そして俺たちはデダインの村まではまだ辿り着いていない。だが。ここである者達
と遭遇した。
「ジーク!」
「っ!フィン!なぜお前達がここに?」
「ジークは・・・・その様子だと・・・・そっちのルートの大型竜巻は倒したんだね?」
「ああ。他の部隊はどうした?ベルやヘルメス・ファミリアが居ないぞ?どういうことだ?」
俺たちB部隊は急いでデダインの村から北辺りの山を超えた付近に着いた。ここはフィン達A部隊が倒すはずだった大型竜巻が出現していた場所。見る限り大型竜巻が消えているのがわかる
だが明らかに人数が少なすぎる。部隊を分けて戦っているのがわかる。肝心の俺の仲間であるベルとヘルメス・ファミリアが居ない
「ジーク!あの超大型竜巻が北西にある村にベル・クラネルがそこで単独で行ってしまった!」
「っ!?」
「ヘルメス・ファミリアや僕らの部隊も救助には向かっている!」
「待て。北西の村って・・・・・まさかデダインの村か?」
「そうだ。最悪なことに・・・・あの超大型竜巻がデダインの村に迫っている」
「ベヒーモスめ・・・・・デダインの村を先に壊す気か。あそこは毒の風を治せる薬草がある。それを先に壊そうと言うのか・・・」
俺は超大型竜巻が突然。デダインの村に向かっているとなると。先に薬草を潰そうとこれ以上毒の風を治す薬草を消そうと動いたと推測する。だが・・・・・そんなことをモンスターであるベヒーモスにそんな知識は無い
だから
あいつがベヒーモスにその指示をしたのだと理解した
「ジーク!!大変だ!」
「わかっているヴェルフ!周辺からモンスターがこっちに迫っている!全員戦闘態勢!フィン!オッタル!」
「なんだい?」
「なんだ?」
「お前達二人にB部隊の指揮を頼む。俺が居なくても頼むぞ!」
「俺が居なくてもって・・・・・まさか!?」
「おいジーク!?お前まさか!?」
「お一人で行くつもりですか!?あのデダインの村まで!?」
「それ以外選択は無い」
ベヒーモスが急激にデダインの村に移動し。周囲にまた敵が居る。もう状況が悪いのは当然。今ここに居る者のみで対象するしかない。そしてこの中で一番先にデダインの村に辿り着けるのは。毒の風も一切通用しない見込みのある俺でなければ
ベルを助けることはできない
なら・・・・・・・俺一人でベルを助けにデダイン村を・・・・・・通り越して
ベヒーモスの所へ向かう
「グラニ!馬車から解除!俺をあそこまで乗せて連れてってくれ!」
『はい!!』
グラニを馬車を引く紐を解除し。俺はグラニの背に乗って。ベヒーモスの元へ向かう
「ジーク!一人では無茶だ!」
「だからと言って見捨てることはできない。ミアハ」
「だからと言ってあなただけじゃあ・・・・それにベヒーモスの毒の風は!」
「知っているヘファイストス。『猛毒の嵐』だろ?もしかしたら俺には通用しないかもしれない」
「え?」
「フィン!お前はオッタルと共に陣形を取れ!俺の心配はするな!」
「ジーク殿!ですがお一人では!」
「お前一人で行くだなんて!」
「命。ヴェルフ。お前達じゃあベヒーモスの猛毒の嵐はなんともできない。俺が先にベヒーモスを叩く。グラニ急げ!!」
『はい!!』
そうして俺はデダインの村へと南に向かった
グラニにスヴェルヘイムを円形サークルではなく。光が体を包む形状のスヴェルヘイムをした、それとミアハとヘファイストスが乗っている馬車にも防御結界を貼る。神がやられても困るため、精霊のグラニでもベヒーモスの猛毒の嵐は効いてしまう。そのためグラニでも重傷を負う
デダインの村に向かえば向かうほど。雲行きは悪く。天が黒く染まっている
その中でも俺はグラニに全速力で黒い嵐の中を俺を乗せて走らせる。俺自身に毒は効かない筈。猛毒であろうと。だから突破できるのは俺のみしか居ない
いや
俺でなければ黒い嵐を晴らすことはできない。
ベルも本当にバカなことをする奴だと思った。英雄になりたいバカなのは知っている。だからと言って本当に全然考えもないまま。救う道を選び。死地に向かうなど。本当に命知らずのバカだと
だが
そんなバカは俺でもあると。
ベルがやったことは正しいと。俺はベルのやった事は間違いじゃないと。だから俺は助けに行く
超大型竜巻
それはベヒーモスが纏った竜巻。それは今の所、北西の方へと移動していた。もちろんデダインの村にもいち早く着いた。そこでヘスティアとリリルカとヘルメスが村のエルフの人々を治療している所を出くわす
「ジーク君!?」
「なに!?ジーク君!?」
「それにグラニ様!?どうしてB部隊のジーク様がここに!?」
「ベルはどうした?お前達がここに居るって事は・・・・ベルは超大型竜巻まで行ったのか?」
「はい!ヘルメス様がいい装備を渡して、ラウル様の部隊と共にベヒーモスの元へ行きました!」
「そうか・・・・お前達はこのままエルフ達を治療したら村の建物に隠れろ!猛毒の風で死ぬぞ!」
「ジーク様は!?」
「俺はこのままベル達の所へ向かう」
「そんな無茶ですよ!?」
「それでも行くしかない。グリフォン!」
『はい!主様!』
「こっちに来い」
『なんですか?』
「もしもの時は・・・・・・プランDに移行しろ」
『え!?ってことは・・・・まさか?』
「ああ。もしかしたらな?とにかく頼むぞ」
『はい!畏まりました!』
そうして俺はグリフォンにもスヴェルヘイムを掛けておく。魔力をかなり入れたから一時間くらいは猛毒の風を受けない
プランDと言う謎の指示をグリフォンに言い渡して、俺はベルの元へ向かう
「頼むぞグリフォン!行くぞグラニ!」
『はい!』
「ああ!?ジーク様!?」
「ジーク君!?」
「ジーク君。いくら君がトールの息子でも・・・・無茶にも程があるぞ」
俺はフィンが言っていたと言う。ラウルの部隊が時間稼ぎのために戦闘に向かったとリリルカに状況報告を聞いた。だがそれだけを聞いて俺はグラニをベヒーモスの元へ走らせる
もちろん超大型竜巻に近づくにつれ、どんどん毒の風の威力は増す一方だ。
だが、それでも俺とグラニは進んだ。進まなければベルやラウルの部隊がやられるのみだと。選択の余地が無いまま俺たちは走った。ヘルメスとリリルカとヘスティアまでも今俺のやることが無謀だと言ってきたが、そんな言葉は俺の心に響かないだから無視した
猛毒の風はあのベヒーモス本体。つまりは黒雲の内側に入ってベヒーモス本体を少しでもダメージを与えない限り。今広がろうとする猛毒の風はこの地方だけでは収まらず。世界にも覆い尽くすだろう
誰かがやらなかれば死ぬ。誰かが止めなければ死ぬだろう
だから俺は走った。グラニを全力で黒竜巻の中を走らせた
『く!物凄い風です!』
「スヴェルヘイムをお前に魔力を注ぐ!お前はただ走り続けろ!」
『はい!主様!』
すると
「ん!?あれ・・・・は!?」
「ジ、ジーク!?」
進んだ先にラウルの部隊とフィルヴィスが草原の上で倒れていた。申し訳ないが助ける事はせずに通過する。助けたとしても猛毒の風が直進にある以上は治してもキリがないと。申し訳ないがラウル達を通り越して置いて行った
ラウル達がここで倒れているとなると・・・・・今頃は
A部隊
「く、くう!!?」
「くそ!!まさしくこの風じゃあ!!」
「ぐは!!・・・・・おのれ・・・・・本当にあの・・・ベヒーモスなのか!」
「そ、そんな・・・・・ここまでだなんて・・・」
フィンやガレスやリヴェリア。アイズまでも・・・・猛毒の風がデダインの村を通り越して広がり。遠くに離れているフィン達A部隊は次々と猛毒に倒れた
B部隊
「く、くう!!」
「く、くそ!!これがあのベヒーモスの・・・・毒の風か!?」
オッタルやアレンでさえも倒れた。例えあの都市最強を誇るフレイヤ・ファミリアの団長ほ副団長でも耐えることはできない。それだけ奴の猛毒は効果は絶大
「く、くう・・・なんて毒だ」
「ううう!!ここまでとは・・」
「ブフ!くそ!」
「ぬ、ぬううう!」
「桜花!・・・うう!」
「桜花殿・・・千草殿・・・」
「にゃ、にゃ・・・」
「く、くそにゃ・・・」
「嘘でしょ・・・・こんな」
「なんて威力・・・・・」
B部隊でさえも全滅なほど。立っていられるものは誰も居なかった。ヘファイストス・ガネーシャ・ミアハ・タケミカヅチ・オグマ・豊饒の女主人の店員でさえも。どのファミリアも立つことが不可能の猛毒にやられた
まさかレベル7であるオッタルも膝を着くなど、目を疑うほどだろう。ベヒーモスの猛毒の風はそれだけ強力だった
もはや誰も抗う術は無い。
デダインの村も・・・・
「う!?これって!?」
「不味い。全員中に入れ!ヘスティア!建物の中に!」
「まさか・・・・これがジーク様が言っていた。ベヒーモスの猛毒の風!?」
「リリちゃん吸うな!!とにかく中に!」
ヘルメスがいち早く俺の指示を思い出して倒れた者たちを建物の中に入れた。建物の中なら猛毒の風は届かない。一時的ではあるが、逃れるならこの方法しかない
吸えば立ち上がることが困難になる体の痺れが全身に響く。下手をすれば呼吸困難にもなる
もはやこの地方は終わったも同然。誰も抗うことのできない毒の嵐がデダインの村東大陸を感染し尽くした
一方その頃
ベルと・・・・・レフィーヤは
「この先にベヒーモスが居ると・・・・グリフォンさんに聞きました!」
「だからと言って・・・・私たちだけで!」
「けどやるしかありません!この嵐の中を動けるのは僕たちだけなんですから!」
ベルとレフィーヤはヘルメスから『ある装備』を貰い。それを装備しているおかげでこの猛毒の嵐の中呼吸しても問題なく進めた。そして動けるならやるべき事は一つのみだった
ベヒーモスに少しでもダメージを与えて。嵐を弱めるしかないと。ヘルメスに無謀な事はするなと言われたが。それ以外この嵐を止める以外の方法をベルは無謀であるが故の考えをしていた
レベル三のベルとレベル三の魔導師であるレフィーヤでベヒーモスで挑もうと言うのは。本人二人も無謀であることも理解しているし。覚悟もしていた
でも
二人はこう考えていた
「そうですね・・・・・もしもこの状況で・・」
「ええ・・・・・もしも・・・・あの人なら・・」
「「ジークさんなら、こうしていたでしょうからね!!」」
と言って、まるで俺の真似事のように、俺がここに居たら絶対にこうしていただろうと無茶なことをしているはずだと。俺のように無謀なことを選んだ
ベルはレフィーヤのことを嫌ってはいない。だがレフィーヤはベルを大いに嫌っている。理由はアイズに近すぎるとかで色々ヤキモチをしてベルに嫉妬したりと嫌っている。そんな彼の言葉など聞かないはずが・・・・・今の状況の悪さだけはそうするべきだと従っていた
それほど今だけは険悪な状態になるわけにもいかず。協力し合ってでもこの嵐を止めることにレフィーヤは最優先した
実は言うとそれだけじゃない
ベルが俺のように強くなろうとしているのを見ていて、自分も負けられないと魔導師でありながら無謀な賭けをしたのだ
1ヶ月前のアポロンの戦争遊戯を見ていたレフィーヤは。ベルが同じレベル三のヒュアキントスを圧倒する姿を見ていた彼女は。彼を嫌うよりも、勝手ながらライバル視するようになった
それほど自分もレベル3だからなのか。どこかベートのように同じレベルでも自分より勝る力を持っていると感じ。自分もベルに負けたくないと、こんな所にまで付いてきて根性を見せる
これから挑む相手は当然自分たちのレベルで圧倒的に敵うはずのない敵だ
だがそれでなんだと、だから諦めろと
だから逃げろとなどと
ベルは英雄という存在になりたいがためにも
レフィーヤはあの村のエルフの子供に約束して必ず守るためにも
二人は決してこの嵐の中。折れることのない意志を輝かせていた
と思っている内に、黒雲の中へと二人は俺より早く進入できた
のだが
『グオオオオオオオオオ!!!!!』
「これが・・・・・」
「ベヒーモス!」
『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
目の前にいる目標の強大モンスター
黒い角が四本。黒い四本足。鋭い爪に鋭い牙。全身黒く牛のような四つん這いで歩く階層主達よりもサイズの大きい巨獣。
嵐を抜けた先に、陸の王者ベヒーモスがもう目の前に居た。
「「っ!?」」
二人は怯えた
これがあのゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアが相手したと言う巨大なモンスターベヒーモス。その巨大なモンスターはベルや三年程冒険者を務めたレフィーヤでも対面した事はない
それだけが理由じゃない。咆哮を聞く前から、どれほど自分たちよりも大きな力を持っていると、思い知らされたのだ
さっきの言葉を撤回したいほどに、足を二人は震わせていた。
子供だからとかそんな理由じゃない。どうあっても力の差がありすぎると目の前に立つだけで、その圧倒的な力に恐れを成した
でも
「ファイア・ボルト!!」
「っ!?」
『グウウウウ!!』
効いている様子は全然無いが、ベルが先にベヒーモスに攻撃を仕掛けた。怖い想いは凄いしている。それでもここに自分からレフィーヤに率先して来たからにはそれなりの偉業を見せた
覚悟はしていたんだと。恐れてもいいからと立ち塞がる
もう頭で考えるのはやめた。考えたところで解決しないと。考える前にベルは動いたのだ
「レフィーヤさん戦って!ダメージを少しでも!!」
「あ、あなたに言われなくても!!」
そうしてレフィーヤも負けずに並行詠唱で『ヒュゼレイド・ファラリカ』や『アルクス・レイ』などを最速に展開を開始した
レフィーヤの魔法でさえも、効いている様子はまったく無い。それでも諦めなかった。隣に居るベル・クラネルに負けたくないからでは無い
あの村の同胞のエルフの子供のためにも。あの村を守ると約束したからだ。
諦めない、諦めきれない、
二人は全開に魔法を繰り出した
だが
『ガアアアアアア!!!』
「っ!?ぐああああああああああ!!」
「きゃああああああああああああ!!」
もうそんな小さな攻撃の魔法に飽きたのか。ベヒーモスが反撃した。黒い嵐の突風が二人を襲った。その攻撃により毒の風を影響を受けない新装備が二人両方共灰になった
その装備が失ったため、猛毒の嵐の風をまともに直撃をくらい。二人もまた
その場で毒に汚染され倒れてしまう
「う・・・・うう」
「こ・・・ここ・・まで・・だなんて・・・」
完全に二人は打つ手を無くした。もうマインドダウンになっても魔法を打ち続けても。奴には届かないと諦めていた。
さっきまでの覚悟が嘘になってしまった。悔しい思いはしている。
だが抗う力は尽きた。先ほどの魔法攻撃は一切ほとんど効いてない。あれだけ魔法を打ち込んでもビクともしない。そして猛毒の嵐で体がダウンしている
ここまで来といて。立ち上がれないなど。二人は屈辱以上の悔しみを心に刻まれた
そしてこの無謀な賭けを言い出したベルは・・・
(こ・・・こんなところで・・・・・・終わるなんて・・・・・でも・・・・体が・・・・・・アイズさん・・・・命さん・・・・ヴェルフ・・・・リリ・・・神様・・・)
と、みんなの名前を呟いて意思だけはまだ曲げてはいなかった
それに賛成し、ここまで共に来たレフィーヤは・・・
(ここで・・・・・終わるなんて・・・・・・でも・・・・・他にどうしたら・・・・・・アイズさん・・・・ティオナさん・・・ティオネさん・・・ベートさん・・・・)
と二人は体が倒れていても仲間の名前を呟きながらまだ抗う心はあった。でも本当にこれ以上のダメージを与える方法を無くしている。ベルはここに来る前にデダインの村で言われたヘルメスの言う通り
無謀だったのかもしれないと、ヘルメスの言う力の差の現実を思い知った。レフィーヤもここに来る前はフィルヴィスに言われた。お前一人ではどうしようもできないと。一人では何もできない事くらいわかっていたはずなのに。でも・・・・やはり自分一人では何もできないと自分の弱さを知った
それでも諦めきれない
その理由は
((ジークさん!!))
俺のある言葉を胸に信じていたからだ
それは
『例え相手がどれだけ大きな敵に出くわし敗北になろうとしても、絶対に諦めるな。一人でも諦めるようなことがあれば、誰か一人がどれだけ強くても敗北する。だから何があっても諦めるな。自分の全てを出し切ってでも・・・・全部を振り絞って最後まで戦うんだ。お前たちがベヒーモスに唯一勝てるものはその諦めない意志だ。その意志がベヒーモスを倒す鍵となる!諦めずにベヒーモスに挑み続けるんだ。お前たちに・・・・・ベヒーモスを倒す幸運を祈る!』
とオラリオの門の前で集まって皆の前で言った俺の言葉を思い出していた。何がなんでも諦めないと言う言葉がベヒーモスに怖がらず勇気を出して戦える必勝法
だから二人は
『グウ!』
「諦め・・・る・・・ものか」
「諦めたく・・・・あり・・ません」
ベルは英雄になりたいから諦めない
レフィーヤはロキ・ファミリアの勇敢な魔導師として諦めない
だから二人は猛毒の嵐を浴びても立ち上がる
「「諦めるものかあああああああああああああ!!」」
『グウ!?』
その諦めない意志に二人は立ち上がり、すぐさまベルとレフィーヤは攻撃を続ける
「レフィーヤさん!僕があなたを守ります!」
「はい!私が詠唱します!」
「行くぞ!ベヒーモスウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
『ガアアアアアアアアアアア!!』
ベルはヘスティアナイフ一本ですぐさま走り出した。その間にレフィーヤはすぐにリヴェリアから教わった『あの魔法』を発動しようと詠唱に急ぐ、突然二人が無理に立ち上がったことに驚く事はあるが、それでも敵には変わりないと。ベルを足で踏み潰そうとするベヒーモス
「ふ!ぬん!うおおおお!!」
『ぐ!?』
だがベルは猛毒で体が冒されているにも関わらず。いつも変わらない素早い動きを見せた。足はもうボロボロになっていると言うのに、腕だって上がる気力は尽きているはずなのに、この猛毒の風の中。ただ・・・・ただ
このモンスター だけの眼を潰す事以外考えていなかった
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!はあ!!」
大きくジャンプし。ベルはベヒーモスの眼玉に向けてヘスティアナイフを刺した
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?』
ベヒーモスは眼にナイフを刺された事で重傷の痛みをするのか。頭を振って痛みを和らげようとする。その痛みにベヒーモスは猛毒の嵐をコントロールできず、黒雲がどんどん薄れていく。あともう一発何か大きなダメージを与えれば完全にこの黒雲をなんとか消すことができると、ベルは着地してレフィーヤを盾になりながら考えた
すると
「なら!僕もアレで!!」
ベルは切り札の魔法である『英雄願望』のスキルを発動させた。あの巨大な一撃なら今度こそ今空にある黒雲を消せると思い。右手に白い光を発光させる
その発光から
ゴン!ゴン!!ゴン!!!
と、大鐘がこの地方に鳴り響いた
それに初めに気づいたのは
「っ!」
『主様!?これは!?』
「ああ・・・・・・・ベルだ!!この先に居る!!急ぐぞ!!」
俺は真っ先に気づいた。やはりもうこの先でベルとレフィーヤが必死にベヒーモスを喰い止めようと二人だけで戦っていることに気づいた。俺は早くあの二人に加勢を急がなくてはならないと、グラニを更に急がせる
でもあの二人が戦っているおかげ少しずつ。この地方にある国運が薄れて来ている
この鐘はその合図の音だと俺は理解した
そしてその鐘の音は・・・・・・何キロと言う遠く離れているA部隊やB部隊が戦闘している草原にも届いた
「これは!?」
「鐘の音!?」
「これは・・・・どこから!?」
「まさか・・・この音って・・・」
「ああ!あいつしか居ねえ!」
「ええ!これはまさしく!」
と、フィンやリヴェリアやガレスは初めて聞く音だが。アイズとヴェルフと命は知っている。この音は誰が響かせているのか。
そしてこれは勝機のある歌だと
「まさかクラネルさんとジークさんが・・・・く!!」
「リュー!?どこ行くの!?」
「まさか追いかける気にゃ!?」
「だったらミャーたちも行くにゃ!」
リューはこの音を聞いて、この嵐に少し収まるのを感じて。走って動けるだけの気力を取り戻して。急いでベヒーモスの居る現場に走った
もちろんその後にルノアとクロエとアーニャが追いかけた
その音が近いと思われるラウルの部隊では・・・・
「この鐘は・・・・」
「まさか・・・レフィーヤなのか!?」
ラウルとフィルヴィスがその音に気づいた。あの二人だけで本当に今ベヒーモスを相手に食い止めているとなると、
ラウルは無理に立ち上がって・・・・今から追いかけようとしていた
「ぐ!・・・」
「お、おい!どこへ行く気だラウル・ノールド!」
「決まっているっす!今から助けに行くんっすよ!このまま倒れたままでいいっすか!フィルヴィスさん!」
「く!・・・・バカな奴だと思うが・・・・私も賛成だ!」
フィルヴィスもラウルのやることにバカだとは思ったが、でもこんなところで倒れたまま友人を見捨てる訳にはいかないと必死に体を動かして立ち上がった
でも猛毒のかぜを直に当たっているため、かなりヨロヨロで動いていた。それはラウル同様だった。それでも盾を持ってレフィーヤの所へ無理に向かおうとしていた
そこへ
「へ!雑魚の癖に粋がるじゃねえか!」
「ベートさん!?」
「ヴァナルガンド!?っ!?お前たちは!?」
「私たちも一緒に行くよ!」
「一緒に行けばジークの所まで行けるわよ!」
「ティオネさん!?ティオナさん!?」
「お前たちがなぜここに!」
「ヘスティア様からジークが向かったって聞いてね!」
「急いで私たちもここまで来たの!」
「ジークだけにやらせるわけにはいかねえからな!」
「背負って行けば辿り着くよ!」
「たく・・・・私は同胞以外の接触は断ると言うのに・・・・だは今は・・・感謝する!」
ベートとティオネとティオナは別の部隊で村近くの森でモンスターの排除をしていたのだが、俺が一人でベヒーモスの所まで走ったとヘスティアから聞いて、ここまで自力で走って来たらしい
だが三人も猛毒の嵐を食らっているため、全力は出す事はできないが、ベルが少しベヒーモスにダメージを入れたことで少し猛毒が弱まっている。その今の内にフィルヴィスとラウルを背負って一緒に向かうのだが
それでも苦しい
だが
『やはりここでしたか!』
「ん!?テメエ!?なんでここに居やがる!?」
「どうして・・・・・あなたがここに!?」
「なんすかこれ!?モンスターすか!?」
「嘘!?なんで!?」
「どうして・・・・天空の精霊グリフォン様が!?」
突然後ろから緑色の魔法陣のサークルで囲まれ馬車を引いたグリフォンが現れた。俺の指示した『プランD』と言うのは、新しい加勢を連れてくると言う指示だった
俺は『あのバカ三人』が必ず俺の跡を追ってベヒーモスの所まで来るだろうと、グリフォンに指示をしていたのだ。どうせあのバカ三人のことだから俺が一人でベヒーモスの所へ向かったって言ったら必ず追いかけるだろうと想定し
ここまで来たグリフォンは俺の伝言を言い渡す
『主様の伝言です。『ティオネ。ティオナ。ベート。俺の所まで来るならグリフォンの馬車に乗れ。中に赤い箱がある。その中に猛毒を直す『ハイエリクー』が入っている。それを飲んで俺の加勢を手伝え』だそうです』
「は!ジークの癖に生意気こきやがって!」
「でも助かるよ!」
「ええ!今はグッとタイミングよ!」
『さあ!中に入ってください!このサークルの中なら毒の風は効きません!』
「モンスターみたいな精霊っすけど・・助かるっす!」
「感謝しますグリフォン様!」
「さあ早く!この中へ!」
「な!?お前らは!?」
「確か・・・・豊饒の女主人の店員の!?」
「今は説明は後です!とにかくこの中に!」
もう馬車に乗っている先客が居た。それはリューだった。クロエやルノアやアーニャも居る。四人もあの村に限界ありながらもたどり着いたのだ。それでハイエリクサーを飲んでグリフォンの馬車に乗せて貰いここまで来ていた
「早くこれを!」
「我らの同胞の者よ。助かる」
「ふう!生き返るっす!」
「ジークの癖に聞いたことのない回復薬を持ちやがって!」
「別にいいじゃん!そんなこと!」
「そうよ!ジークのおかげで全回復してレフィーヤのところまで行けるんだから!」
ゴン!ゴン!!ゴン!!!
「これは!?」
「なんだこの音は!?」
「もしかして・・・・アルゴノオト君!?」
『はい。ベル様が先にベヒーモスと戦っています!』
「クラネルさん。ジークさんも先に向かいました!我々もお願いしますグリフォン様!」
『はい!行きますよ!』
そうしてベヒーモスを喰い止めるのを加勢するベートたちはグリフォンの馬車に入り。一気にベヒーモスの方へ
デダインの村でも、ベルの鐘が鳴っていた
「ジーク様・・ベル様・・・・」
「ジーク君・・・ベル君・・」
「勝利を願おう。二人のために!!」
「「うん!!」」
デダインの村に待つヘスティアとリリはヘルメスの言う通り、勝利を願う事しかできない。それしか今は何もしてあげられないと、たが願うのみだった
でも
負けないと信じているから不安じゃない。心配ではない。
リリルカとヘスティアは何もできない自分でもこんな状況になっても心は折れない。
今この大鐘がこの先ベヒーモスを倒す方法を見つける鍵となった。そしてこの鐘の音が勝機を見せる合図である
ヘスティア・・・・リリルカ・・・・ヴェルフ・・・・命・・・・アイズ
そして俺などを、オラリオに集まる人々を思い出し。その者たちを絶対に守ると。十四の少年が黒い巨獣に抗う
いろんな想いをこの光に集めてベルはベヒーモスに立ち向かう。眼の痛みで苦しがって頭を振るくらいしかできない今のベヒーモスは攻撃できない
その間にベルは
チャージを完了した
「私たちは・・・・必ず」
レフィーヤもベルと同じ意思を持っていた
彼女も怯えてなどいられない。詠唱を無理にでも続けた。こんな時だからこそ自分は役立って見せると、相手があのベヒーモスでも負けたくない意思を見せた。
フィン・・・・リヴェリア・・・ガレス・・・ベート・・・ラウル・・・・ティオネ・・・ティオナ・・・・・アイズ・・・・・・そして俺と
彼女はロキ・ファミリアの団員を思い出して意思を折れずに詠唱を続けた
放つは師であるリヴェリアの究極魔法。かつて炎の巨人の剣と呼ばれた。炎の柱を放つ準備を
ベルがチャージを完了すると同時に終える
そして
「ベル・クラネル!!」
「レフィーヤさん!!」
その二人が全力全開の全身全霊の全てを出し切る
手と杖を合わせて放った
「ファイア・ボルト!!!」
「レア・ラーヴァテイン!!!」
二つの魔法が合わさり。赤い炎が・・・・白い炎と変わり
複数の白い炎の柱がベヒーモスが焼き尽くす
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??』
「「行けええええええええええええええええ!!!」」
更に魔力を送ることで白い炎の柱がどんどん地面から噴き出す。マインドダウンを覚悟して二人は全てを出し切る
その攻撃が・・・・・黒雲を更に弱めた
「はあ・・・はあ・・・・ぐあ!」
「はあ・・・はあ・・・・うう!」
二人は力を出し切って倒れてしまった。もうこれ以上は出せなかった。目の前はレア・ラーヴァテインの燃やした煙により。ベヒーモスの姿は見えない
だが猛毒の嵐が完全に消えた
二人がここまで頑張ってこれたのだ。これでこの地方は猛毒の嵐は消えていく空を見て、二人は安心した
だが現実は残酷だった
『ガアアアアアアアアアアア!!!』
「は!?」
「そんな!?」
無傷ではない。多少体にダメージは入っている。だが殺す事はできなかった。そのつもりではないと覚悟していた。ダメージを与えて猛毒の嵐を消す事
その目的のために二人だけで来たと理解している
でもまさかそれでも怯まないとベヒーモスは体に少し火傷があってもまだ生きていた
どうやら先ほどの攻撃の仕返ししようと。反撃をするようだ
もうマインドダウン寸前だと言うのに
ベルは
「まだ・・・・まだ・・・・まだだあああああああああ!!!」
「ベル・・クラネル!?・・・ん!!私もおおおおおお!!!」
ベルはまだ諦めない。このまま無理に体を動かしてヘスティアナイフを無理に握って立った。レフィーヤもそれに連れて負けられないと無理に立ち上がる
ここまで来たなら無謀な柄でも立ち向かうと、もうこれ以上は追撃する手段はなくても
諦めないとまだ立ち上がる
なんとしてでもこいつを武器を握って前に出し。二人は無謀ながらでもベヒーモスに立ち向かう
「山よ浮き上がれ〜♫氷は結晶のように凍てつけ〜♪炎は溶岩となりて全てを燃やせ〜♩」
「「っ!?」」
突然二人の後ろの方から魔法の発動の歌が聞こえた
地面から山のような岩が噴き出し。ベヒーモスの動きを封じるように山がベヒーモスを包んだ。その次は空から強烈な吹雪が吹き出しベルとレフィーヤの後ろを通りこして山ごとベヒーモスは全体的に凍り始める
そして最後に空からベルとレフィーヤの前に溶岩が流れ込んでくみ。身動きが取れなかったベヒーモスを凍らせた後に一気に燃やし尽くす
この三連続の魔術。それができるのは一人
『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!?』
「この魔法は・・・・一体!?」
「この歌は・・・・もしかしなくてもあの人ですよ!」
レフィーヤはこの魔法は知らないが、ベルは知っている。そしてこんな連続三回も一気に発動できる魔導師は世界には居ない。居るのはベルの知る限り一人のみ
その者は
「待たせたな、ベル!レフィーヤ!」
「ジークさん!?」
「やっぱりこの魔法はジークさんでしたんですね!」
『遅れてしまい申し訳ありません!』
「お前たちだけでベヒーモスに傷を負わせて嵐を弱くしようと二人だけで向かったと、フィンから聞いて俺とグラニだけでここまで来た」
遅くなってしまったが、二人は無事だった。『詠唱凱歌』と呼ばれるスキルを使って俺はベヒーモスに魔術を三回連続で攻撃した。『ヨトゥンヘイム』『ニブルヘイム』『ムスペルヘイム』と順に俺は発動してベヒーモスの動きを止めた。俺がなんとか魔術で止めたとは言え。二人も流石にボロボロだったため、もう流石に二人は動くにしては限界だと理解している
だからこの先は俺一人でベヒーモスに挑む
三連続の魔術砲撃を打っても、レベル五の俺ではまだ届かない。だから今度は魔剣で挑むしかないと、『魔剣グラム』と『魔剣フロッティ』で挑む
「ベル。無謀ではあるがよく頑張った。後は俺がやる。お前たちは下がれ」
「そ、そんな!ジークさん一人だけでは!」
「私たちもまだやれます!」
「お前たちは本当によく頑張った。もう充分だ。それに・・・・・・・・俺は一人で挑むわけではない」
「「え?」」
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「な!?」
「ジークさんの魔法でもビクともしないなんて!?」
「まあ当然だな。相手はベヒーモスだ。この程度の魔術で怯むものか」
山で地面の足場は悪く。氷漬けしたとしても炎で体を焼かしたとしても、あの階層主を越えるベヒーモスがこの程度の攻撃如きくらいで怯まないと理解はしている
だが攻撃が効いているのは事実だった。少し動きが若干鈍さがある
つまり攻撃をすれば動きに鈍さはあると、理解した
だから『あいつら』が今ちょうど来てくれたことに俺は感謝はしていた
「ルミノス・ウインド!!!」
「ディオ・テュルソス!!!」
「オラアアアア!!」
「うりゃあああ!!」
「「っ!?」」
『グオオオオオオオオオ!!??』
突然後ろから風や光線が飛んできた。その後に、白い人とデカイ武器を持った人がベヒーモスの顔を傷つけた
そこに現れた者と後ろから現れた者が来た
「来たか。遅かったな。リュー。ベート。ティオナ。フィルヴィス」
『遅くなりました主様!プランD遂行致しました!』
「ジーク!」
「待たせたにゃ!」
「ミャーたちが来たから安心にゃ!」
「ルノア。クロエ。アーニャ。ここまで無理に来たのか?」
「ジーク!レフィーヤ!無事っすか!」
「ジーク!レフィーヤ!歌え!」
「フィ、フィルヴィスさん!?ラウルさん!?」
「ジーク!まさかあんたがここまで辿り着けるようにしたなんて!おかげでここまで来れたわ!」
「どうやら今ベヒーモスに立ち向かうだけのメンツは揃ったようだな」
「ジーク!これがベヒーモスなの!?」
「俺も初めて見るが、これがあのベヒーモスとしか言いようが無いだろう。亜種ではあるが」
リューやルノアやアーニャやクロエと言った豊饒の女主人店員までもが来てくれるとは思っていなかったが、それでも俺は大いに越したことは無いと、この加勢には本当に礼を言うべきほどの値する状況だった
ベート、ティオナ、ティオネ、ラウル、フィルヴィスと、グリフォンは馬車でちゃんと『プランD』と言う加勢を連れてくる作戦は上手く行ったようだ。ここまで来る道に居たモンスターも俺が全て排除し、馬車の中には大量の『ハイエリクサー』を入れてある。それで猛毒の嵐でも解毒することはできる
ここまで突破できる準備を俺は事前に用意しておいたのだ
おかげでこの加勢を合わせてベヒーモスをより追い詰めることがより可能になった
殺すことは不可能だが、この後の決戦が楽になる
「よし!ここでベヒーモスを追い詰めるぞ!」
「ジーク!?それ正気にゃ!?」
「ここで追い詰めれば!この後の決戦が楽になる!今ここでこいつを追い詰めるぞ!」
「へ!またジークが俺に命令しやがって・・・・・だが上等だ!!」
「わかったわ!ベヒーモスと戦うことなんて滅多に無いことだしね!」
「うん!みんなでやろう!」
「OK!じゃあみんなでやろうか!」
「わかったにゃ!」
「ここまで来たならやるにゃ!」
「ええ!やりましょう!」
「自分ができるとは思えないっすけど・・・・・・わかったっす!」
「ああ!ここで追い詰める!」
「す、すごい・・・・」
「ジークさんの言葉に・・・・みんなが付いて行っている!?」
今度は俺たちがベヒーモスを追い詰める番だど、俺たちは猛毒の嵐が薄れてきている今がチャンスだと、ここで追い詰めてこの後の決戦で楽にすると
ベルとレフィーヤの前に俺たちは立った
「行くぞ!!追い詰めてもう二度と猛毒の嵐を出させるな!!」
「「「「「おう!!」」」」
『グオオオオオオオオオ!!!!!』
俺たちは一斉に立ち向かおうと武器を握り締め。今度は俺たちがベヒーモスが追い詰めようと走った
だが
『カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
『グ!?』
「っ!?」
「え!?なに!?」
「ベヒーモスが動きを止めた!?」
「ジークさん!このカラスの声は!?」
「ああ。さっきと同じの声だ」
突然ベヒーモスの後ろの方から、あの西の山の頂上で大型竜巻と戦っている最中に鳴いたカラスの声と同じだった
そのカラスの鳴き声により、ベヒーモスは動きを止めて後ろの方を向いた。その声を聞いたベヒーモスは何かを焦るようにして動きを止めてカラスの声に耳を傾けた。
そして次の瞬間
『ガアアアアアア!!』
「なに!」
「え!?逃げた!?」
「ど、どうして!?」
突然ベヒーモスはそのカラスの声がする方に後ろを向いて走り出した。逃げたとは言い難いが、明らかにそのカラスの言うことを聞いていたとしか思えない行動だった
「ち!どこ行きやがる!」
「よせ!追うなベート!」
「あ!?なんでだジーク!!」
「なぜ奴がここから離れるのかはわからないが、少なくとも尻尾を撒いて逃げたわけじゃない。でもチャンスだ。今は俺たちに猶予ができた。デダインの村に戻るぞ?それに初めも言ったはずだぞ?決戦はデダインの村で合流し、準備を整えてからベヒーモスを殺すと、ここで猛毒を出せないようにしたかったが、やむを得ない。村に向かうぞ」
「ち!わかったよ!」
「けど・・・・どうしてベヒーモスがここから離れるなど・・・」
「それは俺でもわからんフィルヴィス。だが都合が良い。おかげで猛毒の嵐は止んだ。見てみろ空を?」
「ん!これは・・・」
ベヒーモスがここを離れてくれたおかげで、もう空を見上げると、光が照らされた。嵐の雲が消えた。嵐は完全に止み。いつもと変わらない地上の空
青い空へと天候が晴れた
ひとまず、ベヒーモスを倒す準備ができるようにと、これでデダインの村に安心して合流できると、今ベヒーモスが逃げたのは俺たちに倒す猶予をくれたと思って。俺たちは追いかけなかった
「やっ・・た」
「はい・・・・やり・・まし・・た」
「っ!」
「クラネルさん!」
「レフィーヤ!」
目の前にベヒーモスが消えたと安心したのか。ベルとレフィーヤは倒れそうになった所を俺は二人を抱き止めた
「二人ともよくやった。今回お前たちの働きのおかげで猛毒の嵐をこの地方から消したんだ。これは間違いなくお前たち二人の手柄だ」
「そう・・ですか・・・それは・・・嬉しいです」
「ええ・・・・・みんなが・・救われて・・よかった・・ぬう」
「クラネルさん!」
「レフィーヤ!」
「大丈夫だ。気絶しているだけだ。魔法を使い過ぎてマインドダウンしただけだ。体に問題はない」
「よかった・・・」
「ち。ノロマの癖に・・・」
「ラウル。ハイエリクサーはまだ残っているか?」
「はいっす!まだあります!」
「よし。全員撤退だ!デダインの村まで撤退する!馬車の中でベルとレフィーヤを治療しながらデダインの村に戻るぞ!」
そうして一件落着・・・・・と言ったところになるのか、ひとまずベヒーモスを少しほどではあるが追い詰めて、黒い砂漠の方へと走り去った。
なぜ奴が突然自分の住処でもある場所に戻っていくなんて、モンスターからすればおかしい話だが
俺たちに奴を殺す猶予ができるのは好都合だと、今はチャンスだと思ってデダインの村に戻った
そこで大いに準備しなくてはならない。これで全員理解したはず。あのベヒーモスが復活した事実。そしてその能力の恐ろしさを。これで体が身に染みたはずだと
本当にこれから奴を叩き潰すための準備をデダインの村で各自行うこととなった