ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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フレイヤの革命

 

 

 

俺は生まれて初めて彼女を傷づけた。ここなら慰めるのだが、もうそんな状況でもなければ、なんの気持ちも込めることのできない俺の言葉など、もう何を言っても彼女を悲しませるだけで、俺はただ彼女の悲しむ姿を見ているだけしかできなかった

 

そんな時

 

 

「ジーク君!」

 

 

「ヘスティア達か・・・・・・」

 

 

「ジークさん。ここに居たんですですね?」

 

「主の魔力の繋がりを感じてここに来ました」

 

「お前が初めのヘスティア・ファミリアのホームに居るとはな」

 

「目の前に居るのは・・・・・・」

 

 

「本物のシルだ」

 

 

「「「「本物のシル!?」」」」

 

「これがシル君?でも中身は・・・フレイヤのはずじゃあ・・・・・」

 

「違う。彼女こそが本物だ。姉上はある宿に置いてきた。今目の前に居るのは本物のシル。姉上に化ける時は姉上の力を少し貰っているから、君でも気付けないんだ」

 

 

 

教会の入り口付近で、ヘスティア、ベル、フィルヴィス、ウンディーネ、シルフが現れる

 

ウンディーネが俺との魔力の繋がりを逆探知して、俺の居場所を感知してここまで来たようだ。

 

そして俺の目の前に泣いているシルが居るのを見つけて、状況を見て戸惑いつつも。俺が本物のシルだと伝えて、皆驚く

 

どうやらベル達もヘスティアに夕方までデートをしていたシルが正体は姉上であることを知っているようだ

 

しかし、今目の前に居るのは間違いなく。本物のシルだ。姉上は別のところに居ると伝えた

 

 

「ジークは気づいていたんだな。正体は神フレイヤであることに」

 

「出会った時に気づいていたさ」

 

「フレイヤが別の場所に居るのはわかったけど、じゃあこのシル君は・・・・」

 

「ああ、姉上の眷属だ。彼女の本当の名前はシル。今は偽名を名乗っているから、君でも誰だかわからないだろう。ヘスティア」

 

「うん、よく見たら確かに女神に見えるけど、ヒューマンにも見える、まだ誰なのかわからないけど」

 

「けど、なんでシルさんは泣いているんですか?」

 

 

 

「そんなものは決まっている。俺が彼女を泣かしたからだ、まともな返事が出来なかった。と言えばわかるだろう?」

 

 

 

「・・・・・・そうか、やっぱりジーク君は」

 

「カオス・ヘルツでまともにシルさんに返事が・・・・・」

 

「そうか、ヘスティア様からお前のレアスキルでのことで話はされていたが、お前はそこまで」

 

「主・・・・・予想としては恋愛感情が・・・」

 

「無くなったのね。レベル7になったことで、ジーク君・・・・・・」

 

 

ヘスティア達に、目の前に居るシルが何者か教え、彼女が泣いている原因は俺だと答え

 

もうヘスティア達が、俺に恋愛感情がカオス・ヘルツによって消されたのだと、もうまともな心を持っていないと。俺はもう感情がほぼ死んでいるとハッキリ理解した

 

彼女を目の前で泣かしといて、冷静に今の状況を教えるなんて、本当に俺には彼女のことを気に掛けない程心が衰退していったと言うことだ

 

 

「もうこれで終わりだ。彼女との関係もな」

 

「そんな!別に終わりだなんて・・・・・」

 

「ここまで傷づつけといて、今更これからも彼女の接するのは難しい。それどころか、今の俺はもう愛すらもわからん。何をすれば良かったのか、どうしたらいいのかわからん。君もなんで邪魔をする?邪魔をしないと約束しただろう?」

 

「それは・・・・ごめん」

 

「君が姉上を恐れる理由はわかる。姉上は本当に貪欲で、手に入れたいものが出たらどんな手を使ってでも手にいれる姉だ。だが、それでも邪魔をしない約束のはずだ。話が違うぞ?」

 

「ごめん・・・・・・・」

 

「だが、俺は結局シルも姉上も選ばなかった。今回はこれで終わりだろう。もう俺もどうでもよくなってきたしな」

 

「そんなことを言わなくてもいいじゃないですか、ジークさん」

 

「ベル、もう俺はフィルヴィスやシルフやウンディーネの言葉すらも、もう何も癒しの言葉も言われても慰めも感じない。何を言っても感じない。もう俺は壊れたんだ」

 

「ジーク君・・・・」

 

「主様・・・・・」

 

「ジーク。レベルを上げるために、そこまで心情がわからなくなったのか・・・・」

 

 

もう俺は人ではない、心など無い

 

彼女を傷づつけたことで、もう誰の言葉も聞く耳はない。むしろ聞きたくもない。周囲の人に当たり散らすのはどうかと思うが、もう何を聞いても希望も持たない。

 

どんな癒しな言葉を言われても、綺麗事を言割れようとも、もう全て聞こえる全ては戯言にしか聞こえない

 

 

俺に傷づく心があって、このような考えもしているのか、それすらもわからない

 

 

 

まさしく心も考えも『混沌』

 

 

 

カオス・ヘルツの代償とも言えるふさわしい事。今の俺にはわからない。何を言っても、何を言われても、全てが理解できない。だけど

 

 

 

 

もう終わった話だ。これでシルとの関係は終わりだ。これで幕は閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった

 

 

 

 

 

 

 

「そう、じゃあジーク。私は貴方がレアスキルで心が壊れても構わないから。私の男になって」

 

 

 

 

 

 

 

「姉上・・・・・・・」

 

「フレイヤ!?」

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

そのタイミングで、姉上であるフレイヤが教会の入り口から現れる。

 

なぜこのタイミングで出てくのか、考えることは何をしてくるかを予想すればわかるが。宿で休んでいるはずの姉上が、再び俺の前に現れる

 

 

「フレイヤ様・・・・・・・」

 

「シル。残念だったわね。貴方もジークは手に入らなかったわね?」

 

「はい、期待に応えずに申し訳ありません」

 

 

「やはり俺を取るために、わざとシルを使ったか。俺がシルを想う心があると思った関係を利用するために、」

 

 

「ええ、シルが貴方を手に入れば、貴方は私のファミリアに来るように、シルに私のファミリアに引き込むよう頼んだけどね、でも・・・・・・それでも貴方はシルの手を取らなかった」

 

 

「言い訳はしません。こうなったのも俺のせいですので」

 

「やっぱりフレイヤが一芝居を打っていたのか」

 

 

やはりシルは姉上と裏で俺をファミリアに引き込む命令をされていたようだ

 

だからヘグニとアルフリッグ達兄弟達が、俺をシルへと早く会わせたかったのはそのためか、しかも姉上が俺とシルのデートをすると言うことを、ヘディンが教えた。

 

なるほど、シルからのデートの誘いは間違いなく彼女の意志。しかし、彼女の言葉を利用して俺を姉上のファミリアに引き込むこと、ヘディンか、姉上のどちらかが企んでいたと言うわけか、ヘディンが前にシルと結婚したら俺のファミリアに引き込むこと俺の言ったことを、なんとか阻止しようと、俺を姉上のファミリアに引き込むために、全て計画されていたと言うわけか

 

まあ、それも、全部俺の心無しのせいで台無しになったがな

 

 

だから、なぜ姉上はこのタイミングで現れるんだろうな

 

 

「しかし、姉上。貴方の目論見は上手くいかなかったのですが、先ほど言った俺が心が壊れても構わないから貴女の男になれと言うのはどういうことです?」

 

 

「その言葉通りの意味よ。ジーク。姉の頼みを義弟である貴方なら聞いてくれるわよね?」

 

 

「姉と弟でも、限度があると思いますけど、それに忘れたのですか?俺はヘスティアの眷属になって半年しか経っていません。コンバージョン期間方法は神々が決めたことです。そのルールを破って、俺を無理にでもファミリアに入れる強行手段を選ぶおつもりですか?姉上?」

 

「本気なのかい?フレイヤ?」

 

 

「ええ、そうよ。私やシルでも貴方を手に入らなかった。だから私は貴方を手に入れるために。本物の家族になるために、夫婦になるために、貴方を強引に私の所に来てもらうわ」

 

 

「眼を見る限りでは・・・・・・本気だ。ヘスティア」

 

「フレイヤ!!!そんなことをする程、君は美と愛の女神としてプライドは無いのか!!」

 

 

「ええ、私はやっとこの時代になるまで、夫と呼べる男を見つけた。それがお兄様の義弟だなんて。私も驚きだけど、姉と弟で居るよりも、私の夫として相応しい人を見つけたの。だから・・・・・・お兄様みたいに我慢できないの。私は」

 

 

姉上は、今回のデートで姉上もシルも選ばなかった俺を、絶対に手に入れるために

 

今から眷属を使って俺たちファミリアを襲撃する行動を取ると見た。

 

愛などもはや関係ない。それでも手に入らないのなら力尽くで俺を手にすると、強行手段にでたようだ。そういう欲だけは兄上とそっくりだなと思う。兄上は欲しいものがあったら、無理には取らず取る方法を長く悩んで考えて取りに行く、無理なら諦める。だが姉上は違うようだ。手にしたいものがあったら何がなんでも手にする。

 

俺からしたら本当に似ているなと思ったよ、兄上と姉上が

 

 

「ヘスティア。ジークを私にちょうだい。私に渡してくれるわよね?」

 

 

「渡すわけないだろう!それでもフレイの妹か!!」

 

 

「そう、渡してくれないのね。なら・・・・・これならどう?」

 

 

パチン!!!

 

 

「「「「ぐう!!」」」」

 

「フレイヤ様。言われた通り、ジークの仲間を捕まえてきました。それ以外にも別のファミリアがジークの仲間を助けようしていましたので、それも排除しました」

 

「ええ、ありがとう」

 

 

「ヴェルフ!?リリ!?」

 

「命!?春姫!?」

 

「な!?フレイヤ!?」

 

「やはり人質か。強行手段としてはぴったりな方法だ」

 

「酒場の帰りからまさか襲撃したの!?」

 

「女神フレイヤ!!フレイ様でもそれはしなかったわ!今すぐヴェルフさんたちを解放しなさい!」

 

 

「嫌よ。もしも私やオッタルに近づけば、この子たちの命はない」

 

「すまないがジーク。これもフレイヤ様の命令だ。恨んでくれても構わん」

 

 

「謝罪は要らない。文句も言わない。俺の味方ではないだろう。あんたは・・・・」

 

 

ヘスティアに俺を引き渡すよう、主神同士の話し合いで、交渉しようとしたが、当然ヘスティアは交渉を拒み

 

俺を渡さないのならと、指でパチン!!と指鳴らしをした瞬間

 

 

姉上の後ろから、オッタルが現れ、ヴェルフ、リリルカ、命、春姫が痛み付けられた状態で担がれて、俺たちの前に地面に落とされ人質として四人の命が握られている

 

 

もしも言う事を聞かねば、この四人をオッタルが殺すと、しっかり奴も大剣を持っている。完全に仲間を人質に取られた。確かオッタルはその仲間を助けようとした別のファミリアの者が居たから排除したと言った。確かに、外の気配からして『アスフィの仲間』『桜花達』『アイシャ』『ダフネとカサンドラ』が外から気配で感じる。どうやらヴェルフ達がオッタルたちに襲われる所をを助けようとしたみたいだが、力負けで全員返り討ちにされたようだ

 

 

オッタルもできる事ならこんなことはしたくないと俺に謝罪はしてくる、しかし、別に俺は気にしていない、姉上のことだからこうでもするだろうと予想はしていたからな

 

 

なら、これからの対応は一つだけだ

 

 

 

 

 

 

「仕方がない。ヘスティア。俺は一旦姉上のファミリアに移籍する」

 

 

 

 

「え!?そんな!?」

 

「ジークさん!?何を!?」

 

「ジーク!?お前正気か!?」

 

「主!?」

 

「本気なの?ジーク君?」

 

 

「こうするしかない。残念ながら勝負する前に俺たちは姉上に負けた。言う事を聞かねばヴェルフ達が消される。もうオッタルが首筋に剣を入れる寸前の構えをしている。ここは姉上の言う事を聞くしかない」

 

 

 

姉上の言う事を聞いて、姉上のファミリアに移籍する他ない

 

いくら俺でもここでオッタルや近くに居ると思われるヘディン達を相手にしたとしても。ヴェルフ達が助かっても、また外の者たちの人質を取るか、主神であるヘスティアを強制送還するために主神を集中的に狙うかもしれない。今断れば首筋は斬られヴェルフは死ぬだろう。もちろん一気にリリルカや命や春姫の首をまとめて斬ることもオッタルなら可能だ

 

 

もう完全に俺たちの生殺与奪の件は姉上が握っている。ここは従わなければ、仲間や友人が消される。姉上が力で俺を取りに来ている。もはや指示に従う他ない

 

 

「姉上の指示に従いましょう。俺は貴女のファミリアに一旦移籍します」

 

 

「そう言ってくれて嬉しいわ。ジーク。だけど、『一旦』は嫌」

 

 

「仕方がないんです。俺はまだコンバージョンできる期間になってませんので、その点についてはどうするおつもりで?在籍期間は守って貰わねば、ギルド、もしくは他の神々、言うなら俺の叔母であるロキ叔母上がルールを破った際は許さないかと」

 

 

「そんなことをどうにでもなるわ。そこの手段だけは用意してあるわ」

 

 

 

 

 

「『ステイタス・スニッチ』でも、使うおつもりで?」

 

 

 

 

「っ!?流石お兄様の義弟ね。なんでもわかるのね?」

 

 

「ええ、他の主神が更新するにはそれしか方法がありませんので、リヴィラで手に入りますから、まさかそんなものを持っているとは」

 

 

ステイタス・スニッチ

 

いろんな神々のイコルを使って出来上がったマジックアイテム。言うなら別の神が自身の眷属でもない子供の恩恵を、更新することが可能になるマジックアイテム

 

どうやらそれを使ってしばらく俺を仮入団させるつもりだろう。もしくは

 

 

「もしくは今ヘスティアの契りを解除するつもりじゃないですよね?流石に大事ですよ?そんな事をすれば」

 

「なんだって!?そのつもりなのか!フレイヤ!」

 

 

「そうね、その考えもあるわ。ヘスティア。受けて貰えるわよね?」

 

 

「それは・・・・・・」

 

 

「もし受けなかったら・・・・この子たちはどうなるかしら?」

 

 

「く!?」

 

「姉上、何もここで契りまでも消す必要はないのでは?俺はもう貴女の場所に行くと決めています。なのに今無理に恩恵の契りを切る必要は、もう貴女のホームに常に居ることが決まったのですよ?その必要は今はないのでは?いずれすることですから」

 

 

「早くしたい理由は、私もこんなことをすれば、他の神々が黙っていないわ。特に英雄である貴方を無理に私のファミリアに引き込むとなればね。他派閥に文句を言われないために、今変えたいのよ」

 

 

「わかっているようで何よりです。しかし、今は変えなくても、ギルドや他派閥に説得してくれる『元俺の協力者』が居ますので、その者に手を打って貰うことにしませんか?」

 

 

「ギルドや他派閥を説得するジークの元協力者?それは誰?」

 

 

 

ステイタス・スニッチを使ったとしても、主神や眷属の意思を無視して、勝手に契りを破ることは完全に犯罪であり

 

 

他派閥やギルドでも許さない。確実にルールを破れば文句を言われるだけでは済まなくなる。だからそのルールを破ってもいいように、今ここでヘスティアの契りを切るよう言われるが

 

 

その他派閥やギルドに説得してくれる者を存じているため、しかも運の良いことにその者がちょうどここに居ると、その者を呼び出す

 

その者とは

 

 

「そこに居るだろう?『ヘルメス』。出て来い」

 

 

 

「やっぱり気づいていたんだ。ジーク君」

 

 

 

「今日で俺が姉上とのデートを見て、姉上が不穏な動きをするだろうと、眷属に監視と後を追わせたんだろうが、アスフィ以外の眷属は全員やられ、お前だけでもここへ確かめに来たってことか?」

 

 

「あらヘルメス?貴方かしら?変な監視を送ったのは?」

 

 

「ああ、すまないが俺さ。あのフレイヤ様が行動に出るなんて、気になってしょうがなくてね。邪魔をするつもりはないんだよ?」

 

 

それはヘルメスだ

 

街中でフレイヤ・ファミリアの眷属の多さに、不自然に思ったのか、ヘルメスは自身の眷属を監視をさせて、俺が姉上とデートをしていることに気づいたようだが、この結末がどうなるか、監視を続けたが、邪魔をする者はオッタル達が制圧したため、ヘルメス自身が、姉上が居ると思われる現場まで来たようだ

 

 

「話は聞いたな?」

 

「ああ、フレイヤ様、俺がギルドや他派閥に説得してくれても構わない、だからヘスティアの契りを解く必要はないのでは?コンバージョンは半年後でも問題ないはずだ」

 

 

「・・・・・・・・そうね、貴方の言葉ならギルドも他派閥も納得して貰えるでしょうね、今はヘスティアの契りは解除せずに済んであげる」

 

 

「ああ、任せてくれ」

 

 

「ひとまずはこれでいいだろう。ヘスティア。しばらく俺は姉上の所に行く。いいな?」

 

「うん。わかった」

 

「姉上、ヴェルフ達を解放をしてください。もう俺が貴女の所に行くことは決まっているんです。もう人質は要らないはずです」

 

「反撃しない?」

 

「したとしても、戦力としては貴女の派閥の方が上です。また人質にされて終わりです。今は大人しく身を引くべきかと、いいな?ベル、フィルヴィス」

 

「は、はい・・・・・」

 

「わかった・・・・・」

 

 

「いいわ、オッタル」

 

「は、お前達の仲間は返す」

 

 

「ヴェルフ君!命君!」

 

「リリさん!春姫さん!」

 

 

こうして、俺は姉上のファミリアに行くことが決まり、今は姉上のファミリアに反撃するべきではないと。残念ながら姉上の指示に従う他なかった

 

ヴェルフ達は解放をして貰った。怪我を負っているヴェルフ達をシルフとウンディーネが回収する。反撃をされることを恐れて、そのまま自身のファミリアの牢に入れて反撃できないようにしようとしたようだが、今の状況と戦力を考えれば、反撃はできたとしても、またヴェルフ達が人質に取られる。ワザとレベル低いヴェルフ達を狙って人質にする、おそらく俺に反撃をさせないためだろう。反撃できようものなら、俺ならできると姉上も警戒しての行動か

 

 

本当に俺を手にするために、手段は選ばないようだ

 

 

まさか、ここまで奇襲及び、強硬手段に徹するとはな、姉上は兄上と違って手段は荒い。今回のことで姉上のことを多少理解できた

 

 

となれば

 

 

「姉上。まだこれで終わりではないですよね?コンバージョンは半年後だとしても、今の俺は仮入団。ギルドと他派閥からはヘルメスの説得でなんとかなります。それで今度は何をするんです?」

 

「貴方を仮入団させることは、英雄を他のファミリアに引き入れると言うことをオラリオの市民でも納得がいかないと思うのよね?」

 

「ですから?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の魅了で、少し虜にしようかなと」

 

 

 

「やはり・・・・・・・」

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

姉上はこのまま俺を仮入団させても、ギルドや他派閥に文句は言われないにしても、あとはオラリオ市民にも何か言われるだろうと

 

 

 

 

姉上は自身の能力である『魅了』を使うと言った

 

つまりはオラリオに居る人々や神々を魅了する

 

 

 

 

俺とヘスティアが予感していた事態が始まった。やはりこのままでは終わらない。完全に俺を手に入れるために、オラリオ市民を魅了して、俺がフレイヤ・ファミリア団員として思わせるために、オラリオに居る人たち人々や神々全員を魅了する気だ

 

 

「ヘスティア。予想通りだ」

 

 

 

「まさか!本当に!?」

 

「おい、嘘だろう!?」

 

 

「ヘルメス様!大変です!」

 

 

「アスフィ!?リューちゃんを抱えてどうした!?」

 

「道中で見つけて助けました。それよりも!ギルドの呼び掛けで、『セントラルパークに多くの密集が集められています』!拡声装置まで付けられていて、まるで誰かの演説をするような、ギルドからそのような指示をされているようです!!」

 

「く!まさかそんなことまで!?」

 

 

「姉上。まさか貴女は・・・・・」

 

「ええ、ギルド長がどうしても必要だったから、人々を集めるにはまずはギルドをね」

 

 

突然アスフィがハデスの兜で透明になってここまで来たようだが、姿を露わにして、とんでもない報告をヘルメスにした

 

姉上はここオラリオ全ての人々や神々を魅了するために

 

 

セントラルパークに全員集め、拡声装置で姉上の言葉で魅了し、全員の思考を虜にするのが目的だ

 

 

まさか俺を手に入れるためだけに、オラリオ中に居る人たちの常識までひっくり返そうとするとは、どこまでも貪欲で執念深いのか。もはや兄上の妹とは思えんくらい、優しさも捨て、ただ自身の欲望のために悪意の限り尽くすのみだった。ギルド長のロイマン辺りを魅了して、街中にある拡声装置を使って、セントラルパークに集め、人々と神々を魅了するようだ

 

 

もうこうなってしまって、ヘスティアとヘルメスのすることは一つのみ

 

 

 

「シルフ君!ウンディーネ君!ヴェルフ君達は僕に任せて、ベル君とフィルヴィス君だけでも連れてオラリオから出るんだ!今逃げられるのは君たち四人だ!君たちだけでも逃げろ!」

 

「アスフィ!!お前もそのままリュー君を連れて、空を飛んでオラリオを出ろ!説明している暇がない!急げ!!」

 

「わかりました!ベル君!ちょっと飛ぶよ!」

 

「はい!フィルヴィス!飛びますよ!」

 

「え!?神様!?シルフさん!?何を・・・うわ!?」

 

「ウンディーネ様・・・・何を!?うわあ!!」

 

「わかりました!リオン!もうしばらく辛抱をしてください!」

 

 

 

ヘスティアとヘルメスは、数少ないベル達だけでも姉上の魅了から逃れるために、オラリオから出ろと指示を出される

 

説明している暇もないため、ヴェルフ達はヘスティアに任せて、急いでシルフとウンディーネはベルとフィルヴィスを担いで教会を風と水で飛び、アスフィはタラリアで飛んでこの場から脱出します

 

 

「追いかけますか?フレイヤ様?」

 

「いいわ。放っておきなさい。目的であるジークは手に入った。あの子達に何ができるか思えないしね、だけどあの金髪の精霊とあの白い髪の子供は・・・」

 

「姉上。目的である俺が手に入ったのなら、用が済んだのなら行きましょう。早く街の人々を魅了をするのでは?」

 

「それもそうね。行きましょう。ジーク」

 

「はい。ヘスティア。ヘルメス。あとは頼む」

 

 

「分かった」

 

「ああ、任せてくれ。ヘスティア。神威を」

 

「うん、全開で高める」

 

 

オッタルが逃げ出すベル達を追いかけようとしたが。今更あの六人を逃げた所で、その後何もできやしないと、無力だと思って放っておいた。だが、シルフとベルが気になったりはしたが。

 

あの二人の詮索はさせないよう、早く事を済ましてほしいと、俺が二人の詮索させないよう話を進んでうやむやにし、さっさとオラリオ中に居る街の人々と神々を魅了をしようと、セントラルパークに今から向かう

 

だがヘスティアには通用しない。ヘスティアのアルカナムは『悠久の聖火』。オラリオに居る神々の中で唯一ヘスティアだけが姉上の魅了を弾き返すことができる。そのため神威を解放をして、権能を貫かれないために

 

そして俺は姉上達と共にセントラルパークに向かうが、その前に俺は

 

 

「シル。行こう。話の続きなら姉上のファミリアでできる。俺も君と長く話がしたい。勝手ながら失礼する」

 

「・・・・・うん」

 

 

シルの手を無理矢理取り、彼女を連れ出そうとする。これで俺は姉上のファミリアのホームに居候するわけだ。彼女とはこれでホームで長く話ができると、まださっきの話の続きがしたいと、俺はまだ彼女に話したいことがいっぱいあるため、俺は彼女との関係はまだ終わりたくないと願ったのか、彼女に関係をこれからも続けるよう言い渡す

 

理想の言葉を俺から言って貰えなかったことで、シルはかなりショックを受けて空返事をしているが、とりあえず了承はしてくれた

 

まだ俺だって、たくさん話がしたい、それはこれからだなと、まずは姉上の所に言って考える

 

 

「ジーク。行くわよ」

 

「ええ、今行きます。行こうシル」

 

「うん」

 

 

シルはもはや空返事しかしてくれないが、とりあえず俺の誘われるがままに歩いてくれる。姉上の指示に従って、俺はシルを連れてセン寅卯パークへ向かう

 

 

 

 

 

女神祭が終わったオラリオは、今度は我が姉上である、『フレイヤの侵略』始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。セントラルパークに着き、俺と姉上とシルは女神祭で用意された豊穣の塔である柱の上に居た。上から見てみるとたくさんの人々と神々が集められていた。そこにはギルド職員が誘導され、ギルドの指示に従って動いていた。

 

おそらく全員は集められていると俺は思っている。間違いなく全員を魅了で虜にすると見た方がいいだろう

 

なら

 

 

「姉上。まさかとは思いますが『ウラノス』まで魅了する気じゃないですよね?」

 

「それは大丈夫よ。私だってそこは分かっているわ。ウラノスには『ダンジョンの蓋』を閉めてもらっているもの。流石に私もそこまではしないわ」

 

「なら、俺からは何もないです」

 

「一応聞くけど、ジークは私の魅了なんて・・・・・・・」

 

「ええ、通用しません。俺に神の力は効きませんので」

 

「そうよね」

 

「貴女の眷属は、魅了は?」

 

「もちろん効くわ。それがどうかしたの?」

 

「シルに掛けるものなら、俺が無効化させて貰います」

 

「随分とシルを大事にするのね?」

 

「いけませんか?貴女の従者でもあるんですよ?魅了をして変になっても困るのでは?、彼女は貴女の従者です、魅了は必要ないのでは?」

 

「まあ、そうね。そこはジークに任せるわ」

 

 

姉上はセントラルパークに集まった人々と神々の前に現れる

 

全員をチャームする準備は整っている、しかし、全員ではない。ウラノスは除外している。ウラノスはダンジョンに祈禱でモンスターの地上進出を防いでいる。そんなダンジョンの蓋を担っているウラノスに、流石に姉上も手を出さない

 

姉上の魅了は眷属も同様、しかし、今俺と共に居るシルには無効化させる。他人にも魅了から解放することだって俺にはできる。彼女は姉上の従者だ、変なことはさせない。俺が彼女の分まで魅了を無効化する。理由は、我ながらの勝手さ故と言うことで

 

 

 

「姉上。大分人が集まりました。今の内では?」

 

 

 

「ええ。始めるわ。今から!つまらない話をするわ!」

 

 

 

姉上の宣言が始まった。オラリオをも変貌させるヴァン兄妹の力、兄同様、怪物すら魅了する銀の鎖

 

それに縛られた者は姉上の意のまま、誰にも抗う事はできない。あのロキ叔母上でも。縛られた者は姉上の『シナリオ』通りに動く。縛られると言うのは主に考えと記憶、それが全て姉上の思った通りの考えになる。今皆を騙すために、イシュタルに手を出したこと、女神祭の閉幕ではない。祭壇の上に今から何をするか、姉上は告げる

 

 

内容として、罵倒も覚悟も代価も全て受け入れると告げる。だから今だけは姉上の全てに委ねて欲しいと、オラリオに居る全ての人々と神々に告げる

 

集まった人々はなんのことだかわからない。しかし、神々は大騒ぎ、姉上が今から何をしようとしているのがわかる。だから目の色が変わる。一番に同様したのは

 

 

「あの色ボケ女神!!?」

 

 

ロキだ

 

ロキは姉上の力がどれだけ危険かを知っている。ただでさえ、天界では同じ『ヴァルハラの神』だ。本気でオラリオを自分の思い通りに変えようと、本気を出したことに驚きもするが、今この瞬間では何もできない。残念ながら

 

姉上の眷属はもう宣言に受け入れは済んでいる。姉上に意向に反対はない。これから変わることに全てが塗り替えられる。姉上の望む下界に

 

 

だが俺は

 

 

「シル。俺の手を」

 

「う、うん」

 

「シル。君に伝えたいことがある」

 

「・・・・・・なに?」

 

「俺が姉上の指示に従うのは、人質が取られたから従うわけではない」

 

「じゃあ何?」

 

 

俺はなぜ姉上の指示に今は従うのか、それはヴェルフ達が人質に取られたからではない。今逆らえば、ヴェルフ達がまた人質に取られるからでもない。

 

本当は姉上に抗う術はいくつもあった。今でも姉上を止めることはできる。全員の魅了を食い止めることも

 

しかし、それでも今は姉上のやることは、姉上にとっても良い状況にはなる

 

 

 

と同時に

 

 

 

俺にとっても良い状況になる

 

 

なぜオラリオの常識をひっくり返してまで、姉上の指示に従い。姉上の思い通りのオラリオにしてまで、フレイヤ・ファミリアに移籍するのか

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっと君のことが知りたいからだ」

 

 

「っ!?」

 

 

 

これが姉上の指示に従う理由だ

 

姉上のファミリアに入って、もっとシルのことを知りたいことがある、俺はまだ彼女のことを諦めたわけじゃない。もう壊れた関係ではあっても、俺はまだ望む心はある

 

だから、俺はもっとシルを知りたい。姉上の元で

 

 

 

「ひれ伏しなさい!!!」

 

 

 

姉上の宣言が告げると、姉上の体から銀の輝きがオラリオを包む

 

ここから先は姉上の支配下である。オラリオに居る者全員は姉上の思考通りになる。姉上の思い通りのオラリオになった。

 

 

今俺は完全にフレイヤ・ファミリアの眷属として、皆の目には姉上の魅了でやられた目の輝きをしている

 

 

これで俺はフレイヤ・ファミリアの英雄ヘラクレスとして、オラリオに居る皆に認識されている。念のためホームで留守番させていたノームとサラマンダーとグラニとグリフォンは故郷に転移させた。オラリオ外に出たベル達は気配で確認して上手く外に出れたと確認が取れた。

 

柱の下に集められた人々と神々の眼は十分と姉上の魅了の眼をして、上手くかかっている

 

しかし、俺とずっとを手を繋いでいたシルは無事だ。そのため

 

 

「ジーク。みんなは・・・・」

 

「ああ、姉上の作戦は上手くいったようだ」

 

 

シルと一緒に柱の下に居る者たちを見ている

 

下の者たちは姉上の銀の鎖に上手く結ばれている。ドーム状の光、オラリオ包むことさえできる姉上のアルカナム。流石はヴァン兄妹の妹だけの力はあるようだ。これがヴァン神。兄上同様見事なものだった

 

 

「ジーク。これで私と貴方の邪魔をする者はいないわ」

 

「流石は兄上の妹。アルカナムお見事です。それで・・・・・・・・・これからどうなさいます?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

これでもう俺と姉上との関係は、姉上が人々や神々の考えを変えたことで、婚約者としての認識になった

 

シルはそれに少し不満さを感じる。だが、これも姉上が望んだこと、シルは反対意見を出すことはできない。これで俺と姉上は婚約者

 

この姉上が支配する都市で、俺は姉上の眷属として

 

 

 

この先はどうなるか

 

 

 

 

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