ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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英雄は姫には弱い

 

 

 

翌日

 

グランド・デイはまだ続く。今日までだが。その今日の大事な祭りに俺はファミリア同士の仲間とは別で行動することを予定していた。シルを昨日デートに誘った。ヴェルフと命のように、俺にも想う相手が・・・・・できたのかもしれない。遠くに居る彼女の声が俺には聞こえた。だからあの時俺はベヒーモスに殺されかけた時立ち上がれて戦えた

 

彼女の声を聞いて俺は立ち上がった。そして彼女の声を聞いて俺の全ての力を出せた。俺が彼女に恋をしているから『フレイ・リーベ』が発動した。フレイの言う通り、俺に恋の素晴らしさを伝えられた事であの謎のスキルが発現し、あのレアスキルを発動する事ができた。『愛の力でベヒーモスを倒した』なんて俺はそんな現実味のないことなど信じないはずだが、そうとしか考えられない。フレイが今ここの下界に居るならもっと恋について学ぶべきだっと。

 

感情を薄れているはずの俺が、シルを求めすぎていた

 

 

今は彼女のところへ迎えに行こうと豊饒の女主人の店まで足を運ぶ。彼女と今日デートを過ごす事に物凄く・・・・・・・・『好奇心』を抱いていた

 

彼女と今日一日過ごせる事に楽しみを感じていた。俺がそんな感情をしているなど今でも思えない。だから困惑していた。彼女と過ごす事に楽しみはしていると同時にこんな感情になっているのはなぜだと。疑問だらけの感情に俺は理解はできなくなっていた。言うなら・・・・・・・こんなの俺ではないと。自分の今思う感情を頭で否定していた

 

だから

 

 

「俺は・・・・なぜ・・・・シルを・・・・デートに誘ったのだろう・・・・」

 

 

まだ怪我は治っていないから。包帯はまだ解いてない。だが私服で来ている。腰にはパンドラボックスも持ってきている。黒ワイシャツと青ズボンで普通の服装。とりあえずデートしやすく、オシャレではないがラフな格好をしてきた

 

誘ったからには無しにするわけにもいかないため、俺はちゃんと彼女の場所に・・・・・・・・彼女の酒場の中で紅茶を飲みながら待っていた。もちろん時間は過ぎてもいなければ。待ち合わせ時間からまだ10分前。俺が先に待っていたのだ。俺自ら彼女にデートを誘った事に緊張をしているのか。待ち合わせ時間より早く先に着いて、頭を悩まされながらミアに中で待つように言われ、今はタダで紅茶を提供されているのだが。俺から愛を求める事に頭を悩まされて紅茶に全然口にしていなかった

 

心ではシルとデートを楽しむ事に喜びを感じ、頭ではなぜ愛を求める事に疑問を抱くなどをして、俺は何がしたいのかと顔に悩みの顔が誰もが見てもわかるほど出ていた

 

昨日まで愛を欲しがっていたと言うのに、今になって俺は自分の言葉に後悔をした。まるで俺ではないと。自分を否定していた

 

 

「ごめんジーク!一時間も待たせて!・・・・・・って大丈夫?」

 

「え?ああ・・・シル。大丈夫だ。問題ない」

 

「もしかしてやっぱりまだ傷が疼くの?」

 

「確かに疼くがそこはむしろどうでもいい・・・・・そうではない事に頭を悩まされている」

 

「え?」

 

「とにかく気にしないでくれ。準備できたんだな?行こうか?」

 

「うん!今日はお願いね?」

 

「ああ。楽しませる事ができるかは不安だが、全力を尽くす」

 

 

とにかく、彼女が準備できたため、店を出て彼女と共にデートを楽しむことだけを優先した。感情がどうこう言う前に。彼女が楽しませることだけを考えようと俺の悩みは後回しにした

 

「どうジーク?このドレス似合うかな?」

 

「ああ。エメラルドグリーンをしたワンピースか。二年前よりもファッションセンスがわかってきていて、とても似合っている。相変わらず君はファッションセンスがわかっていて羨ましい」

 

「そんなことないよジーク。まあでも・・・・この日のためにオシャレは頑張ったかな・・」

 

「なにか言ったか?」

 

「ううん!なんでもない!行こう!」

 

「ああ」

 

当然デートでは彼女の服装が似合っているか聞かれる。当然俺は似合っていると答える。だがその似合いは彼女のセンスの良さがあるからこそのもの。だから俺は彼女のファッションセンスも素晴らしいと褒める。俺も欲しいと思っている。彼女のファッションセンスを。でなきゃこんな単純な服装でデートに出るなど。俺の方が男としてありえないからな。だが彼女は俺の服装に関して何も言ってこない。それよりもこの体の傷の方を気遣っているのからなのか、俺の服装に関しては何も言ってこなかった

 

彼女と少し街を歩くと、街の者たちから注目を浴びた。理由は俺にある。俺が一昨日ベヒーモスを一人で倒した事により、雷帝と呼ばれ英雄と讃えられる事になり、その英雄が街に歩くなど。注目しないわけがない。ベヒーモスを倒し有名となった俺が街へ歩けばワーワーと叫びをしたり、キャーキャーとエルフの女たちが歓声を上げてくる

 

しかもシルと一緒に歩いているため、もしかしなくても今のシルは英雄となった俺の恋人として見ているのかもしれないと、俺は街の人々の顔を見てそう思っていた。

 

実はそれだけじゃない。シルが・・・・・なぜか顔が真っ赤だ。彼女が恥かしい顔をしている。英雄となった俺と隣に歩いているから街の人々に恋人と間違われているのか。とても恥ずかしい思いをしているのが見えた

 

俺はもう昨日の夜で慣れたのか、街の人々の注目を無視して、街を歩いていく

 

 

 

そして向かった先

 

 

「シル・・・・・・なぜこんな物を建設したんだ?」

 

「ジークの銅像?私は良いと思うけどな・・・・恥ずかしい?」

 

「むしろ鬱陶しい。俺は有名になるつもりは無い」

 

「理由は・・・・・ギルドの職員が新たなこのオラリオに英雄が誕生したからと、銅像を建設しようと言う・・・・・話になったそうだよ?」

 

「頭が悪すぎる。発想が極端だ。本人の許可なくこんな物を作るな」

 

 

バベル前に建設された。噴水広場にある俺がミョルニルを掲げた銅像の場所だった。シルに詳しくこれを建設した理由をしっかり聞いておきたいからと、彼女に頼んでここまで来た。シルにこんな鏡に写し出された自分の姿の銅像を『恥ずかしい?』と言われるが、それとは別で英雄となったからと言ってここまで有名にされるのが面倒だからだ

 

以前までフレイの義弟だと街の者たちに知られるとエルフの知らぬ女たちに声を掛けられるのが面倒だった。これが更に英雄となって余計また大きく注目を浴びるなど溜まったものではなかった。これで更に知らぬエルフの者たちに声を掛けられ、フレイ同様に崇拝されるのではないかと。面倒ごとが増えるのだと一応覚悟する

 

これを建設しよう提案したギルド職員を俺は恨んだ

 

 

「私は良いと思うな・・・・あれ」

 

「勘弁してくれ。英雄になる気もなければ。有名人になるつもりもない」

 

「そう?でも今ジークの評判すごい事になっているよ?」

 

「それはどんな評判に?」

 

「あのブレイバーに並ぶ一と二に争う程のイケメンだとか。エルフの王子だとか。ヘスティア・ファミリアの騎士だとか。フレイ様の義弟だとか。色々と言われているよ?」

 

「エルフの王子って言うのはどういうことだ。フレイの義弟だからと言って、エルフの王子にされても困る」

 

 

顔がイケメンだからと色々俺もフィンのように言われていた。一番に噂されるのをやめて欲しいのはエルフの王子とか言う単語。それだけは呼ばないで欲しい。こんなことリヴェリアに聞かれたら何を言われるか考えるだけでも嫌だからだ

 

俺はエルフの関係あるのは、フレイの義弟だけ。もしくは精霊の王。精霊召喚師。それ以外は別にエルフたちに接点は無い上に。エルフではなくヒューマンだ。ハイエルフでもない者が崇拝されて有名人になどなりたくない

 

そんなことを考えていると今度は屋台の方へとシルと共に足を運んだ。まだ今日はグランド・デイ。まだ美味い料理屋や普段売ってない限定の物も売っている。今度はそこに行って楽しもうと思ったのだが

 

 

「はいはい!雷帝の『ミョルニル』と『グラム』のおもちゃが売っているよ!」

 

「こっちは雷帝の成りきり鎧だよ!神トールの成り切り鎧もあるよ!」

 

「わーい!雷帝の装備のおもちゃだ!」

 

「パパ!ママ!買って!」

 

 

「・・・・・・・・・なんだあれは?」

 

「ジークの装備と武器がおもちゃにされているようだね?」

 

「雷帝と呼ばれて・・・・・そんなものまで売られるとは・・・・もうグランド・デイの祭りではない。もう俺の英雄誕生祭だ」

 

 

はあ・・・・・・なぜこうも、俺の関連する物まで売られるとは、なんでこうも俺をこうも有名するのかわかったものではない。ベヒーモスを一人で倒す事に関しては確かに他の者では真似できない事だが、だからと言ってそんなデカイ功績を上げたからと言ってそこまで有名にされるのも困るものだった

 

出店に俺の武器や装備をレプリカを売るなど、いつの間に作ったとツッコミを入れたいほどに、この出店に不安を感じた。この出店はゴブニュ・ファミリア。間違いなくゴブニュが売れると思ってこんなものを製作したのだろうと推測する

 

そしてその不安が飛んできた

 

 

「あ!雷帝様だ!」

 

「豊饒の女主人の店員さんと一緒だ!」

 

「ジーク!」

 

「ジークお兄ちゃん!」

 

 

「ああ。何か用か?」

 

 

「サイン頂戴!今買った武器に!」

 

「私も!」

 

「僕も!」

 

 

「ああ。サインなんて書いた事がないから、名前とヘスティア・ファミリアのエンブレムを書けばいいな?」

 

 

俺の武器のおもちゃを買った子供たちが俺を見つけ、俺にサインを求めてきた。サインくらいなら時間も掛かるわけもなく、俺は求めた通りに答える。だがサインなんて書いた事が無いため、名前とファミリアのエンブレムをおもちゃや装備に書く。

 

ああ。本当に有名になるとロクな事にならないのはまさしくこの事を言うのだろう。こんな事がこれから少しづつあるのではないかと思うと、本当に面倒な感じがする。有名になると面倒が増える事は覚悟しようと

 

もう次からは驚かず、成すべき事だと思って面倒臭がらずに受け入れようと思った

 

 

「やれやれ・・・・サインを書かされるとは・・・」

 

「すごい人気ねジーク?」

 

「ベヒーモスを一人で倒すなんてバカな真似をした罰であろうな・・・」

 

 

なんとなく、今になって無茶な事をしたことへの罰を今やってきたのでは無いかと、今になって思ってきた。早く普通にデートを楽しませて欲しいと、俺は次に何か来ても無視をしようとする

 

とにかく俺はシルの手を取って、出店の方へ奥へ奥へと進む

 

 

 

すると

 

 

「あ!ジーク!」

「ジークさん!」

 

「ん?桜花と千草か?」

「こんばんは」

 

「いらっしゃいませ!ジークさんもシルさんも新作のジャガ丸君はいかがですか?」

 

「新作?イヴの時は普通の売っていたのに、もう新作を作ったのか?」

 

「はい。ジャガ丸君カレー味と言うの・・・・・なんですが・・・」

 

 

「ん?・・・・・・これは・・」

 

「ジークのお母さんのミョルニルのマークが入っているね?」

 

 

出店で桜花と千草と出会し、二人が営業をしている出店はジャガ丸店。前夜祭の時は特に新作は出してなかったと言うように、最後の日になって新作のジャガ丸君を発売し出した。味がカレー味なのだが

 

ジャガ丸の衣に『ミョルニル』のマークが入っている。名前が『ジャガ丸・雷帝カレー味』と言う。電撃を浴びるほどの辛さと言う意味で売られている

 

またしてもここでも俺の名を使って売っていた。俺の名前が入るだけで売れるとは思えないのだが

 

 

「これを考えたのは誰だ桜花?」

 

「タケミカヅチ様だ。ジークが英雄になったからって、お前の名前を使ったジャガ丸君を売ればたちまちこの食べ物も人気になると。売り出してな」

 

「もう焼印まで作ってあるんだよ?」

 

 

「タケミカヅチも発想が極端だ。なんで神まで俺の名を使って何かを売ろうとするるんだ」

 

「あはははは・・・本当に人気ねジーク?」

 

「タケミカヅチがこんな事をするって事は、他の店でも俺の名を使って何か売っているかもしれないな」

 

「ああ・・・・それはあり得るかもね」

 

 

タケミカヅチ・ファミリアが俺の名前を勝手に付けた商品を出店に出しているとなると、他の店やファミリアの店も俺の名前を付けた商品で、大儲けしようとしているのではないかと、俺は推測した

 

そう考えていると、出店の奥の方で聞き覚えのある声が聞こえた

 

 

「なんですかこれは?ディアンケヒト様?」

 

「見てわかるじゃろ?雷帝が飲んだと言われる『雷帝が使用したポーション』じゃ」

 

「まさか・・・・・・それ売るの?」

 

「そうに決まっているだろ!これで大儲けだ!ふははははははははははは!!」

 

「ねえ?これ本気で売れると思う?」

 

「絶対に売れません。彼が作ったならともかく。彼が『飲んでいた』では・・・・絶対に売れません」

 

「それに。ジーク本人は自分でポーションを作って飲むくらいだからね。このじじい本当にもう終わりだよ」

 

「すまぬ二人とも。ジークにできれば新しいポーションを教われば良かったのだが、彼は私たちのファミリアではないからな。こんな事は頼めん」

 

 

 

「あっちでもジークの名前を出してポーションを売っているわね?」

 

「本当にディアンケヒトは老いているんじゃないのか?どう考えてもあんなの売れるわけないだろう」

 

 

またしてもディアンケヒト・ファミリアがまたも理解不能な販売方法をし、それに無理矢理付き合わされるミアハ・ファミリアに俺はご愁傷様としか言いようがない程、見ていられぬ哀れな光景を確認した

 

俺が製作したポーションならともかく、『俺が使用していた』ポーションを売るなど、俺の関わりが一切無い商品だった。ポーションなど冒険者なら俺でなくても誰も使うと言うのに、なんの理由があってあんな物を売るのか、ディアンケヒトの考えに理解ができなかった

 

所詮神でも老いぼれだと俺は哀れに思った

 

 

「他の店でもあんな風に売ってそうだな。ジーク」

 

「ああ。次からはもう絶対に驚かない。シル?あの店にだけは行かないようにしよう。構わないな?」

 

「何かに・・・・巻き込まれそうだもんね。別の所行こう?」

 

「ああ」

 

 

シルも流石にあのディアンケヒトの出店には流石にロクでもない事に巻き込まれると感じたのか。俺の言葉に素直に従って別のところへ行く。一応桜花たちの雷帝カレー味と言うジャガ丸君を一つずつ買った

 

味も少し辛みがあって不味くはない。むしろ他のジャガ丸君よりは遥かに美味い。タケミカヅチはヘスティアの店とは違って努力し研究してジャガ丸君を作っている。俺の名前が入った事に関しては無関係だが、カレーの味を上手く引き出しているのがわかる。男神自ら調理した料理ではあるなと。俺も料理しているからこそわかる味だった

 

俺の名前を抜いても問題ない料理だと。好評になると俺は思った

 

 

それを食べながら違う店へ、向かった先は

 

 

「お?ジークではないか?」

 

「あらジーク?もしかしてデート?」

 

 

「ん?椿にヘファイストスか?」

 

「あら?ヘファイストス・ファミリア?イヴの時は出店出さなかったのに、本番の方は出すんですね?」

 

「本番はね。前夜祭は・・・・・隣に居る椿のせいでね・・」

 

「いいではないか。拙僧たちの主神が美人だと言う事をアピールしたかっただけだ」

 

 

ヘファイストスの出店。ヘファイストスと椿が接客をして営業をしている。前夜祭の時は椿のせいで美女コンテストに自分だけエントリーさせられて出店を出す余裕が無かったらしい。別に他の眷属に出店を出させて接客させればいいと言うのに、主神の本人が居ないと、ヘファイトス・ファミリアの出店は出ないようだ

 

それで今日の本番の続きの日には出店を出しているが、売っている物に意外差があった

 

 

それは・・・・・・ヘファイストス・ファミリアと言うブランド物を製作するファミリアが、武器ではなく。アクセサリーを売っていた

 

 

「珍しいな・・・・ヘファイストス・ファミリアが武器ではなく、アクセサリー等を売るなど。滅多にない事だ」

 

「確かに毎年グランド・デイじゃあ武器を売っていたのに、どうして今年はアクセサリーなんですか?」

 

「実は店に出す予定の武器を一昨日のベヒーモス戦に全部使っちゃってね。下級鍛治師や冒険者に全部渡しちゃったの。緊急事態だったしね」

 

「だから昨日の夜の内に簡単にできるアクセサリーしか製作時間が無かったんだ。節操たちファミリアも昨日帰るだけとは言え疲れていたからな。武器を製作する体力は節操でも無かった」

 

「確かにな・・・・・・夜の内に製作できるのはアクセサーくらいしか体力も時間も無いだろうからな」

 

「それなら一層休みにしても良かったんじゃ無い?」

 

「そう言うわけにはいかん。お前さんが英雄になったこの記念を逃すわけにはいかん。一番の稼ぎ時は節操たちでも見逃す気はない」

 

「まあ私たちもそう言う根性だけあってアクセサリーを無理矢理販売しているんだけど、あなたにとっては不服な物ばかりよね?」

 

 

「・・・・・・・まあ確かにな」

 

「雷のペンダントに、ジークのお母さんのミョルニルのブレスレット。ここでもジーク関連の商品なんですね?」

 

 

「うむ!今年のグランド・デイはジークが新しく雷帝英雄譚として歴史を変えたからな。この歴史が変わった瞬間のあるこの祭りをお主の関係のある物でなければ意味がないのだ」

 

「それは俺の著作権侵害じゃないのかと考えつかなかったのか?お前だから考えるわけないか・・・」

 

 

ヘファイストス・ファミリアも俺に関連するアクセサリーを売っていた。ヘファイストス・ファミリアも大儲けするためなら手段を選ばず。ミョルニルや雷のマークやヘスティア・ファミリアのエンブレムをベースとしたアクセサリーをズラリと並んで売られていた

 

椿の奴。ドワーフのハーフだから俺への著作権は当然何も考えておらず。俺が英雄になったからと本人の許可も無しに勝手に製作して売っていた。もう俺の関連している商品については何も言わずに受け入れると先ほど覚悟したのだが

 

やはり何か不服な部分が心からやってくる。

 

だが

 

 

「ん?」

 

 

机に置かれた並べられていた商品の中から、一つだけ俺とは関係のないシンプルなデザインをしたアクセサリーを見つける。

 

それは花の髪飾りだった。花はガーベラでピンク色の輝きをした宝石で作られた髪飾り。他のは俺に関連しているアクセサリーばかりだと言うのに、一つだけそうでないアクセサリーを置いてある事に俺は疑問を抱き。この製作したのはもしかしなくてもヘファイストスだと思い。俺はヘファイストスに聞く

 

 

「ヘファイストス。これはお前か?」

 

「ええ。あなたが英雄になったからと言って、そればかりのアクセサリーを出すと言うのもね。私なりに自分で工夫して作ったの。どうかしら?」

 

「ガーベラの髪飾りか・・・・・」

 

 

ピンク色のガーベラは花言葉で『崇高な愛、思いやり』。ガーベラは色によって花言葉はそれぞれ違うが、ピンク色は特に愛の強い言葉がある。その愛はシルに似ている。思いやりが特に、俺はこのガーベラには彼女に合っていると思った

 

だから

 

 

「ヘファイストス。このガーベラの髪飾りを買う」

 

「え?これを?」

 

「ああ。一つ貰おう」

 

「わかったわ。買ってくれてありがとうね」

 

「雷帝がウチの物を買ってくれるなんて嬉しい事だ」

 

 

そうして俺はヘファイストスからこのガーベラの髪飾りを買う。十万ヴァリスとそこまで高額の値段をしてない宝石の値段ならではの安いアクセサリーを買った。そしてその髪飾りを

 

 

「シル。頭を動かさないで」

 

「え?」

 

「いいから・・」

 

「う、うん」

 

 

そうして俺は頭を動かさない彼女の髪の上に、ガーベラの髪飾りを彼女の髪の上に取り付けた。最初から自分のためではない。彼女に似合うからと買った物。デートなんだから男が女にプレゼントするのは当然の事。

 

このガーベラの髪飾りを付けた彼女は、より美しくなった。

 

 

「どう?・・・」

 

「ああ。似合う。やはり君のために買って正解だ」

 

「ありがとう。ジーク・・」

 

「いや構わない。君が似合うなら・・・」

 

 

「彼女にプレゼントだったのね・・・・ジークらしいわ」

 

「ジークの奴・・・いつの間に紳士になったんだろうな?」

 

 

「いい買い物をさせて貰った。ではまたな」

 

「では失礼します」

 

「ええ」

 

「毎度ありだ!」

 

 

ヘファイストスで一ついい買い物をさせて去った。俺にとっては彼女がより美しくなる事に越したことはないからだ。ヘファイストスも珍しくいい物を作ると思った。彼女は普段武器にしか興味がなく、このような戦闘には関係ないアクセサリーを作るなど滅多にないことだからだ

 

でも彼女が製作したアクセサリーも女神ならではの完成度。宝石の輝きはちゃんと引き出せている。是非ともその輝きをシルに身に付けるべきだと判断した

 

俺の判断通り、より彼女が美しくなった。やはりこの買い物をして良かったと金を賭けた甲斐があったと思っている

 

 

ヘファイストスの店を通り越して、奥にある出店を回る。

 

そして次の場所はどこへ辿り着くか

 

 

「ん?」

 

「あれ?・・・・・ヘルメス様だよね?ジーク?」

 

「ああ。何をやっているんだ?」

 

 

出店を回っていると、ヘルメスを見かける。だが出店ではなく、大きな会場を開いて何かやっている。多くの観客も集まっている。あいつが主催者として何かやっているようだが・・・・ロクでもないことをやっているのではないかと。俺は嫌な予感を感じていた

 

 

「シル。ここはやめておかないか?」

 

「うん。なんか・・・・・変なことに巻き込まれそう」

 

「理解が早くて助かる。と言うわけで行こう」

 

「うん」

 

 

シルもヘルメスのロクでもない考えをしている性格を知っているのか、ここだけは何か面倒な事に巻き込まれそうだと、俺たちはすぐこの会場広場を出ていく

 

だが

 

 

「おお!あそこに居るのは僕らの英雄のジーク君とシルちゃんじゃないか!ちょうどいいタイミングだ!こっちに来てくれ!」

 

 

「く・・・・・どうやらバレたようだ」

 

「どうする?」

 

「観客もこっちを見ている。空気を読んで潔く行くとしよう」

 

 

流石に観客達がこちらを見ているため、無視をするわけにもいかず、英雄と言う肩書きもあるため、空気の読めない英雄と印象をつけられるのも面倒なため、潔くヘルメスの謎の会場にシルと一緒に足を運んだ

 

 

「もしかしてシルちゃんとデートだった?」

 

「ああ。それで・・・・これは何の見せ物だ?お前のことだ、何かの見せ物なんだろ?」

 

「うん!そうだよ!相変わらず察しがいいね?」

 

「ヘルメス様のことですからそう思ってました。それでなんの出し物ですか?」

 

 

「それは・・・・・・・・・・・・・・・歌唱大会だ!!!」

 

 

「歌唱大会!?」

 

「女好きのお前が、随分とまともなことをするのだな?」

 

「ふふ!俺だっていつもふざけているわけじゃないんだよ!ただ今回君が英雄となったことで、フレイの義弟の関係で、エルフの王子って言う別の名で君をエルフの市民や冒険者達が呼んでいるのは知っているかい?」

 

「ああ。さっきも街でそのような事を街に歩くエルフ達に呼ばれている・・・・」

 

「それで君が英雄になった関係で、フレイの義弟は歌が上手いってことで、誰が歌が一番上手いか、俺たち神で評価しようと思ったけど、ちょうど顔を出してくれた君に、エルフの王子でもある君に評価して貰いたいんだ。歌は君もアポロンの宴を聞いてとても上手いと思っている。どうかな?」

 

「それくらいなら引き受けよう。シルは?」

 

「私もそれくらいならいいかな。エルフの歌唱も聞いてみたいし」

 

「と言うわけで受ける。ヘルメス」

 

「ありがとう。それじゃあよろしく頼む。聞くんだみんな!フレイの義弟である雷帝もこの歌唱大会を評価してくれるぞ!!」

 

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

ヘルメスは俺がフレイの義弟であることから歌が上手いと知っている。それで誰が歌が上手いが評価したいらしく、俺が英雄になった記念に俺に並ぶような歌を歌えるかどうか確認したいようだ。

 

評価するヘルメス以外の主神は

 

 

「おお!ジーク!ここに来てくれたんか?やっぱりジークが来てくれなきゃ始まらんで!」

 

「ん?ロキ?お前がこの大会の審査員か?」

 

「そうや!ウチの子達も出るからな!評価するのはウチやヘルメスだけやないで!」

 

「私たちもだ。ジーク」

 

「よろしくね?」

 

 

「デュオニュソス。デメテル。お前達もか」

 

「かなり勢揃いね?ジーク?」

 

「こいつらなら・・・・こう言うのには出そうだな。特にデュオニュソスは・・・・フィルヴィスも出ているんだろ?」

 

「ああ。エルフが歌が上手いのは当然。なら私たちもだ」

 

 

「そんなことを言われると、ほぼ・・・・・エルフしかエントリーしてないんだろうな?」

 

「リューも出ているかな?」

 

「あいつ今日は仕事だろ?」

 

 

歌が上手いとなると、確かにエルフの方が歌唱力がある。だからほぼこの大会に参加しエントリーしているのはほぼエルフではないかと、俺は想像をつく

 

なんでエルフの王子と呼ばれるだけで俺がこんな事に参加しなければならないのか、いくらフレイの義弟であると言ってもこんな事にまで巻き込まれたくないのだがな。せっかくのシルのデートだと言うのに

 

まあふざけた事に巻き込まれるよりはマシだがな

 

 

「それじゃあ俺とシルとロキとデュオニュソスとデメテルとお前を含んだこの六人で評価するでいいんだな?」

 

「そうだね。でも最終決定は君で決めてもらいたい。いいかな?」

 

「それは俺も歌えるからか?まあそれで他の連中が納得するならな」

 

「大丈夫だよ。フレイの義弟で英雄になった君に文句を言う人なんて居ないよ」

 

「そうか・・・・・なんだっていい。とにかく始めるぞ」

 

 

俺が決める必要がないと思うのだがな。まあ早く終わって欲しいともう文句も言わずにさっさと始めようと急かす

 

 

「それじゃあ初めて行こう!!」

 

「まずはウチの子や!エントリーナンバー一番!レフィーヤ・ウィリディスとアリシア・フォレストライトや!」

 

「ロキ。お前がそう言うことを言うとなると・・・」

 

「お、お願いします!」

「お願い・・・・・します」

 

「やはりお前達か・・・・二人で一緒にか」

 

 

ステージの裏からレフィーヤとアリシアが出てきた。どうやら二人で一緒に歌いようだ。どうせロキに無理じえされたのだと想像ついた。なぜなら二人とも顔が赤いからだ

 

 

「ジ、ジークさん!?」

「ジーク!?どうして!?」

 

「俺が審査員にされた。シルと一緒にな・・・・俺の事は気にせずに歌え。緊張していたら何もできないまま終わるぞ?俺を意識せずに歌に集中しろ」

 

「あ、はい・・・・」

「ジークの前で上手く歌えるかな・・・・」

 

「気にせずに頑張れ・・・・期待している」

 

「じゃあ頑張ろうか・・・」

「う、うん!・・・・」

 

 

そうしてレフィーヤとアリシアは声を合わせて合唱を始める。彼女達の二人が歌う歌はデュエット曲で・・・・アイドルミュージックだった。確かロキの計らいで『エルフリンクス』と言うダンジョンアイドルとか言うものをレフィーヤが誰かとやっていると聞いた

 

この歌唱大会でもアイドルミュージックを歌った。よく見てみればレフィーヤもアリシアも派手なカラフルのドレスを着ている。スカートも短い。露出が多い。明らかにまたロキに変なことを唆されたようだ

 

だがそれでも歌が上手いのは確かだ。盛り上がるようなテンポのある歌。まあ相手を応援するなど元気にさせるような歌だと感じた。デュエットの歌としてはベストだった

 

それは嘘ではないと評価する。二人が終わると評価に移る

 

終わった後は観客達は拍手よりも、歓声が上がった。口笛を吹いて喜ぶ者も居る。二人のテンションが舞い上がる様な歌により、会場はもう一曲目で盛り上がっている

 

 

「レフィーヤちゃん!アリシアちゃん!ありがとうございました!二人ともよくがんばったね?」

 

「は、はい・・・」

「なんとかがんばった・・・」

 

「ジーク。どうや?レフィーヤとアリシアの歌唱は?」

 

「は?お前ら主神達が評価してから俺が評価するんじゃないのか?」

 

「細かい事はええから。ジークがまとめて評価すればええんや。英雄なんだし、どうや?」

 

「ヘルメスの言っていた事と全然違う。まあいい。そうだな・・・・まあアイドルミュージックだから二人ともしっかりと歌を合わせて歌ったりと、意気投合をしている歌だと感じる。二人とも歌のズレはなかった」

 

「本当ですか!?」

「本当ジーク!?下手じゃなかった?」

 

「ああ。ただ・・・・」

 

「「ただ?」」

 

「歌は評価するに値するが、その格好はやめたほうがいい」

 

「え?この格好?」

「ロキがこのドレスの方が可愛さが増すって言っていたけど・・・」

 

「可愛さはあるが・・・・・・スカートが短すぎて、下着が見えているぞ?」

 

「「はい!?」」

 

「そうだろうシル?」

 

「うん・・・・・さっきから観客の人たちが・・・・お二人のパンツを見ていますよ?」

 

「「え!?!?」」

 

「「「「「「ギク!?」」」」」」

 

 

実はさっきから観客達がやけに二人の演奏に顔を赤くしていたのを、俺とシルは気づいていた。それが二人のスカートからあまりの短さにより下着が見え、歌よりも観客はそこに目が行っていた

 

それを二人に気づかせると、二人はスカートを抑える。もちろん見ていた観客達も違う方へと顔を向けた。

 

 

「「きゃああああああああああ!!」」

 

「早く着替えた方がいいぞ?ロキのオススメする服はいつも露出が激しいからな」

 

「ええ〜。これくらいした方が可愛くてエロくてええやないか?」

 

「ロキのバカ!!」

「今年のグランド・デイ私こんなんばっか!!」

 

 

そうして二人はスカートを抑えたまま、ステージの裏へと着替えるために逃げて行った。それは当然だろうな。こんな大勢の前で下着を見られれば当然だ。恥ずかしくて逃げて行くのは当然だ

 

レフィーヤもいい加減ロキの言葉をあまり信用しない方がいい。こう言う時のロキの悪戯はタチの悪いレベルだからな。次から二人は気をつけた方がいい。出ないと今度こそ女として一番の恥じらいを見せる事になる

 

 

「ロキ。あまり眷属をいじめない方がいいぞ?でないと本当に嫌われるからな?」

 

「そうやな・・・・・次はもうやめとく・・・」

 

「ヘルメス。次だ」

 

「OK!それじゃあ次行ってみようか!」

 

「次は私からだ!エントリナンバー2!ウィルヴィス・シャリア!!」

 

「うう・・・・・私がなんでこんな・・・」

 

 

「お前も主神に無理じえされたか・・・」

 

「う!?ジーク!?なぜお前がここに!?」

 

「審査員だからだ。お前も緊張をせずに歌に集中しろ。お前もこう言うのは苦手だろ?」

 

「あ、ああ。そうだな。フレイの義弟であるお前にいい歌を歌えるかわからないが・・・・なんとか全力を出そう」

 

「ジーク、友人として正統な評価を頼みたい」

 

「あいつが大勢の前で勇気を出して歌うんだ。当然そのつもりだ。デュオニュソス」

 

 

そうしてデュオニュソスの眷属であるフィルヴィスは謳歌した

 

彼女の歌はワルツだった。ワルツを歌にして彼女の声が会場全体にささやく。マイク越しでも小さな声なのだがそれでも静かに踊りに出てしまうかのような良い音色の様な声。誰も彼も静かに足踏みをしてしまうほど、テンポの良い曲。ゆっくりで、静かで、豊かな唄

 

一人ではあるが、くるりとくるりと、彼女のスカートがフワリと舞い上がる。花が咲くように回転してステージの上で踊る。一人でも踊れるワルツの歌。普通ワルツを歌にするのはあまりに難しい。なのに見事に歌にして見せた

 

ネガティブなアイツが、良い歌を歌ったとデュオニュソスに言われなくても、正しい歌を評価した

 

 

俺も彼女の歌でシルと共に踊りたいと思っている。

 

そして彼女の歌が数分で終わった。彼女とは思えない華麗な踊りと歌声に観客達は拍手した

 

 

「ふう・・・・・どうだろうか?ジーク?」

 

「お前も俺だけに評価を貰う気か?まあ・・・・・悪くない。本当に素晴らしい歌だった。あのワルツを歌に変えるなど見事だ」

 

「ほ・・・本当か?」

 

「ああ。まあ欠点で言うなら・・・・・・・・・この大会の評価とは関係ないが、普段こういう風に愛想を良くできないのか?歌っている時のお前は本当に良い顔をしていた。あの時の顔を普段出していれば良い印象を他の連中に持てると言うのに、そう思わんかデュオニュソス?シル?」

 

「ふむ、確かにね。私もフィルヴィスの歌っている時の表情は確かに良かった。その表情も普段から出せば良いと何度か思っていたのだが。どうにもまだ硬い表情をしているなと思った。ハッキリ言うなら主神として・・・・フィルヴィスの交友関係を心配しているんだ」

 

「な!?デュオニュソス様!?」

 

「確かに・・・・・あなたは何か暗いとは別に・・・・・少し勇気がないと言うか、私から見ても表情が硬いわね。もう少し明るく顔を見せるだけで印象は変わってくると思うの。酒場で何度かあなたのことを聞いたことがあるけど。少し表情を変えないと・・・・・変な印象を持たれるから気をつけてくださいね?」

 

「待て!?私は周囲の人間にどんな印象を持たれているんだ!?」

 

「シル?酒場でフィルヴィスのことを何か言う者が居るのか?」

 

「ちなみになんて言っているんだい?教えてくれないか?」

 

「それが・・・・・・・・・・こうで・・・・ああで・・・」

 

「なるほど・・・・・・フィルヴィス。少しくらい表情を柔らかくしないと・・・・・・本当にとんでもない印象を持たれるから注意してくれ」

 

「お前にはとても言えないことだ。とにかく歌の方は正統に評価させて貰う。以上だ」

 

 

「待ってくれ!ジークも!デュオニュソス様も!そのヒューマンの女から何を聞いたのか教えてくれ!」

 

 

「言うなよデュオニュソス。友人として俺も伏せておきたい」

 

「ああ。主神として眷属にこの様な事は私からも言えない」

 

 

フィルヴィスの歌はしっかりと評価はするが、それ以外で問題があった。大会に関係ないが彼女の普段の表情と愛想の無さに問題がある事は主神であるデュオニュソスもわかっていた。だが今歌っていた時の表情はとても良く。見惚れている者が大半だった

 

それと同じくらいの表情と愛想を出せば、普通に良いエルフになるのだが、どうにも交友関係に危うい程の普段無愛想な表情をしているため、友人としてもう少し柔らかくしようと、ついこんな大勢の前で注意を出してしまった

 

シルが言うにはその硬い表情のせいで変な印象を他の冒険者達に持たれているらしい。その他の者たちが言うフィルヴィスの印象は・・・・・・・・

 

とても言えないほど酷いことを持たれているため、フィヴィスには言わない様にデュオニュソスにも同意を得た。それほど言えないのだ

 

 

「次だ。ヘルメス」

 

「フィルヴィスちゃんありがとう!物凄く盛り上がってきたぞ!それでは次のエントリーナンバーは・・・・・え!?」

 

「ん?どうしたヘルメス?まさかこの三人だけか?」

 

「いや・・・・・・そんな事ないけど・・・・・・これは・・」

 

「ん?ああ・・・・・そう言うことか」

 

「ジーク?どうかしたの?」

 

「いや・・・・・・・次も俺の知っている知人だってことだ。そうだろう?ヘルメス?」

 

「ああ。どういうことだろうね・・・・・・エントリーナンバー三番。ヘディン・セルランドとヘグニ・ラグナール!」

 

「え!?」

 

「すいません。私たちも参加させていただきます」

「お願いします・・・・・」

 

「なんでお前達まで参加する?」

 

 

表に決して出ることのない二人。そしてあのフレイヤ・ファミリアの団員であるミアとオッタル以外が出てくるなど、ありえないことだ。ヘディンとヘグニ。白と黒の騎士がこの様なお遊びの大会に出場するなど信じられない。観客も驚いて当然

 

フレイヤの神の力と神威は感じない。フレイヤ義姉さんはここには居ないのは確信している。多分それはシルが居るからなのだろうと思うが、シルはヘディンとヘグニのことを知っている様な顔をしている。でなければあの二人が出て驚くはずがない

 

だとするならシルはやはり・・・・・・・・・・・・・だと思った

 

とにかくなんであの二人がこんなお遊びに参加するのか聞いてみる。いつもフレイヤの側を離れないこいつらがこんなお遊びに興味などないはず、理由は想像をつくと思うが・・・

 

 

「何をしている二人とも?お前らがこんなお遊びをするとは思えないんだが?フレイヤ義姉さんはどうした?」

 

「私たちもエルフが故。フレイヤ様の許可を貰ってエルフのプライドとして個人的に参加させてもらいました」

「フレイヤ様は・・・・・・何か問題があって来ないそうです」

 

「別にこの大会はエルフ専用の大会じゃないんだが?まあ歌で他の者に負けたなくないのはエルフのプライドとして理解する。お前らも白と黒のエルフだろうと。妖精種族としての生き物だからな」

 

「それとジーク様。英雄としての名誉とレベル6ランクアップおめでとうございます。今ここに居ないフレイ様も喜んでいるに違いありません」

「フレイヤ様もあなたが英雄になったことを喜んでおられました」

 

「ランクアップはともかく、英雄としての名誉はどうでもいいがな。フレイヤ義姉さんは・・・・・・このメンバーでは来ないか」

 

「それとシ・・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「いえ、なんでもありません。ジーク様。私たち二人の歌をどうか聞いてくれないでしょうか?」

 

「もちろん審査員として務めをしっかり果たす。だがお前らちゃんと歌えるのだろうな?デュエットだろう?」

 

「もちろん大丈夫です。コミュ障のヘグニにも歌唱力はダークエルフでもありますので!」

「時々一人で歌っています。こいつらまともに聞いてくれませんけど、聞いてくれるのはあのお方と・・・・・・あの子だけ」

 

「仲の悪いお前ら二人がまともにデュエットな歌を歌えるとは思えないが、お前らの歌。どこまでの素晴らしさがあるか、俺の心に響くのか見せてみろ」

 

 

「「御意!!」」

 

 

「お・・お・・・驚きね?あのフレイヤの子供がこんな大会に出るなんて・・・以外ね?ジーク君?」

 

「そうだなデメテル。エルフとしてのプライドがあるが故だろう。フレイヤ義姉さんも承知の上でこの大会に出させているんだ。本人達の好きにさせれば良い」

 

「いやあ〜、フレイヤも思い切ったことをするね?ここにジーク君も居るのになんで来ないんだろうね?問題があって来ないって言ったけど・・・・なんだろうね」

 

「さあなんだろうな。フレイヤ義姉さんのことだ。ここに来ることのできない理由ができたんだろう。あいつも大派閥のファミリア主神として外せない用があると言うことだヘルメス」

 

「でも彼女が来ないなんて・・・・・彼や君が居ると言うのに」

 

「別に居ないなら居ないで構わん。むしろあいつが来ては魅了であいつらの歌をまともに聞けず、観客達も集中できなくなる。ここに来るべきではないと申し訳ないが失言を言わせて貰うデュオニュソス」

 

「まあ確かにそれはジークの言う通りやな。あの色ボケ女神が来たらある意味大会にならんからな。ていうかジーク?いつからあの色ボケ女神のことを『フレイヤ義姉さん』って呼んでいるんや!?ウチのことはロキ叔母さんとは呼ばんのに!?」

 

「俺がベヒーモス討伐作戦をしている間に、オッタルとアレン以外をオラリオの防衛に回す様にと、義弟として義姉にワガママな頼みをした結果だ。あんな強請る様なことをしてしまった以上はこう呼ぶしか無い。フレイヤもその気になってしまったしな」

 

「あの色ボケ女神ばかりズルイ!!じゃあウチの事もそう呼んでくれへんか?」

 

「そうだな・・・・・・『裏切りババア』。フレイヤ義姉さんの眷属の歌は楽しみだな」

 

「なんでウチだけそんな酷い名前や!?」

 

「・・・・・・」

 

「シル。紅茶でも飲んだ方がいい。顔色が優れないぞ?」

 

「あ、うん。大丈夫。体調が悪いならわけじゃないから」

 

「そうか、なら安心した」

 

「ええ。大丈夫」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

シルの顔が険しい。フレイヤ・ファミリアの団員にこんな表で出会すなど、彼女にとっては不服なほどだろう。ヘディンもシルのことを名前で呼ぼうとしようしたが、シルが睨んだのか。ヘディンはそれについては何も言わなかった

 

それにしてもこの仲の悪い二人がしっかり歌えるか俺は心配だった。実はフレイヤからあの二人が宿敵同士だったことを話してもらったことがある。二人は故郷ではライバルだったらしく何度もヘグニはヘディンと殺し合っていたとフレイヤは言っていた

 

その戦いの最中でフレイヤが二人の戦いを止めて、自分の眷属にして二人は白黒の騎士と言う二つ名でフレイヤを守る二人の騎士になった

 

そんな二人が歌う歌はなんだろうかと心配する

 

 

「では、行きます!」

「フレイ様の義弟様に!捧げます!」

 

 

「別に俺に捧げなくていい」

 

 

二人が歌うデュエット曲は・・・・・・バラードだった

 

あの二人がこんな歌を歌うとは想像つかないんだが、あのフレイヤを守る事しか考えないあの二人がこんな静かな歌を歌うなど。思ってもみないことだ。だがそれでも歌が上手いのは事実だった

 

安定とした静かな音色。そしてその音色に靡く様に二人は優しい声を出し。決して大声を出さずに、切なさを上手く表現している。バラードとして確かに歌えている。コミュ障と言われたヘグニも声に出すと無口な表情とは似つかないほど、美しい声をしていた。確かに普段一人で歌っていいるだけのことはある。フレイヤも・・・・おそらくその子と言う人も、ヘグニの歌を長く聴けるほどの魅力差は確かにあった

 

ヘディンもそうだ。ハイエルフではないがとある国の王であり、かつて戦場を幾度も出て勝ってきたとフレイヤに聞かされた。性格としても軍師の様な男だと思い、歌など興味もなく、戦いとフレイヤとフレイのためにしか思わない男かと思ったが、そうでもないほど見違えるほどの歌唱力は確かにあった

 

ヘディンに合わせる様に声の質と大きさをズレがない様に、決して音程を外さずにレフィーヤとアリシアに負けないほどの合唱力はあった

 

歌好きの俺でも確かにこれはな長く聴いておきたいほど、二人を手元に置いていつまでも聴いてられるほどの歌ではある。切なさの歌として悲しい気持ちは出るのは確かだ。その切なさに俺は二人の寂しさを感じからだ。歌詞は終わらない戦いに嘆く戦士の悲しさと言う。二人の宿敵同士の戦いが終わらないと嘆くことを叫んでいる物語そのものになった歌詞。この歌を聞いた観客席の人たちは涙が出ている。

 

最後は二人の戦いは女神により救われ終止符を打った、と言う終盤で歌が終わった

 

 

終わった後は観客達も拍手せざるを得ない。感動と感激の声が上がった

 

 

「どうでしょうか?ジーク様?」

「俺たちの歌は良かったでしょうか?」

 

「見事だ。確かに俺の心に響いた。切なさがしっかりとあってお前達の熱意が伝わった」

 

「ほ、本当ですか!?」

「光栄です!」

 

「だがお前達でも欠点はある」

 

「っ!?それはなんですか!?」

「完璧ではないと言うことですか!?」

 

「ああ。欠点と言ってもそれはヘディンなんだがな・・・」

 

「わ、私ですか!?私がどの様なミスを!?」

 

「ミスではなくてだな・・・・・お前は無理矢理ヘグニに歌を合えせていると聞いてわかった」

 

「私が無理に!?」

 

「ああ。簡単に言うならお前はバラードは合っていない。少しテンポが早くなるクセのような声が若干した」

 

「あ、それウチも聞いてそう思った」

 

「確かに・・・・・少し君は声に出すのがヘグニよりも微妙に早かったところがいくつもあったな・・・・」

 

「どっちかと言うとクラシックが合っていると私は思うわ」

 

「ああ。別に今歌った曲は酷いと言うことではなく、正当に評価はするが、少し違和感があった。今後はヘディンはバラードではない歌の方が良いと言う事だ、自分に合った歌を歌うと良いと、俺は助言する」

 

「そんな・・・・・私の歌が合ってないだと!?」

「ふふふふふ、残念だったなヘディン。俺の方がこの歌が合っているようだな?なのにお前は遅れを取った。エルフの癖に情けないな?」

 

「黙れヘグニ!元はと言えばお前が遅すぎるのがいけないんだ!おかげで私がお前に合わせる羽目になったではないか!」

「ふざけたことを言うなヘディン!バラードの静かな歌をお前は理解していないのか!バラードの音程を理解せずに、俺が遅すぎると言い張るなど!お前の見苦しい言い訳だ!!」

 

「なんだと!?」

「ここでやるか!?」

 

 

「おい?」

 

「「っ!?」」

 

「ここで争いをしたらフレイヤ義姉さんに怒られるぞ?この会場をお前らが壊したとフレイヤ義姉さんの耳に入れば、義姉さんの面目が丸潰れになるぞ?遊び程度で喧嘩して街に迷惑をかけたなんて、お前ら眷属として義姉さんのファミリアに泥を塗ることになるぞ?それでもいいのか?」

 

「「も、申し訳ありません!!」」

 

「まったく、義姉さんがいないことを良い事に。争いなどするな」

 

「ジ、ジークすごいやな。あの色ボケ女神の眷属の怒りを抑えるとは・・・・ホンマエルフの王子やで?」

 

「そのような名前を言うな。ロキ。俺はハイエルフじゃない」

 

 

ヘディンとヘグニは今この場にフレイヤが居ないことを良い事に、ここで決着つけようと剣を取り出したが、その前に俺がフレイヤ・ファミリアの落ち度を出さないようにと、この会場に来ている市民に迷惑をかけないように、俺が忠告をかけて、二人の怒りを抑える

 

いくらこいつらでも、プライドを傷付けられようが、フレイヤの立場を汚すわけにはいかないと、争うのをやめる

 

こいつらの中の悪さは、俺とアレンとよく似ていると、親近感を感じる

 

違和感は確かにあったが、それでも素晴らしい歌なのは変わりない。もちろんこれも正当に評価するつもりだった

 

 

そしてヘディンとヘグニの怒りを抑えた俺を、隣に座る審査員であるロキ達は、英雄になった俺をフレイヤ・ファミリアを抑える度胸と威勢もあると、俺の異常な強さを持ったなと恐ろしく思っていた

 

 

そうしてその盛り上がりの勢いの流れで、どんどんエントリーした者達が歌う。ちなみにここから先もエルフばっか。むしろエルフしか居なかった。エルフが歌が上手いのはフレイから聞かされてはいたが、まさかこの会場に歌う参加者が全員エルフだと思っていなかった

 

俺が英雄となったから、フレイの義弟だからとエルフの王子と呼ばれる俺に是非とも聞かせようと、エルフとしての忠義かもしくは崇拝されているからなのか、とにかく俺を目当てにエルフ達が自分のアピールを俺に見せてくる

 

そんなことをして何になると言うのだろうか。そんなことをして俺に何をしてほしいのか、彼らがこの大会にエントリーする理由がわからない

 

 

「そう言えばヘルメス。この大会の優勝者には何か賞品でもあるのか?」

 

「実は半年分のぶどう酒をプレゼントしようと思うけど、それと別にもう一つ用意しようと思うんだけど・・・・いいかな?」

 

「俺に関係する賞品を与えろと言うのか?」

 

「そう、優勝した者に『なんでも聞く件』を君から貰うと言うのはどう?」

 

「出来る限りでならな?」

 

 

ヘルメスに俺からなんでも言うことを聞く。と言う無理難題な注文を受けた。出来る限りでならしてやっても構わないと受ける。ただ・・・・・参加者が全員エルフって言うのが不安だ

 

あの者達がフレイの居場所を教えてくれ。なんて言われたら俺は拒否するつもりだ。それ以外なら引き受けるつもりだ

 

そんなことを考えている内に、エントリーしていた者全ての歌を披露し終えていた。本当にほとんどエルフしかおらず、それ以外の種族が誰もほとんど参加していなかった。この大会がエルフのプライドを賭けられているのではないのかと思っていた

 

エルフならリューも出ると思ったが、ブラックリストに載せられているアイツではこの大勢の前で歌など披露できないだろうと、アイツが出てこないことは明白にわかっていた

 

そして優勝者を決める。最終審査を俺が決める所まで来ていた

 

 

「これにてエントリーした参加者の歌の披露を全部終えました!それでは最終決定権を持ったジーク君に・・・・判定を・・・」

 

 

「ちょっと待ったや!!ヘルメス!!」

 

「うお!?どうしたんだロキ!?いきなり叫んで止めたりして!?」

 

「まさかまた飛び入りでエントリーさせた参観者を裏のステージで用意したのか?」

 

「その通りやジーク!美女コンテストみたいに控えていたんやで!」

 

「この流れで、エントリーした者達全員がエルフだった。お前?まさか?」

 

「その通りや!出るんや!!・・・・・ウチらのママ!リヴェリアや!」

 

 

「誰がママだ・・・・・なんで私がこんな模様しに」

 

「またお前もロキに唆されたのか?」

 

 

またもロキは隠し球・・・・・と言うか。セコい方法で優勝を狙おうと赤いドレスを着たリヴェリアを出した。ここまでエルフしか居ない参加者を相手に、リヴェリアと言うハイエルフを用意するなど、もはや優勝を譲るしかないと、エントリーしたレフィーヤ達はエルフの名誉のため、これではリヴェリアに優勝を譲らなければならないと、エルフとして気を使わなければらない状況になった

 

リヴェリアはそんな王族とかは関係なく、評価して貰いたいと思うかもしれないが、そんなことを言われようがエルフの者としてはエルフの民家であるが故のプライドもあるため、そう言うわけにはいかない立場があった

 

 

まあそうさせたのはロキが原因だがな

 

 

「ロキ?優勝を狙うために手段を選ばず、外道な方法で勝ちに出るとは・・・・如何様なものなんだ?」

 

「ウチ知らへんもん〜・・・・・ただリヴェリアにジークが審査員とした歌唱大会をしとるから出てみたらって言っただけや〜・・・・他のエルフ達も出ているから、ハイエルフとして出るべきなんやないかと・・・」

 

「なんにしても流石は裏切りの神だ。外道な手段であろうと勝ちは勝ちだと。絶対的な勝利者を出すとは・・・・」

 

「だとしても!ジークは正当に評価してくれるんやろ?外道な方法でもエントリーはしているで?」

 

「ああ。エントリーしているなら評価すると約束する!」

 

「なんと!!あのエルフの王族であるハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールヴが乱入参加だ!!!」

 

 

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

ハイエルフのリヴェリアがこの歌唱際に参加するなど、とてもそんな遊びのような模様しに興味などあるとは思えないが、エントリーしている以上は正当に評価するつもりだ。リヴェリアがどんな歌を歌うかはわからないが、それでもハイエルフが何を歌うのか個人的に気になると言うのもあるため

 

審査員としてリヴェリアの出場件に関しては反対は出さない

 

 

「お前が出るとはな・・・・」

 

「そう言うお前も、なぜこの大会の審査をしている?」

 

「たまたま通りかかったら、ヘルメスに見つけられ声を掛けられ、審査員をしてくれと頼まれた。いろんな奴らの歌が聞けて楽しいから別にこれと言って、嫌ではない」

 

「お前の前で上手く歌えるとかどうか・・・・」

 

「どいつもこいつも、なぜ俺の前だとそんなに緊張するんだ?お前も俺のことは気にせずに緊張しないで自分の歌に集中しろ」

 

「あ、ああ。そうする」

 

「そうするじゃなくて、そうしろ」

 

 

なんでどいつもこいつも、俺を目の前にして緊張するのか意味がわからなかった。散々上から目線で今まで俺に言ってきたハイエルフであるリヴェリアまで、なんでそこまで俺を目の前にして戸惑うのか意味がわからなかった

 

ひょっとしなくてもハイエルフのような扱いをしているんじゃないだろうかと思った。俺はたかがフレイの義弟だけで、ただのヒューマンなんだが

 

 

とにかくリヴェリアは声を出して歌い始める。彼女が歌うのはなんと『民族音楽』

 

ハイエルフだからなのか、古代のエルフ達が創りあげた詩を、彼女が王族としてエルフの代表として、エルフの民族音楽を謳歌した

 

民族音楽と言っても、民族調オリジナル曲にし、自分が歌いやすいようにアレンジをして優雅に声で奏でた。観客のほとんどとステージの上にまだ立っている他の参加者のエルフも、静かに歓声の声が上がる。

 

こんなところでエルフの民族音楽を歌うなど、誰も想像しなかったことだろう。まさかここオラリオでエルフの民族音楽を聞けるとは思ってもいなかった。歌好きの俺でもエルフの民族音楽をエルフ本人の声で是非とも聞いてみたかった。リヴェリアには今回感謝しなくてはらない

 

エルフの民族音楽はエルフにしか好評がないと思うが、そうでないエルフ以外の種族である今観客に居る者やステージも含めて、リヴェリアの歌には確かな魅力があり。この歌に評価せざるを得ない好評を得たのは確実

 

この歌唱大会は俺個人の評価としても、リヴェリアが一位と俺は決めた

 

 

そして数分でリヴェリアの歌唱が終わると、『リヴェリア様!素敵!』『流石は高貴な御方!』『流石は我らが女王!!』とエルフの民達が歓声を大きく声に出した。ハイエルフであるリヴェリアなら当然の好評だった

 

フレイ並に崇拝されていた

 

 

「どうだろうかジーク・・・・我々エルフの民族音楽をアレンジしたものなのだが・・・・よく歌えただろうか?それとも良さがあまり伝わらなかったのだろうか?」

 

「いや、そんなことはない。俺も小さい頃フレイからエルフの民族音楽を聞かされていたから良さは伝わっている。俺もフレイに教わって共に歌っていたからな・・・」

 

「そうなのか!?フレイ様が我らが造った詩を歌ってくれたのであれば・・・・・我らも嬉しい」

 

「その中でも俺はお前らがフレイに崇拝と忠誠の誓いのために歌ったとされる『フレイ・イン・フロディ』が今でも好きだぞ?」

 

「な!?セルディアも長年考えた詩をフレイ様がお前の故郷で歌っていたのか!?それは我らにとっては大きな財産だ」

 

「それでもアイツも俺みたいに歌好きだっだんだろう。でなければお前らの歌など歌うまい」

 

 

これは嘘ではなく誠だった。フレイも俺みたいに歌好きで、よく俺の寝顔を見ながら子守唄を奏でて歌ってくれた。でなきゃ俺もアイツから詩の酒など飲まされて、詩を作れるようになったりはしない。よく二人で歌ったことも今でも覚えている

 

そんな思い出を今は思い出すをやめて、そろそろ審査に入る

 

 

「今度こそ。もう全員で歌い終わったでいいな?」

 

「ああ。そうだよ。今度こそ全員で終わったよ。それでは今度こそ全エントリーした参加者の歌唱の演奏は完了した。最終審査をジーク君に決めて貰おう。ジーク君君が決めてくれ?」

 

「わかった。優勝者と三位まで誰かを決めればいいな?」

 

「ああ。それでいいよ。美女コンテストのように盛大に決めてくれ」

 

「ではそうしよう」

 

 

英雄になったからと最終審査を頼まれた以上は俺も責任を果たそうと、俺は正当に評価する。まあいきなりのリヴェリアの乱入には驚かされたが、でも彼女の歌は確かに良かった。観客席に居るエルフと他にエントリーしているレフィーヤ達をも気を遣って、一位はリヴェリアにする。他はあれでいいだろうと口に出す

 

 

「一位はリヴェリア。二位はフィルヴィス。三位はヘディンとヘグニだ。他はすまんが最下位だ」

 

「だそうだ!一位はリヴェリア・リヨス・アールヴ!二位はフィルヴィス・シャリア!三位はヘディン・セルランドとヘグニ・ラグナール!!英雄雷帝ジーク・フリード君により決定!!!」

 

 

「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」」

 

「な!?私が一位か!?」

 

「わ、私が二位でいいのか!?」

 

「三位か。まあそれより最下位になるよりはマシだな。あのお方を一位にするのもジーク様の考えは正しい。納得のいく順位だ」

「流石はフレイ様の義弟様だ」

 

「リヴェリア様が一位なのは納得してくれるのは嬉しいですけど・・・」

 

「なんで私とレフィーヤが最下位なのか、聞きたいんだけど・・・」

 

 

もちろん最下位にしたレフィーヤとアリシアも含めて、理由は当然聞きたいことくらいわかっている。だから俺はもちろん納得のいく理由を出す

 

 

「リヴェリアを一位にしたのは本当に鮮やかな唄だった。エルフ達が長年歌に磨きを上げてきたのがわかる。歴史を感じると思ったよ。お前の歌声そのものがまるで音楽として変わるかのように。美しい音色だった。ハイエルフだけのことはある。唄のズレはなく声の音量も小さくなることなく変わらなかった。だから一位にした」

 

「そうか・・・・・優勝できたのは嬉しいな・・・」

 

「ジーク!わかっとるやな自分!」

 

「フィルヴィスを二位にした理由は、歌と踊りのマッチは良かった。ワルツをアレンジして歌うのは見事だった。ダンスミュージックに近いがそれでも踊りたくなるような歌だった。声はそこまで大きくはない。それでも静かに歌うことで穏やかな音色だった。盛り上がる部分はまったくない。だがその静けさがゆっくりとした曲で、誰でも踊れそうなワルツだ。お前の一人で踊るダンスも魅力もあ理、歌と踊りが合っていた。今着ているドレスとも合っている。美しさがより増していたぞ?今までのお前とは思えないほど見違えた。ただ歌は良かったんだが声が少し小さすぎるから二位にさせて貰った」

 

「うう・・・・・リヴェリア様の次に順位を勝ち取るとは・・・・私のような者が・・・・そんなものを受け取っていいのだろうか・・・」

 

「これくらい普段愛想よくできれば。満点だがな。そう思わんかデュオニュソス?」

 

「ああ、それは私もフィルヴィスに申し訳ないが、同意見だ」

 

「愛想よく!?」

 

「最後に三位のヘディンとヘグニの理由。お前らがバラードを歌うなど想像もつかない。だが二人とも静かな声と切なさのある歌をよく歌ったと思っている。ヘディンが微妙にヘグニに合わせると言う違和感が無ければ二位にした。フィルヴィスでも歌と踊りを無理に合わせるような声はしてなかった。二人で歌う時はよく声を合わせるのが大切だ。無理に合わせるのは誰が聞いても違和感だと誰でも気づくぞ。でもバラードとして静けさの声をして歌ったことは見事だと思い。三位にした」

 

「そ、そうですか・・・く!この私が!」

「ふん!俺の方がうまかったか!最初から一人で歌えば良かったな!」

 

「なんだとヘグニ!!」

「文句でもあるかヘディン!!」

 

「おい?」

 

「「っ!?申し訳ありません!!」」

 

「フレイヤの眷属を黙らせるなんて、ホンマにジークはすごいやな・・・」

 

「他の者に関してはあまりに普通だった。それと・・・・・レフィーヤとアリシアに関しては、ロキのせいでダンジョンアイドルと言う『エルフリンクス』というものをやっているからなのか、アイドルミュージックとしていいテンポのある。盛り上がる歌で見事だった」

 

「良かったんですか!?」

 

「じゃあなんで最下位なの!?」

 

「最下位にしなければお前らまたこんな恥ずかしい格好させられて、歌うことになるぞ?変に順位を上げてそれで人気になったらまたあんな短いスカートで踊ることになるんだぞ?それでもいいのか?ロキのことだ。更にもっと外には出られないほどの露出の激しい服を着せられて歌わされるぞ?」

 

「「確かに!?それは嫌です!!」」

 

「ええ〜〜、あれくらいの方が人気が高くなるで〜?」

 

「男連中がふしだらな目的で集まるだろうな、ロキとヘルメスには気を付けろ。お前ら二人」

 

 

優勝者から最下位までなぜそんな順位の決め方をしたのか、理由を一人づつ言った。その中でもレフィーヤとアリシアの歌唱だけは順位を下げて人気を避けなかればならない事態だった。変に人気を上げて露出の激しい服を着て歌わなければならない状況になるかもしれない。ロキのことだ。主神命令と言う姑息な手段をして二人に実行させる可能性が高い

 

二人に気を遣って、そんな服は着て歌いたくないだろうと、順位を下げた

 

 

「それでは優勝者であるナインヘルこと、リヴェリア・リヨス・アールヴには、半年分のぶどう酒をプレゼントするよ!」

 

「イヤッホー!!ぶどう酒を半年分ゲットや!!ありがとうやリヴェリア!」

 

「くう!!ロキに取られてしまったか・・・」

 

 

「そういえばロキもデュオニュソスも酒好きだったな。主にデュオニュソスはぶどう酒だけだが・・・」

 

「ああ。だから私はこの大会に参加させられた」

 

「私もです。リヴェリア様」

 

 

ロキはともかく。デュオニュソスもぶどう酒だけ好物の飲み物だと聞いたことがあった。フィルヴィスも主神のためだろうとこんな大勢の前で恥ずかしながらみ歌った。望みは叶わなかったが、フィルヴィスの印象をこの大会で大勢の者達が変わったと認識した

 

少しはフィルヴィスの存在をバンシーではなく、マイナデスだと。本当の彼女を知っただろう。それがどこまでフィルヴィスが変わるかはわからないが、それでも成長することに変わりはない

 

 

「更に、今日呼ぶ予定は無かったけど、ここにはジーク君が居る。ジーク君に頼んで彼に一度だけ『なんでも聞いてくれる件』を用意してあるから、それも賞品として雷帝からプレゼントだよ」

 

「なんやと!?ジーク!そんなことをしてくれるんか!?」

 

「なに!?今からなんでも頼んでいいと言うのか!?」

 

「出来る限りな?」

 

「ジーク?そんな約束していいの?」

 

「優勝者はリヴェリアだ。問題ないシル。いくらアイツでも変な頼み事はしないだろう。それも考慮してリヴェリアにした」

 

 

それも考慮しているに決まっている。リヴェリアだってもう十分立派な大人だ。俺に無茶な頼みなど俺にさせたりはしないはず、まあ仮に変なことを頼まれても断ればいい。できる範囲ではないと言い訳をすればいい

 

とにかくその頼み事の用件を聞く

 

 

「それで優勝者であるリヴェリアは今から俺に何か頼み事はあるか?」

 

「そ、そうだな・・・・・・何がいいだろうか、いきなりこんな事をできるなど、思っていなかったからな・・・・・・・それもジークから・・・」

 

「決まっているやろリヴェリア!ジークをこっちのファミリアにコンバージョンや!」

 

「半年も経ってない以上。できるわけないだろ・・・フレイに関することも無しだ」

 

「そうか・・・・・なら何がいいだろう・・・」

 

「リヴェリア様!ジークさんに頼めるのはこれくらいしかありませんよ!」

 

「はい!あの無口になって無愛想になったジークに頼めるなんてこの時だけですよ!」

 

「愛想の無いお前にだけは、俺に対して無愛想だとか言われたなくないアリシア」

 

「確かにあのジークに頼めるのは、これくらいしか無いだろうな」

 

「まあ相手がリヴェリアだからな。お前の言う通り俺はロキ・ファミリアの団員にそんな頼みを聞くのはこれっきりだなフィルヴィス」

 

「ジーク様に何を頼むのでしょうね?」

「結婚だとか?」

 

「おいヘグニ、余計なことを言うな」

 

「け、結婚だと!?いや・・・・ジークと私では・・・・もう以前に私が振ったも同然・・・・そんなジークを相手に結婚など・・・・」

 

「おい?動揺しているが本気で言っているのかお前?」

 

「む、無論!そんなことはしない!・・・・・お前を相手になど・・・・など・・・など・・・」

 

「もっとマシな提案は無いのか?」

 

 

ヘグニが余計なことを言ったせいで、何かやら話がリヴェリアと結婚へと流れてしまった。観客の連中も『雷帝とナインヘルが結婚!?』『フレイ様の義弟とハイエルフなら納得だな』とか全然他の連中は俺とリヴェリアの結婚を反対してない感じの流れになっていた

 

だがステージの上に立つ。アリシアとレフィーヤが今も泣きそう、シルもなぜか涙目が出ている状態だ。ロキは『そうや!それで結婚すれば!ウチらのファミリアに!』とか、まだ俺を自分のファミリアへと引き込もうとしている

 

いい加減こいつらは俺がコンバージョンできないことを理解できないのだろうか、それに俺がコンバージョンできないから結婚したらリヴェリアがこっちのファミリアに来なくてはならなくなると言うことを理解しないのだろうか?

 

まあでも結婚など聞く気はなく。それ以外の頼み事を聞く

 

 

「おい、何か普通に頼めるものとか無いのかリヴェリア?」

 

「そ、そうだな・・・・・・では!これはどうだろうか?」

 

「なんだ?」

 

 

「お前も歌が歌える。18階層で私はお前の歌を聞いた。もう一度ここで歌ってくれないか?」

 

「ああ・・・・・・・・俺の歌か、まあそれくらいなら・・・」

 

 

リヴェリアが俺に提案した頼みは、18階層で俺が一人で歌った歌をここでもう一度披露して欲しいということだった。まあそのくらいなら構わないと俺も引き受けたが、ブラギの竪琴を使って披露すると、こいつらを魅了してしまうのだ。俺はあの音楽を奏でた歌を合わせてミュージックソングで俺は歌う。

 

特にその歌で歌うとエルフが魅了しやすくなり、余計俺に好意を抱かれてしまう。面倒事が余計増えるのはごめんなのだが、それくらいなら構わないと受ける

 

フレイの居場所を教えろとか、ファミリアの移籍を頼まれるよりはマシだった

 

 

「ジーク?歌えるの?」

 

「ああ。故郷で歌の酒を飲んだせいでな。歌詞まで考えられる」

 

 

シルに歌えるとかどうか心配されたが、その点については問題なく、トールとフレイとハオマのせいで歌を更に上手く歌えるように酒を飲まされた。歌詞や音楽まで考えられる。もう歌詞をいくつも作ってある。今からその内の一つを歌うことにする。

 

 

「歌はなんでもいいな?リヴェリア?」

 

「ああ。是非ともお前の歌をもう一度聞かせてくれ」

 

「ああ。ヘルメス?構わないな?」

 

「OK!それじゃあ今から優勝者であるリヴェリア・リヨス・アールヴから雷帝から賞品として、彼から歌を歌うことが決まりました!!」

 

 

「「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」

 

 

「ジーク君。マイク」

 

「要らない。俺はマイク代わりの楽器を持っている」

 

「え?楽器?」

 

 

まだ歌ってもいないのに、もう既に盛り上がってる状態となった。英雄になったからなのか、英雄が歌う歌など、この時くらいしか無いからと誰も目を離せないようだ

 

リヴェリアから歌のジャンルはなんでもいいと言われるが、何を歌うか悩んだ。でも今すぐにたった数分で歌詞を作った。曲はJーPOPで歌う

 

そうして俺は席から立って、ステージの中心に立つ。腰に付いているパンドラボックスからブラギの竪琴を出して、ギターのように糸を奏でながら声に出して歌う。歌と声をマッチさせる

 

これが俺の歌。

 

 

「僕の心は涙と共に消えて無くなった!たった一つの悪意で一瞬に、ただ戦うだけの化け物となった!泣き叫ぶこともできないまま戦場に落ちた!もう理解さえできない!愚かしき化け物!!!」

 

「「「「「「雷帝!雷帝!雷帝!!」」」」」」

 

 

竪琴なのにギター音が鳴る。それだけでない楽器の音まで自由にブラギの竪琴は出せる。俺はそれと絡み合わせて歌い続ける。歌詞はもうわかっていると思うが、俺のことを指している

 

 

「薄れたこの世界を!悪意に縛られながら生きていた!化け物となった自分に、生きる希望も無いのに!!」

 

「ジーク・・・・あなたは」

 

「そんな僕を君たちは!どうして!なんで!なぜ!手を伸ばすの!!感情を捨てたと思ったのに!!僕の心が疼いた!!」

 

 

この歌詞は俺が感情を失った化け物をなぜお前たちが俺を友と呼び、仲間だと愛するのか、お前たちを理解したいと言う想い。心が薄れている俺に感情を作ったお前たちへの感謝の歌

 

 

「僕の心は喜びと共に叫んだ。たった一つの愛情で一瞬に!ただ君を守りたいだけの化け物となった!泣き叫ぶこともできないまま戦場へと駆け抜けた!君を守りたい!愚かしき化け物!!」

 

 

と、英雄ではなく。ただ戦うことしかできない。愛情を貰ったお前たちを守るための盾の化け物として俺はこの歌詞を今浮かびあげて歌った。この歌の意味を今側で聞いているシルはわかっていた

 

俺が本当は英雄ではなく、ただの化け物だと言うことを

 

彼女の目だけは俺の真意を知っていた。俺がどれだけ人間の姿をしていないか、『あいつの力』を持っているシルには眼でわかってしまった

 

なににしても、リヴェリアの言う通り目的を果たし、歌を終わらせブラギの竪琴を弾くのをやめて演奏を終えた

 

 

「ふう・・・・・・・リヴェリア。これで満足か?」

 

「あ、ああ・・・・・あの時もそうだが、お前の歌はやはり上手いな。毎日聴きたいほどだ・・・」

 

「もう俺はロキ・ファミリアじゃない。とにかく目的は果たせたでいいんだな?」

 

「ああ。十分だ」

 

「まあこれくらいなら安いもんだろう・・・・・・・・でもないかもな」

 

 

「ジークって・・・そんなに歌がうまかったんですね」

 

「うう・・・・・やっぱりジークさんの歌・・・いいです!」

 

「ああ。確かにな。私の今の気持ちはレフィーヤと同じだ。やはりあの時18階層で歌った通りの良い歌声だ」

 

「おお!・・・ジーク様にこのような特技が・・・」

「流石はフレイ様の義弟様・・・・」

 

 

こんなエルフの多い観客の前で演奏したせいで、エルフの女性のほとんどを魅了してしまった。顔が赤くなっているのを目で確認した。ブラギの竪琴と俺の歌はエルフの女性を魅了する能力があるため、あまりここで歌っていいものではなかった。

 

おかげでレフィーヤやフィルヴィスやアリシアまで、更にヘディンやヘグニまで聞き惚れていた

 

リヴェリアに優勝賞品としてのお願いでもあったため、一度決めた言葉を撤回するわけにもいかずに俺は聞き入れ歌った

 

だが一曲だけではまだ聞き足りないのか、アンコールを希望している顔を観客席に居るエルフたちが俺の方をジーと見ていた

 

そのため

 

 

「シル。もうここに用はない。次へ行こう」

 

「あ、うん」

 

「ヘルメス。やるべきことはもうした。もういいな?」

 

「ああ。いいよ。悪いね二人とも参加してくれて、もしかしてデート?」

 

「ああ。だからもう邪魔するなよ?」

 

「え!?本当なの!?」

 

 

そうして俺はシルの手を無理に引っ張って、ステージ裏からこの会場を出ていく。観客席の方からでは通れそうもないため、これ以上聞き惚れているエルフたちに俺の歌を聞かせるわけにもいかないため、彼らを避けて違う道へと逃げていく

 

シルも俺の歌に聞き惚れたのか、まだ赤く。呆然としていた

 

 

やはり俺の歌はあまりに人には聞かせるわけにはいかない歌だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジークって・・・・・・歌上手いんだね?」

 

「まだ聞き惚れているのか?そんなによかったか?」

 

「うん・・・・・・またきかせてくれる?」

 

「君が望むなら・・・・暇はあまり無いが、あと君だけならな」

 

 

会場を抜けて街を歩きながら、シルは先ほど俺の歌の感想の話をする。彼女も俺の歌に聞き惚れたようで、まだ茫然としていた。俺の歌声が頭から離れないようだ

 

なんとかシルは俺の歌声を頭から離すように、頭を振って気を保つ。そして次向かうところを決めようとしていた。グランド・デイの続きとは言え。まだどこへ行こうかは決めてない。

 

だから今からどこへ行くか今決める。まさかグランド・デイの続き今日までやるなど昨日エイナに聞いた時は驚いた。改めて予定を組むことができなかったため、今から決めるしかなかった

 

ベヒーモスの子供たちが街を半分破壊したせいで、中止している屋台もあるため。去年のグランド・デイには無い新しいお店もある。今日限りなため慎重に決めて楽しもうとする

 

 

「次どこへ行こうか?」

 

「さっきみたいに変なイベントの無い所に行こう?」

 

「ああ。それは俺も賛成だ」

 

 

シルも先ほどみたいな、何か問題の無いお店やイベントに行こうと思っている。まあ今回ヘルメスが開催させたイベントは問題ないが、前夜祭では明らかに被害が出るイベントを開催させたからと。シルもヘルメスの厄介さを知っていた

 

全員ではないが、彼女もこのオラリオに住まう神が主催するイベントはあまりに身の危険があると理解しているようだ

 

 

とは言っても、もうほとんどイベントは限られている

 

出店も一通り回った。ダイダロス市街の方でももう十分なほどしっかりと回った。となれば残りはある所のみだった

 

 

「シル。あとはイベントとしては闘技場しか残ってないぞ?」

 

「うん。確か闘技場でトーナメント戦だっけ?」

 

「ああ。君はそう言うのは好きじゃないだろ?他のにするか?」

 

「ううん。私も第一冒険者さんの戦い見てみたい」

 

「そうか、なら今から行こう」

 

「うん!」

 

 

シルがあのような殺伐としたイベントなど、冒険者でもない女性として流石に興味ないと思ったのだが、闘技場でやるグランド・デイのみのイベントに興味があるようだ

 

ちなみにグランド・デイで闘技場でやっているイベントと言うのは、冒険者同士の一対一のトーナメント戦大会、その名も『大戦武道祭』

 

前夜祭でも『大剣闘祭』と言う闘技場で行われるイベントがあったが、大戦武道祭は団体戦勝負ではなく、一騎討ちで勝負する個人戦大会。ルールは簡単相手を気絶させるか、もしくは武器を地面に落としたらか、降参したら勝負は勝ち、殺したりするのはルール違反。もしそんなことした場合は失格。魔法を使うも魔道具を使うもよし、とにかく一対一の一騎打ち勝負のトーナメント戦。仲間が居ない個人戦と言うわけだ

 

こんな大会はもちろんほぼ第一冒険者しか参加しない。だからロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアは絶対に出ているはず、昨日ベヒーモスの戦いから帰ってきたばっかだと言うのに、こんなのに参加するとは相変わらず血の気の多い連中だと俺は思っている

 

とにかくシルの希望通り、俺は彼女を連れて闘技場へ向かう。もちろんこれは一般人も見れるこのグランド・デイ一番の大イベント。前夜祭のように満席になっているはず、だからあまり気が乗らないが『雷帝』と言う英雄の特権とかで、またVIPルームを受付の者かその大会の委員の人に借りようかと思っている

 

 

すると

 

 

「あれ?ジーク君にシル君?」

 

「あ!ジークさんに!シルさん!」

 

 

「ん?ヘスティア。ベル。リリルカ。ヴェルフ。命」

 

「あ、ヘスティア様。ベルさんもこんばんは!」

 

 

「どうしてお二人がこちらに?」

 

「確かお前らデートだって聞いたけど・・・」

 

「どうしてお二人が闘技場の近くに?」

 

 

「シルが大戦武道祭を見たいと、俺たちも闘技場に向かっている所だ」

 

「へえ・・・・・店員君がねえ・・・・」

 

「ヘスティア様たちも闘技場に?」

 

「うん。ベル君と命君がどうしてもねえ・・・」

 

「はい!僕第一冒険者の人が誰が優勝するのか見たいんです!」

 

「自分も!誰がこのオラリで一番強いのか、確かめたいのです!」

 

「と言う感じで・・・・」

 

「俺たちもここまで来たってわけ」

 

 

「ベルさんたちらしいですね・・・・ジーク」

 

「ああ、ベルはわかっていたが、命もこんなのにな・・・・まあ武士道と言うものだろうな」

 

 

ヘスティアたちも、ベルと命の要望により大剣武道祭に向かっていたようだ。目的は俺たちと一緒だが、今デートをしているとヴェルフやベルでもわかるようで、俺たちと同じ目的地でも、デートであるがために俺たちに気を遣ってくれているからなのか邪魔しないように別々で行こうとしていた

 

だが

 

 

「それでは皆さんもご一緒にどうですか?」

 

「え!?シルさん?」

 

「良いのかい店員君?君たちは・・・今・・・・」

 

「ああ、デートですけど。でもジークの主神と団員の皆さんならいいかなと思って、ジークの友人であるならデートの最中で一緒になっても構いません。ジークがお世話になっている人たちでもあるわけだし、ジークはダメ?」

 

「君がいいなら構わない」

 

「ジークはこう言っていますし、私たちと一緒に行きましょう。それに今から行っても席は取れないでしょうから、ジークが係の人に頼んで英雄の特権を使ってVIPルームを用意してもらうつもりですから・・」

 

「シルさんたちがいいなら・・・」

 

「まあ確かに今から行っても席は取れないだろうしな・・・」

 

 

「ヘスティア様?もうシル様はジーク様の恋人として振る舞っていますよ?まるで奥さんとしてジーク様の職場の仲間にご挨拶しなくてはかのように・・・」

 

「ジーク君自らデートを申し込んだからね・・・・無愛想だったジーク君がやっと自分を恋人として見てくれると思っているよあの店員君は・・・・・こんなことエルフの店員君たちが聞かれたら・・・・嘆くだろうね・・・・本命の相手がヒューマンの店員君に取られたなんて聞いたら・・・・」

 

 

「ヘスティア?リリルカ?何をコソコソ話しているんだ?」

 

「「別に!!」」

 

「?」

 

 

ヘスティアとリリルカが何かコソコソと小言で話しているのはわかるが、内容は聞こえなかった。まあでもシルは今デート中だと言うのに、よくヘスティアたちも一緒にしてくれたと思っている。俺の所属友人たちなら構わないと、俺の信頼できる友人ならデート中でも一緒に構わないと、彼女は誇らしい優しさがるのだと理解した

 

ヘスティアたちを連れて闘技場に向かった。そこへ着くと前夜祭のように長い行列ができていた。だがそこへ俺が辿り着くと、一斉に行列をしている者たちが俺を見た。誰もが『雷帝だ!』『なんで雷帝がここに!?』ともう完全に俺を見て英雄扱いをして自然に道を開けてくれた

 

闘技場の受付人も俺が来たことにすぐ対応し訪ねてきた。俺が頼まなくてもすぐにこの闘技場を利用したいのを察したのか、VIPルームを急いで準備し、またただで使用させてもらうことになった

 

英雄としての肩書きは好きじゃないが、まあこう言う特権を使えるのが英雄と言うメリットがあるのは便利だと思っている。セコい方法ではあるがな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またVIPルームを使用してシルと一緒に座れるソファーに座って、その隣にヘスティアたちが並んで座る。そして闘技場を観戦する。だが大会はもう開始しているようで、もう闘技場の地面はほとんどボロボロになっている

 

それで今戦っている相手はアイズとシャフティだ

 

 

「ジークさん!アイズですよ!」

 

「相手はシャフティか、どちらが剣の腕前が上か楽しみだな」

 

「確かアイズさんはレベル6だよね?ジーク?」

 

「ああ、そうだシル」

 

「シャフティさんはレベル5だけど、レベル6相手の人に勝てるの?」

 

「レベル5とレベル6に差は確かにある。だが剣の腕のより勝てることもある。果たしてあのシャフティがアイズに敵うかどうか・・・・・剣の腕前を確認しよう」

 

「ジーク様あのガネーシャ・ファミリアの団長のことを知っているのですか?」

 

「まあ・・・・それなりにロキ・ファミリア所属の時にな・・・」

 

 

シャフティのことはよく知っている。少し頭が固い女。でも正義感と指示力のある女冒険者。剣を使った剣術を主に戦う。かつてリューのファミリアである『アストレア・ファミリア』と共にオラリオの市民街の治安を守っていた。今はもうアストレア・ファミリアもリュー以外は全滅したため、彼女が彼らの分も含めてガネーシャ・ファミリアの団長として働いている

 

腕の方はガレスが昔に何度か教えたりや、ガレスに挑んだことがある。俺から見ても剣の腕前は確かにある。特に剣の振る威力があるため大抵の固い甲羅も切り裂くことができる。だが欠点というならあまりに素早さが無い

 

それに加えてアイズは剣の振る素早さがある

 

 

だから

 

 

『はあ!!』

 

『ぐわあ!!』

 

 

『シャフティ選手!アイズ選手に剣を弾かれた!!勝負あり!勝者アイズ・ヴァレンシュタイン!!!』

 

 

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」

 

 

 

「早い!?剣姫の奴、剣を振るのが早かったぞ!」

 

「テンペストを使ったんだな、魔法は別に禁止じゃないからな。風を重ねた一撃。シャフティでも躱すことはできなかったか」

 

「やっぱりアイズさんはすごいです・・・」

 

 

テンペストを纏った突き。いくらシュフティでも風のように動くアイズの動きには付いて行けずに、剣を弾かれた。相変わらずレイピアをうまく扱うようにはなったなと、アイズも日々成長しているのだとわかった

 

二人が退場すると、次の戦いが開始する

 

 

『第二回戦を開始します!フィン・ディムナVSアレン・フローメル!!』

 

 

「あらあら・・・・あの人なのね・・・」

 

「フィンとアレンか。槍同士の戦い。知恵と瞬足。どちらが上になるかな・・・・」

 

「あのフィンさんと・・・・・あの獣人の人ですか・・・」

 

「豊饒の女主人にアーニャって言う猫人が居るだろ?」

 

「はい。アーニャさんですよね?」

 

「アレンはそのアーニャの実兄だ」

 

「「「「は!?」」」」

 

「あの感じ悪そうなのがかい?」

 

「アーニャ様の!?」

 

「ああ」

 

「マジかよ・・・・」

 

「あのベートさんのような・・・・人が」

 

「そうだよなシル?」

 

「うん・・・・・実はあまり仲が悪い兄妹でもあるのだけどね・・・・」

 

 

俺がアレンとアーニャは兄妹だとベルたちに教えたが、二人はそんなはずないと顔を驚いていた。まあ見た目は兄妹だなんて気づくはずがない。性格も髪の色も合ってない兄妹

 

一応二人とも兄妹としての二つ名を貰っている。だが二人はあまりに仲が良くない。アーニャもまだフレイヤ・ファミリアの眷属だが、ミアと同じくもう所属ではない。二人は過去に戦争で両親を亡くし、アレンが妹を背負って荒野を彷徨っていたところをフレイヤに拾われた。それで眷属になったのだが

 

力を求めすぎたアレンがより弱さを嫌うようになり、弱い妹を軽蔑するようになった。まるでフレイヤに拾われる前の弱い自分のように見えるからだ

 

 

「でもジーク知っている?」

 

「何がだ?」

 

「昨日からあの人もっと機嫌が悪いのを?」

 

「なぜ?」

 

「あなたが英雄になって・・・・レベル6にもなったんだよね?それであの人あなたがこのままではレベル7のオッタルにも並ぶ強さを得るんじゃないかと、焦っているのよ。自分よりも強くなるんじゃないかって、あなたの話をするだけで不機嫌になるんだってミアお母さんが言っていたわ」

 

「俺は別にあいつなど、どうでもいいと言うのに。そんなに俺が強くなるのが不満なのか。あいつは・・・」

 

「ジーク自身があの人に関わりを入れているわけじゃないのにね?」

 

「ああ。まったく面倒な奴だ」

 

 

ああいう性格の奴はもう一人居るが、なんと言えば諦めてくれるのだろうな。正直俺はベートとあいつが面倒で堪らない。何を言っても俺に突っかかってくるのだから面倒で仕方がない。アレンが俺に関わるようになった原因は二年前になるのだが、そうまでして俺が気に食わないなら関わらなければいいと理解しないのだろうか

 

正直、昨日いつでも来いと言ってしまったが、正直後悔している。あの面倒な連中二人を相手にすると言うのは骨が折れる

 

 

『アレン選手!戦闘不能!勝者フィン・ディムナ!!!』

 

 

「フィンさんが勝った!」

 

「あいつ・・・・・瞬足なのをいい事に、それだけを頼りにしているから動きがワンパターンで読まれるんだ。フィンがそれに気づかないわけがない。タイミングを測ればあいつを捕らえることができる。知恵が勝利したな」

 

 

ベートと同じように考えることを知らないのか、アレンも考えることをしないから瞬足でもやられるんだ。どれだけ早くてもタイミングを測れば捕らえることだってできる。もっと考えて動くことを心掛けるべきだった

 

まあフィンは一度見た動きを学習するから、あまり何度も同じ攻撃をしてはならない。見破られるからだ

 

 

『なんと!今係りの人から聞いたのですが!今VIPルームで我らをベヒーモスから救った英雄である雷帝ジーク・フリードとその団員と主神様が来ていると報道がありました!!』

 

『『『『『おお!!』』』』』

 

『雷帝!!』

 

『ジーク様!!』

 

 

「・・・・・・・・」

 

「人気だねジーク?」

 

「なにか答えたらジーク?」

 

「何も無い」

 

 

ガネーシャ・ファミリアも余計なことをしてくれる。別に俺たちがどう過ごそうといいだろうに、余計なことを言ったせいで注目を浴びるのは避けられなくなった。とは言え、ここを出ていく気は無い。シルとベルが楽しんでいる限りはここを出ることはできない

 

仕方なく、英雄になった肩書きを背負って観客席に手だけは振っておく

 

 

『英雄雷帝が見ているのであればよりこの大会を盛り上げ行こう!次の試合を始めよう!次の試合は!ガレス・ランドロックV Sオッタル!!』

 

 

「ほう・・・・あのガレスとオッタルか」

 

「ロキ・ファミリアのドワーフとオラリオ唯一のレベル7。どっちが勝ちますかねジークさん?」

 

「そりゃあ・・・・猛者じゃないのか?」

 

「ガレスもドワーフと言う怪力を持った種族だ。アダマンタイトの壁をも拳で砕くことのできるガレスは、力だけはオッタルにも負けない」

 

「アダマンタイトの壁を拳で砕く!?ドワーフって凄えんだな・・・・」

 

 

ガレスの腕力はアダマンタイトの壁をも砕くほどの怪力。実はミアとは昔からの喧嘩仲間で、腐れ縁らしい。あのミアと喧嘩できるほどの腕力はオッタルをも負けない。あの大斧と大剣がぶつかり合うなど、怪力同士の戦いだ

 

まあ個人的にもこの戦いは面白そうだと思っている。オッタルでもガレスに届く怪力ではないがそれ以外の力はある。考えは全くしないで知恵のかけらも身につけてないで力でなんでも押し潰すガレス。正直似たもの同士、考えのない力にしか頼れない脳筋同士の戦いは、どんな結末が出るのか楽しみだった

 

 

戦いは苦戦状況になっている。やはりオッタルでもガレスの腕力と丈夫にできているドワーフを倒すことは簡単ではない

 

昔オッタルはミアに散々ボコボコにされた過去を持っている。例えボアズでもドワーフ相手では簡単ではないと言うことだ。見る限りでは長引きそうな試合だった

 

 

「す、凄え・・・・あのガレス・ランドロックレベル6ってのに、レベル7のオッタルに負けてねえぞ」

 

「むしろ押している方だよ」

 

「レベルの差で勝敗が決まるわけじゃないってことですね?ジーク殿?」

 

 

「ああ。ガレスはロキ・ファミリアの最強の防御でもあるんだ。あいつに防げない攻撃は無い。その気になれば体で爆破を防ぐほどだ」

 

「ドワーフってそんなに丈夫な体なのジーク?」

 

「あいつは他のドワーフと違ってタフなだけさシル。でなきゃ君のお母さんと喧嘩し合えるはずがない」

 

「それを言われたら・・・・・確かに納得」

 

 

お互い押されていても無い、まるで対等の戦いだった。やはりドワーフとボアズではどちらも図体のデカさもあるのか、怪力差もあるのか、どちらも負けそうにない

 

魔法でも使わない限り倒せない状況だった。ガレスは体で爆破を防ぐ人には決して真似できないことができる。単に考えが苦手で目の前に敵をただ力づくで潰せばいいとしか考えていない

 

 

「あ!武器の押し合いですよ!」

 

「なあ?・・・・・これ決着つくのか?」

 

 

「ああ・・・・・そう言うことか・・・・」

 

 

「どうかしましたかジーク様?」

 

「何か気づいたのかい?」

 

「ああ。あの二人・・・・・・・・・考えることをやめてタダひたすらぶつかれば良いと、何も考えてない」

 

「ま、まさか・・・・・」

 

「いくらなんでも・・・・・」

 

「それは無いんじゃないんですか?」

 

「あのガレス殿とオッタル殿でも・・・・流石に少しは考えて・・・」

 

 

『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』』

 

 

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 

「お前たち?これでも何か言うことあるか?」

 

「「「「ありません・・・・ジークの言う通りです」」」」

 

「あの人・・・・・相変わらずなんだね?」

 

「ああ、シル。君でもわかるか・・・・」

 

 

シルでもオッタルの性格を知っているのか、不器用な性格をしているあいつの思考を、シルは知っていたようだ。目が良いとは別に、誰でもわかるほど熱くなりすぎて戦いに集中しすぎてまともに考えのない行動をしているのがハッキリしていた

 

あの二人がまともに考えているわけがない。オッタルはベヒーモス戦で戦いを見ていたが、全くもって考えのない行動ばかりしていた。仲間のことも考えないあの単独行動。あの時俺が言葉で指示をしてなければ何をしていたか

 

レベル7になっただけの実力はあっても、知略は全然なかった

 

 

『ガレス選手武器を弾かれた!!勝者オッタル選手!!』

 

「「「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

「なんか・・・・・・めっちゃ力技だったね?」

 

「はい・・・・・なんだか単純な戦いでした」

 

「ただ斧と大剣がぶつかり合っただけ・・・」

 

「あれ・・・・・レベル7とレベル6だよな?」

 

「こんなものでしたけ?上級冒険者の戦いって?」

 

 

「単にあいつら二人が単純過ぎただけだ」

 

「猪とドワーフの押し合いっこみたいね?」

 

「ガレスも何をしているんだか・・・・・」

 

 

戦いはすぐに決着がついた。レベル7とレベル6の戦いが呆気なく簡単に終わった。勝利はレベル上のオッタルが勝ったが、あの二人ただ武器を押し合っていただけだった。こんな呆気のない戦いに他の観客たちは歓声を上げているが、俺たち冒険者からすれば全然戦いになってないのがわかる

 

ガレスこの程度で負ける気か、避けるなりしなかったのかと俺は思った

 

そんなことを考えていると次の戦いが始まる

 

 

『次の試合もどんどん行きましょう!第四試合!ベート・ローガVSティオネ・ヒュリテ!!!』

 

 

「あ!ティオネさんですよ!」

 

「でもヴァナルガントとあのヨルムンガドって・・・」

 

「ロキ・ファミリア同士ですよ?」

 

「なんか・・・・・・不味くないですか?ジーク様?」

 

「確かあの二人・・・・性格が短気じゃなかった?あのアマゾネス君はともかく・・・」

 

 

「ああ。なんであいつら同士で試合が決まるんだ・・・」

 

「参加者の少なさによるんじゃない?」

 

「そうかもしれないなシル」

 

 

なんでこんな試合を認めたのだろうか、ロキ・ファミリアの問題児二人同士を試合させるなどありえない。むしろなぜこんな戦いにティオネが参加するのか気になる。このトーナメント戦はもしかしたらフィンと当たるかもしれないと言うのに、なぜこんな試合にティオネが参加するのか気になっていた

 

 

『おいクソアマゾネス!!今日こそテメエをぶっ殺してやる!!』

 

『ぶっ殺されるのはあんたよ!!あそこでジークが見ているからあんたのやられプリを見せることができるわよ!』

 

『ち!本当ならあいつと戦いてえってのに、あいつが怪我人でなきゃ。テメエとなんてやらねえよ。それに負けるのはテメエだ!!テメエも見ていろよジーク!このクソアマゾネスが負けるところを!』

 

 

「どっちか勝ってもどうでもいい」

 

 

『『ふざけんな!!??』』

 

 

どっちかが勝ってもどうでもいいことだった。俺個人としてはあまり関わりたくない、会話がまともにできないこいつら二人をなぜ俺が勝利を見届けなかればならない。むしろ両方負けてくれと願っている

 

この戦いしっかりと決着つくのか怪しい。あの二人武器も使わないで格闘し始めた。武器を使わない場合は相手を気絶させたことで勝敗が決まる。あいつら二人のことだ。同じファミリアでも再起不能までするのではないかと、あのバカ二人の考えていることを推測した

 

戦いは二人とも容赦なしに相手を気絶するまで追い込み、避ければ壁が砕け、地面が崩壊するなど、本気で暴れ回っている。もう冒険者同士の戦い方はしていない。お互い防御するどころか、拳で何もかも周囲にある物を壊し暴れる

 

これではバーサーカーだった

 

 

「ジ、ジークさん!?これ大丈夫なんですか!?」

 

「あいつら二人殺し合っているじゃないのか!?」

 

「闘技場の地面と壁がどんどん崩壊していきますよ!?」

 

「本気でやりやっているようにか見えませんよ!?」

 

 

「あの二人・・・・・・・やりたい放題暴れているんだね?」

 

「あの二人が少しでも周りのことを考えるわけがない。ティオネも少しはそう言う考えはするが、戦っている内に本能に目覚めて暴れるからな」

 

 

あの二人同士で戦わせるなど、被害を大きくする災害でしかない

 

狂犬と蛇を戦わせるようなものだ。二人の試合はどんどん酷くになるにつれ、激戦へと戦況は変わっていく。周囲の建物など気にしない二人は、ただひたすら相手を倒すことにしか集中しておらず、建物を壊してでもベートとティオネはお互いぶつかり合ってなんでも壊し放題、死力を尽くす

 

 

『おい!流石にまずいぞ!』

 

『誰かあの二人を止めろ!闘技場が壊れる!!』

『なんであの二人を戦わせたんだ!?これだから第一級冒険者は!!』

 

遂に大会委員の人までこの戦況が不味いと判断し、誰かに応援を求めていた。こう言うと時こそ、ロキ・ファミリアの団長であるフィンが止めるはずだろうと思うが

 

 

「ベート!ティオネ!もうやめるんだ!!これ以上は闘技場が崩壊する!!」

 

「だ、団長!?で、ですが・・・」

 

「フィン邪魔するな!!こっちは戦いの最中だぞ!!」

 

「テメエ!!団長に向かってなんだその態度はベートオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

「二人とも・・・・・頼むから言うことを聞いてくれ・・・・」

 

「お主らやめんか!!」

 

「ティオネ!ベートもまずいって!!」

 

「二人ともやめて!」

 

 

遂にガレスやティオナやアイズまでも出てきた。フィンもしっかりと出て状況を止めようとするが、ティオネは言うことは聞くが、ベートが聞くはずもない。あいつは敵が出たら最後まで潰すのが当たり前。ティオネもベートもフィンと同じレベル6になったから、今までは止められたが、レベルの関係上。止めるのはかなり難しい。

 

でも止めないと闘技場が崩壊するほど、二人は激戦を繰り返して格闘し殴り合う。もはやフィンたちでも止めるのが困難な状況

 

 

「ジーク?流石にまずくない?」

 

「ああ。だから・・・・・落とす」

 

「え?」

 

 

もちろんこの状況はまずいのは俺も理解できている。フィンたちでも抑えきれるのは困難のも、力づくで止めるのは格闘メインの戦いをしているこいつらでは簡単には止められない。だからと言って俺も体中包帯だらけで無理をすればまたミアハに怒られる。こんな状態では俺もまともに戦えず止めることはできない

 

でも無い

 

魔法で止めればいい。格闘では無理だが、遠くで魔法を放って動けなくさればいい。本来ならグレイプニルを使えばなんとかなるが、ホームに置いてきてしまっている。ルーン魔術を使って抑えるもいいが、威力が強過ぎて殺してしまう

 

だから俺はネックレスチェーンからミョルニルを外して、大きくし、空に掲げて雷雲を作る。雷撃なら少し緩めるだけでも痺れて動けなくなる。俺もレベル6になった

 

二人に聞くはず

 

 

「あ?」

 

「なんだ?」

 

 

「これで終わりだ」

 

 

二人は空にいつの間にか雷雲で覆われているのに気づくが、もう遅く。俺はミョルニルを地面の方に振り下ろした。その瞬間

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

「うがああああああああああああああああ!!!」

 

「きゃああああああああああああああああ!!!」

 

 

雷雲から落雷が落下し、二人は見事直撃した。レベル6になった俺の力ならあの二人には効く。落雷を喰らったあの二人はプスプスと体から湯気まで出て。全身丸焦げになって戦闘不能となって倒れた

 

 

「な・・・・なんで・・・・落雷・・・・・が降る・・・・のよ」

 

「ジ・・・・ジークの・・・・仕業だな・・・・・あの野郎・・・・・レベル6・・・になったから・・・・・俺らでも効く」

 

 

全身に痺れもあるからなのかまともに動けない。真面のない馬鹿には落雷の罰で十分だと、俺はあの二人に雷を落とした。レベル6になるとかなり体に流れる稲妻が操れるのか、稲妻が簡単に落とせた

 

落雷を浴びたベートとティオネはもう戦うことはできない、よって

 

 

『一体なぜ落雷が落ちたのかは知りませんが!両者戦闘不能!!この試合は引き分けとさせていただきます!!』

 

両者俺の落雷に直撃により大破した。よってこの試合は引き分けにして終了した。二人は係の人に担架で運ばれた。この後ガネーシャ・ファミリアに治療されているだろう。威力を落としてあるからそこまで重症では無いと思うが、しばらくは動けないだろう

 

すると、VIPルームでフィンが入ってきた

 

 

「ジーク」

 

「フィンか」

 

「ありがとうね。あの二人を止めてくれて・・・」

 

「あの二人を止めるには魔法しかない。力づくで止まるわけがない。俺たちも楽しく見ていたいからな。別に礼を言われる程ではない」

 

「そうか・・・・でもありがとう」

 

「ああ。この後の試合も頑張れ・・・」

 

「うん」

 

 

フィンも俺があの落雷を落とした張本人だとわかっていたようだ。観客席に居る者や主催者や実況者も誰がやったのかわからないのに。やはりフィンには観察眼がある。前夜祭の時でもオッタルと戦う時見ているから俺だとわかったのかもしれない。やはりフィンの観察眼と直感は流石だと思った

 

あの二人が引き分けになったことで、この後のトーナメントの試合は少なくなった。元々第一冒険者たちしか戦ってなかったから試合数は少ない。この後はティオナとブリンガル長男のアルフリッグの試合があったが、ティオナに問答無用でやられ、勝者はティオナとなった。レベル差で負けていると言うのもある。そもそもアルフリッグは弟たちが居なければ戦力を発揮しない。弟たちが居ない単独で勝負するにしてはレベル6のティオナに勝てない。あいつの馬鹿力が普通ではない。弟が居ないアルフリッグでは不利だった。黄炎の四戦士は弟たちが居てからこそだった

 

よって準決勝試合はアイズVSフィン。オッタルVSティオナの二つの試合だった

 

アイズとフィンと言う珍しい試合をまた見られるとは思ってもいなかった。アイズはフィンにも剣の使い方を学んでいたからなのか、フィンもさっきはアレンとは槍で勝負していたと言うのに、アイズに合わせたのか少し長い剣で勝負を挑んだ。威力ではアイズの方が上だ。同時にレベル6。確かに対等な戦いではある。だが、その一歩をフィンが上回る。直感に鋭いフィンには威力が高いアイズでも先を読みをされればアイズでも反撃できない。アイズは基本的にガードが弱い上に俺が見る限りではガラ空きが多い。そこを突かれてアイズは負けた。

 

決勝進出はフィンとなった

 

次にオッタルとティオナ。の試合は。考えの無い二人がただ剣を振り合うだけの戦いだった。なんであのレベル7のオッタルも少しはガラ空きを狙った攻撃をしないのか、ボアズらしい考えはあるはずなのに、まったく活かそうとしなかった。ミアから聞いたがフレイヤに拾われた頃からオッタルは基本的に考えが無いと聞かされた。

 

ティオナなんて全然何も考えないから、安直に挑んで簡単に体当たりにするような単細胞丸出しの攻撃までする。意外とそんな技がオッタルには通用している。オッタルはガードするが避けたりはしない。図体がデカイからなのか避けるのが難しいようだ。レベル6のティオナでもオッタルには確かに効いていた。単純なぶつかり合いであるが、力の激しい二人ならではの対等の戦いだった。力の大きさでこの試合の勝敗は決まる

 

正直どうなるか俺でも想像つかない。この試合のルールは武器を弾かれれば負け、二人とも力だけは絶大。しかも二人とも大剣。ティオナの事も長年知っているがどっちが勝つなどわからなかった

 

だがその戦いも決着が付いた

 

 

勝者はオッタル。体ごとを使った突進攻撃にティオナが耐えきれずに武器を弾かれた。武器を手から離れたことによりティオナは負けた

 

決勝進出はオッタル

 

 

 

そして決勝戦は都市最強最大派閥の団長同士の戦い。フィンVSオッタル

 

ロキ・ファミリアの団長とフレイヤ・ファミリアの団長の一騎討ち。それが最後の決勝戦となった。それが一番最大の祭りの大目玉となった。最大派閥の団長同士の戦いは滅多に見れるものではない。だから誰もが絶対に目を離せなかった

 

 

でもその試合は長くはなく、決着は簡単に着いた

 

勝者はオッタル

 

フィン自体がやられたではなく、武器を弾かれて負けた。実はフィンには弱点がある。それは完全なる力で押されること。フィンは頭が良くても、ガレスやオッタルのように力は強くない。オッタルのアビリティは990と言う最大アビリティ数をしている。そんなオッタルにフィンは敵うことはできない

 

よって

 

この『大戦武道祭』の優勝者はオッタルとなった

 

 

その第一冒険者たちの戦いを見てベルと命はかなり喜んでいた。感激が物凄く強い。第一冒険者の戦いを見てどう動いているか勉強をしているからだ。ひょっとしなくてもベルも命もオッタルみたいに根は武人なのかもしれない。武士道がある命はありえそうだ

 

だとしても、二人はオッタルに追いつこうとする強者になれ初めになろうとしている。強者たちが現れることにそれを目標にしようとする。弱者たちの成長が始まる

 

ベルは俺になりたいと英雄になった俺に憧れ始めるように、雛たちが大きく動こうとしているのだ。弱者たちがいつまでも変化の無い成長をすることなく終わるはずはない。終わる時もあるが、弱者たちがそのまま終わるとは限らない。いつだって強者たちに憧れそれに追いつこうとする

 

オッタルたちの戦いを見て、第三や第二冒険者たちに新たな火が付いた瞬間である

 

 

 

だが

 

 

俺はベルがおそらく『それ以上の存在』になると俺は思っている

 

 

 

大戦武道祭が終わった後、そのあとは俺はシルとゆっくり過ごすためにヘスティアたちと別れた。一緒に飲みに行こうと誘われたのだが、俺はどうしても彼女と二人きりになりたいため断った

 

もちろんベートとティオネに落雷を起こしたことに関して問われたが、『馬鹿なお前らに天罰を下した』と言うことを聞かないお前らに罰を与えたと無視をした。もちろんひつこく俺に問いかけるがティオナとアイズに止められ、俺とシルは闘技場をあいつらを無視して逃げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう辺りは暗く。そろそろ夕飯にするにはいい時間だった。それで俺はシルの手を引っ張って彼女を誘導する。

 

 

「どこへ行くの?」

 

「二人で一緒に過ごせるところだ」

 

「でも・・・・・・街から離れているよ?」

 

「ああ。それでいいんだ」

 

「そうなの?でも・・・・・この道って・・・」

 

「まあ、君ならわかるだろうな」

 

 

俺は彼女を連れて町外れに向かう。彼女はなぜ俺には町外れに連れてかれるのはわからないが、この道を彼女は知っていた。周囲は壊れた廃墟となった神殿だからけ、草原のある花畑。彼女は知っているこの道

 

そう、この先にあるのは一つのみ

 

 

「ここだ・・・・」

 

「やっぱり・・・・・ジークのヘスティア・ファミリアの前のホーム」

 

 

俺が彼女を連れた先は、以前ヘスティア・ファミリアのホームにした古びた教会。そこへ俺は彼女を連れてきた。どうして俺は彼女をここへ連れてきたのか。ここには何も無いはず

 

だが

 

教会の中から誰かが教会の中から出てきた

 

 

『主様。時間通りですね』

 

「ああ」

 

「えっと・・・・・確かジークの・・・精霊さんだよね?」

 

「ノームだ。彼女たちに中で準備させるよう頼んでおいた」

 

 

出てきたのはノームだった。ノームはエプロンをしている。時間通り俺は彼女を連れてここへやってきた

 

 

「え?準備?」

 

『さあシル様。とにかく中へどうぞ』

 

「は、はい!」

 

 

とにかく教会の中へと俺は彼女を連れて行く。すると

 

 

「こ・・・・これって!」

 

「ああ。ノームたちに頼んでおいた」

 


『『『『ようこそシル様!』』』』

 

 

中へ入ると、グラニ、グリフォン、サラマンダー、などがお出迎えし、壁や地面など古びた所やホコリだらけが全くなく、壁はグラニが草など植えさせて草壁にして、天井はグリフォンが羽を重ねて屋根にして覆い尽くし、地面には氷の結晶で凍った滑ることのない氷の結晶がいくつもできたガラスの床。中心には赤いテーブルクロスが引かれた高級レストランでよく置かれる四角いテーブル。そのテーブルにナプキンやナイフやフォークやグラスなど置かれていた

 

そしてそのテーブルの上には木材でできたロウロクに火をつけられたシャンデリア

 

高級とは言わないが、教会レストランの部屋となっていた

 

 

「ジーク!?これは一体・・・・・」

 

「今から君に俺の作るフルコースをご馳走しようと思って、俺の精霊たちにここの改装と料理に必要な機材を運ぶように頼んでおいた」

 

「す、すごいわね、でも・・・・・・そこに知らない人が居るけど・・・誰?」

 

 

中で精霊たちにレストランに改装するように頼んだが、一人知らない全身水色の肌をしたヒューマンらしい女性が居た

 

 

「ああ。召喚できるようなった精霊だから知らなくて当然だな。ウンディーネ?」

 

『はい。主様に新たなに仕える精霊。水の四大精霊ウンディーネと言います。お見知り置きを』

 

「え!?あの水の精霊ウンディーネ!?」

 

『はい。主様が新たなにレベル6になったため、私も召喚できるようになりましたので、早速仕事を任されたためこちらに来ました。シル様どうかよろしくお願いします』

 

「あ、はい!こちらこそ・・・・ウンディーネってこう言う人なんだ・・・」

 

 

青色の長髪に、水色の肌。青いドレスを着た全身青系統の色をしたヒューマンと変わらない精霊。四大精霊にして水の精霊ウンディーネ。水や氷を操る精霊。召喚できるため彼女にも頼んでここの準備を頼み。地面を凍らせておいたのもウンディーネのおかげだった

 

いずれヘスティアたちにも自己紹介をさせるが、とにかく今は俺が料理を振る舞おうと、俺はシルをまず座らせる

 

 

「シル。今から俺が一番だと思うフルコースを君に提供する。君はしばらくそこで待っていてくれ」

 

「う、うん!」

 

『シル様、どうぞ』

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

俺は彼女が座ったのを確認して、手は包帯で巻かれているため手袋をして血を食材に付かないようにして、調理を始める。

 

フルコースは俺が一番だと思っている料理を振る舞う。シルに味が合うかはもちろんわからない、だがそれでも俺が最高だと思う料理を振る舞う

 

 

前菜・スープ・魚料理・肉料理・サラダ・デザート・ドリンク。そしてメインディッシュなど、俺が最高だと思うものをシルに提供する。調理場はいつも通り地下にある。そこで調理をする。食材はもう精霊たちに用意させてもらってある

 

その食材を切ったり焼いたりなどをして俺の全て学んだ料理を出した

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう!!美味しい!!!」

 

「喜んでくれて何よりだ」

 

「ジークは本当になんでも料理できるわよね、女性の私からして羨ましいわ。私は全然うまくなれないのに・・・・」

 

「君もいっぱい練習すればできるさ。それでもできないなら俺が君に全力をかけて教えるさ」

 

「ありがとうジーク。ご馳走さま。美味しかったわ」

 

「ああ。お粗末様だ」

 

 

俺の料理を全部彼女は喜んで食べてくれた。全料理満足に全部完食してくレてよかった。これが合わなかったら流石の俺でも焦る。ドリンクはもちろん酒じゃないし、未成年の彼女に酒はまだ早い。俺もそうだが、料理も苦いものも辛いものも無い。

 

ちゃんと全部子供でも食べられるものにした。彼女が喜んで完食したあの笑顔を見れて、俺は嬉しく思った

 

感情は薄れているクセに、やはりシルのことにだけは感情を剥き出せた。だとしてら俺は・・・・・・

 

本当に彼女を愛しているのではないかと。レベル6になって感情のほとんどを失っている俺が彼女のことをどう想っているのか、自分のことなのにわからなかった

 

 

「ねえジーク?今こんな楽しい時間に聞くのもアレかもしれないけど、いいかな?」

 

「なんだ?」

 

 

突然彼女から質問をしてきた。こんな時間に聞くのもアレだと言っている。ではそんな楽しい時間に似合わない質問をすると理解した。無論どんな似合わない切なくても悲しい質問を聞いても

 

今の俺には響かないと、どんな質問でも答える自信があるため、俺は耳を傾けて彼女から聞いた

 

 

彼女がこんなタイミングで質問した内容は

 

 

 

「ジークはどうして・・・・・あのベヒーモスを倒す時怒っていたの?」

 

「!?」

 

 

彼女のその質問だけは俺の心に響いた。彼女にそれを聞かれるとは思っていなかった。あまり彼女に聞かれたくなかった内容だが、聞かれてしまった以上を言うしなかった

 

今の俺に隠すことはできない。彼女に正直に言うしか俺には、今の心ではできなかった

 

 

「ベヒーモスを復活させた犯人である女神モリガンが、ベヒーモスを使って君を殺すと言って・・・・・・・我慢できなかった」

 

「あ・・・・・・私を殺すことに?なんで私がそんな話に出てくるの?」

 

「それは・・・・・・・」

 

 

それを答えるのになぜかすんなりと答えることができなかった。俺には心が無い。そのはずだ。なのに、なぜ彼女のことになるとなぜか戸惑う。だから俺はあの時モリガンに彼女を殺すと言われて怒ったのだろうか

 

今彼女を想うこの心を知りたいがために

 

俺は正直に答えた

 

 

 

「モリガンは俺がシルを大事にしていると気づいたから、だから俺の大事な君を殺そうとして、俺はモリガンを許せず怒った」

 

「・・・・・・・ジークは私を大事にしているの?」

 

「わからない。けど・・・・・・君を失いたくない気持ちでいっぱいだった。だから怒ってベヒーモスを殺した」

 

「・・・・・・・」

 

 

わからない。君を愛しているから許せなかったのか、君が友人だから失いたくないのか、どういう気持ちなのかすらわからない。俺はどんな気持ちを抱いているのか理解できない。それはなんだ?それはどんなもの?それが愛なのか?など

 

いろんな気持ちが混り合ってわからない。シルを想うこの気持ちはなんなのか理解できない。

 

単純なことだと思うのに、誰もが聞いて理解できるものなのに、わからない

 

これはなんなんだと、俺は考えることすらできなくなった。人生初めて理解できない感情をしていた

 

 

その答えは

 

 

「ジーク・・・・・私に初恋をしている?」

 

「初恋?・・・・・・これは恋なのか?愛とは別に?」

 

「うん・・・・・・今のジーク・・・・私から見てすごい驚いているけど・・・ジーク・・・・私に恋しているんだ・・・・」

 

「これが恋と言うものなのか?」

 

「うん・・・・・人はそれを恋って言うんだよ?」

 

「・・・・・・全然わからなかった。今まで君に関してこんな気持ちになったことはない。これが・・・・・恋なのか・・・・フレイが言っていた」

 

 

これが恋なのだとわからなかった

 

愛とは別なのだろうとわかる。初めて実感したのだからわからなかった。初恋か・・・・・普通の人間なら羞恥心があると思うが、俺は言葉では素晴らしいと言ったが、こんな感情になるなど自分の知らない感情を実感した温もりが大きくて、恥じらう気持ちがなかった、彼女を前にしても

 

彼女に恋をしている

 

シルの目にはなんでも心を見通す力を持っている。それは『あの女神』に何か力を貰っているからなのだろうが、なんにしても彼女は今どんな気持ちだろう。恋愛対象にされている。今目の前の男に恋を抱かれてどう思っているのか

 

俺は彼女に聞きたいがために言う

 

 

「じゃあシルは今・・・・どんな気持ち?」

 

「え?」

 

「今俺に恋を抱かれて・・・・・どんな気持ち?」

 

「それは・・・・」

 

「俺はまだ実感したばかりで・・・・恋愛と言うものを理解していないが・・・君の言う通りだと思う・・・・・・それで君は俺に恋をされてどんな気持ちなんだ?」

 

「・・・・う、嬉しいよ」

 

「嬉しい・・・・・好きでもない俺にか?」

 

「ち、違うよ・・・・・・私は・・・・ずっとジークのことが好きだった」

 

「ずっと?・・・・・いつから?」

 

「二年前かな?・・・・・まだあなたが感情があった時かな」

 

「そんな前から・・・・・」

 

「覚えている?・・・・・私を助けてくれたこと?」

 

「ん?ああ・・・・・・地下で子供たちを助けた時か・・・」

 

 

二年前からシルは恋をしていたらしい

 

二年前、彼女はオラリオのダイダロス街にある孤児院育ちの街娘。そんな彼女と初めて会ったのが、その孤児院の前を偶然通りかかったある日のこと。その日偶然彼女を見つけた。でもいつも店で元気よく働く彼女がその時だけは焦っている顔をしていた。困っているのではないかと俺は彼女に聞いた。そしたら孤児院の子供たちが買い物を行っている間にどこかに逸れたらしく。子供たちを探すために俺はシルに力を貸して一緒に探した

 

幸い俺は感知と言う他の誰も無い索敵能力を持っているため、子供たちがどこで逸れたのか感知できた。だがその場所がとんでもない所だった。

 

それは地下水道だった

 

オラリオの市民街でも地下水道は当然ある。実はこの地下水道には問題がある。それはモンスターが生息すること

 

地下水道は実はダンジョンの湖と繋がっているため、そのダンジョンからモンスターが地下水道に紛れる事がある。そのダンジョンとどこに繋がるかはまだ明白していないが、地下水道にモンスターが生息すると言う事件もオラリオではいくつもあった

 

そんな地下水道に明らかに子供のような気配を感知したため、モンスターが居るため、ここは俺が適任だと思って俺は一人で行くつもりがシルも一緒に行くと、命の危機があるかもしれない地下水道に進んで俺に付いてきた。暗い地下水道を進んで俺はシルを連れて奥に進む

 

そして奥にシルの孤児院の子供たちが居た。子供たちが猫を抱えていた。

 

どうやら猫を助けるために子供たちは危機を恐れながらここまで来たようだ。猫を助けたはいいが、モンスターに囲まれて身動きが取れなくなった。しかも数が多く。一人ではまともに戦えるレベルではないが俺は無理して戦った。その間にシルに頼んで子供たちを地上に誘導するよう頼んだ。子供たちは地上へと逃すことはできたが、その逃げ終わった直後にモンスターがシルを狙った。それを阻止しようと俺は重症になりながらでもシルを守ってモンスターを全滅させた

 

シルを守ったことで体はかなり重症の傷を負ってしまったが、シルが無事ならいいとまだ感情のある俺は彼女に笑って誤魔化していた。まあ帰ったらフィンたちにかなり怒られたが、ダンジョンに行っていたと誤魔化して。その後に彼女が働いている豊饒の女主人と言う店でお礼をして貰い。ミアとリューたちにもその時初めて会ってミアからもお礼として食事を提供して貰った

 

 

その時だろう。彼女が俺のことを好きになったのは、ボロボロになっても彼女を守った俺に惚れたのだな。ずっと・・・・・この日から俺に恋をしていたのか

 

じゃああの二年も居なくなった時もなのか・・・・・・

 

 

「ロキ・ファミリアをやめて二年もここに居なかった時もか?」

 

「うん・・・・・あなたがもうここへ帰ってこないって思っていた。あの二年は・・・・・とても辛かったよ。でも帰ってきてくれた・・・・それもこんな近くに来てくれて・・・・・・私に恋をしてくれて嬉しい・・・」

 

「これが恋なのか・・・・・俺にはまだわからないが・・・・・君が大事だったのは本当だ」

 

「ジーク・・・・」

 

 

「モリガンが君を殺すと言われた時、もはや俺は自分の命に保証をかけないまま、俺はベヒーモスを殺すために怒った。絶対に君だけは何がなんでも守ると。自分の全てを犠牲にしてでも俺は君が大事だった。俺は英雄になりたかったわけじゃない。君を守りたかっただけだ。俺の命より君が大事だ。それだけは確かなんだ。俺の命なんてどうでもいい・・・・・・・俺の全ては君だけ。モリガンの愛なって要らない。君の愛があれば俺は自分を保っていられる。それだけしか俺には何も感じないんだ」

 

「・・・・・・・」

 

 

フレイにもっと恋を聞けばよかったと後悔した

 

そうすればもっとわかりやすいように彼女にこの気持ちを伝えられたのにと、どんなに長く生きていても永遠に理解できないものがあると俺は知っていたが、こんな気持ちを理解できないなんて、とても辛く感じていた。シルのことだけはカオス・ヘルツは通用しない。何も感じないはずの心が燃えている。熱くて誰の触れることのできないこの熱い感情

 

これが恋なのか。わからない。

 

フレイにもっと聞けば理解できたのかも、それともゲルズ姉さんの言っていた通り自分でしなきゃわからないものなのか。こんな気持ちになったことのない俺にはわからない気持ち。その気持ちに

 

シルにどう伝えればいいのか、生まれて初めて言葉が詰まった

 

 

でもシルは・・・・

 

 

「じゃあ私を愛して」

 

「え?」

 

「私を愛してよジーク。私は・・・・あなたが欲しいわ。あなたは?あなたは私を欲しくない?」

 

「俺は・・・・・・・できるなら欲しい。俺にその感情があるなら・・・・」

 

「あなたはレアスキルで感情が殺されているのは私の眼じゃなくてもわかる。あなたは大事だったものを壊されて、自分の意志が無くなりかかっている。もう悲しみを得るくらいなら感情なんて無くなっていいと、貴方の母やお兄さんが失った悲しみが今でも心に残っている」

 

「シル・・・・・君はそこまで」

 

「私はその心を癒したい・・・そうすれば私があなたの大事なものになれるから、私はズルくて欲張りな女。そんな私はあなたのものになりたい。私はあなたの信じられるものになりたい。あなたにその気持ちが無くても、作ってまでして私はずっとジークに恋をしていた。だから私ズルイ方法でもあざとい事をしてでも・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「私はジークを取りに行くからね!」

 

「シル・・・・・・」

 

 

シルの気持ちを全面的に俺にぶつけてきた

 

彼女が『あの人』に似ていることは知っている。力もそれと同じものを俺は感じていた。でも彼女が『あの人』だからではない。それと別。今のは本当に彼女の心の声だとわかる。なんでそんな事がわかるなんてわからない

 

でも体から・・・・いや、心から感じる。若干体から桜色のオーラを放出してしまう。あの謎のスキル『フレイ・リーベ』が発動しているのだとわかる。確かあれは俺に恋している女性に何かしらの現象を発動するとステイタスに書かれてあった。フレイ・リーベと言う謎スキルが俺にシルの気持ちだけは理解できるようにさせてくれるのかもしれない。でなきゃこの言葉が彼女の心の声だとわかるはずがない。俺は今まで彼女のことを友達だとしか思ってなかったはずなのに、彼女はこんなにも愛していたのだと

 

彼女がこれほど俺を想う感情があったのだと、どんどん俺の心に入ってくるのがわかる

 

 

「俺は君に期待できるようなことはできる自信は無いけど、俺は全てを君に尽くすよ。俺が生きている限り・・・・」

 

「ええ、でも私に尽くすんじゃなくて・・・・・ただ私を見ていて」

 

「いつも見ているつもりだったんだが・・・・・・全然足りないか?」

 

「うん。もっと見ていて欲しい。私は全力であなたに私を欲しがる心を作る。覚悟してよね?私だけの英雄雷帝!」

 

「そうか・・・・・これはとんでもないことになったな。俺の心で理解できるかどうか・・・・・・・・いや、俺の心で理解するんじゃなくて君の愛を心で感じるんだな。ああ・・・・・これは重そうな愛だ」

 

「私そこまで重くないわよ?」

 

「そうか?君は料理ができない分俺の料理で重くなるのかと思ったがな?」

 

「もう!!ジーク!!」

 

「ああ、ごめんごめん。そういうところを二年前も変わらないんだな。少しは大人になったと思ったのに」

 

「そんなことないもん!私は大人よ?」

 

「本当に?」

 

「本当よ?」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・

 

「ふ!」

 

「ふ!」

 

 

「「ふはははははははははははは!!」」

 

 

ああ、彼女の愛を貰っているから二年ぶりに笑えた。彼女のせいだ。彼女のせいで俺は感情が動いたのだ。ただ戦うだけの愚かな化け物なのに、ああ。まったく彼女は酷い女性で、欲張りでズルイ女

 

でも

 

嬉しいよ。君の愛は本当に暖かい。モリガンの愛よりもシルの愛の方が太陽のように温かい。感情にいろんな喜びが芽生えてくる。カオス・ヘルツでも消せない愛と想い。これが愛と恋

 

 

「私があなたの心を愛で埋め尽くすんだから。英雄雷帝」

 

「俺の心を君の愛で埋め尽くされるなら嬉しい限りだ。『義姉さん』のお姫様」

 

 

そして夜はまだ長く。彼女と遅くまで楽しいお喋りをしながらお茶をした。楽しい時間だった。彼女の愛が俺の感情を動かしてくれたことで二年前同様の感情を出せた。この時間が長く続けばいいのにと思うが、そうも続かないと思っているからこの時間を大切にした

 

英雄として得た対価は・・・・・・・・・・彼女の愛と言う光だった

 

 

 

 

次の日

 

下界全てに新たな英雄とその英雄譚がオラリオから誕生したと世界に広められた。ゼウスとヘラのファミリアを超えた。新たな英雄。最強にしてオラリオが誇る冒険者。新たな歴史が刻まれた

 

 

これは新たな英雄神話誕生の物語。いずれ伝説になるお話

 

殺戮の女神が調教したモンスター。巨獣ベヒーモス。そのベヒーモスに下界の全ての生き物や都市を灼熱の風で殺戮をさせ、自然までも殺した邪悪な殺しの女神。世界は殺しの女神によって支配されていた。それに挑む者は誰もおらず、居たとしても返り討ちにされ、誰もが勝てず、打ち果たせず屍となって絶望をした。

 

そんな中

 

殺戮の女神に最後まで抗い、決して諦めずに、戦う者たちに戦意を出させ。巨獣を倒そうとする

 

一人の青年が居た

 

 

それはかつて霧の巨人族を滅ぼしたファミリアの主神。ゼウスに並ぶ最強の雷神トールの息子

 

一人で紅き巨獣を相手に、魔剣と金槌で滅ぼし、殺戮の女神に雷を落とした。歌で冒険者達に戦意を造った。冒険者とは似合わない戦士の長

 

雷神トールの息子にして、豊穣の神フレイの義弟にして、精霊の王にして、オラリオの冒険者にして、

 

ゼウスとヘラのファミリアを超えた、下界を救った最強の英雄

 

 

その英雄の名は

 

 

ヘスティア・ファミリア団長

 

 

雷帝・ジーク・フリード

 

 

オラリオ最強の大英雄なり。

 

 

と、雷帝英雄譚と言う書物にされ。世界に広められ。世界に新たな歴史を刻んだ瞬間であった。オラリオでは俺のことを大評判

 

俺の名が世界に英雄として崇められた。神以上の存在となってしまい。俺を知らぬ者は居なくなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一ヶ月後。とある遺跡

 

 

『やめて・・・』

 

 

とある遺跡の奥で女性が泣いていた。やめろと叫んでもそれは止まらず。天候の悪い下で地面に血が広がっていた。

 

 

「ぐわああ!!」

 

『やめて・・・やめて・・・』

 

「があああ!!」

 

『やめて・・・やめて・・・・やめてえええ!!』

 

「うわあああ!!!」

 

『やめてええええええ!!いや!いや!いやあああああ!!』

 

 

「はあ・・・はあ・・・はあ」

 

 

とある遺跡の奥深くにて。ある者達が殺されていた。多く多くと殺され倒れていく。そんな中女性が泣き叫ぶ。その者達が黙って殺される所を見ることしかできなかった。生き延びているのがついに一人の女性冒険者らしき人のみになった。殺された者達が倒れている目の前で女性冒険者は無理に立った

 

そして女性冒険者は絶望した。武器すら握れなかった。自分たちにはこれはどうにもできないと彼女は自分たちの無力さを知って諦めたのだ

 

でもその女性冒険者にはある考えがあった。これを解決する事ができる考えを。それを泣き叫ぶ女性に言う

 

 

「・・・・・様!!オラリオに行ってください!!」

 

『え?』

 

「私たちは助かりません!ですが!『これを』倒せる冒険者を一人知っています!私の分身魔法であなたの心だけを分離させますので!分離し自由に動けるようになったらオラリオに行ってください!『彼』なら必ずあなたを救ってくれるはずです!」

 

『な、何を!?』

 

「アルカナムを少しは使えるはずです!オラリオに着いたらあなたにこの事を伝え、彼に頼めば必ず彼が『これを』倒してくれるはずです!どうか・・・・・私たちの命を犠牲にして彼をここへ!!」

 

『それは誰です!?』

 

「必ずお会いしてください!その名は・・・・がは!!??」

 

『い、いやあああああああああああああああああああ!!』

 

 

ついに最後に残った女性冒険者もその者に心臓を何かで刺された。死んだかと思いきや、まだ意識があるらしく、最後までこの状況を解決する者の名前を出す

 

 

「そ・・・・その・・・・名は・・・・・雷帝・・・・ジーク・・・フリード」

 

『雷帝・・・ジークフリード・・・・』

 

「私の・・・スキルが・・・確かなら・・・・あなたの・・・・オリオン・・・になって・・くれる方です・・・どうか・・・・彼にこの事を・・・・ぐふ・・」

 

『いや・・いや・・いやいやいや!!いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

「頼む・・・あのお方を・・・・助けてくれ・・・・英雄・・・・ジークフリード・・・・・魔法を発動・・」

 

 

遂に最後の女性冒険者も女性に最後の力を振り絞って分身魔法を掛けて力尽きた。この遺跡に居る女性以外の者以外は何者かにより倒れ殺され全滅した。

 

残された女性は女性冒険者の分身魔法により、借りではあるが体を作成し、自由に動けるようになった。そして彼女は一人で大陸を渡ってオラリオに向かった

 

 

目的は

 

オラリオで『雷帝ジークフリード』を探すため。彼女は都市へと走った

 

 

 

 

 

 




雷帝英雄譚 END
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