ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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ベルテーンの新たな始まり

 

 

 

沼の王はこの世から消えた。生命の泉の源泉も元に戻った。ベルテーンの平和は約束された。彼らにとって長年の苦難が解放された

 

だから

 

 

 

「ベルテーンの解放を祝して乾杯!!!」

 

 

「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」

 

 

 

その喜びの宴がこの国で開かれた

 

この国であるベルテーンの姫である。タルヴィが乾杯の音頭を出す、彼らにとって救われるというのは幸福だ。だから大喜びに浸って歌って踊っての大騒ぎだ。

 

沼の王に苦しめられたのだ。無理もない。誰にだって怪物に苦しめらて、その怪物が倒されたら解放感で自由の身となった気分、これはベルテーンにとって喜ばしい話だ

 

楽しい宴は大盛り上がりだ。聖夜祭で最後の日を味わえない代わりに、霧の国の宴を味わえるとはな

 

 

「ジーク殿。今回の依頼本当に感謝しています。貴殿のおかげで沼の王を倒すことができました」

 

「俺は友人に頼まれただけだ。だから戦っただけさ、感謝を言われるつもりはない」

 

「にしても、あの沼の王をレアカースで再生を防ぐとか、大英雄はこんなにすげえのかよ」

 

「リダリ。ジーク殿と手合わせでも頼んだらどうだ?」

 

「旦那。俺に死ねって言っているのか?レベル七で、レアカースで封印してくる大英雄に勝てるわけないだろ?」

 

「お前の腕は良さそうだがな、魔法は持っていないが、『剣術』を持っているようだな」

 

「俺はこれくらいしかできなくてね」

 

「それでも強いと思いますよ。リダリさんは、僕でも勝てるかどうか」

 

「小僧。そうは言うがお前もレベル5だろ?ヘスティア・ファミリアはこんなヤバい奴しか居ねえのか?」

 

「まあ、俺たちもそれだけ強くなったんだ。初めから強かったわけじゃない」

 

「そういえば、ウスカリさんとリダリさんはこれからどうするんですか?」

 

「もちろん、これからも姫様の騎士として戦います」

 

「ああ、もうお嬢の母様を救えなかった。俺たちの残された贖罪だ。これからもこの国と姫様を守り続ける」

 

「沼の王のような怪物があの泉に接触しないよう、あの泉にも警備をさせる者を用意すべきだと勧める」

 

「ええ、それは私も思いました。沼の王の二の舞を受けないように、あの泉に警備を用意しようと思います」

 

「それがいい。にしても本当に美味いな。この泉水は。確かに体の中まで回復するようだ」

 

「本当ですね。これが自然の泉にあるなんて。信じられないです」

 

 

俺はリダリとウスカリとベルで、生命の泉水を飲みながら、戦闘の強さを話している。俺とベルが偶然とは思えないトラブルに巻き込まれて乗り越えたことで強くなったと。俺とベルの意外な強さに、リダリは驚かされている

 

そしてこれからどうするのか、無論これからも国とタルヴィを守るために騎士の仕事を続けると言った

 

だがその前にあの生命の泉にもヴェーラ・ファミリアで警備を当たる仕事をするべきだと。あの生命の泉には怪物にも有効であることに気づき、新たな沼の王が出てこないために、あの泉を怪物から近づかせないよう、警備が必要だと勧めり

 

仕事の話と生命の泉水を楽しく過ごしている

 

 

次に主神たちは

 

 

「どうだ、ヴェーラ。ベルテーンが平和になった時間を過ごすのは?」

 

「まあ・・・・・・悪くはねえな」

 

「なんだい。今くらい素直になってもいいじゃないか?それとも照れ隠しかい?」

 

「うるせえ、ちびは黙っていろ!」

 

「は!?本当に素直じゃない奴!正直者ではあるけど、素直にはならないよね!君は!」

 

「ふん、でもまあ、英雄信仰は信じねえが、英雄ってのは本当に居るんだな?おかげで助かったよ」

 

「っ!ああ、僕らの英雄だ。あれが」

 

 

主神同士でベルテーンの平和を味わっている

 

ヴェーラはオラリオ特有の英雄信仰など信じない。英雄は存在のだと驚かされた。英雄は本当に存在し。こんな国でも救って貰えるのだと思い知らされた

 

英雄信仰はうんざりでも。英雄はこの下界でも存在すると。それは信じてもいいはずだと、ヴェーラは信じた

 

 

そして最後に、春姫とタルヴィは

 

 

「春姫。ありがとう。助けてくれて」

 

「いいえ、私は友達を救いたかっただけですから」

 

「それでもありがとう。私はこれで生きていろんなことができるよ。犠牲になることばかり考えていた私がこんな奇跡を手にしていいなんて、思いもしなかった。これも全部春姫たちのおかげだよ」

 

「そんなことありませんよ。ジークさんが居たからなんとかなっただけですから」

 

 

タルヴィはこんな夢なことが実現することに思いもしなかった

 

本当に諦めていた。救う方法なんてない。沼の王を倒す術はないと。自分が生贄になるしかないと。方法はないと本気で思っていた

 

それが最後の思い出としてオラリオに一度行ってみたいと願いを言い、仲間に頼んで一度だけ連れてって貰った。そこでまさかの自分を救ってくれる人物に会い、依頼して受けて、本当に沼の王を倒し、泉をも自分の力で元に戻すなど

 

もしも生贄になる前の最後の思い出にオラリオに来てなかったら、自分は救われていなかった。何もかもが偶然と思うべきか、いや、奇跡なことが本当にあるのだと、聖夜の季節にそんなものがあるのだと、今までは信じられなかった

 

だから感謝する。こんな奇跡なことを起こしてくれた人たちに

 

 

これはタルヴィの一生懸命な感謝だ

 

 

「タルヴィ様、春にまた会いたいです。今日だけじゃなくて春にも」

 

「うん、私も春にまた春姫と遊びたい。春姫」

 

「ん?」

 

 

 

「私は、貴方と友達になれて良かった」

 

「っ!私もです。私と貴方はずっと友人です」

 

「うん、私もずっと春姫と一緒に居たい」

 

 

 

こうしてベルテーンの依頼は完了した

 

翌日、俺たちはオラリオへと帰った。今後ベルテーンに関しての情報はオラリオには話さないよう、俺は春姫のために依頼に関わった皆に指示をした

 

生命の泉は俺も飲んでみたが、あの効果は絶対にギルドに言ったり、他の派閥に言ったら絶対に奪おうとするかもしれない。そのためこの依頼は討伐だけで終わったと、ベルテーンに関しての情報を一切封じた

 

 

それと報酬は、まさか生命の泉の泉水が入った五つのタルを貰った。依頼報酬がこんな貴重な物とは思いもしなかった。財産と呼べるような物はあいにく今まで沼の王に苦しめていたため、生活費のためにほとんど周辺の他国に売ってしまったため、報酬に出せるものがなく。元に戻った生命の泉の泉水を貰った

 

それでも生命の泉は秘密にする。ベルテーンの者たちからすれば生きる糧だからな、今後のベルテーンは国の復興のために大変になるだろう。俺たちにできるのはこの国の情報を伏せること。

 

 

これにてベルテーンの戦いは幕を閉じた

 

次に彼らに会えるのは、春頃だろう。その時にはより良い国になることを祈るのみだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日は流れ

 

俺たちは今他国に居る。その他国の名は『シャルザード』。その国の新たな王のお披露目の祝賀式を行い、大国になったそのシャルザードのアラム王からの招待状を貰っている。おそらく大英雄ヘラクレスの所属する派閥だから大国からご招待を送ったのだろう。そこで以前救ったベルテーンの国も来るとのことで、久しく友人に会うためにも。俺たちはシャルザードの招待を受ける

 

 

「春姫!」

 

「タルヴィ様!お久しぶりです!」

 

「元気にしてた?」

 

「はい!そちらも元気なようで、何よりです!」

 

「ジーク殿、お久しぶりです」

 

「久しいな、小僧」

 

「久しいなウスカリ」

 

「はい。こんばんは。リダリさん」

 

「あの後の復興は順調か?」

 

「ええ、少しづつではありますが、生命の泉近くにホームを建てたりと、国の移送で多忙ではありますが、順調です」

 

「やあ、ヴェーラ。そっちは楽しくやってそうだね?」

 

「毎日うるさいくらいだ。下界の子供ってこんなに騒がしいのか?ヘスティア?」

 

「賑やかな証拠なんだよ。まあ、その内慣れるって・・・・」

 

 

久しく会ったベルテーンの者たちは、元気な顔で出会い。どうやら国の復興は上手くやっているようだ。泉付近に国の移送をするってことは、かなり多忙のようだ。話をする限りは泉を中心に国を建国しているのだと、ベルテーンの復興は順調なようだ

 

 

「ジーク。君たちも来ていたんだね?」

 

「ん?フィン、アイズか。お前たちも来ていたんだな?」

 

「うん、私たちもご招待を受けたの。お・・・・・・シルフは居る?」

 

「ああ、あそこに居る。行ってくるといい」

 

「うん、フィン。シルフの所に行くね?」

 

「ああ、行っておいで」

 

 

まさかのフィンとアイズもアラン王に招待を受けているらしく、この二人もシャルザードに来ていた。ロキ・ファミリアもオラリオ三大柱の一つ。居てもおかしくはない

 

リヴェリアが居ないのは珍しいが、代わりにアイズが来ていたようだ。見た目は美しいからな彼女は、そんな彼女はここでも母と過ごすため、自由行動を取った

 

 

「あの国の人たちは確かベルテーンだよね?また他国の国を救ったのかい?ジーク?」

 

「まあな。友人を助けたいワガママな仲間が居る者でな。以前冬であの国の者たちが困っている怪物を殺した。そういえば礼を言ってなかったな。その時アイズを貸してくれて感謝する」

 

「いいよ。だってアイズが参加したいって言ってきただけだしね」

 

「シルフを守りたい意志が出ると、あいつはあんな感じで乱入するからな」

 

「シルフ殿とは。あまり側を離れないようにしているんだね?」

 

「彼女の体は、俺の魔力でできているからな。魔力切れで体が消滅しても困る」

 

 

シルフは、俺と基本的に共に行動しないと、彼女の体がいつ魔力切れで消えるかわかったものじゃないからな。彼女の魂を確保していれば、消滅してもまたゼロから生成することはできると言ってもな、念の為行動は共にする

 

どの道、アイズが居てくれたおかげで助かった。沼の王を倒した宴の時にリューが言っていたのだが、アイズが率先してくれたおかげで、分身や触手は簡単に蹴散らせたと。戦力としてかなりの有能だった。貸してくれたフィンに感謝をする

 

すると

 

 

「大英雄ヘラクレス殿。フィン殿。よろしいだろうか?」

 

 

「っ!『新生シャルザード国王』。アラム・ラザ・シャルザードか。今回のご招待感謝する」

 

「僕らも。今回のお招きありがとうございます」

 

「是非とも話をしてみたかった。フィン殿。そして・・・・・黒竜殺しの大英雄ヘラクレス殿」

 

「あまりその名を呼ばないでくれ。それは神々が勝手につけた名前だ。俺の正式名はジーク・フリードだ」

 

「ではジーク殿。アラム・ラザ・シャルザードです。よろしくお願いします」

 

 

この国の国王であるアラム・ラザ・シャルザードが訪ねてきた

 

確かかつてはラシャプ・ファミリアが引き入れたワルサ王国に侵略を受け、かつてのシャルザード王が殺害され、王国が陥落し、そこから我が姉上の派閥に救われ、ラシャプ・ファミリアは壊滅。新生シャルザードが建国し。再びシャルザード王国が復興され、その国王として君臨している

 

今回はそのお披露目として招待された。俺が大英雄だから招待されたとは思えない。俺とフィンに話をして見たかったと言うが、おそらくは何か目論見があるのだと気づく

 

例えば

 

 

「アラム王。『女性』でありながら『我が姉上の助言』を聞き。国王として君臨する選択は良いものだと思っている」

 

 

「っ!?」

 

 

「やっぱり気づいていたのかい?彼が『女性』であることに?」

 

「ああ、最近黒竜の力を完全に手にしてから、嗅覚まで犬並みに嗅ぎ分けることができる。彼が『女の匂い』がする。それと我が姉上に救われた国であることも。かつてのシャルザードに娘が居るってことを考えるとな」

 

 

「そこまで・・・・・流石は大英雄殿。まさか勇者殿まで。そして・・・・・あの女神を義弟って言うのは本当なんだな。じゃあ・・・・あなたが『オーズ』」

 

 

「姉上は他国に俺のことをそんな風に言っているのか?やれやれ勝手な姉上なことだ」

 

 

シャルザードが再び建国し。そしてその国に攻めてきたラシャプ・ファミリアちワルサ王国は姉上の派閥に滅ぼされたことは知っている

 

その経緯から、俺のことをアラム王に話しているのだろう。だから俺がどんな人間か知りたいがために招待をしたのだとわかっていた。しかも俺のことを勝手にオーズ呼ばわりして他国の者に言っているのであれば、爺さんの言う通り、そろそろ姉上に手を出してくるだろう

 

まあ、今はそんなことよりも。女性でありながら国王を名乗る新たな王に何を俺に問うだろうか。少女でありながら国王を名乗るのは。姉上の考えとこの国の行く末を考えた上だろう。女王で統一できない国。男を装うこの者の事情をほぼ把握した

 

だから聞く。何を俺に問う

 

 

「厳密には、俺はその姉の兄の弟であり、あまりに姉との関係は薄くはなくても少し程度でしかない。俺のことをオーズと呼ぶのも姉上の勝手。そんな俺に何を聞きたい?」

 

「聞きたいことはない。ただ見て見たかった。ただ話したかった。あの女神が夫にしたい男がどんな者か」

 

「ジーク。君はあの女神フレイヤに。随分と欲しがられているね?」

 

「なんでも欲しいと思うのが姉上だからな。どんな手段を使っても。砂漠の王アラムよ。俺は姉上の義弟に過ぎない。俺は姉の夫ではない」

 

「あの女神はかなり欲しがっていますよ?」

 

「俺には恋したい相手が居る。その彼女のために戦う。そのために救済を何度もしてきた。彼女一人のためにこの命を使う。アラム王。其方と同じだ」

 

「ん?」

 

「其方も女でありながらこの国の王として君臨した。それはこの国を愛している守りたいからが故だ。だから姉上の元へ行かなかった。違うか?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

俺はオーズだとしても、姉上の夫ではない。俺は姉上の義弟だ。

 

 

恋する相手は、妻にしたい相手は別に居る

 

 

そのために大英雄になる活躍をした。この世界に危機に訪れるものなら、その危機を何度も俺は壊そう。俺は戦うことしかできない小物だ。でも妻にしたい者を守る。それだけのために生きる。それが今の俺だ

 

 

アラム王も同じだ

 

 

この国のために女でありながら国王を名乗る。この国を愛しているから、守りたいものがあるから。国王として輝ける。姉上はそれを分かった上で、この女を姉上は派閥入りを拒んだ

 

アラムはそれをしたかったのに。けど守るものがあるから国の長になった。『俺と同じ』だから少し気持ちがわかる

 

その言葉に彼女は

 

 

「そうか・・・・・・これがオーズか、確かに思い知った。あの女神が欲しがるのもよくわかる。一人の女性のために大英雄になるなど、だから欲しいのだろう。あの女神は」

 

 

「かもな。一人の女性を愛するのは、男としては難しいし、それができる者なんて早々居ないからな」

 

「ジーク。もしかしてあのドワーフの店のあの子かい?」

 

「想像に任せる」

 

 

「貴殿が大英雄なのも頷ける。どうか私にその歩んだ物語を聞かせては貰えないか?」

 

 

「長いぞ。色々あるからな」

 

 

俺がオーズなのか、それは姉上が勝手に決めることだ

 

姉上に救われた王が俺がどういった経緯でそんな英雄の道を通ったのか問われる、長いし、結構無茶苦茶なことをしてきたから。その出来事が信じられないくらい現実味を感じないような話でもあるため。信じられるかどうか

 

 

まあ、俺たちの物語なんて、普通の派閥と比べて信じられない体験をしている

 

 

そして

 

 

これからも

 

 

 

姉上が俺たちに手を出してくるなんて、誰が想像するだろうか

 

 

俺たちの物語はいつも波乱万丈だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖夜の夢想歌編 END

 

 

 

 

 

 




次回  約束のオーズ編 


2026年から
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