ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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正義は復活する

 

 

リューが一人でヘグニを相手に戦っている

 

ヘグニに挑めるのは彼女以外は居ない。女神祭の時、襲撃を受けた際も、リューはヘグニに押されてばかりで一度は敗北した。その報復を晴らすためにも、彼女が一人でヘグニに挑む

 

再度彼に挑む。今のリューは

 

 

一味違う

 

 

「ぐう!?その剣といい!?この力!?」

 

 

「わかったか?黒き同胞。今の私の力が?」

 

 

「まさか・・・・・・レベル6!?」

 

 

リューに再度剣を交えるだけで、この前の強さとは測れないほど増していることにヘグニは気づく。

 

それはそうだろう

 

 

 

 

リューは、アストレアからランクアップをして貰い、二度ランクアップしたのだ

 

 

 

今まで多くの戦いをしてきた。レベル4になって以降、苦しい戦いを何度も乗り越えてきた。一つは正義を失いかけて復讐した。二つ目はその正義を再び掲げるために深層へと歩き、倒すべく宿敵を倒した。三つ目は、かつての仲間の意志を背負って、今も戦い続けること

 

 

正義は巡る。この言葉を、今もなお心に入れている

 

 

その戦いをアストレアは後方の遠くで見ている

 

 

「戦いなさい。リュー。仲間のために、貴方の好きな人のために、貴方は正義を再び示すのです!アリーゼ達のためにも!!」

 

 

アストレアが常に見ている

 

正義は壊れない。ヘグニを倒すのは正義の風。今こそ逆転の風は吹き荒れる。ヘグニの剣にはもう負けることはない

 

その武器にも、今のアストレアの眷属たちも込められている。そして酸化はしていないが、近くで見ている。リューを元ではあるが認めている。新生アストレア・ファミリア団長のセシル・ブラックリーザも見ている。彼女は元団員のリューに強い対抗意識が前まであったのだが、今はしっかりとわだかまりなどをせずに仲間だと受け入れ、彼女のためにセシルは作った星の剣

 

その名は

 

 

「『アルヴス・ユースティティア』。私の新しい仲間が、再び正義を成すために作ってくれた、星剣だ!!」

 

 

「く!?」

 

 

アルヴス・ユースティティア

 

正義の星乙女の名を冠する星剣。アストレアがリューの力になれるよう、セシルに頼んで作らせた剣。その剣には能力もあり、使い手の魔力を帯び、威力を増強するスペリオルズ。更にそれだけではなく、エルフの魔力と特に相乗効果を発揮する

 

かつてのリューの長年の愛用武器だった木刀。アルヴス・ルミナの欠片をも含まれている

 

 

「疾風!?貴様の腕は認める。だが、正体を明かせば貴様はオラリオから居場所は無くなるぞ!」

 

 

「問題ない。私の場所はもうある。そして私にこれから何があっても、私には友が居る!そして今、別の友のために貴方を斬る!!」

 

 

「ぐう!?」

 

 

リューは一応犯罪者だ。死亡扱いされているとはいえ

 

ジュラのファミリアを虐殺した犯罪者だ。しかし、それでも構わない。一度は死亡扱いされて罪は消えたとしても、今は逃げるわけにはいかない。罪をもう一度オラリオに何か言われても、それこそ俺たちが居る。もうリューは一人ではない。心にはかつての仲間であるアリーゼたち。隣には俺たちが居る

 

そして今は

 

 

シルのために戦う。リューにとって、これは友人を取り戻す戦いである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、バベル頂上の神会の間では

 

 

「おいおい、いいのかよ?」

「疾風は死んだんじゃかったのかよ!?」

「ヘラクレスが嘘をついたのか?」

「これは大ニュースだぞ!?」

「疾風が生きていた!?」

 

 

当然ながらウォーゲームに参加していない。中継を見ていた神々は、リューの生存に驚く、なぜ生きているのか、俺から前回ミッション完了の報告と疾風が死亡した報道だから神々も鵜呑みしていたが、まさか生きていることに驚く。

 

当然ながら。生きているのなら、過去に行った虐殺の罪を押し付けるのだが

 

 

「ジーク君が味方をしているし、変なことをしない方がいいよ?」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「そうですね。リオンはあのヘラクレスの友人です、例えギルドに何か言われても、ジークにやられるだけでしょう。彼は友人を守るためなら、敵が居るのなら誰でも殺しますからね」

 

 

「「「「「「こ、怖えええ!?」」」」」」

 

 

疾風が生きているなら、罪を認めさせようとする神々が居たが

 

 

その場に居るヘルメスとアスフィが、リューの後ろには俺が居ると、俺と関係があると手を出すべきではないと忠告する

 

 

友人のためなら殺しをも簡単にすると、俺はそんな男だと二人はリューを守るために、これ以上の罪を乗せないよう、俺の恐ろしさを伝える。

 

その言葉に嘘ではない。リューが生きていたとはいえ、また過去の罪を負わせようとすれば、俺が敵になると。俺の恐ろしさを知っている上に、ギルドでも逆らうような男の敵にならないよう、神々はこれ以上のリューに罪を負わせることはなかった

 

それに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今のリューは、レベル6

 

第一級冒険者として。ヘグニと同じレベル。もう彼女は負けない。友人を取り戻すために、友人を助けるために、かつての仲間の意志を背負って、ヘグニの剣を越える

 

 

「は!!!」

 

 

「くう!?アストレア・ファミリアが帰ってくるなど!?」

 

 

アストレア・ファミリア。リュー・リオン。ここに帰還

 

再び正義がこのオラリオにて戻ってきた。アストレア・ファミリアは不滅。正義は巡る。常に正義は存在する。

 

 

 

 

 

 

 

 

今もなお。オラリオの市民たちも見ている。アストレア・ファミリアの帰還をこの目に焼き尽くす

 

 

「アストレア・ファミリアだ!!」

「頑張れ!」

「勝って!!」

「正義は消えてなかった!」

「正義のファミリアが帰ってきた!!」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

オラリオの市民街でも中継は流されている。その中継に誰もが歓喜をした。かつて亡くなった正義の派閥が再び帰ってきたことに、リューが一人でも、正義のファミリアは消えていないと、誰もが喜んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘグニは圧される。リューの剣捌きに、風で飛ぶかのような、なめれかな動き。まるで風に揺れるダンスのような華麗な剣捌き、ヘグニでも追いつけなくなる

 

 

「はあ・・・・はあ・・・はあ・・・なぜだ。なぜ俺が付いて来れない!?しかも、だんだん力が抜ける!?」

 

 

「簡単だ。貴方はその呪剣でどれだけの冒険者を斬った?」

 

 

「どれだけの?・・・・・・っ!?まさか!?」

 

 

ヘグニが追いつけなくなったのは、リューのステイタスで負けているだけでなく、ヴィクティム・アビスのデメリットが今発生しているからだ

 

やっとダフネの狙い通りになった。カース・ウエポンにはデメリットが存在する。ヘグニの持つヴィクティム・アビスは使うたびに体力が減りやすく回復がしづらく、更にだんだん力も抜けてしまうのがデメリット

 

今までヘディン、椿を始め、桜花、千草、へファイストス・タケミカヅチ・ファミリアの眷属、そして最後にダフネと、数多くの冒険者を斬ってきた。その代償が今来てしまい。ヘグニはもうリューを倒すだけの力も体力も無い

 

だからリューと戦ってから、戦い辛い。先ほどの戦いから全開出せてない理由がこれである

 

 

「あの女に、まんまとやられた!?」

 

 

「残念ながらこれはウォーゲームだ。私一人ならわからないが。皆が貴方を倒すために、皆が斬られた。その分を、私が返す!!」

 

 

「ぐう!?」

 

 

ヘグニはもうどうにもならない程、追い詰められている。

 

ダフネの『斬られて』という言葉が、まさか自身のカース・ウエポンのデメリットを狙っているとは思いもしなかった。犠牲を払った勝ちがあった。その犠牲にヘグニは負いやられている

 

このままリューは叩き攻める

 

 

「だが、これでも私一人では足りない。だから・・・・・」

 

 

ビュウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!

 

 

「っ!魔法!?」

 

 

 

リューの脚共にアストレア・ファミリアの恩恵の印が現れる。これはリューの三つ目の魔法である

 

新しく習得した魔法らしく、今ここで発動しようと、剣を構えて展開する

 

 

「アストレア様。使わせていただきます。『使命は果たされ、天秤は正される。秩序の砦、清廉の王冠、破邪の灯火。女神の名のもとに、天空を駆けるが如く、この大地に星の足音を綴る。正義は巡る』」

 

 

詠唱を始めた途端、自身を包むヒエログリフによる、光の文字群が浮かび上がり、『星の正域』と言う、障壁の壁がリューを守る

 

 

「星の正域!?させるものか!!」

 

 

バリン!!!

 

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

その障壁の硬さはヘグニでも手こずる守り。今特攻を仕掛けて、なんとか頑丈な障壁を破壊したが

 

その時にはもう手遅れ

 

広がったヒエログリフがリューに集まり、彼女はその力を解放し、告げる

 

 

「『アストレア・レコード』!!!」

 

 

魔法名はアストレア・レコード

 

レベル6に上がって発言した魔法。効果は『正義継承』と言って、リューのかつての仲間達であるアリーゼ達十人の魔法を継承し、それを使うことができる魔法

 

彼女はアリーゼ達の正義の剣と翼に誓い。リューの魂に十人の正義が刻まれる

 

 

そのため、彼女は『これが使える』

 

 

『アガリス・アルヴェシンス』!!!」

 

 

「っ!?なに!?」

 

 

その次の瞬間、剣から紅炎の魔法を解き放つ。ヘグニはその魔法を受けて、後方に吹き飛ばされる。リューが使ったのは炎のエンチャント。体に炎を纏う。その魔法は『ある人物の魔法』である

 

 

「その魔法!?・・・・・スカーレット・ハーヴェル・・・アリーゼ・ローヴェルの魔法!?なぜ貴様がそれを!?」

 

 

「私はアリーゼ達の正義を継いだ。この魔法はアリーゼの魔法だけでなく、かつての仲間が使っていた魔法を、私も使える魔法。私にもう一度正義を掲げるための・・・・アリーゼ達の意志を継いだ魔法だ!!!」

 

 

まさしくアリーゼ達の絆を示した証の魔法

 

召喚魔法ではない。アリーゼ達の意志を魂に継ぐだけで、彼女達の魔法を使うことができる。リューだけの魔法

 

アストレアがイコルを媒介し、リューの心にアリーゼ達が常に居る。アリーゼ達の声が心にあるのなら、この魔法は発揮する。

 

ジャガーノートに殺されたアリーゼ達は天に行ったのではなく。リューの心に居る、常に彼女達はリューの中で生きている。彼女達は死んではいない。常にリューを心の中で見ている

 

 

正義は不滅。それがリューの今を生きる理由だ

 

 

 

 

 

 

 

「アリーゼ・・・・・・」

 

ウォーゲームの審判役を担っている。ガネーシャ・ファミリア団長シャクティが、かつての友の魔法を使うリューの中継を見ていて、涙が流れる

 

かつてイヴィルスに騙されて亡くなった友が。今もリューの中で生きているのだと、希望を見て感動した

 

友は消えてなどいない。常にリューの正義を見ている。だからリューは正義を掲げる

 

全ては

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けたい友のために、取り戻したい友のために

 

 

「はあ!!!」

 

 

「く!?馬鹿な!?ここまで!?」

 

 

彼女の華麗なる動きが、風と炎を纏っただけで、ヘグニの攻撃を素早く避けて素早く斬り裂く

 

その動きはかつてのアリーゼと同じ。地を滑るような動き、風で空を舞う踊り。今の彼女はヘグニの動きを上回る

 

そして力も

 

 

「『今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々。愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を、来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ!星屑の光を宿し!敵を討て』!!!」

 

 

「並行詠唱!?歌い慣れているだと!?」

 

 

ヘグニと戦いながら並行詠唱を展開する。

 

今の彼女にはもうヘグニの剣は通らない。風が上手く彼女を避けさせるように吹き荒れる。通ったとしても体に纏う炎が寄せ付けない。リューの攻撃は通らない

 

その動きをしながらマジックサークルをも展開している。これもアストレア・レコードの力なのか、否、これはレベル6まで到達した。リューの自身の力である

 

空を高く飛んで、彼女の周りから無数の大光玉が生み出し

 

 

多数の風と星の弾丸が、ヘグニに降り注ぐ

 

 

 

「ルミノス・ウィンド!!!」

 

 

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!

 

 

「ぐわあああああああああああああああああああああああ!!?」

 

 

風と光の弾丸がヘグニの立つ地を吹き飛ばすように炸裂した

 

 

ヘグニはこれを直撃した

 

 

いくらヘグニでも、デメリットで力と体力を落ちている彼には致命傷。リューの魔法を避ける体力も無く、リューの魔法を避けることもできずに、その身で受けた

 

 

「はあ・・・・はあ・・・はあ・・・ここまでとは・・・・・」

 

 

ヘグニはもう、今の無数の弾丸を受けたせいで体力はもう限界。今かろうじて呪剣を杖にして立っている状態

 

ヘグニはリューに挑める力はもう無い

 

 

「は!!」

 

 

ザシュ!

 

 

「ぐはあ!!?し・・・疾風!?」

 

 

「受けてみろ。これがアリーゼ達の正義を継承をした。私たちの一撃だ!!!」

 

 

リューはヘグニが限界を迎えている隙に、剣を彼に刺す

 

そして最後の一撃を放つ

 

それはアリーゼの最大の魔法。彼女の魔法でヘグニを倒す。かつてヘグニが彼女に憧れた正義の炎。その憧れた炎で

 

リューは撃つ

 

 

「『アルヴェリア』!!!」

 

 

ドカン!!!!!

 

 

「ぐはあああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」

 

 

「一騎打ちならどうなるかわからなかった。だが、私はアリーゼ達と共にある。貴方に負けることはない!!!」

 

 

『ダイン・スレイヴの撃破を確認!!!ダイン・スレイヴが疾風に敗れたあああああああああああああ!!!』

 

 

勝者:リュー・リオン

 

アリーゼ達が居たから勝てた。もしも一騎討ちだったらどうなるか、リューでもわからないだろう。しかし、常にリューにはアリーゼ達が居る。一人で戦っているわけではない。かつてのアストレア・ファミリアと共に、ヘグニは負けたのだ

 

彼女の正義が、否、彼女達の正義にヘグニは負けたのだ

 

 

 

 

 

「よく頑張ったわ。リュー」

 

その主神である。アストレアもしっかり見ている

 

彼女たちの正義を再び持ってくれた。これであの悲しみの過去が報われる。正義は消えない。人の心にあり続けるように。正義は不滅。アストレア・ファミリアの正義の光は永遠である

 

 

 

「これで私たちの勝ちだ!」

 

 

これでやっと、フレイヤ・ファミリアの幹部一人が敗れた

 

戦況の有利が派閥連合の流れに来ている。リリルカの狙い通りに、幹部の一人が、第一級冒険者の敗北。これはフレイヤ・ファミリアにとって、大きなダメージ。

 

しかもヒーラーであるアンドフリームニルはフィルヴィスによって敗北している。もう回復してくれるヒーラーもハーバリストも居ない

 

 

フレイヤ・ファミリアの軍勢もほとんど敗北している

 

あとは

 

 

 

ブリンガル

 

と

 

ヴァナ・フレイヤ

 

と

 

ヒルド・スレイヴである

 

 

これを落とせば。確実な勝利は目前

 

 

 

 

 

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