ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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嘘つきから英雄へ

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

 

 

まだ戦いは終わっていなかった。黒い砂漠の下から大きい赤い獅子のような巨獣が出てきた。その大きな巨獣を誰もが見る

 

 

 

「ふざけろ!?なんでベヒーモスが!?」

 

「全身赤いよ!?」

 

 

「そんな・・・・バカな!?もう一体のベヒーモスだと!?」

 

「おいフィン!あのベヒーモスまさか!?」

 

「ああ。オリジナル以上のデカさだ!!!」

 

 

砂漠の底から現れたのは赤いベヒーモス。フィンが言うには十五年前からみたオリジナルのベヒーモスよりも超えているとフィンの言葉から出た。

 

間違いなくこいつは・・・・モリガンが言っていた。モリガン・ファミリアがテイムしたベヒーモスの心臓を埋め込まれたモンスターで間違いないと推測した

 

 

「なんでベヒーモスがもう一体居るんですか!?」

 

 

「ベル。さっき俺たちが倒したのはこいつの子供だ」

 

 

「「「「「え!?」」」」」

 

 

俺の説明に皆が俺の方に向いた。俺はそのまま目の前に居るベヒーモスについてと、モンスターの本来の生殖を説明した

 

 

「あれがモリガンが埋め込んだ本物のベヒーモスだ。さっき俺たちが殺したのはこいつの子供だ。だからあいつは亜種だった。こいつは俺たち生き物と同じ。子供を産んでいたんだ。今目の前に居るのは強化種だろうな。先ほどのベヒーモスよりも強大な力を所持している。先ほどよりも簡単ではない」

 

 

「そ、そんな・・・」

 

「やばいよ!回復薬ももう尽きたよ!」

 

「魔導師ももう魔法は使えないよ!マインドダウン寸前だよ!」

 

 

「く!ジーク!何か手はある?」

 

「悪いが・・・・・・・この状況ばかりは俺でも何も無い。完全に絶体絶命だ」

 

 

俺でも抗う術はもう無くなっている。モリガンがまさかベヒーモスに自分と変わらない体型の子供を生殖させておいたなど、俺でも予想が付かなかった。確かに戦う前から地面の底から気配や力を感じていた。それが今まで地上に暴れていたベヒーモスたちの親が潜んでいたなど。完全にモリガンにやられた

 

そう思っていると

 

 

 

 

「あらあら?ジーク?あなたでもこれは予想付かなかったのかしら?」

 

 

「っ!モリガン!!」

 

 

突然の空の上からカラスになったモリガンがマッハたちを連れて降りてきた。そして地面に足が着くと、体から黒い煙が吹き出して体が包まれる。人間の姿に戻る。そして俺の前に立った。その光景を今周囲に居る冒険者が見た

 

特にフィンが

 

 

「まさか・・・・・本当にモリガンが!?」

 

「ん?あら?もしかして三十年前に隠れ家に逃げた坊やかしら?」

 

「モリガン!!・・・・・なぜあなたが!」

 

「決まっているわ!私の愛を受け取らなかったジークに復讐よ!」

 

「復讐!?ジークの!?」

 

「そうよ!この子が私の愛を受け取って婿になればいいと言うのに、トールと同じく頑固だからなのか私の愛を受け取らなかったわ!私がこんなに愛していると言うのに!」

 

 

「と言うように・・・・・嫉妬でこんなことをしたんだ。世界中を巻き込んでな・・」

 

 

「なんて女神だ・・・・」

 

「所詮女神だろうと男神だろうと、所詮神など俺たちのことなど考えてはいない」

 

 

フィンはモリガンのやることに呆れたりもしているが、身勝手には程が有ると神のやることに嫌気をさした。所詮神など俺たちヒューマンと変わらない生き物だ。心の悪意が一つでもあろうと、自分たちは身分の高い生き物だと、神である以上はこの下界をどうしようと俺たち下界の生き物のことなどどうでもいいと、自由にこの世界を引っ掻き回す

 

特にこいつは殺戮の女神。殺戮を楽しむこいつが下界に降りたらやることは一つ。

 

 

『生き物を殺す快楽を味わうため』と言った。邪神極まりないことをするのだ。だから神は嫌いだ。神など俺たち下界の生き物を『その程度』しか扱ってないのだ。だから滅ぼしたいこの世に生きる神を

 

と、俺はモリガンにこの最悪な状況においても俺は睨んだ

 

 

 

「ジーク?今からでも遅く無いわ。私と結婚してよ?私はあなたが欲しいのよ・・・・・・あのトールの子とは思えないけど・・・・・美しいあなたが欲しい」

 

「俺のスキルの虜になった女神が、誰が好き好んでお前と結婚するものか。殺戮を楽しむお前となど。悪趣味な女を愛する気は無い」

 

「私は確かに殺戮の女神ではあるけど・・・・それはあなたが消したい生き物を消すためよ。そうね。例えば・・・・・・あなたに無性に近づくあなたの姉である・・・フレイヤをね?」

 

 

「なんだと!!!貴様!!」

 

「テメエ!今なんて言った!!」

 

 

俺のために俺を独占しようとするフレイヤを消して見せるとモリガンの口から叫んだ時、近くにたまたまオッタルとアレンがモリガンを睨んだ。あのフレイヤに忠誠を固く誓っているこの二人に今モリガンは喧嘩を売ったのだ

 

その言葉にオッタルとアレンは女神だろうと手を出そうとしたが

 

 

「ベヒーモス!」

 

『ガアアアアアアアアアア!!』

 

 

「っ!?」

 

「なに!?」

 

 

モリガンはベヒーモスを呼び、二人を足で蹴ろうとベヒーモスは走って二人に迫っていた。そして図体が更に5倍ほど大きいせいで避けることもならないまま

 

二人はベヒーモスのデカイ前足に蹴り飛ばされた

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

「ぐ!?」

「ぐは!?」

 

「オッタル!!」

「兄様!!」

 

 

「く!あのフレイヤ・ファミリアのオッタルとアレンを蹴り飛ばすとは!」

 

 

走り出した勢いもあり、オッタルとベヒーモスは前足に蹴られ、俺の後ろの方まで蹴り飛ばされてしまった。あのフレイヤ・ファミリアの団長と副団長が後ろに蹴り飛ばされた後、立ち上がることなくそのまま倒れていた。一番の主力であるあの二人が倒れてしまった。完全にまずい状況となった

 

予想以上にベヒーモスは完全にモリガンのペットになったのか、彼女の指示を完全に聞いていた。

 

赤いベヒーモスなど聞いたことはないが、間違いなくモリガン の言うことを聞く元はペットであると理解した

 

それでも俺は無理に立ち。赤いベヒーモスに向けて、グラムを持って立ち向かう

 

 

「赤いベヒーモスなど・・・・・とんでもない強化種を持ってきたものだな・・・」

 

「あら?まだやる気?私のクリムゾン・ベヒーモスに?」

 

 

「そのネーミングセンスどうなのかと思うが、俺は自分の命に価値など無い。今誰もが倒れ立ち上がれない状況だろうと思うが、それでも俺は戦う道は変わらない。俺は戦うことしかできない無能だ。今更自分の命を守る気は無い。死ぬなら戦死以外考えていない」

 

「ジーク・・・さん」

 

「ジーク・・・様」

 

「ジーク・・・」

 

 

周囲にはもう立ち上がれない者たちも居れば、もう全力を尽くしたと言うのにベヒーモスがもう一体居るなど信じられず、恐怖を抱いて涙を流して怯える者。更に強敵の出現に誰もがもう諦めていた

 

俺の団員であるヴェルフやリリルカ。そしてアイズもベルも先ほどの突風で吹き飛ばされたことにより誰も立ち上がれない。

 

その中でも無理に俺は立った。

 

 

「ジーク!どうしてなのよ!これがなんなのかわからないの!あなたが私と結ばれればいいのよ!そんなにあなたは私が嫌いなの!」

 

「なぜだジーク!そんなに姉様が嫌いか!」

「お前の痛みを知っているのは彼女だけだぞ!」

「お前のことを理解するのは・・このお姉様だけだぞ!なぜだ!」

 

「・・・・・・・」

 

 

俺の気持ちを理解しているだと?

 

その言葉に俺は理解不能と思った。俺の痛みを知っている?俺のことをモリガンが理解している?本気で言っているのかと、俺はあの三姉妹も含めて何もわかってないと理解している

 

母を亡くし、叔母のファミリアには裏切られ、兄も亡くした。俺の大切な者は何も残らなかった。俺の心を理解するなど無理なことだ。愛しているなどふざけた言葉を言いおってと、俺は愛を信じていなかった

 

だからモリガンに答えた

 

 

「お前は俺の何を理解していると言うんだ?」

 

「なに?」

 

 

「俺には何も無い。何も感じない。心は干からび。愛なんてこの世にあるはずないと全てを信じず。愛したとしても所詮裏切られると、俺は何もかも疑い。人や神の愛など受け取らなかった。俺はただ戦うだけ。人や神の武器のようにただ利用されるだけの存在だと。俺はこんな辛い想いになるくらいなら生きることなどやめたかった。お前らが何が貰える?お前ら女神が俺を愛しているのは俺がただ見た目が美しいだけだからだろう。所詮どいつこいつも俺をタダ利用できる存在だと、ただ罵っているだけだ。お前らもいつか裏切る。そんな愛など受け取らない」

 

「そんなことはない!私は・・・」

 

「俺には・・・・友と呼べる者は居なかった。誰も俺のことを愛しても、信じても、友と呼ぶ者も居ない。あの時も・・・・・二年前も・・・・・裏切られてばかり・・・・・俺はもう生きるのが嫌になった。このまま死にたいと俺は全てを捨てたいんだ。俺は・・・・・・・このまま一人になって死にたいんだ。他の者に裏切られる前に・・・」

 

「ジーク・・・・」

 

 

近くに居るフィンは、俺がこうなったのも自分のせいだと、今でもフィンは二年前の行いを悔やんでいる。俺をここまで追い詰めてしまったのは自分のせいだと今もあいつは自分を責めていた

 

別に俺はフィンたちのせいだからではない。人のせいではない。俺はもう希望を持つことのできない心をしているだけであって、恨みではない。これが現実だと思っただけだ。俺はもう感じなくなっただけ、家族愛も友情も想いも愛も何も感じなくなった。所詮裏切られるのだと。ここで生きて理解したんだ

 

 

だが

 

 

「そんな俺をバカな奴らが側に来るんだ」

 

「っ!?」

 

「俺など放っておけばいいものを、あいつらはひつこく俺の近くに来る。ベル。リリルカ。ヴェルフ。命。アイズ・ティオナ。ティオネ。レフィーヤ。ベート。桜花。千草。ナァーザ。ヘスティア。ロキ。ミアハ。タケミカヅチ。ヘファイストス。など多くの者たちが俺に近づく。なぜこうも俺を友人と呼ぶ。なぜ仲間と俺を呼ぶのか。あいつらのお人好しにも困ったものだと思った」

 

「ジーク・・・・」

 

「リューも。アーニャも、クロエも、ルノアも、本当に俺はこいつら『下等生物』に愛されるのか、友情を抱くのか、理解し難い。だが・・・・・・とても暖かいとは感じる」

 

「な、何を・・・・」

 

「俺は心が薄れている。スキルのせいで強くなる度に感情が無くなるんだ。レベル5になってもう何も感じなくなった、のに・・・・・・・俺はこの仲間を失いたくないと、孤独を捨てたがっている。一人はもう嫌だと・・・・・俺を理解する仲間だけは見捨てたくないと。あれを目の前にしてでも俺は抗う。ああ・・・・・・本当に俺はシルのせいで毒されてしまった」

 

 

フレイヤ同様に人の心の色を見るように、

 

彼女も俺の心をずけずけと入り込んでくる。卑怯な女だと。ずるい女だと。俺はシルのやることにはフレイヤ同様に身勝手だと否定はしている。のに・・・・・いつでも俺は彼女のお願いは聞いていた。彼女が俺を愛しているからなど、頭では理解できないはずなのに、カオス・ヘルツで感情を失っているはずなのに

 

俺は・・・・・嬉しく。愛しかった

 

 

「シル?まさか・・・・あの酒場で働く小娘か?以前カラスの変装してお前がオラリオで過ごす所を見たが・・・・あのフレイヤに似た女か?」

 

「お前がいつの間にかオラリオに侵入して俺の生活を観察していたとは思わなかったが・・・・・ああ。彼女はとても・・・・自分の愛を容赦なしに一方的にぶつけてくる・・・・だが・・・俺にとっては嬉しいものだった。今俺の感情はどのように向いて感じているのかわからないが、少なくとも・・・・・・俺は・・愛されて喜んでいる」

 

 

ああ。本当に愛しくて。何も感じないはずの俺の感情を動かしてくれる。彼女が女神だったら真っ先に俺は彼女の眷属になっていただろう。俺の心にケアを掛けた彼女を俺は愛しているのだろうか。未だにこの心が理解できないが、それでも彼女だけは俺の理解者だと。俺は仲間を守るように心を動かしてくれたのは間違いなく彼女だと

 

俺は彼女が望む存在でありたいと今でも抗う。死んだから彼女に恨まれるから俺は自分の命も含めて生き残ることを望む。口では死んででも倒すと言っているが、本当はそんな覚悟はしないない。彼女の言うことを聞いてただ言う通りに聞いて動いていただけだった

 

でも

 

それが正しいと俺は彼女の正しさを誇っていた。

 

俺は彼女の優しさに正義を感じ。俺はただ・・・・彼女のために動く道具であればいいと思っていた。

 

 

そうすれば

 

 

 

生きている実感が手に入るからだ。何もかも失った俺に、何も得られなかった俺に、何も感じない俺に、希望をくれたのは彼女のおかげだ

 

彼女だけじゃない。信じてくれる仲間が居る。友人だと古い友人も居る

 

 

失いたくないと心が抗った

 

 

必ずこのベヒーモスに勝って、俺はまた彼女に会いに行きたい。彼女の愛で癒されたいと、俺はこのボロボロになった心を武器にしてでも、仲間を守って。全てを終わらせてやると

 

殺戮の愛を捨てて。俺はクリムゾンベヒーモスの前に立った

 

 

だが。その矢先に彼女がとんでもない言葉を出した

 

 

「そう!そんなにもあのシルって子が大事なのね!ならいいわ!クリムゾン・ベヒーモスをオラリオに向かわせてあなたの『大事な彼女』を殺して貰うわ」

 

「っ!!?」

 

「あの小娘が大事なんでしょ!!だったら私が拝みに行ってあげるわ!!あなたを愛したのはこの私だと!!!」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

モリガンの言葉に俺は思考が停止した。力も一気に抜けた。意思を完全に無くした。俺が唯一心の繋がりをくれたシルを殺すとモリガンは宣言した

 

彼女の命が危機に晒されていると思うと、俺は今までの我慢が効かなくなり、彼女が殺される所を想像すると、俺は感情を剥き出すようになってしまった

 

その宣言に俺は・・・・・・・

 

 

 

狂い始める

 

 

 

「に・・・・・く・・・・・い」

 

「は?」

 

「憎い。憎い。憎い憎い。憎い憎い憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」

 

「ジ、ジーク?」

 

 

と、俺はモリガンを睨んで憤怒を巻き起こした。もう俺は感情の制御が不可能となった。次から次へと俺から大事なものを奪うこの女神に、いや・・・・唯一俺の一番大事なものを奪うと言ったこの女神を俺は

 

完全に神に激怒を向けた

 

神は俺から全てを奪う『悪魔』。そんな悪魔を俺が滅ぼしてやろうと、俺の体から黒い雷と赤い闇が体から放出し、顔から怒りの顔を剥き出した。怒りで神も下等生物のように殺そうと俺は自棄になった

 

シルを女神が殺そうと言うのなら俺が排除するしかないと俺は怒りを剥き出してしまった。もう誰も俺を止めることはできない。俺が一番に想っていた者を傷づけることに耐えきれなくなり

 

カオス・ヘルツが自動に発動した。脳内にはこう呟いている

 

 

(憤怒の感情を確認。制御不能。アビリティオールトリプルS。数値限界突破。魔剣解放。ミョルニル三千億ボルト充電完了。ルーンアーマメント自動発動

 

『レアスキル』カオス。ヘルツ発動)

 

 

と脳内で呟いていると、俺は大いに叫んだ。周囲に居る仲間たちが耳を押さえるほどの大きさに

 

 

「憎いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

 

「うわあ!?」

 

「「「きゃあ!?」」」

 

「な、なにい!?」

 

 

『グア!?』

 

 

俺の叫びにより大きな突風を巻き起こした。その突風は大きく。叫んだだけで爆音のように響き突風を巻き起こすなど不可能にも程があるが、その突風がこの砂漠だけでなく、世界に広がった

 

俺の体から雷と闇が空にまで届く。神の送還のように柱になって天に届いた。

 

腰に巻き付けていたパンドラボックスの中から『エギルの髪飾り』が俺の髪の上に勝手に吸い寄せらるように飾られた。その力が重なり、あのクリムゾン・ベヒーモスすらも俺に睨まれていることに怯え驚く。それだけじゃない

 

 

「憎いいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 

「ジーク・・・さん?」

 

「ジーク様・・・が」

 

「お・・お・・・怒ってやがる」

 

「一体・・・ジーク殿に・・何が?」

 

「ジーク・・・・どうして・・・・その風!?」

 

「ジーク・・・て、テメエ・・・」

 

「なに・・・・あれ」

 

「あれがジーク!?」

 

「こ、怖い・・・・ジークさんって・・・あんなに怖いんですか!?」

 

 

『主様!?』

『主様が怒っている!!』

『まずい!主様が怒っては・・・・』

 

 

俺の団員たちが俺の突然の行動に驚き。恐怖を纏って周囲の者たちも怯えさせた

 

この黒い闇を放出している光景を誰もが見た。怪我している腕を抑えているアイズは俺をある自分の目標の復讐対象と『同じ力』だと。俺の力に恐怖もし、なぜその風を巻き起こすのか、彼女は俺の『謎』に気付き始めた

 

だが

 

そんなことはどうもいい。今は憎い。獣のように咆哮し、あの殺戮の女神に断罪を。裁きを下さないと許せないと

 

俺はただ目の前に居る悪に怒りを剥き出すことにしか心に無かった。考えは不要。ただ目の前にいる敵を殺す心だけしかあらず。俺の今の心は負の感情のみ、怒り、憎しみ、妬みと言った。相手を確実に殺すことにしか心に無く

 

 

心臓の位置の胸からどんどん体に広がるようにルーン文字が体から浮かび出る。

 

 

このベヒーモス強化種である。クリムゾン・ベヒーモスを殺すにはこれしかないと、俺は全魔力を使って

 

『禁断のルーン魔術』を使用する。そしてミョルニルを左手に手にして。そのミョルニルを天に掲げた。唱える

 

 

 

「ルーンアーマメント発動!!!蒼天雷帝(トール・エンペラー)!!!」

 

 

唱えると、天から青い落雷が俺に降り注いだ。その落雷に避けることなく、俺はそのまま直撃し、その落雷は大きく。俺の近くに居た者たちがその落雷の衝撃で吹き飛ばされた

 

 

「ジークさん!?・・・う、うわああ!!」

 

「ベル様!?・・うわあ!!」

 

「ジーク!く!」

 

 

「な!?落雷だと!?」

 

「ジークなにを!?」

「まさか自滅!?」

「まだ何かあるのか!?」

 

 

仲間たちも含めて、周囲に居る者たちを俺は落雷で吹き飛ばした。その光る落雷に誰もが眩しくて俺の方は向けなかった。俺はその落雷は自滅するために自分を落としたのではない。その落雷に体を充電し力を貰う。雷を身に纏い。ミョルニルから浮き出るルーン文字が俺の体に流れる

 

ミョルニルから流れたルーン文字がどんどん俺の鎧を変えていく。ルーンアーマメントは『ルーン魔術武装』と言う『神格武装』を装備する魔術。あまりに強力なため滅多に使わないが、俺の母が教えてくれた魔術。こんな時だからこそ使うべきだと、怒りは剥き出しだが使用した

 

そしてこの『蒼天雷帝』と言うのは・・・・・・お袋の鎧。トールの鎧を俺は装着する。青い落雷を浴びるとどんどん俺の鎧が光るように変わっていく

 

 

 

しばらくすると、大きな落雷は消えて、俺の浴びる落雷の光が消えていく

 

 

「ジーク・・・・・さん?・・・」

 

「ジーク?・・・・・・」

 

 

「ジーク・・・・そ・・その姿は!?」

 

 

『まさか・・・・』

『主様・・・・・』

『トール様のルーン魔術を使ったのですか!?』

 

 

落雷の光が消えると、眩しさも無くなり、ベル達やモリガン達が落雷を落とした先を見る。その先には砂漠の地面に大きなクレーターができている。その中心に俺が立っていた。

 

バサバサとマントが風に当てられながら立っている。だが着ている装備が違う

 

 

頭の右には『エギルの髪飾り』その逆には白い羽の髪飾りを身につけている。全身には黄色い肩鎧と胸鎧。銀色の上着とズボン。黄色のブーツ。腰には『メギンギョルズ』と言う銀でできた力帯。そして腕には『ヤールングレイプル』と呼ぶ茶色の籠手。そして背中に赤いマントを身に付けていた

 

そして母と同じ金髪の髪に変色していた。

 

 

「そ・・・その姿は・・・トールの鎧!?」

 

 

そう、モリガンが今呟いたが、これは母トールの鎧。俺は亡き母の鎧を身に付けて、ミョルニルの全開を引き出して奴に立ち向かう

 

 

「クリムゾン・ベヒーモス。お前を排除する!!!」

 

 

彼女に手を出すのであれば、俺は女神でもグランド・ベヒーモスでも許さないと、青い雷を体から放出してクリムゾン・ベヒーモスの前に立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方オラリオ

 

 

「ジーク・・・・」

 

 

豊饒の女主人の店員である。シル・フローヴァは冒険者ではないため、彼女は店内でただ俺の帰りを待っていた。自分には祈ることしかできない。町の復旧作業を手伝いしながら、俺たちの勝利を祈って、ただ待つことしかできなかったこれくらいはわかっていると言うのに、それでも彼女は俺たちが心配だった。

 

それは俺が生きて帰ることを約束できないと彼女も現実をわかっているからだ

 

彼女だって冒険者をしてきた者たちが、ダンジョンで死んだと言う現状を聞かされてもいる為、今そのダンジョンよりも驚異な敵を相手にして生きて帰ることなど保証がないとわかっているからだ

 

 

だから彼女はどうしても心配で堪らない。いつもなら耐えるのに、今度ばかりは敵が壮絶ない強敵だと聞かされているからだ

 

あれから二日ほど俺たちはここを空けて、遠くで戦っているに違いないと彼女は俺たちの戦いを想像していた。無事に帰ってベヒーモスを倒してくれるはずだと、ただ祈るのみだった

 

 

 

すると

 

 

『憎いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい』

 

 

「え!?」

 

 

突然、遠くの方から俺が居るはずの無いオラリオに俺の声が爆音のように響いた。その声にシルは耳を塞ぐどころか、その声を聞いた途端、居ても立っても居られずに、作業から手を動かすのやめて外に出た

 

 

「今の・・・声は!?」

 

「あ、あなたはシル・フローヴァ氏?」

 

「あなたはギルド職員のエイナさん!今の聞こえましたか?」

 

「はい!今の・・・・・ジーク君!?」

 

「はい!まさか!・・・・・ジーク」

 

「どうして・・・・ジーク君の声が・・・ここまで」

 

 

外に出た瞬間、耳を塞いで立っているエイナと偶然出会す。彼女も俺の爆音とも言える声が届いている為、シルはエイナに確認を取り、エイナもこれが俺の声だと彼女もこの声の主がわかっていた

 

だがおかしい

 

遠くに居るはずの俺が、なぜこんな遠くに離れたオラリオにまで俺の声の爆音がここまで届くのか、疑問だからけだった

 

 

「でも・・・どうしてジーク君が・・・」

 

「それは・・・・」

 

 

だがこの声の原因はシルは知っている。その理由を言おうとした瞬間

 

 

 

ドカン!!!!!!

 

 

「「っ!?」」

 

 

突然、東の方向から雷雲が空に浮かんでおり、落雷の音がこちらオラリオまで響いた。オラリオの壁越しからでも見えるほど、東の方の大空は雷雲で染まっている状態。そこから青い雷が地上に何度も降り注ぐ音が今でも聞こえた。こちらは夕日だと言うのに

 

 

「落雷!?どうしてここまで・・・・」

 

 

「あいつだよ!」

 

 

「っ!?『デミ・ユミル』!?」

 

「その名で呼ばれるのは久しぶりだね。まあとにかく、あの落雷はあいつさ」

 

「あいつ?」

 

「シル。あんたならわかるだろ?」

 

「うん!・・・・・・ジーク」

 

「え?ジーク君!?」

 

 

「ジーク・・・・・・また・・・怒っているのね?」

 

 

突然店の中からミアが出てきた。先程の声と今東の遠くから落雷を発生させているのが俺だとミアはわかっていた。そしてこれを発生しているのを一番に知っているのは彼女だった

 

シルもミアも知っている。二年前アレンを殺すそうとして怒った俺の恐ろしさを、俺の怒りは誰も止めることのできない暴走。その怒りが

 

 

地下の階にも続いている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウラノスの間

 

そこにて今オラリオに残っている神々が俺の声に反応している。俺の声がここまで響いていた。本当に信じられない事態に神々も驚いていた

 

 

「これは!?・・・・まさか!?」

 

「この声は・・・・一体・・・」

 

「嘘!?どうして!?」

 

「まさか・・・・・・・・彼なのか?」

 

「なぜ・・・・あの小僧が・・・」

 

「どうしてあの子の声が・・・・」

 

「これは・・・・・・彼が・・・なぜ?」

 

 

「まさか・・・・・・ジーク!!!」

 

 

「ロキ!どこへ行くんだ!」

 

「決まっとるやろディオニュソス!外や!」

 

 

その声と何かの轟音にロキが何かを感じた。ロキはそれをしっかりと確認するために、外へ出た。ここに残る神々は、その声と・・・・・・・・・この『圧力』を推測する

 

今ここに居るガネーシャ。タケミカヅチ。デメテル。デュオ二ソス。イシュタル。フレイヤ。ソーマが心当たりの声と力に感じていた

 

 

「これは・・・もしかしなくても・・」

 

「ああ。トールだ」

 

「でも・・・・どうしてトールの力をあの子が?」

 

「彼があのトールの実の息子だからだろう?デメテル」

 

「だが!・・・・・なぜあの小僧が・・・・ここまで!?」

 

「どう言うことだろうな・・・・・フレイヤ?お前は何か知っているか?」

 

 

「いえ、でも・・・・・・・・・なんであの子が『トールの神威』を出しているかしら?あの子がトールの半神だからかしら?」

 

 

ここからはでもわかる。これはおふくろの神威。だがトール本人とは少し違う神威。圧力と恐怖を感じる。トールの神威はそこまで無かった。だからその実の子である俺から発生している者だと、神々は推測した

 

だが

 

半神であろうと『神威』を出すなど、ありえない

 

確かに俺はトールの実の子だ。だからと言って俺は神ではなく、ヒューマン。人間であることは間違いない。だが・・・・なぜ人間が『神の神威』を出せるなどありえなかった

 

すると

 

 

「ウラノス様!大変です!」

 

「何事だロイマン?」

 

「今イシュタル・ファミリアから連絡が来たのですが・・・・・・・・・ダンジョンのモンスター達が『深層に逃げている』とのこと!」

 

「「「「「!?」」」」」」

 

「まさか・・・・・あの少年の神威にモンスター達が怖気ついたというのか・・」

 

 

「確かに恐怖は感じるが・・・」

 

「まさか・・・ジークの怒りだけで・・モンスターが深層に逃げるなんて・・・」

 

「ありえない。彼は一体何者なんだ・・・」

 

「ジーク・・・・・あなた・・・そこまでの力を何処で・・・」

 

 

神々は驚く。あのフレイヤでも、確かに遠くの方から怒りを感じ、それが神々において危険な力だと危機や恐怖を感じる。だからと言ってまさかモンスター達が俺の神威を感じて逃げるなど、前代未聞

 

こんな遠くから感じる神威にここまで圧迫感があるなど、神々からすればもはやそれ以上神の力そのものでしかない。まさか俺がここまで出すなど神々は想像つかなかった

 

 

「本当にどういうことだろうな。だから・・・・・・私の力を使おう」

 

「ウラノス?」

 

「ふん!」

 

 

ウラノスもこの力が今どのように使われているのか気になり、ウラノスは神の力の一部を使い。今遠くにある場所、『黒い砂漠』の光景を写す。空に渦を出して映像を流した。

 

 

「な!?」

 

「これは!?」

 

「ほう・・・・・やはり光景を出して正解か」

 

「ウラノス。なぜお前が?」

 

「なに私も見てみたくなったのだ。タケミカヅチ」

 

「見たくなった?あいつがトールの息子だからか?」

 

「それだけではない・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの青年が『歴代最強の英雄』になるからだ」

 

 

と、ウラノスは俺が歴代最強の英雄になるのだと、何かの確信を得たからなのか、自分の力を限界になってでも使い。遠くにある光景を、俺が今戦っている黒き砂漠の戦いの光景を無理にここに映像にして空に流していた

 

その光景の映像はここの部屋のみだけじゃない

 

 

 

それは外に居る者達にも流していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バベルの前

 

 

ロキはすぐにウラノス間に出て、東の方の空を見た

 

その空には確かに黒い雲と青い雷が放出していた。その空をロキは知っている。いや、ロキにしか知らない空。天界でもあの雷の空が天界の世界に大きな光を放ったことが幾度もある。その空の下で姉と自分が姉妹同士で喧嘩したことがロキにはある

 

もちろんあの姉を相手に一度も勝ったことはない。あの自分の嫌いだったゼウスと並ぶような豪快な戦い方と雷撃。今その先に自分は見ているとなると、ジークが本当にあの姉の息子だと、今になって実感した

 

そして

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

 

 

「っ!?まさかウラノスか!・・・・・・っ!?あの鎧は!?」

 

 

今ちょうどウラノスの力で空に流された映像をロキは見る。その流された映像に俺が母の鎧を装備し、更には左手にミョルニルを所持しているのをしっかり目で確認が取れていた

 

あの金属でできた黄色い鎧。そしてあの母と同じ美しいとも言える金髪の髪をしていることに、ロキは・・・・・本当に俺が母の力を受け継いでいると、ここから遠くでも姉の力をこの下界でも見ることになってしまった

 

そこへ

 

 

「ロキ様!」

 

「見ているかいあんた!」

 

「ロキ様・・・これは?・・・・ジーク君なんですか?」

 

 

「シルちゃんにミア母ちゃん。エイナちゃんか。ああ。そうや。これはまさしくジークや」

 

「ジークがあのトールの力を使っているってことかい?」

 

「多分なミア母ちゃん。姉貴・・・・・・本当に息子に全てをあげたんか・・・」

 

「ジーク君・・・・」

 

「ジーク・・・・・凄い怒っている・・」

 

「シルちゃんもわかるんやな・・・・そうや。ジークは怒っとるんや。あの二年前同様に・・・・でも何があったんや?ヘルメスが言うてたモリガンに何かされたんか?」

 

 

バベルの前に出てきたロキの所に、シルやミアやエイナがやってきた。俺が今とてつもない異変を起こしているウラノスの映像を見て、何か知らないかと聞くためにここまで来たのだとロキは理解し、彼女達に説明した

 

まあ、説明も何も信じられないことばかりで、ロキでさえも。今の光景に驚きを隠せない

 

甥が姉の力や鎧を身に付けて、今目の前に居るとも言える赤いベヒーモスを相手に、叫ぶように怒っているのだ。そしてあの性格が変わったジークがこんなにも激怒を起こすようなことがあれば、よほど許せないことがあったのだと

 

甥の怒りに理解していた

 

今流されている映像には怒りの顔をしている俺が映し出されている。その光景をロキは久しぶりとも思い・・・・・相変わらず恐ろしいとそちらの方が今心に思っている。二年前疑われたことに恨み尽くして自分の眷属達をボロボロにするところまで半殺しにしたあの時の顔と同じだからだ

 

あの怒りを剥き出せば誰にも止められないと、ロキもカオス・ヘルツの恐ろしさを知っているからだ

 

 

ロキだけには、自分の眼に『幻覚』が見えていた

 

 

それは・・・・

 

 

ベヒーモスに立ち向かおうと立っている俺の背中の横にトールの背中が残像のようなものが見える。二人で一緒に戦おうとベヒーモスに向けて走ろうとする二人の姿

 

ロキにはその俺とここに居ないはずのトールの背中が幻覚が見えていた。俺がお袋の鎧を身につけているからなのか、どうも俺の背にトールの姿の幻覚が見えていた

 

 

「ジーク・・・・・・・本当に姉貴の・・・子なんやな・・・」

 

 

俺が姉の子だと、今になってロキは自覚した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デダインの村付近・臨時テント

 

 

ヘスティア達も今東に広がっている黒雲。ベヒーモスの黒雲とは別の雷雲が今ここにまで広がろうとしていた。そしてその東から俺の声もしっかり聞いていた

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

 

「これは!?・・・・」

 

「まさか!?あの小僧なのか!?」

 

「嘘!?でもこれって・・・」

 

「ああ。神威だ」

 

「それも・・・・トールのね」

 

 

「あの雷雲・・・・間違いない。ジーク君がトールの力を使って何かをしているんだ!」

 

 

ヘスティアは遠くに居ても俺が何をしているのか、眷属だからなのか、俺が今何をしているのか見なくてもわかるようだ。

 

だがそう確信が無くても無用になる。なぜなら今その臨時テントの少し上の空から、ウラノスが渦の映像をこんな遠くにまで流していた

 

 

「っ!?これは・・・」

 

「まさかウラノスが!?・・・」

 

「そうみたいだな。ほら?ジーク君が戦っているぞ?しかも・・・・」

 

 

「ジーク君・・・・・トールの鎧を身に付けている!?」

 

「だからジーク君があのトールの雷を出せるのか・・・」

 

 

デダインの村付近にて臨時テントの空から俺が母の鎧を身に付けて、今から赤いベヒーモスを挑もうとしている光景をヘスティアもウラノスの力で流れている映像を目を離さずに見ていた。

 

これから母の力を使って、赤き巨獣をこれから挑む光景を、オラリオやそうでない近隣諸国も俺の戦いをウラノスの力で出された映像を世界が見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い砂漠にて

 

俺は体に青い電光を身に纏い、発光して辺りを明るく輝かせていた。右には黒い雷が帯びた魔剣グラム。左には青い雷が帯びたミョルニル。二つの特殊武器を使って奴を叩き潰すことには俺は一切の迷いを消し

 

先ほどの傷と消耗が一瞬にて消えて感じなくなり、今シルを殺そうとするこいつを殺すこと以外、何も考えていなかった

 

 

今の俺は完全にバーサーカーとも言えるほど、もう誰の言葉も聞かずに怒り狂っていた。

 

 

「さあ、お前を跡形も無く滅ぼす!!行くぞ!!!」

 

 

雷を纏い。全てを滅ぼそうと全力を挙げて倒しに行く。ミョルニルの全電力を帯びて、俺は空を飛んだ

 

 

「ジークさんが飛んだ!?」

 

「なんで空を飛べるんだ!?」

 

「私の魔道具以外でもジークは飛べるのですか!?」

 

「あれは・・・まさか!?エンチャント!?」

 

 

電光を身に纏っている俺は光速で動けるため、蒼天雷帝をしている間は体に身に付いている雷が俺の体を浮かせている。そのためアスフィのように自由に空を飛べる

 

それにアスフィの『タラリス』よりも、アレンの最速よりも、それを目で見ることができるフィンやシャクティでも見る事のできない速度

 

光速と言う。光の速さと言う異常な速度で俺は自由に飛ぶことができる

 

 

ビュン!ビュン!と、光が走る音だけが響く。その光速で俺は最速でミョルニルでクリムゾン・ベヒーモスの腹の下を叩く

 

 

「はあああ!!」

 

 

ドカン!!!!!!

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??』

 

 

「う、うわああああああ!!」

 

「ベル様!?」

 

『いかん!主様に近づくな!巻き添えを喰らうぞ!』
『今の主様は怒っています!今の主様はもう誰も止められません!』

『あのベヒーモスを倒すまで暴れ尽くします!』

 

 

腹の下をミョルニルで叩かれた瞬間、轟音が響き、ベヒーモスの腹に小さなハンマーで叩かれた跡ができる。

 

その衝撃の突風でベル達は後ろに吹っ飛ばされる。今の一撃で地震が起きるような衝撃を起こす。今召喚されているサラマンダーとノーム とグリフォンが、俺の暴走の巻き添えにならないように全員を下がらせる

 

だがその中でもベルは

 

 

「しかしサラマンダーさん!ジークさんが!」

 

「ベル・クラネル!ダメだ!今のジークに近づくな!」

 

「フィンさん!?」

 

「お前達もジークの暴走の攻撃に巻き込まれるぞ!」

 

「リヴェリア様!やはりあれって・・・・」

 

「ああ。レフィーヤ。アイズ。お前達もわかるだろ?」

 

「まさか・・・・そんな・・・また」

 

「いいから下がれ!お前さん達もジークのカオス・ヘルツに巻き込まれるぞ!」

 

「くそ!あのクソヒューマン!また暴れているのか!」

 

 

 

「滅びろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

フィンとリヴェリアとガレスは俺のカオス・ヘルツの能力を知っていた。感情の怒りを表に出すと、全てのアビリティをオールオーバーしてレベル差があっても相手を圧倒できるパワーを全開で出すレアスキル

 

二年前疑われていたことへの恨みをフィン達にぶつけたことがある。それでフィン達を含めた幹部達を俺は半殺しにしたことがある。その時はアイズとティオナとレフィーヤが止めてくれなかったら俺はあの時フィン達を殺していた

 

その恐ろしい経験をしているフィンは、今怒りで暴走している俺は仲間だろうと敵として認識しているため、俺はもう誰の言葉も聞かない

 

 

今はシルを殺める全てを滅ぼそうと暴れている

 

 

「く!お前達もベヒーモスを援護しろ!」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

モリガンはクリムゾン・ベヒーモスだけに任せずに、マッハとネヴァンとバズヴの妹達にも加勢を入れる。砂漠の地を蹴って飛び、俺の元へ武器を持って挑んで来る。ちょうど今俺はベヒーモスの前に地面に立っている。光速で移動してないなら今なら狙えると俺に迫ってきた

 

だが、それを俺は

 

 

「邪魔するな!!!」

 

「「「っ!?」」」

 

「消えろ!!!」

 

 

「ぐは!?」

「がは!?」

「きゃあ!?」

 

 

俺はまたも素早く光速で動いた。向かう先はベヒーモスと違う方向、マッハたちが向かってくる反対側を飛んだ。マッハ達は決して俺のこの光速では速すぎて反応できず、俺の攻撃をまともに喰らう

 

 

マッハの腹に俺はグラムを突き刺し、ネヴァンには頬にミョルニルを叩きつけ、バズヴには俺の膝蹴りで腹を蹴られる

 

マッハ達三人はモリガンの後ろに吹っ飛ばされた

 

 

「マッハ!ネヴァン!バズヴ!」

 

「くう・・・」

「ああ・・・」

「ぐあ・・・」

 

「レベル6の私の妹達を・・・一撃で!?」

 

 

マッハ達はレベル6、それを一撃で重症に俺は追い込んだ。たった一撃でレベル6の冒険者を重い一撃を与えるなど、レベル5の俺ができるはずもない。だがカオス・ヘルツのおかげでアビリティが異常に限界突破しているため、マッハ達でも軽々に倒せてしまう

 

 

「ベヒーモスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!消え去れええええええええええええ!!!」

 

 

「く!・・・・・ベヒーモス!『熱風竜巻』を出せ!」

 

『ガアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

そしてまたベヒーモスの方に向き合い。俺は再度光速で移動して立ち向かう。図体が余計にデカイベヒーモスでは光速で動く小さい俺を捕まえることなどできず、だからモリガンがベヒーモスに指示をして体から赤い竜巻を起こし、俺の攻撃を防ぐ。だがその赤い竜巻を身に纏っている雷で軽々と突破し。俺の攻撃が集中的に狙えた。そしてミョルニルから放つ電撃砲で打ったり、グラムでベヒーモスの体をあっちこっちを斬り刻んだりと、容赦なく俺はベヒーモスに攻撃をし続ける

 

奴が倒れるまで、俺は体力も気力も尽きる事はなかった

 

 

「はああああああああああああああああああ!!」

 

 

「ジークさん・・・」

 

「ジーク・・・・・」

 

 

その戦闘に誰も加勢できず、皆もう限界になっていた。ベルもアイズも気持ちだけはまだ戦えると諦める事だけはなかった。だが、それでも体がもう限界だと立っていることしかできず、ただ俺の戦いを見ているしかできなかった

 

戦えたとしても、あの赤い竜巻の中突破できるのはジークのみ、もうあの赤い竜巻を突破する魔法も力も無い

 

悔しながら、このまま戦うのを見物するしかできなかった

 

 

「く・・・・僕は・・・」

 

『ベルよ!主を信じろ!』

 

「っ!?サラマンダーさん!?」

 

「あなたは・・・・ジークの精霊の・・・」

 

『剣姫も。主の戦いを見届けよ!主にしか戦えないのなら見届けるべきであろう主人は我らの団長であるのだろう?なら信じて見届けるのは当然であろう?』

 

『はい。私もサラマンダーの言う通りだと思います!』

 

 

何もできずにただ見ていることしかできないと悔しい想いをしているベルとアイズにサラマンダーが一言二人に言う悔しがる想いをサラマンダーが理解しているのか、二人に助言を放った

 

 

『確かにお前達は何もできない。だが・・・・・主はお前たちが今守るべき者があるからあそこまでお怒りになっているのだ』

 

『主様は本当にあなた方を大事に想う心があるからこそ。あれほど怒っているんです!』

 

『主様はあなた方のためにもああやってトール様の鎧を身に纏って戦っているのです。決してあなた方が弱いからではありません、主は今、自分の大切なものを奪われようとしているのです。その者を守るためにも主人は全開を持って戦っているのです。言うなればあのお方は・・・・・団員であるあなた方のためにもああやって無茶をしてでも戦っているのです。それをどうか・・・・・見届けて下さい。大丈夫です。あのお方は負けません。なぜなら・・・・・・・主の背中にはあなた方が居るのです。あなた方が背中の後ろに居るから主は逃げずに戦い。あの赤き巨獣を相手に必死になっているのです。どうか・・・・見届けるようお願いします」

 

 

「グリフォンさん・・・」

 

『ここであなた方が無茶をしてもあのお方は喜びませんよ?』

 

「っ・・・・うん。わかった。見届ける」

 

「はい・・・・・僕も!!」

 

『それにお前達の傷や体力には限界がある。今加勢したところで主様の邪魔にしかなりません。ここは・・・・まだ戦える主さまに任せましょう』

 

「ち・・・・・くそ・・・」

 

 

グリフォンの言葉にベルとアイズは素直に俺の戦いを見届けた。周囲にいる者達ももう戦うだけの力はもう無い。もう俺に任せる他なかった。ベートはもう俺の無茶な作戦によりまだ火傷する痛みが残っている。もう回復薬も尽きた以上。自分にはもう限界だとベートは加勢をすることなく見ていることしかできなかった

 

グリフォン達精霊の助言によりベル達が決して弱いから俺がこんな無茶をしているわけじゃない。俺は本当に今大切な者を奪われようとしているから怒っているからであって、ベル達が弱いからだとか、そんな理由じゃない

 

 

俺の大切な者・・・・・頭では認識できないが、心では少なからずシルだと思っている。俺が彼女を愛しているからだとか、どんな理由で俺は彼女のことを想っているのか、自分でも自覚と認識がわからないでいるが、少なくとも失くしたくない気持ちを想っている

 

だからそれを守ろうと、自分の身を捨てでも俺はやり遂げようとする

 

 

もう俺はシルのお願いは捨てていた。それほど俺は許せなかった。彼女が死ぬ光景を浮かぶと、俺は自我を保ってはいられなかった

 

この灼熱の熱風の中。俺は光速で動くことをやめなかった

 

 

「はああああああああ!!」

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

「な!?熱風竜巻の中でも動けるのか!?いや!・・・・・・・・トールの鎧から発生しているあの身に纏う雷がジークの体を守っているのか!?」

 

 

「消え去れえええええええええええええ!」

 

 

ベヒーモスが体から蒸発させたことにより、赤い竜巻がベヒーモスの周囲に出現し、この灰の砂漠を灼熱地獄に変えていた。ベル達が居る遠くまでは届いてないが、俺はベヒーモスに近づいているため、雷を帯びても熱い熱気を感じる

 

この砂漠に約60度と言うほどの高熱の嵐の中、俺はただ空を飛び、隙が見えれば地上に降りて腹や足を光速で走ってミョルニルとグラムで叩き斬り付けるなど、この灼熱の嵐と蒸発する砂漠の中をただ・・・・・・・ひたすら相手を殺すことしか考えてなかった

 

 

「くう!・・・・はああああああああ!!」

 

 

体は雷を身に纏っていても、全体に灼熱の風を全部防げるわけではない。幾つか背中や足の下からなど攻撃は通っている。防御にかけてはカオス・ヘルツは関係なく。耐久力だけを頼りに攻撃は全部通しておき耐えているのだ。

 

攻撃を重視に上げているこのスキルでは防御は無く。本当に身投げと言うなの捨て身戦法で挑んでいる

 

 

そのカオス・スキルの弱点を

 

 

 

 

 

モリガンが見抜いてしまった

 

 

「ジークは・・・・・防御する気はないのだな・・・・では・・・・・ベヒーモス!こうなっては仕方ない・・・・ジークを角で刺せ!!重傷に追い込んででも手に入れる!」

 

『ガアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

「な!」

 

 

モリガンはベヒーモスに俺を重傷に追い込んででも手に入れようと最終手段の指示を送った。その指示にベヒーモスはすぐに反応をして、顔をこちらに向けて鋭い角が俺の腹に向けて突き刺される

 

 

「ぐ!・・・・がは!!」

 

 

「は!?ジークさん!?」

 

「ジーク!?」

 

『『『主!?』』』

 

 

「ぬん!!」

 

 

腹にベヒーモスの角に突き刺された。背中の後ろまで貫通はしていない。だが例え雷を体に身を纏っていてもその物理の攻撃は防ぐことはできなかった。ベヒーモスの角の先端だけ突き刺され、腹は鎧では無く上着しか身に付けてないなため、お袋の鎧ではない箇所刺されてしまう。ベヒーモスも学習能力があるようだ。俺は痛みを感じて口からは吐血を吐き出した。母の鎧を俺の腹から出る血で汚してしまった

 

そしてミョルニルで刺された角を叩き割って、空を飛ばずにすぐに地面に着地する。腹に刺さった角を取り出した。流石のこの痛みでは耐えることはできず、すぐに空を飛ぶことができなかった

 

 

「はあ・・・はあ・・・」

 

 

「今だ!ベヒーモス!」

 

『ガアアアアア!!』

 

 

「っ!ぐは!!」

 

 

俺は地面に着地して弱っていたところを狙って、モリガンはベヒーモスにさらに指示を送り、ベヒーモスは俺を右足で蹴り飛ばされた

 

 

「ぐ!!」

 

 

「今だベヒーモス!身に纏う雷は消えた!熱風竜巻で焼かせ!」

 

『ガアアアアア!!』

 

 

「っ!ぐわああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

「ジークさん!?」

 

「ジーク!?」

 

 

俺はベヒーモスの蹴りにダイレクトに直撃し、そのせいで身に纏っていた雷が消えてしまい。モリガンが更に追撃を掛けようと身に守る雷の防御壁が消えたと確認すると、熱風竜巻と言う赤い竜巻が空の上に降っててきた

 

俺はその灼熱の竜巻に焼かれ、俺の体がどんどん火傷をしていく

 

 

「ベヒーモス!そこまでだ!」

 

『ガア!』

 

 

「ぐ・・・ああ・・・・・ぐう」

 

 

モリガンはもう十分だと思い。熱風竜巻を解いた。その竜巻が止んだ時には俺の体はさっきよりの火傷よりも酷い傷と火傷も跡が体中にできていた

 

その傷のせいで俺は体が動くことができなかった

 

その光景にモリガンは・・・・

 

 

「ふふふふふふふふふ、ふははははははは!!ふははははははははははははははははは!!ジーク!これでわかっただろ!お前は私の愛を大人しく受け取っておけばいいのだ!これで理解しろ!お前は私を愛していればいいのよ!」

 

「く・・・・・」

 

「ベヒーモス!ジークを連れてけ!」

 

『ガア!!』

 

 

 

「ジークさん!・・・ぐ!?」

 

「ジーク!・・・は!?」

 

「他の者には熱風竜巻で近づかせるな」

 

『ガアア!!』

 

 

モリガンに完全に敗北してしまった。立ち上がることができない。俺はもう倒れたまま力尽きた。その弱まっている俺をベヒーモスがゆっくりと近づく。それをベルやアイズ達が加勢するが、モリガンはそれくらいわかっているため、数多くの熱風竜巻を出した。決して俺に近づかせないために

 

もはや完全敗北だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景をデダインの村とその付近のテントでは、ウラノスの映像によりしっかりと見ていた

 

 

「そんな!・・・」

 

「くう!モリガンめ!」

 

「何か方法は?」

 

「いや・・・・・そんなのは無い。完全に俺たちの負けだ・・・」

 

「むう・・・・」

 

 

「そんな・・・・ジーク君・・・・」

 

 

俺が倒れている光景を見て、ヘスティア達神々が絶望をしていた。もちろんそのデダインの村のエルフ達も。もう誰もクリムゾン・ベヒーモスに勝る者は居なくなったと希望を無くした

 

 

だが

 

 

「頑張れ!!!ジークお兄ちゃん!!!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

「君は・・・・・・エルフの子供!?」

 

 

希望を終わらせまいと世界の命運を賭けている俺にデダインの村のエルフの小さな女の子が応援をした。その声に更に違うエルフの子供達が・・・

 

 

 

「頑張れフレイ様の義弟様!!」

 

「フレイ様のように負けるな!!」

 

「勝って!勝ってよ!お兄ちゃん!!!」

 

 

「これは!?・・・・・」

 

「エルフの子供達が・・・・・応援している!?」

 

 

この光景を認めようとしないからなのか、それとも希望を作ろうと自分たちだけにしかできない応援をして俺に勝ってもらおうと願っているのか、応援する声をやめなかった

 

 

「君たち・・・・・」

 

「何しているんですか村長!!」

 

「僕たちが応援しなきゃ。フレイ様の弟様もあのモンスターに勝てないよ!」

 

「お兄ちゃん言っていた!『お前たちは勝利を祈ってくれ。そうした方が戦意が上がるから』って!お兄ちゃん言ってた!だから僕らも応援するんだ!お兄ちゃんが勝つために!!お兄ちゃんが世界を救うために!」

 

「頑張れ!お兄ちゃん!」

 

「ジークお兄ちゃん!!」

 

 

「君たち・・・・・・」

 

 

「ああ・・・・・そうだよね・・・」

 

「ヘスティア?」

 

「僕も間違っていた。そうだ・・・・主神たる僕自身が信じなくてどうするのさ!そうだ!立てジーク君!!こんなところで終わるな!!!」

 

 

ヘスティアはエルフの子供達に気づかされた。そうだ。ここで諦めてはダメだと。主神たる自分が、自分の眷属たる子供を信じないで、何が主神だと。ヘスティアは自分の頬を叩いて目を覚まし。ヘスティアもウラノスの映像に向けて応援をし出した

 

その光景に、他の神々も応援を始める

 

 

「そうじゃ小僧!そんなクソ女神に負けるな!!」

 

「ディアン!?」

 

「何をしているミアハ!貴様も応援しろ!あのモリガンに何もかも奪われてもいいのか!ワシは御免だぞ!ワシはあの小僧がモリガンを倒すと不本意ながら信じているぞ!」

 

「ディアン・・・・ああ、そうだな。ジークよ!立て!お前はここで終わる者ではなかろう!」

 

「立ちなさい!!あなたの熱い心を!!トールの息子としての意地を!私の左目に見せなさい!」

 

「トールの息子よ・・・・・戦え・・・・そして勝つのだ」

 

 

「ああ・・・・ゴブニュまで・・・・・ふん!立つんだ!君が新しい・・・いや!君が最強の英雄になって世界を救うんだ!!!!」

 

 

最終的にヘルメスまで他の神に吊られて応援し出す。もはや待つ者達ができるのはこれくらいしかなかった。でももう彼しかいないと、デダインの村に残る者達は俺をウラノスの映像に向けて俺に声が枯れることのない声で応援した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてオラリオでも、その光景に声を上げる者がたちが続々と現れた

 

 

「立て!ジーク!!」

 

「ジークお兄ちゃん!!」

 

「戦えスキールニル!!」

 

「勝て!!ジーク・フリード!!!」

 

 

「「「「「「ジーク!ジーク!」」」」」」

 

「「「「「「スキールニル!スキールニル!」」」」」」

 

 

「す、すごい!?」

 

「みんなあいつに全部託しているのさ・・・」

 

「みんな・・・・・ジーク・・・・ここで終わっちゃダメや!!!」

 

 

誰も彼もがこんな絶望の光景に挫けることなく、世界の命運をいつの間にか託された俺に、声を上げて発するように応援を続けるオラリオの市民達。誰も彼もが俺に全てを託し。必ず勝ってと祈りが舞い上がる

 

 

その地下のウラノスの間では

 

 

「なんだ?」

 

「地上でオラリオの市民がジークに応援しているようだな・・・・イシュタル」

 

「ジーク・・・・勝って」

 

「ああ。勝つんだジーク!君はここで終わる男ではないはずだ!」

 

「そうだ勝てジーク!お前の戦士の意思を見せろ!」

 

「ガネーシャは応援しているぞ!」

 

「ジーク・フリード。お前はこんな終わり方はしないはずだ。もう一度立って戦って見せろ」

 

「たく・・・・・・立ちな坊や!あのトールの息子なんだろ!だったら立て!」

 

「ジーク・・・・・・・・負けちゃダメよ」

 

 

「トールの息子。ジーク・フリード。貴様の力を見せてみろ・・・」

 

 

他の神々も俺の勝利を祈っていた。あのフレイヤやイシュタルでさえも、ウラノスは俺の戦いに期待をしているようだが、それでも勝利すると自分の思い込みを曲げずに俺が必ず勝つと、オラリオに残る神々も勝利を俺に託していた

 

 

ウラノスの流れる映像が世界に届いているのか、世界の誰も彼もが俺を応援し、勝手ながら世界の命運を全部俺に託している

 

 

 

 

 

そんな声を上げる中

 

 

シルは

 

 

「ジーク・・・・・・ジーク!!!」

 

 

その中で静かに両手を指の間に入れ合わせ、祈る様に眼を閉じたシルも。静かに大きな声を出さずに、遠くに居る俺の心に掛けるように、俺の名前を呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が

 

 

『ジーク!!!』

 

 

「っ!?シル!!」

 

 

その声が心から聞こえるからのか、彼女の声がしっかりと聞こえ。俺はこんな所で終わるわけにも倒れるわけにもいかないともう一度傷だらけでも立つ

 

 

「ぬうう!!」

 

 

『グウ!?』

 

「なに!?」

 

 

「ジークさん!!」

 

「ジーク!!」

 

 

体はもう限界を迎えているにも関わらず、俺は無理にでも立った。まだ負けるわけにはいかなかった。世界なんてどうでもいい。俺が戦う理由は世界の命運ではないのだから。俺が戦う理由は常に一つ

 

それは

 

 

「彼女だけは絶対に手を出させない!!例えこの身を滅ぼしてでも!!俺が!!・・・・・・絶対に守る!!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

シル・フローヴァと言う少女とベル達仲間と言う大切な者達を守るため

 

 

その想いを全面に出し尽くす。これは俺の無くしたはずの感情。前面に出される。それは愛

 

ああ。そうだ。この愛を俺は無くしていた。そして今。彼女の声でやっと理解したんだ。俺は彼女を愛していたんだと。自覚になかったが。今になってわかってしまったんだ。これが愛なんだと

 

 

これが愛しているのだと、理解したから

 

 

 

俺の謎のレアスキル『フレイ・リーベ』が発動し、体が桜色の光に発光する。その桜色の光が俺の体から放出した。その光にモリガンは眼を眩しくて目を瞑る

 

 

「な!?・・・なんだ!?この光は!?」

 

『グウウ!?』

 

 

「え!?」

 

「なに!?・・・・・この光!?」

 

「ジークから流れるこの光はなんだ!?」

 

 

俺の桜色の光が黒い砂漠を照らす。それは太陽のように、誰も目が当てられないほどの眩しい光。俺の体から放出したこの光は、この世界を照らす新たな希望。この光は俺の今の心。この心の底から力が漲る。

 

その心が俺に伝わる

 

 

シルを守るために救えと

 

俺はグラムとミョルニルを再び構えて放つ。第二撃目のルーンブレイクを

 

 

 

「ルーン・ブレイク二撃目発動!!ヴォルスング・サガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 

俺はその発光した体のまま。グラムとミョルニルの両方からそれぞれ先端の先から黒い電光砲と青い電光砲を放射した。ルーン・ブレイクを二回も使ったのだ。その大きな電光砲によりクリムゾンベヒーモスはまともに直撃し、体全体にその光線を腹で喰らい。後ろ数十キロまで吹っ飛ぶ

 

そのおかげでベル達を襲う熱風竜巻が止む

 

 

その吹っ飛ばされたベヒーモスは、今のヴォルスング・サガの砲撃により、体の鱗や毛などが剥がれつつある。体の隅々を崩すことができた

 

 

『グウウ!!』

 

 

吹っ飛ばされ地面に倒れたベヒーモスはすぐさま立とうと四本足を地面に着けて。しっかり立とうとするが

 

 

「させるか!!」

 

 

『ガアアアア!?』

 

 

俺はもう二度と立たせず逃さないために、動きを封じるためグラムとミョルニルを天に投げた。その天から落雷が落ちるように奴の背中の上に落ちた。グラムが突き刺さり。ミョルニルに叩き込まれる

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

 

それとただ天に投げたわけじゃない、俺が天に投げたのは天にある雷雲に投げて電力を今投げたグラムとミョルニルに雷を帯びるため、そのため雷を帯びたグラムがベヒーモスの背中を突き刺さっているため、体内に突き刺さっている刃の先端から雷をベヒーモスの体内通して痺れさせる。

 

更にミョルニルにはる特殊な能力がある。それは持ち主を選び。それ以外は持たせず。誰も持てない重量になると言うこと。つまりは・・・・今ミョルニルの下に叩き付けられているベヒーモスは、俺が手に取らない限り、立ち上がることが絶対に不可能な重さの状態になりベヒーモスは立ち上がることができない

 

 

もうベヒーモスは完全に小さな武器二つに身動きが取れない状態となり、地面に這いつくばっている状態だ

 

 

「これでもうお前は動けない。これがお前の最後だ」

 

 

武器を手放したとは言え。これで奴は動くことができなくなった。これでやっと俺は・・・・・・・・・

 

 

やっと奴に止めを刺すことができる

 

 

今武器を手放してはなにもできないかもしれないが、そんなことはない。武器ならまだある。それはヒューマンにしかない最強の武器。

 

それは

 

 

拳だ

 

 

拳があればベヒーモスを完全に息の根を止めることができる。俺はその拳で止めを刺そうと、右手を下に向けて手のひらを拳にして。肘を左手で抑え、体や今天にある雷雲から

 

雷を名一杯。全てを出し切る勢いで右手に集めた。これは母が俺にくれた『第二のルーン・ブレイク』。母の究極なる一撃

 

 

「ルーン・ブレイク三撃目発動!!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

天から、体から、全ての世界にある雷全てをこの右手の拳に集める。この砂漠を雷によって吹き飛ばすほどの威力を。今この砂漠をこの世界から消し去ってしまう一撃を

 

母が授けてくれた。天界最強の雷の鉄槌を

 

 

 

あの赤き巨獣を砕くために

 

 

俺は桜色の光を纏い。ベヒーモスに向かって天に飛んだ

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

俺は右手に溜めた雷を持って、大きく天に飛んで落雷が落ちるように地面に光速で落下する。そしてベヒーモスの顔に叩きつける

 

 

 

 

 

「砕け散れ!!!トールハンマーーー!!!」

 

 

 

 

 

バゴン!!!!!

 

と、ベヒーモスの顔が歪むように俺の拳が叩きつけられた。そしてその叩きつけられた拳の跡から、大きな爆雷が発生する

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

 

 

ベヒーモスの顔から大きな爆雷がベヒーモスの体すらも飲み込むほどに広がり、その爆雷はこの砂漠一帯も広がろうとしていた。そして地面らも大きくどんどんベル達の方まで崩れていく。地面の灰がどんどん広がるように舞った

 

 

「まずい!!全員衝撃に備えろ!!!」

 

「うう!!」

 

「くう!!」

 

 

「な・・・な・・・そんな・・・・バカなああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

フィンの掛け声により、全員俺のトールハンマーの衝撃に備え。地面に這いつくばり吹っ飛ばされないように、地面に武器を突き刺してしがみ付いた

 

モリガンはその大きな一撃に唖然を尽くしてしまい。なにも衝撃に備えないままだ突っ立っていたまま、光の爆破に飲み込まれた

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

と、大きな青い雷光の爆発が広がる。それは天にも届き。オラリオからでも見えるほど。まるで世界の半分をこの光の爆破で破壊するかのような一撃の大きな光を世界中の神々や生物達が見た。トールハンマーの一撃は母の一撃。アルカナムと言わんほどの力がある必殺技を使ったのだ。俺はベヒーモスを滅ぼすだけでなく。

 

その砂漠全体をも吹っ飛ばしてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬう・・・・」

 

「止んだ?・・・」

 

 

しばらく数分経つと、光の爆破は消えた。地面は大きく割れ。天は完全に黒雲は消えていた。ベルやアイズ達は灰に埋もれていた。体に付いた灰を払って立つ

 

そして目の前には

 

数十キロあるほどの大きなクレーターができていた。そこに・・・・・ベヒーモスの姿は居なかった。そして俺の姿も・・・

 

 

「な!?ジークさんは!?」

 

「あ!あそこ!!」

 

「っ!?ジークさん!!!」

 

 

電光の爆発が消えた後。俺は拳を振りかざしたままクレーターの中心に立っていた。黒い砂漠のクレーターには俺以外何も残って居なかった。もうドロップアイテムすらも無い。あるのは・・・・・今俺が立っている周りのクリムゾン・ベヒーモスの灰のみ。俺以外は何もなかった

 

 

「はあ・・・はあ・・・はああ・・・はあ」

 

 

俺は息を切らしたまま。振りかざした拳を下ろし、空から降ってきた魔剣グラムとミョルニルを掴み。天から光を浴びて、ミョルニルを空に掲げた。もう俺の感知に奴は感じない。それは倒されたと言うこと。そしてもう脅威になるモンスターも気配も無い

 

これは完全なる我らの勝利。その確信のある証拠に俺は・・・・・・・・

 

 

勝利の宣言をした

 

 

「クリムゾン・ベヒーモス討伐完了!!!!!ミッションコンプリート!!!!」

 

 

今度こそ俺たちは勝った。モリガンの操る巨獣達を見事討伐したのだ。犠牲も多く出たが、その分の復讐は今果たせた。その勝利の宣言に

 

ベルやアイズ達はしっかりと聞いていた

 

 

「ジークさんが・・・・・」

 

「勝った・・・・・・・・」

 

 

「ああ!みんな!ジークがクリムゾンベヒーモスを一人で倒したぞ!!!」

 

 

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」

 

 

フィンの掛け声により、今度こそ勝利したと確定した。皆大いに喜び。勝ち鬨を上げた。もう新しいベヒーモスも用意されていない。俺たちはベヒーモスを一気に二体も倒し、世界を救えたのだ

 

モリガンの悪の手から、救えたのだ

 

 

 

そしてそのモリガンは

 

 

「ジーク・・・・どうしてよ・・・・」

 

 

俺の隣にすぐに現れた。いつの間にそこに居たと言うほど近くに。少し服がボロボロになっているが。彼女もまだ生きていた

 

 

「ジーク・・・・私はこんなに愛しているのに・・どうしてよ」

 

「モリガン。お前の愛は受け取ることができない。お前が殺戮の女神じゃねければ愛していたのだが、殺戮から生まれるその歪んだ愛は受け取ることができない・・・・・俺は癒されてしまったのだ・・・・シルに」

 

 

そうだ。モリガンの愛よりも、俺はシルの愛を選んでしまったのだ。カオス・ヘルツで何もかも無くしたはずなのに、俺は・・・・・・・シルが愛しくなってしまったのだ

 

 

「うう・・・・・ジーク!私は諦めないぞ!」

 

「ああ。何度でも来い。何度でも俺はお前に勝ってみせる。そして俺の心は・・・・シルの愛で満たされている」

 

「く!何度でも邪魔してやる!今回は勝ちを譲ろう!次こそはお前は私が貰う!」

 

 

そう言ってモリガンはまたカラスに変身した。変身したと言ってもグリフォンと同じ大きいサイズになってマッハ達を足で回収して。更に南へと空を飛んで逃げていった

 

 

 

「ふう・・・・・・ああ・・・・・終わったな」

 

 

モリガンが居なくなると、安心したのか一気に力が抜けた。モンスターの気配が消えた。天から・・・・太陽の光を浴びて立ったまま深呼吸をしていた

 

いつもの空になって安心していたのだ。心が無いくせに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デダインの村と付近臨時テント

 

 

「やった・・・・・やった!!!ジーク君が勝った!!!」

 

 

「本当にやったわ!なんて子なの!一人でベヒーモスを倒すなんて!」

 

「ああ!流石はトールの息子だな・・・」

 

「まったく・・・・なんて小僧じゃ」

 

「うむ・・・見事だ・・・・ジーク・フリード」

 

 

「ああ。お見事だジーク君。本当に君はすごいよ・・・・・・・・・・・これで新しい『英雄譚』の歴史を世界に刻んだな。それも最強の・・・・・ゼウス・・ヘラ・・・悪いけど・・・君たちの孫よりも先に英雄になった子が出てきたぞ・・・・それもトールの息子だ」

 

 

「彼らは・・・・やったのだな」

 

「ジークお兄ちゃん!ありがとうーーーーーーー!!!」

 

 

俺の勝利をウラノスの映像で勝利の宣言をしっかりと見ていた。

 

ヘスティア達も喜び。デダインの村のエルフ達も泣きながら喜んだ

 

ヘルメスはやはり確信していたと、俺の凄さを大きく評価していた。やはり自分の確信は本物だったと自分の思い込みをバカみたいに信じて良かったと喜んだ。新しい英雄譚ができたと、未来がより楽しみになってきたからだ

 

特に・・・・あのゼウスとヘラが全力でなきゃ倒せない敵を、俺がただ一人で倒したなど、前代未聞の喜劇

 

英雄譚に刻まないわけにはいかなかった

 

 

「トール・・・フレイ・・・天界で見ているかい?君の息子と弟が・・・この下界を救ったよ・・・・ジーク君が英雄になったんだ」

 

 

ヘスティアは小さい声で天界に居るトールとフレイに俺が世界を救った英雄になったと小さい声で天に向かって言った

 

嘘つき冒険者と呼ばれた俺が・・・・・英雄になってしまったのだ。

 

彼女としては喜ばずにはいられなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラリオ

 

 

「「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

「やりやがった!ジークが一人で倒しやがった!」

 

「マジかっけえよ!スキールニル!」

 

「流石はトールの子ね!」

 

「あのベヒーモスを一人で倒すなんて英雄だ!」

 

「雷帝だ!トールの息子である雷帝だ!!」

 

 

「「「「「雷帝!!雷帝!!雷帝!!!」」」」

 

 

オラリオの市民もウラノスの映像を見て勝利の宣言を目を瞑ることなくしっかりと見ていた。神会で神々が二つ名を決めたわけでも無いと言うのに、誰も彼も俺をトールの息子だから雷帝と読んで英雄の名前として呼んだ

 

 

「は!やるじゃないか!」

 

「うん!すごいで・・・・・ジーク!!ホンマにすごいや!本当に姉貴のようにかっこよかったで!!」

 

「すごいよ!ジーク君!!!・・・・本当に良かった!!」

 

 

ミアもロキも俺のベヒーモスに勝ったことに喜ばずにはいられなかった。歓喜は大きく流れた。ロキは更に泣いていた。甥が一人で世界を救う姿を見て喜ばずには居られなかった。血の繋がった家族が英雄になったとなれば喜ばないわけにはいかない

 

 

そして

 

 

「ジーク・・・・・頑張ったね!!」

 

 

シルも大きな涙を流して喜ぶ。俺が今まで幸せなことが何もなかったとシルが一番知っていたからこそ喜んでいるのだ。嘘つきと呼ばれ、神にも憎み。全てを憎んだあの日から・・・・今日に至るまで幸せなことはほぼ無い

 

そして今。その痛みがここに幸せを運んでくれたかのように、今まで我慢した甲斐があったはずだと、シルは俺が英雄になることを歓喜した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウラノスの間

 

 

「なんて奴なのよ・・・・」

 

「見事だ・・・・ジーク。流石フィルヴィスの友人だ」

 

「ええ!すごいわ!」

 

「ガネーシャは感激だ!!」

 

「まさか・・・本当に勝つとは・・」

 

「頑張ったわね・・・ジーク」

 

 

「どうだウラノス?ヘスティアの眷属とトールの息子はすごいだろ?」

 

「ああ。そうだなタケミカヅチ。トールの息子はよくやった・・・・・トール・・・フレイ・・・・・お前達の実の子がやり遂げたぞ」

 

 

そう言って、ウラノスも含めた神々が俺の予想外の勝利に驚いた。あの三大冒険者クエストの一つを・・・それも強化種を一人で戦って倒して勝ったのだ

 

これは英雄譚になると間違いないと、ウラノスもゼウスとヘラの成し遂げた英雄譚を超えた歴史の出来事になると。今ここに居ないトールとフレイに小さく告げた。新たな物語になったと。より俺に興味を示し始めたウラノスだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い砂漠

 

 

「はあ・・・・はあ・・・・・」

 

 

「ジークさん!」

 

「ジーク!」

 

「ジーク・・・・・君はすごいよ。君は英雄だ・・・」

 

 

「どうでもいい。とにかくミッションコンプリートだ。終わったぞ・・・フィン。これでもうベヒーモスは完全に滅びた。モリガンは・・・逃してしまったがな・・」

 

 

俺はフラつきながらもフィン達のところまで歩き。俺は勝利報告とドロップアイテムの有無と元凶たるモリガンを逃してしまったことも、ひとまずは一件落着だと。一安心していいと報告した

 

そしてその間にベル達がゾロゾロと周りに集まってくる。先ほどの俺の戦いに功績を上げてきた

 

 

「ジークさん!すごいですよ!本当に!」

 

「ジーク様!本当にすごいです!」

 

「ベヒーモスを一人で倒すなんてすげえじゃねえか!」

 

「流石トールの息子です!ジーク殿!」

 

 

『『『主!お疲れ様でした!』』』

 

「ああ。そうだな・・・・」

 

 

戦闘を終えた俺をベル達団員だけでなく、アイズ達も知らない奴も含めて俺の所まで集まってきた。ベヒーモス強化種を一人で倒したことへの褒め言葉が飛んでくる

 

 

「すごいよジーク!本当に一人で勝っちゃうなんて!」

 

「あんたのカオス・ヘルツは本当に相変わらず恐ろしいわね」

 

「ジークさん本当にすごいです!」

 

「本当にお前は無茶する男だ・・・・だが流石はフレイ様の義弟だ」

 

「け!またテメは勝手に手柄を持っていきやがって・・・・・だが・・・テメエはよくやった」

 

「うう!ジーク・・・・本当にすごいっす!」

 

「なんでラウルが泣いてんのよ?」

 

「でも・・・すげえよお前!」

 

「フレイ様の義弟のだけはあるわ!」

 

「ジークさんすごいです!」

 

 

「まったく・・・・・二年前同様に無茶する奴だ・・・・だが・・・見事じゃ」

 

「ああ。フレイ様がお前に全てを託す意味が・・・・今になってやっと私も理解したよ」

 

「ああ・・・・・ジーク・・・・君は本当にすごいよ。二年前とは遙に違いすぎる。そう思うだろオッタル?アレン?」

 

「ああ・・・・・フレイヤ様の兄君の義弟だけのことはある・・・・・今度ばかりは見事だった・・・」

 

「ち!・・・・認めたくはねえが・・・・・テメエはやっぱりクズじゃねえ・・・・あのお方が認めるだけの才能はありやがる」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

などと多く者たちが言ってくるが、俺はやるべきことを果たしただけであって、そんな褒められる程では無い。俺は怒って戦っただけ。モリガンの企みを完全に破壊するために、母から教わった魔術と必殺技を使っただけ。俺の体の中にある血は母の細胞でもある。俺がトールの息子であるからこそ得た力

 

それを使ってクリムゾン・ベヒーモスを倒しただけ。言うなら・・・・母が俺に全てを授けてくれたから倒せただけのこと

 

今回の手柄は俺一人じゃない。俺の背中の後ろで共に戦ってくれた母の面影があったからもある。俺は・・・・・・一人で戦ったわけじゃない

 

 

もう戦闘も終えた為、そろそろ眠ろうとする

 

 

「フィン。すまないが後はもう任せてもいいか?」

 

「え?」

 

「俺も疲れた。就寝させてくれ」

 

「そうだね・・・君は本当に頑張ったしね」

 

「では・・・頼む」

 

 

そうして左腕に持つミョルニルを首に掛けてあるチェーンネックレスに小さくして取り付ける。エギルの髪飾りを頭から外し、そしてルーン・アーマメントを解く。光になって鎧は消えた。金髪も徐々に元の青髪に戻っていく

 

俺の姿が完全に元の装備の鎧に戻ると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

と、俺の体から大量の血が吹き出した。その血が俺の前に居るフィンやベルとアイズの顔に掛かってしまった

 

 

「え?」

 

「え?ジークさん?」

 

「ジーク?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

バタン!!!

 

俺は目を瞑ったまま後ろに倒れた。頭や眼や口からも大量の血が流れ出していた。実はもう限界だったのだ。あれだけの攻撃を全部まともに直撃したのだ。防御は完全にしなかった俺は死ぬ寸前まで戦っていたのだ

 

その限界がもう来たようで、目を瞑りながら倒れた

 

 

「ジークさん!!」

 

「まずい!!なんて出血量だ!?ヒーラー!早く来てくれ!!!」

 

「ジーク!こんなに無茶をしていたの!?」

 

 

すぐさま俺を治療しようとヒーラーたちが急いで俺の所にやって来た。アミッドとナァーザが俺の傷を確認するために上半身に身に付けていた鎧と服を剥がした

 

 

「な!?体がほぼ抉られている!?」

 

「嘘!?・・・・・なんでこれで息しているの!?」

 

 

体には大量の傷穴があった。そこからあり得ないほどの出血量を流れ出し、普通ならもう死んでいる他ないほどの屍の体になっていた。なのに俺はすう・・すうと就寝していた。風穴が空いた傷を無視するかのように

 

俺にとってこの傷は戦争終わった後もこれが当たり前の傷だと、捨て身戦法ばかりをして当然の傷だと寝ている間に勝手に治るものだと。いつものことだと思って俺は自分の傷を治そうとしなかった

 

 

だが流石にアミッドもナァーザも医療ファミリアの団員として、これだけの傷を放っておくことはできない。治そうにも回復薬は先ほどで切らしている

 

 

その為

 

 

『アミッド様!ナァーザ様!私の背中に主と共にを乗ってください!全速力でデダインの村に戻りましょう!』

 

「はい!行きましょう!」

 

「ジーク!少しだけ耐えて!」

 

 

「すう・・・すう・・・・」

 

 

「なんで寝れるの!?」

 

『主様はその重傷の体を何度も味わっていますから・・・・その状態でも寝れるのです!』

 

 

アミッドもナァーザも俺を背負ってグリフォンの背に乗る。流石にグリフォンもいくら戦争経験で傷を深く入れられている経験をしているとは言え、本当にこのままだと死んでしまうと。俺をデダインの村に連れていきミアハたちに治療させようと全速力でグリフォンは飛んで急ぐことにした

 

 

『先に行きます!ベル様!』

 

 

「はい!ジークさんをお願いします!!」

 

 

そうして先にグリフォンは俺を乗せたアミッドとナァーザを乗せて先にデダインの村に帰還する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デダインの村

 

 

『ヘスティア様!!ミアハ様!!』

 

 

「っ!?グリフォン君!?」

 

「誰か乗っているぞ!」

 

 

グリフォンがデダインの村に着いた時にはちょうど真下にヘスティアとミアハが居た。すぐに着地し。アミッドとナァーザが背負っている傷だらけの俺を二人に見せる

 

その酷い状態に唖然しながらも俺の容態をヘスティアとミアハは近づいて確認する

 

 

「ジーク君!?」

 

「これは酷い!すぐに緊急手術をせねば!アミッド!ディアンを呼んできてくれ!」

 

「はい!」

 

「ミアハ!ジーク君は助かるんだよね!?」

 

「ああ。ありえないことに息はしている。と言うより・・・なぜジークはこの状態で寝ているのだろうな・・・・」

 

 

ミアハはすぐに俺たちヘスティア・ファミリアのテントにて緊急手術を開始する。ヘスティアは無事に助かることを祈って見守っている。助かると言っても、俺は体に風穴が空いても平然と寝ているのだ。助からない訳が無い

 

だがこんな死んでおかしくないほどの出血量を出していると言うのに、それを平然となんともないかのように俺は意識を無くしていると言うより息をするように就寝している俺の無神経さに、ミアハは驚かずに居られなかった

 

 

その後。ミアハとディアンケヒトのファミリアで俺の治療の緊急手術を開始する。俺たちが帰って来た時のための回復薬も大量に作ってあった。それを全部使ってでも俺の命を助けようとしていた

 

まあ助けるも何も。俺はただ寝ているのだから助かるに決まっている。ちなみに手術しながらでも俺は『すう・・・すう』と就寝していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

寝ている間に何かと体が軽く感じた。痛みはまだ少し感じる。だが・・・・心が何か一つ感じなくなっていた。それは『自分の価値観』。それを感じなくなっていた。自分のことだと言うのに自分の命の価値を感じない。また俺はカオス・ヘルツにより『悼み』の感情すらも無くしていたと理解した

 

だからクリムゾン・ベヒーモスが倒して体が屍のように死にかけても。俺は自分の体を治そうとはせずにそのまま就寝したとなると、俺は本当に愚か者になったと寝ていて感じる。おそらくランクアップしていると確信している。カオス・ヘルツは一つ感情を失うことにランクアップする仕組みになっているからだ

 

 

だが

 

 

『ジ・・・ーク・・・君』

 

 

聞こえる。彼女の声が・・・・・・ヘスティアの声が。

 

 

『ジーク・・・君』

 

 

人がせっかく寝ていると言うのに。それを叩き起こすとは・・・俺たちの主神は本当に人騒がせな女神だ。まあだが十分就寝ができた。体の痛みは少し和げた。そろそろ起きようと

 

眼を開けた

 

 

「・・・・・」

 

 

「ジーク君!!」

 

「ヘスティア・・・・・・ここは・・・・俺たちのテントか?」

 

「うん!そうだよ!本当によかった!無事で!」

 

「あ・・・」

 

 

起きた瞬間、隣にはヘスティアが居て、俺が寝ている周囲を確信したら、デダイン村付近に設置した臨時テントのヘスティア・ファミリアのテント内だった。起きたらすぐに彼女に抱き着かれ。俺は彼女の背中を優しく撫でようとしたら

 

俺の腕は包帯だらけで巻かれており、上半身や頭。ズボンの下にも全体で包帯が巻かれている状態になって寝ていた

 

寝ていた間をヘスティアに聞く

 

 

「俺はあの後どうなった?」

 

「あのベヒーモスが倒されて、グリフォン君がナァーザ君とアミッド君と君を乗せてここまで連れて来てくれたんだ。あの二人が先に連れて来た時は君はもう死んでいたと思うほど重傷の体をしていたよ・・・それでミアハとディアンで君をなんとか手術して命はなんとか取り留めて助かったんだ・・・・」

 

「そうか・・・あれからどのくらい経った?辺りはもう暗そうだな?」

 

「あれから・・・・九時間くらいかな?もう夜だよ。君が手術が終わった時にはベル君たちも帰ってきた。今みんなは外で食事をしているよ」

 

「九時間か・・・・随分と俺は長く寝ていたもんだ」

 

「あんな傷穴でよく寝れるね?君は?」

 

「そうだな・・・・それよりすまなかった」

 

「え?」

 

「君の約束を破った。生きているが・・・・無茶をしてほぼ重傷になった。君は無事に帰ってくることを望んでいたのに、やはり俺は団長として失格だ」

 

「そんなことはないよ。約束は守っているよ。無茶なことはしていたことは事実だけど。こうやって生きて帰って来たんだ・・・・・・約束は守られているよ」

 

「そうか・・・ならいいんだが」

 

 

俺はなるべくとは言ったが、主神のお願いを聞かずに無謀なことをして勝って来た。無事に生きているからいいものの、これで死んでいたら元も子もないだろう。もう自分の命に価値など無いのだが。それでも主神に心配をかけたことへの罪を俺は団長として謝罪した

 

本当ならあの傷で死んでいるのは当然

 

それは・・・・あの『亡霊女神』を喰ったから、奴のアルカナムで体が再生しているおかげでもある。だから俺はあの状態でも寝れることができ、尚且つ体が徐々に再生しているとわかっていたから自分の傷を魔法で治さず寝ていた。風穴が開いてもゾンビのように俺は生きることができるからだ

 

 

「ん?おお!ジーク起きたか?」

 

「ミアハ・・・・ヘスティアから全部聞いた。俺の体を治療したことを感謝する」

 

「それは構わん。医療の神として我らは当然のことをしたまでだ。だがあれだけの傷穴で就寝するなど。トールの子とは言え・・・・半神の生命力は強いのだな?」

 

「俺が異常なだけだ・・・・・それで聞きたい。俺の容態は?」

 

「はっきり言おう。重傷以上だ。あれでは普通死んでもおかしくはない。なのに其方は心臓も動き。呼吸すら普通だった。半神とは言え・・・・ありえぬぞ」

 

「それが半神だからではないか?二度言うが・・・俺が異常なだけだ」

 

「とにかくここ一ヶ月は体を動かすのは禁止だ。また悪化しては困る」

 

「ご配慮に感謝する」

 

 

ミアハがテントに入り俺の様子を見に来た。見た限りミアハは安心した。まさか本当に死にかけの体で就寝していたなど。神でもあり得ないと俺の無神経さに驚かずにはいられなかった。とは言え。死にかけたのは事実。ミアハの言う通り半神だからと言って生命力が強いと言っても今後無茶な行動は禁物

 

ミアハの言う通り、この一ヶ月間はダンジョンや戦うこと、激しい運動はしないことを引き受けた

 

 

 

だが今俺はオラリオの権力を奪った男。権力を奪った指揮官らしく、フィンのところで状況を聞きに明日の予定を全員に通達するために、布団から出て立ち上がる

 

 

「ちょ!?ジーク君!?起き上がっちゃダメだよ!」

 

「無理をしてはならぬと言ったばっかであろう!」

 

 

「歩ける体力は回復した。体の傷が少し消えた。俺は歩けるだけの体にはなった」

 

 

と、俺は二人にまだ寝ていろと言われるが、オラリオの権力を奪った者として責任があると、動けるようになったからにはテントを出て状況を聞き。明日にでもオラリオに帰還できるか確認するためにテントを出て外に出た

 

 

「あ!ジークさん!」

 

「ジーク様!」

 

「ジーク!!」

 

「ジーク殿!」

 

 

『『『主!!』』』

 

 

「ベル・・・・お前たちも無事にここまで帰って来たのだな」

 

 

テントを出ると、すぐにベルたちが大きな焚き火の周りに食事をしているのをすぐに見つけることができた。ベルたちもすぐに俺を見つけて近づいて、もう体を動かして大丈夫なのか確認してくる

 

 

「怪我・・・・大丈夫なんですか?」

 

「重傷ではあるが・・・・問題ない」

 

「問題ないって・・・・ジーク様って本当に無茶する人です」

 

「俺たちめっちゃ心配したんだぞ?」

 

「ミアハ様から死んでもおかしくないって・・・・・もうジーク殿は死んでしまうかと思ったほどですよ!」

 

 

「そうか・・・・心配をかけてすまなかったな。それと・・・・お前たちもよく頑張った・・・・見事だった。リリルカ。状況は把握した。今回ベヒーモスの戦闘で死者は居るか?」

 

「いえ!不思議な事に犠牲者は一人も居ません!怪我人は多く居ますが、ジーク様ほどの重傷者は居ません!」

 

「そうか・・・重傷者は俺のみか」

 

 

そうしてベルたち団員たちに相当心配されたため謝罪をした。おそらくこいつらはまだ仲間があそこまで重症に追い込まれる姿を眼にしたことがないと理解する。こいつらは悼みを大きく感じる奴らだと。あまりに子供らしいところがあると

 

俺は悼みを無くしたことによりより。心配しすぎだと呆れた

 

 

ベルたちの讃えが終わると、アイズたちからも讃えようとこちらに近づいて来た

 

 

「ジーク!よかった・・・・無事だったんだね?」

 

「あれくらい。いつも傷を負っているから慣れている。心配されるほどではないアイズ」

 

「でも死にかけたじゃん!私だって心配だったんだよジーク!」

 

「そうか・・・・もう団員ではないが、心配をかけてすまなかったティオナ」

 

「あんたって・・・・二年経ってそんな強かったの?」

 

「まあな。おふくろの息子だからってのもあるティオネ」

 

「ジークさん無事で良かった!」

 

「心配かけたなレフィーヤ」

 

「ジーク!うう!本当に・・・・凄かったす!」

 

「いつまで泣いているんだラウル?感動するのは一度だけで十分だと理解しないのか?」

 

「それがラウルよ。ジーク。でもそれくらい本当にあなたは凄かったわ」

 

「成すべき事をしただけだ。アキ」

 

 

「じゃが・・・・見事だ。ジーク」

 

「ああ。本当にお前は二年前から無茶をするが・・・・ここまでとはな・・・」

 

 

「俺が性格が変わっても、こういう奴だと理解しているはずだろ。ガレス。リヴェリア」

 

 

「ち・・・・テメエの癖に、小せえことを言いやがって・・・・」

 

「俺も謙遜だと思っているベート。だが・・・・・・今回で目的を果たせた。俺は守るものは守れた。もう満足だ」

 

「そうなのかい?でもジーク。君はもう英雄だよ?この下界を救った。英雄としてね?」

 

「ん?そうなのかフィン?」

 

「ああ。これが・・・・・君が救った下界の姿だ」

 

 

と、フィンは俺に、モリガンの魔の手からこの下界を俺が救った姿を。今目の前に広がる。ベヒーモスを倒した祝杯を挙げて、笑顔で宴会を楽しんでいた

 

冒険者だけではない。デダインの村のエルフたちも含めて。うまい料理やお酒を手に持って楽しく笑っていた。俺たちの日常を完璧に取り戻していたのが。実感できた

 

 

すると

 

 

「あ!ジーク様だ!」

 

「英雄様だ!」

 

「赤いベヒーモスを一人で倒した英雄様だ!」

 

「雷帝様だ!」

 

「雷帝!」

 

「雷帝様!」

 

 

「・・・・・・?」

 

 

エルフの村人たちが、突然俺のことを『雷帝』と呼び出した。スキールニルはともかく、なぜ俺が雷帝と呼ばれ。あの現場に見ていないはずのエルフの村人が、なぜ俺がベヒーモスを一人で倒したと知っているのだろうか?

 

 

「どういう事だ?・・・・なぜお前たちが俺がベヒーモスを倒したことを知っている?」

 

「ああ。それなんだけどねジーク君。ウラノスがまた力を使って君が戦っている現場を渦の映像を出して僕らやデダインの村にも見せていたんだ。だから君がジーク君が一人でベヒーモスを倒した光景をここの村や・・・・・・おそらくオラリオでも君の活躍を見ているはずだよ。ジーク君がトールの鎧を身につけているからみんな君のことを雷帝って言うんだよ」

 

「そうか。まったくウラノスめ。勝手な事をしてくれる。ウラノスは何が目的で俺の戦いをオラリオやこの村に見せたのだろうな」

 

 

ヘスティアの説明により、なぜ俺が雷帝と呼ばれ。村の人々が俺が一人でベヒーモスを倒した事を知っているのか理解した。ウラノスがまた神の力を使ってウォーゲームのように遠くのある光景を渦の映像にしてエルフの村人やオラリオにも見せていたようだ

 

何のつもりで、ウラノスがそのような事をしたのかは知らないが、少なくとも何か俺に関わりのある事をしたいのだと、ウラノスの行動が気になり始めた

 

 

まあ今はウラノスのことは後回しにして、今は目の前のことを対応しないとならないと思った。今の目の前に居るエルフの子供の対応もな。今頃オラリオでもウラノスの映像を見ているなら俺を英雄呼ばわりしている頃だろう

 

英雄になる気はないと言うのに、讃えられる言葉への対応が大変になった

 

 

「雷帝様!怪我は大丈夫?」

 

「ジーク様!世界を救った英雄ですよ!」

 

「ベヒーモスを倒した英雄です!」

 

「本当に凄いですよ!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

いろいろエルフの村人たちに呼ばれるが、何を言って返したらいいかわからないため無言で押し黙ってしまった。モリガンがこんな事をしたのは言うなら俺のせいでもある。俺がしっかりと返事して抑えておけばこんな事にはならなかった。だから俺の責任だと全うしたのだが、世界を救った英雄として讃えられるのはどうにも実感を感じず

 

何と言って答えてやればいいか、わからなかった。

 

すると

 

 

「よし!俺たちの英雄を胴上げするぞ!」

 

「は?」

 

「よっしゃあ!みんなでスキールニル・・・いや!雷帝を胴上げするぞ!」

 

「お、おい・・・」

 

 

突然のヴェルフが俺が英雄になった事に対して喜びを祝杯しようと、俺を胴上げしようと知らない冒険者まで俺の体を上げたようとした。俺は突然の奴らの行動に対応できず、そのまま胴上げされる

 

 

「「「「「「わっしょい!わっしょい!」」」」」」

 

「おい・・・俺は・・・・一応・・・・怪我人・・・なんだが?」

 

「そうだよ!みんな!ジーク君は怪我人でもあるんだがらそのくらいで!」

 

「また傷が開きますよ皆さん!」

 

 

ヘスティアとリリルカによって、一応俺が怪我人だって事を教えてすぐにどう上げは5回で終わった。いろんな他のファミリアから嘘つきと呼ばれて罵られた俺が、まさか嘘つきから英雄になるなど想像つかないだろう

 

今でも実感は感じない。胴上げされても

 

それに今は俺はオラリオの権力を奪った者として役目を果たそうと。まだ責任者として報告を入れておかなくてはならない事項があるため、胴上げからおろされたらグリフォンを呼ぶ

 

 

「グリフォン?いいか?」

 

『はい。なんでしょう?』

 

「今から黒い砂漠まで俺を連れてって貰えるか?」

 

「ジーク?何を?」

 

「クリムゾンベヒーモスの灰でまた黒い砂漠が広がったはずだ。どこまで広がったか確認して、報告に入れないとならない。だから今から行く」

 

「ちょ!?ジーク君!何度言えばわかるのさ!?君は怪我をしているんだからそんな無理に自分から行かなくても!」

 

「俺はオラリオの権力を奪った者として当然すべき事だ。仕方ない事だ」

 

「じゃあそれはリリとノーム様でやりますから!ジーク様は休んでください!」

 

『それは私とリリルカさんにお任せください!』

 

「そうか・・・・ならお前たちで頼む・・・」

 

「ジーク君って本当に働き者だね・・・・」

 

 

「仕事だから当然だ・・・」

 

 

クリムゾン・ベヒーモスの大きさはおそらくオリジナルのベヒーモスよりはるかにデカイ。ならそれから出てくる灰も。おそらく砂漠ほど以上の多さが出たはず。地形が変わっている可能性もあるため、自分で見て確認し、明日オラリオに帰ったらギルドに報告に入れようと思ったが。リリルカとノーム が俺の代わりにグリフォンに乗って確認しに行った

 

それは彼女たちに任せるとして、俺は今集まる者たちに、今日の礼と明日の予定を通達する

 

 

「全員に通達する!此度の戦いお前たちはよく頑張った。この戦いは俺だけの成果ではない。俺が一人で倒したと英雄と呼ばれるが、それでもここまでたどり着いたのもお前たちの協力があってこその結果だ。望まずに戦いに参加したのも居るだろう。よくぞ耐え抜き勝ち抜いた。お前たちの誇りに感謝する。それでこれからの予定なのだが、明日の明朝にオラリオへ帰還しようと思うが、その前にデダインの村の怪我人が居ないか十分の安全が確認してから出発する。そして今はよく休んでくれ。お前たちは本当によく頑張った!これでゼウスとヘラのファミリアを俺たちが超えたも同然だ!ベヒーモスを倒したこの宴を!!大いに楽しめ!!!」

 

 

「「「「「「おおおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

「長かったな・・・・たかが三日程度・・・・とても長かったように感じる」

 

 

全てが終わった。モリガンの企みを全て壊すことができたと思うと、なぜかどうも三日程度での戦いが長く感じた。それだけモリガンの仕掛けたこの戦争がとても精神に響いた

 

感情を失っても、モリガンのやるべき事にはうんざりしたと感じる。奴のやり方は本当にタチの悪い戦法での奇襲。今回もこの戦争で世界の半分が粉々になっている。殺戮の女神のすることなど。やはり愛の欠片も無いと。俺はやはりモリガンを愛すべきでは無いと断っても良かったと思っている

 

そして今は何もかも緊張感が無くなると。少し腹が空腹となった。俺もこんな状態ではあるが食事をする

 

 

「ベル。俺にもそれを貰えるか?」

 

「はい!でも大丈夫なんですか?」

 

「ミアハとディアンケヒトが治してくれたから大丈夫だ。それよりも働きすぎて流石の俺でも空腹だ。食事をしたい」

 

 

傷の方は確かに今も重傷だが、栄養は取るべきだと。俺は空腹のまま寝たくは無いため、ベルやヘスティアからにもいろいろスープやパンを貰う

 

食事をしながらベルとヘスティアが俺の両隣に座って。今回のことについて聞いてきた。

 

 

「ジーク君?いいかな?」

 

「なんだヘスティア?」

 

「なんであの時ジーク君はトールの鎧を身に付けていたの?」

 

「ステイタスにも書かれていたが、ルーンアーマメントと言って、魔術武装と言う。アビリティを一時的だけ強化する。いわば魔法の鎧だ」

 

 

ルーンアーマメント

 

魔術武装と言う。神創武器の力を借りて姿や装備を一時だけ魔術で作られた強い形態に変身することができる。おふくろと俺で作った俺だけのルーン魔術。まあ言うなら英雄に変身する『強化フォーム』と言うもの

 

カオス・ヘルツみたいにアビリティ数値を限界突破はできないが、それなりに数値を500程上がる。更にその魔術武装だけの『武装スキル』までも能力として入っている。

 

『蒼天雷帝』は雷のエンチャントがずっと付けられ、全身に雷を帯びて空を飛べる。ただこの蒼天雷帝は母の神の力ではない、ミョルニルの力を借りて雷の属性全てを操れる。雷雲を天に作るなり。雷を落とすこともできる

 

言うなら母の力の一部を鎧にして身に付けている。それが『蒼天雷帝』

 

 

「それって・・・チートじゃない?」

 

「神創武器は神の力ではない。その神が作られた武器であり。神の力は含まれてないはずだからチートではないはずだ。仮にチートだとしても、この力は強すぎて魔力はほとんど持ってかれる。下手すると30分もしない内に魔術武装が解けてマインドダウンする。使うには簡単ではない。でもあの母の遺伝子が含まれている俺だから蒼天雷帝は使った後でもマインドダウンすることはない。母の力が俺の中に含んでいるから」

 

「ロキも聞かなかったけど。本当にジーク君ってあのトールの子供なの?神は子供生むことはできないんだよ?」

 

「ああ。それは俺も知っている。でも俺の父の血筋が『とんでもない一族』のため、神の間に子供を設けることのできる厄介な遺伝子を所持しているから生まれたのではないのかと俺の知人が言っていた。つまりは俺の父に受け継がれる血が原因で母である神にも急激な影響与えた。俺でもまだよくわからない」

 

 

神と人間の間に子供はできない

 

それは誰でも知っていることであり、神々でも知っていること。それはどうしてなのかは誰も神々も教えてはくれない。多分神と言う生き物はそういう性質だからなのかもしれない

 

でも俺は違う。本当に俺は母トールの子供。母同様に雷を落とし、ミョルニルも扱える。そうでなければ母を武器は持てないとロキは言っていた。半神半人であることは間違いない。証拠として俺が生まれた時は故郷に居る他の神々が立ち合っている。その中にはモリガンも居た

 

だから奴も俺のことをトールの息子と呼んでいるのは事実。

 

精霊も子供を産めないとこの下界の知識でそう言われているが、そんなことはない。実は俺は知っている。そんな子供を産めない生物の間に生まれた俺と同じ異常者が一人。存在としてありえない者も

 

信じられないかもしれないが、その相手である人間に『神でも知らない未知の血筋』によって神でも精霊でも子供を産ませることができるかもしれない

 

どういう理屈なのかは不明だが、わかることは一つ

 

 

この下界に住む『人間』は神にも大きな変化を与えることができるということだけだった

 

 

「ベル?どうした?」

 

「ジークさんは・・・・あの女神に何を言われて怒ったんですか?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

今度はベルから何か質問が来た

 

それはもちろんモリガンに『何を言われて怒った』のか、その時は確かにベルもヘスティアも居なかった。ベルは遠くに、そこに居たのは確かに俺とモリガンたちのみ。俺が怒った理由の詳細はベルは知っては居なかった

 

だから俺は正直な事を言う

 

 

「簡単な話だ。お前たちを殺した後にオラリオに攻めてシルや街の人々を殺そうとモリガンは企んだことに、俺は許せず怒った」

 

「っ!?モリガン・・・・・そんなことまで」

 

「あの人って・・・・あんな人なんですか?」

 

 

「ベル。お前には考えきれないかもしれないが、神と言うのは全員が俺たちの下界の生き物の味方とは限らない。あんな風に俺たちを道具のように扱い。自分の欲のために殺戮を起こす邪神だ。それがモリガンだ」

 

「うん・・・・それはジーク君の言うとおりだよ。神全員が君たち子供たちの味方とは限らない」

 

「ヘスティアもその辺はわかっているんだな?」

 

「うん。僕も嫌いな神が居てね・・・・アポロンじゃなくて・・・・それよりも怖い神が居てね・・・」

 

「『ハデス』とかか?」

 

「っ!?どうしてジーク君がハデスを知っているの!?」

 

「一年前、奴のファミリアと全面戦争した。戦いは俺たちフレイ・ファミリアの勝利に終わったが。奴は地下深くに逃げた。そう言う風に俺は邪神に付き回されている。邪神との戦いが避けられなくてな・・・」

 

「居るんですね・・・・そんな怖い神が・・・・」

 

「ああ。だから俺は抗っている。邪神の魔の手からな・・・」

 

 

この際だから、俺が『神を憎んでいる』事を明かす。今なら俺が怒った理由を理解してくれると。怒った発端と本性を明かす

 

 

「ベル。ヘスティア・・・・・俺は神が憎い。俺はその神たちに人生をボロボロにされた。家族や仲間を失いアポロンによって信頼まで無くなった。君を侮辱するようにもなってしまうが、神が娯楽や刺激を求めるためにこの下界に降りてきたと言われているが、俺からすれば神はこの下界に『災厄』を振りかけたと思い神が憎くて堪らなかった。奴らが居なければ今回だってこんな戦争が起こらなかった」

 

「っ・・・・・確かに・・・そうですね・・」

 

「報告聞いたよ。あの砂漠でここに来るまでの廃墟と村の人々の死体があったんだってね?」

 

「ああ、犠牲や被害が出たのは事実だ。犠牲者は何百人以上も居た。俺はあのモリガンの愛を断ったせいでこんな事になりあの者たちが犠牲になった。言うなら・・・・・俺のせいだ」

 

「そんなことないですよ!?ジークさんは僕たちのためにあの赤いベヒーモスに一人で戦ったんじゃないですか!?」

 

「君はやるべきことはしたよ!自分を責めることはないよ!」

 

 

「でも・・・・・・あれだけは本当に許せなかった」

 

 

「あれ?」

 

「何をだい?」

 

 

「お前たちやシルを失うだけは・・・・・許せなかった・・・」

 

「僕たち?」

 

「モリガンは今度は僕たちやシル君たちをも手に掛けようとしたのかい?」

 

「ああ。あれだけは許せなかった」

 

 

モリガンのあの言葉だけは憎かった。俺の事を理解してくれる仲間やあのシルが・・・・奪われるのだけは辛かった。自分の命なんてどうでもいいくらい。俺の命よりも価値はこいつらやシルを失うことだけは・・・・・・そんな絶望は味わいたくなかった

 

 

「だから怒った。やっと・・・・・・俺には『独りじゃない』と感じれる者たちが今・・・・・ここに居るから」

 

「ジーク君・・・」

 

「ジークさん・・・」

 

「神が憎いと言うが・・・・全員じゃない。それにその全てを否定することはできない。なぜなら俺も・・・・・その神の間に生まれた男だからな。全部まで否定すれば矛盾が出る。そこまでは・・・・・母が許しはしないだろう。ここには俺を仲間や友人だと信じる君やミアハやタケミカヅチやヘファイストスやフレイヤも居る。その者たちを守るために俺は何度でも命を張る。自分の命よりも・・・・お前たちの命が大事だ」

 

「ジーク君・・・・君は」

 

「それなら・・・・・僕がジークさんを守ります!」

 

「ベル君・・・・」

 

 

「っ!」

 

 

自分の本性と自分の命の価値の無さを伝えた瞬間。ベルが俺を守ると、レベルが低くとも仲間として想いを俺にぶつけた

 

その熱意も俺の心に響いた。感情が薄れているはずの俺に感じる心があるのだと。シル以外の愛を感じた

 

 

「ジークさんは・・・僕にとっても憧れの人なんです・・・今英雄になったあなたが羨ましくて・・・・あなたみたいになりたいとも思っているんです・・・・そんなあなたを失うなんて・・・・僕も耐えきれない」

 

「ベル・・・」

 

「だから僕が今度ジークさんを守ります!あなたがそうまでして自分を犠牲を選ぶやり方を選ぶなら僕は何度でもあなたを守るために強くなります!あなたが・・・・なんと言おうと!僕の仲間です!」

 

「まったく・・・・俺のような事を言いおって・・」

 

「僕もだよジーク君!」

 

「ヘスティア?」

 

「君が犠牲を選んでも僕らを守ろうとするなら、僕も君を信じ続け守り続ける!君が神を憎んでいても!僕の全ての愛を捧げてまで君を眷属とは別の愛を君にあげる!だから死なないで!感情を無くしても・・・・・自分の犠牲だけは選ぶのやめてくれ!!」

 

 

「ベル・・・・ヘスティア・・・」

 

 

ああ。やっと俺は愛せる仲間ができたのだと。裏切られることがなくなるほどの絆がいつの間にか結ばれているのだと理解した。にしても呆れるほど幼稚な子供みたいだなと、ベルとヘスティアの性格を把握した

 

ゼウスの孫と炉の女神にここまで言われるとはな。それにしてもベルの方が俺の心に響くような熱意を俺にぶつけるなど。やはり同じ半神として数奇な運命を感じると思っている

 

まったく・・・・これだから『ギリシャ人』と『オリュンポス神々』は・・・

 

 

「まあ・・・・できるならな」

 

「はい!」

 

「絶対にだよ!」

 

「ああ」

 

 

今でも遠くに見ているか、ゼウス。ヘラ。お前らの孫とお前らの友人の神は俺の心に本当に響いてくるぞ。お前らギリシャ人はどこまで俺の心に友情と愛情を注ぐ。俺と同じ半神たちよ。本当にギリシャの英雄たちは面倒なほど友情と愛情が俺の心に絆を作られる

 

お前たちが本当に英雄にふさわしいと思うと俺はやはり英雄になったからなのか。人の感情を知るようになった

 

 

「ジーク君!ちょっといいかな?」

 

「なんだヘルメス?」

 

「まずは今回のことだけど。ベヒーモスを倒した君の勇姿。見事だった・・・」

 

「俺は仲間を守るために暴れただけだ。感謝も讃えられる必要のないことだ」

 

「だとしても君が世界を救った事には変わりはない。君は英雄だ」

 

「雷帝と言うのは・・・・・随分とおふくろの息子ならではのネーミングセンスだな?誰が付けたんだろうな?」

 

「それで今回このミッションの出来事を、今あるファミリアが英雄譚にしようと今書籍にしているところだよ?」

 

「なに?」

 

「え!?それって!?」

 

「ジークさんの今回の活躍が英雄譚に載せられるって事ですか!?」

 

 

「ああ。ジーク君は完全にあのゼウス・ヘラを超えた英雄。『雷帝英雄譚』として世界に知られる事になったんだ。オラリオでも君の今回の活躍の英雄譚を世界に広めるつもりだよ」

 

 

「すごいですよ!ジークさん!」

 

「ジーク君がこの下界を救った・・・英雄か・・・・すごいよ!僕のファミリアに英雄が生まれたんだ!」

 

 

「英雄か・・・・・・嘘つきから英雄ね・・・・・・これが御伽話になるとはな・・・・注目を浴びるのは面倒だが・・・まあこれで面倒事が減るだろうな」

 

 

今まで嘘つきと呼ばれた俺が、今回のこのミッションにより俺の活躍を元にした英雄譚の書籍が作られ、世界に広められるとヘルメスから報告を受けた。ウラノスの力により俺がベヒーモスを倒す光景は世界中に注目された

 

 

「見事でしたジークさん」

 

「リューか。ああ。少しボロボロになったがな」

 

「少しは考えなさいよね。本当」

 

「心配かけ過ぎにゃ!」

 

「仲間を頼るところは頼るにゃ!」

 

 

「そうだな・・・・・お前達が寝ている間に俺を看病していたこともな?」

 

「「「!?」」」

 

「気づいていたんですか!?」

 

「ああ。お前らの魔力は寝ていても知っている」

 

 

寝ていてもリュー達が側にいてくれたことは気づいている。手を握られていたこともな。ああ。本当に彼女達は俺の心に入り込んでくる

英雄譚に残さないわけにもいかず、今現場に居た別のファミリアが俺の活躍を見て今回のことを書籍に残そうとし、それを世界に広めようと歴史史上最大の出来事となった

 

雷帝英雄譚

 

トールの息子ならではタイトルと二つ名だ。神会などやってもないと言うのに。もう俺の二つ名が決まってしまった。その後俺の今回の活躍が英雄譚になると聞いた周囲の冒険者は更に楽しい気持ちとなって宴がどんどん盛り上がる。アイズたちもどんどん俺の方に集まり話しかけてくる

 

嘘つきの俺が英雄になった瞬間。俺への恐怖は無くなり。誰もが俺を強者だと認め。罵られることが無くなった。エルフの村人にはフレイのように崇拝される事になった

 

明日も早いから、宴が終わるとすぐに皆。就寝した

 

 

ベヒーモスは無事討伐は完了した。犠牲者は東と西近隣の村と町の人々。遺体は黒い砂漠に埋めた。リリルカとノームが帰ってきた後。黒い砂漠は半径三十キロほど灰の砂が広がっていたと聞いた。討伐に参加した冒険者の死者は無し。残念ながらモリガンは逃してしまったが、しばらくは奴も俺の恐ろしさにすぐにまた攻撃をしようとは思わないだろう。今回は一件落着として扱うべきだろう

 

モリガンをまた目撃し、襲撃された場合はまたも反撃をするとして

 

 

今後俺はモリガンの対策を考え。奴を今度こそ落とすとオラリオの外でも警戒を更に強くする事にした

 

 

でも今は・・・・・・深く休む事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

朝食を済まし、すぐに臨時テントを片付けて、すぐにオラリオに帰還するための出発する準備を整えていた。それは他の者たちに任せて

 

今回薬草を分けてくれたデダインの村の村長に感謝する。

 

 

「今回の協力に感謝する。村長殿」

 

「いや。むしろ感謝するのは私たちです。フレイ様の義弟様。本当にこの村を助けていただきありがとうございます!」

 

「俺は成すべきことをしただけだ。それに助けたのは俺だけじゃない。あいつらでもあるからな」

 

「もう行っちゃうの?ジークお兄ちゃん?」

 

「ああ。俺にはあの街が帰る場所だ。戻らなくてはな・・・・」

 

「いけませんよ。彼らはオラリオの冒険者ですから・・・オラリオに戻らなくては・・・」

 

「うう・・・はい」

 

「村長殿。一ヶ月後にまたここへ訪ねても構わないか?」

 

「ええ。ですがどうしてですか?」

 

「確認だ。モリガンの脅威が完全に無くなり。一ヶ月後何も無いか俺の眼で確認したい。また一ヶ月後にここに尋ねる」

 

「そんなご配慮まで!?そこまでして頂きありがとうございます!」

 

「当然のことだ。だからまた一ヶ月後に会おう」

 

「はい!!」

 

 

「ジーク君!みんな準備できたよ!」

 

「ああ。今行く。では村長殿。また一ヶ月後に尋ねる」

 

「はい。お気をつけて」

 

「またねジークお兄ちゃん!」

 

「「「「ジーク様!ありがとうございました!!」」」」

 

 

「ああ。元気でな」

 

 

ヘスティアに皆が帰還する準備ができたと聞き、すぐに俺も皆の所に集まろうと。デダインの村の人々に別れをして皆のところへ。念の為に一ヶ月後にまたここに尋ねると村長殿に約束し、デダインの村はモリガンの脅威から問題ないか確認するため

 

 

そして俺も皆の所に集まり、帰還する準備ができたと眼で確認してから整ったと判断し。指示を全員に通達する

 

 

「全員昨日のベヒーモス討伐でまだ疲れは癒えてないと思うが、ここからは帰還する程度だ。もう少しだけ頑張ってくれ。もちろんもうベヒーモスの子供は出ないが、通常の野外のモンスターが出現する可能性が高い。それだけ警戒していれば問題ない。後はオラリオに帰還するだけだ。全員もう少しの辛抱だ。頑張ってくれ!」

 

 

確かに後は帰るだけだが、野外のモンスターが出現する可能性も高い。だからそれだけを警戒してオラリオに帰るのみ、野外モンスターなどダンジョンに比べて弱いから問題ないと思うが、警戒は怠らないことを通達する。予定としては夜に着く予定だ。何も問題なければ

 

とにかく考えることはもう後にして、早速オラリオに帰還し、出発する

 

 

「では先頭は・・・・・・・・・・・俺から・・」

 

 

「「「「なんでですか!?((だよ!?))」」」」

「「「「なんでですか!?(よ!?)((なんでにゃ!?))」」」」

 

「ん?どうかしたのか?」

 

 

出発すると言い。先頭は俺から進むと言った瞬間。俺の団員であるヘスティア・ファミリアのベル達とヘスティアだけではなくリューたちにもツッコまれた。もちろんツッコまれた意味がわかっていない

 

 

「どうかした?じゃないよジーク君!?今君の体の容態わかっている!?」

 

「顔以外全身包帯で巻かれているジークさんが先頭に立つのは、僕でもおかしいって思いますよ!?」

 

「ジーク様いい加減自分の命考えてください!?」

 

「お前本当に神の子でもそれはおかしいぞ!?」

 

「いくらトールの息子でもあなたはヒューマンですから痛んだ体を考えてください!!」

 

「少しは自分の体を休ませてください!」

 

「あんたはもう寝なさいよ!」

 

「ジークはもう頑張ったにゃ!」

 

「重傷人なんだから休むにゃ!」

 

 

「お前達にそこまで言われるとは思っていなかった。だがもう歩けるだけの体になった。野外モンスター相手なら十分に戦える。誘導するくらいはオラリオの権力を奪った者として当然だろう」

 

 

まさかヘスティアやベル達やリュー達にそこまで俺のやることに突っ込まれるとは思ってもいなかった。あのベルやリリルカや命にも威張るように言われてしまった。だが俺も立場上の問題により推し下がらないまま、先頭へ立とうとする

 

 

「誘導するくらいは僕がやるよジーク」

 

「だからジークは馬車で休んで」

 

『主様。流石に皆さんの言う通りです。主様はもうよく頑張りました。ここは休まれた方がいいと思います』

 

 

「グラニ。お前までそう言うか。馬車の中で休むにしても睡眠は十分に取った。馬車で休む必要性を感じない。それに休んでばかりでは体が鈍る。と言うわけで断らせてもらう」

 

 

フィンが代わりに先頭に立つと、これからの誘導がフィン達がやると名乗り出る。アイズだけでなく。俺の愛馬でもあるグラニまで反対された。それでも俺は従わず。体が鈍ると嫌気を感じ。動いていた方が気が楽だと。俺はフィンやアイズやグラニまでの提案を断った

 

するとヘスティアが

 

 

「ああもう!ジーク君って本当にトールと頑固さはそっくりだ!だったらこれだ!聞くんだジーク君!」

 

「なんだヘスティア?」

 

「主神命令!ジーク君はオラリオに着くまでは馬車の中で休むんだ!モンスターが出てもベル君達に任せる!今日一日は戦闘は一切禁止だ!」

 

 

「・・・・・・・・・そう来たか。了解した。主神命令なら従う」

 

「はあ・・・・まったくジーク君ってトールの子だけはあるよ」

 

「フィン。ではお前に任せる。休憩と昼もしっかり取るように指示しろ」

 

「うん。君はもう休んでて」

 

 

そうしてヘスティアの主神命令により俺は強制的に馬車に休まされた。団長である以上主神の命令に従うのは義務。これからの誘導や帰還するルートはフィンに全て任せ。俺は退屈になるがヘスティア達と共に馬車に乗って休む

 

 

「ジーク君。少しは自分の体も心配しなくちゃダメだよ。君が一番の重傷者なんだから」

 

「ええ。少しくらい休んでもバチは当たらないわよ」

 

「と言うよりそなたが一番休まなくてはならん。そんな状態で歩きまでして戦闘までするなど、死んでもおかしくないぞ?」

 

「少しはみんなに甘えてもいいんだよ。ジーク君」

 

 

「このくらいいつものことだ。それに甘えるより。本当に馬車で休むのは退屈で堪らないと歩こうとしただけだ。俺の自由意志だ」

 

 

「まあその気持ちは分からなくは無いけど」

 

「怪我人が寝て休むのが仕事だ。そなたはゆっくり横になっていればいいのだ」

 

 

と、ヘルメスにヘファイストスにミアハにヘスティアまでしっかり休めと言われた。他の者と違ってこれくらいの傷は俺は耐え切れるのだがな。まあ医療の神であるミアハが目の前にいる以上は医者泣かせしないように大人しく座っていた

 

だが本当に退屈だ。重症人とは言え。傷を治すために寝てばかりするのは暇でしょうがない。だから今俺はやるべきことを考えついた

 

 

「ヘスティア。もし今暇ならステイタスの更新を頼む」

 

「え!?ここで!?」

 

「ああ。どうせやる事がないならここでしても構わないだろう。君が嫌ならいいが」

 

「いいよ。確かに暇でもあるし。あのベヒーモスを倒したジーク君のステイタスも気になるしね」

 

「頼む。ミアハ。ヘファイストス。ヘルメス。外を向け。もちろん俺のステイタスを少しでも見たら殺す。特にヘルメス」

 

「わ、わかったから魔剣をしまってよ!覗き見なんてしないから!」

 

 

俺は暇ならステイタスの更新をしたいとヘスティアに頼み。彼女も暇だからと受け入れてくれた。彼女本人としては俺がベヒーモスを倒したことで大きくステイタスが上昇しているはずだと。ベヒーモスを倒した功績のステイタスを是非とも確認したかったようだ

 

他の主神達を外に向けさせ、決して他のファミリアに俺のステイタスは見させないようする。他のファミリアに自分のステイタスを知られるわけにはいかなかった。それだけまずいスキルの詳細があるからだ

 

とにかく上着を脱いで、包帯を前を手で抑えて背中だけヘスティアに見せる。そしてヘスティアは自分の血を俺の背中に垂らす

 

 

「っ!!やっぱり・・・・」

 

「ランクアップしていたか?」

 

「うん!!これでジーク君は・・・・・・レベル6だ!!!」

 

 

 

ジーク・フリード

 

NEWレベル6

 

 

力 :I 0

耐久:I 0

器用:I 0

敏捷:I 0

魔力:I 0

速攻:I

貫通:I

感知:I

怨念:I

鍛治:I

調合:I

精神:I

神秘:I

雷電 :I

 

 

ルーン魔術:

アースガルズ(攻撃魔法・ルーン文字)

ムスペルヘイム(第一段位・火炎魔法)

ニブルヘイム(第二段位・氷魔法)

ヨトゥンヘイム(第三段位・土魔法)

 

 

スヴェルヘイム(防御魔法)

 

ミーミスブルン(回復魔法)

 

 

 

 

 

ルーン・ブレイク(必殺技):

ヴォルスング・サガ

トールハンマー

レーヴァテイン

ヴァフス・ルーズニル

 

 

 

 

錬金術:

 

武器生成(ウエポン・クリエイション)

必要な素材を集めれば錬金術で武器と防具を生産ができて強化も可能

 

道具調合(アイテム・クリエイション)

素材を集めれば錬金術で回復アイテムと魔道具が生成可能

 

 

 

スキル:

美男誘惑(フレイ・フェロモン)

口説きか仕種で女や女神もしくはメスを誘惑や魅力ができて相手の色気を無効可能。更に女性の耐久が上昇可能

 

 

竜殺し(ドラゴン・スレイヤー)

竜系の戦闘時において全耐性が強くなり全能力が限界突破でき更に倒した竜系の魔力を奪う事も可能

 

 

呪龍怨念(ファフニール・フルーフ)

相手に呪いをかけてスキルと魔法や能力を封印する。モンスターも可能(*解く方法は相手の胸に手を当て。『お前を許す』で解除する)

 

 

詠唱凱歌(ツオバー・ヴァルツアー)

詠唱省略&連続に魔法を連射可能(ただし連続三回まで)

 

 

精霊加護(シュッツ・ガイスト)

召喚精霊達が魔力で状態不能を無効

 

 

忘我混沌(カオス・ヘルツ)

怒りの感情が強くなることで強力な魔力と力を得る。相手が強くてもレベル差が関係なく圧倒することが可能。更に感情を無くすことで異常なアビリティを成長可能

 

 

神話破壊(ゴット・シェアシュテールング)

神の力を破壊&無効化。もしくは神の力を得た者をその力を引き裂くことで『神の力』を得た者を破壊する事ができる。送還も無効ができその神を完全に殺した場合その神を冥界へ落とされる。冥界に落とされた神は天界にも下界にも帰れない

更に神の力を吸収することも可能

 

 

恋の勝利(フレイ・リーベ)

『・・・・・』????????????

 

 

ルーン・アーマメント(ルーン武装):

黒竜怪獣

蒼天雷帝

豊穣光帝

 

 

召喚精霊:

林の精霊グラニ

火精霊サラマンダー

天空の精霊グリフォン

土の精霊ノーム

 

NEW水の精霊ウンディーネ

 

 

ステイタスの紙を渡され、俺は詳細を確認する。ほぼ何も変わってはいないが、レベル6へとランクアップを果たしていた。だがウンディーネを召喚できるようにはなった。これで四大精霊の三柱を召喚できるようにはなった。アイズ達と同じレベルに辿り着くのに二年三ヶ月か、随分と短いものだなと感じながらステイタスの書かれた紙を握り潰して魔術で燃やした

 

戦闘中ではないステイタスの更新は一度アビリティが『I』になり、数値もゼロになるためしっかりとした数値にはならない。

 

 

「ベル君!ジーク君がレベル6になったよ!!」

 

「本当ですか!?ジークさんがアイズさんと同じレベル6に!?」

 

「ああ。一ヶ月で達成した」

 

「マジかよ!?一ヶ月で!?」

 

「すごいです!?一年も経ってないのにもうレベル6に!?」

 

「いくらジーク殿でも一ヶ月でレベル6は凄いですよ!?」

 

 

「でもジーク君・・・この短期間でレベル6になったてことは・・・・」

 

「そうだろうな。気にする必要はない。どうせこうなる身だ。俺はこれでいい」

 

 

短期間でレベル6になった代償は『悼み』を無くしたこと。もう俺は自分の命をも他の者の命をも悲しむことも嘆くこともできない。例えベル達でも。俺も人間らしさが無くなってきた。

戦う戦士に感情など不要。戦う敵を容赦なし殺せばそれでいい。阻む者や奪うものは誰も彼も殺せばそれでいい。俺は所詮そんな存在

 

『下等生物如きに』いちいち感情移入など必要ない。俺の本性を知った俺を必ず軽蔑するからだ

 

いろんな邪神や悪魔共を殺してきた俺には・・・・・もう人間ではない。ただの人殺しだ。英雄でもなんでもないと。俺は自分の悪意を認めていた

 

 

「ジーク・・・・本当に私たちと同じレベル6になったんだね・・」

 

「ああ」

 

「凄いよ!ジークってやっぱり凄く強いんだ!」

 

「あんたって・・・本当にヒューマン?」

 

「お前らアマゾネスと一緒にするな」

 

「ジークさん凄いです!流石はフレイ様の義弟!」

 

「この程度で喜ぶ気はない。レフィーヤ」

 

 

いろいろとレベル6であるアイズたちが俺がレベル6になったことを祝ってくれるが、まだまだこの程度で喜ぶ気はない。まだ上を目指す。例え何を犠牲にしても強さを手に入れる。そして・・・・・・・その強さを得た俺はどんな結末を得るだろうなと思う

 

 

「ジーク・・・テメエ・・・」

 

「言ったはずだベート・・・これは通過点だ・・・俺はまだ上へと向かう・・・俺はお前に辿り着いたとは思ってない。俺はお前を置いて自分の進むべき道へ行く。お前も俺とは別の道の強さを得て行け。それでも俺に喧嘩を吹っ掛けたいのならかかって来い。お前を殺す覚悟をお前に見せてやる」

 

「ち!上等だ!テメエと俺がやっと対等になったんだ!何度でも挑んでやる!」

 

「ふん・・・・お前も何か言いたいことあるか?アレン?」

 

「け!・・・・テメエが俺と堂々と同じレベルになった所で俺に勝てるわけねえだろ!」

 

「ミアにも・・・・・そんな事が言えるんだろうな?」

 

「ち!クズの癖に強くなりやがって・・・」

 

「お前がフレイヤの護衛ばかりしているから強さが衰えるんだ。速さだけが自慢ならその程度だ。クソ猫」

 

「ああ!?クソヒューマンの癖に!怪我が治ったら俺とも勝負しやがれ!」

 

「瞬足のお前と光速の俺。どちらが早いか試すのも悪くないな。二年前のように半殺しにする」

 

「勝つのは俺だ!」

 

 

レベル6になった瞬間。ベートとアレンにまたも余計喧嘩を吹っ掛けられた。だが挑む者がいるなら挑んでくれて構わない。戦う者を拒む気はない。俺に挑む者が居るなら倒すまでだ

 

 

「更なる強さを得たようだな。ジーク」

 

「オッタル。俺はこの程度で止まる気は無い。お前もいずれ超えていく。オラリオ最強はお前と誰もが言っているが、これはフレイヤから聞かされたことだが。オラリオ最強は現時点を持って間違いなくミアだと。俺もミアにいつか挑むつもりだ」

 

「っ!お前がミアに挑む理由はなんだ?」

 

「ミアを倒せば。あいつが認めてくれる。だから俺は強さを求める。今はそれしかない。あの時怒ったのもそれが理由だ。お前など相手にする気は無い」

 

「っ!?ジーク・・・まさか・・・」

 

「その認めて欲しい相手は教えない。だがお前たちファミリアの関係者だ。俺が今生きる理由がそれだ。いずれミアに勝つ力を得る。その時が来たらお前たちを倒し。ミアを倒し。そして・・・・・・いや、なんでもない。それだけは言っておく。以上だ」

 

「むう・・・・あのお方の言う通りだったか・・・俺もこのままではいられないな」

 

 

俺のいつしかの目的にオッタルに告げる。ミアに勝てば俺は・・・・・シルの愛を受け取る事ができるかもしれない。ミアを倒さない限り、その娘として扱うシルを守れるはずがないし、彼女を手に入れる事すらできない。娘が欲しいなら母を倒さねば。だからいつかオラリオ現最強のミアを倒し、彼女の愛を手に入れれば俺も本当の人間になれるかもしれない。だから俺は・・・・・強さを得る。あの『フレイ・リーベ』を発動したことにより俺はシルの愛を求めている

 

感情を失い欠けている俺が唯一の望みを得るために、強さを求め。ベヒーモスに勝った。俺を英雄にさせたのは彼女のおかげだ。化け物な俺を救ったのは彼女だ。感情を失った俺の唯一の生き甲斐だ

 

俺は感情を失っても愛を感じるようにはなっていた

 

 

「ヘスティア・・・・英雄になっても・・・俺はまた自分の手を血で汚すだろう・・・・それでもお前は俺を信じるか?」

 

「信じるよ・・・・君は英雄として・・・人殺しや神殺しをしても・・・僕もベル君たちも信じ続けるよ」

 

「そうか・・・・・・・愚かしくも感情は人なんだな俺は」

 

 

包帯をまたしっかりと結び上着を着て俺は横になって目を閉じた。眠気はもちろん無い。だがしばらくゆっくり体を休めてもいいだろうと。ここばかりは仲間たちに頼んだ

 

これで終わりではない。レベル6でも英雄になっても終わりではない。俺は強さを得るための理由があるからには止まる気はない。雷帝英雄譚か。俺が『父』と同じ英雄になるなど。本当に俺たち『ニーベルンゲン族』は英雄と復讐に囚われた一族だと思っている。俺は愛を求め。敵に復讐をし。悲劇が最後の結末。悪意と愛情の間に生まれた存在。

 

雷神の母と英雄魔剣士の父の間に生まれた俺は。英雄となって何を見るのだろうな

 

英雄になれば何か得られるのだろうか。名誉か。利益か。評価か。俺には英雄になってもいつもと変わらない存在だと俺は自分価値を過小評価する

 

例え俺の名がこの下界の歴史に名が刻まれても。俺は・・・・価値は変わらないと思っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のはずが

 

 

「「「「「「「「雷帝!!雷帝!!雷帝!!!」」」」」」」

 

「・・・・・・」

 

 

無視する事ができないくらい。俺の二つ名と思うらしき名前をオラリオの街の人々がどんどん声を上げてパレード状態となっていた。オラリオに帰れば花火が上がり。いつの間にかオラリオの壁は直され。ベヒーモスが襲われる前のグランド・デイの賑わいと変わらないほどの騒ぎ。出店もあれば料理も出ている

 

もしかしなくてもグランド・デイの続きだとわかった。なのに俺の二つ名らしき名前を連呼しているオラリオの人々。ヘスティアからウラノスの神の力の映像で戦っている光景を見たと言っていた。当然オラリオにもその映像は流れて見ている。俺がベヒーモスを倒した光景も確かに確認している。だからと言って俺のことを連呼する必要があるのだろうか。完全にグランドデイではなく。俺が英雄になった祝祭であった

 

そうして俺は馬車から降りると、一斉にオラリオの人々が俺に集まってきた

 

 

「ジーク様!凄いです!」

 

「トールの息子!凄いわ!」

 

「ジーク様!かっこよかったわ!」

 

「流石はフレイ様の義弟様だわ!」

 

「ジークお兄ちゃん凄い!」

 

 

「ああ・・・・・・」

 

 

ほぼ大半が女が集まってくる。エルフと女神が多い。なんでこうも女に近づかれるんだろうな。フレイ・フェロモンがあるからだろうと推測するが、どうも・・・女癖が悪くなるようなことになりそうだと俺は思った。なにせここまで女に囲まれたことなど無いからだ。あまり変なことを言わないでおこうと思う

 

 

「ジーク君!」

 

「エイナ・・・・っ!」

 

「本当に無事でよかった!ウラノス様から映像で見たよ!凄いよジーク!一人でベヒーモスを倒すなんて凄い無茶しすぎよ!」

 

「やはり見ていたんだな・・・ウラノスめ。余計なことをしてくれる」

 

 

エイナが突然現れ抱きつかれた。エイナも俺がベヒーモスを一人で倒した光景をウラノスの映像で見ていたと言った。やはりオラリオでもウラノスは映像を流したようだ。だから余計俺を称えるのだろう。世界中にウラノスが映像を流したのかはわからならいが、本当に余計なことをしてくれる

 

とにかくエイナから状況を聞く

 

 

「エイナ。状況を見ればわかるのだが念のために聞く。これはなんだ?」

 

「グランド・デイの続きと冒険者たちの帰還のお祝いだけと、ジーク君が英雄になった祝祭かな・・・」

 

「俺たちの無事帰還とグランド・デイの続きはわかるが、最後はいらないと思うが・・・」

 

「むしろそれが・・・メインになってね・・・・・これ見てもらえる?」

 

「ん?・・・・・これは・・・」

 

「嘘!?」

 

「これって!?」

 

「凄いです!」

 

「マジかよ!?」

 

「こんなのがギルドの前に!?」

 

 

エイナが俺にある物を見せた。それは彼女の後ろにある物

 

それは

 

 

俺がベヒーモスを倒した後にミョルニルを天に掲げた時のポーズをバベルの前に銅像にされて建てられていた。その下に『英雄雷帝・ヘスティア・ファミリア団長・ジーク・フリード』と彫られていた。名前まで書かれていた

 

これではグランド・デイでは無い。完全に俺が英雄となった祝祭だ。この銅像を見てヘスティアやベルたちも驚いていた

 

 

「それでもうジーク君の今回の活躍を英雄譚にして世界に知られているわ。『雷帝英雄譚』って言うタイトルで、雷神トールの息子とフレイの義弟がベヒーモスを一人で倒すと言う物語が本にされているわ」

 

「ヘルメスから聞いた。俺が英雄など・・・・俺は守るべき者を守っただけと言うのに」

 

 

本当に英雄になってしまった

 

オラリオの街の人々も俺を英雄と讃え。皆俺をヒーローと思い。憧れ情熱熱意など。多くから皆に俺を讃えてくれた

 

俺は守りべき者を守っただけだと言うのに、随分とデカイ存在になってしまったものだなと、以前の自分が嘘のように思えた

 

 

「ジーク!」

 

「ロキ・・・・」

 

「ホンマ凄いんや!ホンマに姉貴の子や!姉貴の鎧とミョルニルをあそこまで完璧に熟すなんて確かに姉貴の子や!」

 

「おふくろに鍛えられたからの力だ。実の子であるからはあまりに関係ない。ところでロキ・・・・今人々に雷帝と呼ばれているのだが・・・・この雷帝って言うネーミングを考えたのはお前だな?」

 

「あ。そうやけど・・・・・ダメだったんか?」

 

「余計なことをしてくれる。もうお前の眷属ではないと言うのに・・・・神会でも無いのにお前は相変わらず勝手な裏切りの女神だ。まあお前らしいがな・・・」

 

「ジーク・・・」

 

「ふん・・・・」

 

 

この雷帝を皆に広めたのは間違いなく。ロキだとわかっていた。まったく相変わらず勝手なことをする奴だと。本当にお袋の妹のことだけはあるなと思った。そう言うところは母そっくりだと。ロキがおふくろの妹だとすぐに感じる

 

だがロキの子供想いは疑われたあの日も感じる。あの時さっさと受け入れてロキ・ファミリアに残っていれば笑っていたかもしれない

 

 

「ジーク!!」

 

「っ!シル!」

 

「よかった!無事に倒して帰ってきたんだね!」

 

「シル・・・・ああ・・・・・俺は君の願いを・・・叶えた。完璧ではないがな」

 

「うん・・・こんなボロボロに・・・大丈夫?」

 

「ああ。心配ない。本当に・・・」

 

「ふえ!?ジーク!?」

 

「本当に俺は・・・・君のために全部捧げてよかった」

 

「ジ、ジーク!?」

 

 

俺はシルを力強く抱きしめた。彼女の温もりを感じたい。匂いも暖かさも声も。彼女の全てをこの体で感じたかった。彼女を恥ずかしめるが、それでも愛しく。彼女の愛を感じられずにはいられなかった

 

これが欲しかったんだ。ベヒーモスを倒すのは彼女のため。彼女の愛が欲しかったんだ。

 

今は抱きしめたいのだ。彼女の側に居たいのだ

 

 

「ジ、ジーク?」

 

「ああ・・・・すまない。どうしても今は君を抱きしめたかった。すまなかったな?」

 

「う、ううん。大丈夫」

 

「ジーク?あんまり私の娘を恥ずかしめるなさんなよ」

 

「ミアか」

 

「また随分と暴れたじゃないか。そんだけ怒らずにはいられなかったのかい?」

 

「ああ。俺には許し難い話でな」

 

「まったく・・・・・あんたを止めるのはあたしでも無理だからね・・・どう?英雄になった気分は?」

 

「どうでもいい。俺は守るべき者は守れた。だがお前も俺を英雄と讃えるなら。頼みがある」

 

「なんだい?」

 

 

「シルを明日一日貸せ。グランド・デイ は明日まで続く。彼女と過ごしたい」

 

「シルをかい?・・・・・まったく・・・わかったよ。シル!明日あんたはお休みだよ」

 

「え?ジークどうして?」

 

「明日は君と過ごしたい。言うならデートだ。受けてはくれないか?」

 

「え!?・・・・・あ・・・うん!!!」

 

「ああ。頼む」

 

 

ミアに取引をして。シルを明日一日を借りた。彼女の過ごす時間が欲しかった。今愛が飢えている俺には彼女の愛で癒されたい。モリガンで精神をボロボロにされた俺は愛で癒されたかった

 

モリガンに歪んだ愛を押し付けられた俺は感情が薄れているとは言え、痛みでしかなかった。その傷んだ精神を一番に感じられるシルの愛が欲しくて我慢できなかった

 

周囲の前とは言え。俺はそれでもシルのデートを誘って。シルは受け入れた。明日はゆっくり休むと同時に彼女の愛を満喫に感じようと思う

 

 

「ジーク君!君から何か一言言ってよ!君は英雄なんだから!」

 

「何をだ?」

 

「グランド・デイの続きの宣言かな?ベヒーモスも無事に倒したことをみんなにしっかり伝えて欲しいの」

 

「やれやれ。俺が英雄になったからと言ってそこまでしなくてはならないとは・・・」

 

 

なぜ俺がそんなことをしなくてはならないのかは知らないが。グランド・デイの継続宣言をヘスティアに頼まれる。英雄になったからとは言え。そんなことをしなくてはならないとは思ってもいなかった。それともオラリオの権力を俺がまだ所持しているからだろうか。

 

とにかく主神の命として。俺はちょうど隣のテーブルに置いてあるシャンパンが入ったグラスを持って

 

通達する

 

 

「聞け!ベヒーモスは無事倒された!もう誰も悲しみも苦しむこともない!犠牲は多く出たが、それを忘れずに今日も噛み締めて生きろ!この楽しい時間を忘れるな!今だけは戦いを忘れ!この平和を謳歌しろ!この祝祭を大きく眼に刻め!俺を英雄と呼ぶなら!そう呼べばいい!ゼウスとヘラのグランド・デイは我らが新しい歴史として変えた!この雷帝である俺と共に戦ってくれたオラリオのファミリアの冒険者たち!この新たなグランド・デイを大きく楽しめ!!!」

 

「「「「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

そうして俺はグラスを上に掲げて、その勢いと同時に花火が夜空に舞った。誰も彼も歓声が上がった。なんで俺がこんなことをして宣言しないのかはヘスティアに聞きたいが。これも英雄になった者の定めかと、俺は英雄としての威厳を示さなければならないと。自身のやることに責務が出来上がってしまった

 

だがそれでも平和を取り戻したことには変わりはない。今はゆっくりとこの日常を楽しむようにしようと、英雄としての苦労は忘れた

 

グランド・デイはまだ明日まで続く。今は英雄となった喜びよりも、シルと過ごせる今と明日を楽しむことにした。ベヒーモスの戦いがとても長く。平和そのものを俺は忘れていた

 

だから俺はシルと共にこの平和を楽しんで精神を癒す。今だけは人間らしく過ごさせてもらう事にした

 

 

「ジーク!お願い!」

 

「ああ・・・・・では!ベヒーモスを討伐を祝して・・・乾杯!!!」

 

 

「「「「「「乾杯!!!」」」」」」

 

皆グラスを持って空に掲げ。祭りの再開を宣言した

 

 

ベヒーモスが消えたこの下界で新たな輝きが満ちた。それは巨獣を倒して得た勝利と言うなの平和。誰も悲しむことのない蔓延なる笑顔。俺たちは無事に日常を取り戻せたのだった

 

雷帝と言う英雄になった事に関してはどうでもいいと思うし。これ以上の目立ちたくはないのだが、でも今はこの平和を充実に楽しもうと、この英雄と言う肩書きを大いに利用するのだった

 

 

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