ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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アレンの真意

 

 

昼休憩

 

酒場の裏にて、簡単な食べ物を持ち込んで、アーニャたちと一緒に食べながら姉上の事情を話す

 

 

「ジーク。さっきは随分勝手なことをしてくれたね?」

 

「クロエとルノアにも話は必要だろう。魅了を掛ける必要はない。お前の友人だ。話し合うのに、二人も必要だと思うが?」

 

「そうね、私たちは話をしたいかも、あんたと」

 

「じっくり話してもらうにゃ」

 

「私も・・・・どうしてか聞きたい」

 

「ジーク。これは流石に・・・・・」

 

「いいんだ、これで。こうでもしないと姉上の本心やアーニャにも真実を伝えるためにも、必要なことなんだ。ヘルン。ここににリューも居れば良かったが、アスフィに保護されて今は不在だ」

 

 

昼休憩を設けて。食事をしながら今までなぜ正体を明かさないのか、どうして人間のフリをして酒場で働いていたのか、話をする

 

リューが居ればよかったが、今はアスフィにオラリオの外へと保護され、残念ながら不在のまま姉上の話を進める

 

 

「それでシルはあの女神フレイヤってことだよね?」

 

「ああ、主神の仕事が飽きるのか、毎回こんなヒューマンの姿に変装して働いていた。今までほぼお前たちが関わっていたのはシルの姿をしたフレイヤと働いていたと言うわけだ」

 

「ジーク。全部喋る気?」

 

「姉上が積極的に言わないからだ。お前の本心を知って貰うために、ここでまた働いているのに、自分から言わないなら、俺が勝手に口走らせて貰う。それが嫌なら全部自分で話せばいいだけのことだぞ?」

 

「うう、わかった、言うよ。全部」

 

 

なんのためにここで働いているのか、もう主神なんてやめて、この酒場で人間のフリをして働く生活の方が楽しいとわかって貰うために話ができる時間もあるのに、自分からなぜこんな状況にしているのかも教えずに話さないなら、俺が勝手に喋るだけだ、俺は婚約者でも、その嫁になる姉上のためにならなければ意味がない

 

ほとんど俺が詳細を教えたのか、観念して姉上自らがなぜこんなことをしているのか話す

 

 

「そうよ。私の名前はフレイヤ。フレイヤ・ファミリア主神のフレイヤよ」

 

「マジなの?」

 

「アーニャ?あんたも知らなかったにゃ?」

 

「うん、私はファミリアを辞めた後で、シルに拾われた。でも・・・そのシルがフレイヤ様なんて私でも知らない・・・・」

 

「それはそうよ。私はアレンに言われて貴方をファミリアをやめさせるよう言われたのよ」

 

「え!?兄様がですか!?」

 

「そうよ。余程大事にしているのよ、アレンはああ見えてね。素直なところを出さないのは相変わらずだけど・・・・」

 

「そうだったんですか・・・じゃあフレイヤ様が私を急にファミリアをやめさせたのも、どうして私をこの酒場に誘ったのも」

 

「ファミリアをクビにさせるよう頼んできたのはアレンだけど、アレンがやめさせるようを言われたことを言わないようにも言われたわ。だから私はやり方として見捨てる振る舞いをするしかなかったの。その後は私は貴方が心配だったから、このヒューマンの姿で、ファミリアを辞めさせられて行き場を失った貴方を酒場へと誘った。でも私がフレイヤであることをバレるわけにはいかなかった。だって信じられないでしょ?ファミリアをやめさせた主神が心配になって、別の場所に保護するなんて信じられる?」

 

「と言うように、全ての原因はアレンが始まりであり、アレンが素直に言わないから悪いんだがな、姉上が自身の正体を明かさないのは、当然皆もわかると思うが、フレイヤ・ファミリアの主神だからだ。上級派閥の主神が酒場で働くなんて、恐怖でしかない。自身の正体を隠してヒューマンのフリをするしかなかった。それが姉上がここで正体を隠す理由だ」

 

「正体を隠す理由はわかるわね、確かにあのフレイヤ・ファミリアの主神がここで働いているって言ったら・・・・」

 

「みんな怖がるにゃ。あの上級冒険者しか居ないファミリアの主神となるとにゃ。確かに市民からすれば怖いにゃ」

 

「じゃあここで働いているのはどうしてですか?」

 

「女神で言う名の娯楽よ」

 

「金も手に入るから、娯楽も満たして金も手に入って、一石二鳥だな、ま、姉上は料理ができないからキッチンには出して貰えないけどな」

 

「だからジークに教わっているの。最近はね」

 

「料理がこれから上手くなっても、キッチンにミアが許可を出してくれるかはわからないけどな」

 

 

経緯としては娯楽として、ミアの酒場に働いていた。それは姉上が前から営んでいた趣味でもある。娯楽を満たすと言うのもあるが、だが彼女は上級冒険者しかほぼ居ない最上級派閥の主神フレイヤ。かなりオラリオの市民やそれ以外の冒険者業界では恐れられている存在。問題なのは主神ではなく眷属に問題があるのだが、美しさや優しさがあっても立場が恐ろしくて、正体を明かして店員で入っても恐れられてミアの経営にも響くため、正体を隠すしかなかった

 

そして次に、アーニャを無理矢理ファミリアをやめさせ、酒場へと引き込んだ理由

 

それはアレンが頼み込んだ事、アレンがアーニャを守りきれなかったことが原因で、ファミリアをやめさせるべき、冒険者をやめさせるよう言われたから、アーニャとアレンは昔に深層を潜り、死にかけた時はあると昨日姉上が話してくれた。アレンは危うくアーニャを失いそうな場面があったようで、もうアーニャを守れないとアレンは妹を冒険者をやめさせるよう、姉上に頼んだそうだ。もちろん理由は言わない。そうアレンに言わないよう頼まれている。理由は兄なのに妹を守れる力が無いからやめさせるなんて。いかにも自分が弱いからの理由で捨てる。しかし、それをアレンはプライドで自分が弱いと示したくは無いがために、理由を言わずにやめさせるよう、姉上に無茶な要求を言った。だから結果的に姉上はどう断ればいいのか、案外姉上にも不器用な所があるのか、見捨てる振る舞いをするしかなかった

 

他に方法もあったが、そうするしかなかったのだろう。もちろんそんなことをすればアーニャから良く無い印象を持たれる。だからアーニャは普段主神の話はしない。派閥に入団した話も、二つ名すらも名乗らないどころか否定もする。派閥を強引に辞めさせ捨てられたと認識し、しかも姉上だけでなくアレンでさえも見捨てるやり方をしたのだ。アーニャに嫌な印象を持たれても仕方がない

 

しかし、その後のアーニャの行先はどこにもない。昔村と親があのファフニールにやられ、行き場を失い、姉上に拾われたのにも関わらず、少し時を経てばその姉上にも捨てられる。今まで行き場のないアーニャにオラリオに居場所は派閥しかなかったなかったのに、もうそれすら無い

 

だから帰る場所もないアーニャに、ヒューマンの姿に変装した姉上が、自分が副職しているミアの酒場で誘う。もちろんそれは姉上だ。姉上はアレンに頼まれて派閥をクビにしたが、本心ではいつまでもアーニャを心配している。眷族かはたまた友人か、アーニャを本気で自分の家族だと思っている。この真相を言っても信じてくれるかわからないくらい、不器用な所が姉上にはある。発言して信じてくれるかわからないくらい、アーニャに過去の行いがデカイから今まで言えなかった。本当は姉上は常にアーニャを想っていることに、しかし、派閥を辞めさせる際、どうやって辞めさせればいいのかわからかった。それこそ悪いやり方しかできなかった。今酒場でアーニャを働かせるよう仕込んだのは姉上。最終的にアーニャが自分の居場所をあれば良いと、それまでのやり方を悪くしても、姉上が本音を言わないけど、そこまでは悪い女神ではないと言うことだ

 

 

「アーニャ。お前が思っている程、姉上は悪い女神じゃない。確かに悪い方法でお前を派閥をクビにした。これは事実。しかし、結果的にこのお酒場で働いている。厳密にはお前は今までヒューマンの姿をした姉上と働いていた。それも楽しそうに、本当に女神や眷属の振る舞いではなく、友人同士の楽しい仲。姉上は何もお前を見捨てたわけじゃない。全ての原因はそれをさせたアレンだ。あいつが悪い」

 

「兄様が・・・・そんなことを・・・・じゃあシル・・・・・・フレイヤ様はウチが心配でしたか?」

 

「もちろんよ。ずっとアレンに言わないよう言われたけど、ジークが全部ここまで話したら言うけど、そうよ私は貴方が心配だった。それは嘘じゃないのよ?」

 

「信じるか信じないかはお前に任せる。でも、再びお前の前に姉上は現れた。そして今までもお前を友人と想い。シルとして振る舞ったのは姉上だ。これは嘘じゃない。とだけ言っておく」

 

「そうなんだ・・・・フレイヤ様が・・・私を見捨ててなかった・・・・・」

 

「てことはあのアーニャのお兄さんが悪いって話だよね?」

 

「妹にそんなことをするかにゃ?普通?」

 

「ルノア、クロエ、俺も同感だよ。しかし、アーニャはそれでも無茶して冒険者を続けるつもりがあると、おそらくだがアーニャが派閥の団員時代にアレンにはそう見えたんだろう。それを辞めさせるには主神に頼むしかなかった。あいつはなんだかんだ言って、アーニャを大事にしているからな。そんな素振りは見せないが」

 

「今もアレンが近くに居る?ジーク?」

 

「ああ、屋根上だな・・・・やっぱりお前の命令を無視してここまで監視をしているようだ」

 

 

そもそも原因はアレンだ

 

姉上が正体を隠して酒場を働くのは主神の仕事ばかりして飽きたから副職をして娯楽を満たそうと姉上の趣味だから仕方ないにしても

 

アーニャの派閥辞退はアレンがさせた事。アレンがアーニャをファミリア辞めさせるよう姉上に頼んだのが原因。深層を潜ってアーニャが死にかけたにしても、辞めさせるやり方など、いくらでもあると言うのに、そんなに自分が弱いことに対して晒したくないのだと、ベートに近い考えと思想をしているのだとわかる。もっと妹に向き合うということができないようだ

 

口ではアレだが、本当に心配しているのか、姉上だけでなくアレンもであり、今日も酒場の監視は要らないと姉上の命令をしたと言うのに、命令を無視してこの酒場に来ている。俺の気配ではもう察知している。今で全部アレンの思惑を全て話して邪魔しに来ないのは姉上自身が喋っているからだろうな

 

 

「まあ、シルがあのフレイヤだってことはわかったわ。でもさ、今日買い出しに行ってさ、街の人からジークがフレイヤ・ファミリアの英雄が酒場で働いているって言われたけど、ジークはヘスティア・ファミリアの英雄なはずなのに、フレイヤ・ファミリアの英雄になっているんだけど、シル・・・ああ・・・神フレイヤが魅了を使って街のみんなの認識を変えたんだよね?」

 

「凄かったにゃ。街の人々たちがジークがフレイヤ・ファミリアの英雄が酒場で働いているって聞いて、今物凄く客が増えているにゃ。みんな。ジークがフレイヤ・ファミリアの英雄であると認識されているけど、魅了をしたのはなんでにゃ?」

 

 

「それはとても簡単だ、姉上が俺と結婚したいから、皆の認識を魅了で変えた。それだけだ」

 

 

「「「は!?」」」

 

「何よ。なんか文句でもあるの?」

 

「あるよ!?あんたそんなことのためにオラリオの人々を魅了をしたって言うの!?」

 

「シルが貪欲なのは知ってはいたけど、こればかりはずるいにゃ!ジークと結婚するためにミャーたちまで魅了をするとか、本当に卑怯な子にゃ!」

 

「シル!それはさすがに卑怯にゃ!正体がフレイヤ様でも、それは流石にミャーでも納得できないにゃ!」

 

「ほらジーク。こうなるから私はルノアとクロエを魅了を解除したくなかったのよ」

 

「そこからはお前の勝負だ。頑張れ。と言うかお前たち、もう姉上だと分かっていてもシルとして扱っているじゃないか」

 

 

姉上の経緯は全て分かった。そして次に、さっき買い出しで街の人々から、俺はヘスティア・ファミリアなはずなのに、俺がフレイヤ・ファミリアの英雄として認識していることに、おかしさを感じて、なぜ街の人々が俺がフレイヤ・ファミリアの団員なのかと言われているのか

 

 

それは姉上がオラリオ中に居る人々に魅了を掛け、俺と結婚できるようにそんなことをしたと、俺が包み隠さずに答えた

 

 

もちろんそんな理由でオラリオの人々の認識を変えたことに、アーニャですらも激怒。俺のことになると我慢できなくなったのか、正体はフレイヤ・ファミリアの主神であるのに、分かっていてもシルとして扱っているのか、彼女に対しても容赦なく文句を言った

 

三人も俺に恋をしているからなのか、そればかりは譲れず、姉上に物申した。こうなるのが嫌だから姉上はルノアとクロエの魅了を解くのは嫌だったようだが、そういう恋愛は勝負真正面でするべきだと、それと友人でもあるクロエとルノアに魅了は必要ない、その二つの理由で解除した

 

でも、三人は正体が女神フレイヤだったとしても、シルとして扱っていると、やはり三人は姉上の友人としてしっかり姉上の正体を知ったとしても受け入れるようだ

 

すると

 

 

「私も反対です!シル!私は貴方の正体があの女神フレイヤだと否定はしませんが、ジークと結婚するのは反対です!」

 

 

「「「リュー!?」」」

 

「貴方、いつの間に!?」

 

「ヘディンたちにやられて、オラリオの外でアスフィに治療されて、単独でここに来たみたいだな?気配でさっきまで隠れているのを気づいていたけどな、多分だがさっきの会話はもう聞かれていると思うぞ」

 

「じゃあジーク、教えてよ!?」

 

「姉上が話に集中していたから、言うタイミングがなかった」

 

 

そんな話をしていると、俺の後ろから

 

 

リューが現れる

 

 

ヘディンたちにやられた後、アスフィにオラリオの外に連れられ、治療を受け傷を完治して、オラリオの状況を確認するために単独でオラリオに戻って潜伏し、俺たちが酒場に居ることに気付き、先ほどの話も、盗み聞きだが全部聞いて、今姉上と俺の結婚を反対していると、話の流れは先ほど盗み聞きをしているようで全部把握したようだ

 

よく俺たちの居場所が分かったものだ。

 

 

「傷が癒えたんだな、リュー」

 

「はい、アンドロメダに治療を受け、オラリオがどうなっているか確認のために、ジークさんの仲間であるフィルヴィスとここへ来たのですが、フィルヴィスは別の場所へ調査をして今ここに居ません」

 

「そうか、だがそれを姉上に言うのは良くないとは思うが、お前も反対するか?俺と結婚するために皆の認識を操る姉上の行動に?」

 

「はい。私は反対です。シル。貴方の正体がフレイヤでも私は貴方の親友として受け入れます」

 

「リュー・・・・・・」

 

「ですが、ジークと結婚はダメです!!それは私も反対させていただきます!」

 

「な!?貴方までそんなことを言うの!?」

 

「はい!ジークに恋をしているのは・・・・・・・・・・貴方だけだと思っているんですか!?私もです!私もジークさんがす・・・す・・・好きです!!」

 

「ポンコツエルフの癖に、またジークに告白した!?」

 

「誰がポンコツですか!ルノア!」

 

「だったらリュー。私と一緒にジークを手に入れようよ。ルノアとクロエとアーニャに取られる前に!」

 

「いいえ!私は私一人の力でジークを手に入れます。貴方の力は入りません!シル!」

 

「な!?親友である私を裏切る気!?」

 

「裏切るも何も、オラリオの人々を魅了して、自分の都合の良い環境にした自分勝手な貴方を、親友と思っても、色々貴方は私を騙しました。私を利用して最終的に貴方がジークの全てを奪うかもしれない。ジークだけは絶対に渡せない!彼は私の手で・・・・・・・迎えるのです!」

 

「ま、勝手な振る舞いをした姉上の言葉には。信用は確かにないな」

 

 

だんだん話は流れるように変わった。姉上の全てを友人たちに知って貰うはずが、今姉上がオラリオに居る人々に魅了をした理由を問われ、それが俺との結婚のために、俺の派閥、経緯、そして俺が姉上の婚約者であると

 

 

俺の全ての経歴を皆が知る認識を変えるために、オラリオの人々を魅了をして操った

 

簡単なことを言うと、俺を手にするために姉上の派閥の所属だと塗り替えた

 

 

俺を手にするために手段を問わずに人の迷惑を考えずに、強引に手にしたことを怒っているのかと、アーニャたちは不満な声を上げてているのかと思ったが、そうではなく

 

 

俺と婚約すること自体に怒っていた

 

 

姉上が前々から卑怯なことをすることは、今まで友人として接してきた彼女たちからすれば、知っていることだから別にオラリオの人々全員に魅了をかけたことなど、いつかやるだろうと思っていたことだから、気にしていないのだろう

 

 

だが、俺と結婚することだけは彼女たちは納得できなかったようだ

 

 

恋する乙女は流石に譲れないものがある。と言ったところだろうか、正体がフレイヤでも受け入れられるが、俺が取られるのだけは反対だった。そんなことでオラリオの人々を魅了したとなると、リューたちは尚更呆れるのだった

 

 

姉上も、会話の仕方が完全にシルの喋り方になっていた、友人の前だと本音で喋る程、フレイヤの喋り方はしていない。やはり姉上は俺と結婚せずに、このままシルとしてアーニャたちと酒場で働いた方が充実な毎日を送れると、やっぱり主神なんて辞めて、これからもシルとして生きた方がいいと思うのだがな、まあそれは姉上が決めることでもあるため、俺はそうした方がいいと思っているが、生き方を決めるのは姉上であるため、今はまだ口にはしない

 

 

だが今の状況はあまり良くない。何度言っても口争いをするばかり、この口喧嘩は一生続くのではないかと思う程、俺の取り合いの言葉が飛び回るばかり、こんな永遠の終わらない会話がいつまで続くのか、俺はただ聞いているだけにしていようと思った。ヘルンも何も言わない。この会話に混ざるべきではないと。無言が正解だと、何も口にしないことが今の状況に関わらずに済むと彼女も思っているのだろう

 

そんな矢先に

 

 

「じゃあ、ジークが今ここで決めて貰おうよ!この中で誰と結婚するか!」

 

「ほう・・・・俺が今この場で決めろと?」

 

「うん、いっそのことジークが決めてよ!今ここで!」

 

「私だよね!ジーク!」

 

「ミャーに決まっているにゃ!」

 

「あんたじゃない!私にゃ!」

 

「私ですよね!?ジーク!」

 

 

「そうか、ここで決めるか」

 

「・・・・・・・・」

 

 

今ここで嫁を決めろと姉上に告げられる

 

リュー、アーニャ、クロエ、ルノア。もしくは姉上。そのメンバーの中の一人を選べと言う。ここにはヘルンも居るが、彼女は候補に入ってはいない。つまり、それ以外を選べと言う。

 

ここでそんなことを言われるなら、遠慮なく決めさせて貰う。とは言っても本心ではない。ここで姉上が計画したことを実行するために

 

俺が嫁として選ぶのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーニャ。君を貰う」

 

 

「「っ!?」」

 

「「「ええ!?」」」

 

 

「え・・・・・ミャ!?」

 

「そうだ。俺は君を選ぶ」

 

 

それはアーニャだ

 

俺はアーニャを選ぶ。彼女を選ぶ理由は本心ではないことは間違いないと、今へルンと姉上の驚きようなら言うまでもないと気づいているだろう。これは姉上の計画だと

 

こうでもしないと『あいつは動かない』からな。計画を実行するタイミングとしてはここであるべきだ。ついでに『あいつ』もここに居るわけだしな。包み隠さずに計画通りに俺はアーニャに想いを伝える

 

 

「アーニャ。俺は君を選ぶ理由は、笑顔が素敵だと思った」

 

「私が?」

 

「そうだ。君はどんな人でも笑顔にする。チャームな所がある。それはどんな時でも絶やす事のない程に、いつか俺を笑顔にしてくれる希望の光だ。君は」

 

「私が・・・・ジークを笑顔に・・・・」

 

「君を選びたい。俺の嫁になってくれるか?」

 

「私がジークと・・・・結婚!?」

 

「「「そんな!?」」」

 

「「・・・・・・・・」」

 

 

彼女の微笑みは誰もが笑顔になる。アーニャを嫁にすれば。きっと幸福な家庭を築ける。彼女を嫁にした時は、その間に生まれる子供も、アーニャのようにきっと笑顔が絶えない明るくてお茶目な可愛い子供ができるだろう。彼女を嫁に迎えれば。きっと毎日楽しい日常を送れるだろう。彼女もかなり嬉しそうで、受け入れてくれる様子を伺う

 

だが、『あいつ』が動かない。この程度で動かないってなると、どうなるか結末まで確認しているのだろうか

 

なら

 

条件を出して『不満』にさせるか

 

 

「だが条件がある」

 

「条件?」

 

 

「性の名は、フリードの改名して貰い、フローメルの名を捨て、ファミリアと関係ある者とは、一切関わらないで貰いたい。つまりお前のあの愚兄を二度と家族として扱わないと約束して欲しい」

 

 

「え!?」

 

「嘘!?」

 

「それって・・・・・あのヴァナ・フレイヤとの家族の縁を切れってこと!?」

 

「マジ!?」

 

「ジーク。本気!?」

 

「ああ、俺はアーニャと結婚するために、フレイヤ・ファミリアの関係を切り。そしてアーニャを捨てた愚兄を二度と家族として扱わないこと。今度は君があいつを捨てる番だ」

 

「兄様を・・・・捨てる・・・・」

 

 

『っ!・・・・・・・・』

 

 

条件とは、フレイヤ・ファミリアとは縁を完全に切ること。つまり俺はフレイヤ・ファミリアの所属だが、アーニャは関わらないと約束すること。力に溺れ姉上の寵愛欲しさに欲する者達など、俺の関係者であっても、嫁であるアーニャの関係に入れたくない。もう彼女には冒険者とは無縁の世界で生きてもらいたい。それこそ、冒険者で出稼ぎする俺、家庭で家事をして、たまに酒場で働くアーニャ。彼女には専業主婦の道を取って欲しい。彼女には家庭を守る母であって欲しい。

 

そのためにまずはアレンを捨てると約束して欲しい

 

 

理由は、今アーニャにとって。アレンはトラウマだからだ

 

 

過去に深層を二人で向かって、足手纏いになって捨てられた。扱いも雑で何も言わないでファミリアを追放させた本人を家族とし扱う必要はない。そのせいでどれだけアーニャが心に傷を負ったのか、そんなこともわからない愚兄など、家族でもなんでもない

 

 

「あの愚兄は君を捨てた。なら、君はあの愚兄を捨て、フローメルの未来を俺と共に作るために、フローメルの名をひとまず捨てて欲しい。本来なら家族を捨てたあいつがフローメルの名を捨てるべきなのだが、君が捨て、俺の一族の者として俺と君の未来を作ろう。家族を捨てたあいつのことなどもう忘れよう」

 

「兄様を・・・・私が捨てないとジークと結婚できない」

 

「気にする必要ない。あの愚兄は君を捨てたんだ。今も尚君に会おうともしない。姉上の寵愛に振り回されて力に溺れた家族の恥など、君には関係なかったんだ。君を悲しませたあの親不孝者とも言える者など、家族でもなんでもない。君が勇気を出して言うんだ。君の村も親も滅ぼした黒竜ファフニールは俺が殺したのに、あいつは今でも家族である君の所へ帰らない。それはもう完全に君を捨てた証拠なんだ。気に止むことはない。あの男は家族ではなかったと。俺と婚姻して知らしめよう」

 

「ジーク・・・・・・」

 

 

俺は容赦なく。アーニャにはアレンがフローメルの汚点で容赦なく言う

 

本当にあの男は愚兄としてフローメル家の恥晒しをしたのだ。家族を見捨てると言う恥晒しを。なら俺はこうする。俺と婚姻してフローメルの未来を作り替える。アレンが存在した事を消す。その意味は俺とアーニャに生まれる子供には叔父が居たなど、一切伝えない。フローメルの血を継ぐのは俺とアーニャしか居ないと知らしめること

 

本当にアレンと言う存在を消すつもりで、アーニャと婚姻する。フローメルの名を捨てさせる。あの愚兄に

 

 

そんなことを言っていると

 

 

 

 

「テメエ。随分と俺のことを好き勝手言いやがって、殺されてえのか?」

 

 

 

「誰かと思えば、捨てた妹に何かあれば来るのか?フローメルの汚点。殺されたいだと?この前まで俺に何度も殺されそうになった愚か者が、俺とアーニャの婚姻に何か用か?」

 

「兄様!?・・・・・・・」

 

「ヴァナ・フレイヤ!?」

 

「アーニャの兄貴にゃ!?」

 

「アレン、命令を無視したね?」

 

 

「罰は何度でも受けます。しかし、それでもこの野郎を野放しにはできません!!」

 

 

そんなことを言っていると、本人である愚か者。アレン・フローメルが現れた

 

一体どの立場があって現れたのだろうか、姉上の命令も無視をしてまで、ここに現れるとは。捨てた妹が今になって心配になったのか、勝手にここまで来たようだ

 

 

「俺に用があってここまで来たようだな、姉上の命令を無視してなんだ?」

 

「随分と俺のことを汚点呼ばわりしやがって、テメエが俺のことを知った気で居んじゃねえ!」

 

「少なくとも知っているから、先ほどの発言をしただけだ。心当たりがあるにしても、他者の言葉などお前が気にかけなければいいだけだ。それとも俺がアーニャと婚姻することに口出しでもしたいのか?」

 

「そのクズがテメエと結婚も気に食わねえ!なんでテメエがそのクズを選びやがる!別に他の女でもいいだろうが!!」

 

「アーニャを選ぶことの何が悪い?妹を捨てたお前が今更妹の婚姻に口を付けるのか?痴がましい奴だったんだな?」

 

「黙れ!テメエがよりにもよって、こいつを嫁にするなど、こいつが苦労するだけだ!」

 

「だからと言って、お前が口出しする権利はない。黒竜ファフニールには両親を奪われ、二代目となる俺黒竜ファーブニルに今度はアーニャを奪われる。これでもうお前には何も残らない。せいぜい姉上の眷属としていつまでも力に溺れるがいい」

 

「っ!?テメエ・・・・・ここでぶっ殺す!!」

 

「勝てもしない癖に、よく言う」

 

「ジーク!」

 

「兄様!やめてください!」

 

「止めるな。ここでやらせて貰う、そうでなければ『あいつの本音』が出ない」

 

 

アレンはもう俺の暴言に我慢できなくなったのか、俺に持っていた槍を向け、俺に襲いかかる

 

本来なら今は酒場の近く、酒場の近くで戦闘をすれば店主であるミアに叱られるが、それでも戦闘する。やらなくてはならない理由がある。それにもう俺にとってアレンは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや敵ですらないため、ほぼ数分かからずに終わった

 

 

「ぐあ・・・あ・・・クソ・・・・・」

 

「もう言うまでもない程の学習の無さ。お前の槍捌きはほぼ単純で簡単に見抜ける。しかも、俺にはファーブニルの皮膚でお前の槍などもはやガラクタに過ぎない。これでファフニールに挑もうとするなど無謀に過ぎない。本当にお前はなんのために力を手にしたのか、ここまでになると無意味でしかないな」

 

「す・・・・すごい・・・」

 

「あのヴァナ・フレイヤの攻撃が全然効いてない!?」

 

「これが黒竜ファーブニルの力、ゼウスとヘラのファミリアが勝てないのもよくわかる」

 

「兄様・・・・・」

 

「ジーク、本当に容赦なくやったわね」

 

 

決着はすんなりと済んだ。アレンはもう俺の敵ではない。もうレベル7でファーブニルの力を制御できる俺は、アレン辺りのレベル六はもう簡単に勝てる。

 

アレンをまたも重症に追い込んだ。今度はヘイズも居ないから治療できるのは俺だけ、しかし、こんな愚兄を助ける気などない。もはや仲間ですらもない。家族も大事にできない男など、もはや同じ派閥の仲間でもなんでもない。だから瀕死状態まで追い込んだ

 

これで黒竜ファフニールに復讐をしようとしたとは、俺は笑えないがお笑いに過ぎんほど無様だ。なんでこんなにも弱くなったのだろうか、まあ、それはこいつの心から来ているのだと思うが、まあ、なんにしても。もうこいつの相手などする必要はない

 

 

「これで終わりだ。もうお前の相手などしない」

 

 

そう言って、俺は倒れたアレンを置いて、姉上たちの所へ戻ろうとする。すると

 

 

ガシ!!

 

 

「ん?なんだ?まだやるのか?」

 

「テメエを・・・・倒す・・・までだ・・・」

 

「もう何度やっても無駄だと、まだ学習できないのか?そこまでお前は愚かだったんだな?」

 

「うるせ・・・え・・・・絶対に・・・認めねえ・・・・テメエがあいつの・・・・婿に・・・なるなんて・・・・」

 

「アーニャの婿になることの何が悪い?お前に口出しする権利はない。お前が捨てたんだろう。捨てたお前が。アーニャの家族面するな」

 

 

去ろうとしたら足を掴まれる

 

まだ戦おうとするのか、アレンはひつこく俺に挑もうと、俺の足を掴んで止める。何がこいつをそこまで這い上がらせるのか、俺には一つだけわかるが、それでもこいつが口にしないから、何も伝わらない。

 

だから、アーニャに関しての話をする。アレンの本音を出せるために

 

 

「なぜ、アーニャのためにそこまで戦う?一度捨てたのはお前だろう。妹を捨てたお前が、なぜ今更アーニャの婚姻を邪魔する。実妹をクズと呼び、ファミリアをクビにして捨てた人で無し。力だけが全てだったお前が、今更アーニャのためになんかなるな。お前は姉上の寵愛だけに力を使えばいいんだ。アーニャに二度と関わるな、アーニャは俺が幸せにする。もしもの話をする。お前と言う家族が居たことは、これから俺とアーニャの間に生まれるかもしれない子供には一切言わない。お前は赤の他人だと、お前など家族ではないとな!!」

 

「っ!?・・ぐう・・・ぐうううう!!」

 

「っ!ほう、ここまでやられて立つか」

 

 

まだ婚姻が決まったわけではないが、俺はワザと婚姻を決まったも同然の話をし、俺とアーニャの間に生まれた子供には一切アレンと言う家族は居ないと、生まれる子供に告げると

 

 

アレンは、それでも我慢できないことがあるのか、立ち上がる。

 

 

持っている槍を杖にしてまで、無理矢理にでも立ち上がる。この様子だと、いい加減本音を出すようだ

 

 

なぜアレンが、『アーニャを常に見ている』のか

 

 

「テメエの・・・言う通りだ・・・俺が弱いから・・・こいつを捨てた・・・俺が倒すべき黒竜を・・・・いつか倒すために・・・そのために車輪が追いかける・・・・あいつを・・俺は捨てた!!あいつを守るために!そのためにあのお方に忠誠を誓って、強くなるんだ!もう奪わせねえ!!!黒竜にも!テメエにも!!」

 

「・・・・・・」

 

「兄様・・・・・・」

 

「俺が倒すはずだった・・・黒竜をテメエが取るんじゃねえ・・・・・・そしてそのテメエが黒竜になって・・・アーニャを取るんじゃねえ・・・」

 

「アレン・・・・・そうよ。それでいいのよ」

 

 

アレンがついに本音を上げる

 

なぜアーニャを捨てたのか。本当はしっかり守れるようになりたかったから、そのために冒険者をやめさせた。アーニャを捨てても、心は捨ててない。理由をいろんなことに重ねても、アーニャから目を背けていない

 

姉上が寵愛が欲しいわけじゃない。アレンが欲しいのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の妹に触るな!!俺の敵!!!ジーク!!!黒竜ファーブニル!!!」

 

 

 

 

 

 

「やっと言えるようになったか、ベートみたいに素直にならん奴だ」

 

「兄様が・・・私を・・・妹って呼んでくれた・・・・」

 

「やっとアレンがアーニャを大事にしているって、自分で言うようになったわね、ここまで苦労したわ。別に見捨てたわけじゃないのよ。アーニャ。アレンは毎日貴方がこの酒場で働いてから、ずっとアレンがこの酒場を護衛しているしね」

 

「兄様は・・・いつも私を見ていてくれた・・・」

 

 

アレンがしっかりと自分の口で、アーニャを妹だと発言した

 

ベートみたいに本当に素直にならない奴で、さぞかし姉上も苦労をしただろう、こいつがしっかりと家族を大事にしていると、本心を語れるようにするのには。しかし、俺がアーニャに手を出せば、奴は必ず本心を出せると狙って正解だった

 

まったく、妹が大事なことくらい言えるようにならねば、なんのために力を強くするのかわからなくなるだろうに、本当にある意味面倒な男だ

 

だが

 

 

 

 

俺はアレンを羨ましいとも思った

 

 

 

自分の大事にしている者を『大切だと』しっかり『言える』と言う所は、非常に妬ましく、俺もそんな風にできたらなと、俺は彼に嫉妬をした。少しだけ

 

 

「それくらい素直になれ。何が恥ずかしくてそんなに強がるのか、意味がわからん。だが、今回はこれでアーニャに手は出さないでやる。そうやってしっかりアーニャを見ておけ。でないと、今度こそ彼女を奪うからな」

 

「テメエに言われるまでもねえ。二度と俺の妹に近づくな!」

 

「アーニャ。婚姻の話はあいつに免じて保留にする。返事は長く考えてくれ。すぐでなくてもいい、気持ちが整ったら返事をくれ」

 

「わ・・・・分かった・・・・」

 

「アレン。アーニャをしっかり見ておけよ、お前が隙を見せたら、俺はアーニャを奪う。覚えておけ」

 

「テメエに・・・言われなくても・・・絶対に奪わせねえ・・・・」

 

「やっとまともになったようだ、アーニャ。酒場に戻る前に、こいつの治療を施してやれ、回復薬だ。受け取れ」

 

「あ、ありがとうにゃ!」

 

「それ以外はそろそろ戻ろう。ミアには俺が話す。暴れたのは俺だ。叱りを受けないとならん」

 

「ジーク、あんたまさか?」

 

「アーニャとあのヴァナ・フレイヤの仲を戻すために?ワザとアーニャを嫁にすることを選んだの?」

 

「姉上との計画だ。これで上手くはいった。アレンが今だけアーニャを大事にして、それからはいつも通りクズ呼ばわりしたり遠ざける真似をすれば、俺がアーニャを娶る。そうなることを絶対に避けるために、これからも家族としてアーニャに接するはずだ」

 

「ジークは本当に優しいね。アーニャのためにここまでするなんて」

 

「アーニャは大事な友人だ。友人のために悪を演じたに過ぎない。姉上も友人にこれくらい接することができるようになればいい」

 

「ヴァナ・フレイヤは妹想いだったんですね。確かに言われてみればあの凶狼に似てますね」

 

「まあ、似た者同士ではあるな。リュー。お前これからどうする?姉上が変えたこのオラリオを調べても変えることはできないぞ?それかこのまま酒場で働くか?」

 

「そうですね。シルのことをもっと知るために、このまま酒場で働こうと思います」

 

「フィルヴィスはいいのか?」

 

「別のところへ行って長く調査をしていますので、あとで合流しますので問題ないです」

 

「そうか、姉上。そこに眷属を送るなよ?」

 

「あら?私がそんなことをするとでも?」

 

「姉上ならやりそうだからな」

 

 

そうして、アーニャに回復薬を渡して、アレンの治療をさせる。このまま死なせると悲しむのはアーニャだ、せっかく兄が妹想いを見せたんだ。死なせるべきではないと、アーニャのために動く

 

これで姉上の計画通りになった

 

姉上の計画通り、フローメル兄妹の仲を取り戻すことができた。と言うよりアレンを素直にさせただけなのだがな。だが、俺がこれからもアーニャが無防備だったら俺が彼女を奪う。そうなっては困るシスコンのあいつならもう今までのようにアーニャを避けたりしないだろう。姉上と俺の思惑通りにはなった

 

アレンもベートみたいに変わらなければ強くなれないと、理解がなければこの先を乗り越えない

 

 

二人を置いて、それ以外の俺たちは酒場に戻るが、俺はこの後叱られなければならない。ミアの酒場の近くでアレンと一戦やった。今頃変な騒動を起こしてお怒りなはずだ。起こしたのは俺だ。俺が怒られなければならない。覚悟しているため恐れはない

 

リューは姉上の魅了で変えたオラリオを調査のためにここへ来たが、個人的に気になる姉上をより知るために、急ではあるがいつも通り酒場で働くようだ。臨時で入ることをミアには俺が代わりに伝えておくようにする

 

 

「ジーク。あの婚姻の話。本心だったりしますか?」

 

「そう思うのか?無い。俺には・・・誰にも本心になれない。今回は姉上の計画だけで言っただけだ」

 

「そうですか・・・・それだけ聴きたかっただけです。なんでもないです」

 

「そうか・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

 

ヘルンに最後、婚姻でアーニャを選んだのは本心だったのか、個人的に気になるのか聞かれる。無論本心はなく、アーニャがアレンと家族として接することができるよう、アーニャを選んだだけだ。本心じゃない。だからアーニャを欲しいと思ったわけではない。だから俺はアーニャを傷つけることになる。それでももう俺は壊れているため、誰が何を思うが、何も俺には感じない。ただ、そうしようとした方がいいと安直な考えをしただけ

 

ヘルン、姉上は気づいているだろう。もう俺は誰に対しても愛を示さないことに、カオス・ヘルツがレベル7まで至ると、ここまで誰かを想うことができなくなると、矛盾も出ても何も感じないだろうな。きっと。

 

 

だから恐れないだろう。ミアの叱りでも何も感じない

 

 

 

「人の酒場近くで、随分と大暴れしてくれたじゃないか?」

 

「すまない。アレンを素直にさせるために一戦交えた。殴るなり好きにして構わない」

 

「ふん、今のあんたは殴る価値もないね。アーニャのためにあの小僧を更生してくれただけ、免じてあげるよ」

 

「俺の様子を見て、そこまで酷い有り様だと。目で見てわかるんだな?」

 

「顔には出てないけどね。だけど今まで冒険者の顔を見てきたからわかる。今のあんたは物凄い酷い状態だね」

 

「だとしたら、今の俺は見るに耐えない程だな」

 

 

ミアに叱りを受けるのかと思いきや、俺の無様な有様を見て殴る気もないと、今の俺は見るに耐えないようだ。余程気持ちの入り込みのない男であると、ミアの眼には醜く見えるのだろう。感情が薄れている俺に顔の表情などあるのかと疑うが、ミアが言うならそうなのだろう

 

今の俺は感情を見せない人形のような無表情をしていると、面白味のない男になったなと、相手する気がないと言うことだ

 

 

「あの女神の所に居て、随分と元気がないのね?」

 

「元気がない・・・か、確かに疲れはする。姉上の所にいると毎日毎日面倒なことばかりで、ヘスティア・ファミリアの平和な日常の方がマシだな。むしろ姉上の派閥は日常とは言わん。いつでも・・・・・殺し合いだ」

 

「だろうね。確かにあんたでも疲れそうだ。あの馬鹿どもの相手は・・・・」

 

「姉上とアーニャ達が居れば、この酒場のように楽しくできるだろうが、今の姉上は俺の執着するばかりで、俺の派閥入りをかなり狙い、独占しようとあまりアーニャ達とも関わりを断とうとしている」

 

「あの女神があんたに恋するとこうなるんだね」

 

「そう言う所は、兄上そっくりさ。兄上はエルフの里に何も言わずに出て行った。恋した相手と結婚するために、姉上は俺と結婚するためにオラリオを変貌させる。似ている部分はある」

 

「なるほど、確かにあのエルフの主神である

、あの女神の兄の話を聞いて、私もそう思えるようなったよ。でもあんた、あの女神と結婚する気はないんだろう?」

 

「無い。姉上は姉上だ」

 

「そう、なら・・・・・あんたは誰と結婚したいんだい?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「何も答えない。いや・・・・『居る』けど。答えられない。ってところかい?後悔する前に、答えるようにならないと、あんたが苦しむことになるよ?」

 

「そう思えるのに、答えらないのがとても苦しい」

 

「たく、あのバカ猫坊主はあんたの言葉で本音が言えるようになったのに、あんたは何も言えないとは、あんたはそこまで力を得るために心を捨てたかい?」

 

「好きで捨てたわけじゃない。レアスキルによってだ」

 

 

何もかもミアには見抜かれている

 

だが、それでも答えることはできない。結婚したい相手が居ると言うのは嘘ではない、でも答えることは今でもできない。ミアはおそらくその相手が居ると分かっている。それをあえて言わせるために、あのような挑発なことを言ってくる。それの引っかかるように食い付いて言うのかと狙ったようだが、それでも俺には答えることはできない。感情を封じられているだけで、愛のある言葉が出せない。全くもって俺にはリスクを捧げれば強くなれないなど、不安定だよ俺は

 

負の感情だけは面に出せるのに

 

 

「ん?あれは・・・・・」

 

「ん?どうしたんだい?」

 

「客が来ている。俺が対応してくる」

 

「は?そんなもんあの娘たちに・・・・」

 

「いや、俺が対応しないとダメな相手だ」

 

 

俺にしか対応できない客が酒場に来ていた。

 

普通ならシルたちに任せるのが普通だが、今俺に会いたいがために、こんな敵地とも言える場所に来たのだ。対応は俺がせねばならない

 

その相手は

 

 

 

 

「ロキ。あんたがここに来るとは、お昼すぎだと言うのに、もうお酒でも飲む気なのか?」

 

 

「まあ、ウチはお酒が好きやし、久しぶりに・・・・甥っ子の顔でも見ようと思って、自分がここで働いているって聞いてな、ここへ来たんや」

 

 

その相手はロキだった

 

俺が対応しなくてならない理由はこれだ。俺の叔母である、ロキ・ファミリア主神、悪戯の女神ロキ

 

我が叔母であるロキも姉上の魅了をされた眼をしている。だから俺と会っても気まづくて歪な関係をしている。姉上が魅了をしたことで、俺はフレイヤ・ファミリアの英雄として今オラリオの常識になっている。

 

そのため、ロキの認識では、俺はロキの派閥をやめて、二年後である今、フレイヤ・ファミリアに入り、そこで今まで英雄になる活躍をして有名になっていることになる。ロキと姉上は犬猿の中。派閥の仲が悪い相手に所属している俺が、ロキの姉、我が母がトールであることを姉上が公表したことになり、今俺はロキが苦手とする相手の派閥に居ることに、血の繋がりに近い家族が嫌いな女神の所属になっていることに、気まずさもあるが、それでも家族であることに変わりないため甥っ子の様子を酒場を利用するフリをして確認をしに来たようだ

 

俺が姉上の婚約者と分かっていながら

 

予想以上に姉上の魅了が効果があるようで、歴史までも塗り替えていて、ロキでもこの違和感に気づかない

 

 

「別に構わんが、姉上が居るからあんまり下手なことをしていると、ちょっかいを出されるぞ?」

 

「そうみたいやな、なんでヒューマンの姿をしているんや、あの色ボケ女神。ところでジーク。あの色ボケ女神の婚約は・・・上手く進んでいるのか?」

 

「ああ、下手をしたら早く式を進めるかもしれないな。このままなら」

 

「そうか、ホンマにあの色ボケ女神を選ぶんか?」

 

「そう、頼まれたのは姉上だ。俺は姉上の義弟であることは知っているだろう?それで本物の家族を望んでいるから、まあ、俺は姉上の指示に従っているだけで、本意ではないな」

 

「っ!なら今すぐ、色ボケ女神の所なんかやめてウチの所にまた・・・・・」

 

 

 

「何か言いましたか?ロキ様?」

 

 

 

「げ!?色ボケ女神!?」

 

「だから言っただろう、ロキ。あまり変なことを言うと、姉上にちょっかい出されると」

 

 

ロキは俺に姉上の婚姻は上手くいっているのかと質問され、上手くはいっている、ただし俺の本意ではないと、姉上の言う通りに動いていると聞いたロキは、本意ではないのなら、ロキ・ファミリアに帰って来いと言おうとした瞬間

 

 

姉上が横に入って邪魔をする

 

 

俺を別のファミリアに引き込もうとするロキに、姉上が輪に入ってロキの目論見を阻止する。だからあれほど変なことを言えば邪魔しに来ると、忠告をしたと言うのに、俺を奪おうと血走ったのか、残念ながら俺の忠告は聞かなかったようだ

 

 

「なんの話をしているのですか?先ほどジークをロキ様のファミリアに引き入れると言う話を聞きましたが?ジークはフレイヤ様の婚約者ですので、他の派閥に入ることはありませんよ?私たちの英雄は取らないで貰えますか?」

 

「何がフレイヤ様の婚約者や!自分がフレイヤやろう!勝手にウチの甥っ子と婚姻を結ぶんとは、随分と眷属の扱いが分かっとらんみたいやな?」

 

「あら、ロキ様は誰のことを言っているのかわかりませんが、ジークは私たちフレイヤ・ファミリアの英雄で所属です。私たちの英雄であるジークは、私の主神であるフレイヤ様と婚姻することは当たり前なのです。あのお方が一番愛しいと思えた相手が、フレイヤ様の義弟であるジークなのです。これぞ運命の出会いとも言えることです。フレイ様の義弟の出会いが・・・」

 

「ふん!そんなくだらん話を、自分の正体を隠して言うなや!!!」

 

 

「まったく、お前たちは・・・・」

 

 

口を開けばお互い言い合い

 

姉上がシルの姿ではあるが、言っていることは姉上の言葉であることが明白、ロキを相手にして、いつもこのような会話をしているようだ。ここで口争いをするとは、そこまでミアに怒られたいのだろうか、そこまでにしておこうかと、史上最大の忠告する

 

 

「そこまでにしておかないと、ミアに怒られるぞ?お前たち二人?それでもいいのか?」

 

「「う!?」」

 

「シル。仕事に戻れ。ロキは・・・・酒場に来たんだ。なんか注文しろ」

 

「う、はい。仕事に戻ります」

 

「はい。エールとおつまみで茹で豆」

 

「分かった」

 

 

ここではミアが法だ。

 

ミアに逆らえる者など。この酒場に訪れる客も含め、ミアの元主神である姉上でも逆らえない。この酒場ではミアの決め事が全てだ。

 

口争いを続ければ騒々しいと言うことで、叱られるのは二人だ。無論二人はミアに怒られるたくはないがため、シルは仕事に戻り、ロキは客らしく注文をする。賢明な判断だ

 

俺はロキの注文した料理を取りに行き、それを渡す。本来は他にやらせるのだが、ロキは俺が対応する

 

 

「持ってきた。他があれば他に頼め。俺はもうキッチンに戻って調理する」

 

「ジーク。聞きたいことがあるんやけど」

 

「なんだ?」

 

「最近覚えたことが突然記憶が思い出せなくなることがあるんや、ジークに聞いてもしょうもないかもしれへんけど、何か知らんか?」

 

「そうか・・・・・そうなるのか、操られているあんたは・・・」

 

 

エールと茹で豆を持ってきた際、ロキに最近覚えたことが急に忘れてしまうと言う現象があると、俺に言い、何かこう言う現象は誰かの仕業ではないのかと、流石は頭の良い叔母上はすぐに違和感を感じて心当たりがないかと俺に聞くのは判断は良いだろう

 

しかし驚いた。他者が受ける姉上の魅了の感覚が、記憶の改竄が気づけそうで気づけない違和感をされるものとは思いもしなかった。魅了を掛けられた者は、記憶の曖昧さまで気づかれない感覚をされるようだ。まあ、姉上の魅了が記憶を書き換える催眠であることは知ってはいたが、まさか記憶が一度リセットされることまでも記憶として記録されないなんて、本当にまともではない能力だ

 

だがロキは気づいているようだ。流石は悪戯の女神にして我が叔母上。我が母は武道派で叔母上が頭脳派。姉妹である二人は何かしら欠けていても、その片方の才能は持ち合わせがあるのだからな。誰の仕業ではないかと聞いてくるような言い回しな時点で、やはり感が鋭いにも良い考えだ。

 

ここで叔母上に協力を求めるのもいい筈だ。姉上の計画を阻止するには、無論姉上に文句を言われるが、言い訳は考えてある。

 

神殺しのレアスキルでロキの魅了を解除する

 

 

「答えはこうだ」

 

「ん?なんや?ウチの肩に手を置いて?」

 

「ゴッドシュテールング」

 

「っ!?ジーク!何をするの!」

 

 

俺はロキの肩に手を置いた。魅了を解除するにはロキの体に触れねば解除できない。俺はロキの肩に手を触れ、魅了を神殺しのレアスキルで解除する

 

無論、その行いは姉上に見られてしまい。やめさせようとまた邪魔しに入るが、もう手遅れ

 

 

ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!

 

 

「ぐう!?あれ?ウチは・・・・」

 

「記憶は戻りましたか?叔母上殿」

 

「ウチは・・・・そうや!あの色ボケ女神の魅了のせいで!」

 

「ジーク?これはどういうこと?」

 

「叔母上は俺の家族だ。だから戻した。俺は姉上だけが家族ではない。我が叔母上は我が母の妹。血の繋がりのある親戚だ。義理の姉弟よりかは家族の縁はある。だから解いた。それだけだ」

 

 

ロキ叔母上の体に黒い雷を流して、彼女のピンク色の眼の輝きが消える。姉上の魅了が解除される

 

当然ながら姉上には文句を言われる。無論目論見としてはこの姉上の計画を打破すること、それを隠す言い訳をするなら、叔母上も俺の家族だから魅了を解いたと、ロキ叔母上も俺の家族だから魅了を掛ける必要ないと解除した。それが理由だ

 

 

「ジーク、魅了を解いてくれて助かったや。それでこれはどういうことなんや?色ボケ女神?」

 

「なんのことですか?私はシルと言います。誰かと勘違いをしていませんか?」

 

「ヒューマンのフリをするなや!自分が何をしたのかわかっとるんか!こんなことをしてタダで済むとでも・・・」

 

「叔母上。これ以上の喧嘩口はやめた方がいいかと・・・・・手遅れか」

 

 

「うるさいよ!この馬鹿女神!!」

 

 

「げ!?ミア母ちゃん!?」

 

「うるさいよ!口喧嘩がしたいなら表でやりな!ここは酒場だ!酒を飲む場所だ。シル!あんたもさっさと接客に戻りな!」

 

「え!?でも!」

 

「早くしな!それとも聞けないってのかい!!」

 

「い、いいえ。すぐに戻ります!」

 

「わ、悪かったや、じゃ、じゃあ追加で焼き魚とローストビーフを頼む。ジーク。あとで話がある」

 

「了解した」

 

 

口喧嘩をすれば当然、ミアのお怒りを受けることになる

 

さっき俺が言っていた忠告をもう二人は忘れたのか、もう忘れて二人はミアに叱りを受けた。流石の姉上もミアには逆らえない。言う通りにして仕事に再び戻る。げんこつを受けるくらいなら黙って仕事をする方がいいからな

 

ロキも流石にミアを敵に回したくないため、魅了は解除されて正気に戻ったとしても、ミアの怒りは記憶がなくても戻ってこ怖いと言う記憶はわかっているため、客らしく注文を追加して大人しくする

 

 

これでロキも魅了を解いて、徐々に俺の仲間を作る。やはり姉上の計画を阻止するには、何人か魅了を解くしかない。それで計画を阻止してくれそうな仲間を増やすしか手段がない。ヘスティアも監視とか人質の関係で、上手く動けないだろうからな。ヘスティアに会うのも危険だろうしな。今は徐々に魅了を数人解除して計画を少しずつ打破する

 

 

ヘスティアが『大きな力』を使える状況にするために

 

 

今はまだ、下手な動きはしないようにする

 

 

「・・・・・・・」

 

「どうかしたのか?ヘルン?」

 

「いいえ、ジーク。追加の注文があります。調理お願いします」

 

「了解した」

 

 

ヘルンは何も言わないが、おそらく俺のやることなどお見通しだろう。姉上に報告すればいいのに、なぜ怪しい行動をして報告しないのか、それが彼女なりの優しさのだろうか、彼女は俺のすることを咎めたりはしない

 

 

 

 

 

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