B部隊の俺たちは草原にて。歩いて30分でもう戦闘になり、美しかった草原が戦場と化していた。西から東からへとベヒーモスの子供の軍勢を相手にオッタルとアレンと俺で先行して排除していた
「はあ!!」
「ふう!」
「オラア!!」
「すげえ・・・・」
「ほぼあの3人で戦っているじゃねえか・・・」
「流石第一冒険者と言うことであろうな・・・」
「あの3人は私たちとは違うと言うことだろうな・・」
俺とオッタルとアレンだけでほぼ無双していた。後方に控えているヴェルフや桜花や椿やシャクティなどが俺たちの戦いを見て呆然していた。戦闘最中だと言うのに、俺たち三人でほぼ圧倒しているため、誰も加勢するタイミングすら見つからずにただ俺たちの戦いを見ることしかできないようだ
でも、見学させるわけもなく。動かす指示をする
「何をしている椿!シャクティ!ボサとするな!見ている暇はないぞ!東に多数のベヒーモスの子供がこっちに攻めてきている!応戦しろ!」
「休む暇はねえってことだな!了解だ団長!」
「みたいだな!!」
「拙僧も大暴れするとしようか!」
「やれやれ・・・・・だが、私も行かせて貰う!」
東の方から更に多勢の敵が出てくる。ベヒーモスの子供である黒い獣が一斉にこちらの部隊に向かってきた。更にそこから一つだけ小さな黒い竜巻がある
「黒い竜巻が出たぞ!魔導師部隊は詠唱を始めて竜巻を叩け!その他のモンスターは他の冒険者で応戦しろ!奴らを一人残らず逃すな!!」
「「「「「はい!!!」」」」
「「「「「おう!!!」」」」
「ジークは本当にすげえな・・・」
「完全に戦場慣れしているのが分かりますね。ヴェルフ殿」
すぐに部隊を多勢のモンスターに対応させる指示をする。冒険者でも戦争をしたことのない者が多く居る。戦争していた俺は経験者であるため、このような軍勢に対応する指示は俺かフィンかくらいだろう
死者を出さないためにも。隊列をまとめ、崩れないように応戦させる
「オッタル!アレン!このまま前衛まで進むぞ!この先の奥からも多勢を感知した!好きに暴れて俺たちに注意を逸らせ!!」
「わかった」
「ち!ジークの癖に俺に命令しやがって!」
「お前が休んで俺が片付けてもいいぞ?」
「は!?なんで俺が?ふざけんな!俺がこの程度で遅れを取るものか!!」
「ならいい。ナァーザ!今の内に怪我をした冒険者を治療に当たれ!モンスターの注意は俺たちがする!急げ!」
「う、うん!!」
後方部隊で怪我をした冒険者を治療しながら応戦しつつ。黒い竜巻を一つずつ排除した。このままモンスターを倒しつつ進軍を続ける
だが
「ジーク!前方から黒い竜巻が多く来たよ!」
「そうみたいだなルノア。リュー!クロエ!」
「はい!」
「わかったにゃ!」
ミアの言われた通り冒険者ではないリュー達の力を借りていた。俺の権限でオラリオの外へ出し。同じ部隊として共に戦ってくれている
リューと同じクロエとルノアもレベル4。第二冒険者としても素質はある。敵の鎮圧を任せられる
「本当に来たんだにゃ。ミャーはまた・・・」
「アーニャ・・・・・・っ!」
アーニャは兄と同じ部隊で戦うことになるとは思っていなかっただろう。険悪な兄妹である二人。そんな兄に嫌われているのにまたここで共に戦うなど。彼女からすれば不安もあった。兄の足を引っ張るのではないかと
だが悩んでいるアーニャの前に黒い竜巻が三つ向かっていた。だが俺はアーニャの落ち込みに気づいて応戦するようには見えないと判断し、奴を呼んで加勢する
「アレン!アーニャを援護しろ!」
「は!?っ!・・・・・あのクズ!!」
そうして俺は余計なことに、フローメル兄妹を一緒にさせるような真似をする。これであの二人が仲直りするわけでもない。絶縁状態はいつまでも続くが、兄と同じ部隊で働くことができない精神不安状態のアーニャを思って
俺はその不安を壊そうと、兄と一緒にさせる
「はあ!!!」
「っ!?兄様!?」
「ボサとするなクズ!また『あの戦争』のように死にたいのか!槍をしっかり持って戦え!」
「う!・・・・はい!」
「くそ!ジーク余計なことをしやがって!後で覚えていろよ!」
「さあな。俺は仲間のフォローをお前に指示しただけだ。お前ら兄妹家族の問題に俺が突っ込んだ覚えはない」
それにそのおかげでアーニャもやる気になった。アーニャが持つ『金の槍』とアレンの持つ『銀の槍』が合わさった今。女神の戦車二人は威力を発揮する
おかげで東から多勢のモンスターがどんどん二人で蹴散らしている
これをそうさせた方がいいとフレイヤが昨日の権力を得た後にオススメしたのだ
アーニャ本人から聞いてないが、フレイヤからアーニャが兄と同じ元フレイヤ・ファミリアの団員だったことを知っていた。兄と妹の連携はかつてフレイヤ・ファミリアの最高の戦力の一つでもあるとも言っていた
『女神の戦車』と『その片割れ』の連携は『フレイヤ・ファミリアの最速コンボ』レベルは全然違うと言うのに、最短最速で黒い獣を瞬足で倒していく
「よし!いいぞ!このまま大型竜巻まで進むぞ!全軍徐々に進軍せよ!獣や黒い竜巻を蹴散らせ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」
そうしてオラリオから離れる度に数がどんどん多くなるが、全然進めないわけでもなく、俺たちはモンスターに応戦しながらどんどん前へと進軍する
あれから30分後
敵は消せた。もう周囲に黒い獣も黒い竜巻も見えない。なんとか進軍することができる状態となり、まだ死人も出さずに休むことなく大型竜巻があるとされる地方へと歩いていた
だが
「っ!」
「どうしたジーク?」
「花が・・・・・・枯れている」
「枯れている?え!・・・・・なんでここら辺・・草や花が枯れているんだ?」
俺は地面にかがみ込み。花が枯れていると気づいた。俺の言葉にヴェルフもその言葉を聞いて周囲を見るが、確かに穏やかでいい活気のある草原がここにあるはずなのだが、
それが見る影もなく。全て枯れ果てていた
そしてその原因を俺は気づいていた
「まさか・・・・・オッタル!もしかしなくてもこれがお前の言っていたあれか?」
「ああ・・・・間違いなくベヒーモスの『黒い風』だ」
「やはりか・・・・感染と風が世界に広がりつつある。このまま早くしないと・・・自然が大変なことに・・・」
「ジークさん!」
「ん?どうした千草!」
「この曲がり角に村があります!そこで外に倒れている人たちが!」
「ベヒーモスの黒い風にやられたか」
ここからはベヒーモスの生息する場所よりも遠く離れているはず。なのに30キロも離れたここまで広がるなど。感染力が強いとしか思えないと判断し
今千草から報告を受けた。千草の焦り方を見ると、早く治療しなければ村の人は死んでしまうようだと推測し。その村を汚染した毒の風は大型竜巻から出ていることは明白、先に大型竜巻を排除したいと優先したいのだが。助けられる人がいるなら先に助けたがいいはずだと、仕方なく俺は村を助ける方を優先する
薬はまだ在庫が多くある。村を助けて自分たちが無くなることは無い多さだった
「全員に通達する!!近くの村の救助してから急いで大型竜巻を排除する!助けられる命は見捨てない!行け!」
「「「「「「「おう!!!」」」」」」
そうしてもはや一時の猶予もないことがハッキリした。やはり早めに出陣して正解だったと。俺の勘は当たった
早めに出なけらば多分今千草が言う村は助からなかっただろう。ベヒーモスの黒い風は空気感染のように広がると理解していた
まさかこんな遠くまで広がるなど予想外だった
とにかく今は村人を治療して、それでから急いで大型竜巻を排除しに行くことを予定する
「ありがとうございます冒険者様!村の人々を治療していただきありがとうございます!」
「気にするな。感謝を言うならあの片方髪で目が隠れている少女に言ってくれ。あいつが気づかなかったら俺たちは素通りしていた」
村に着き。警備はオッタルとアレン達に任せて、俺たちは村人の治療に当たっていた。もしも俺たちが治療に当たらなければこの村は全滅しかけていた
被害があのオラリオの南区以上の酷さとなっていた。ここの村が外で何百人も倒れているとなるとベヒーモスの攻撃は明らかに下界全体の被害となっていることがわかる
村長に念の為大型竜巻を見てないか、情報を聞く
「村長。大型竜巻を見ていないか?」
「ええ!見ました!この山の向こうです!」
「ここから東の方の山か。確かに反応はあるな」
村長の言葉は嘘ではないとしっかりと確認が取れた。間違いなく大型竜巻がこの村付近にある山に居ると俺の感知で確認が取れた。早く排除しなければならないとここの村のように被害が広がると予測して
早く次の行動に移したいと。俺は村長と別れてミアハとナァーザと千草に治療状況を聞いていく
「どうだミアハ?村の人々は?」
「うむ。なんとか治療は完了した。怪我人は全員もう大丈夫だ」
「私のわがままに付き合ってくれてありがとうジーク」
「心配するな千草。俺たちは冒険者だ。こうでもしなければ冒険者の評価が落ちるだけだ。てことはもうここに用は済んだって事でいいんだな?」
「うん。どうかしたの?」
「この被害はこの村だけじゃない。他のところまで届いているはずだ。急いでなんとしてでも大型竜巻を排除時なければ被害が更に甚大になる。俺たちの解毒薬は無限じゃない。こちらが尽きる前に倒しに行くぞ」
「ジーク大変だ!!こっちに多くのベヒーモスの子供が迫ってきているぞ!」
「そうだろうな。あれだけ多くを倒したんだ。そろそろ奴らが反撃することは見えていた。せっかく村人を治したんだ。またこの者達を怪我させるわけにもいかない。急いでこのまま応戦しながら大神竜巻まで向かうぞ!全員出撃だ!!」
桜花の報告により。ベヒーモスの子供である黒い獣がこっちに向かっていると言う報告を受ける。大型竜巻を排除されるのを拒むのか。どうやら子供たちを放って俺たちの進行を止めようとしているらしい
もう村人の治療は済んだため。またこの村に被害を出すわけにはいかないと。俺たちは村を出てこちらに向かう敵に立ち向かい一掃する
村の被害を避けて俺たちは山に向かいながら、道中出会す黒い獣を鎮圧しながら進行した。そしてその村長が言っていた。山に着き頂上にまで辿り着いた
その先に
「これが・・・・」
「ああ。大型竜巻だ。さっきよりは大きいだろう?」
「しかも・・・・周囲にあの黒い獣が・・・」
「ああ。当然のリスクだな。多分今頃フィンたちも同じだろうな・・・」
目の前に大型竜巻が山の頂上で吹き荒れていた。もちろん感知からして中には今周囲に居る黒い獣よりもサイズが大きいモンスターが居ると理解している
もちろん。それだけでなく
「うお!?」
「吸うなヴェルフ!これが毒の風だ!」
「くそ!!あんな目に見える紫色の風が!?」
「どうやらあれがベヒーモスの毒の風みたいだ。まさか子供にもこれほどの毒の抗体があるとは思っていなかったが・・・・・・・この風じゃあまだ弱い!やれなくはない!!行くぞ!奴らを・・・・・」
と、毒の風は確かに出ているが。風の威力は弱いからと何度か回復薬を飲めば近づいて戦うことはできると。迷うことなく奇襲の指示をかけようとしていた
が、その時
『カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
「っ!?」
「な!?なんだ今のカラスの声は!?」
「カラスにしては鳴き声が大きかったぞ!?」
突然カラスの鳴き声が遠くから聞こえた。それもヴェルフたちもしっかりと聞こえるほどに、カラスの姿など周りにはまったく見えないが。突然のカラスの声に部隊も驚くが、部隊の中で俺が一番驚いている
そのカラスの鳴き声は
『グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
大型竜巻が突然二つに割れた。それだけでなく獣たちが咆哮して。一斉に・・・・・
俺だけに一斉にモンスターたちが襲ってきた。それも・・・・ヴェルフやオッタルたちまでも無視をして
「な!?ぐ!くは!」
「ジーク!!」
「なんであの大型竜巻やモンスターまでジークを集中的に狙うんだ!?」
「ていうかなんで二つに竜巻が割れたんだ!?」
突然カラスの鳴き声に、モンスターたちは何か指示されたかのように、大型竜巻が二つに割れて増殖した。そうでないモンスターまでも俺だけを集中狙いして襲い掛かってくる
だが
そいつらは俺を殺すと言うよりも。俺を捕まえようと口で噛んで捕らえようと。爪ではなく口で噛もうとしてくる。俺は姿が見えないがカラスの鳴き声が原因でこんな妙な動きをするとすぐにわかる
すぐにわかった理由は、こんなことをする元凶を知ってしまったからだ
「ぐ!」
「ジーク!援護するぞ!」
「猛者!あの大型竜巻の片方を!」
「いいだろう・・・」
「くそ。なんで俺を無視しやがる!」
「兄様そんなことを言っている場合じゃあありません!!ジークが!」
そうして俺に加勢しようと。オッタルや椿たちが援護してくれる。それでも黒い獣であるモンスターたちは見向きもせず、体に剣や槍が刺さってやられそうになっているにも関わらず俺だけを諦めずに狙っている
もうあのカラスの言葉を聞くこと以外の動きを見せなかった
「くそ!どうなってやがるんだ!?」
「俺たちに殺されてでもジークだけは殺そうって言うのか!?」
「私たちに見向きもしないよ!?」
自分が殺されていてもそれでも俺を捕まえようと、俺ばかりを狙うことをやめなかった。このままでは本当に俺は奴らに追い詰められてしまう。後ろにも横にも敵。身動きが取れなくなってしまうと判断して
止むを得ず俺は魔術を放つ
「なら!!第二の世界『ニブルヘイム』!!!」
「ジークの氷魔術!?」
そうして周囲に居るモンスターを蹴散らそうと、無理に俺はルーン文字を描いてその文字を適当に上に投げた。上に投げたルーン文字から冷徹な吹雪が放出し。周囲に居るモンスターだけを一気に結晶と化するように凍らせる。
ニブルヘイムは周囲に仲間を判別するから、仲間には冷たい吹雪に凍ることはない
「はあ・・はあ・・・なんとか黒い獣は倒せた。あとは!」
ニブルヘイムに凍ってないのが二つ。大型竜巻を纏っていた大型モンスターだった。だがニブルヘイムのおかげで黒い竜巻は消せた
周囲に居る黒い獣よりもサイズが大きいだけのモンスター。ここに来るまでのモンスターとは桁違いの相手。十分に警戒して挑む
「もう大型竜巻は纏えない!毒が出せない今だ!叩き潰せ!!」
「よし!」
「あの黒い竜巻がもう纏えないなら俺らでも潰せるぜ!」
「あの毒の風がもう出せないなら近づけます!」
オッタルが一人で片方を相手にしている内に、こちらももう片方の大型モンスターであるベヒーモスの子供を退治する。毒の風を生み出す竜巻は俺のニブルヘイムで吹き飛ばし。オッタルはともかくアレンや椿はなんとかこれで近づくことができる
だが当然今までの敵とは別物であり。皮膚や角が硬く。まともに刃が体に突き刺さらない。
「くそ!さっきのモンスターと強さが全然違うぞ!」
「大型竜巻と毒を撒き散らしたんだ!階層主として扱ってもいいほどだ!」
「ぐ!剣が弾かれる!」
「剣で貫けないなら・・・・・リュー!今だ!」
「はい!ルミノス・ウインド!!」
『ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!?』
魔法なら通るだろうと、俺は後方に控えさせ詠唱を唱える準備をさせていたリューにルミノス・ウインドで体の皮膚を風で剥がす。深くまでいかなかったが少しは剣を突き刺せるほどの皮膚は剥がせた
「よし強度な皮膚もこれで剥がせた。あとは・・・・」
「ジーク!ここはあやつに・・・ヴェル吉!!」
「言われなくてもわかっているっての!!うおおおおおおおお!!」
止めを刺そうと、デカイ一撃を入れようと魔術を使うつもりが、それより先に椿とヴェルフが動いた。それも普段使っている大剣ではなく。ヴェルフはクロッゾの魔剣を持っていた
こんな時だからこそ。自分からクロッゾの魔剣を使用するようだ。まずは椿が逃さないように足を止めるために、刀を足に突き刺す
「はあ!!」
『ガアアアアア!!?』
「今だヴェル吉!」
「全員離れろ!!『焔翔』!!!」
『グガアアアアアアアアアア!!??』
椿の刀が地面まで突き刺されて身動きが取れない状態で、『クロッゾの魔剣・焔翔』を振りかざした。そこから吹き出す火炎弾が地面ごと大型黒い獣をも焼き尽くした
振りかざした先の少し遠距離までクロッゾの魔剣の火力が届いている。やはり俺のグラムと同じほどの威力を持っていた
その威力は大型黒い獣を包んだ。そして魔石も残らず焼き尽くし消えた
「相変わらずいい威力を吐き出している。お前の血のクロッゾの魔剣はやはり恐ろしいな」
「おかげで早速一本無駄にしたけどな!」
「でもおかげで一体目は倒せた。オッタルの方は・・・・・・心配する必要もないな」
「この程度か・・・・」
「マジかよ・・・・レベル7ってあんなもんなのか?ほぼ無傷じゃねえか・・」
「それがレベル7というものだ」
オッタルは一人で大型モンスター を無傷で倒した
フィンたちとオッタルとどれほど差がありすぎるのか。たかがレベル1の差が違うだけでこの大型モンスターを一人で倒せる程。レベル7のアビリティはどれほど強大なのか、レベル7と言う存在をヴェルフは驚かずにはいられなかった
俺の知る限りは歴代の英雄たちはレベル7にもなったが、今生きているレベル7はオッタルと『ポセイドン・ファミリア』の団長のみ。今どこに居るかは知らないが、どうせどこかの海に居るのだけは明白だ
フィンたちでレベル6になってからもう十年くらいランクアップすることはなかった。それほど大きな経験値を得られなければなれないレベルだろう。オッタルのことだから誰も真似できないことをしていたと理解している
でなきゃ一人で50階層まで遠征し、49階層の階層主『バロール』を一人で殺すことはできなかったが半殺しまで追い詰めるはずがない
この討伐作戦はほぼオッタルの力を借りることになるだろうと俺は考慮した
「ジーク・・・・こいつらが襲ってくる前。カラスのような鳴き声が聞こえた。そしてその鳴き声にこのモンスターは従ったように見えた。これは何かおかしいと思わないか?」
「その通りだオッタル。ベヒーモスを生き返らせた『元凶であるファミリア』が指示しただけの話だ」
「なに・・・」
「ベヒーモスの子供は完全にそのファミリアの主神や眷属の指示を完璧に聞くようにテイムされているということだ。でなきゃお前らを無視して奴らが俺を一斉に襲うはずなどない」
「マジかよ!?」
「じゃあ・・・・やっぱり野外ファミリアが生き返らせたと言うことか・・」
「一体どのファミリアが・・・」
俺の言葉にその場に居るヴェルフたちB部隊の団員全員が困惑な顔をした。本当にあの三大冒険者依頼であるベヒーモスを復活させるファミリアが居るなど。それもテイムされたかのように言うことを聞くなど。そのファミリアがベヒーモスをテイムされているのは明白
そんな相手を今回やらなければならない。そんな馬鹿なことをするなど、そのファミリアの気が知れなかった
「っ!?この感じ・・・・まさか!?」
突然感知にある反応をした。それは・・・・強大な気配が移動した反応。おそらくベヒーモスが・・・・西に移動したと推測する
でもその近くにある見覚えのある力を感知する・・・・俺はその力を知っている
「そうか・・・・そうだったのか・・・・・だからなのか・・・・おかしいと思っていたんだ。なぜ奴らは俺だけを狙ったのか。なぜオラリオを襲ったのか。そしてドロップアイテムを使ってベヒーモスを復活させた方法も知っていたのも・・・」
「ジーク?」
「お前だったのか。そうまでしてお前は俺が欲しいか。世界を壊してまで俺が欲しいのか・・・」
俺は懐かしい力を感知して。この事件を起こした元凶を今移動している大きな気配と共に動いていると。女神が犯人だと発端を突き止めた
ああ・・・・言うならこれは『俺のせい』だ
憎いよ。お前が
と。俺は酷く奴を憎んだ。カオス・ヘルツが発動し掛けていた。それほど俺は怒りに満ちていた
なぜなら・・・・
ベヒーモスを復活させたのは俺の『友人でもあった女神』だからだ
「ジーク。お前があのカラスに指示をしていると見破ったのは見事だ。だが・・・・・・それに気づいたのはお前の直感ではなく。『お前がそのファミリア』のことを知っているからじゃないのか?」
「ああ。知っているぞオッタル。そいつのことは俺が一番知っている。本当に・・・・・」
「「「「「っ!?」」」」」
「俺が殺してやりたいほどにな・・・・」
俺はその女神を憎むことでまた俺は『竜の眼』になって怒りの顔を剥き出しにした。その顔に団員であるヴェルフも命も俺の怒りに恐れた。仲間であるこいつらが見られているのをお構いなしに剝きだす
だが確信した。ベヒーモスを生き返らせたのは『あいつら』だと。でなきゃ『カラスに変身』して指示する筈がない。俺を欲しいがために下界を殺戮し。破壊をもたらす
そんな女神は一人しか居ない。これは俺のせいだと責任を感じられずに居られなかった。そして後悔した
「急いでデダインの村に移動するぞ!ベヒーモスが西に移動した!」
「「「「「「な!?」」」」」
「俺の感知アビリティがベヒーモスの強大な気配が移動していると感知した!急いでデダインの村で合流。もしくはA部隊の援護に回るぞ!」
そうして西ルートの大型竜巻は見事俺たちB部隊討伐は完了した。
先ほどの大型竜巻の戦闘により毒の風で動けない者をなるべくグラニの馬車に入れて、ミアハとナァーザとヘファイストスに治療を任せている。その間どこかで休憩することなく。急いで俺たちはデダインの村に急いでいた。
だがその途中でも黒い獣であるベヒーモスの子供が壁となって道を阻む。それもさっき相手してきた今までの数と割りに合わないほど、多数と大勢で襲いかかって来ていた
おそらく東ルートにある大型竜巻の周辺に居るモンスターが一気にこっちに回って来ているのだと想定する。A部隊が倒す分がこちらで減らすとあちらが少し戦闘が楽になる筈だと思っている
それほどさっきから戦闘が続いている。休む暇を与えないかのように、進行が進む度に難しくなってくる。先行はもちろん俺とオッタルとアレンで、後衛にシャクティや椿や桜花やヴェルフを控えさせているが
進むのが困難なほど。ベヒーモスの子供が俺たちにどんどん数多く迫って来ているため、オッタルが居ても苦戦していた
かつてロキ・ファミリアの遠征で49階層でフォモールの群れに襲われるのを思い出すほど。それと同じ数に囲まれている状況だった
「オグマ・ファミリアは盾を持って前衛に出ろ!防衛の後ろに控えている治療にあたっているナァーザ達のところまで行かせるな!モルド!ボールス!お前らが前衛の隊長として指示しろ!」
「くそ!ジーク!無茶なことを言ってくれやがる!」
「だがやるしかけねえ!でなきゃ俺たちを治してくれるヒーラーが居なくなっちまう!テメエら!死守してでも馬車に乗っている主神やヒーラーを守るぞ!!」
「「「「「「おう!!!」」」」」」
「よし。前衛の守りはなんとかなるな。クロエ!ルノア!前衛の援護だ!片っ端からモンスターを殴り尽くせ!」
「わかったにゃ!!」
「OK!でも本当になんて数よ!」
「リュー!アーニャ!お前達も頼む!」
「了解!!」
「わかったにゃ!!」
俺は先行し敵を駆逐しながら後衛の守りを固くするために、盾部隊を編成して前衛へと出させる。もちろん守りだけでなく、それの盾を破壊しようとするモンスターを後ろから排除して貰うようにリュー達『豊饒の女主人』の店員に頼む。
隊列としてもカバーしたりはしている。だが数が多すぎる
もはや魔法を繰り出さなければならない状況になった。どうあっても今状況が酷く悪化しているのは明白だ
やっぱりあの『女神』は俺を狙っているから。こっちにモンスターを回しているのだとしか思えなかった
であればこんなことになるはずがない。オッタルでもモンスターを一つ一つ倒すだけではキリが無い。
選択は常に俺には一つしかなかった
「先行している部隊と前衛に居る部隊は全員後衛まで下がれ!!後衛に防御魔術を貼る!俺が強力な魔術でこいつらを燃やす!!指示を聞かなかったものは命の保証は無い!黙って指示に従え!」
「は!?強大な魔術だと!?」
「アレン。黙って言うことを聞け。でなければお前もジークの魔法に焼かれるぞ?」
「く!ああ!」
そうしてオッタルとアレンも後衛にまで引き下がる。オッタルも俺の指示に何か策があるのではないかと、しっかりと俺の指示をしていた。オッタルも俺に指示を従うのは不本意だと思っているはず
これだけのモンスター如き、自分一人で片付けられないと甘く見られるのがフレイヤの眷属として不服でしかないとは思っているかもしれない。だがフレイヤの指示はジークの指示だとフレイヤに命令を下されている以上は俺に返す言葉は何も言わないまま、フレイヤの指示として従っていた
「ジーク!何をする気だ!」
「後衛全体にスヴェルヘイムを張る!そしてその周囲にムスペルヘイムを放つ!」
「嘘だろ!?またあれをやる気か!?ゴライアスを燃やし尽くしたあの魔法・・・じゃなくてあの魔術を!やべえ!!全員下がれ!!ジークが炎の海を出すぞ!!」
ヴェルフは前回の18階層遠征の時にムスペルヘイムを見ている。それがどれほど強大で被害が間違いなくデカイ威力のある魔術。17階層を焼け野原した国そのものを一瞬で焼き尽くす。極めて戦略級魔術
ゴライアスが完膚なきまでに焼き尽くされたあの魔術を、『最大質力の限界突破』にして放とうとする
「全員そこから動くなよ!スヴェルヘイム!!!」
俺は後衛に防衛態勢を取らせたまま。後衛全体に先ほど描いたルーン文字を後衛の上になげ、スヴェルヘイムを俺だけ包まないで防御サークルを張る
俺が中に居てはムスペルヘイムが放てないからである
俺以外がスヴェルヘイムにしっかり入っていることを確認すると。俺は今度は赤い文字で浮かび出るルーン文字を宙に描く
「世界よ!豪炎なる炎で全てを燃やし尽くせ!世界のすべての命を跡形もなく消しされ!悪意ある者に灼熱の終わりを!第三の世界!!『ムスペルヘイム』!!!」
と言って、俺は描いたルーン文字を右手で全部掴み。下の地面に叩きつけた
すると、ゴゴゴゴゴゴと、地面から突然溶岩が吹き出し、波狂う渦潮のように溶岩の波が俺の周囲に全体に広がる。ランクアップもしたからなのか、波の高さもレベル4とは違い。最大でやっているとは言え。今戦場になった草原が焼き尽くされる
後ろに控えているスヴェルヘイムに包まれたヴェルフ達にも、溶岩の波が襲う
「やべえ!!全員衝撃に備えろ!!!」
「「「「「くう!!」」」」」」
ヴェルフの掛け声により。全員しゃがむようにして溶岩の並の衝撃を耐えた。スヴェルヘイムを張っているから破れることはないが、確かに中で多少の衝撃は出る
『『『『ガアアアア!!!』』』』』
周囲に黒い獣のモンスターはその溶岩の波に逃れる場所も隠れる場所も容赦無しに焼き尽くされる。美しかった草原が完全に焼け野原になった
「く!あいつ・・・・こんな周囲を焼き尽くす魔法を持っていたのかよ!?」
「流石はフレイヤ様の兄君の義弟だ・・・・俺でも食らっていたらどうなっているかわからない・・・」
「す、すごいな。あの『ナインヘル』をも勝る最大魔法ではないのか?ヴェル吉?」
「ナインヘルの魔法自体見たことねえよ!でもジークのムスペルヘイムは本当に異常なんだよ!前回はここまでの炎の波は出してねえんだからな!」
ここまでの威力は流石のヴェルフも見たことがない。長年冒険者をしているオッタルやアレンや椿やシャクティでさえも見たことがないようだ。それでも国そのものを焼き尽くすほどの危険な魔術だから見たことがないのが当然だ
周囲に居たベヒーモスの子供を全て焼き尽くすことができた。その代わりここ草原が完全に焼き野原にしてしまった
「はあ・・・はあ・・・・全部殲滅完了・・・・・・オッタル。シャクティ。負傷者は?」
「いや・・・・誰も居ない」
「こちらもだ。負傷者は馬車に居る者だけだ。今の所は誰も居ない」
「よし。疲れているかもしれないが、このまま歩いてデダインの村に急ぐぞ」
「ジーク。休む暇が本当に無いが、ベヒーモスが本当に移動しているのか?」
「まあな。早くフィン達と合流しないと大変なことになるぞシャクティ。でないと本当に被害が甚大になる」
「ジークの言う通りだ。それほどベヒーモスは強力だ」
「急ぐぞ!悪いが休まずにB部隊は進行する!」
前衛に出て貰った者達に申し訳ないと思うが、それでもあまりに時間が無く。休むことのないまま急いでデダインの村に進行する
でないと本当に取り返しのつかない不味い事態になってしまう。それも『この戦法はあの女神』のやり方そのもの。一刻も早くフィン達と合流しなければ毒の風は世界中に感染する。そうなればミアとオッタルの言う通り。灰になることは明白
どうあっても本当に一刻の猶予が無いほど。俺たちに時間が無いとうわけだ
そして・・・・・・なんでさっきから『モンスター』も『超大型竜巻が纏うベヒーモス』が俺を襲うのも
どうあっても。俺たちを・・・・・・・いや。俺を集中的に狙っている