ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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勇気の槍

 

 

リューの連絡から、ダインスレイヴを倒したと報告を受ける。

 

リリルカの狙い通りなことが起きて、戦意が上がる場面にして、戦況として有利になるタイミングを掴んだと確信したリリルカ

 

 

「これは大きい。ここでブリンガルも倒せば、戦況は傾く。このままリリも向かいます!」

 

 

リリルカも、軍師ではなく一人の冒険者として、ブリンガルを倒しに行く。

 

ここで幹部を一人一人倒しに行けば、確実に勝つことができる。そのために建てた作戦も今編み出した。それを実行するためにもリリルカが必要なため、軍師自らが戦場に出る

 

だが、この作戦はリリルカが危険

 

今命達に作戦内容を伝えているのだが

 

 

『本気なんですか?リリ殿!?』

 

「ええ、これしかありません、危険であることは承知です。でもこうしないと勝てません!もういろんな冒険者や神様達が犠牲になりました!リリも命を賭ける以外勝利する方法がないんです!」

 

 

リリルカの作戦はあまりにも危険な手段だった

 

 

それはリリルカが変身魔法でアルフリッグの兄弟の誰かに化けて、囮になること

 

 

レベル2が、レベル5を騙すために囮になるなど危険すぎる。やられるのは確実。しかし、それでもしなければブリンガルは倒せないと、リリルカ自らが出陣するしかなかった

 

残念ながらブリンガルの連携を崩すには、兄弟の誰かを化けて騙して連携を崩す以外ない。バーベラのほとんどがブリンガルの連携で敗北した。その連携に隙がない。隙を突くにはこれしかない。

 

でも命がそれは危険だと、反対を出す。

 

 

その時

 

 

『では自分も囮になります!』

 

『いいよ。私も囮になる』

 

「っ!?アクタ様!?ナァーザ様!?」

 

『カリス。申し訳ないが、あとは頼む』

 

『いいのですか?アクタ!?』

 

『リリルカさんの作戦は私も賛成です。あの四兄弟は悔しいですが、間違いなく強いです。誰かが囮にならなければ、残念ですが、あの兄弟には勝てません』

 

『私はもう矢が無いからね、ここで決めるしかないかも』

 

『ただ、私は『奥の手』がありますので、『一人は確実に倒せます』。」

 

「え!?アクタ様!?倒せる方法があるんですか!?ブリンガルの一人を!?」

 

『アクタ。あれを使うのですか!?』

 

『それしかありません。特攻を掛けるのと、動きを封じるならこれなら行けます!アルテミス様みたいに上手くはありませんが、ナァーザさん!行きましょう!』

 

『わかった。リリルカ、春姫。いつでもいいよ?行ける?』

 

 

「わかりました。それでは今からブリンガルを叩きます!!」

 

 

 

作戦は決行

 

アクタもナァーザも囮になることを選ぶ。こっちは八人も居る。この四兄弟を倒すにしては問題ない。追い込めばなんとかなる。今はアーニャの魔法でなんとかステイタス下がっている。この好機を逃すわけにはいかない

 

今ここで行動しなければブリンガルを追いつけないと、囮三人が身代わりを果たす

 

春姫が詠唱を使った時こそが作戦の開始合図

 

 

「始めます!!サミラ様!レナ様!」

 

「おう!やっちまえ!」

 

「歌え!!」

 

 

「『ココノエ、愛しき雪。愛しき深紅。愛しき白光、どうか側にいさせてほしい、二千夜の末に見つけし其の恋願、我が名は狐妖、かつての破滅。我が名は古謡、かつての想望、鳥のごとく羽ばたく御身のために、この身、九狐を宿す。響け金歌、玉藻の召詩。白面金毛、九尾の王、全てを喰らい、全てを叶えし、瑞獣の尾、大きくなれ!その力に其の器。数多の財に数多の願い。鐘の根が告げるその時まで、そうか栄華と幻想を、大きくなれ!神饌を食らいしこの体。神に賜いしこの金光。槌へと至り土へと還り、どうか貴方へ祝福を。大きくなぁれ!!!』」

 

 

春姫に六本の光の尾が発現する

 

五人分、アイシャ、命、クロエ、ルノア、カリスの五人にレベルブーストを掛ける。相手はステイタスを低下させて、自分達は逆にレベルアップ。ブリンガルを倒すための力も手に入る

 

春姫の歌が、皆に届く

 

 

「『ウチデノコヅチ』!!舞い上がれ!!!」

 

 

「よし!」

 

「これで!」

 

「行けるにゃ!」

 

「これでぶっとばせる!!」

 

「反撃です!」

 

 

五人分のレベルが一時アップ

 

金色の魔力光を浴びた五人。これでアルフリッグ兄弟を倒せる戦力を確保した。春姫の力が皆に届いたことで

 

リリルカとアクタとナァーザが先行する

 

 

「行きます!」

 

「突撃です!」

 

「これで終われせる!」

 

 

「何!?突撃だと!?無謀な!」

 

 

「無謀かどうか、その目で見ればわかる!!」

 

 

ボン!!!

 

 

「な!?煙幕!?」

 

 

リリルカがまず突っ込み。アルフリッグ達に煙幕弾を投げ込む。投げ込まれた煙幕は周囲に広がり、周りが煙で見えなくなる。マジックアイテム系の煙幕で取り付くように煙がアルフリッグ達に集まる

 

そのせいで敵影が見えなくなる

 

 

「どこだ!?どこに居る!?」

 

 

「二時!北東に敵影なし!!」

 

 

「っ!よくやったベーリング!」

 

 

三男のベーリングが、長男であるアルフリッグに指示を入れる。ベーリングは自分や他の兄弟と違って索敵能力があるため、三男の言葉を信じて、敵が居ないと思われる北東の方へと走る

 

この煙幕の中で戦うのは危険だと考えた兄弟達はこの場から逃げる

 

しかし

 

 

「は!!」

 

 

「ぐはあ!?」

 

「なに!?ベーリング!!敵は居るぞ!?何を見て・・」

 

 

カチャ!!ビュン!!!

 

 

「ぐはあ!?ぐう!?ベーリング!?何を!?」

 

 

北東の方へ進んだが、カリスが現れ。グレールに襲い掛かる。ベーリングの言っていた言葉が外れ、ベーリングに間違いだと怒鳴りつけて、ベーリングの方を振り向いた瞬間

 

 

クロスボウを身に付けているベーリングが居て、アルフリッグの横腹を光る短剣で一直線に飛ばして貫通させてアルフリッグを追い込む

 

 

ベーリングが長男であるアルフリッグを裏切るわけがない。なのに長男の横腹を短剣を飛ばして貫通させるわけがない。となれば

 

 

「ベーリングはこんなことをしない!誰だお前は!?」

 

 

「くう!?・・・・・・はあ・・・はあ!」

 

 

「リリルカ・アーデ!?まさか変身魔法!?ベーリングは何処に!?」

 

 

アルフリッグは自身の持っていた槍で偽物と思われるベーリングに投げた

 

その槍に直撃して弾かれた瞬間、ベーリングの姿が光って変わる。クロスボウを手にしていたベーリングは本物ではなく。

 

 

正体はリリルカ

 

 

変身魔法で三男であるベーリングに化けていた。兄弟の誰かに変装をして嘘の指示を送れば倒せるはずだと、リリルカの思惑は成功であり

 

上手くアルフリッグを騙せた

 

だが

 

 

「なら、ベーリングはどこだ!?」

 

 

肝心の、本物のベーリングはどこに行ったのかだ

 

煙が邪魔でベーリングの姿が見えない。兄弟を急いで集めないと。この場を切り抜けないと。アルフリッグは急いで三男を探す

 

 

そのベーリングはと言うと

 

 

「う!?どこだ!?アルフリッグたちは何処に!?」

 

 

アルフリッグ達と離れ、一人逸れる。煙幕のせいで周りは見えず、完全に孤立状態となった

 

そんな孤立している時に、前方から

 

 

「『影が行く。闇が降る。腕亡き我が身は凋落の冠。悪しき蟲。巣食われる肉、凌辱されし心。銀を苛む。蠢動の羽音』」

 

 

「犬人!?あのスナイパーか!?」

 

 

ナァーザがベーリングの前に現れ、詠唱を始める

 

ナァーザにはもう矢が無い。もう魔法しかないため、魔法でベーリングの足止めを開始する。この魔法は冒険者向けの対策魔法であって、ダンジョンではあまり使えなかった。ベーリングは冒険者。この魔法は通用すると、詠唱を始めた

 

 

「この塵芥が!!」

 

 

もちろん、それを阻止しようとベーリングは大斧で叩き込む

 

しかし

 

 

ガキン!!!

 

 

「っ!?」

 

 

「悪いけど、私の右腕はもう無いから」

 

 

「銀の義手!?」

 

 

ナァーザは右腕でベーリングの大斧を掴んで受け止める

 

彼女の腕が切れることはない。なぜならもう『失っている』。彼女の右腕は義手だった。銀でできた義手

 

 

その名は『アガートラム』

 

 

過去にダンジョン攻略を失敗し、モンスターに腕を持ってかれた。その義手は主神であるミアハが借金をしてまで用意してくれた義手。今はそれを武器として使う。

 

そして詠唱を終えた。ナァーザの魔法が発動する

 

 

「『ダルヴ・ダオル』!!!」

 

 

ズズズズズズズズ!!!

 

 

「な!?また『アンチ・ステイタス』!?」

 

 

「貴方達を倒すにはこれしか無いから」

 

 

義手から黒い粒子のようなものが放出し、その黒い粒子は掴んでいる大斧を通じて、ベーリングの体に入り込む

 

この魔法の効果はアンチステイタス

 

またも。ベーリングはアーニャの魔法に続いて、ナァーザの魔法にステイタスを更に下げられる

 

そのタイミングで

 

 

「『狩りは続く。生き抜く命の闘争に、弓兵は疲れ果てる。弓兵は眠る。弓兵に眠る場所はなく。代わりに健やかな岩を下に弓兵は休む。次の戦のため、今は安らかに眠れ』」

 

「あとはお願い。アクタ」

 

 

「アルテミス・ファミリアの団長!?『エウリピデス』!?」

 

 

アクタがナァーザの斜め上に飛んで、魔法を展開する。上手くやれないと自分で言った魔法を、矢に茶色の光が集中し、ベーリングの真下である地に放つ

 

ベーリングは二つのアンチ・ステイタスに負担がかかり。ナァーザの義手から大斧を離すことができない。そのため動けない

 

アクタが繰り出す魔法は

 

 

「『プラタイア』!!」

 

 

ガン!!ドカン!!!

 

 

「ぐわあああああああああああああああああ!?」

 

 

アクタが放つ矢が、ベーリングの真下の地に刺さり。その瞬間

 

 

地面から大きな矢の形をした岩が一斉に噴き出した

 

 

その大きな岩の矢に腹に突き刺さる、ベーリングは持っていた大斧をその場から手を離し。その場に岩に突き刺さったまま気絶した。三男であるベーリングは撃破された

 

 

「これで三男はなんとか倒せました。ナァーザさん。ステイタスの低下。ありがとうございました」

 

「いいよ。私にはこれくらいしかできないしね」

 

 

勝者:アクタ。ナァーザ

 

三男のベーリングをなんとか倒すことができた。ベーリングはもう目覚めないアクタの魔法の一撃がクリティカルヒットしたのか、気絶してしまい。ベーリングはやられた

 

 

 

 

「っ!?ベーリング!?」

 

 

南東から、アルフリッグはベーリングの声だと思われる悲鳴を聞こえた

 

ベーリングの悲鳴となると、何かされたのではないのかとアルフリッグが探しに来たが手遅れ。ベーリングはアクタの岩魔法でやられ、岩の矢に突き刺さった状態だ

 

 

「ベーリング!?」

 

「今行くぞ!」

 

 

三男がやられたことで助けに行こうと、ドヴァリンとグレールが向かう

 

しかし

 

 

「フツノミタマ!!!」

 

 

「「ぐう!?」」

 

「重力魔法か!?」

 

 

「命さん!そのまま抑えておいてください!」

 

「ああ、私とカリスが二人撃つ!」

 

 

命の魔法が三人に重力を与える。

 

せっかく倒した一人を助けになど行かせない。ここで追い込んで、一気に残り三人も倒していく。その間にアイシャとカリスも魔法を放つ

 

 

「『来れ、蛮勇の覇者、雄々しき戦士よ。たくましき豪傑よ、欲深き非道の英傑よ。女帝の帝帯が欲しくば証明せよ、我が身を満たし我が身を貫き、我が身を殺し証明せよ。飢える我が刃はヒッポリュテー』!!!」

 

「『私は美しい乙女。しかし乙女もいつか恋する。その恋のためなら自身の体を変貌しても構わない。例え、哀れみを乞う熊になってでも』!!!」

 

 

「また魔法が来るぞ!」

 

 

アイシャもカリスも手加減なし、強敵を倒すために魔法を展開する。アイシャは大剣に魔力光を込める。カリスは弓を地に置く。グローブを取って両手を出す、すると両手から魔力光でできた『クマの手』が発現して帯びる。長男のアルフリッグではなく、ドヴァリンとグレールに襲い掛かる

 

 

「『ヘル・カイオス』!!!」

 

「『アルカス・アルクトス』!!は!!!」

 

 

ズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!

 

 

「「ぐわあああああああああああああ!?」」

 

「ドヴァリン!?グレール!?」

 

 

アイシャの紅い斬撃波とカリスのクマの爪の斬撃波がフツノミタマで身動きが取れないドヴァリンとグレールが斬撃波に胴体を斬られて倒れる

 

他の兄弟達は全員やられてしまった。

 

 

これで残りはアルフリッグだけとなった

 

 

彼だけならもう連携は使えない。ブリンガルの特技は兄弟揃っての連携。しかし、その兄弟達が倒れてはもう太刀打ちできない。

 

そのタイミングで命のフツノミタマが解除される。兄弟達さえ倒すのが目的で展開した魔法。アルフリッグだけならもう発動し続ける必要はなく。命は解除した

 

 

「くそ!・・・・・ここまで追い詰められるなんて・・・・・」

 

 

アルフリッグは完全に足元を掬われた

 

まさか自分たちよりレベルの低い派閥連合にやられた。やられた理由があるなら

 

 

リリルカ達にも連携が存在し、それを撃たれてやられた

 

 

連携など作戦を建てれば誰でもできる。アルフリッグたちは連携こそ自身の主戦力だと思っているだろうが。それはリリルカ達でもできる。誰でも作戦を念密に建てれば、アルフリッグ達はリリルカの想像できない連携を撃たれた。フィンが教えたことを彼女はちゃんと身に付けて、アルフリッグ達を追い込んだ。これは間違いなくリリルカの成果である

 

 

「ニャアアアアア!!!」

 

 

「く!邪魔だ!」

 

 

クロエがアルフリッグを襲う

 

残りの長男も倒してしまおうとクロエが飛び込む。しかし。アルフリッグが返り討ちにしようと槍を振るう

 

しかし

 

 

ブウン!!!

 

 

「っ!?消えた!?まさか幻影魔法!?」

 

 

襲いかかってきたクロエを斬ったが。煙になって消えた。

 

 

これはクロエの幻影魔法だ

 

 

クロエもそこまで馬鹿ではない。相手はレベル5。一人になっても力はある。その相手の隙を突くために、あらかじめ魔法を展開していた

 

 

「こっちにゃ!」

 

 

「くそ!こっちか!?」

 

 

本体が出てきたと思い。アルフリッグは今度こそ、クロエを斬り裂く

 

しかし

 

 

ブウン!!!

 

 

「なに!?また!?」

 

 

「ハズレ!!『フェレス・クルス』。二体まで分身ができるにゃ!これで終わりにゃ!」

 

 

「ぐわあ!?」

 

 

クロエの幻影魔法『フェレス・クルス』

 

二体まで分身を作れる魔法。実体がないため攻撃も防御もできないが、相手を晦ますにはちょうどいいとタイミングよく使った。揺動や錯乱に使える魔法である

 

 

アルフリッグはまんまと騙され。背中を斬られた

 

 

そこからアルフリッグの血と同時に紫色の液体が流れる

 

 

「ぐう!?体が!?その暗剣!!何か塗っているな!?」

 

 

「正解!このバイオレッタにはいろんな毒を塗ったにゃ。どんな気持ち?今ニャー達に攻められている気持ちは!!」

 

 

「ぐう!?くそ!?体が!?毒が回るのが早い!?」

 

 

クロエの暗剣バイオレッタは

 

様々な毒を刃にクロエがあらかじめ塗ってある。確か『耐異常』のアビリティを貫通する程の猛毒ポイズン・ウェルミスの毒石も使っているとか

 

とにかく、その刃を背中で受けたアルフリッグは、体をまともに動けず。槍を上げる力もない

 

 

「今度こそ!あんたらをボコボコにする!!」

 

 

「ぐう!?黒拳!?」

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!オラ!!!」

 

 

「がはあ!!??」

 

 

ルノアが止めを刺す

 

ルノアの両手の拳の蓮撃。アーニャの魔法に、クロエの毒入り、そこまで負担をさせられれば、いくらアルフリッグでもレベルブーストがかかってないルノアでも負ける。ルノアの容赦のない拳の打撃

 

 

ルノアの拳の蓮撃を受けたアルフリッグは倒れた

 

 

 

ベーリング、ドヴァリン、グレール、そして長男のアルフリッグ

 

ブリンガルが敗れた

 

 

 

勝者:リリルカ・アーデ達

 

 

「取ったぞ!!チビスケ!!」

 

「流石です!皆様!」

 

「勝てた!」

 

「なんとかなりましたね!」

 

「ねえ!それじゃあ私とクロエはもう行っていい?」

 

「いいですけど?どちらへ?」

 

「決まっているにゃ!シルの所へにゃ!言いたいことがたくさんあるにゃ!」

 

 

ブリンガルは無事倒せた

 

倒せたなら、もうここには用はないと、ルノアとクロエはシルの所へ向かう。まだ言いたいことが言えてない。そして大事なことを気付かせたいがために。正体がフレイヤだとわかっていても、ルノアとクロエは今だに彼女を見捨てなどいない。

 

 

本気で友人だと思っているから、言いたいことがある

 

 

 

しかし!!!!

 

 

 

「まだだ!!!」

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「なんで!?立てるにゃ!?」

 

「クロエの毒が回っているはずなのに!?」

 

 

アルフリッグはまだ立ち上がる

 

クロエの毒が回っているはずなのに、それでも無理に立ち上がる。これで終わるわけにはいかないのか、まだ足掻きを見せる

 

 

「これで終わらせない。行かせるものか。あのお方の元には!!」

 

 

「主神のために。毒が回っても戦うつもりか!?」

 

 

「もう汚させはしない!あのお方を穢すわけにはいかない!!!」

 

 

アルフリッグは弟達が持っていた大斧と大剣を握り、まだ戦い続ける

 

アルフリッグ達でも譲れないものがある。

 

かつてある工業都市で働く四人。そこに現れたのは我が姉。そんな姉が彼らの作る物を欲しがった。それを作るのと同時に、アルフリッグたちをも欲しいとも姉上は、昔アルフリッグを雇っていた親方に要求した。しかし条件として一夜を共にすると、その条件を呑むことなる

 

それを終えた時に。アルフリッグ達は自分たちのために美しい女神が汚された事を聞き、今まで雑な扱いをしてきた親方を殺してしまう

 

 

アルフリッグ達にとって、愛を貰った偉大な女神

 

 

自分たちを解放する条件とはいえ、救ってもらった命。その命を姉上のために使うと約束したため

 

彼は兄弟たちの分も含めて一人で戦う

 

 

「は!!!!」

 

 

「く!さっきと違うぞ!?」

 

「毒が回っているのに!?ここまで!?」

 

「他の兄弟達の力まで合わさったような力です!」

 

 

アルフリッグ一人に攻められている

 

毒が回っているにも関わらず、一人でアイシャたちを一人で無双する。さっきの力とは比べものにならない程力を増している。カリスの言う通り他の兄弟の力が、長男に集っているかのような力、姉上の忠義がここまで彼を強くしたのか

 

今のアルフリッグに誰も太刀打ちできない

 

 

「まずいぞ!このままでは!」

 

「一人を相手に倒しきれない!?」

 

 

ここまで兄弟達を倒して、最後のアルフリッグを倒せない。このままジリ貧になってしまう。レベルブーストを切れる前に倒したいが。一人を相手に倒しきれない

 

このままアルフリッグは倒せないのか

 

 

否

 

 

それに立ち向かう者が

 

 

 

「皆さん!下がってください!ここからはリリがやります!!!」

 

 

「っ!?リリ殿!?」

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

 

「っ!?リリルカ・アーデ!?」

 

 

立ち向かうのはリリルカ

 

まだ彼女は戦えるのか。無理して立ちあがろうとする。先ほどアルフリッグの槍の攻撃を受けているのか、頭に血が流れているのか、彼女も負傷しているにも関わらず無理して戦おうとする

 

 

「リリがこの中で一番弱いことは承知です。ですが、それでもリリも戦わないといけないんです!!リリの仲間、リリの英雄のために!!アルフリッグ・ガリバー!!!貴方はリリが倒します!!」

 

 

リリルカとて、アルフリッグにも負けない譲れないものがある

 

今度こそ仲間であり、英雄でもある俺を助けると決めた。自分がこの中で一番弱いことを承知でも。それでも勝とうとしてアルフリッグと言う第一級冒険者に挑む

 

 

「お前に何ができる!今の僕に勝てる方法があるとでも言うのか!!」

 

 

「ありますよ。そのために『これを着ている』んですから」

 

 

「これ?なんだ?」

 

 

リリルカは前線に来ても、体を隠すローブを身に付けている。前線に来てもなぜ全身を隠すようなローブを着ているのか、

 

 

その下に『ある鎧』を身に付けて隠しているからだ

 

 

それを着ていて。アルフリッグを倒すための装備を身に付けている

 

 

 

「見せます。これがリリの鎧です!!!」

 

 

「っ!・・・・・ん?・・・・な!?」

 

 

リリルカはローブを脱ぎ捨てた。

 

その下は鎧を身につけていた。その鎧は『パルゥム』なら誰でも知る鎧にして装備。その鎧をアルフリッグは知っている

 

見たことは初めてのはず、しかし。なぜか『アルフリッグは知っている』。その鎧を

 

 

その鎧は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィンも知っている

 

 

「っ!?」

 

「団長!?」

 

 

ロキ・ファミリアの幹部が集まるロビーにて。神の鏡で中継を見ていたフィンが、リリルカが今装備している鎧を見て、驚き立ち上がった

 

彼がこんなに動揺するなど、見たことがない。それもそうだろう。リリルカの装備している物は。フィンにとって『懐かしいもの』だった。

 

それを見たフィンは

 

 

 

「団長!?どうしたのですか!?『涙』など流して!?」

 

 

「いや・・・・なんだか・・・・懐かしくて・・・・そして『帰ってきてくれた』感じがするんだ」

 

 

リリルカの鎧を見たフィンは

 

 

涙を流した

 

 

まるで失ったものが帰ってきてくれたような感じ。リリルカの装備を知っている。実際に見たことがあるわけでもない。もちろん過去に彼が持っていた物でもない。けどこれを見た彼は

 

 

『彼女が帰ってきた』と涙を流す

 

 

彼女とはなんのことか?それは今フィンに訪ねているフィンですらわからない。しかし、知っているフィンは。おそらくアルフリッグも、実際に見たことはないはずなのに。過去の所有物でもないのに。これを見た二人は『彼女が帰ってきた』と、知らないはずなのに。これを見て感動をしてしまった

 

 

フィンだけではなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを見ている『ゴブニュ』も

 

 

 

「っ!?まさか・・・・・ジーク・フリードが・・・・あれを用意したのか!?」

 

 

『彼は確実に知っている』

 

ゴブニュは懐かしくも感じる。あれから『千年』経っている。なのにも関わらず。リリルカの装備に懐かしさを感じた

 

それと同時にこれは俺が用意した物だと。一発で俺が作った物だと当てた。リリルカの鎧は『彼の分身』にも関わる鎧。その鎧を身につけたリリルカなら、アルフリッグにも勝てるはずだと、ゴブニュは勝利の確信をしている

 

 

果たして

 

 

 

リリルカの装備している鎧とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは

 

 

「『英雄フィアナの鎧』。ジーク様が過去の文献を基に作った。リリのための装備です!!」

 

 

 

千年前に実在した『英雄フィアナ』の鎧

 

俺が先祖の文献を基に。『エランの森』に採れる『勇鉄』と『誓樹』を使って彼女のために錬金術で作った。もちろん本物ではなく、鎧の甲冑だけその通りに作っただけの擬似装備。もちろんこの装備の能力は本物とは別だが。先祖が大昔に彼女に出会っているため。彼女の当時の装備を絵にした文献を見て。俺が擬似再現する

 

リリルカに似合う装備を、姉上の幹部達の攻撃を防ぐだけの頑丈な鎧を用意した。リリルカが戦える装備を

 

もちろん鎧だけでなく

 

 

「リリルカさん!持ってきました!」

 

「グラニ様!ありがとうございます!ジーク様が用意してくれたこの『ルイン』なら!アルフリッグ様を倒せます!!」

 

 

「その・・・・槍は!?」

 

 

リリルカの後ろから、槍を口に咥えて持ってきたグラニが現れる。その槍さえも、かつて英雄フィアナが持っていた槍。それは見た目だけなのだが。その槍は

 

 

 

魔槍ルイン

 

 

 

魔剣と同じスペリオルズ。穂先がずっと炎で燃えている特殊な槍。小さき頃、俺が英雄フィアナの武器を再現しようとして。師匠と作った槍。それをリリルカに渡した

 

もしも彼女自身が戦うしかない時のために、レベルが低い彼女に武器で力をカバーする。

 

魔槍ルインは火炎を吹き出す槍で、持ち主がふさわしくないと柄を掴んだだけで燃えてしまう。しかし、リリルカがそのルインを使うにふさわしくなるように、鎧にルインの呪いを無効化しているため、彼女がフィアナの鎧を身につけていれば、リリルカはルインを使うことができる

 

 

リリルカはそれを持って、グラニの背に跨り

、ルインを持って

 

 

アルフリッグを倒すために、先陣する

 

 

 

「グラニ様!お願いします!」

 

「はい!突っ込みます!!」

 

 

リリルカはグラニの背に乗って、アルフリッグに、燃える槍を穿とうと、真っ直ぐ突っ込む

 

 

「小癪な!!」

 

 

当然アルフリッグは抵抗しようと反撃になる

 

いくら魔剣に近い槍を持ったところで、リリルカのレベルが低いことには変わりはない。両手にある大斧と大剣で斬り払おうとする

 

 

ザシュ!!!ザシュ!!!

 

 

「ぐう!?・・・・・矢!?なに!?」

 

 

「油断しましたね!」

 

「常に私たちは獲物を狙うのですよ!」

 

 

ガラン!!ガラン!!

 

 

「貴様ら!?アルテミス・ファミリアアアアアアアアアア!?」

 

 

アクタとカリスがアルフリッグの両手に矢を三本放って貫かれる。リリルカに目を奪われていた隙にアクタとカリスは常にアルフリッグの狙いを定めていた

 

そしてチャンスだと思える瞬間を狙い。両手にある武器を引き離すために、両腕に三本の矢を放ち、その痛みでアルフリッグの両手から武器が離された

 

 

「くそ!!!」

 

 

「終わりです!!」

 

 

「っ!?」

 

 

武器を落とした直後に、もうリリルカは目の前まで迫っていた

 

両手に三本、計六本の矢を貫かれては抵抗できず、直前まで来られてはもう避ける暇もなく、リリルカの持つルインに

 

 

腹を直撃する

 

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

「はあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

「ぐわああああああああああああああああああああああ!!??」

 

 

ドカン!!!!!

 

 

アルフリッグはリリルカの一撃を喰らった。炎を纏う突撃にアルフリッグはなす術もなく、後方にある瓦礫の壁に吹き飛んで激突し、そのままもう立ち上がることなく、気絶して倒れた

 

 

「はあ・・・・・はあ・・・やりました!!リリの勝ちです!!」

 

「頑張りましたね!リリルカさん!」

 

 

 

『遂に!ブリンガルも派閥連合は倒したあああああああああああああああ!!!』

 

 

 

ベーリング、グレール、ドヴァリン、そして最後の長男であるアルフリッグも倒れた

 

もうアルフリッグは今度ばかりは立ち上がることはなかった。今度こそブリンガル、ガリバー兄弟の敗北は決まった

 

 

勝者:リリルカ・アーデ&グラニ

 

 

リリルカが第一級冒険者を、特殊武装を身につけたにしても、なんとか倒すことに偉業を成し遂げた。ここでブリンガルを落とせたのは幸いだ。本当に良い流れが来ている

 

なぜならこれで残りは

 

 

「あとは、ヒルド・スレイヴとヴァナ・フレイヤだけです!まだ動ける方はどちらかに加勢しに行ってください!」

 

 

「よし!動ける奴はアタシに付いて来い!あのヴァナ・フレイヤが近くに居る!加勢に行くぞ!」

 

「自分は行けます!加勢します!」

 

「自分もまだ行けます!」

 

「矢もまだ残っている。自分も行けます!」

 

「ごめん!私たちはシルの所に行くから!」

 

「あとお願いにゃ!」

 

 

あとはヘディンとアレンだけ

 

ヘディンの方はフィルヴィスが加勢に向かっている、今ここから近いのはアレンの方。そのアレンを倒そうと、アイシャと命、アクタとカリスはまだ動けるらしく、ヴェルフとヘクトル、シルフとアーニャの加勢に向かう

 

クロエとルノアはフレイヤ姉上に用があるため、加勢には行かずに、彼女の元へ

 

 

残されたリリルカと春姫とグラニとナァーザは

 

 

「はあ・・・はあ・・・・」

 

「リリ様!大丈夫ですか!?」

 

「一応命に問題はないのですが・・・・」

 

「これ以上の戦いは・・・はあ・・・リリにはもう無理です」

 

「そうね。私ももう矢はないから、今リリルカを治すくらいしか何もできない」

 

 

リリルカはもう体力の限界だったため、グラニの背の上で休むことに

 

アルフリッグに初めに少しやられている傷もあり、今の一撃でマインドもかなり使った。ルインは持ち主を選ぶが、多少のマインドと魔力を吸うため、リリルカの魔力量とマインドでは使えるにしても一撃だけしか使えなかった

 

ナァーザも矢が無く、もうリリルカの治療をするしかなかったため、彼女はリリルカの治療に当たる

 

 

これで残りはアレンとヘディンのみ

 

 

いよいよウォーゲームも最終戦となる大詰めとなった

 

 

 

 

 

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