク・・・・どうしてあなたがあの・・・闇を・・」

 

「さあな。俺のスキルの問題で力を放出させたものだ。お前が気にすることではない」

 

 

そうして俺がアイズにだけは嘘をついて誤魔化した

 

アイズの両親が亡くなった理由を知っているからだ。それに繋がる話でもあったため、俺は話すわけにもいかない。聞けば彼女の復讐はもう二度とできなくなるだろうし。彼女のトラウマにしかならないからだ。ただこれだけは言えるだろう

 

あの力を放出できる俺はもはや人間ではないことだけだ。そんな人間じゃない俺を彼女は殺すことがもしかしたらできると、自分の命がかかっているのにも関わらず、俺はそれについては何も感じなかった

 

 

「見事だ。ジーク」

 

「オッタル・・・・・エリクサーだ」

 

「すまん。あそこまで俺を追い込めたのはお前で二人目だ。それもレベル5であの技量を見せるとは・・・・流石はあのお方の義弟であり。神から生まれた半神だけのことはある」

 

「謙遜として受け取らせて貰う。俺は母と義兄の武器を借りたに過ぎない。俺本来の力じゃあ・・・・まともにあんたには勝てない」

 

「そういうふうには俺には見えない。先程のあの黒い稲妻と黒い風。あれをお前の体から吹き出した時点で、俺はお前の実力には何か隠しているものがあると見える」

 

「ああ。それはスキルのおかげだ。それらしいレアスキルを持っているだけだ。それだけは使いたくないと抑えたまでだ。殺し合いが目的じゃない。ただの模擬戦だ。酷く暴れて闘技場を壊せばフレイヤに叱られる。それはお前の望むことではないだろう?」

 

「そうだな。そこまでフレイヤ様のために考慮するなど。やはりお前はあのお方の言う通りの男だ」

 

「俺はヘスティアのためにも動いただけだ。決してフレイヤのためだけではない」

 

 

オッタルのみ戦友として権威をしてくれたが、それでも俺の力ではないと褒めてくれたことに対して謙遜として受け取らせて貰うことにする。追い詰めたことが事実だったとしても。神の武器の力を頼りにしていたことは真っ赤なチートでもある。ミョルニルとレーヴァテインが『アルカナム』と繋がっているかは分からないが、少なくともそれらしい力で作られた神器に過ぎない

 

それを使用するとなればチートで間違いない。決して俺の力ではないと俺への評価を拒んだ

 

 

「ジーク・・・・もしかしてあの黒い髪は・・・・まさか・・・」

 

「そうだフィン。あのスキルが発動しかけただけだ・・」

 

「てことは・・・・今でも君は・・・」

 

「何度も言わせるなフィン。二年前のことは忘れろと。そう言ったはずだぞ?」

 

「うん・・・・・そうだね」

 

 

フィンは俺がスキルを八つ持っていることは流石に知らないと思うが、ロキ・ファミリアの団員だった頃は一つだけスキルを持っていた。それがカオス・ヘルツ。当時は感情を無くすことでアビリティが成長すると言う能力はまだ無かったが、怒りに身を任せれば相手をレベル差関係無しで相手を倒せると言う異常な能力、アンチアビリティとは別の恐ろしい能力をフィンは知っているため

 

もしかしたらフィンはまだ二年前に恨みがあるのではないかと、怒り出した原因が自分たちであるのではないかと思っているようだ。カオス・ヘルツの怒りはほぼ二年前のあの事件を引き起こす原因でもあった。自分たちの疑いにより、フィンはまたも申し訳に顔をしているため。そうではないと。またも俺がフィンに二年前のことを忘れるようにした

 

 

「そろそろ俺は帰らせてもらう。ヘスティア達がこの後出店も回りたいと言っているからな」

 

「待って、ジーク・・・」

 

「アイズ。さっきことについては話す気はない。忘れろ」

 

「あ・・・・・」

 

 

ひつこくアイズが俺にさっきのことについて質問をしてくるが、それについては何も話さず。俺はこの後の予定である出店を回りたいと言うヘスティアの願いを叶えるために闘技場を出る

 

それにアイズがその質問をしなくても多分彼女はわかっている。俺があの竜だと。彼女もわかっているはずと話さなかった。アイズの直感は精霊関係としてもう十分わかっているはず、俺は彼女にあの竜のことについては何も言うことはなかった

 

もし彼女が俺の中にあの竜が居ると確信したとするなら

 

 

彼女は俺を殺してくれるのではないかと、俺は今後のことを考慮して

 

 

闘技場を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして闘技場を出ると、ヘスティア達が出入り口で待っていた。そして先程のオッタルの模擬戦について色々ベル達に出入り口前で言われる

 

 

「ジークさんすごいですよ!あのレベル7のオッタルをあそこまで追い詰めるなんて!やっぱりジークさんはすごいです!」

 

「落ち着けベル。俺はあんなの謙遜に過ぎない」

 

「ジーク様。よくあそこまで猛者を追い込めましたね?流石は神トール様の息子だからでしょうか・・・」

 

「その代わりボロボロだがなリリルカ・・・・・」

 

「でもよくやったよ・・・お前本当にすげえな」

 

「いつかお前もあんな風に強敵に挑むことになるぞヴェルフ?」

 

「すごいすごい!ジーク!あのオッタルにあそこまで追い込むとなると、あのまま続けたら倒せるんじゃない!」

 

「あんた・・・・・本当にすっごく強くなったのね・・・驚いたわ」

 

「あのままやっていたら勝敗どころでは無いティオナ。それとティオネ。俺は神の武器を使っただけであって、俺本来の力では無い。だから俺は何もすごくは無い」

 

「でも!あれだけ猛者の攻撃を避けたり。防いだりしたのはジークさんの戦闘技術の力で間違いないですよ!」

 

「避けるのは簡単だレフィーヤ。奴の動きを先読みすればいいだけのこと」

 

「流石ジーク様です。先程の戦い拝見させて戴きました。フレイ様の聖剣レーヴァテインをあそこまで使いこなすとは、流石はフレイ様の義弟様です」

「オッタルの剣を折った。ジークの方が剣捌きは上」

 

「レーヴァテインは威力があるから俺もまだまだ扱いは慣れていない。オッタルの大剣を片方を折るだけマシに扱えたと思うが、レーヴァテインは威力をコントロールするのが今後の課題だな」

 

 

と、先程ここに向かった者たちからも問い詰められた。それだけレベル5がレベル7を追い込むことに凄みがあるのか。俺のしたことに対してベル達だけでなくオッタルの団員でもあるヘディンやヘグニですらも歓喜を上げる。

 

レベル7を追い詰めたことに俺は凄みを感じず。こいつらがそこまで興奮してまで喜んでいるのは普通に何か違うような感じをしていた

 

倒すのであればまだしも。追い詰めるのではあまりに達成感は無いと思うに、なぜか俺のやったことに対して功績と高評価を言ってくる

 

 

「とても楽しかったわジーク。トールのミョルニルとお兄様のレーヴァテインの扱いをあそこまで心得ているとはね」

 

「本当に君はすごいよ。トールもフレイも長年君に武器の扱いを教えてきただけのことはあるってことさ」

 

 

「途中目的を見失いかけて熱くなり過ぎたがな、あんた達二人が楽しめたなら幸いだ」

 

 

ヘスティアとフレイヤは先程の模擬戦に満足したようだ。ヘスティアに関してはそこまで模擬戦に興味はないようだが、眷属である俺の実力を直近で見たことでは楽しめただろう

 

この二人があの最後の一撃を止めなかったら被害はとんでもなかった。まあそれでも無事に終わることができたのだから問題ないだろうと。あまりさっきのことについては何も言わなかった

 

 

「ジーク今日はありがとう。いいものが見られて本当に楽しめたわ。それじゃあ私はオッタル達の所へ行くから・・・またねヘスティア?」

 

「うん。また」

 

「ジーク様。失礼したします」

「コク・・・・・」

 

「ああ」

 

 

そうしてフレイヤはヘグニとヘディンを連れて闘技場の中に戻っていく。怪我をしたオッタルを見にいくためだろう。エリクサーを渡してあるから問題ないとは思う。オッタルもあまりダメージは受けてないはずだからな

 

 

「あんた・・・本当にあの神フレイヤと仲がいいのね・・・」

 

「あの白黒の騎士ヘディン・セルランドとヘグニ・ラグナールにもあのように話すなんて・・・・」

 

 

「エルフの主神でありあいつの兄の弟だからと言う理由で、ここまで関係するようになっただけだ」

 

 

ティオネとレフィーヤはライバルファミリアでもあるフレイヤ達とかなり深く交流していることに驚いていた。豊穣の神フレイの義理弟だからってだけでこうも接触するとは流石の二人もそこまでは思ってもいなかっただろう

 

今後俺に何かしようとしたり、俺にロキ・ファミリアが何か接触をしようものなら、フレイヤ達が邪魔するのではないかと。闘争になるのではないかと俺への接触や危害を避けるべきだとティオネとレフィーヤは思っているらしい

 

 

そんなことになれば俺が関係ないから、と止めるだろう

 

俺如きのことで話をややこしくする必要はないからだ

 

 

 

「ヘスティア?次は出店の方でいいんだな?」

 

「うん!今度は出店に行こう!」

 

 

「え!ジーク達も出店の方に行くの?ねえ私たちも行っていい?」

 

「ああ。構わんよなヘスティア?」

 

「うん、いいよ。ロキの子供だけど悪い子じゃあなさそうだし構わないよ」

 

 

ティオナ達も出店に回りたいらしく。俺たちと回りたいと一緒に回る。ティオナはともかくレフィーヤとティオネが俺が居ると言うのに俺と回りたいのだとよく言ったものだ。レフィーヤならアイズと回りたいと思っているだろうし、ティオネはフィンと回りたいはず、その者達と回らないと言うことは前夜祭の今日は俺と回って。本来の祭りであるグランド・デイで想い人と回るのではないのかと推測した

 

そう思うのはレフィーヤはともかく俺が嫌いなはずのティオネが俺と一緒に居ることなど、ありえないもとい、本人が拒むはずだからだ

 

 

「ジークさんやっぱり強いです。見ていて思ったんです。僕たちも負けてられないって・・・」

 

「ん?・・・・・俺の先程の戦いを見てそう思っているのか?」

 

「はい。僕は少なくとも・・・・そう思っています」

 

「はい・・・リリもそう思います」

 

「ああ。そうだよな。俺も負けてられないと思うよ」

 

「私も・・・アルゴノオト君の言う通り。やっぱりジークってすごいのてがわかる」

 

「私たちも負けてられないってね・・・」

 

「はい。私も思いました。負けたくない気持ちでいっぱいでした」

 

 

「そうか・・・・・熱くなっていたのはどうやら俺じゃだけじゃないようだなヘスティア?」

 

「うん。あのVIPルームで君とあのフレイヤの眷属の戦いを見て、盛り上がっていたよ。真剣にね」

 

 

どうやらベル達も俺の戦いを見て自分たちも負けたくないと更に意思を固くした。ベル達も冒険者としての本能がうずいてしまったようだ。冒険者ならあの戦いは盛り上がるどころか、今後絶対の無い戦いでもある。あの光景はもう二度と見られないと自負するほどに

 

あの戦いを見た者はこう思うだろう。『レベルが低くても強者に挑み続ければ敵うことすらできる』と。俺がレベル5でその可能性を実現し、レベル7が相手の強者でも追い込むことができると。レベルが低い者達に大きな可能性と目標を作ってしまった

 

 

ベル達が俺とオッタルの戦いを見て、自分たちも負けられないと。オッタルに挑むとは別に・・・強者に立ち向かう勇気やこれからも力を強くすることを諦めないと

 

ベル達は今後の向上を目指そうと踏まえた

 

 

「あ!居たや!おーいジーク!」

 

「ん?ロキか?」

 

「げ!?ロキ!?なんでここに!?」

 

「あんた一気飲み大会は!?」

 

 

「ああ、それならもう終わったで。それでジークと出店を回りたくてここまで来たんや!ジーク?さっき姉貴のミョルニルを使って落雷を闘技場で落としたやろ?」

 

「ああ、それでお前は俺がここに居ることが分かったのか・・・」

 

 

ロキが突然俺と出店を回りたいとここまでやってきたらしい。そして俺の居場所が最も簡単に分かったのは、先程オッタルとの戦闘で闘技場にミョルニルで落雷を落としてそれを感じ取って辿ってきたようだ

 

一気飲み大会を終わったのであれば、ロキが一気飲みの優勝者だと理解する。でなければ口の中から酒臭い匂いがするはずがないからな

 

 

「なあ?いいやろう?ジーク?」

 

「好きにすればいい。俺は拒む理由はない」

 

「やった!と言うわけですまんが邪魔するでドチビ?」

 

「むむ・・・ジーク君なんで!?」

 

「特に理由はないからだ」

 

 

別にロキに対しての想いは完全に俺はもう何も感じず。数日前まで嫌いだと扱っていたが。レベル5となるともうそれすらも感じられないのか。ロキの誘いを平然と受け入れてしまう。

 

すると

 

 

「私もいいかな?」

 

「あ!アイズさん!」

 

「着替えたのか?」

 

「うん。私も・・・一緒に出店回りたい」

 

「いいんじゃないか。俺に許可を得る必要はないぞ?好きにすればいい」

 

「ありがとう・・・」

 

 

闘技場からアイズが私服に着替えて、俺たちと共に出店回りたいとやってきた

 

もちろん俺の許可など必要なく。回りたいのであれば好きにしていいと共に出店を回るようにした

 

 

「前夜祭で君と回ることなんて思っていなかったよロキ!」

 

「うっさいボケ!ウチはジークと回りたいだけであって!誰がドチビと回りたいもんか!」

 

「なんだと!!」

 

 

「二人とも落ち着け。祭りだと言うのに喧嘩するな」

 

 

「あ!アイズ!『ジャガ丸君シリーズ店』だよ!」

 

「うん!出店に売っているジャガ丸君を制覇する」

 

「アイズさん・・・・本当にジャガ丸君が好きなんですねティオネさん?」

 

「ええ。ほぼあれしか食ってない程だから・・・・」

 

「ティオネさん流石にアイズさんでもそれ流石に・・・・・・・あり得そうです」

 

「よく食う方とは思いましたが・・・・」

 

「そこまでとはな・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

今の光景を見ていると、とても懐かしい気分になった

 

二年前も彼女達と過ごしたあの日々。それから二年後の今でも彼らと過ごせるとは思ってもいなかっただろう。冤罪が晴れて自由の身となり。そして新しいファミリアの仲間や主神とまた祭りを楽しめると言うのが。ここまで楽しいものだとは感情を無くしても今まで得られなかったものだった

 

今から思えばまたもこのような楽しく過ごせるとは思ってもいなかっただろう。あの二年前の後からは本当に戦闘にしか興味を持ったなかったのだから

 

俺でも祭りを楽しむだけの感情はまだあるようで

 

 

 

違うファミリアであるロキ達も含まれるが、彼女達と共に過ごす前夜祭を俺なりに二年前同様に楽しんでいるのだと理解した

 

 

「ん?ジークさんどうかしましたか?」

 

「いや、なんでもない。まだ前夜祭とは言え今日で全部金を使わないようにしろよ。明日から本番だからな」

 

 

「「「「はい!」」」」

「おう!」

「ええ!」

「「「うん!」」」

 

 

でも今日は前夜祭で本番のグランド・デイは明日。はしゃぐのはまだ今日だけではなく明日もあるのだから今日だけで羽目を外さないように忠告しながら、出店の方に向かう。

 

その後、出店や美女コンテストの仕事を終わらせたタケミカヅチやミアハ・ファミリアと共に合流して出店に回りながら最後に『豊穣の女主人』で宴会をして前夜祭の日は幕を閉じた

 

前夜祭だと言うのに羽目を外す者が多数。まあ祭りなのだからこう言うことはよくあることである。そして結局こうなる事も。後からやってきたフィンやベート達幹部が俺に酒を飲みながら闘技場の愚痴を言う事も、ロキとヘスティアが口喧嘩するのも、ベルとアイズがさりげなく密着しているをレフィーヤが見つけてベルに文句を言うのも、ティオナが俺にくっ付いてシルとリューに理由がわからずに睨まれるのも

 

全てこうなると分かっていた事

 

 

でも楽しかった。またこのような気持ちになるのも良いものだと思った。やはり冤罪が晴れて自由の身になると言うのは良いものだろう。だからアポロン・ファミリアを壊滅したことには本当に後悔はなかった

 

明日もこれくらい楽しめるな良いなと。感情が薄れてきていると言うのに俺はそれを望んでいた

 

 

「ジーク!明日私と一緒に祭り回ろう!」

 

「いえ!私と行きましょうジークさん!」

 

「何言っているにゃ!ミャーな!」

 

「ミャーがジークと明日回るんにゃ!」

 

「は!?何を言っているの!ジークは私と回るのよ!」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

でもその前にシル達をなんとかしないとならないようだ。明日出店を一緒に回ろうと誘われたが、確か明日も豊饒の女主人は出店を出して営業するとミアから聞いたはずだが。まさかとは思うがサボってでも俺と回るのだろうか

 

とにかく俺は祭りを楽しむにしてもシル達のフォローもしなければならないと頭に入れて理解した

 

 

まあそれでも楽しいと思える時間ができると。俺はこの時間を大いに楽しんだ

 

明日もこれくらい楽しめれば良いなと思った

 

 

『ふふふふふ。楽しめればね?』

 

『黙れ。亡霊女神』

 

 

と、俺の魂に居る『女神』を黙らせて。俺はその女の言葉を信じずに明日を楽しみにして。明日を待った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラリオから遠い東の砂漠

 

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 

「準備はできたかしら?」

 

「はい。準備完了しました」

 

「これでオラリオに攻め込むことができるわ。そして『トールの息子』がオラリオに居る事も判明しているわ」

 

「オラリオを攻め入るようにも言い聞かせております。あちらは今頃グランド・デイでしょうから・・・・攻め入るにはちょうど良いでしょう」

 

「よし。ジーク見ていなさい。私の愛を受け入れなかったことを。これは私の復讐よ。必ずあなたに報いを受けさせ。私の愛を無理にでも受け入れてもらうわ。受け入れないのであれば私は何度だってあなたの邪魔をするわ」

 

 

と。黒い大雲の下で、『三柱の女神戦士』と言う眷属を率いた女神が大きく広がる黒い砂漠にて、『黒い獣』を復活させようとしていた

 

 

それが明日のグランド・デイの日にやってくるなど

 

 

『あの災害の再発』が来るなど俺たちは知らずに

 




第三章グランド・デイ 前夜祭編 END
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