ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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変わったオラリオ

 

 

次の日、今日もミアの酒場で働く、いつものように姉上とヘルンとで

 

ホームはヘイズとオッタルに任せる。ヘディンはベルの修行でオラリオには居ない。皆にはダンジョンに行ったリヴェリア達を止めると嘘をつく。姉上は女神で下界の子供の嘘など見破れるが、俺は神殺しのレアスキルがあるため、姉上には嘘だと見抜くだと気づかない。だが勝手に姉上の思惑を外すように、クロエ、ルノア、ロキの魅了を解いた。勝手な振る舞いをした俺を疑うこともあり得る。すればの話だが

 

だが。ここからはもう俺には何もできない。

 

これ以上姉上の信頼を折るべきではない。散々勝手なことをした俺にそんなことを言える立場はないが、また姉上が下手な行動をされても困るため、ここからはとりあえず姉上の夫としての立場として行動するしかない。

 

そのためにまずは

 

 

「ヘイズ。その書類はギルドに出すものか?」

 

「はい、そうです」

 

「俺が酒場に行くついでに届けよう。それを俺に渡せ」

 

「あ、いいえ。これは私が・・・・・」

 

「俺が届けてはならない理由でもあるのか?それとも俺の指示が聞けないと?」

 

「わ、わかりました。お願いします」

 

「ああ、ギルドの様子も見たいからな、これは俺が届ける」

 

 

ヘイズがギルドに出すはずだった書類を、俺が届ける。姉上の魅了で変わったギルドも確認したいため、俺がヘイズに脅しを入れても俺自らがギルドに届けに行く

 

当然エイナとの関係は無くなっている状態だとは思っているが、それでもどんな感じになっているのか確認したいため、それを目的に酒場に向かう前にギルドに行く

 

 

「ジーク。準備できたわ」

 

「ああ、今行く。ヘイズ。これはしっかり届けておく」

 

「はい。お願いします」

 

「それは?」

 

「ギルドに届ける書類だ。俺は酒場に行く前に、ギルドに寄る」

 

「どうしてジークが?そういうのはヘイズや他の子に任せればいいじゃない」

 

「俺がギルドを確認したいからだ。姉上が魅了で変えたギルドがどんな雰囲気になっているか知りたい。知る分には問題ないだろ?」

 

「また誰か魅了を解いたりするんじゃないの?」

 

「もうしない。仮にやってもどうにもならない。ギルドがあんたに歯向かうとは思えないしな。特にあのロイマンならな。それにひつこく言うが、俺には姉上のファミリアに居たい理由がある。だから今は裏切らない」

 

「今はね・・・・・・まあ、いいわ。さっさと済ませてね」

 

「ああ。遅くなったらミアに叱られるだろうからな」

 

 

姉上の支度が済み、ミアの酒場へ行く準備ができ、その上で俺がギルドに書類を持っていくことに関しては不満を出す。そういう雑用は他にやらせればいいと。俺がすることに不満があるようだ

 

理由はもちろん、これ以上俺がギルド職員に掛けた魅了を解いてしまうのかと恐れた。計画がこれ以上壊されることは困る、こんな偽物のようなオラリオで過ごすことになんの意味があるか理解できないな

 

だが

 

ギルドに行くことは許された。魅了を解いたりしないなら行ってもいいと、確認だけならと行かせてくれた。俺もほぼ酒場店員みたいなものだ。他に用があるとしても、出勤するのを遅くなったらミアに叱られるなと、なるべく急いでギルドの用を済ませる

 

 

「ヘルン。姉上と一緒に先に行ってくれ」

 

「わかりました・・・・・ジーク」

 

「なんだ?」

 

「あのお方に嘘をつくことができるのに、どうしていろんな人の魅了を解いたりしないのですか?」

 

「姉上のワガママは義理の弟ながら慣れた。姉上が他の者の魅了を解いて欲しくない理由は、俺と婚姻に文句を言う者を無くす為だが、俺も今は姉上の派閥に居たい理由があるから、ここに居るだけ」

 

「それはなんですか?」

 

「君と居たいから、それが理由だ」

 

「・・・・・・・・・そうですか、ギルドの用、早く済ませてくださいね」

 

「ああ」

 

 

ギルドに行くことに関して、ヘルンがある質問を言う

 

 

姉上に嘘をついて、ギルド職員全員の魅了を解くこと

 

 

そういうこともできるのではないのかと、俺に言ってくる。でも俺はしない。俺は姉上の派閥に居たい理由がある。それはヘルンの側にいること。この姉上が変えたオラリオを利用をしているのは俺もだ。ヘルンの近くに居たい理由がある。それはまだ言えない。とにかく理由があって姉上が変えたオラリオを利用して、ギルド職員の魅了を解いたりもしなければ、もう他の者の魅了は解いたいしない。

 

今は姉上が変えたオラリオを利用する。姉上と共に居ることに変わりはない。けど、ヘルンとも居れる。俺にとっては大事なことだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルド本部に着き。中に入ると、いつもと違う。ざわつきが職言から流れている

 

 

「おい、フレイヤ・ファミリアの英雄だぞ?」

「なんでギルド本部に?英雄が顔を出すなんて、なんかあるのか?」

「ねえ、やっぱり顔を良くない?」

「うん、あれが黒竜殺しのヘラクレスか・・」

「まだ未成年にして、レベル7。子供なのにクールでイケメンな感じ」

「大人のように見えるよね」

 

 

まるで初めてここへ来たかのように周りには言われる。俺がここへ来る時は、必ずエイナにしか用はないため、いつものことかと、ざわつきすらもないままギルドの仕事に集中する。姉上の魅了にかけられたからには、今までここでの用は全て揉み消され。ここへなぜ俺が来たのか、誰もが疑問を出した

 

そのまま受付の方へ向かうと、エイナが居ないため、彼女を呼ぶ

 

彼女も魅了をかけられているだろうけど、どんな感じになっているのか確認するために、彼女を呼ぶ

 

 

「え、英雄ヘラクレス。な、何か御用でしょうか?」

 

「エイナ・チュールを呼んでほしい。彼女に渡したいものがある」

 

「わ、わかりました。今から呼びます」

 

 

受付にエイナが居なかったため、別の職員に頼んで。彼女を呼ぶ。突然俺に呼ばれて困るだろうと、目に浮かぶ

 

そして彼女はせっせと現れる

 

 

「は、はい!ただいま参りました。エイナ・チュールです。英雄ヘラクレス。何か渡したい物があるようですが、私に何か?」

 

「この書類の提出だ。すまないがお前に任せたい。ただに日報だ。確認してくれるだけでいい。頼んだぞ?」

 

「は、はい。フレイヤ・ファミリアの日報提出ですね。でも、どうして私に?」

 

「特に理由はないのだが、迷惑だったか?」

 

「いいえ!あの黒竜ファフニールを倒した大英雄様に、頼まれたのであれば、私として嬉しい限りです!私で良いのでしたらですけど」

 

「いや、お前にしか頼めないと思ったと言う勝手な思い込みでお前に頼んだだけだ。用はこれだけだ。失礼する」

 

 

まあ、初対面扱いされるのはわかっていたことだ

 

でも懐かしさを感じる。初めて会った時もこんな感じだったな。やはりエイナも魅了に掛けられていて、俺のことなど覚えてない程無関係になっている。エイナだけ記憶の弄りが違うのかもしれない。ロキでさえ関係はあった。なのにエイナは完全な無関係。おそらく彼女が俺に恋をしている。恋敵が邪魔だから、俺に恋する女には今まで築いてきた関係は全て無くしている。姉上は自身の婚姻のために、恋敵になりそうな女は全員無関係として記憶を弄っているようだ

 

無論エイナの魅了は解かない、姉上に不満を持たせるのは危険でもあるからな、約束通り、もう魅了を解くことはない。このまま用を済ませて酒場にさっさと向かう。

 

だが

 

 

 

ガシ!!!

 

 

「ん?・・・・なんだ?エイナ・チュール?」

 

「あ、あれ?どうして私・・・大英雄ヘラクレスの腕をいきなり掴んだりして・・・・しかも・・なんで涙が流れて・・・・」

 

 

突然エイナに腕を掴まれてしまう。

 

どうやら彼女自身も驚いている。間違いなく無意識なのだろうが、彼女の眼から涙が流れる。心では抗いたいのだろうか、今俺を離したくないと、腕が勝手に動いたのだろう。姉上の魅了にはしっかりかかっている。だが体が正直なのか、今俺を離したくないと、俺の手を離さない

 

本当なら俺が魅了を解いて正気を戻したいが、これ以上他者の魅了を解けば姉上の信頼は酷くなる。そういうわけにはいかないと、予定を作ってエイナの手を離させる

 

 

「エイナ。また来る。だからその手を離してくれないか?また来るのなら問題ないだろう。何か報告する度に俺がここへ行く。それでどうだ?」

 

「あ、ああ・・・・はい。どうしてかはわかりませんけど、また貴方に会えれば幸いです」

 

「ああ、そうしよう。ではまた会おう」

 

 

何かギルドに報告する時は、俺がまた本部に行くと言っておく、それを聞いてエイナは俺の手を離す

 

もう一度会えると思ったから安心して離したのだろう。魅了に掛けられて思考や記憶が変わっても、体が正直と言うように、本能では俺とは関係があることに、俺に想いがあることに抗いを示したいのだろうが、それができないのか、素直な言葉できずに無意識に動いた

 

 

「なんで・・私は・・・英雄ヘラクレスに・・・また会いたいなんて・・・初めて会った・・・はずなのに」

 

 

彼女もどうして俺を手を掴んだのか理解できない。何かしらの理由があるのだと、としか思えないが、それでもなぜか悲しい顔を見せる彼女、何かを失ったような感覚、エイナはそれに気づくことはない。彼女の眼からピンク色の光がまだ光るまでは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、何もなかったの?」

 

「ああ、何もない」

 

「本当に?」

 

「ああ、ただギルドの職員に知り合いが居るから、姉上の魅了にかかってどうなっているのか確認しただけだ」

 

「解いた?」

 

「解いてない。疑うのは構わないし何度も言うが、もうこれ以上は魅了は解かない。理由は・・・・・・解くべき人物が居ないからだ」

 

「ふうん〜〜〜、まあいいわ。解いたとしても何もできないだろうしね。いいわ。今回は許してあげる」

 

「逆に許さなかったら、何をする気だったんだ?」

 

 

酒場に戻ると、さっそく姉上がギルド本部に行って、何をしていたのか聞かれる

 

無論ギルド職員の魅了を解いたのか疑われるが、そんなことはもうしていないと正直に話す。それにエイナたちを解いても意味はない。ギルドがフレイヤ・ファミリアに逆らえない。ロイマンが恐れて姉上に逆らおうとしないからな。何度か姉上の口車に乗せられてなんでも許すからな

 

エイナだけでも解いていいかもしれないが、これ以上姉上の信頼を折るわけにはいかない。まあもう折れているようなかもしれないが

 

 

「まあいい。ミア、遅れてすまない。俺も今から調理に入る」

 

「あいよ。ところでいいのかい?」

 

「何がだ?」

 

「ギルドの方、行ったんだろ?魅了を解くことができる方法があるのになんでそれをしないんだい?」

 

「しても意味がないからだ。ギルド長であるロイマンは今でも姉上の派閥を恐れている。仮に魅了を解いたところで何もできまい。それにまた誰かの魅了を解いて、姉上の不満を煽れば、仲間の身に何か起こる。ここはまだ姉上と過ごすのみだ」

 

「大変だね。あの女神の夫になると」

 

「まったくだ。それとあんたは随分と俺と姉上の結婚を阻止してくれるくらい、俺に助言をするな?あんたは別に姉上の敵ではないだろう?」

 

「まあね。だけど、こんなくだらないオラリオにした上に、私の娘に手を出したあの馬鹿女神を、そこまで味方にはなれないね」

 

「人の姿になっている時は、あんたも姉上を娘として扱っているだろうに」

 

「世話は焼けるけどね」

 

 

俺もミアも、姉上には苦労をしている

 

姉上がワガママで自分勝手なのは知ってはいたが、ここまで身内相手でも振り回すようなことをするなど、本当に姉上はイシュタル程品性が悪いわけではないが、他者の気持ちを配慮しない身勝手があるのだと、美神が欲を欲すると面倒だなと苦労を感じる

 

今まではプライドや立場の関係で大人しくしていた。もちろん俺を手にするために計画を密かに建てていたと言うのもある。今までみたいに今と同じく人間のフリをして酒場で働く。その通りに今もしてくれれば、こんなことにならないと思う

 

 

なぜそんなにも俺が欲しいのか、姉上は俺を欲する理由がわからんな。他にも相手が居るだろうに

 

 

兄上に聞いたことがあるが、姉上が天界時代では秩序を乱すような混沌を生んで、爺さんに罰としてある場所で監禁されていたと、聞いたことがある。

 

爺さんは姉上を監禁する理由も、今の現状のようなことを天界時代にされたからだろうな。やれやれ、美神の欲は果てしないなと思う。欲しいものはなんでも手にする。そのために手段も揺るがない。本当に姉上は神であるのに、子供のようだ

 

 

「ジーク。今何か変なことを考えてなかった?」

 

「変なことではない。お前と過ごすとこんな感じなんだと思っただけ」

 

「私と過ごすことに不満?」

 

「ない。けど姉上が変えたこのオラリオは好きではない。ま、戻す気はないだろうが」

 

「ないよ。ジークと過ごせる都市にしたんだもん」

 

「別にこんなオラリオにしなくても、俺とお前は普通に過ごせると思うけどな」

 

 

別に姉上に対して変なことを考えていたわけではない。ただ姉上がどんな女神なのか改めて知っただけ。俺はミアと違って、ずっと前から知り合いってわけでもないから

 

兄上から、姉上のことを話しか聞いたことがないため、どんな女神か実際には知らなかった。そして改めて知って、こんな身勝手な女神なんだと、ある意味常識のない神だとわかった

 

だから姉上がどんな神であることを知っただけであって、別に姉上に対して変なことを思ったわけではない

 

 

「ジーク。このままシルの思惑通りに結婚しちゃうにゃ?」

 

「何もしなければな」

 

「なんとか阻止できないの?こんな時にリューは居ないし、ジークはこのままあのシルと結婚する気ないよね?」

 

「ない。だが今の俺には何もできない。『彼女が動く』までは」

 

「っ!何か策はあるってことにゃ?」

 

「ああ、俺は直接関わっていないから、今どんな状況かは知らないけどな」

 

「もしかしてヘスティア様?ジークの主神だし、なんとかしていない?」

 

「悪いが知らない。本当に姉上の元に居てからヘスティアに一度も会っていない。もし会って何かすると、すぐ姉上が眷属を送り込んで俺の仲間を人質にかけるからな」

 

「本当に卑怯なことをするきにゃ。あれが神フレイヤだなんて思えないにゃ」

 

「眷属はみんな第一級冒険者だし、あの子って意外にも、悪い女だったんだね」

 

「シルの姿でお前達は過ごしたはずだと思うが、姉上は最初からこうだ」

 

 

「ジーク。クロエとルノアで私の何の話しているの?」

 

 

「お前がこんな神だと思わなかった、だそうだ。お前が手にしたい者のためなら容赦しない行いに、二人はかなり意外に思っているぞ?」

 

「へえ、二人がね」

 

「あんたね。もう正体もわかったからあえて言うけど、あんたこんなことをして意味あるわけ?」

 

「なんで?いけないことなの?」

 

「当たり前にゃ。ジークの仲間を人質にして、ジークと勝手に結婚するなんて、これじゃあ政略結婚と変わりないにゃ!」

 

「悪いの?私は美の女神なの。欲しいものは絶対に手に入れる。そのために手段を選ばない。二人は私のことをあまり知らないから言うけど、私はこういう女よ」

 

「あんたって子は・・・・・」

 

「本当にこれがミャー達と過ごしたシルなのかにゃ?」

 

「ああ、そればかりは嘘ではない。姉上が人間のふりをした姿がこれだ。お前達と過ごしたシルは、間違いなく姉上だ」

 

 

改めて、ルノアとクロエは、シルと言うフレイヤの存在を思い知る

 

彼女は優しいかもしれないが、欲望は強い。手にしたいものがあれば絶対に手にする主義。美の女神のプライドは目の前に欲するものがあると、本性を剥き出す。それが姉上だ

 

優しいフリをして、地道に計画を建てて欲しいものを手にする。今までずっと俺を手に入れるために、密かに助力をしてくれる、だがそれは相手に対価として利益を奪うための罠。今まで俺を弟として迎え入れ、家族だからと何度も俺たちに裏で助力をしていたが、全ては俺を手にするために、嘘を付かれたようなもの

 

 

姉上は俺を手にするためなら、オラリオも支配する。これが彼女のやり方である

 

 

そこへ

 

 

「でも、ここまですることないにゃ。フレイヤ様・・・・・・いいや、シル」

 

「アーニャか・・・・アレンはどうした?」

 

「兄様は・・・・また今日も酒場の護衛をしてくれるけど、姿を現したくないのか、遠くに居るにゃ」

 

「また密かに護衛するか、もうシスコンと呼んでもいいくらいだな」

 

 

アーニャが出勤してきた

 

昨日からアレンの治療に当っていた。アレンの怪我の完治が済んだのか、アレンは遠くで酒場の護衛を続けている。アーニャには見られない場所で、俺の気配ではしっかりとどこに居るかわかる

 

そしてアーニャも、こんなオラリオにする必要はないと、自身の主神相手でもしっかりと言った。アーニャも納得できるはずがない。このような嘘のようなオラリオで過ごしたくないと。ここまでする必要ないと、みんなを騙すような、記憶を改善させた都市に意味はないと、アーニャでもこんなオラリオは否定をする

 

 

「シル、どうしてにゃ。ジークを手にするためにこんな都市にするなんて間違っているにゃ」

 

「仕方がないじゃない。ジークを手に入れるにはこれしかなかったのだから」

 

「何があっても、ジークを手にするまで、ずっとこのオラリオにするきにゃ?」

 

「そうよ。私はジークと結婚したい。でも邪魔する子供や神々が多すぎる。黙らせるにはこれしかないの。私とジークが結婚するためにね」

 

「そんなの。ジークの意思を無視して、ジークと結婚するなんて、横暴にゃ」

 

「何度言っても構わない。それでも私はジークと結婚するために、どんな卑怯なことでもするわ」

 

 

 

「ジークが。シルのことを好きでもないのに?それで結婚してなんの意味があるにゃ?」

 

 

 

「私のことが好きじゃない・・・・・・そんなことないわ。ジークは私を愛しているわ」

 

「嘘を言わないで欲しいにゃ。ミャーは知っているにゃ。ジークがレアスキルの関係で人のことを好きになれない無感情になるリスクを負っていることに!」

 

「え!?そうなのかにゃ!?」

 

「ジーク。本当なの?」

 

「ああ、そうだ」

 

「ジーク。アーニャに喋ったわね」

 

「俺のレアスキルを友人に話して何が悪いんだ?大事なことでもあるんだ。アーニャにとってはな」

 

 

昨日、アレンの治療が終わった後、アーニャから昨日婚約するならアーニャが良いと俺が答え、それが本当かどうかを聞かれ

 

 

『すまない。アレンが本当はお前が大事であると、アレンの本性を出させるための嘘』だと、真相を言う

 

 

そのついでに俺のレアスキルである。カオス・ヘルツのことで人を好きになれないとアーニャに話した。俺があれから二年で性格が一変した理由が、このレアスキルが原因にもあるとアーニャに伝える

 

レベルを上げるために、感情を捨てた。だから誰にも恋してもいないと、誰にも愛してないと、昨日、俺が女を好きにならないことを言った

 

 

もちろん姉上も、愛していないと

 

 

妻として見てないと、姉上は姉でしか見てないと。アーニャには俺が姉上に対しての想いはないと告げてある

 

 

「シル。残念だけど、ジークにシルの想いはないにゃ。それで結婚しても意味ないにゃ。ジークを解放するにゃ!」

 

「それで貴方がジークに愛してくれるわけじゃあないのよ」

 

「そんなものをわかっているにゃ。でもジークの意思を無視して結婚なんて、自分のためにもならないことをしても無駄なだけにゃ」

 

「それでも私は・・・・ジークを手放すつもりはない」

 

「あんた、まだ・・・・・」

 

「往生際のない・・・・・」

 

 

「もういいだろう、そこまでしておかないと、ミアに叱られるぞ?」

 

 

「「「っ!?」」」

 

「何度言っても姉上の考えは変わらない。誰がなんと言おうと、今は何もできない。今は酒場の店員として働け。どれだけ言っても無駄な時間を費やすだけだ」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「ありがとうジーク。助けてくれて」

 

「ああ、でも嘘ではないけどな。俺は姉上のことは姉としか見てない」

 

「・・・・・・」

 

 

討論は長くなりそうなため、俺がミアに叱られるぞと、今は酒場の店員として働くべきだと、姉上の口論を止める

 

姉上に何を言っても無駄であることもある。姉上が人の言う言葉を聞くような耳はもうしていない。俺を手にするまで手段を選ばないのなら、他者の言葉も聞くはずないだろう。だからこれ以上反対の言葉を聞いても、オラリオを元に戻す気はない

 

 

むしろ、もうヤケクソになっているのかもしれない

 

 

オラリオを魅了をして、元に戻せば当然、オラリオに居る者たちが、記憶を勝手に改善したことを怒って、全派閥、姉上のファミリアに報復するだろう

 

オラリオを魅了すると言うことは、後のこともわかった上でもこの行動をしている。言うなら人の不満を持たれるのは当然。それでも俺を手にする。姉上ながらの傲慢を通してでも、全てを敵に回しても俺を手放すことはない

 

 

 

でも俺には理解できない

 

心のない俺を手にしてなんの意味があるのか、愛してもくれない男を手にして意味はあるのだろうか、どうしてそこまで俺を手にしたいのか理由がわからない。何か男が欲しい理由でもあるのだろうか、姉上がそこまで俺と婚姻する理由が俺には理解できなかった、ましてや心のない男など。

 

 

「ジーク。野菜が足らないから買ってきてくれるかい、まだ客もあんま居ない、しばらくは私らでなんとかできるから、買い出しに行って来な。そうだね、『デメテル・ファミリア』の店に行って貰おうか。あそこは安くできるからね。『あんた』が行けば」

 

「なるほど・・・・・わかった。俺が行ってくる、リストは?」

 

「これだよ」

 

「かなりだな、だが問題ない。了解した。行ってくる」

 

 

ミアから、野菜が足らないと俺に買い出しを命令される。

 

食材の買い出しなんて他に頼めばいいのだろうが、必要なのは野菜。オラリオで野菜が豊富で一番新鮮で手に入る店が存在する。それは『デメテル・ファミリア』の出店だ。豊饒の女神が営む野菜店は少数だがあるが、その中で野菜の良さを日々上げている豊作をしているデメテル・ファミリアの派閥の出店に買い出しを命令される。しかも同じ調理をする俺にだ

 

理由として二つ。一つは俺にミアが気遣いをしているのか、ペルセフォネの様子を伺うためにも俺に行かせる。ミアも俺が姉上の婚約者になったことで行動が制限されていることを知っているのか、せめて俺の関係のあるペルセフォネが今どうなっているか確認を取らせるためでもある

 

そして二つ目は、これは当然酒場の利益の考えをした上、デメテル・ファミリアの出店に俺を向かわせれば、俺に友人関係でペルセフォネが少し金をまけてくれる。少しでも野菜を安く買おうと俺に向かわせる。姉上の魅了で関係がどうなっているかもわからないと言うのに、野菜を安く帰るかわからないが、それでもこの酒場ではミアが権限、俺もそのくらい問題ないと、ペルセフォネが居ると思われる出店に向かう

 

 

 

 

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