ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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約束は叶い。月女神を救えた

役目を終えたオリオンは星と成る




オリオンの星空

 

 

エルソスの遺跡。下層

 

 

「ぬう・・・・は!?皆さん!空を見てください!」

 

「ん?・・・・空が!?」

 

「月の矢が・・・・・無くなっている!?」

 

 

光の爆破の衝撃が無くなると。空には月の矢は無い。本物の月しか夜空に浮いてはおらず。俺は正真正銘月の矢を破壊して世界をまた救ったのだ

 

これで依頼は達成した

 

 

「やった・・・やったのかな?」

 

「ジークさんがまた世界を救った?」

 

「すごい・・・まさかあれを壊すなんて・・・ジーク君は本当に凄すぎだ・・」

 

「これは・・・もはやまたも英雄譚になりますよ。この依頼は」

 

「流石は・・・・ジークさんです」

 

「ジークがまたやりやがった!」

 

 

ヘスティア・ファミリアはなんとか勝利し、アンタレスを倒し、アルテミスを救い。月の矢も完全に破壊した。世界は救われこの依頼は完全に完了したのだ

 

だが

 

犠牲も出した

 

 

「オリオン!ジーク!!」

 

 

『主!!!』

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「ジークさん!?」

 

「ジーク君!?」

 

 

 

 

「ぐは!!・・・ああ・・・・うう・・・ぐはあ!」

 

 

そうして俺は全てが解決したことを確認して、俺は後ろに倒れた。

 

俺のやるべきことは果たせたと、俺はルーンアーマメントを強制解除して普通の姿に戻り。左手に持っていた弓も矢に戻った。もう俺は限界だった。今度はもう本当に助からない。心臓は突かれた

 

もうその時点で俺は息を絶えようとしていた

 

 

「ジークさん!」

 

「ジーク様!ハイエリクサーを!」

 

 

「よせ・・・・もう・・無理だ・・・・心臓は・・・・奴に・・刺されて・・・もう無い・・・・ハイエリクサーでも・・・・治せない・・」

 

 

「おいふざけたことを言うなよ!」

 

「ジーク殿!喋っちゃダメです!」

 

「リオン!回復魔法を!」

 

「はい!ジークさん!お願いですからしっかり息をしてください!」

 

 

「やめろ・・・・もう無理だ・・・・俺のことは・・・・諦めろ・・・・」

 

 

リリルカが無理にでもハイエリクサーを掛ける、リューも回復魔法を掛けてくる、だが胸に空いた穴は塞がらず治らない。それはそうだ。蘇生魔法でなければ俺は助からない。

 

傷や状態不能を治すことしかできない薬と魔法ではどうにもできない

 

 

残念ではあるが、俺は救えない。犠牲は俺のみで・・・・この依頼は達成だ

 

 

「諦めろ・・・・もう俺は・・・・助からない・・・これで俺は終わりだ・・・・・俺と言う・・・オリオンは終わりだ」

 

 

「ジーク君なにを言っているんだ!君は・・・まだこれからなんだよ!君はまだ・・・・成人にもなってないんだよ!・・・ここで死んじゃあダメだよ!」

 

 

「ヘスティア・・・ダンジョンで・・・・・成人前の子供が・・・死ぬなど・・珍しくもない・・・・戦争なら・・・赤ん坊でも死ぬ・・・・・俺は・・ヒューマンだ・・・どうせいつかは・・・・死ぬ・・・・それが・・・遅いか・・・早いか・・・だけだ」

 

 

「でも!こんなの・・・こんなの!!」

 

『主!』

 

 

「グリフォン・・・・俺に仕えたことを・・・・感謝する」

 

 

『ぐ!!主の・・・・ために・・・・なれたなら!!後悔はありません!!』

 

 

「犠牲なくして・・・・勝利は得られない・・・・この犠牲が・・・・俺って・・・だけだ・・・・難しくない・・・・・これが当たり前なんだ・・・・」

 

「ジーク君・・・・そんな・・・そんな・・・」

 

「心残りは・・・・あるとしたら・・・あるが・・・・でも・・・アルテミスを救えた・・・・彼女の愛を・・・・貰っただけ・・・・・よしとするか」

 

「オリオン・・・・ダメだ・・・行くな・・・死んではダメだ・・・」

 

「俺はやるべき・・・ことはした・・・・俺オリオンは・・・・アルテミスを救うために・・・・アンタレスと・・・相打ちで・・死ぬ・・・・英雄らしい・・・・・終わり方だ」

 

「こんなの私は・・・・・私は!!」

 

 

犠牲を作ってでも救いたい命を守る。たとえ自分を犠牲にしてでも。仕方のない話だった。これを英雄譚にするなら

 

 

月女神のために馬鹿なことをした英雄と言うのなの狩人

 

 

オリオンの愛を知るための物語だと

 

 

これが正しいだろうな。オリオンなんて俺からすれば愚かしい生き物だ。月女神のために自身の命を捨て、全てを救おうなどと、偽りに過ぎない存在

 

それでも愛が知りたい。そうすれば普通の人間になって母みたいや父みたいに、神を憎むことなく、神と人間を愛し合うことができるのかもしれないと。試そうとしているのかもしれない。でもやっぱり俺には心が無い

 

今でもアルテミスのことを想っていない。もう死ぬ寸前だと言うのに、最後だと言うのに。楽しかった思い出が、アルテミスと過ごした思い出が簡単に思い出すことができるのに、それでも想わない

 

でも

 

 

助けることができる喜びは顔には出ないけど。かすかにあるんだ。

 

 

良かったと。彼女を救えて良かったと

 

 

今の俺と同じく倒れているアルテミスの眷属も浮かばれるだろうよ。彼女たちの願いも叶えた。後悔も無い。痛みも悲しみも作ってしまうが。俺はやるべきことはした

 

でも最後に聞きたい

 

 

「なあ?教えてくれアルテミス。お前は・・・・・・今俺をどう想っている?」

 

「私は・・・・・・・・・お前に・・・・恋をしていた!!」

 

 

「ああ・・・・・・そうか・・・・・俺は・・・まだお前は恋しているのか・・・・・俺は・・・こんな時でも・・・・お前のことを想っていない・・・・・・でも・・・・・お前を救えてよかったと・・・・・お前のために死んでよかった・・・・・」

 

 

月の光を照らされながら、俺は喜ぶ。顔にも出てない。嬉しい感情なんて無いはずなのに、アルテミスのことなんて何も想ってないくせに、俺は喜んだ

 

ああ・・・・・彼女だけの狩人になれたのはきっと。彼女が俺に恋をしてくれたおかげだからだ。所詮オリオンなど俺からすれば悲劇の英雄だ。そしてその通りに命を掛けて、彼女に守って終わっただけの彼女に愛されただけの存在だ。彼女を救って星となった伴侶

 

意味なんてないはず、余程ちっぽけな命のはず

 

 

なのに

 

 

彼女は泣いているのに、皆が泣いているのに、俺は死ぬと言うのに喜んだ。俺に恋をしてくれるのがこんなに嬉しいものなのかと、今まで理解できなかったからだ

 

後悔は無い。シルには申し訳ないが、これでいいんだと。命を張っただけのことはあるなと。俺に似合った最後だと。

 

 

俺は最後に空を見た。アルテミスの矢を壊した後に生まれた。

 

 

『オリオンの星』を最後に少し眺めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けることの無い・・・・・・・・・・眠りに至った

 

 

 

 

 

「オリオン?・・・・・・・」

 

「ジーク君・・・・」

 

「ジーク・・・さん・・・・」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

呼吸することなく眠っているところを彼女たちが俺の名を呼ぶ。だが返事をすることなく俺は何も答えない。俺は・・・・・・死んだのだ

 

月の乙女のために命を張って、死んだ狩人として、月を見上げて死んだ

 

 

のだと、アルテミスが理解すると

 

 

「いやだ・・・・・いやだ・・・・いやいやいや・・・オリオン・・・・ジーク・・・ジーク!!!いやだああああああああああああああああ!!!」

 

 

彼女は泣いた。俺を失うことに耐えきれず俺のことを今度はしっかりと俺の名前を呼んでくれた。今俺の名前を呼んでくれるなら最初からそう呼べと生きていたら文句があっただろう。でももう届かない。そんな言葉も出ないほど。もう意識は無い

 

何を言っても、もう死んでいるため。何も届かない。気持ちも。愛も。もう死んだ俺に何も・・・・届かない

 

 

「ああ!なんで!!私はいつも!・・・・・ジーク!!ジークウウウウウウウウウウ!!!」

 

「ジークさん!しっかりしてください!シルは!シルはどうするんですか!シルだけじゃなく・・・・私や・・・・アーニャだって・・・クロエだって・・・・・ルノアだって・・・・・・あああ・・・ああああああああああ!!」

 

「そ、そんな・・・・こんなの嘘だ・・・・ジークさんが死ぬなんて・・・・英雄になってまだ一ヶ月しか経ってないのに・・・・こんなの悲劇じゃないか・・・・もっと僕が頑張っていれば・・・・僕が頑張れば・・・・ジークさんが・・・・こんな・・・こんな・・・ああ・・・・うわあああああああああ!!」

 

「ベル君のせいじゃないよ!ジーク君は・・アルテミスのために頑張ったんだ・・・・みんなのせいじゃ・・・ベル君のせいじゃ・・・・・無いよ・・・・・うううう!うううううううう!!!」

 

「こんなのが英雄譚・・・・こんなのただの悲劇ですよ・・・こんなの・・・・・ただの犠牲ですよ!!」

 

「くそ!!なんでジークばかりがこんな酷い目に遭うんだよ!!あいつばかりがなんでこんなことになるんだよ!ふざけろよ!なんでこいつだけこんな最後なんだよ!!!」

 

「狩人として・・・やるべき事は確かにしています・・・・でも・・・・・こんなの狩人の最後でも・・冒険者の最後じゃあありません・・・・・こんなの・・・・誰も納得しませんよ!!!」

 

「ああ・・・・・・どうしてもあなたは・・・・そうやって他人のために自分の命を犠牲にするのですね・・・・本当に・・・・・勝手な人です!!」

 

「ああ・・・・・・君は本当に・・・・自分よりも他人の方が大事なんだね・・・今回で君がどういう人間かわかったよ。ありがとうジーク君。君はアルテミスだけの英雄だ」

 

『主様・・く・・・・・最後まで・・・・ご立派でした!!!』

 

 

そうして、ここに居る俺の友たちが泣いてくれた。だがその涙も浴びる事なく、その姿を見ることのできないまま俺は目を閉じて眠っている

 

もう俺はここで終わったんだ。俺の英雄譚はここで終わり。最後はアルテミスや下界のために自分の全てを葬った。心の無い哀れな英雄

 

それが俺の最後

 

 

もし、シルやアイズ達も聞いてくれたら泣いてくれるだろうか?などと、思う事もないまま、もう誰の意思にも声にも涙にも振り向くことの無いまま

 

 

 

 

 

俺は最後を遂げた。これが俺の『狩人として』の最後だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まったく。本当にアルテミスのために死んだわ。本当に姉さんとあの人の子ね』

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「誰だ!?」

 

「今の声は・・・」

 

「そんな・・・まさか・・・・・」

 

 

突然女の声がした。それも俺の体の中から聞こえる。聞いたことの無い声。知らない人物の声。だが彼女の声は知っている人物が三人に居る

 

それはヘスティアとヘルメスとアルテミス。神々にしかわからない声。この声は間違いなく俺の体から聞こえる

 

そして

 

ズズと

 

俺の穴の空いた胸から黒い影もしくは霊体になった黒いドレスを着た黒い髪の女が出てきた

 

 

『まさか本当にアルテミスのために命を張ったわ・・・・流石は姉さんの子ね。私も甘く見過ぎたわ・・・』

 

 

「まさか・・・・・・・・・『ヘル』!?」

 

 

 

 

「なぜ君が・・・ジークの体の中から!?」

 

「死の女神である君が・・・・どうして!?」

 

「うわあ!?ジークさんの体の中から女の人が!?」

 

「誰なんですか!?この人!?」

 

「なんか・・・・・女神ぽいけど・・・」

 

「姉さんの子って言っていますよ?トール様の妹ってことですか?ヘルメス様?」

 

 

「ああ。君たちは知らないよね、俺も彼女が下界に降りていたなんて知らなかったけど。彼女は『死の女神・ヘル』。トールとロキの妹。つまりロキの妹の三女なんだ」

 

「「「「神トールと神ロキの妹!?」」」」

 

 

『あら?久しぶりね。ヘスティア。ヘルメス。アルテミス。ヘスティアがジークの主神になるなんて驚いたわ。そうしてジークも・・・・・本当にアルテミスのために死んだわ。相変わらず優しいのね』

 

 

死の女神・ヘル

 

俺が亡霊女神と呼んでいる。俺の魂に憑依して潜む。母の妹で三女。ヘルはその母の三姉妹の一番下の妹。長女がトール・次女がロキ・そして三女がヘル。『アース姉妹』と言う天界でそう呼ばれた俺の憎むべき存在。大嫌いな女神にして、俺の家族であるロキと同じく最悪な家族

 

俺の魂に憑依されて体から出てこないため。俺には奴を魂から追い出す力も無く。無力のまま奴を魂の中に入れていたのだ

 

 

「どうして君が・・・・」

 

『そんなことより。ジークを生き返らせる事が先よ』

 

「え?生き返らせる!?そんなことができるんですか!?」

 

「ヘルならね・・・・でもそれじゃあアルカナムを使うことに・・・」

 

『私はもうジークに殺されて亡霊になったから。天界のルールなんて関係ないわよ』

 

「ジーク君に殺された!?」

 

『説明はジークに聞きなさい。とにかくジークを生き返らせないと・・・・・ふ!』

 

 

そうして俺の穴が空いた胸にヘルは手を当てて俺の体にヘルの神力が通る、彼女から手に流れる光が俺の体に流れると胸に空いた穴がどんどん塞がり。他の体に空いている傷や風穴も塞がっていく。体に流れている血もどんどん無くなる

 

ヘルが流される光が俺の体を元どおりに治していく

 

 

 

すると

 

 

「っ!・・・ぬう!これは・・・・・・まさか・・・・」

 

 

 

「ジーク!!」

 

『主!』

 

「生き返ったんですね!」

 

「ジーク君!」

 

「ジークさん!」

 

「ジーク様!」

 

「ジーク!」

 

「ジーク殿!」

 

「ジーク!」

 

「ジーク君!生き返ったのか・・・」

 

 

俺は元どおりに息をして、地面から起き上がる。そうしてどうなっているのか状況を見て確認する

 

 

「うう・・・アルテミス?・・・グリフォン?・・・リュー?・・・・ヘスティア?ベル?リリルカ?ヴェルフ?命?アスフィ?ヘルメス?・・・・なるほど・・・お前の仕業か、ヘル」

 

『本当にアルテミスのために死ぬなんて、お父さんそっくりね?』

 

「俺は成すべきことをしただけだ。お前が生き返らせるとはな・・・・このまま殺せば俺は冥界に行けたのに・・・お前の物になるんだぞ?良いのか?」

 

『それもいいけどね・・・・まだあなたの物語を見てみたいから生き返らせたのよ・・・これからが楽しそうだしね・・・』

 

「ふん、これが母の妹だから余計不服だ。だが・・・・・・今回は感謝する」

 

『私は美しい甥っ子のために当然のことをしただけよ。叔母である私はロキ姉さんよりもあなたのことを想っているのよ。あなたのためならなんだってしてあげるわ』

 

「そうか・・・・なら早く俺の魂から分離して冥界に帰るんだな」

 

『それは無理な話ね。こればかりは私の意思で自由にできることじゃないから・・・・・・とにかくまだ死んではダメよ。トール姉さんのために生きなさい』

 

 

そう言ってヘルは俺の胸へと吸い寄せられるかのように、俺の心の中へと戻っていく。今回は感謝はするが、本当に面倒な女だ。世界で一番憎い女神だ。ロキと同じように嫌いだ。

 

俺は奴を殺して奴の体を喰ったから、神殺しのレアスキル関係なく、奴の能力である蘇生と再生を体に得ることができる。だからあの一ヶ月前のベヒーモスの戦いも重症とも言える体が抉られていてもヘルの力を奪って再生していたのだと。俺は何度もヘルの力を使っていたのだ。

 

だから俺もアンタレスと同じ存在だ。神を殺した男だ。

 

 

でも今は。生き返ったことを幸いだと思うだろう。恨む気持ちもあるけど。あいつが生き返らせてくれたから俺は今ここに居て

 

アルテミスにまた会えたんだから

 

 

「ジーク!ジーク!」

 

 

「っ!おい・・・・・」

 

 

「良かった!本当に良かった!」

 

 

「ああ。悪かったなアルテミス・・・どうやら壮大に無茶をしたようだ・・・」

 

 

「当たり前です!あなたは本当に・・・・自分を大事にしてくださいジークさん!」

 

 

「悪かったリュー。だから泣くな。こうして帰ってきたんだ。そうだろう?お前たち」

 

 

「あなたは・・・・本当に無茶をする人です!生き返ったからいいものの!死んだら終わりなんですから!」

 

「まったく!テメエは無茶しすぎだぜ!」

 

「まったくです!あなたは少しは自分の命を守れる戦法を考えないんですか!」

 

「今のが仕方なくても!少しは自身を守れる戦いをしてください!」

 

「ジークさん・・・・僕たち心配したんですからね・・・・あなたは本当に危ないことをしすぎです」

 

 

「ああ・・・・言いたいことは山ほどあることくらいわかっている。そうだな・・・・無理だと思うが・・・・」

 

『主!・・うう!・・・よくお戻りに!』

 

 

「ああ。心配かけたなグリフォン」

 

 

「本当に・・・君は!・・・・でも良かった!」

 

「ジーク君、聞きたいことは山ほどあるけど・・・・もうヘスティアたちを悲しませない戦いをしたらどうだい?いつか・・・・恨まれるよ?」

 

 

「そうだな・・・・・お前までそんなことを言うとはなヘルメス・・・・・・まあ今後俺の課題として見直すとしよう。アルテミス。お前も言いたいことはあるか?」

 

 

「あるとも!君はなんでこんな無茶を!本当に君って奴は・・・・君と言う男は・・・・・・・本当に・・・・・よかった!」

 

 

 

「ふう・・・そうか・・・・・なら謝ろう。すまなかったな。俺のために泣いてもらってすまない・・・・・・そしてありがとう。本当に。俺は良い仲間に出会えて恵まれているな」

 

 

もうこれ以上を馬鹿なことをすると、恨まれるだけではすまないのではないかと、今後自身を犠牲する行為は極力避けるようにすると。気をつけるのだった

 

 

「シルにも・・・・・迷惑をかけてしまったな・・・・」

 

 

そうして、今遠くにいるはずのシルが。俺は一度死んで生き返ってを知って泣いているのがわかるのか、彼女が遠くでも俺の身がどうなっているのか彼女にはわかることが俺にはわかるため。帰ったら彼女にも謝ろうと予定に入れていた

 

 

 

これでアルテミスの依頼は達成した

 

 

アンタレスは倒し。月の矢も破壊し、目的の変更ではあるが奇跡なことにアルテミスを救えた。デカイ功績はできたとは思う。まあ報酬は残念ながらアルテミスから貰えないと思う、眷属も居ないから金なんて無いだろうとこの依頼はただ働きになってしまう。

 

報酬とするならアンタレスから世界救済とアルテミスを救出できたのみだろうと思っている

 

 

まあなんにしても解決はしたし。犠牲は結果的には居ないのだから。まあ一件落着として依頼達成だと帰ったらギルドに報告する

 

 

そしてその後全員一人残らず犠牲は確かに無いが、そうでもなく。この事件の発端で犠牲になったアルテミスの眷属全二十名をこの下層の地面に埋めてあげる。アンタレスが居なくなったため、ここエルソスの遺跡は彼女たちのお墓としてアルテミスが管理することになった。どうせこの遺跡に使い道が無いだろうとお墓にした方がいいと使い道を考えた結果である。もう封印場所では無くなったと言うことだ

 

そして俺たちはエルソスの遺跡の入り口まで出てこられた

 

そしてその外の風景が入った時と違っていた

 

 

「森が!」

 

「みんな・・・元に戻っています!」

 

 

「アンタレスを倒したからだな」

 

『はい。アンタレスが消えたことで自然のエネルギーを吸うことが無くなり。自然も自力で元に戻ったんです』

 

 

エルソスの遺跡周辺はアンタレスによって周囲全体枯れていたのだが、その元凶を倒したことで森の豊かさを取り戻し。緑のある美しい森へと戻っていた。枯れる事もなく、自然そのものに実っていた

 

 

「ふう・・・なんとか終わったな・・・・」

 

 

全ての元凶を落とした後の平和感は心が無くても楽になると感じる。汚いゴミを掃除して綺麗になった高揚感を感じた

 

すると、ヘルメスが

 

 

「ところでジーク君?本当にアルテミスの夫になるの?」

 

「は?」

 

 

「あ!僕もそれ聞きたかった!ジーク君!君はアルテミスの・ファミリアにコンバージョンするの?」

 

「なに?」

 

 

「だよな・・・・」

 

「あれだけ愛を叫んでいれば・・・・」

 

「仕方ないですね・・・」

 

「ジークさん・・・オラリオの英雄になりましたけど・・・こればかりは・・・・ですよね?」

 

「ん?」

 

 

『主?コンバージョンをするのですか?』

 

「なぜ?」

 

 

「オラリオの第一級冒険者が減りますね。それも英雄の・・・」

 

「ジークさん!あの・・・その・・・えっと・・・・やっぱりアルテミス様の所へ行くのですか?」

 

「・・・・・」

 

 

「ジーク。私の所へ来てくれないか?私は・・・・・お前を愛している。だから私の男として共に居てくれないだろうか?」

 

「ああ。そう言うことか・・」

 

 

ヘルメスに続いて、全員が俺がアルテミスの眷属にコンバージョンするのだと言っているが、どういうことなのか全然意味がわからないし、なぜそうなるのだと意図が分からないが、今アルテミスの言葉でわかった

 

つまり生涯アルテミスの夫として。眷属となり末永くアルテミスと夫婦になって欲しいとコンバージョンを求めているのだと理解した

 

確かに愛をあれだけ聞けば、全員そう思うかもしれないが。

 

 

俺の答えは一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理だ。断る」

 

 

 

「え?」

 

 

「「「「「「「「えええええええええええええええええ!?」」」」」」」」

 

 

『断るのですか?』

 

「実質無理だ。あとアルテミスを妻にするにも、女としては好きになれない」

 

 

と、思いきっり言ってやった。本当に実質無理なことな上に。俺個人としてはアルテミスを良き友人としては扱えるが、妻にするのはどうも無理がある。それはアルテミスに問題があるため俺は妻にするのはできない

 

そうしてアルテミスも含め、なぜ俺がアルテミス の告白を断るのか、しっかりと理由を聞いてくる

 

 

「ジ・・ジーク・・・・な・・・なぜだ!?」

 

「俺はヘスティアの眷属になってからまだ四ヶ月しか経っていない。コンバージョンは一年経たなければ無理だ」

 

 

「ああ、そうだね。それは確かに・・・」

 

「では!一年経ったら私の眷属になって・・・夫になってくれるか?」

 

 

「断る」

 

 

「なぜだ!?」

 

 

「お前のような世間知らずな女を妻になどできるか。周りを見ないで勝手に突っ走り、それだけでなく自分の恋は良くて相手の恋はダメな純潔な女神を矛盾ありすぎる。お前のような女としての振る舞いをしないで女神だからと相手や周りを見ないで迷惑をかける女など。俺は断る」

 

 

「あ、確かにアルテミスって周りを見ないね・・・・・あと狩猟の時も勝手に自分一人で突っ走る。あと世間知らずだね。あんまり人の話を聞かないし」

 

「ぐ!?」

 

「確かにアルテミスは自分が強いからって、周囲の人の気持ちも理解しないんだよな。確かに純潔の女神で自分は恋しているのに、その他はダメって・・・・言われてみれば不公平だし。僕が言うのもあれだけど確かに矛盾ばかりなことを言うよね・・・」

 

「ぐ!?」

 

「あ、確かに性格が何気にジークさんより厳しいって感じるな・・・僕」

 

「ぐ!?」

 

「まあ、周りを考えないのは事実ですね。ハッキリ言うなら・・・ポンコツです」

 

「ぐ!?」

 

「まあ。女神ではあるけど確かに・・・・・ちょっと妻にするのはジークが苦労するなと思うな。全然何も考えないで行動するし」

 

「ぐ!?」

 

「旅していてわかったんですが・・・・アルテミス様って・・・女神としては素晴らしいかもしれないですけど、女性としてはちょっと・・・・・性格と考えが酷いですかね・・・・」

 

「ぐうううう!?」

 

 

「お前自身どれだけ美しくても、中身は女としては不十分な女を妻にする気は無い。これでわかったか?こいつらがどれだけお前の性格の悪さを理解しているか?」

 

「うう・・・そんな・・・・・」

 

 

 

「ほお。よかった・・・・」

 

「リオン?」

 

『まあ・・・確かにアルテミス様が主の奥様になると・・・・主と我らの故郷が大騒ぎですからね』

 

 

俺はアルテミスと結婚する気は無かった

 

こんな女として不十分過ぎるにも不器用すぎる女を妻になんてしたら、苦労するのが目に見えている。女としては欠けていて、更に相手を恋愛にあれこれを言う変な性格をした女神は俺にとっては好きになるには無理がある女神だ

 

それに心が薄れている俺は、アルテミスのことを思ってないのは事実。好きになることは心からして何も想っていない以上は無理だった

 

だけど

 

 

「まあ・・・・これから・・」

 

「え?」

 

 

「これからお前が・・・良い女として変わったら・・・俺もお前のことを好きになれるかな・・・・多分だが、お前はこれから純潔の女神ではなく・・・狩猟の女神として生きていくんだ・・・そうして俺もお前のことを好きになれるかもしれない」

 

「ジーク・・・」

 

 

今はダメでもこれから変わっていけばいい。ここの遺跡を管理しながらまた新しい眷属を雇って。またファミリアをしてもっと女や恋を磨けばいい。まだお前は生きているんだと、死んでしまった眷属の分まで生きていろんなことを知ればいいと。

 

これからに期待すると。アルテミスに次の機会を与える。別に俺もこれからアルテミスが良く変わるなら・・・・俺も彼女のことを好きになれるかもしれない。彼女がこれから変われるような目標を作ってあげた

 

 

「ジーク!なら私はこれから女として磨くから!その時は覚悟するんだぞ!もっと美しくなって君を驚かせるんだからな!他の女にも向けられないほど良い女に!」

 

「ああ。期待して待っているさ。オラリオでな」

 

 

そうしてアルテミス はこれから近くの村でまたファミリアを始めて、その眷属たちや村の人に女としての磨きを教わり、俺を驚かせるほどの女神でなく女としての性能を見せてやると。俺に約束をかけた

 

いつか俺も女の愛をもっと理解できる男になろうと、これからのためにもっと学ぶようにする

 

彼女がより良い女になることを信じて

 

 

そして俺たちはエルソスの遺跡を出て、ヘルメス・ファミリアの臨時キャンプに戻り、被害と犠牲者を確認したが、被害は酷いが犠牲者はでなかったらしく。無事アルテミスの依頼を達成し完了した

 

そしてアルテミスの事情を話すも、残念ながら報酬は出せないと、みんな落胆した。事情を聞く限り金を要求しても仕方ない状況だったため誰も文句は言えなかった。事情の関係で下界の危機でもあったと言うのだから仕方ない、今回は下界を救ったことで報酬とし、お金はこれからアルテミスがファミリアを結成したときにそれで稼ぎが良かったら、今度オラリオに行って払うと、報酬はいつ来るかは分からない後払いとなった

 

 

戦いの後を終えた俺たちは傷を治して、飯を食べてからオラリオに帰るのだった。ヘスティア・ファミリアは途中アルテミスを近くの村に送ってから帰ると少し寄り道をする予定をこれから入れた

 

 

なんにしてもアルテミスは無事救出できた。下界は救われ。一件落着としてまたも平和をまた取り戻せたのだ。長い旅がまたも世界を救う戦いだったなど思いもよらなかったが

 

俺は少しだけ愛と言うものが理解できたと。この旅を俺はして良かったと思った。アルテミスの眷属も叶えた。もう十分だろう

 

 

そしてヘルメスがまたも今回の俺の活躍を英雄譚にしたいと言い出すが。でも流石にこれを英雄譚にするにしてはやめた方が良いと思っていた。なぜならこれは英雄が犠牲になったお話だからだ

 

 

 

 

 

タイトルなら『オライオンの悲劇』

 

 

 

とある月女神がモンスターに囚われていた。大事な仲間たちをも殺され。月女神はモンスターと言うサソリの体の中で泣いていた。そんな月女神を救おうと立ち上がった者がいた。

 

その名はオリオンと言う狩人だった

 

オリオンは月女神のために命を賭けて戦い。彼女を救出できた。だがサソリのモンスターアンタレスは最後の力を振り絞って彼女を狙ったが、彼女を守るために庇ってオリオンは背中を刺されて。相討ちに終わり

 

 

月女神を救って星となった。偽りの英雄

 

 

 

 

 

 

 

 

結局のところ、ヘルの助けが無かったら、俺も居ないし。アルテミスたちやベル達もこんなに大いに笑ってはいないはず、

 

今回の件でアルテミスもベル達もわかっただろう。仲間が戦死する体験を、犠牲は本当ならあったんだ。英雄など所詮誰かを救うための使い捨てでしかない

 

オリオンは本来ならもう死んだんだ。だから今生き返っている俺はジーク・フリードだ。オリオンはあの遺跡の下層で死んだのだ。だから英雄譚にしては悲劇でしかない

 

 

英雄オリオンはアルテミスのためにアンタレスと相討ちとなった悲劇の英雄だ

 

 

だからこの事はあの現場に居た者達の胸の中に閉まっておいてくれと、英雄譚にさせるわけにはいかなかった

 

 

 

これは泣いている女の子を救う話では無い。泣いている女の子のために自身を犠牲にして救った

 

英雄オリオンの切ない悲劇だ。

 

 

だから喜ばしい話ではなく。まったくもって馬鹿な話だった

 

 

 

 





アルテミスは悲しんだ。愛した伴侶が自分のために死んだ事に

でもまた会える事を信じて、彼は帰ってきてくれた。


オリオンではないが、彼であることは間違いない。だから今度次会う時には、女としての磨きをし、より美しくなるために月女神は愛しい人のために旅を続ける


これが英雄オリオンが残した。悲劇でもあって『奇跡の話』

















アルテミスは今後の話のために生存のままにします

その代わりギリシャ神話通り、オリオンが先に死にます。

言うならこれは英雄オリオンとアルテミスのお話です

次回まだ続きますが、お楽しみいただけたらと思えたら幸いです
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