その日の夜
猛毒の嵐により自然災害は多く出ているも、空はいつもと変わらない。星空が見える夜空。猛毒の嵐が去った後。こんなに綺麗な夜空の下で俺たちはデダインの村付近で臨時テントを張った
そこで治療に必要な薬草などをデダインの村の村長に頼んで付近にある森で採取を頼み。まだ動けるティオネやティオナやベートと数人の村のエルフに頼んだ
そしてヘファイストス・ゴブニュの両ファミリアは壊れた冒険者の鎧や武器を調整もしくは修理をしていた
そしてミアハ・ディアンケヒトのファミリアで治療を重傷者と毒に冒された者たちを治療をしていた
死者は奇跡なことに誰も居ない。作戦が上手く行ったか、もしくはあの猛毒の嵐に襲われてもそれなりに耐久性があるのか、レベル1な冒険者でも軽傷者だけで済んだ
これからの決戦は更に厳しくなる。だから今だけは休ませるようにと、俺はひとまず全員には今夜はゆっくりさせるべきだと判断している
だがフィンとオッタルを本部に集めて今回の討伐成果を報告し合う
「以上だ。他に俺たちの部隊からは報告は無し。それと・・・俺以外にも今回の事件の原因のモンスターをベート達も目撃している」
「てことは本当にベヒーモスなんだね?ジーク」
「ああ。初めて見るが・・・・迫力があるとは思っている。フィン」
「よくここまでお前は追い詰めてベヒーモスをこの地方から離すことができたな。猛毒の嵐を消したのは見事だと俺は思っている」
「それなら俺じゃなく、ベルとレフィーヤに言え。オッタル。今回の件はあいつらのおかげだ。あいつらが先に抑えてなければ被害は更に拡大した。」
「ほう・・・あのリトル・ルーキーとサウザンド・エルフか」
「まさかレフィーヤが・・・・・こんな無茶なことをするなんてね・・それで二人の容体は?」
「体は重傷では無いが。マインドダウンで今は寝ている。その内起きるから心配するな」
フィンに猛毒を嵐を消した功績を得た二人に見事と、あの二人に大きな評価をした。今は二人は寝ているから何も言えないが、起きたら感謝を言わなければならないと、二人の功績を大きくこれからの戦いに良い繋がりが出ると判断している
「フィン。報告を以上だが、他に何か聞きたいことはあるか?」
「特には無いけど・・・・・どうかした?」
「俺も疲れた・・・少し休ませて欲しい」
「わかった。君も今回一人であそこまで行って二人を助けたんだ。疲れるのは当然だね。うん。あとは僕に任せて」
「すまない。後は頼む」
「・・・・・」
そうして俺はもう今回の戦闘で少し疲れたと、今から休もうとフィンやオッタルの居る。総合本部のテントを出るのだが
その際にオッタルは俺が疲れたから休みたいとテントを早めに出る行動に何か怪しいとオッタルは疑いの眼をしていた
でもその疑いはまさしくその通りで、俺はフィンに嘘を付いていた
流石はレベル7なのか、俺の行動を見ただけで嘘だとオッタルは感じているらしい。確かに俺はフィンに嘘をついてまで俺はある者たちを連れてある場所に行かなくてはならないからだ。
その連れていく者たちは・・・
「ヘスティア。ミアハ。ベルの様子はどうだ?」
「あ、ジーク君!」
「マインドダウンでまだ気絶したままだ。怪我をしていたからとりあえず治療を済ませた」
「そうか。すまないミアハ」
そうしてたどり着いた先は、ベルが寝込んでいるヘスティア・ファミリアのテントだ。一応いくら全ファミリアを出しているとは言え。テントだけは別々同士のファミリアにしてある
それで俺は自分のテントに帰り、ベルが休んでいる様子を見に来た。まだ意識は戻らず、眼を覚まさず
「ジーク殿・・・」
「報告は済んだのですか?ジーク様?」
「ヴェルフは・・・・ヘファイストスの手伝いか」
「はい。ヴェルフ様はヘファイストス様の頼みで・・・今は武器と鎧の調整と修理を手伝いに行っています」
「そうか・・・・だがヘスティアとミアハがここに居るのは好都合だ。リリルカ。命。すまないがこのままベルの様子を見てくれないか?」
「え、ええ」
「は、はい」
「ヘスティア。ミアハ。今からすまないが俺と共に来てくれないか?」
「え?」
「私たちと共にか?」
「ああ。君たちに話がしたい。二人にしか報告できないことだ。共に来てくれないか?」
「う、うん」
「わかった」
俺はヘスティアとミアハをヘスティアとミアハを連れ出した。二人に悪い・・・・・・報告をするために、命とリリルカにベルの様子を任せて、俺はヘスティアとミアハを連れ出してテントを出る
「ん?」
「・・・・」
「・・・・・」
途中ディアンケヒトに見られるが無視をして、
臨時テントを開かれているこの本部を抜け出して、東の方にある森に話をするため二人を連れ出した
「どこまで歩くんだい?」
「もう我々のアジトから少し離れているぞ」
「もう少しだ。もう少し頼む・・・・・着いた。ここだ」
俺が二人を連れて歩いている先はアジトから離れた月光に照らされる枯れ木のある森だった。地面に落ち葉しか無い枯れた木のこんな森に、なぜ俺に連れて来られたのか二人は疑問抱きつつも
俺はそこで止まった。それに連れて二人も止まった
ここで止まると言うことはここで話をするのだと、二人は俺に声を掛けた
「それでなんだい?僕とミアハを呼び出したりして?」
「なぜ私やヘスティアを人気の無いこの森に?」
「君たちに悪い報告と・・・・今から会ってもらいたい人物が居る」
「僕たちに?」
「ああ。もう少しで・・・・・っ!来たか!」
そうして俺がここへ辿り着いた瞬間、上から一羽のカラスが降りてきた。そして目の前にある枯れた木に着地した
「カラス?」
「ああ。こいつがお前たちに会わせたい人物だ」
「え?このカラスがか?」
そう、このカラスこそが・・・・・・・この事件の元凶
間違いなくこいつがあのカラスの鳴き声の主。こいつがベヒーモスを指示して俺の目の前から去るようにしたのも、東ルートの大型竜巻の討伐の時に集中的に狙うように指示したのもこいつ
俺はそのやり方をするそいつを知っていた。カラスになってモンスターや人に指示して戦争を起こす人物
そう・・・・・・・こいつの名は
「九年ぶりだな・・・・・・モリガン」
「「モリガン!?」」
そいつの名前はモリガン
かつて俺の故郷のファミリアの一部でもあった主神。
殺戮の女神モリガンだった
「ふふふふふふふふ。ふはははははははは!!!そうね!久しぶりねジーク!!」
モリガンと呼ばれた瞬間、カラスから人の声がし、体から煙をまとい。そこからカラスの羽でできたドレスを纏い。黒いハイヒールを履いた。黒い長髪をした女性が現れた
やはりモリガンだったと、俺は認めたくはなかったが、俺はこいつと会うなんて心底否定をしていた
会いたくなかった。こいつだけは
心が薄れている俺でさえも否定する神。アポロンを憎むように俺はこいつが嫌いだった。
「モリガン!?どうしてカラスに!?」
「そうか・・・モリガン。君は確かにカラスに変身できたのだな。神の力とは別で・・」
「久しぶりねミアハ。ヘスティア。七百年ぶりってとこかしら?まさかジークがヘスティアの眷属になったことは驚いたわ。本当に・・・・どし難い程にね」
「モリガン!どうしてここに!?」
「決まっているでしょ!私の復讐よ!」
「復讐!?なんの!?」
「ジークはねえ。昔私の告白を断ったのよこの子!私がこんなに愛していると言うのに!ジークは受け入れなかった!しつこく私が口説こうしたら私は『あの島』にフレイとトールに追放された!なんでよ!なんで私の愛を理解してくれないのよジーク!!!」
「その時はまだ俺は10歳だ。お前の愛など受け取れるものか。まさか・・・・そのためだけにこの戦争を引き起こしたのか?」
「そうよ!!私は殺戮の女神よ!!戦争を起こして当然よ!私は以前あの黒い砂漠でベヒーモスの心臓を見つけたのよ!それで私のペットでもあったカラスに食わせてベヒーモスにしたのよ!」
「ジーク君!これどういうこと!?」
「簡単な話だヘスティア。モリガンは以前あの三大冒険者依頼で戦ったベヒーモスを討伐した地。『黒い砂漠』にてドロップアイテムである『ベヒーモスの心臓』を見つけた。それでかつて九年前結婚を断った俺がオラリオでまた冒険者をやっているのをどこかで聞きつけたのか、もしくはカラスになって俺を見かけたのだろう。それで俺に逆恨みで復讐しようとペットでもあったカラスにベヒーモスの心臓を食わせてベヒーモスと化し。そいつに指示をしてオラリオを攻撃するように仕向けた。つまり・・・・・今回の事件はこいつが元凶だと言うことだ」
「そ、そんな・・・・」
「その通りよジーク。やはりあなたは賢いわね。あの力任せのトールの息子とは思えない」
「黙れ。お前が俺のおふくろを馬鹿にするな」
こいつは神威を悟られないからオラリオに簡単に入れる上にただのカラスだと勘違いされる。だからいつでもオラリオに侵入することができる。
一体どこで俺がオラリオの冒険者をやっているのを知っているのかは知らないが、こいつ自身の嫉妬で世界をめちゃくちゃにしているのが俺にとって気に食わない
俺に復讐すると言うことは
言うなれば俺のせいであるからだ
また俺の関わることで今度は世界がめちゃくちゃになるなど。最悪な程だったからだ。面倒事が増える。こんなことを他の連中に知られたくないから俺はヘスティアとミアハだけを連れて今回の事件の真実を伝えていた。
絶対に他の者に伝われば、誰もが『この事件はお前のせいだ』など『お前がその女神と婚約していれば』などと、責任を添加される可能性があったからだ。そういう面倒は心が薄れている俺でも罪悪感を感じた
「なんてことを・・・」
「ジークを欲しいがためにそんなことをしたのか。そなたがしたことは下界の危機にもなっているのだぞ!」
「黙れミアハ!あなたには恋を抱かれている子どもが居るだろう!その子どもの恋を気づかないお前にだけは言われたくない!!」
「まあ・・・確かにその通りだな」
「うん。ミアハには悪いけど、それはその通りだと思う」
「っ!?二人とも!?」
ミアハに悪いが、モリガンの言った今の言葉は確かにその通りだと思った。ミアハの眷属であるナァーザに恋を向けられているのを恋がわからない俺でも普通に理解した。なのにミアハは主神として気付かないのは・・・・・男としてそれは不味いと俺は思った
モリガンは本当にどこまでオラリオのことを見ていたかは知らないが、少なくともモリガンの今言った言葉は間違いではなかった
「だとしてもお前の望みは叶わない。俺は断る。ここでお前を捕らえる」
「そうよね!ならこうするまでよ!出てきなさい我が妹たちよ!!」
「っ!マッハ。バズヴ。ネヴァン」
「ジーク君!まさか・・・モリガンの眷属!?」
「ああ。『女神戦士』と言う三人同じ二つ名を持った姉妹。マッハとバズヴとネヴァンだ。レベル6で・・・モリガン・ファミリアの幹部だ」
「久しいわね・・・ジーク」
「まさか姉様がここに居て私たちが居ないとでも?」
「いくらあなたでも私たち三人を相手にできるのかしら?」
「お前らが相手か・・・・・レベル6が三人・・・・・確かにレベル五の俺としては武が悪いな・・・・」
モリガン眷属
団長のマッハ。副団長のパズヴ。そして軍師のネヴァン
俺の故郷の戦力でもあった三人の厄介さを俺は知っていた。こいつらだって故郷のために九年前までは今まで戦ってくれた戦士。故郷のためならどんな国でも殺戮を起こす危険なパルゥムの女共
かつてじじいのファミリアと同率な戦力を誇っていた。モリガンも戦場に自ら出て眷属に的確に指示をする賢い考えもするから戦争に幾度も勝ち、負けたことはない
こいつらもラキア王国同様に軍事国家系ファミリアだ。そんな敵に今挑むことは・・・・・レアスキル頼りでなければ不可能だ
「ベヒーモスを今ここに呼び出すことだってできるわ」
「やはりベヒーモスを避けるように指示したのも、東ルートの頂上の山で大型竜巻やそれ以外のモンスターまでもお前が操れるんだな?」
「あれは全部私のペット同然。私や妹たちの言葉にすぐに聞く。言うなら・・・・モリガン・ファミリアのテイムモンスターね」
「ファミリアがあのモンスターをテイムにするなど・・・」
「モリガン。君は本当に嫉妬深い。そうまでしてジーク君が欲しいのかい?」
「ええ!そうよヘスティア!今ここにフレイとトールが居ない今がチャンスだと思って攻撃をしたのよ!私はトールの子とは思えないこの美しい子供を夫にしたかった!でも彼はそれを受け入れなかった!どうしてよジーク!どうして!?」
「・・・・・・・」
今この歳を迎えても、俺はモリガンの愛に理解ができなかった。殺戮を楽しむ女神の愛など。それは素晴らしいものなのか。フレイやトールに愛を教えてくれた。そして何があっても俺を信じてくれたあいつら二人の愛に比べれば、俺はモリガンの愛は感じない
愛なんて俺には理解できない
「俺は・・・・・あんたの愛なんてわからない。それがあれば今傷ついた俺の心は癒えるのか?お前は何もわかってない。神であるお前らこの下界を愛していると言うが、それは間違いだ。ここは言うなら地獄だ。俺をここまでボロボロにして完全に人殺しや神殺しにまでしなければ全てを奪われる場所。もはやこの世界の絶望を味わった俺に愛なんて何も感じない」
「ジーク・・・」
「ジーク君・・・」
「だが・・・こんな地獄に仲間ができた。その者たちを守るために戦う。今俺が生きることができる唯一の希望だ。お前は昨日今日も俺の仲間を襲った。お前は俺を愛しているなら俺の仲間に手を出さないはずだ。だから・・・・・仲間を傷つけたお前の愛を俺は拒む」
「そう・・・・19を迎えても私の愛を拒むのね・・・」
「それが俺の答えだ」
俺には生きる希望は何も無い。この下界と言う地獄で残酷な現実を身に染み、大切なものを失った俺にはもう何も無い。だがそれでも唯一生きる希望があるとしたら。まだ俺のことを信じてくれる仲間が居るからだ
世界を滅ぼすよりも。その仲間に今回手を出したモリガンを。俺は絶対に婚約など受けない
「そう・・・なら。ここであなたを無理矢理手に入れるまでよ!!行きなさい我が妹たち!」
「「「はっ!」」」
「来るか!」
「ジーク君!?」
「ジーク!」
どうやらモリガンがここに来た以上は引き下がることはないようだ。俺を無理にでも捕まえて手に入れようと、眷属に強行手段の指示をする。マッハたちの襲撃に対応するように俺はグラムを手に持ち応戦する。こんなことになることは俺は予想しているからこそ、こいつらを倒すのは俺だと、ここまで加勢する者を連れずに来た
この事件の始まりは俺のせいだからと、その発端であるモリガンを倒すのは俺のやるべきことだからと最初から俺はここでモリガンを倒すためにここに来たのだ
のだが
「っ!」
「「ふ!!」」
「「「っ!?」」」
突然俺の後ろから、素早く三人の攻撃を跳ね返した二人の冒険者が現れた。その加勢の跳ね返しにより、マッハたちはモリガンの方まで下がった
「防いだだと!?」
「何奴!?」
「私たち三人を相手に!?」
「君たちは!?」
「そなたたちは!?」
「オッタル・・・・アレン」
「ジーク。主神を連れて怪しい行動をしていると思えばこんなことをしていたのか」
「ジーク!テメエ一人で元凶を潰す気か?テメエ如きなカスにこいつらを倒せるわけねえだろ!」
「フレイヤの眷属か・・・」
俺たちに加勢してくれたのは、先ほど不自然に俺がテントから出る所を怪しい目をしていたオッタルとアレンだった。どうやらアレンが匂いを追ってここまで来たようだ
「お前のことだからどうせ俺を追うとわかっていたぞ。オッタル」
「だが来たのは俺とアレンだけではない」
「ああ。そのようだな」
「ほう?誰かと思えばモリガンだったか・・・」
「ディアン!?」
「なぜそなたがここに?」
「なに。ジーク・フリードがなぜか不審な行動を取っていると思って途中まで追いかければミアハとヘスティアを連れてアジトを離れている所を見掛けてな。そこに居るフレイヤの眷属に頼んでここまで案内して貰っただけだ」
更に後ろからディアンケトが出て来た。どうやら珍しく自分で足を動かしてここまで来たようだ。オッタルとアレンに護衛を頼んでまで来るとは珍しくないことをする
ディアンケトもモリガンのことを知っているようだな
だが意外だ。こいつに俺が怪しい行動を見極めるなど
「クソジジイの癖に。観察眼があるとは意外だな」
「黙れ。本当にトールのように偉そうな奴め。それで・・・・・これはお前の仕業か?モリガン?」
「誰かと思えば金の亡者のディアンケトじゃない?あら?七百年前よりも老いたんじゃない?」
「ふん。減らず口だけは本当に変わらんな。怪我人では飽き足らず、死者までも出しまくる殺戮の女神が・・」
「あら?その怪我人をオラリオで完璧に治療できているのかしら?治療することしかできない老いぼれ男神が・・・」
「まったくお前たち二人は、本当に仲が悪いな。まあ・・・・私も今回モリガンのしたことは許し難いがな・・・」
「あら?ミアハがそこまで言うとは。あなた少し変わったかしら?」
「まあ・・・・私にも良い眷属が出来たのでな。これくらいの本音は吐けるようにはなった。これも下界に降りた結果よ」
冷静であるミアハも、気に食わないディアンケトも、今回の事件の発端であるモリガンのしたことは見逃せないようだ。ディアンケトに意見を同意するのは俺としても虫唾が走るが・・・・モリガンのしたことは誰も許すことのない行為だと、ディアンケトもミアハも怒りを見せた
「さて・・・・ここにはフレイヤの眷属であるオッタルも居るのだが・・・・どうする?やっと三対三と言う対等にはなったぞ?このまま続けるかモリガン?」
「いいえ。汚い白髪祖父のディアンケトに会って、長髪で鈍感なミアハにそんなことを言われたら。なんだか興が削がれたわ。行きましょう妹たち」
「よろしいのですか姉様!?」
「ジークは目の前に居ますよ?」
「あのレベル七の猛者でも私たちが勝ってみせます!」
「いいのよ。それに・・・・楽しみは後で取っておかなくてはね。ねえそうでしょ?ジーク?」
「ああ。『黒い砂漠』で待っていろ。お前の飼い獣であるベヒーモスは必ず俺たちが倒す。お前のこの計画は完全に破壊する」
「ええ、そうするわ。行くわよ。黒い砂漠に戻るわ」
「「「はい」」」
そうしてモリガンと妹たちマッハたちは『変身アビリティ』と言う。モリガン・ファミリアだけにしか与えられないアビリティでカラスに変身して枯れ木の森を空へと飛んで逃げて行った
「ジーク君って・・・あのモリガンに告白されるなんて・・・・君ってイケメンだから大変だね?」
「ヘスティア。それは絶対に関係ない」
「モリガン・ファミリアか・・・・聞いたことはある。戦争愛好者で国を落としたりと危険なパルゥムのファミリアだとか・・・フレイヤ様から聞いたことがある」
「フィンが知ってそうな話題だな。とりあえず戻るぞ。秘密にしておきたいがこれは重大な事だ」
全ては俺を手に入れるがための女神の嫉妬の策略の事件だと、フィンに黙っているわけにはいかなくなった。それと他の神々にも伝えなくてはならないと、拠点でもある臨時テントのアジトに戻るのだった
総合本部会議テントにて
俺とヘスティアとミアハとで先ほどのモリガンがこの事件の発端だと。フィン・ヘファイストス・ゴブニュ・ヘルメスに説明する。証人としてオッタルとディアンケトにも知らぬ者達にありのままの事実を伝えた
今回の事件が七百年前にしか会ったことのない。あの殺戮の女神モリガンの仕業だと聞かれた瞬間。皆真剣に戸惑う顔をした
その中でフィンだけは青ざめていた
「あのモリガンか・・・・僕たちの種族の主神でもあるあの女神が・・・この事件の発端だったなんて・・・」
「モリガンのことをお前は知っているようだな。フィン」
「ああ。野外の話になるけど・・・僕たちの種族のパルゥムの主神でもあるのだけど、あの女神は戦争愛好者と言って、僕たちパルゥム同士で何度か内戦させた形跡が何十年も前にあるんだ」
「そういえば俺の故郷でファミリアをやる前はマッハ達の種族同士と幾度か戦争していたとあいつは言っていたな。お前らパルゥムはこの世に存在しない『女神フィアナ』と言う架空の女神を信仰していたのは、そのモリガンの殺戮に怯え、それを忘れるためにお前らの種族の先代が勝手にそのような架空の女神を作って代々に伝えさせ、モリガンの殺戮から現実逃避をさせるためにそんな架空を作ったのかもしれないな」
「ジーク君。それはあまりにパルゥム君に失礼じゃあ・・・」
「いいんだ神ヘスティア。今のジークの言う通りだ。僕も子供の頃モリガンの虐殺を恐れた一人だ。僕もモリガンの恐ろしさは知っている。それでいくつかのパルゥムの村と国がモリガンにやられた・・・・数え切れないほどに」
「確かにあいつらは俺の故郷でファミリアをやる前は、野外で戦争軍事国家をやっていたと、モリガンが言っていた」
「あのモリガンが・・・・」
「ふむ・・・・・・」
「あの殺戮が大好きなモリガンが、あのベヒーモスの心臓を使って、ベヒーモスを作り出すなんて、彼女は予想以上にジーク君を手にするためなら下界などもう厭わないと言うことだろうね・・・」
今ここに居るあの現場に居なかったヘファイストスやゴブニュやヘルメスと言う主神達もモリガンがどんな女神かはわかっているのか、こんなことをことしてもおかしくないと、ベヒーモスを生み出したことに実在を信じた
でもまさかそのベヒーモスを生み出してオラリオを攻撃する理由が、九年前の告白を蹴った俺への恨みなどと、嫉妬でこんなことをするとは流石にヘルメスでさえも予想できなかったようだ
「ジーク君はあのモリガンにもモテるんだね?」
「あいつが虐殺なんて真似をもうしないと約束できるなら良い女でいられたと思わないかヘルメス?だが殺戮の女神である以上はあいつは戦争を続けるだろうがな」
「それがモリガンだからね。ジーク・・・あなたトールの息子だけのことはあるわね。よく今回の事件がモリガンの仕業ってわかったわね?」
「あいつはあれでも俺の故郷のファミリアの一つだったんだ。小さい頃よくおふくろと一緒にあいつの戦争を見たことがある。ヘファイストス。あいつはカラスに変身して軍や眷属に指示を的確にできる。最初から今回の事件の発端があいつだと分かってはいない。だが今日戦闘中にベヒーモスの子供がカラスの鳴き声に反応して一斉に俺を襲うという出来事を体験して、こんな戦法はあいつしか居ないと。あいつが犯人だとすぐに分かっただけだ」
モリガンの戦争はいくつか小さい頃に母と見ていた
俺の故郷を守るためにモリガンが自分のファミリアを出して奴『ある軍』と争いをしているところを見たことがある。その時の戦法を俺は今でも頭に入っている。カラスに変身してマッハ達の所に飛び。的確に指示をして大きく戦況を変える賢い頭もしている。長年戦争しているから備えている知恵なのか知らないが、少なくともモリガンに勝ったファミリアは・・・・・
俺の故郷の三柱のファミリアである母かフレイかジジイのファミリアくらいだろう
今度はおふくろとフレイを無しに戦うことになるのだがな
「ジーク。それでモリガンはこの後はどうするって?」
「もちろん。黒い砂漠で待っていると言っていた。つまりは・・・・次は決戦だ」
「そうか・・・・・それで・・ベヒーモスを倒す手段は無いんだよね?」
「倒す手段は至って単純。全員で叩き込めば良い。それにオッタルも居る。まだここに来るまで死者は出て居ない。全員で掛れば倒せるはずだ。問題はあの猛毒の嵐だ・・・」
「そうだね・・・あの猛毒の嵐は危険だ。僕も止める方法は見つからなかった。オッタルは?」
「俺もだ。俺もあの嵐を止める方法は無い」
「じゃああの紫色の風にまた浴びることになるってこと?」
ヘスティアのその言葉に誰もが口を開かず言葉も出さずに黙っていた。それだけ猛毒の嵐を止める方法が無い。猛毒の嵐をヘファイストスも見ていた。それも触って感じた。それがどれほど恐ろしくて抵抗もできないまま汚染されるのかをヘルメスでさえも知った
これほどとはと、予想外の威力だと
十五年前にあの現場に居たオッタルやフィンでさえも、あの嵐を止める方法を知らない。これをどうやってあのゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの団員は止めたのか。今生きているなら是非とも教えてもらいたかった程
あの猛毒の嵐を止める方法がわからない
だが
「そうでもない」
「「「「「っ!?」」」」」
「・・・・あるにはある。だが確証は無い」
「それはなんだい?」
「だったらフィン。今ここにアイズとベートを呼べ」
「え?」
「いいからあの二人を今ここに呼んでこい。あの嵐を止めるにはあの二人が必要だ。あの二人を呼んだら説明してやる」
「分かった。少し待ってくれ・・・」
と猛毒の嵐を止める唯一の方法を俺はもしかしたら見つけたかもしれないと、俺は想定でもあり、俺の観察判断が見くびった可能性もある
だが・・・・俺が今日ベヒーモスを本体を見た時に・・・・気付いた事があった。それが猛毒の嵐を起こしているかもしれないと、ベヒーモスの『ある部分』に不自然さを感じた
それを斬ればもしかしたら止められると。想定した
その条件に必要なのがあの二人である
「呼んできたよ」
「ジーク・・・」
「なんだよ・・・またお前に呼ばれるのか。ジーク。テメエが俺とアイズを呼んでなんの用だ?」
「二人とも聞け。確信は無いが。俺と共に猛毒の嵐を止める手伝いをして貰いたい」
「え!?」
「な!?」
「三人だけで?・・・・ジーク。本気なのかい?」
「そうだフィン。近づくことができるのはおそらく俺とアイズだけだ。手伝いをして貰いたいと言っても、それを止めるのはアイズだがな」
「私が?」
「ああ」
明日俺とベートとアイズのみだけで猛毒の嵐を止める作戦を俺は二人に言いつけた。それほどあの猛毒の嵐が吹き荒れた中で動けるのはおそらく、俺とアイズのみ。それに加えてベートを呼んだのはその手伝いをさせるためでもある
「アイズ。お前はあのエアリアルで時間でどこまで全身を守れる?」
「えっと・・・・・・15分くらいかな?」
「それだけあれば十分だ。賭けになるがお前のエアリアルはベヒーモスの毒の風を一切通用しない。だからお前ならベヒーモスを近づく所まで突破できると見込んだからだ」
「でも・・・どうすればいいの?」
「奴の頭に一つだけ『上に尖った紫色の鹿の角』を折ってもらいたい」
「上に尖った紫色の角?」
「ああ・・・・」
今日の俺も対面して頭にそのような部分から毒の風のようなものを纏っている。そこから空へと吹き出していた。おそらくそれが黒雲を作り出し。猛毒の嵐を吹いているのでは無いかと、想定ではあるが、そう俺は判断した
「それさえ壊せればもしかしたら、もう猛毒の嵐を消す事ができるかもしれない」
「本当に?」
「確証は無い。だが・・・試す価値はある。どうだ?やってもらえるか?」
「うん・・・・・それしかもう方法は無いんだよね?」
「ああ。俺の判断が確かならな・・・・断言できない」
「分かった。エアリアルでその角を折るよ」
「よし。アイズはそれで頼む。そしてベート・・・お前には俺と共に『囮』をやって貰いたい」
「っ!?」
「「「「「え!?」」」」」
「ジーク・・何を?」
「俺はこいつの腐った根性を知っているフィン。例えどんな苦しい状況でもこいつは誰にも負けず、誰よりも先に一人で突っ走って敵と戦う。こいつの根性はモンスターを軍勢相手にでも下がることなく戦うことができるしぶとさを持っている。こいつが猛毒の嵐程度でへばる筈がない。こいつならアイズから気を逸らせて注意を引く事ができる。そしてベヒーモスはモリガンの命令で必ず俺を生かして捕らえると、俺とベートだけを狙うはずだ」
「だが・・・そんな事をすれば・・・君もベートも・・・」
「もちろん。もしかしたら・・・・俺とベートは生きて帰ってこられない」
「「「「「っ!?」」」」」
「だが・・・・もうこれしか無い。もうこの方法以外生き残れる作戦は無い。犠牲を無くして勝利は得られない。俺とベートで犠牲を賭けなければアイズが潰される。そうなれば・・・・・・猛毒の嵐を消す手段が無くなる」
こうなった以上はもう犠牲を払うしかなかった。そうでなければ猛毒の嵐を止めようとするアイズが潰されてしまう。その注意を逸らすためには、俺とベートが犠牲になるしか無かった
俺一人で相手をしても構わないと思っている
だが・・・・少しでももう一人くらい手伝う者が居るのなら。猛毒の嵐に耐え切れる者がもう一人居るのならと
俺はベートを選んだ
こいつには耐久性や身を守る術やスキルは何も無い。だが根性や怒りだけでどんな状況でも耐えた。
と
ベートの凄みを俺だけが知っていた
なぜなら
「ベート。二年前32階層で二人だけで『スパルトイ』のモンスターパーティを相手にしたのを覚えているか?俺がまだレベル1でお前がまだレベル四の時の頃を・・・」
「っ!・・・・ああ。忘れたくても忘れられねえあの日をな・・・」
今から二年前。まだ俺が冒険者になってからまだ二ヶ月と経ってない遠征の時に。俺とベートは怪我をした仲間を先に18階層に逃すために、スパルトイを相手に・・・・それもモンスターパーティと言う軍勢を相手に
俺とベートで囮になってスパルトイの軍勢と戦っていた
ラウルとクルスに指揮を取らせて負傷した仲間を連れて18階層へ向かっている間に俺たちは長時間戦い続けていた
レベル1である俺がそんな高レベルの敵に敵うはずもなく。カオス・ヘルツで仲間を傷つけたことに怒り出して、スパルトレイを圧倒していた。ベートはそれに対して何もレアスキルと言うものは無い。そのまま根性で無理にでも倒していた
それを二時間・・・・いや・・・三時間にも及ぶ激戦をした
そしてその三時間後にフィン達が助けに駆けつけてきたが
その時には俺たちがちょうどスパルトイの軍勢を全部排除し終えた
もちろんすぐにもうスパルトイを倒した後は俺たち二人もその場で倒れて力尽きて気絶した
それだけの体力や耐久を持っているからこそベートは耐えて倒しきる事ができた。あの猛毒の嵐でもこいつは耐えられるはず、それだけの我慢強さがあればこいつならベヒーモスをおびき寄せる事ができると俺は考えた
俺一人でなんとかできる保証も無い。だからここはベートの力を借りたかった
後はこいつが乗るかだ
「俺とお前で注意を引けば、アイズには向かない。もし向いて目的がバレたりでもしたら。この作戦は本当に失敗し、世界は終わる」
「っ・・・・・」
「もう一度あの頃のように、共に戦って貰えるか?もちろんこれはアイズのためだ。世界のためじゃない」
「ち!・・・・・わかったよ!またテメエと一緒に暴れてやる!」
「よし。まあお前ならできるだろう。できなかったらできなかったで、お前は所詮その程度だと雑魚扱いするつもりだからな」
「は!?テメエとレベル一の差で上回る俺がこれくらいできねえとでも言うのか!?」
「馬鹿だからなお前は。もし注意を逸らす事ができたなら今度酒や飯でも作るなり奢るなりしてやろう。そうでなければお前をゴミ扱いする」
「テメエ!!上等だ!!もし俺が注意を逸らす事ができなかったらなんでも言うことを一回聞いてやる!そうでなければテメエをまた『嘘つき雑魚』って呼んでやる!」
「いいだろう。どっちが囮として完璧に仕事がこなせるか。勝負と行くぞ」
「望む所だ!!」
「な・・・・懐かしい・・・」
「またこんな光景が見られるなんてね・・・・・思っても見なかったよ。やっぱりベートのライバルはジークだね・・」
レベルが低い俺がレベルの高いベートとまた賭けをして勝負する所を見られるなんてフィンは思って無いだろう。俺だってこうなった以上はこうでもしてベートの向上を上げるしかないと、ワザとベートに挑発した
本当はもう二年前みたいに賭けをして勝負する気などないからな
とにかくベートもアイズもやる気になった。この作戦でベヒーモスに挑む
だがアイズにはまだそれでも足りない物がある
「ヘルメス。お前ベルとレフィーヤに猛毒の嵐に耐える事ができるゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの装備をギルドの宝物庫から持ってきてあいつらに与えただろう?」
「あらら・・・・やっぱりジーク君には見抜かれているか・・・」
「でなければあいつら二人が今日あの嵐の中を突破できる筈がない。二人が装備した防具はもう完全にベヒーモスに破壊されたが、どうせお前の事だ。まだもう一つくらい持ってきているんだろう?潔く出せ」
「わかった。オラリオの権限を持っているのは今ジーク君だからね。でもベル君達が渡したのもそうだけど。元々ほんの一部しか宝物庫に残ってなくてね。一応三個持って来てないんだけど・・・」
そうしてヘルメスがバックから取り出したのは。両方を揃っているピンク色のブーツだった。
「ゼウスかヘラかどっちのかは知らないけど・・・もうこれしか無いんだ」
「いや十分だ。これを貰うぞ?」
「どうぞ。どうせ宝物庫にしまったって宝物にするわけじゃあないんだ。ここらで好きに使った方がこれを装備していたゼウスとヘラの眷属も天で喜ぶ筈だよ。でもこれだけを使って突破できるのかい?」
「違う・・・・・・これを溶かして『新しい装備』を作るんだ」
「え?溶かす!?」
「ああ。ヘファイストス。ゴブニュ。これを溶かしてアイズ専用の鎧を作るんだ」
「これを使って?」
「ああ。足りないか?」
「いや・・・足りないことはないけど・・・」
「元々の装備を溶かしてそこから製作すると言うのは・・・我々鍛治師でも高度な技術が必要になる。時間はかかるぞ?」
「どこまでかかる?明日の朝までには完成してほしい」
「なら・・・・・今から徹夜しないとね。ゴブニュ」
「ああ。そうでもしなければ朝までには間に合わん」
「椿も呼ばないと。私やゴブニュだけじゃあ人手が足りないわ」
「ならヴェルフも連れて行け。あいつでもこれくらいはできる」
「疲れていると思うけど、今からヴェルフを借りるわね?」
「ああ。なんとか間に合わせてくれ」
そうしてヘファイストスとゴブニュはブーツを持ってテントに出てすぐに作業を開始する。いくらアイズがエアリアルと言う風を身に纏ったところで、猛毒の風が少しでも体に触れればタダではすまない
新しく対ベヒーモス用としての鎧に製作しアイズに使用して貰う
あともう一つは・・・・そうではない者達の猛毒対策
「それとミアハ。ディアンケヒト。今頃ティオネ達が村長に頼んで薬草をたくさん貰っている筈だ。それを使って猛毒の風の解毒用ポーションを作れ。明日の朝までにだ」
「了解だ・・・」
「神でもあるワシを馬車馬の様に働かせおって!」
「できないならモリガンに負けるだけだ。お前のプライドを考えて徹夜をしてでもモリガンを倒す勝機を作ろうと思ったんだが・・・・モリガンにこう言っておこうか。『ディアンケヒトはお前に遅れて何もできなかった』とな?」
「ぬう!?わかった!やればいいのだろう!」
「あらら〜。ジーク君って本当にロキより悪いことをするね?」
「勝つために必要なことだヘスティア」
「では我々も解毒用ポーションの制作のために作業に入らせて貰う」
「頼むミアハ」
ディアンケヒトとミアハも解毒用ポーションを作りにデダインの村の村長から薬草を貰って解毒ポーションの制作に入るため総合本部のテントを出る
俺やベートだけでなく、それ以外の冒険者達の解毒も考えておかねばならない。敵はベヒーモスだけじゃない。ベヒーモスの子供だって居る。その小さい敵を倒すためにも解毒用ポーションが必要だった
もちろん作戦はこれだけじゃない
「オッタル。フィン。に頼みたい事がある」
「なんだ?」
「なんだい?」
「お前達に俺たちを無事ベヒーモスに辿り着くために道を作って欲しい。お前達にはベヒーモスの子供を絶対に俺たち三人の所には行かせない様にする事。簡単に言うなら俺たち三人はベヒーモスの子供を相手させない様に、お前らがベヒーモスの子供を全滅させる。それは俺たちが猛毒の嵐を止める最中にだ。その後全軍でベヒーモスを総攻撃する。当然もしかしたらマッハ達も来るかもしれないが、その相手も含めて。俺たちで倒す。この指示や作戦に二人は意見はあるか?」
「無いな」
「うん。僕もその作戦で行こうと思っていた所だ。だが・・・・・君やアイズとベートには本当に申し訳ないよ。こんなことに君たちを頼りにしなければならないなんて・・・・・」
「それは別にいい。俺もベートもアイズも自分で決めてやろうとしていることだ。そうだろう二人とも?」
「うん・・・」
「ああ・・・アイズには指一本触れさせねえ」
「前にも言ったが誰かがやらねば死ぬだけだ。お前らにはお前らにしかできない仕事があり。これは俺たち三人しかできない事を全うしているだけだ。お前らもただその自分が果たせる仕事をすればいいだけの話だ。そんな謝罪など必要はない」
「そうか・・・・ありがとう三人とも」
「オッタル。もちろんこれは俺たちのためじゃない。これもフレイヤのためだ。モリガンが下手をしなくてもオラリオを襲う。そうなればフレイヤにも危険が訪れる。それはお前が望む事ではない。わかるな?」
「ああ。元よりそのつもりだ。俺は・・・・・成すべき事を果たすまでだ」
「それでいい、ヘルメス。伝書鳩でもなんでもいいからオラリオにこの事を報告しろ」
「OK。ウラノスの報告は俺に任せてくれ」
「これで明日の決戦作戦会議は以上だ。あとは明日に備えるのみだ。ベートとアイズは明日の早朝またここに集まれ。アイズは装備の装着と。ベートには俺から『魔道具』をお前に渡す。細かなベヒーモスの特性について話をする。いいな?」
「うん」
「ああ」
「よし。今日の夜はゆっくり休め。明日の決戦でベヒーモスの息の根を止め。モリガン ・ファミリアを滅ぼす。それさえ果たせば俺たちの勝利だ。全員解散!」
それだけを告げて俺とヘスティアが先に総合本部のテントを出る。モリガンがベヒーモスをテイムを施して襲撃を受けたってところは驚く事ではあるが、それでも敵であることは変わりないとフィン達やヘスティア達他の神々も仕方なく受け入れることしかできなかった
そして明日の作戦。アイズはともかく。ベヒーモスを相手に引きつけると言うことはベヒーモスを相手にすると言うのと変わりない。だから俺とベートの生存率は本当に低いが
こうでもしないと猛毒の嵐を止める事ができないと。自身の体を犠牲にするしか手はなかった・・・・事をヘスティアは歩きながら聞いてくる
「ジーク君。生きて帰ってこれるんだよね?」
「保証はない。だが・・・・誰かがやらねば負ける」
「でも・・・・・そんな事をしなくても・・」
「モリガンの目的は俺だ。俺が前線に出れば必ずあいつは俺を集中狙いする可能性は十分に高い。そうでもしなければアイズの不審な行動に感づいて潰されるかもしれない。注意を引くには俺が出るしかない」
「でも・・・・・」
「心配なら生きて帰ると願ってくれ・・・・それが明日君ができることだ」
「ジーク君・・・・うん。わかった」
「ありがとう・・・・ヘスティア」
生きて帰る事を願ってくれるだけでも、少しはモチベーションも上がると言うもの。眷属を想う彼女なりの優しさを少しでも感じれば、成功するのみ以外選択は無くなると眷属としての意志を俺は強く固める事ができる
それほどもうここで死んでも悔いは無いと思っているからだ
もうレベル5となると自分の命など価値無し。犠牲を払うことばかりを考えていた。そうでもしないと勝てないと現実を知っているからなのか。もしヘスティアがそれを言わなかったら俺はそのつもりでいるからだ
でも言われたからには、なるべくそうすると眷属として主神の命令を受け入れた
そして自身のファミリアのテントに戻ると
「ジーク!」
「あ、ジークさん!」
「フィンさんのところから帰ってきたんですね?」
「ジーク様。用事は済んだようですね?」
「ベル殿。今目覚めたところです」
「ベル君!!」
「ベル。起きたか、ティオナも居たのか」
「うん!レフィーヤが目を覚ましてそのあとすぐにここに来たの!」
「レフィーヤ。大丈夫か?」
「はい!私はもう大丈夫です!明日もしっかり出陣できます!」
自身のファミリアのテントに戻ると、ベルが目覚めていた。そこにヘスティア・ファミリアではないティオナやレフィーヤが居た。レフィーヤは自分のファミリアのテントから目覚めてベルの様子を見にこっちに来たようだ。
ベルも今目覚めたようだ。
そうして俺から今回の功績について俺は評価し。感謝する
「二人とも。今回の猛毒の嵐を止める行動。無謀ながら見事だった。本来ならそんな無茶な行動に対してフィンとヘスティアが怒る筈だが、俺は誇る程にいい働きをしたと、お前達が二人だけで戦ってくれたおかげで猛毒の嵐を皆が力尽きる前に納めてくれた。よく頑張った。今他の連中が無事なのもお前達のおかげだありがとう」
「そ・・・そんな!」
「私たちは・・・・当然のことをしたわけですから・・そんな・・・感謝されるようなものでもありません」
「そうか・・・まあでも・・・派手にやったな?」
「はい・・・でも・・・・僕は村人を見捨てる事ができなかったんです」
「私もです。村の女の子に約束しましたから・・・・」
「二人の戦意と熱意。確かに俺の魂に届いた。お前達も・・立派な冒険者として役目を果たしたようだな」
ベルは本当に俺の行動を真似するかのように、無謀にも程がある行動を取った。俺が変なことを教えてしまったのか、レフィーヤは二年前はモンスターと戦うことすら恐れていたと言うのに、自分から率先し、魔導師でもあると言うのに前線に出て猛毒の嵐を止めに行くなど
二人は本当に成長している。レベルが物凄い引くと言う自覚はあると言うのに、それでも自身の全ての力を解き放ってでもベヒーモスに挑む勇姿
誰よりも輝いていたと俺は分かる
二人はこれから先大いになる力を得るのではないかと、二人の底力を感じる
「ジークさん・・・・明日はどうしますか?」
「もちろん・・・・・明日で決戦だ」
「「「「「っ!?」」」」」」
「ベヒーモスの息の根を止める。もう奴の生息する地に近づいた。明日で奴を殺して世界を救うぞ」
「いよいよですね・・・」
「うん・・・・やっと!」
「ベヒーモスに挑むんですね・・・」
「明日がベヒーモスとの決戦・・・・」
「ついに・・・・ここまで来たんですね?」
「ああ。決着をつける。そして平和を取り戻す。今日の夜は明日に備えてしっかり休め。今日より明日は激しくなるからな?」
ロキ・ファミリアであるレフィーヤやティオナにも明日の予定を言った。俺はロキ・ファミリアの団員ではないのだが、でも大事な知らせには変わりないと、今頃のフィンを通して全ファミリアの団長も団員に話している頃だからな。別に俺から伝えても大丈夫だと思った
だがベル達に俺とベートが囮をやるなんて事は伝えなかった。もちろんヘスティアにも先ほど誰も言うなと言ってある。どの道明日には伝えるのだが、変に心配されるのが嫌なため、今になって変なことを言われるのが面倒なため。俺は何も言わないように頼んだ
どうだろうと明日で決着をつけなければモリガンに全てを滅ぼされる。予想の付かない襲撃者により驚く事は多くある。モリガン・ファミリアの襲撃だって事は明日話すとして、この事件の発端の理由を話す事がとてもキツイと思っている
俺がモリガンの婚約を断ったことへの怨念だと言ったら、他の連中は文句を言うだろう。婚約を受けていればこんなことにはならなかったと。原因は俺にあるとみんな俺を責めるだろう
だが
モリガンは殺戮の女神で決して相手に容赦をかけたりなどしない。だから仮に俺が今になって婚約を受けたとしても、それ俺以外の全員は皆殺しだろうと
もはや俺たちに戦う以外の選択は無かった
そしてこの後はレフィーヤとティオナは自分たちのテントに帰り、その後一時間後からはヴェルフが帰ってきた。あとはヘファイストスとゴブニュが武器製作は後は自分たちがやると仕事は主神達に任せたらしい。ヴェルフが集まったところで簡単な夕食を全員済ませてから全員就寝する
いよいよ明日はベヒーモスとの決戦
今は体を休めて、明日に備えるのみだった