とある青年が、悲しんでいる月の乙女を救うため、自分の命を犠牲にして払う
切なく悲しい馬鹿な狩人のお話である。
女神の依頼
一ヶ月後
あのベヒーモスを倒して一ヶ月後のこと。ベヒーモスを一人で倒した俺の評判は一ヶ月過ぎても終わることなくオラリオでは大好評だった。俺とヘスティア・ファミリアを世界で知らない者は居なくなった。街を少し歩くと誰もが俺に声を掛ける者や黄色い声援もいくつか・・・・・・エルフの女性のほとんどが話し掛けて来る。英雄になったことで外を歩くのが面倒になると更に知らぬ人とファンの対応が増した
以前まではアポロンの疑いにより嘘つきと呼ばれた俺が、大きな戦果を出したことで立場が大きく逆転し、皆誰もが俺に憧れの対象とされた
その一番に対象をしているのがベルだった。
ヘスティア・ファミリア内で唯一の第一冒険者になったレベル6。自分たちを差し置いて強くなり過ぎた俺に追いつこうと、ベルは常日頃ににダンジョンに励んでいる。おまけにベルは英雄に憧れ、ベヒーモスを倒して英雄となった俺に余計に憧れるようになり。グランド・デイを終えた後のベル達はダンジョンに張り切って毎日潜る日々を送っていた。一人だけレベル6になった俺に少しでも追い付こうと負けてられないとベル達だけで対抗心を持って潜っていた。本来なら俺も一緒に行くはずが、ベヒーモスの戦闘で負った傷が深すぎてこの一ヶ月ダンジョンに入れなかった。ミアハやエイナやシル達にもダンジョンに潜ることを強く禁止され、俺はヘスティアのバイトをしている間にホームの家事担当の日々を過ごしていた
家事をしたり。シル達に申し訳ないが、俺が怪我人と言うこともあるためシル達にホームに来てまで手伝いをしてくれるなどをしてくれたり、タケミカヅチやミアハ達、エイナ達にまでホームの家事を手伝ってくれたりと。重傷者としてまともに働かせてはくれなかった
しかも暇な時はロキ達までホームに遊びに来る事がある。退屈しないで済むが、大抵はベートが『俺はお前に負けてない』などと言う負け惜しみなことを押し付けてくる。あとはいつも通りヘスティアとロキが喧嘩するくらいか、ロキ達は俺たちのホームに来てまで俺に騒ぎをしに来たのかと少し面倒もあった
それでもモリガンの事件から過ぎて平和な時間を過ごせたのは事実。冒険者とは似合わない市民の生活。戦うことしか考えない俺としては偶にはこういうのもいいものだと思った
でも三週間後にミアハの診断をもう一度受けて、動いてもいい体へと完治し。やっとダンジョンで入れるような体に戻り。俺もベル達と共にダンジョンに励んでいた。レベル6になってから一ヶ月もダンジョンに入っていなかったと言うのに、腕は全然落ちるどころか
上層階に居るモンスターを武器無しで倒せるようになった。それも軽々と、母のルーンアーマメントを使ったからなのか、体に流れる雷が楽に出せるようになった。多分母ほどの雷の放出量はまだ出せないが、以前よりも楽に体から雷を放出する。いわゆる魔法のエンチャントのような力を発揮した
でもあまり一人で突っ走らないでくれとベル達に言われる。そんなつもりはないはずだが、ほとんど一人でモンスターを倒してしまい。ベル達が来た意味ないと。少しでもモンスターを残してくれと言われる。確かにレベル6になったとは言え、ベル達が戦えなくなると彼らも成長しない。だからモンスターはほとんど彼らに任せた
でも、だからと言って以前からダンジョンを毎日潜るにしてはお金が普通じゃないほど多くあった。無理して中層の方まで行ってお金を稼いでいるようだが、理由はあることのためにお金をリリルカに会計を頼んであることに使うため多く集めていたらしい
ヘスティアもそのことにだけは必ず休みを作ろうとしている。となると何かお祝いに使うための機材を買うのかと思っていた
のだが
今はオラリオの市民街を歩いている。祭りに出す屋台が多く道に並んでやっていた。特に屋台の出し物には月のシンボルが入ったデザインをした物が多くある。それもほとんどの屋台に
グランド・デイが過ぎてまだ一ヶ月しか経ってないと言うのに、またもオラリオで一大行事のイベントが開かれていた
それは月が輝かしく天に現れた時に開かれる祭り、その名も『神月祭』
これはヘスティア達神々が降りる千年前からあった古代オラリオの祝祭。月を神に見立てて、モンスターの魔の手から無事を祈ると言う風習である。言うなら下界の文化と言うもの。決して神が創ったお祭りではない。この祭りのためにリリルカはお金の会計をして、この日のために俺が知らない間にベル達には計画していてお金を貯めていたようだ。
「なるほど・・・・・毎日ダンジョンに潜るのはランクアップを早くしたいか、俺に内緒でダンジョンの攻略でもしているのかと思った」
「もちろんランクアップやダンジョン攻略も目標でしたけど・・・・」
「お前無しじゃあ限界もあってな・・・・」
「20階層で限界だったんです」
「桜花殿達にも頼んで一緒に潜っていたのですが・・・・・・やはりそこら辺が限界で・・・」
「俺が居ても限界はあるぞ。まあ、とにかく夜遅くまで日帰りをしていたのはそう言うことか・・・」
「うん、ベル君達と相談してね・・・・・この日のために計画していたんだよ。とは言っても僕もベル君もこの神月祭を初めてだけどね」
「そうか・・・・・だがヘスティア?君のバイト先はこういう時は稼ぎ時だろう?休みにして大丈夫なのか?」
「うん!バイト先のおばちゃんに『トリプルアクセル土下座』をしてきた!!」
「トリプルアクセル土下座・・・・・・・・地面を滑って三回転をしてそのまま土下座か?」
「うん!って・・・・・ジーク君?それなんでわかったの?タケにしか知らない技だよ?」
「俺の故郷にタケミカヅチと同じ極東の神が居るんだ。そいつから相手が絶対に参る土下座を知っていると言って、そいつも昔俺に放ってきた。それで知った」
「へ、へえ・・・・・・タケと同じ極東の神か・・・・・それってちなみに誰?」
「ツクヨミだ」
「ツクヨミ!?彼女ジーク君の故郷に居るの!?」
「ああ」
「知らなかった・・・・あのツクヨミがジーク君の故郷に居るなんて・・・・・今度ツクヨミの話をしてくれる?タケと一緒に・・・」
「ああ」
ツクヨミ。極東の月の女神
俺の故郷で兵士の育成をする訓練校ファミリアの主神。タケミカヅチのように根は武人のようなオカッパ長髪の和服を着た女神。昔俺にあることをしてしまった迷惑があると、俺は気にしなくていいと謝罪は要らないと言ったが、律儀なことをしなくてはと武士としてのプライドがあるのか
俺にもそれらしきことを10歳の時にされた
相手を参るような土下座だとあいつは言っていたが、参ると言うか、呆れてものが言えないようなドン引きを得る土下座だった。
それをタケミカヅチも知っているとなると、相変わらず極東はルールの厳しい世界と神が居るんだと知った
いずれツクヨミに関してはヘスティアとタケミカヅチに説明するとして。今はあいつの話は置いて今は祭りを楽しむ
「今は代わりにタケがバイトに入っているよ。英雄の主神なら任せろって!」
「今度ヘスティアの代わりに入ったお礼をしなくてはならんな。命」
「そうですね、お礼は自分にお任せくださいジーク殿」
「頼む命。ヘスティア。あまりタケミカヅチに無茶なことを言うなよ。バイトがある時はちゃんと出ないと、店長も流石に困ると思うぞ?バイトをしている意味無いと」
「だってこんな時くらいはみんなで一緒に過ごしたいもん!」
「子供のようにワガママを言うか・・・・」
「それにジーク君だってこういう時くらいヒューマンの店員君と過ごしたいだろ?」
「ヒューマンの店員君?・・・・・・ああ、シルのことか?」
「そういえばジーク様、こういう祭りはジーク様はシル様たちと回るじゃないですか?シル様は呼んでないんですか?」
「そう言えばジーク。お前あのシルと今日朝喋っていたよな?リューは居なかったが・・・・」
「店の前で確かにジークさんやりとりしていたね?シルさん達とは今日回らないんですか?
「実は彼女の誘いは確かにあった。だが・・・・・・最近シル達がホームに来て手伝いをしてくれた時があっただろう?」
「ええ。確かに」
「世話になっちまったな・・・」
「時間を無理に作って手伝いに来たのかと思ったが、実は何度かミアに内緒でサボっていたらしく。その何度かサボった罰として今年の神月祭は夜遅くまで働かせると俺たちを回らせてはくれなかったらしい」
「ああ・・・・・そうなんですね・・・」
「あのシルって店員・・・・・誤魔化すのとか嘘を付くの旨そうだな」
「ああ。確かにそれはヴェルフの言う通りだ。彼女何度かミアの眼を盗んでどこかに出かけたりするからな・・・・」
「す、すごいですね・・・」
「シル様なら・・・・そうでしょうね・・・」
「リリルカ?お前知っているってことは・・・何か隠し事をしてシルに悟られた経験があるのか?」
「まあ・・・一応経験しています・・」
シル達とは今回一緒に行くことはできなかった。ここ一ヶ月毎日毎日リュー達も連れて手伝いに来てくれることに不自然を感じていたが、まさかミアの眼を盗んで手伝いに来ていたなどは知らなかった。と言うよりミアもいい加減シルの誤魔化しを見抜けないのだろうか、まあとにかく今回シル達とは回れず、仕方なくヘスティア・ファミリアの団員のみで神月祭を過ごした
そう言えば朝からリューが居なかったが、何か用事で居ないのだろうと推測する。こんな神月祭に居なくなるなど何かあったとしか思えないが、彼女のことだから大丈夫だと、細かい詮索はしなかった
「よしジーク!ベル!たこ焼き食おうぜ!たこ焼き!」
「そうだな・・・」
「うん!」
「よーし!!みんなで神月祭を楽しもう!!!」
「おう!」
「「「はい!!!」」」
「グランドデイの時も言ったが、楽しむのはいいが・・・・あまり金を使いすぎるなよ?」
楽しむのは大いに結構だが、なんだか明日の生活をも考えないで使い切りそうな感じはした。一ヶ月前のグランド・デイは俺が注意にしなければ。本気でこいつらはお金を使い切る。だから今回も使い切らないよう
俺はヘスティア達の行動に監視をするようにした
『さあ!!この槍を引き抜く英雄は誰だ!!!』
「ん?」
「「「「?」」」」
「今のは・・・・・・ヘルメス?」
「また何かしているのかあいつは?・・・・・祭りの時にあいつはいつでも騒がしいことをするな・・・・」
俺たちは屋台で料理を買おうとしたら、突然遠くからマイク越しでヘルメスの声が聞こえた。また何か良からぬ行事をしているのだと推測した。グランド・デイの続きをした歌大会程度で行事を開いて欲しいと願っている
そうでなければあいつの考えることは俺たち神の子供は迷惑か、災厄でしか無いからだ。ヘルメスが何をしているか気になるのか、ヘスティア達がヘルメスが開いていると思う行事の会場へ向かう
『さあさあお立ちあい!遠き者は音に聞け!近き者は目にも見よ!そして腕に覚えがある冒険者ならば名乗りを上げろ!!この槍を引き抜く英雄は誰だ!!』
「何をしているんだヘルメスは?」
「また何か大会らしきものをしているようだな?」
『これは選ばれた者にしか抜けない伝説の『槍』!手にした者には貞潔たる女神の祝福が約束されるだろう!更に抜いた者は『豪華世界観光ツアー』にご招待!!すでにギルドの許可済だ!!』
「「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」
「豪華世界観光ツアーか・・・・・・どう思うヘスティア?」
「もちろん参加してみよう!」
「え?やるんですか神様?」
「うん!面白そうだし、やってみよう!」
「あ、はい!」
「またヘルメス様は怪しげな催しを・・・・」
「ヘルメス様らしいですね・・・・ジーク殿はどうします?」
「まあ試すくらいならいいんじゃないか、試すくらいなら・・・」
ヘルメスが出した催し。それは台に立っている宝石に刺さった水色の『槍』。それを引き抜いた者に豪華商品として、『豪華世界観光ツアー』を提供される
正直この豪華世界観光ツアーと言うのは嘘臭い。ヘルメス・ファミリアはヘルメスがバカなことをするせいで金を変なことに使うことが多くあり、今ヘルメス・ファミリアは金に困っていると以前アスフィに聞いたことがある。金に余裕が無いと言うファミリアがいくらギルドの許可を貰ったとしてもそれに使う金など無いはずだと。ギルドにでも頼らない限りは不可能だろうと、豪華商品は俺は完全に疑っている
それに今台の上に宝石に刺さっているあの槍は・・・・
「槍?・・・・・槍なのか?あれ?」
「ん?ヴェルフも気づいたか?あの・・・・・『矢』」
「やっぱりジークもそう思うか?だよな?・・・あれ槍じゃなくて・・・『矢』だよな?」
「ああ・・・・・なぜヘルメスはあれを槍だと嘘を付くのだろうな?」
「さあ?何かまた狙いがあるんだろうな・・・・」
「そうだと思う。あいつのことだからな・・・・それに・・・」
「ん?どうしたジーク?」
「いや、あれは・・・・・・まさか・・・・そうなのか?」
ヘルメスがなぜ今台の上に刺さっている矢を槍と呼ぶかは分からないが、ヴェルフもあれが槍ではなく矢だと気づいていた。だがそれも気になることなのだが、それ以上に気になることがあの矢にあった
それは
あれは間違いなく神の力が入った『神創武器』
俺の首に掛けられたトールとフレイの神創武器である『ミョルニル』と『レーヴァテイン』と同じ神の武器で間違いない。あの矢からピエログリフが綴られているのがわかる。そして神の力も。だが知らない神の力だ。神の誰かの者の武器であることは間違いない
一体誰の矢なんだ
と、俺の感知アビリティがあの矢のすざましい力をミョルニルとレーヴァテイン と同じ力を感じた
「ぬううううううう!!ダメだ全然抜けねえ!!」
『おっと抜けない!!さあ他にこの槍を抜く者は居ないか!!』
「ベル君!ジーク君もやろうよ!」
「え、ええ・・・」
「まあ・・・・試すくらいならな・・・」
「私たちもやりましょう!アイズさん!」
「うん・・・・・」
「ん?アイズとレフィーヤか?」
「え!?ジークさん!?」
「ジーク?・・・・あ、ベル。ヘスティア様・・・」
「うお!?」
「ロキ・ファミリア!?」
「剣姫とサウザンド・エルフです!?」
俺たちもこの引き抜き大会に参加しようとヘスティアに頼まれて参加するのだが、すぐ隣にレフィーヤとアイズが居た。彼女達もこれに参加すべく。祭りでフィン達と回っていると思っていたが、別れてでもヘルメスの催しに参加するようだ
あの矢を引き抜くために
「ジ、ジークさんもやるんですか?」
「ヘスティアに頼まれた。引き抜くならいいかと思ってな・・・」
「そ、そうですか・・・・じゃあもう決まりじゃないですか!?」
「は?なぜもう抜く前から決めつけるレフィーヤ?」
「だってジークさんはベヒーモスを一人で倒した英雄ですよ!?絶対にあの矢だって抜けるに決まっているじゃないですか!?英雄になったジークさんにできないことなんて無いですよ!?」
「まったく・・・・またベルみたいに・・・・お前も俺に憧れるか」
「私も・・・ジークならできそうな感じする・・・」
「アイズまで・・・・お前らフィン達はどうした?」
「あっちの店でティオナとティオネと一緒に型抜きして楽しんでいる。私とレフィーヤはこれが気になってここに二人で・・・」
「そうか・・・・それとあまり声を大きくしないで貰えるか?それ以上を大きくしたら・・・」
「おい雷帝だぞ!!!」
「嘘だろ!?マジで雷帝だ!」
「嘘!?なんでここに!?」
「きゃー!!雷帝様よ!!」
「ジークくん手遅れだよ・・・」
「ああ。遅かったようだ」
アイズはともかく、レフィーヤが物凄い大きな声を出したせいで、周囲に居る人たちに俺が今ここに居ると知られ、注目を一気にこっちに集中された。雷帝と言う英雄は大人気なため俺を知らない者は居ないからすぐ俺が有名人だと分かった
二つ名とは別に
そして周囲が俺の方に顔を向けているのを、ヘルメスが気づいた
『おや?そこに居るのは!?誰かと思えば我らが英雄!雷帝ジークくんじゃないか!君もこれに参加するのかい?』
「これだけ注目を浴びれば気づくのは当然だな・・・ああ、ヘスティアに頼まれてな・・試すくらいなら構わないとな・・・」
『そうか!!なら是非とも君が抜いてくれ!英雄になった君ならこれを抜けるはずだ!!』
「英雄になったからこれを抜けるとは限らないだろ。まあ手っ取り早くやるとしよう。行ってくるヘスティア」
「うん!!是非あの槍を引っこ抜くんだ!!」
「頑張ってくださいジークさん!」
「ジークなら抜けそう!」
「ジークさんなら抜けますよアイズさん!」
「だからレフィーヤ。決めつけるな」
ヘルメスにも見つかったため、拒むことなくヘスティアに頼まれたように俺は槍ではなく矢を抜きにヘルメスの所へ台に乗る。
見た所、力で引き抜く物ではないと見た。きっと何か資格を得ているような者をあの矢が探しているのではないのかと思っている。でなければさっきから他の冒険者が力で無理に引っ張って抜けないとなるじゃあそう考えるしかなかった
本来神創武器と言うのはそういう物でできている。持ち主が何かそれなりに力があり資格を得ている者でなければ扱えない天界から授かる神の武器。それを誰も扱える物ではないと母トールの武器を使っているから神創武器がどういう物か分かっていた。だから俺でも簡単に抜ける物ではないと自分が完璧ではないと謙遜していた
「じゃあジーク君。やってくれ」
「ああ。期待するなよ」
そうして俺はこの矢に手を伸ばす。それだけでこの矢から絶大な神の力を感じる。やはり誰かを探しているのではないかと手に触れて感じる。そしてこの矢に手を握ると、この矢から
『見つけた』
「っ!」
女神の声が聞こえた
その声は明らかにこの矢の力の主。間違いなくこの矢の持ち主である女神の声。聞いたことのない知らない女神だと思うが。力も入れてない矢を引き抜くことなく、握ったまま持っていると
バリン!!!
と、矢に突き刺さっていた宝石が砕け、矢の刃の先まで先端が見え。矢を抜く力を入れることなく、宝石が砕けて矢が取れた
『やはり俺の見込みは正しかった!!我らが英雄雷帝ジークフリードが!!この矢を抜いたぞ!!!』
「「「「「「うおおおおお!!!」」」」」」
「やった!流石だジーク君!流石僕らの誇る英雄だ!!」
「すごいですジークさん!」
「うん。やっぱりジークなら抜けた」
「やっぱりジークさんにできないことはありませんよ!」
「マジでやりやがった!?」
「ジーク様本当に引き抜いたです!?」
「ジーク殿!もはや自分はジーク殿ならなんでもできる感じがします!」
そうして俺が引き抜いたとヘスティアや他の者達も勘違いして、俺が引き抜いたと思っている。全然違うと言うのに
今しっかりと女神の声が消えた。この矢から俺の心に通じて、確かに聞こえた。まさかこの矢が俺を選んだと言うのか・・・・・・いや、この力の持ち主である女神が俺を選んだと言うのか
「そうか・・・・・彼女は本当に彼を探していたんだな・・・・・これも運命だと言うのか」
「ヘルメス・・・・・これはどう言うことか説明して貰おうか?お前が何か隠していることはわかっているぞ?」
「だよね。君が鋭い考えをすることくらいわかっているさ。でもそれは俺じゃなくて・・・・・・・彼女に言ってくれないかな?」
「彼女だと?」
「ほらあそこだよ。あの彼女だ」
「ん?あれは・・・・・」
ヘルメスが何かを隠していることに気づき。俺はそれについて問い詰めたが、ヘルメスは自分ではなく、今ここに集まっている者達の後ろの方へ、ヘルメスは指を指した
そこには青い髪をした女神と思われる女性が立っていた
見たことのない長髪を長い髪の女神。俺は見たことはないため、この女神が誰なのかは知らない
「え!?嘘!?そんな!?」
「神様?」
だがヘスティアは知っていた。彼女のことを。女神だからヘスティアも知っているようだ。だがそれとは別に親しみのある女神な口振りをしている
そんなヘスティアが知るその女神の名は
「アルテミス!!アルテミスじゃないか!?」
「アルテミス・・・・・聞いたことのない名前の女神だな。ヘルメス。お前の知り合いか?」
「まあね。でも俺よりヘスティアが一番知っているよ?」
アルテミスと言う女神らしい
ちなみに俺も聞いたことがない。だがヘスティアが一番に知る女神のようだ。だとするなら・・・・『処女神』に繋がる女神だと思った。そのアルテミスと言う女神を見つけたヘスティアは彼女の元へ走った
そしてそれに合わせてアルテミスもヘスティアの方へ走った
「アルテミス!!」
「見つけた・・・・・・・」
ヘスティアも喜んで駆けつけるも、アルテミスとやらも喜んでヘスティアの方へ走っていた。このままあの二人がお互い抱きつく瞬間を俺は見るのだと思った
のだが、彼女はヘスティアではなく
「ふえ?」
「「「「「「え?」」」」」」
俺を見ていた。アルテミスはヘスティアを素通りして、そのまま俺が今立っている台の上まで走って飛び乗った。素通りされたヘスティアは呆然し、ベル達もそれを見て呆然した
そしてヘスティアを素通りして、俺の所に走ってきた彼女は
「私の!!・・・・・・・オリオン!!!」
と言って、明らかに俺の名前ではない名前を叫んで、そして尚且つ『私の』だと、身に覚えのない言葉を言って、両腕を開いて俺に抱き付こうと飛んできた
ので、俺は
ヒョイ!!!と
「え?」
「・・・・・・・」
俺は横に避けた
「ぐはあ!?う、うわあああ!!!」
勘違いしていると思って、俺はアルテミスを避けた
そして彼女はこの台のステージの裏まで痩けて転がって行った。その光景にヘルメつがツッコミを入れてきた
「え?ええええええええ!?ちょ!?ジーク君!?なんで避けたの!?」
「いや、人違いだと思って避けた」
「いやいやいや!?明らかに君に向けて言っていたよアルテミスは!?」
「そうなのか?だとしても俺の名前で呼ばれなかった以上は受け止めるつもりはない」
「ジーク君って・・・・厳しいんだね?」
そんなことを言われても返答に仕方がなかった。見ず知らずの女性に抱きつかれる気は無い。ただでさえ俺の名前では無い名前を呼んで抱きついてくる失礼極まりない女神に、なんで俺がそんな気遣いをしなければいいかわからない
俺の名前では無いなら、人違いだと避けるのが当たり前だと、これが悪いことだと思ってはいない
「イタタタ。オリオン・・・・どうして避けるんだ?」
「誰だそれは?俺の名前はジークフリード。オリオンと言う名前ではない」
「いや・・・あなたはオリオン」
「・・・・・・・」
どうやらアルテミスと言う女神は俺の名前を否定して、なぜかオリオンと勝手に俺のことをそう連呼してくる。一体どういう意味で俺をそんな風に言うかは知らないが、とりあえず俺の話を聞かないようで話が進まないためこの女神に詳しいヘルメスとヘスティアに聞く
「ヘルメス。ヘスティア。このアルテミスと言う女神は一体どういう女神なんだ?」
「ああ。そうだね・・・・」
「アルテミスに関しては別の所で話そうか?」
とりあえずこんな大勢が見られるこの会場ではアルテミスと言う女神の説明もできないため、アイズとレフィーヤに別れを告げて、一旦祭りを抜けて別の場所に移ることになった
もちろん手に握っている矢を持って。ひとまず俺たちのホームへ移動する
「さっきは酷いぞオリオン。そこは私を抱きとめるべきであろう?」
「俺の名前で呼んでない以上は別人だと思って避けただけだ。お前はいつまで俺のことをオリオンと呼ぶ気だ?」
俺たちのホームに移動してもアルテミスは俺のことをさっきの出来事も含めてオリオンと呼んでくる。いい加減なぜ俺をオリオンと呼ぶか聞きたいが、まずはこのアルテミスがなんの女神か、ヘスティアとヘルメスから聞く
「それで・・・・こいつはどんな女神なんだ?」
「アルテミスは貞淑を司る純潔の女神だ」
「ヘスティアと同じ処女神の三柱の一人でもある女神なんだ」
「そうか、やはりヘスティアと同じ処女神だったか、でなければヘスティアと少し同じ神の力を感じるわけがないしな。まさかここに三大処女神の二人目に出会うとはな・・・」
「あのジークさん?その三大処女神ってなんですか?」
「ああ。これは天界用語だからお前たちが知らなくて当然だな。まあ俺もおふくろから聞いたんだが、天界で三人の処女神が居たらしい。それがヘスティアと今の目の前に居るアルテミスと、ある国で主神をしているアテナ。その三女神は天界では最も美しい女神ではあるが、貞潔を司り、純潔を尊ぶと言う、恋愛をしないこの女神三人を天界で神々がそう呼んでいたらしい。それがヘスティアたち三大処女神だ」
「はあ・・・・神様が天界では恋愛をしない処女神・・ですか・・・」
「ヘスティア様たちが?」
「そうか?」
「そんな風には見えませんけどね・・・・特にこの二人は・・・」
「ヘスティア様もそうですが・・・・・・なんかこのアルテミス様はいかにもジーク殿を気に入っているようにか見えませんよ?」
「ああ。それは俺も思う。ヘスティア?アルテミスはどういう人物だ?」
俺は三大処女神と言う言葉は母から教わってはいたが、実際どんな女神なのかはわからないため、直接親友であるヘスティアにアルテミスがどんな性格をした女神なのか聞いてみる
「アルテミスは言うなら・・・・・・不純異性交遊撲滅委員長だ。大の恋愛アンチだ」
「「「「恋愛アンチ?」」」」
「なるほど、恋愛をふしだらと思う。貞潔が厳しい女神か・・・」
「え!?ジークさんそれでわかるんですか!?」
「世の中居るぞ?そう言う恋愛そのものを破廉恥だと思って、そしてそれを不純だと否定する女がな。俺もそう言う男嫌いな奴と出会ったことがあるから、俺はアルテミスのような女がわかる」
アルテミスのような恋愛そのものを嫌う女を、俺は過去には出会っている経験をしているため、あまりにアルテミスのような女は珍しくないと思っていた
とは言っても、過去に出会っているその女は、実は単に結婚する予定の相手と急に破談になったことのショックが大きく、男そのものを嫌う性格になっただけの、ただの逆恨みした女だがな
とにかくこのアルテミスになぜあんな催しをヘルメスに頼み、なぜ俺に矢を抜かせたのかを聞く
「では聞こうアルテミス。なぜお前はヘルメスにあの催しを頼ませ。なぜ俺に槍を抜かせた?理由を聞かせろ」
「それは是非ともオリオンに・・・・依頼を頼みたい」
「依頼?・・・・俺にクエストを頼んで欲しいと言うことか?」
「そうだよジーク君。ここからは俺ヘルメスが説明しよう。実はつい二週間前にあるオラリオの外でモンスターが現れたんだ」
「オラリオの外に?」
「そうだよリリちゃん。アルテミス・ファミリアが発見したんだけど。これが厄介な相手でね。なかなか倒せないんだ。それでオラリオに助けを求めに来たってわけ?」
「だろうな。観光ツアーなんて金に困っているお前らヘルメス・ファミリアがそんなことをするわけないと思った」
「あはははは。やっぱりジーク君にはお見通しか・・・・」
「つまりアルテミス様が依頼するモンスター討伐のクエストをやって欲しいってことかい?ヘルメス?」
「その通りだヘスティア!是非ともジーク君やそのファミリアのみんなに頼みたいんだ!」
「俺にか・・・・・・・」
「私はずっと貴方を探していたんだ・・・・オリオン」
「まだその名で呼ぶかアルテミス?俺の名前はジーク・フリードだ。オリオンではない」
「いや・・・貴方はオリオン・・私の・・・・・・『希望』」
「俺が希望か・・・・・」
正直俺が希望など。物凄く似合わない
一体どういう意味でそんなことを言うのかは知らないが、なぜ俺を選び、俺にこの矢を抜けさせたのかをアルテミスに聞く
「なぜ俺にクエストを頼み。俺にこの槍・・・いや・・・なぜこの『矢』を俺に抜かせた?」
「っ!?ジーク君わかるの?」
「ああ。俺にはこれがただの武器ではないことも、これが槍ではないともわかる。これは槍ではなく矢だ。だがなぜ俺に?俺より強い奴は多くここに居るぞ?なぜわざわざ俺に抜かせた?」
「この矢を持つにふさわしいからだ。この矢を持つ資格は強さではなく、汚れを知らない純潔の魂を持つ者。だからオリオンが抜くことができた。本来ならこの矢はそうでしかない者でなければ持つことさえできない」
「俺が汚れを知らない純潔の魂を持っているか・・・・」
それは多分、俺に心が無いからだろう
純潔とは言っても、俺にだって恋愛はしているはず。一ヶ月前に俺はシルにしっかりと好きだと言われた。俺もそれを認め。俺はシルに初恋をしていると自覚している。純潔とは言い難いほどの汚れはあるはず。だがそれでも無いと言うならきっと。俺は彼女のことを初恋をしているのではなく、ただ大事だと思っているだけであって
恋をしているとか、愛しているとは微塵も思っていないのだろう
今でも愛や恋愛が全く理解できていない。一ヶ月前もただシルに好きだと言われて、返事もしないまま終わっている。今の俺はただシルに愛されているだけ、俺はシルを愛しているとは・・・・・思っていないのだろう
ただ大事。それだけでは・・・・・・恋愛にならないため
まだ純潔のまま心を無くしているのだと、今はっきりし理解した
「この矢に選ばれた・・・・・・か」
「その白き魂を携え、私と一緒に来てほしい・・・オリオン」
「もうその名前の意味を聞く気は無い・・・・・・だが・・・・・ヘスティア?断っていいな?このクエスト?」
「え?」
「え!?えええええええ!?ちょ!?ジーク君なんで!?僕の親友だよ!是非とも受けてくれよ!君がアルテミスの希望って言われたのはびっくりしたけど・・・・・どうして受けないんだい?」
「まだこいつとヘルメスが何か隠しているからだ」
「え?」
「っ!?」
「ジーク君・・・・・やはり君は鋭いね・・・」
どう考えても話が足りなかった
この矢を持てるのは純潔の魂を持つ者だけ。だからなんだと矢に選ばれた意味がまだ無い。そしてそのアルテミス・ファミリアが発見したと言うモンスターの詳細が無い。モンスターの詳細も無く受ける気は無いし。仲間の危機を晒す気は無い
だからまずこれを聞く
「聞こうアルテミス。そのモンスターを発見したお前の眷属はどうした?」
「っ!?そ、それは・・・・・・・」
「そうか。今すぐ喋れないと言うのと、ここに居ないと言うことはそのモンスターに殺され・・・全滅したか・・・」
「「「「!?」」」」
「本当かいヘルメス!?」
「ああ。ジーク君はやっぱり考えが鋭いね・・・・・そうだよヘスティア。残念ながらアルテミスの眷属は・・・・発見した後すぐに戦ったけど・・・・・全員モンスターにやられて殺されたんだ」
「そんな・・・・・」
「マジかよ・・・・・」
「一体どうして・・・」
「どんなモンスターに・・・」
「それで私だけはノコノコと一人生き延びたんだ。だからオリオン!貴方に私の眷属の仇を取って欲しい!!」
「それをなぜ俺に頼む?この矢を抜けたから純潔の魂を持つからとはあまりに無関係にも程があるぞ?」
「この矢は私の力が少し入った天界から召喚した武器だ。もうこれを使うしか勝機がなく、天界のルールを破ることになるが特例として用意したんだ。私の眷属は第一冒険者であるレベル5の眷属が居たんだが、それでも・・・・」
「な!?レベル5の冒険者が負けたって言うんですか!?」
「嘘!?」
「レベル5の冒険者がやられる!?」
「どれだけ強いモンスターなんですか!?」
「だからジーク君に頼みたいんだ。第一冒険者が多く居ても倒せないと判断し、天界も仕方なく神創武器を用意してくれた。その矢なら確実に倒せる。そしてジーク君に頼みたいのは君が一ヶ月前にオラリオを一度は救った英雄だからだ。第一冒険者では倒せなかったあの赤いベヒーモスをフレイヤ・ファミリアの眷属でも倒すことができなかったあのモンスターを君は一人で倒した。その見込みもあって頼みたいんだ」
「なるほど。意図はわかった。では最後に・・・・・・・そのモンスターとはなんだ?」
「そのモンスターは・・・・・名前は」
これが一番重要
なんのモンスターかだ
なんのモンスターかもわからずに挑むつもりはない。ダンジョンではないのだから一度は見ているなら是非ともそのモンスターを詳細を聞き、それに対策することを考えてから受けるつもりだった。情報は武器であり、詳細を聞かずに挑むつもりは無かった
そしてアルテミスが言う。そのモンスターと言うのは
「アンタレス」
「っ!」
アルテミスはハッキリと『アンタレス』と言った
アンタレス。まさか・・・・・・そんな馬鹿なと俺は一度アルテミスの言う言葉を疑った。あのアンタレスが『あの遺跡』から解き放たれたのではないのかと、俺はそのモンスターの詳細を知っていた
だから確かなのか、もう一度アルテミスに聞く
「アルテミス?本当にあのアンタレスか?」
「ああ・・・・オリオン?まさか知っているのか?」
「ああ。なんと言うことだ。あの『エルソスの遺跡』からアンタレス の封印が解けるとは、誰が解いたんだ」
「え?ジーク君?知っているのかい?アンタレスとエルソスの遺跡を?」
「ああ。アンタレスは二百年前、フレイが精霊の軍隊を引き連れて必死に封印した。サソリのモンスターだ」
「なに!?あのフレイが!?」
「あのフレイが封印したって本当か!?オリオン!?」
「ジーク君?君は知っているのかい?その・・アンタレスって言うモンスターを?」
「まあなヘスティア。俺も実際に見ているわけではない。だが・・・来いグリフォン!!」
「うわ!?なんだこのモンスターは!?」
「気にしないでアルテミス!ジーク君の精霊だから!」
俺はルーン文字を描いて、部屋の中心に投げ。グリフォンをこっちに召喚した。グリフォンは長年生きているためアンタレスを直接見ていると、証人を出した
『お呼びでしょうか主様?』
「グリフォン大変だ。ヘルメスとアルテミスから悪い知らせがあった。エルソスの遺跡で封印したアンタレスが復活した」
『な!?あのアンタレスがですか!?我々がフレイ様と共に二百年前に封印したあのサソリがですか!?』
「そのようだ。だろ?ヘルメス?」
「あ、ああ。グリフォン君は知っているのかい?」
『当たり前です!!あれは我々天空の精霊や森の精霊である我々がフレイ様と共にアンタレスを封印したんです!私が忘れるわけありません!私も現場で戦いましたので、あのモンスターが復活するなんて私とて信じたくないほどです!』
「そこまでなんだねグリフォン君。そんなに強いモンスターかい?」
『はいヘスティア様。主ほどの強者が多く居ないとダメな上級モンスターです。これは大事ですよ主』
「ああ。確かにこれはまずい事態だ」
そこから俺とグリフォンがアンタレスについてヘルメスやアルテミスにも説明をした
アンタレス
サイズはワイバーンから少し大きいサソリ。かつてその遺跡にてアンタレスと言うサソリのモンスターが暴れていた。奴の恐ろしさは子供を繁殖させて下界の生き物を襲う凶悪なモンスター。しかも自然を老化させて枯れさせると言う自然汚染の能力もある。奴の尾からは光線のような火炎を吹き出し。全てを焼き尽くす。鋭い硬い甲羅。簡単に砕けないとフレイが当時レーヴァテインでも斬るのが難しいと言っていた。勝利を約束された聖剣でも斬れない硬さ
五日経っても倒しきれないと判断したフレイは、精霊達と力を合わせてルーン魔術で封印した。多く精霊の犠牲もあったがなんとか封印してエルソスの遺跡の奥へと封印した
「と聞かされた。フレイにな?」
『フレイ様と共に私と同じ精霊であるヒッポグリフの軍勢を連れて挑みましたが、全然倒せずです。あっても半殺しくらいです。当時のフレイ様の眷属が居てもどうしようもできませんでした。ですから我らでフレイ様と共に魔術で封印をしました。それが・・・・・・まさか』
「どうやら封印が解けたようだな・・・」
『あの封印は永遠に掛けておきました。主。それが解けたと言うことは・・・』
「ああ。誰かが解いたんだろう。そこを知らずに無名の冒険者が弄ったか、それともその遺跡の内容を知っていながら何か自分の欲のためにイヴィルスが解いたかだな」
「そんな・・・・・まさかまたモリガンかい?」
「それはまだわからないヘスティア。だが・・・・・・なんにしてもアンタレスを殺さないと、下界の全ての自然が枯れる。奴なら下界全ての自然を枯れさせることだってできるはずだ。と言えば・・・・・・わかるな?お前ら?」
「はい!つまりは下界の危機!僕らで戦いましょう!」
「そういうこととなればリリ達の出番ですね!でも報酬はしっかり貰いますよ?」
「へ!英雄になったウチの団長が居るんだ!俺たちはどんなモンスターにも負けずに挑むぜ!」
「ええ!アンタレスを倒して!また下界を救いましょう!」
「というわけだ。俺たちヘスティア・ファミリアは俺も含め馬鹿な集まりだ。相手が強かろうと俺たちが弱者であろうと下界の危機であるなら戦場に向かうまでだ。ヘスティア。俺やベル達も含めアルテミスの依頼を受ける」
「ジーク君!ベル君達も!うん!アルテミスのためにもこの依頼引き受けよう!」
「ありがとう!ヘスティア!オリオン!その仲間達も!」
「これでアルテミスの依頼は引き受けは決定だな。ジーク君って仲間の心を動かすの上手いな・・・・」
アンタレスの強力な力が下界の危機そのもの、フレイの言う伝承とグリフォンのその昔に現場に居た証人の言葉を信じて、アンタレスがこの世に生きてはいけない邪獣として滅ぼさないわけにはいかないため、ベル達も無視はできないと依頼を引くけてくれた。
一度は世界の危機でもあったベヒーモスに立ち向かった。今更それと並ぶ脅威を一ヶ月後にまた来ても、目の前にしても、ベル達も経験上恐れはしなかった。むしろまた立ち向かい。それを倒そうと挑み続けるまで、俺が英雄になったのか。全くの恐れのない戦意を見せた
とにかくアルテミスの依頼は引き受けることは決定した。俺のことをオリオンと呼ぶのはもう気にしない、それでこれからのことを打ち合わせする
もちろん目的地の距離も考えて
「ヘルメス?アンタレスが復活したのはいつだ?」
「ちょうど二週間前かな・・・・・・今から出発していいだろうか?」
「その方がいいだろうな。でなければベヒーモスが子供を繁殖するように、アンタレスもそのようなことができるはず、そうだなグリフォン?」
『はい。アンタレスもベヒーモス同様に自分で子供を産めます。アンタレスの子供でも強いモンスターです。周囲の村をたった一日で壊滅したことも過去にありました。そしてアンタレス本来の能力である自然汚染も早くしないとかなり広がる恐れもあります。被害が拡大する前に今から行くべきです』
「というわけだ。今から出発しよう。アルテミスもそれで構わないな?」
「うん。すまないオリオン。こんな所まで配慮していただき感謝する。オリオンはてっきり厳しい男かと思ったが、心は優しいのだな?」
「俺はアンタレスは放っておけないだけだ。別にお前のためではない」
「私のためではない・・・・・なんか・・・悲しいな」
「よしジーク君たちが依頼を引き受けてくれることが決まりなら、俺から渡すこの装備を着てほしい!俺たちヘルメス・ファミリアで製作したレアメタルの装備だ!」
「これは・・・・」
ヘルメスがオラリオの外で戦うのであれば、この装備をした方がいいと渡された。アンタレスに対策か、もしくはダンジョンとは違う場所での戦闘になるのか、状況に合わせてヘルメスは武器ではなく、高級な装備をしてくれた
なぜか戦いに出ないヘスティアの分も含めて
触る限りはかなり丈夫にできた装備。上級装備であるのは間違いはない。せっかくタダで貰えるのであれば遠慮せずに俺達は装備する
重さもそこまで無い。身軽に動けそうな丈夫な装備だった。武器は流石に自分たちでいつもの専用武器を使用する。ヴェルフはこんな時のためにもクロッゾの魔剣二本を持っていく。こんな時のためにもヴェルフはまた製作しておいたらしい
武器も装備も持ち物も用意した。
残すは・・・・・・・・・エルソスの遺跡までどういう移動手段だ。
「ヘルメス。アルテミス。それで武器もそ装備も揃った。それでどうやってエルソスの遺跡まで行く気だ?ここからだいぶ遠いはずだぞ?」
『ここオラリオからエルソスの遺跡までとなると、歩きでは一ヶ月はかかりますよ?』
「それは心配ない。そこはヘルメスが・・・」
「ああ。今から外壁の上に移動してくれるかな?そこでガネーシャに前もって頼んでファミリアでテイムしている飛龍をそこで用意してもらっているから」
「なるほど、飛龍に乗って空を飛んで移動するならそこまでかからない。となるとどれくらいで着くと思うグリフォン?」
『おそらく・・・・十日って所ですかね。休憩も入れてですが・・・・それがエルソスに一番早く着くのが唯一の手段です』
「まあこればかりは仕方ないか、エルソスの遺跡はここから遠く離れた大陸の果て、大樹海の秘境にあると言われているからな、こればかりは仕方ない手段だな」
そうしてオラリオの外壁の上にガネーシャが全員分のテイムした飛龍をそこで用意していると言うことで、すぐにそっちの方へ移動する
で今更この依頼を断る気はないが、それでもまだ俺は不自然と言うか、納得できないことがあった。それはヘルメスではなくアルテミスだ
それは
彼女の体から明らかに『神の力』が薄すぎる
と言うかあれは本当にアルテミスか?体がやけに神威もそこまで感じない。むしろ・・・・・俺たちと同じ人間の体をしていると感じた。それと今俺の手に持っている矢と彼女の体に中にある力と繋がっているのを感知した。なぜ彼女はそのことを今でも喋らないのかが気になる。それとなぜこのアルテミスの力が入った矢でなければそのアンタレスを倒せないのか
まだ何か隠していると、俺はアルテミスを全然信用するどころか、疑う一方だった。単に俺は秘密にされるのが嫌いなだけなのかもしれないが、とにかく俺の近くになるべく置き。彼女が不審な行動を取らせないように監視する行動を俺は今後とるようにした
そして全員で外壁の上へと移動し、そこでガネーシャが飛龍三匹を待機させて待っていた
「来たか!俺がガネーシャだ!!」
「ああ。ガネーシャ。これがお前のテイムした飛龍か?」
「うむ!孵化した時からテイムを施しておいたから誰にでも言うことを聞くぞ?」
「お前もヘルメスからアルテミスの依頼の内容は知った上でこれを用意してくれているのか?」
「うむ!頼むぞ我らが英雄雷帝!女神アルテミスを助けるのだ!!」
「ああ。そのつもりだ。ヘルメス?このアルテミスの依頼の内容を知っているのはまだ他にも居るのか?」
「あとはウラノスくらいかな・・・・・他のファミリアにも知らせようと思ったけど。もしものためにここを防衛して貰いたいから君たちやガネーシャ以外は黙っているんだ」
「まあ、相手が強敵だと聞けば、あいつらも勝手に動くだろうな・・・・・それでお前の眷属であるアスフィ達はどうした?」
「もちろん遺跡近くにある村で防衛を頼んでいる状態だ。アンタレスが遺跡に出ないかを監視している状態だ。だからなるべく急いでくれるかな?早くしないとアスフィに怒られるから」
「それを早く言え。お前は本当にいつもそうだが、お前はいつも肝心なことを言わない。アスフィ達が待機し監視しているなら事態は酷くなっていると言うことだろう?急なら早めに言え」
「ごめんごめん、でもまだ猶予はあるんだよ?まだアンタレスも遺跡の中に居てまだ外には出ていないんだ。俺たちが遺跡に到着するまではまだアンタレスも動かないさ」
「だといいがな」
とりあえずガネーシャが用意してくれたテイムされている飛龍を俺たちに貸してくれた。ガネーシャもアルテミスの依頼内容を知っているようでわざわざ用意してくれたようだ
アスフィ達はもう現場に居るようで、もうアンタレスが遺跡の中から出てこないか警戒をしながら遺跡近くの村で臨時キャンプを開いて俺たちが来るのを待っているようだ
とにかく早くしないとアンタレスが被害を大きくしてしまう事態になったと言うことだ
準備も移動手段もできたため、それでは出発しようと思う
のだが
「ガネーシャ?飛龍は三匹しか居ないけど?人数分足りないんだけど?」
「うむ!ぶっちゃけ揃えられなかった!!」
「じゃあ二人乗りで行くしかないね?」
「ちょっと待ってください!それでも二人残ってしまいますよ!」
確かに飛龍は三匹。それでこっちはヘスティア・ファミリアは主神も含めて六人。それでアルテミスとヘルメス。二人乗りだったとしても六人しか乗れない。二人残ってしまうとリリルカが言い出す
だが
「問題ないぞリリルカ。俺は最初からグリフォンに頼むつもりだ。頼むグリフォン」
『お任せを!私はエルソスの遺跡に行ったことがあるため、今でもどこにあるかわかります。私が先導して道案内した方がいいですか?主?』
「そうだな、ヘルメス?空の旅はグリフォンに任せて構わないな?」
「それは良い!そこはグリフォン君に任せよう!実際に行ったことのある精霊に道案内してくれた方が安全だしね!」
「これは精霊なのか?この鳥見たいのが?」
「ああ。そうだ。天空の精霊グリフォンだ。グリフォン挨拶だ」
『純潔の女神アルテミス様。初めまして天空の精霊グリフォンでございます。お見知り置きを』
「あ、これはご丁寧にどうも・・・・」
「よし!全員飛龍に乗れ!出発するぞ!!アルテミス。俺の後ろに乗れ」
「あ、ああ・・・」
そうして俺とアルテミスはグリフォンに乗る。グリフォンは一度はあの遺跡で戦っている経験を持っているため、空の道案内はグリフォンに任せ先導をしてもらう。
そうしてベル達も飛龍に乗る。ベルとヘスティア。リリルカと命。ヴェルフとヘルメスで二人乗りして向かう。
「では頼むぞグリフォン!」
『はい!飛龍の皆さん!私に付いてきてくださいね!』
『『『ガア!』』』
『では・・・・・・ヘスティア・ファミリア!出発です!!!』
「いってらっしゃーい!!」
グリフォンが先導し、飛龍を導いてエルソスの遺跡まで案内する。ガネーシャが見届けて、オラリオの空を飛んだ。そしてひたすら東を目指して飛ぶ
二週間もこんなつまらない空を見ることになる。なるべく楽しい会話をして退屈を崩さないと、空の旅も綺麗な自然を見るだけが楽しみなものだからそれがつまらないものだと俺は経験上知っていた。地面は森と空しか無いのだからそればかりを見ても退屈になる。俺は絶対に一週間もこの景色を見るのは流石にベル達でもうんざりするだろうなと俺は思っていた
それだけ所詮空の旅も毎日するとつまらないものだ
「なあオリオン?」
「なんだ?」
「ヘルメスにも聞いて、前にオリオンの英雄譚を読んだのだが・・・・あのフレイの義弟にして・・・あのトールの息子と言うのは本当か?」
「ああ。これが証拠だ」
そして俺は首に掛けている。あの二人の神創武器『ミョルニル』と『レーヴァテイン』をアルテミスに見せる
「そ、それはあの二人の神器!?本当にオリオンはあのトールの息子で、フレイに義弟として育てられたのだな・・・・」
「まあな・・・・・もしかして天界に居た頃、母に何かされたか?」
「ああ・・・・・・・酒を無理矢理飲まされて、私を酔わせて裸にされてトールに無理矢理一緒に踊らされた・・・」
「そうか・・・・・なら息子として言わせてもらう。母が天界の時には迷惑をかけた。すまない・・・」
「い、いいのだ!むしろオリオンは謝る必要はないだろ?その時は君はまだ生まれてないのだから・・・家族とは言え・・・謝る必要は・・・」
「いや・・・・もう俺もこの歳になると、母のやらかした黒歴史に他の神々が迷惑をかけられたのだと思うと、人間として息子として申し訳なく思うんだ・・・」
「あはははは・・・・・・まあ私もトールのあの他の神々を巻き込むあの飲み会は二度としたくないと思った。私も酔っててあまりその時のことを覚えてないが・・・・・もうあまりトールと飲み会はしたくない・・・・」
「母が本当に申し訳ない・・・・」
おふくろ。お前はアルテミスにも酒を飲ませて迷惑をかけたか、あんたは天界の頃にどれだけ他の神々に迷惑をかけたんだ。母はどこに居ても神々を巻き込んで飲み会をしていたのではないかと、人間として息子としてゾッとする
「でも驚きだな・・・」
「何がだ?」
「あのトールの息子のことだからもっと天然な性格をしていると思ったのだが・・・・オリオンはなんか・・・無口な性格をしているのだな?」
「よく言われる。俺はおふくろ似ではなく、父親似と言われる」
でもははに似ている部分は確かにある。あの二年前の事件が起こる前は確かに母と同じ性格をしていた。こうなったのはカオス・ヘルツのせい。そのため父と同じ性格をしてしまった。とは言っても父と出会ったことはない。父親似だと言われるのは爺さん達故郷の者達だ。こんな無口そうな無愛想な性格は父親そのものだと。よく爺さんに言われていた
アルテミスにとっては・・・・不思議なこともこの下界にあるのだと、この下界に降りて学んだと思った
「トールとフレイは今でも元気か?」
「ん?ああ・・・・まあな」
「そうか・・・・・あのトールがヒューマンと結婚して、オリオンを産んだのか・・・神は子供を産めないと言うのに、全くもって有り得ないな」
「なんだ?純潔の女神であるお前としては母のしたことが気に食わないと言うのか?」
「いや・・・・幸せだったのであれば、私も純潔を司ってはいてもトール自身がオリオンの父とお互い幸せなのであれば私も文句は言わない。むしろそんなことを言ってトールの怒りを買いたくないからな。トールは天界最強の雷を持った女神だ。そんな女神に私は勝てんよ」
「まあそれもあるな。俺も息子として母のことを馬鹿にするのなら、俺もお前が女神だろうと雷を落としていた」
「ああ。君はトールの息子として当然だな。今のは確かに正しいから私が悪いな・・・」
「お前ヘスティアに恋愛アンチだと言うが、まさか他人の恋路まで邪魔をしているのか?もしそうしていると言うなら女性とは別に、どう考えても大きなお世話としか思えない」
「それは認める。下界に降りて私も眷属に『それは無いだろう』と私のやることに注意された。今私は純潔の女神を辞めたいとも思っているんだぞ?」
「なぜ?」
「実は・・・・・・・私も君の英雄譚を読んだのだが・・・・君の母であるトールが下界の生き物と結婚して子供を産むなんて信じられないと同時に・・・・・・羨ましいと私もトールのように恋をしたいなと最近思うようになったんだ・・・」
「俺の英雄譚を読んで、母のしたことに憧れて恋に興味を示したと言うのか?」
「うん・・・・・ダメだろうか?」
まさかあのアルテミスが恋に興味を抱くなど。ヘスティアが言っていたが、まさか俺の英雄譚を読んで。母がヒューマンと結婚して俺を産んだことについて興味をし出したのか、母がしたことにヒューマンと結婚したことを詳しく聞いてくる
そして純潔の女神を辞めて、自分も母のように、誰かに恋を自由にしたいと言い出したのだ
それについては間違いで、いけないことだろうかと、その母の恋の間に生まれた俺に聞いてくる
俺もシルに初恋をしている実感は無いがこれだけは言う
「別にいいんじゃないか。その代わり他人の恋に口出しせず否定しない事とその純潔をやめなくてはならないがな、名乗りも変えて。下界に住んでお前も変わったと言うことだろう。恋をするのは自由だ」
「そうか・・・・オリオンの口からそう言ってくれると安心する・・・」
「だが・・・・・憧れるのは別にいいが・・・・その恋する相手は見つかったのか?」
「っ!?ま、まあ・・・・・」
「そうか、なら本当に純潔の女神と言う名前を捨てないとならないな・・・・」
アルテミスは恥ずかしがっているが、どうやら相手はしっかり居るようで、恥ずかしがっているようで相手のことについては教えてくれなかった。別に教えなくても俺には関係のない話だから別に構わないが
「ジーク君?すっごくアルテミスと仲良く話すね?遠くから見て二人が物凄く楽しそうに話しているのが見えるんだけど・・・」
「そうか?」
「そうなのか?それは・・・・・・それで嬉しいな」
「?」
俺とアルテミスが話しているのを、端から見たヘスティアは仲良く話しているように見えたようだ。それを聞いたアルテミスが何か恥ずかしがっている。何か恥じらうようなことを言われたのか、何か小声になり聞こえなかった
『主!夜明けになります!』
「そう言えば・・・・寝ないで移動していたからな・・・」
『少し経ったら休憩しますか?』
「そうだな・・・・少ししたら朝飯にでもしようか・・・」
少しオラリオから離れたら、休憩と朝食の準備を予定を入れた。そもそも寝ないでオラリオを出る準備をしていたから、少しは休憩と食事と睡眠をしてからエルソスの遺跡に向かうようにした
これからアルテミスのクエストである。古代モンスターアンタレス討伐をするために、エルソスの遺跡へと向かう空の長い旅が今始まったのだった
ベヒーモスを倒して英雄となって一ヶ月後にまたも新たな戦いに挑まなければならないなど。やはり俺には戦いは付き物だなと、やはり俺の旅は戦いだらけだと
俺の人生はやはり災害ばかりだと思った
そしてこのお話が・・・・・・・・・・・とても悲劇の物語になるなど、アルテミスもヘスティア達も想像も付かないだろう