酒場の仕事を終えて、ホームに三人で帰る。帰り道の途中で、俺は姉上にある報告をした。姉上には『もう知っていることだろうが』、あえて姉上に報告する
「姉上。爺さんから連絡が来た。『私の孫と勝手に婚姻しようものなら、オラリオに攻め込むぞ』と。爺さんが残念ながら姉上の婚姻を認めておらず、ここに攻め込むと脅しの連絡がきた」
「っ!?オーディン。わかっていはいたけど、私とジークの婚姻を認めないと言うのね。あの戦争の神が攻め込むとなると、ただの戦争では済まないわ。すぐにでも眷属を集めて防衛に徹する他ないわ」
「姉上。それは俺も困る。爺さんの戦い方は荒いから俺もそれはされては困る。そんな事をしたらオラリオが壊れる。それにこれは俺の問題。そのため先ほど何もせずに俺のすることを見届けてくれと伝達の手紙を送った。だから防衛は必要ない」
「っ!嬉しいわ、ジーク。私の婚姻のために、オーディンに手を出さないようにしてくれたのね」
爺さんの脅しの警告を伝え、姉上も爺さんの派閥の恐ろしさと言うより、爺さんそのものにやはり恐れを知っているようで、このまま攻め込まれたら厄介だと。姉上は眷属を集めて防衛に徹しようと眷属を集めようとしたが
俺が自分でなんとかするから何もしないでほしいと、フギンに伝達の手紙を送って貰った
流石に爺さんの派閥がオラリオに来られたら困る。そんな事をしたらオラリオで大戦レベルの激戦を繰り広げることになる。それだと流石にオラリオの市民にも被害が及ぶ。オラリオに戦争を持ち込む他国など、アレス・ファミリアのラキア王国しかないが、俺たちの故郷も戦争ができる程の軍力もある。しかも爺さんはかつて母上の派閥と組んで何度もゼウスとヘラのファミリアと激闘を繰り広げている。だからほとんどがレベルが高い者ばかり、レベル七までしか居ないが、少なくともゼウスとヘラの派閥に並ぶ戦力。流石に俺を助けて貰うとはいえ、オラリオそのものが戦場になっては困る
そのため、俺が何もしないよう頼んだ
それに
「姉上。もう俺もこんな偽りなオラリオは飽きた。婚姻の話なら俺とお前で話で決着をつければいい。他は誰にも言わせない。だからオラリオを元に戻すんだ」
「嫌よ。そうしたら絶対に他が邪魔しにくるもの。それに婚姻の話は私と貴方で決着つければいいと言うけど、貴方。私と結婚する気はないんでしょ?」
「ああ。この前の女神祭の時は言ってなかったが、俺は姉上とは結婚しない。俺は姉上は姉でしかない。俺が愛したいの別に居る。それは言えないが、少なくとも姉上ではない。その女を俺は選んでいる」
「私ではない女を選ぶなんて、私を前にしてよくそんな浮気なことが言えるわね」
「まだ婚姻してないから浮気ではない、そもそも俺が姉上に従っているのは、仲間が人質に取られているからだ。そうじゃなかったら俺はあんたの言うことは聞いてない。ハッキリ言わせて貰う。こんなワガママを垂らす女と結婚できない。むしろ姉らしい。義弟の扱き使い方が上手すぎてな」
「あなた、それでも感情がないと言うの?まるで感情があるような言い方よ」
「勘違いしている。感情がないと言うのは良心的な感情がないだけで、悪意に近い感情は今でもある。不快は悪意に近いものだ。姉上のすることにもう俺は飽きたと言わせて貰う」
「そんな屁理屈なことを、よく私に言えるわね?」
「もう俺はあんたに遠慮しない。それこそ姉と弟らしいじゃないか、姉弟だからこそ言える会話だ。こんな会話をするくらいだ。これは夫婦の会話じゃない。姉弟の喧嘩の話だ。やっぱり俺と婚姻するのはやめるべきではないのか?」
「いいえ、私は貴方を愛している。私は絶対に貴方を手放すことなんてしないわ」
理由はいくらでもあるかもしれないが、それでも姉上は俺を手放すことはないと言った
なぜそこまで俺を欲しがるのか俺には理解できない。感情がないと言っておきながら、悪意に近い感情は今も持つと言う、矛盾な話をもしてくる。感情なくてもいいから欲しいと言われても。俺は拒否する気持ちを全面に出して断った。そんな意味わからんような男を欲しがるのが俺にはよく理解できない
何をしても俺を手にする。どんな手を使っても俺を手放さない。なぜそこまで俺を手にするのか
理由があるなら
「兄上がいつか俺に言った。『君はいつかオーズになる』と、だからオーズになった俺を手放すことをしないのか?」
「・・・・・・・・・・・そうね。貴方は私の求めていたオーズ。あの花畑でずっと手に入れようと願っていた」
「・・・・・・・・」
オーズだから俺を手放さない
姉上が求める男、愛と美の女神フレイヤが愛したい男にして伴侶の名前
それが俺だと
オーズだから俺は手放さない。姉上が求める男は見つけた。兄上の義弟で、神の間に生まれた唯一の子供で、怪物の力までも手に入れ、大英雄アルバートも超えた大英雄。そんな俺をオーズと認め、やっと愛したい男を見つけた
婚姻は拒否られているがな。下界に来た理由は自分の愛せるオーズを手にすること。それがやっと目の前に現れた。だから手放すことはない。愛しい男を見つけたから
でも
「姉上。貴方にとってオーズとはなんだ?俺にはわからない。兄上が昔に俺にいつかオーズになると言ったが、俺にはオーズがなんなのかはわからない」
「豊穣の伴侶。私はそう言うの。オーズとは。私とお兄様に並ぶ『ヴァン神の騎士』。お兄様はそれを弟とし。私は伴侶にする。私たちヴァン兄妹が求める存在。私とお兄様が下界で求める存在」
「っ!兄上が弟を求める。まさか・・・・父上と母上は息子である俺を、兄上の弟として育てたのは、兄上の要望を叶えるためにも俺を弟として兄上に寄越したのか」
「お兄様はジークを義弟として扱ったなら、間違いなくお兄様もジークをオーズとして扱った。お兄様の弟になれるのはオーズのみ。だから貴方がオーズなのよ。ジーク。お兄様の家族として認めたのが、オーズのみ。これが貴方がオーズである理由よ」
「まさか、兄上にそのような意図があったとは」
流石にそれは俺も知らなかった
兄上のことは生まれてから一緒に過ごした兄弟同然として生きた俺は、兄上のことは知り尽くしているつもりだった。だがまさか兄上もオーズを求めていたのは気づかなかった。それはゲルズ姉上のことを言っているのかと思ったが、兄上においてのオーズとは弟
てことはだ
兄上と姉上にとってのオーズとはなんなのか、今姉上の話を聞いてわかった。フレイとフレイヤが求めるオーズとは
心を許せる血縁者とも言える本物の家族。それがオーズだ
兄上は弟が欲しかった。姉上は夫が欲しかった。家族が欲しかった。オーズそのような意味があったとはな、この兄妹神は家族が欲しいから下界に降りた。人間から欲しいものを手に入れること、神を家族にするだけでは飽き足らない。人間の家族が欲しい。オーズとは人間のことだった。それが俺として選ばれた
なるほど、オーズがどう言う存在かは理解した
だが
「姉上がオーズを求める理由はわかった。オーズが俺であることも理解した。だが俺は『シル』を求める。それが姉上のファミリアに居座る理由だ」
「それは私じゃない」
「違うな、俺にとってシルはあんたじゃない。俺にとってシルは・・・・・」
「・・・・・・・」
シルはフレイヤじゃない。俺にとってにのシルは別に居る。相変わらず何も言えないが、それでももう姉上の言うことを聞くつもりはない。俺のシルは別に居る
だからここからは反撃だ
「姉上。もう終わりにしましょう。これ以上はもう無意味です。続けても自分が苦しくなるだけですよ?」
「そんなことないわ。私が貴方と結婚することで、意味はあるわ」
「俺と結婚して何がいいんだ?酒場で人間のフリをした方が何倍もマシだと思うけどな」
「そんなの私の幸せじゃない。私の幸せは貴方と結婚した先にあるわ」
「俺はそんな幸せはいらない。俺が欲しい幸せは自分は自分で掴む。姉上。あんたの幸せは叶えることはできない。俺にできるのはあんたを俺の姉に戻すことだ」
「ジーク。貴方は・・・・・・・いいわ。そこまで私を否定するなら、そうさせない行動するわ」
「なんだ?」
当然そこまで言えば、もう姉上も我慢なんてしないだろう。でもそれでいい。もう対立は決まった。この会話が決めてで、当然姉上はもうこのままでは俺との婚姻も進展しないと思うだろう
だが、姉上が行動に出るとしたら、こうだ
「ジーク。明日。私と結婚式を挙げましょう。貴方と先に婚姻すれば誰にも文句を言われないわ。もちろん言う事を聞かないなら、貴方の仲間をまた人質にして、今度は手に掛けるわ」
「だろうな」
「・・・・」
明日。急ぎで俺は姉上と結婚式を挙げる
遂に強行に出た。もし俺が婚姻に応じなければ無理に結婚式を勝手に挙げるだろうと、次にやるべきことは見えていた。無論言うことを聞かねば今度はヴェルフ達はやられる
もう猶予はない。姉上はもうこれ以上待たせては貰えない。俺と結婚するために式を急がせる。爺さんが手を出さない事を良いことに本当に、随分と無茶苦茶な事をする
でも、『これでヘスティアも動ける』
「わかった。随分と無茶苦茶な事をするなとは思うが、ヴェルフ達に何かあれば困るしな。急ぎで結婚式挙げるんだな?了解した」
「ええ、それでいいのよ。貴方は私の夫として、私と婚姻をすればいいのよ。オーズとして」
「その妻であるあんたは、かなりの強引だがな、本当に困ったものだ」
「・・・・・・」
結婚を明日決行することになった
なんとも横暴な姉。あれが兄上の妹とは思えんな。明日決行するって言うのも信じられん行動だ。何がそこまで俺が欲しいのか理解できんな。そんなにも夫が欲しいのだろうか、女としての欲が強いのか、俺との婚姻を急がせた
「フレイヤ様、ジークも、私はこれから別件があるので、ここで失礼します」
「別件?何かあったかしら?」
「ギルド本部での用があります。すぐ終わります。心配しないでください。それでは失礼します」
「ええ、わかったわ」
「・・・・・・・・」
突然、ヘルンがギルド本部に用があるとかで、ホームに帰る前に、ギルド本部に向かう。詳細は何も言わずに、ただギルド本部に用があるとだけ、彼女は一人で向かう
ギルドに用があると言ったが
俺には嘘ではないが、それとは『更に別件の用』があるのだと、俺はヘルンに魂胆があると見抜いた
一方、ヘスティアとロキは
「ヘルメス。これを受け取ってくれ」
「今、自分に必要な物や」
「手紙ね、仲の悪い君たち二人が俺に尋ねてくるなんて、手紙は受け取るにしても怖いんだけど?しかも無理にここまで来させられて」
「まあ、確かにね」
「ウチもどチビも癪やけど、それでもどうしても二人でやらんとならんことや」
ヘスティアとロキはなんとかヘルメスを捕まえて、以前ヘルメスに渡された紙をもう一度本人に返す。それがこのフレイヤが変えた魅了されたオラリオを元に戻す方法を書かれている
しかし、変な動きをしたらフレイヤの眷属にバレる。そのため隠れて手紙を渡すことに、フレイヤの眷属に見つからない場所に移動する
それは前のヘスティアのホームである
つまりは廃墟の教会、ここで渡すしかない。ロキとヘルメスは何かの協力関係で一緒に行動することがあるからと、ロキがヘルメスを無理にここへ連れてきた。ここなら怪しまれないはずだと。ヘルメスを強引にこのヘスティアの前のホームに連れてきた
フレイヤの眷属もそのフレイヤも、流石に今のヘスティアのホームならともかく。前のホームは知らない。ここで取引をすれば上手くいけるだろうと、二人の考えで今動いている
そして、ヘルメスはヘスティアに渡された手紙を確認する
「っ!これは!?・・・・・やっぱり、『俺はあのフレイヤ様に魅了をされていた』のか!」
「その様子だと、少しは自分で疑っていたようやな」
「ヘルメスならそうするだろうね、何せ、記憶が何度もリセットされるんだからね」
「どうして記憶が曖昧になるような感覚をすると思ったら、フレイヤ様がオラリオ全体を魅了したのか、だから俺たちの記憶が何度も消えるようなことがあるのか。じゃあロキも・・・」
「ウチも初めはそうやった。でも途中でジークに甥っ子に助けて貰ったんや」
「ジーク君は神の力は通用しないからね。レアスキル関係で・・・」
「なるほどな。にしてもこれがフレイヤ様の力か、本当にフレイ同様にすごいな」
ヘルメスも記憶に異常を感じて、自分なりに疑いをして調べていたようだが、やっとヘスティアに手紙を受け取って、なぜ記憶が一週間ごとに消えるのか、やっとヘルメスは理解する
無論手紙に書いたのは本人だが、それでもフレイヤに魅了をされている証拠さえ手に入れば、あとはやることは決まっている
「ヘルメス。これでわかっただろう?」
「ああ、まさかこんなにも記憶を混乱させるなんてな」
「それでここへ来たのは他でもないんや。ヘルメスに眷属を使わせてほしいんや」
「っ!?まさか・・・・ヘスティア!?」
「ああ、そうだ。『僕の竈』を用意して欲しい。みんなを元に戻すにはこれしかない」
フレイヤの魅了を弾き飛ばすために
ヘスティアの力、『聖火の権能』を使う手伝いをヘルメスに頼む
今は街はフレイヤの眷属の監視もある。そのためヘスティアが変に行動すれば怪しまれる。しかし、ヘルメスとロキは違う。ヘルメスが魅了をされているのと、ロキだけ正気だったとしても、この魅了されたオラリオには手を出さないと、監視をしているフレイヤの眷属は思うだろう。だがこの街の真相をヘルメスとロキが知れば、あとは二人で密かにヘスティアの力を注ぐ『儀式』を用意することができる
あとは。ヘスティアの力を注ぐだけ
でも、そのための必要なものがある
「だが、『薪』はどこにある?それが無いとまともにできないぞ?」
「それならここに・・・・」
「全部あるよ!!」
バン!!!教会の奥底で大きな風呂敷のようなものがあったが、それを剥がすと
大量の薪は多く用意されていた。
見る限りではこの街の建物全部に行き渡るくらいの量だ
「こんなに!?どうしたんだこれ?」
「僕はフレイヤの魅了は通じないけど、街ではフレイヤの子供が監視されているからジーク君に一度も会えなかったけど、その間はウラノスの所に行って、僕が密かに一人でこれをここまで運んでいたんだ」
「ウラノスも、どチビに協力しているんや。あのウラノスもあの色ボケ女神が変えたこの街は好かんみたいや、だからウチらが魅了されている間に、どチビ一人でこの薪を全部この前のホームに運んでいたんや」
「なるほど!ウラノスはダンジョンに祈禱をしているから、あのフレイヤ様でも流石に魅了するわけにもいかなかったわけだ。それでヘスティアに密かに協力していたわけか」
「まあ、元々ジーク君の考えでもあるんだけどね。ジーク君はフレイヤの力を本当によく知っていたから、もし街の人々を魅了したら、僕の祭壇を用意するしかないって、もしもの時を考えて作戦を建てていたんだ。ウラノスが魅了されないことを考慮してね」
この薪は全てウラノスが用意してくれた。ギルドの仕事の中に、奉仕仕事として薪配りと言う街の人々にこれからの冬の寒さ対策として無料で提供する仕事があるのだが
この薪を使って、ヘスティアの祭壇を作る
ヘスティアの聖火の力もウラノスは知っている。ウラノスもフレイヤの思う通りに見過ごす気はない。こんなオラリオなど偽物だと邪魔をする。だからヘスティアに魅了を弾かせる儀式を完成させるために薪を用意した。
これは俺の作戦でもある。もしも俺がシルも姉上も選ぶことはなく、俺を手にするために無理にオラリオが魅了されたら、それ以降はヘスティアは俺に会うのはやめて、魅了されている人たちを助けるために、一人で行動するようにし、ダンジョンの蓋を担うウラノスには魅了をされないと考え、ウラノスに協力して儀式を作るよう、もしもの対策としてあのデートの前にヘスティアに話していた
そうなった場合はヘスティアが一人でウラノスに会いに行き。この魅了されたオラリオを解放するために、儀式の手伝いをウラノスに要求する、そして薪を用意してもらった。もちろん誰かに頼むと怪しまれるため、バイトだと言って、ヘスティアは魅了されたヴェルフ達に言って、大変だけど一人で大量の薪をこの前のホームに移していた
あとは
「この薪・・・・『君の血が』?」
「ああ、全部入れた」
「あとはこの薪を、街の暖炉に入れるだけで完成や」
「俺の眷属達に、これを配れってことだな?」
「そういうこと」
この薪を街にある暖炉に入れれば完成する。ヘスティアの祭壇が
数日に賭けてなんとかヘスティアの儀式を作るための準備は整った。あとはこれを街に設置すれば、街の人々は正気を取り戻す
「いつ決行する?」
「それなんやけど、実はウチのリヴェリアたちがもう時期戻ってくる頃なんや、ダンジョンから」
「っ!あのナインヘルか!?」
「ああ、どチビの子供になったエルフと、酒場のエルフに頼んで、今の状況リヴェリア達に教えて地上に戻ってくるよう、うちが伝言を頼んだんや」
「フィルヴィス君と酒場のエルフ君か!」
「そうや。当然ウチの頼みで、そのままあの色ボケ女神の本拠に襲撃するよう頼んでおいたや」
「なるほど、そのフレイヤ様のホームを襲撃した時に、決行だな」
「流石にホームにリヴェリア達が攻め込めば、街で監視をしている色ボケ女神の子供も急いでホームに戻るはず」
「じゃあ儀式はその時だね」
決行する時は、リヴェリア達がダンジョンから帰ってそのままフレイヤの本拠を襲撃した時
リヴェリア達がホームを襲撃すれば、当然街を監視しているフレイヤの眷属も、慌ててホームを守ろうと戻るだろう。つまりその時は街は無防備で行動できる
薪配りはその時に街に配置し、儀式を始める
だが
「いいえ、その儀式は今日行ってください」
「「っ!?」」
「君は・・・・・・」
突然、教会の扉から『ヘルン』が現れる
なぜヘルンがここに居るのかもわからない上に、なぜ儀式のことを知っているのかは知らないが、フレイヤの眷属に見つかるなど、ヘルメスもロキも最悪だった
「色ボケ女神の子供・・・・あのヘルンちゅう子が」
「なんで俺たちのやる儀式を今日行うって言っているんだい?しかもなんで俺たちがここに居るって知って・・・」
「待ってくれ。二人とも。ここは僕に話させてくれ」
「ん?味方なのか?」
「僕はそう思う」
突然ヘルンが尋ねられては、フレイヤの子供でもあるため、このことが主神にバレるかと思いきや。いきなり儀式を今日行うよう言われる
儀式についても、作戦を知っているのか知らないが、ヘスティアが彼女を知っているのか。ヘスティアがヘルンに会話を試みる
「君は・・・・・僕の知っているシル君でいいのかな?」
「そうです」
「そうか・・・ジーク君に言われたの?」
「違います。ヘスティア様。お願いです。今夜に貴方の祭壇を行ってください」
「どうしてだい?何かあったのかい?」
「はい。ジークがあまりにあのお方の婚姻を受け入れないものですから、それでも婚約しようと、フレイヤ様は明日急に結婚式を無理に挙げるとのこと。もちろんフレイヤ・ファミリアだけで」
「なんだって!?」
「結婚式やと!?」
「フレイヤ様、ジーク君があまりに婚姻を引き受けてくれないから、結婚式を魅了をされている今の状況で行うつもりか、しかも派閥だけで」
ヘルンが急いでヘスティアの祭壇を作り、この街の人々の魅了を解除するよう頼んだ
理由は、明日には俺とフレイヤが結婚してしまうと、ヘルンはフレイヤの眷属なのに、彼女はそれを阻止するかのように、ヘスティアの祭壇を頼もうとしている
なぜそんなことを頼まれるかはわからないが、少なくとももう猶予がない。今夜中にみんなを元に戻さねば、俺と姉上が結婚してしまう
それを聞いたロキは
「ふざけんな!あのクソボケ女神!眼帯親父にも何も言わずに勝手にやろうとしているんやろ!ウチは絶対に認めんや!ウチの甥っ子があの色ボケと勝手に結婚式を挙げるなど、うちがそんなことをさせると思うなや!」
「フレイヤ様、マジで結婚式を独断で挙げるつもりなんだ。どこまで貪欲なんだ」
「フレイヤらしいけどね。教えてくれてありがとう。でもいいのかい?君はあのフレイヤの子供なのに」
「はい。私はあのお方の裏切り者です。それでも私は・・・・・・・」
「なるほど、ジーク君のためかい?」
「・・・・・・・・・はい」
「ん?・・・ああ、自分もジークに恋をしているんやな?」
「そうです。私はジークを愛しています。でも、返事は貰えませんでしたけどね」
「そうみたいやな、でも昨日ジークが言っていたんやけど、自分が欲しいって言ったで」
「え?」
「ジークと酒場で話していたんや。あの色ボケ女神の所に居るのは、自分を知りたいのと、自分が欲しいと言っていたんや」
「ジークがそんなことを・・・・・」
ヘルンの今していることは裏切りだ。姉上への
それでも俺のために動きたかった。裏切り行為であっても、普通なら姉上のために結婚式を進めるのだが、ヘルンだって俺に恋をしていた
プロポーズは貰えなかった。しかし、昨日酒場で俺がロキに『ヘルンが欲しいから姉上の所に居る』と、本院の耳に入る
恋ができなくても、女が欲しいと言う男の欲がある。それを聞いただけでヘルンは少し安心した
それを聞いたヘルンは
「そうですか、聞かせていただきありがとうございます。ヘスティア様。お願いできますか?今夜中に」
「うん、僕もそれはさせたくない。まさかフレイヤもそんなことを急にするなんて、でも君はこんなことをして大丈夫なの?」
「もちろん許されないことです。それでも私もジークを・・・・いいえ・・私は今の話を聞いて。ジークの所へ行きます」
「うん、彼に伝えて欲しい。今助けるからって」
「わかりました。それとロキ様。そろそろ貴方の眷属であるハイエルフ達が今夜に戻ってきます。狙うなら今しかありません」
「っ!リヴェリア達が戻ってきたんか。知らせてくれて助かるや」
「では・・・お願いします」
「うん、任せて」
ヘルンはあとはヘスティアが無事に祭壇を作れるのを信じて待つ
へルンはロキにリヴェリア達がそろそろ帰ってくることを告げる。つまりはもうリヴェリア達がもうフレイヤ・ファミリアの陣地に攻め入るよう動いている
その間に騒ぎが起こる
なら
「あのへルンちゅう娘に感謝やな。今夜にはリヴェリア達が色ボケの陣地に攻め入る」
「ああ、フレイヤ・ファミリアを裏切るなんて、余程ジーク君ために動きたいんだろう。このチャンスを逃すべきじゃないぞ。ヘスティア」
「ああ、もうフレイヤの思惑に従わない。ここからは反撃だ!!!」
フレイヤの魅了したオラリオを元に戻すための、ヘスティアの祭壇を今日決行する
へルンの言うことが本当なら、今夜の内に決行しなければ、俺がフレイヤと結婚してしまう。そんなことになっては困ると、ロキもヘスティアも急いで取り掛かる
ヘルメスは急いで眷属を呼んで、街の薪配りをして貰う。そうすればヘスティアの祭壇は完成する
今夜にでも、フレイヤの思惑は断たれる