ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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月女神の望むもの

 

そして俺たちは滝の無い。森に囲まれた湖にて衣服や鎧を全部脱いで、体を洗おうとしていた。森はアンタレスの侵食により枯れているはづなのに、月光に当てれているのか、いつもの森よりも光に当てられて綺麗に見える。

 

月光に当てられて湖も輝くように見える。湖まではアンタレス の浸食はされてないようだ。自然に綺麗な透明度の高い水温をしていた

 

 

「ジーク・・・・・・明日にはあの塔の遺跡に入るんだよな?」

 

「ああ。実は俺の感知であの塔の中から無数のモンスターの気配をここからでも感じる」

 

「え!?て事は・・・・・中でもあのアンタレスの子供が?」

 

「ああ・・・・・・これは覚悟していた事だが、どうやら遺跡の中で繁殖をしているようだ。寄生と言うやつだ。モンスターでは壁や地面に寄生して卵を作ったりもする。明日は激戦すると覚悟しろ」

 

「は、はい!」

 

「俺も魔剣をフルで使わないとな、古代のモンスターか・・・・・ジークはそう言うのは倒した事はあるか?」

 

 

「ある・・・・・・一匹だけな。大苦戦をしたし。犠牲も出た。オラリオの外で倒したことがある」

 

 

「へえ・・・ジークは古代モンスターは経験済みか・・・・やっぱお前すげえな」

 

「どんなモンスターですか?」

 

 

「ドラゴンだ。それも厄介な相手でな。ファミリアを多くを使って挑んだが、ほとんどが敵うことなく最終的に俺一人で殺した」

 

 

「やっぱお前普通じゃないな。ファミリアを多く挑んで最終的にお前だけになって倒せたと言うと、お前第一級冒険者以上だぞ?」

 

「て事は・・・・・レアスキルで倒せたと言う事ですか?」

 

 

「そう言う事だ。でなければ当時レベル4で倒せるはずが無い。俺は異常すぎる事は自覚している」

 

 

「レアスキルか・・・・・羨ましいと思うけど・・・・どんなことをしてそれを会得したんだジーク?」

 

 

「それは聞かない方が良い。ヴェルフ」

 

 

「なんで?」

 

 

「普通のヒューマンなら精神が耐えるきれるはずのない絶望とも言える痛みを知ったからだ。それでも聞きたいか?現実に苦しむぞ?これから生きようとする精神も折れるような苦しみを味わうことになるぞ?言うなら・・・・・俺みたいに全部を失うぞ?」

 

 

「・・・・・・それを言われると、なんか俺にはよくわかるな。俺の魔剣関連で・・・」

 

「ジークさんはそれほど辛い想いをして強くなったと言うことですね」

 

 

「そう言うものだ。強くなると言うのは」

 

 

ベルもヴェルフも強くなるためにはただ戦えば良いと言うわけじゃない事は理解していた。だから今の話において聞く事なくても理解した。

 

ベルは小さい頃からモンスターが怖かったと言っていた。まだ俺がヘスティア・ファミリアに入るまではミノタウロスが怖かったらしく、俺が入るまでに一人で倒せるようには努力をしていたらしい。

 

ヴェルフはクロッゾの魔剣関係でエルフの暴言を受けたり、自分の血筋を否定している。そうして魔剣を打つのを躊躇っている。ヴェルフの魔剣はエルフの森を燃やしたことも、これは本人ではなくラキアがした事。なのにも関わらずいろんな者たち罵られた。結果的にヴェルフはそれに関しては慣れていると思うが、魔剣を打つことを躊躇っている。鍛治師として魔剣ではない武器を作るようにもなった。魔剣を簡単に折れる武器など。武器にあらずと、一族ではなく鍛治師としてのプライドを持って魔剣を打たなくなった。椿よりも良いものを作れると言うのに

 

 

誰にも辛い現実はある。それを乗り越えて人は強くなる。スキルを会得するには戦うとは別に。このような負を受け入れる事。それがスキルを会得する方法でもある

 

 

でも特に俺は異常なまでに現実を知り。レアスキルを会得するようになった。俺は痛み・悲しみ・後悔。など多くの絶望を経験した。そのおかげでここまで化け物になった。俺には傷跡が多くあったりする。だが今もその後悔はあっても受け入れ、前へ進んでいる

 

生きる目的など。あるにはあってもどうしたらいいか、わからないまま

 

現実は知ってもこれからどうしようと、俺には心が薄れてきているため自分の命はとうにどうでも良いと思っている。この戦いにおいても自分の犠牲を作ってまで勝利を作る。そんな偽りでしかないことをして何になると言うわけでも無いと言うのに。

 

俺は本当に目的のために何をどうしたらいいのか。実はわかっていない。

 

俺にでも理解できないものがある。現実を知っても全てを知るわけじゃない。知ったら俺はシルの気持ちに応えられると言うのに

 

 

やはり俺には女心はわかってない

 

と、考えていると

 

 

「っ!ベル。ヴェルフ。早めに済ませた方がいいぞ?」

 

「え?」

 

「なんでだよ?」

 

 

「今後ろに・・・・・・・・・・・アルテミスが居るからだ」

 

 

「「え!?」」

 

 

「な!?な!?な!?なぜここに!?!?」

 

 

今後ろにアルテミスが控えていた。なぜ彼女がアスフィたちと共に彼方の湖で水浴びをしないのかは知らないが、なぜかここにアルテミスはここに居たのだ。多分ヘルメスが覗きにくると思って別の湖にしたのだと想定する

 

でもあまりに状況が悪い。それは俺はともかく、ベルとヴェルフは

 

なぜなら裸だからだ

 

 

「「うわあああああああああ!!??」」

 

「きゃあああああああああああ!?」

 

 

「運が悪かったな。俺たちが水浴びをしているところに鉢合わせするとは・・・」

 

 

「な、ななななな!オリオン!!すまぬ!知らずにここまで来たことを!」

 

「そうだな。お前また勝手に行動しただろ?勝手なことはするなとあれほど言ったはずだぞ?」

 

「あ、ああああ!そうだな!でもオリオン!まずはその・・・・下を!」

 

「下?ああ。別に見なければいいだろう。もしくはさっさとお前が立ち去ればいい」

 

「そ、そうだな!すまなかった!それでは私はこれで!!!」

 

 

そうして彼女は恥ずかしそうにアルテミスは森の中へと逃げて行った。別に俺の裸を見られてもなんとも思わない。別に彼女の裸にも興味はない。そんなに俺の裸体に目を向けられないのなら立ち去ればいいのに、本当に女というのはよくわからない

 

 

「お前本当に恥じらいないな!」

 

「いくらジークさんは恥じらいが無いにしても。下くらいは隠してください!」

 

「そんなに恥ずかしいものか?」

 

 

「「女性に裸を見られて、恥ずかしくないわけないでしょう(だろ)!!!」」

 

「うむ・・・・別に男も女も。変わらないと思うがな・・・」

 

「頼むから全裸で外を歩くなよ?頼むぞ!」

 

「お願いですジークさん!お願いですから少しだけでいいですから!恥じらってください!」

 

 

「まあ・・・・流石に外で全裸になったりはしないが、まあお前たちの言葉をなるべく聞いておこう」

 

 

恥じらいが無いと言うのも、俺の欠点だと理解する。別に俺の裸を見られてもどうでもいい話なのだが、どうにも彼らにとっては俺の恥じらい差に抵抗があるようだ。生まれたての子供は必ず裸になって生まれてくると言うのに、それが少し成長する程度で何が変わるのだろうか。成長した裸に恥じらう部分を感じない

 

まったくそんな恥ずかしいものなのかと、下を隠しているベルとヴェルフに謎を感じていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてテントに戻ると。なぜかアルテミスが椅子に座って顔を恥ずかしそうに両手で顔を隠している。どうやら先ほどのことをまだ忘れられないようで、今だに顔が真っ赤でいた

 

そんなアルテミスをアスフィたちが疑問そうに彼女の周りを集まっていた

 

 

「どうかしたのかアスフィ?」

 

「あ、ジーク。アルテミスがなぜか顔を真っ赤にして顔から両手を離さないんです。具合が悪いのでしょうか?」

 

「ああ。それか。それはさっきあっちの湖で『俺の裸』を見たからだ」

 

 

「「「「「「え!?」」」」」

 

「「「「「「なに!?」」」」」

 

 

「おいジーク!?」

 

「なんでそんなことを言うんですか!?」

 

「いや、でも事実だろ」

 

 

「アルテミス様が・・・・・ジークさんの・・・・裸を・・・・見た・・・・しかも湖で・・・・・・それは・・・・・・覗きじゃないですか!!!」

 

「リ、リオン!?」

 

「どうしたリュー、なにを怒っている?」

 

 

アルテミスは今は具合が悪いではなく、恥ずかしがっているだけなのを教えたのだが、そしてその原因が先ほど俺たちが水浴びをしていた所を偶然鉢合わせしたと、真実を言った

 

別に俺にとっては恥ずかしいことでもないし、ありのまま起きた事なので、恥ずかしがることなく真実を言った。なぜかそれを言うのをベルとヴェルフは止めるが、真実なのだから偽りなく言った。別に事故なのだから仕方ないと話はすぐに終わるはずなのだが

 

なぜかリューが怒っている。しかも・・・・・今まで見たことがない怒りの顔で

 

 

「アルテミス様?」

 

「なんだ?・・・・・ひい!?」

 

「応えてくださいアルテミス様。本当ですか?本当ですか?本当にジークさんの裸を見たんですか?答えなさい」

 

「い、いやあ!確かに・・・見たのは・・・・・見たのだが・・・」

 

「そうですか・・・・・では・・・・・私はあなたを殺します」

 

「リ、リオン!?どうしたんですか!?」

 

「何を怒っているんですか!リュー様!?」

 

「神を殺してはいけません!?」

 

 

「離してください!!これは神でも許されないことです!!!私にでも・・・・・おほん!!ではなく!成人前の男性の裸を覗くとは、それが貞潔の女神のすることですか!?恋愛アンチなんて言われている方が!自分の裸を見られることを怒るあなたが!!よりにもよってジークさんの裸を見るなんて許しません!!断罪です!!神殺しです!!万死に値します!!!」

 

「ま、待ってくれリュー!私は不可抗力なんだ!!事故なんだ!」

 

 

「あいつは何を怒っているんだ?」

 

「「さ、さあ・・・」」

 

 

何を怒っているのか知らないが、アルテミスがしたことに対してすごくリューは怒っていた。別にたまたま事故で鉢合わせしただけだと言うのに、なぜそこまで彼女は俺の裸を他の女性に見られるのを怒るのか。彼女が怒る理由がわからない

 

裸を見られると言うのはロキの眷属にも見られているのだがな。特に前の18階層でアイズやリヴェリアにも見られている。今更な感じがしてきた

 

 

「ん?・・・・あれは・・・・」

 

 

そんな殺伐な光景よりも、森から出て滝にある湖に向かった寝たはずのヘスティアに反応して、俺は彼女が森に出ていく後ろ姿を見かけた。それも・・・・・テントに置いてきたはずの『矢』を持って彼女は滝へ向かう

 

もしかしてと思い。怒ったリューはアスフィたちに任せて俺はラフな格好でヘスティアを追った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘスティアが向かった先は滝のある湖。そこで矢を持っていくとなると、彼女が今何をしようとしているのか。それがわかっているから俺は彼女を追って止める

 

 

「ヘスティア。その矢を捨てるな」

 

「っ!?ジーク君・・・・」

 

「その矢はこれから必要だ。湖に捨てるな」

 

「ジーク君・・・これはね・・・その・・・」

 

 

「アルテミスを殺すための武器だろ。それくらい知っている」

 

 

「え!?君まさか・・・・・・わかっていたの!?」

 

「ああ。さっきのあの光の雨も。アルテミスの『アルカナムの矢』だろ。わかっていた。そして今あそこに居るアルテミスが『なんなのか』も、そして空にアルテミスのアルカナムである『月の矢』と言うのが展開しているのも、わかっていた」

 

 

もうあれだけのことがあっては理解できる。今何が起こっているのかも。そしてアルテミスが今どんなことになっていることも、これから彼女を殺さなければいけないことも。全ての真実を理解してしまったのだ。

 

それを隠そうとしている。アルテミスとヘルメスの誤魔化し方に察してどう言うことなのか。隠そうとしても理解できたのだ。そうでなければ矢の雨が空から降るなどありえない。彼女が居るのにそれを制御できないとなれば、考えることは一つだった

 

否定したいことかもしれないが、これが現実だと。受け入れるしかなかった

 

そして更にここに来た者に俺は問う

 

 

「そうだろヘルメス?これから俺たちのやることは?」

 

「うん。そうだよ。君は本当に理解が早くて・・・もう俺でも隠し切れないよ。まあ最後にはバレちゃうんだけどね」

 

「最初から真実を言えば俺がアルテミスを殺せず躊躇うと思ったか?俺とアルテミス二人で過ごす時間を作って仕向けてこの矢に力が入り、最後には彼女を殺すことができなくなると、今まで余計なことを言って誤魔化していたのも、全部理解したぞ」

 

「そうだよね・・・・・・でも君は本当にできるのかい?」

 

 

「ああ。俺にはアルテミスを想う気持ちはない。彼女を殺さなければ下界が死ぬ、これは仕方のない否定できない現実だ。彼女も覚悟しているのだろう?ならそうするべきだ。彼女の意志に従って撃つ。それだけだ」

 

 

「ジーク君!?それ本気なの!?いくら心が薄れているからってそんな・・・」

 

「では聞くヘスティア。君はアルテミスと下界どっちが大事だ?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

「俺は下界のヒューマンだ。下界を守るためなら天界に降りた女神を一人を犠牲にしてでも守る。でなければあの空に浮かぶ『月の矢』が放たれる。そうなったらこの世界はおしまいだ」

 

 

もう今の状況はわかる。あの空に浮かぶのはアルテミスの月の矢。アルカナムの魔法陣が展開している。向からしてオラリオの方へ向いている。ダンジョンに居るモンスターたちを下界に解き放とうとオラリオを吹き飛ばすつもりだろうが、神力からしてアルカナムとなると下界は絶対に吹き飛ぶに違いない。このままでは世界が終わる

 

それを阻止するには、この矢を持ってあの遺跡に侵入し。アルテミス『本体』を撃たなければ助からない。時間も少ない明日には多分放たれてしまう。悲しいことだが、これがいつかやってくる『辛い現実』。誰にも止めることのない運命だった

 

 

「親友を殺す俺を恨んでも構わん。俺には心が無いんだ。当然だろ。だからその矢は返してもらう」

 

「あ!」

 

「アルテミスの意志のため、俺は彼女を撃つ」

 

「ジーク君・・・・・僕は・・・・」

 

「すまない。英雄とは言うのは全部は救えないんだ。いつか犠牲を作ってでも守らなければならない厳しい戦いもある。すまないが・・・・今回君の指示は例え主神命令でも俺は受けない」

 

 

辛いかもしれない。親友を亡くすヘスティアの気持ちも理解できる。家族を失うのと変わらない絶望だ。それでも俺は犠牲を作ってまで勝利し、守ってきたんだと。

 

今回ばかりは彼女のお願いは一切聞けなかった。彼女だって困ることだ。この下界が消えるのは。だから俺が守るしかない。アルテミスを殺してでも・・・・

 

 

「でもジーク君。聞いてもいい?」

 

「なんだ?」

 

 

 

「本当にアルテミスのことを何も想ってない?」

 

「それは俺は聞きたいね。それはどうなんだいジーク君?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

ヘスティアだけでなく、ヘルメスにも問い掛けられた

 

アルテミスの事を本当に想っていないのか。

 

確かにこの旅は世界を救うためとは言え、彼女と過ごしたこの九日間はとても充実だったとは思う。特に彼女と仕方なく俺の言葉を聞いて共に狩りをする時は家族と思えるような感じはした。失礼ではあるが世間知らずなアルテミスを妹としていい時間を過ごせたと思う

 

そんな彼女を俺は本当に撃てるのかと聞かれる

 

 

それでも答えは一つだった

 

 

「それでも撃つ。彼女が望んだことでもあるんだ。その覚悟を俺が受け止めるのみだ。俺が彼女の希望なら・・・・・・・そうするべきだろう」

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

と、俺は現実を否定することなく受け入れるのみだった。何を犠牲にしてでも守るものは守る。俺に迷いなどはない。もう家族を犠牲にしてでも勝利を得た。今更また新しい犠牲を作ることになったとしても、俺の心は揺るがない

 

俺の成すべき事は成し遂げる。

 

それだけを言って俺はヘスティアから矢を取り返して滝のある湖を一人で抜けた。

 

 

ああ。俺にはアルテミスを想っていない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思っているはずなのに、なぜか彼女を明日殺さなければならないと思うと眠れない。なぜだとまたも俺は自分の心が理解できなくなっていた。頭で考える事と心で思うことは別。頭ではこの依頼を全うするとアルテミスを殺す考えをしているが。心ではなぜか微かに迷いがある

 

一人で先ほど水浴びをしていた湖で俺は矢を持って。空に浮かぶ二つの月を見ていた。皆が寝ていると言うのに、どうにも寝れない

 

そして俺はまだ考えている。俺が彼女の希望?俺がオリオンだと?

 

馬鹿げている。俺が希望なはずがない。俺は悲劇がお似合いな存在だ。今更人を想う気持ちなど党に消えたはず。なのに・・・・・

 

 

「俺が迷うとはな・・・・・」

 

「オリオン?大丈夫か?」

 

「アルテミスか?お前も眠れないのか?」

 

「ああ。明日で全て解決するとわかっていても不安もあるから・・・・・君に支えて貰おうと思ったのだが・・・・やはり邪魔だったかな?」

 

「いや・・・・俺も今だけはお前と居たい。俺の隣に座ってもらえるか?」

 

「あ、ああ!君が私を求めるななんて願っても居ないことだが、是非ともそうさせてくれ」

 

 

どうしてなんだろう。なぜ彼女が傍に来てくれるとなぜかこの迷いが吹き飛ぶような感じがする。俺は想っているのか。アルテミスのことを。わからない。シルをどう想うかもわからないほどに理解できない

 

でも・・・・今は彼女に触れたいと想う気持ちでいっぱいだ

 

 

「オリオン。その・・・・・さっきはすまなかった。あれは・・・」

 

「大丈夫だ、気にしていない。それに・・・・・・お前ならいいかなと思った」

 

「え!?本当か?」

 

「ああ。なんでだろうな・・・・・」

 

 

全然気にしてはいない。裸を見られることなどもう俺には恥じらいが無い以上。何も気にしていない。でも・・・・・なぜかアルテミスなら構わないと、彼女なら別にいつでも見せてやると言ってしまった

 

やはり今の俺の心に異常がある。彼女なら何をしてもいいと許してしまう

 

 

ああ・・・・俺は本当にどうしたのだろうかと。彼女のお願いを今ならなんでも聞けそうな感じになってしまう。一体どんな想いを彼女に抱いているのか、自分でも理解できない

 

 

「さっきヘスティアから聞いたのだが・・・・・真実を知ったんだな?」

 

「ああ。覚悟はできているぞ。お前に恨まれても構わない。それでも俺はお前を解放するためにお前を殺す」

 

「ああ。頼む。そうしてくれ・・・私はこの下界を守りたいんだ」

 

「アルテミス。だが聞かせてくれないか?明日は最後なんだ。一つだけ聞かせてくれ」

 

「なんだ?」

 

 

俺に真実を知ってその目的も果たすと。アルテミスを容赦なく殺すと宣言した。だから明日は彼女は消える。だから最後に遺言として聞きたかった。最後になるから聞きたい。

 

彼女を殺すから聞きたい

 

 

 

 

「お前は誰に恋をしていたんだ?」

 

「え!?それは!?・・・・」

 

「正直に言って欲しい。俺に聞かせてくれ」

 

 

彼女に聞きたい。どうしても。なぜそれを聞きたいのかわからない。でもどうしても聞きたかった。彼女は誰を想っているのか聞きたい。それを聞いてどうすると言うのだろうか。俺にはどうしても彼女の思いう相手を聞きたかった

 

 

そして彼女が開いら口から。想う相手を言った

 

 

 

 

「君だオリオン。いや・・・・ジークフリードに恋をしているんだ」

 

「・・・・・・・そうか。なんだか安心した感じはする」

 

「え?」

 

「ああ。そうなのか。聞けてよかった。でもなぜ俺を?」

 

「そうだな・・・・・確かに厳しい男だが、私のためになんでもしてくれた。君と狩りをしていると楽しいんだ。私の眷属よりも。君と過ごす方が楽しい。君は私のためにどんなことでもしてくれた。私は何も返しきれない上に世間知らずで、ダメな女神だ。でも・・・・・・それでも私は君に恋をしてしまったんだ」

 

「そうか・・・・・俺は成すべきことだと思っていたのだが、お前のためになっていたか。そんなつもりじゃないはずなのにな」

 

 

またも他の女にも恋を受けた。なぜだろうな。女はなぜ俺に恋をする。多かった。シルも、あいつも、モリガンも、アフロディーテも、そしてアルテミスも。

 

なんでいろんな奴に恋をされるのだろう。なんでそんなに愛をぶつけてくるのだろう。理解できない。そんなに俺は美しいか?そんなに俺が欲しいのか?理解できない。女なんて

 

 

でも

 

 

暖かいな。恋をされると言うのは。いつでも暖かい。嬉しいと言う気持ちでいっぱいだ。シルには申し訳ないな

 

 

「俺はお前に何かをしてあげられるかわからない。でも・・・・・・お前が望む通りのことだけはしてあげらるはず。恋人になるのは残念ながら愛や恋がわからないから諦めてくれ。でもそれ以外なら・・・・オリオンとして叶えよう。今お前が望むものはなんだ?恋を受けた俺は今はオリオンとして月女神のお前にお願いを聞こう。アルテミス。今お前は俺に頼むことはあるか?最後になるんだ聞かせてくれ?」

 

「じゃあ・・・・・・・踊ってくれるか?私と?今ここの湖の上で?」

 

「ああ。喜んでアルテミス」

 

 

今は彼女のオリオンとして、狩人として月女神のお願いを聞く。彼女だけの英雄にもなれたのかなと思う。なぜ俺は今彼女のために踊るのだろう

 

恋をされているから?愛されているから?愛しているから?

 

なんなのかはわからないが、でも今日で彼女と楽しく過ごせるのは今日で最後だ。最後くらい彼女と過ごす時間をこの時に費やした。もう彼女と狩りをもできない。これが最後なんだ。

 

だからお互いお辞儀をして。クルリクルリと彼女の手を引いて湖の上を踊る。彼女の暖かい手の温もりも。彼女の水色の髪も。感じることも見ることも明日で最後になると。寂しく思うし。悲しい気持ちもある

 

 

でも。俺はオリオン。彼女の最後も願いも俺が叶え。最後も彼女の望む通りに終わらせる

 

これが俺の全力を尽くした彼女にしてあげる事だった

 

 

 

 

 

だから

 

これでいいのかと余計迷うようになってしまった。

 

俺はやはり女に弱いのだろう。特に本当に俺のことを想う女には。女に甘いと言われても否定できない。俺は踊り終わった後。彼女の手を取って共にテントに戻って就寝する

 

そしてもう片方で矢を持っているが、その矢を持っていると腕が震える。体と心が明日アルテミスを殺すの躊躇っている

 

そして

 

 

「オリオン・・・・・・・君に会えてよかった」

 

「そうか・・・・・・俺もだ」

 

 

この言葉を聞いたことにより、俺はより・・・・・・・・

 

 

 

 

彼女を『助ける方法が俺にあると考えつき』救う道を選ぶか悩んでこの日を終えた

 

なぜそう思うのか、俺でもわからない。いつも頭で考えることしか意志として認識していた俺には、心から思うこの複雑な気持ちに理解できない。何が正しいのか、何がそうすべきなのか、何がこれが望むものなのか

 

俺には人間としての心がまったくわからない

 

 

シルがこの場に居てくれたら、こんな悩みを解決してくれるだろうと導いてくれるのではないのかと

 

 

 

今度ばかりは俺はアルテミスに何をしてあげればいいのか、ヒューマンでありながらわからなかった

 

 

 

 

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