翌日
昨日はエルソスの遺跡周辺で少し軽い宴をして就寝した。もうアンタレスは居ないから安心して森で過ごすことができた。そしてその翌日の朝にエルソスの遺跡から出発をした。アスフィ達も飛龍で移動していたようで、全員で隊列を組んでグリフォンを先頭にして飛んでいた
もちろん行く前にまたエルソスの遺跡の深層に行き。そこで埋めたアルテミスの眷属の墓にお参りしてから出発した。計二十名。アルテミスは未来永劫忘れることなく。その者達の分まで生きていく誓いを建てた
そして数時間後。お昼休憩を取って、芝生の多い丘の上でランチタイムをしていた
「うう!ジークの料理はやっぱり美味しい!分身の時は食べられなかったが・・・いざ口にするとはやはり美味いな!」
「だろアルテミス!ウチのファミリアの王子様は料理も天才なんだ!」
「おいヘスティア。いつから俺はファミリア内で王子様扱いになったんだ?まあ料理が美味いと言ってくれるのは幸いだが・・・その名前で呼ぶのはやめてくれ」
「ジーク殿の料理は確かに美味いです。うう・・・・自分ももっと上手くならねば・・」
「確かに女性の身としては妬けますね・・・男の方が料理が上手いとなると・・」
アルテミスは今度は本物の体であるため。俺の料理を口にし。大いに美味いと喜んでくれた。美味かったのは幸だ。今までは分身で食べられないと言っていたが。今度こそ生身の体で食事ができて幸せそうだ。
命とリリルカは女性の身でありながら男に料理で負けるなど。プライドとして悔しいと言っている。
俺は必要最低限できなければまずいと思って料理をしているのだが、確かに趣味でいろんな物を調理しているのは事実。女の身として嫉妬しているのは流石に仕方ないことだと。何か言っても恨まれることしか言われないだろうと何も言わないでおくことにした。
それよりもヘスティアがいつの間にか俺をファミリア内で王子扱いしていることに俺は驚いた。なんで俺が王子として扱われるのか意味がわからなかった
「片付けは僕たちでやっておきますね」
「ああ、頼む。ベル。リリルカ。命」
「ベル君達が羨ましいね。こんな美味いご馳走毎日ジーク君に作って貰えるんだから羨ましいよ」
「ロキ・ファミリア所属の時は面倒だったがな。ヘルメス」
片付けはベル達に頼んでおいて俺たちはゆっくりと食休みをしていた。俺の作った料理は好評だったらしく、アスフィ達ヘルメス・ファミリアの団員も食い過ぎたようで、全員すぐには出発できず、その場から動けなかった
ヘルメスが俺の料理は絶品で美味しいと毎日でも食いたいと言っているが、ロキの眷属の所属の時は面倒だったがな。俺の料理が絶品だからとアレを作れコレを作れなど。要望が多くて大変だった
料理の腕が上手すぎると言うのも、苦労がある。人によって面倒もあると言うことだ。
「ねえジーク君?今ここに俺たち神と君しか居ないから聞きたいことがあるんだけど?いいかな?」
と、突然ヘルメスからこの場にテーブルに囲んでいる座っている者だけしか今周囲に誰も居ない。今俺が座って囲んでいるテーブルと相席している者のみ。ベル達やアスフィ達や片付けや武器の手入れを少し遠くでしているため、今ここに座っている俺とヘスティアとアルテミスとヘルメスだけだった
ちょうどここに俺と神々しか居ない。その他は遠くに居る。だからこそ聞きたいのかもしれない。他に聞かれることなく。神々と俺だけで話したい内容を俺に聞いてくるとなれば考えることは一つだった
それは
「俺がヘルを殺したことについてか?」
「「っ!?」」
「あのヘルを殺したね・・・・やっぱりヘルの言うとおり。君が彼女を殺したのか・・・」
「あいつが表に出ては仕方ないだろうと。あいつが喋るだろうとはわかっていた。そうでなければなぜあいつが俺の体から出てきたのか。お前ら神からして気になって当然だろう?」
「まあね・・・・てことは話してくれるのかい?」
「ああなってはな」
「ジーク君・・・・本当にあのヘルを殺したの?」
「ああ。俺はもう・・・14の頃から神殺しの大罪は所持している」
聞かれる事となれば、ヘルを殺したことについてだと俺はわかっていた
でなければあの現場で霊体になったヘルが俺の体から出てくるのか、理解できないはず。神として気になって当然だ。今まで話せなかったが。俺はヘルを殺した事で神が恐れるスキルを所持している以上。神々が俺を恐れると思って黙っていた
とは言ってもあの神殺しレアスキルが発現したのはアポロンの疑いからではあるが。それから神を完全に敵と見なしている。全員では無いが割りかし神を憎んでいるのは間違いではなかった
「ジーク・・・・・なぜ君があのヘルを殺したんだ?普通は送還されるはずだろう?なぜ君の体から?」
「アルテミスもヘルのことは知っていると思うが。あの女は『死の女神』だ。だから自分の体と魂を分離させて、霊体になって俺に憑依したんだ。俺の体に憑依すれば送還なんてされないからな。その後奴の体は俺が全部食べた。骨も残さず・・・・憎くて俺は怒りのあまり奴の体を食べた。普通なら送還されるが、死んだ者の魂を操れるあの女の能力で俺は魂だけ憑依されたんだ。だからあいつは俺の体から出てくるんだ」
「確かにヘルは死の女神だから死んだ者の魂を操ることも生き返らせることもできるが、まさかあのヘルが自分の魂をジークの魂に憑依するなど・・・・信じられない」
「ジーク君がそのヘルの体を食べたと言うこともだよ・・・・あ!?てことはジーク君!あのベヒーモスが戦った後!重症の体でありながら普通に寝ていたけど・・・まさか!?」
「その通りだヘスティア・・・・俺もアンタレス同じようにこの身で神の体を喰った男だ。だからその女の能力である再生を俺はこの体が自然に治るようにもなっていたんだ。だから全然痛みは無いし。勝手に再生するからと平然と俺はその時歩いていた」
「なるほどね。じゃあアルテミスの矢を破壊できたのは、なぜだい?」
「神を憎んだことで神の力を無効できるレアスキルを持っているからだ。だから俺にアルカナムは効かない。詳細は言わないが俺はとにかくお前らを殺すことだできるレアスキルを所持しているってことだ」
とてつもない真実を知っただろう。ヘスティア達は
俺がもう小さい頃に神を殺していることに、ヘルメスでさえ驚いている。もっと恐ろしいのはそのヘルの体を俺は食べたと言うことだ。人間が神を食べる?そんな恐ろしいことをするなんて、俺がとてつもない男だと。ヘルメスでさえも恐ろしいと思っている
そんなことをするヒューマンが居るなど。この歴史史上初めてのことだ。
「じゃあ次に・・・・・なぜ君はそのヘルを殺したんだ?やけに憎んでいたけど・・・なにか彼女にされたのか?」
「ああ。あいつは・・・俺にとって許されないことをした」
そんな末恐ろしいことをなぜしたのか、ヘルメスが聞いてくる。
それは俺にとって許さないことだ。例え世界がそれを罪だとしても絶対に俺は許さない。あんなことが無ければ俺だって神を憎んだりはしない。それでもその神を憎んだ発端。そのヘルを殺した理由は
「あいつが・・・・・・おふくろを罠に掛けて天界に強制送還したからだ」
「な!?トールがヘルに強制送還された!?」
「あのトールが亡くなったって聞いたけど・・・・ヘルにやられたの!?」
「あのヘルが・・・・・姉と言うトールを送還させたとは!?」
「ああ・・・・・・」
憎かった。姉妹でもあった姉をあいつが送還させた
俺の母でもあるトールを。姉妹だと言うのに天界に強制送還した。それが許せなくて俺は殺した。俺だってその時から母が天界に送還されたらこの下界に帰ってこれないと。もう会えないとわかっているから、泣き叫んで殺した
母が死んだわけじゃないとは言え。母を亡くした悲しみは耐えきれなかった。神を憎まずにはいられなかった。あいつさえ居なければ。あいつさえおふくろに手を出さなければ俺はこんなに醜い姿になってないんだ
「ヘスティアにはまだその詳細は教えてないから。詳しく教える。あいつは俺の故郷の主神でもあった。そんなあいつが俺が欲しいからとまだ14歳の俺を息子にしようと近づいた。ところが姉であり俺の母でもあるトールが俺には近づかせないように邪魔をしていた。ところがそれが何度も続くわけもなく。ついにおふくろを罠に嵌めてヘルは強制送還させた」
「ジーク君を・・・・手に入れるのが目的で・・・・彼女をそんなことをしたのか!?」
「ああ。でもあいつの計画としては『母の代わりに私が面倒を見ると、母は用事で遠くへ行ってしまう、からと姉に頼まれた』と俺に嘘を付くつもりだったが、その時俺は現場で母が送還されるところを見てしまった。そしてヘルは見られたらしょうがないと俺を無理に説得して。俺を眷属しようとした。だが・・・・・・・・俺はそんな言葉も聞かずに許せず。その場に転がったミョルニルであの女の頭を叩き潰し。そして生のままあいつの体を俺は食べた。これがヘルを殺した真実だ」
「ヘルを・・・・食べるなんて・・・」
「まさかジークが生のまま・・・神の体をヒューマンが捕食するなど・・・」
「俺は怒っている間は自棄を起こす。それでよく殺した相手をやけ食いをするんだ。骨まで全部な。最も憎い者だけを必ず」
「ジーク君もアンタレスと同じ神を捕食しいるのか・・・にしてもあのヘルが君を手に入れようとして、邪魔である母のトールを強制送還させたなんて・・・」
「死んでないのはわかる。ただ母が天界に帰ったと。それでも・・・・・許せなかった。憎かった。母とはもう・・・・・会えないんだから・・・・」
「ジーク・・・・君は・・・そんなに辛い思いをしていたのか・・・・」
「確かにそれを聞けば・・・・・神が憎くなるよね。お母さんを他の神々に送還されたら・・・息子として怒って泣いて当然だよ・・・」
ヘスティアもアルテミスもその気持ちに同情をしてくれた
母に甘えているのかもしれない。いつかは大きくなったら離れる。これが子供の旅たちなのだから当然ではある。でも・・・・・それがそうではなく。他の神々による悪意で送還されるなど・・・・・・息子として耐えきれなかった
今でも心が無くても母が恋しいと言う気持ちは。子供としてはある。俺だって母に会いたいと言う気持ちはあるんだ。もう泣くことはできなくても、その時を思い出すことで、神が憎くなる。
今だって
「ああ・・・・・・憎い・・・憎い・・・・・憎い」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「「「っ!?」」」
俺はまたもあの光景を思い出し。体から雷と闇が放出し吹き荒れる。眼も『竜の眼』に変わる。その瞬間轟音として鳴りびく地割れが起こって地が崩壊しかける。そして空の天気が悪くなる。嵐でも起きそうな雷雲が空に集まる。さっきまで晴天だと言うのに。
俺がそれを起こしていた。右手を顔を抑えながら睨んだ顔で怒る。心が無くても憎しみはあったんだ
その光景をヘスティアたち神々が恐怖を覚えるかのように驚愕な顔をした。全身痺れが流れるように。威圧感と圧迫感を感じたのだ。俺がここまで危険な存在だと。ついに『神の天敵』が現れたと言うことだ
「ああ・・・憎い・・・・憎い・・・・あいつさえ居なければ・・・・神々なんて者さえ居なければ・・・・・こんな事にならなかったんだ・・・・・なにが神が刺激を求めるためにこの下界に降りてきただ・・・・・・お前らは俺たちに災害を持ち出しただけだろう・・・・・どうせこの下界だって遊び場だと思って軽い気持ちで・・・・俺たちを玩具としか思ってない癖に・・・・・・死ねばいいのに・・・絶滅すればいいのに・・・・・殺したい・・・抹殺したい・・・撲殺したい・・・・斬殺したい・・・・撃殺したい・・・・お前らなど・・・・滅んでしまえばいいのに・・・」
「ジ、ジーク!?」
「お、落ち着いて!?」
「ジーク君の気持ちわかるけど!?・・・・地面が!」
「っ!」
ヘスティアたちの言葉を聞いて。俺は怒りを抑えた。ここでヘスティアたちに八つ当たりしても意味はない。だから力を抑えて沈める。そうすると空に浮かんだ雷雲も消え。地割れもしなくなった。
このまま続けていたらこの丘の地面は崩壊していた。俺か放つ威圧だけで空や地面が崩れるなど。やはり神を恨む憎しみは確かに心にあったのだと理解する
それに罪の無いヘスティアたちに怒っても意味はない。今の行為はどう考えても俺が悪かった
「すまん・・・・怒り過ぎた」
「ああ。いいよ・・・」
「君はそうまでして俺たちが憎いんだね・・・・」
「ジーク・・・・すまない」
「謝らなくていいアルテミス。今のは俺が悪い。確かに母を殺したヘルが憎い。その後にアポロンやモリガンに酷い目にあった。神なんてロクでも無いと思っている。でも・・・・・全員ではない」
「「「っ!」」」
「全員ではない。神も人も同じだ。良き人間や悪き人間が居るように。神も同じで。善神も入れば邪神も居る。俺はその邪神に酷い目に遭わされて人生を狂わせた。それだけなんだ。全部は憎めない。それに全部を憎んでしまえば・・・・おふくろだって女神だ。おふくろのことだって恨む事になる。フレイだって・・・・・そんなことは・・・・俺の望むことではない」
「ジーク君・・・・・」
確かに俺の人生は神に狂わせたようなものだ。でも全部は否定してはならない。良くしてくれた神だっている。その者たちは本当に友人だと想ってくれた。そんな者たちまで憎んでは終わりだ。
憎いのは確かだが、全てを憎むのは間違いだ
「そうか・・・・・君の気持ちはわかったよ。まさかヘルがトールを送還させるなんて・・・・」
「やはりあの姉妹は仲が悪いな。ヘルメス」
「ああ。これを聞くといつまで経ってもね」
「ああ、知っている。トールとロキも喧嘩はしていたが。トールとヘルが一番仲が悪いことは母から出会う前に聞かされた」
「え!?知っていたの?」
「ああ。母の血統は俺も知り尽くしている。仲の悪さも含めてな・・・・おふくろに全部聞かされた」
仲が悪いのもしっかりとおふくろから聞いていた。だから俺もロキと母がどれだけで天界で喧嘩していたことも知っている。母は乱暴なところがあるからあんな悪戯するだけのロキとは性格が間反対だと。おふくろとロキの悪さを知っていた。
それと同時にヘルとも、アース姉妹は姉妹と言う割には仲が良いと言う者ではないようだ。どこかの兄妹もそうだが・・・・
「ジークさん!大丈夫ですか!?」
「なにやら地割れとか天気が一瞬悪くなったりしたんですが!?」
「気にするな。俺が食後の運動としてここで修行していただけだ。話はここまでだ。準備ができたら出発するぞ。アスフィにそう伝えろ」
先ほど俺が起こした威圧の被害を、いち早くベルとリリルカが駆けつけてきたが、俺が修行していたと嘘をつき。この話を無理やり終わらせた
そして
「ヘスティア。言っておくがあいつらにも言う気か?」
「いや・・・・流石に・・これは・・・」
「そうしてくれると助かる。あいつらには聞かない方がいい内容だ。聞けば軽蔑をするだろう・・・・今度こそな」
「ジーク君・・・・・」
ヘスティアでも恐ろしく思うはずだ
俺がどれだけこの下界に一番危険なのか、人間と言うのはエルフよりも獣人よりもドワーフよりもパルゥムよりも恐ろしいことを、決して神が恐れるようなことまで実行する。それが俺だ
人間と言うのは神よりも欲深い。そして憎しみも大きい。俺はその全ての存在だ。悪意を持つ者を誰がなんと言おうと滅す。心が無い者にしかできないこと
そんな化け物以上な存在が俺だ。得体の知れない怪物だ。この世に居ては危険な生き物だ
そんな存在だと。ベルたちに知られれば軽蔑するの確実だと。今度こそ俺を人間としては扱えないと。今度こそ否定が出ることを
俺は英雄では無いと・・・・・・混沌な生物だと。自分を蔑むのだった
そして夜を迎えた。
今は夕飯を済まして、俺は夜空を見上げる。
そして思う。まだ俺は本当に生きているのだと。完全に心臓は貫かれたはず。なのに呼吸もしっかりしている。ヘルの蘇生能力は本物だった。生き返った気分を味わえるとは思わなかったが気分が良いとは思ってはいなかった
ヘルに助けられると言うのがプライドとして気が引ける。母を送還させた憎き神だと言うのに、俺はその憎き神に助けられた。美しいからか?家族だからか?なんにしても俺にとっては奴は血の繋がった家族でも、家族として扱いたくはない
そんな家族に助けられるなんて最悪な気分だった。でもそれでまたシルに会えるのは事実。この複雑な気持ちを消そうと夜空を見て気を逸らそうとしていた
「ジーク・・・・」
「アルテミスか?・・・どうした?」
「いや・・・・側に居たくなったのだが・・・・ダメだろうか?」
「構わない。好きにしてくれてな・・・・・」
そこへアルテミスがやってきた。一人にしたくないからなのか、俺のことをもっと知りたいがために近づいていたかはわからないが、彼女は寝る前に俺の所へやってきた。
話し相手になってくれるなら幸いだと。どうにかしてでも気を散らそうと彼女をこの場へ居させる
「ヘルメスから聞いていると思うが・・・・明日には通り村がある。そこで・・・もう一度ファミリアを始めるんだな。お前のために死んだ眷族のためにもこれからもこの世界で生きろ」
「ああ。ランテ達のためにもな・・・・」
「長い道のりになるが・・・・なんとか頑張れ・・・」
「わかっている。救われた身として・・・・・私はこれからもここで生きていかねばな・・・・・でも純潔の女神ではなく。狩猟の女神として名乗らなければな・・・そうでなければ私は女として磨く理由が付けられなくなるからな」
「お前が俺に恋するとはな。俺のようなお前の敵でもある得体の知れない怪物を欲しがるなど。物好きな奴だ」
「私もヘルを殺して神殺しのスキルを持っていることには驚いたが。それでもジークに救われて君に恋に落ちただけの私はただの女だ。生まれ変わったらヒューマンになりたいとも思っている。そうすれば君に近づける」
「やめておけ。人間など愚かだ。俺もそれらしい愚かしき事をしている。弱い生き物でありながら生きていくために最善を尽くしている。そんなちっぽけな生き物だ」
「それは謙遜か?少なくとも私はジークのことをそう思ってはいない。私だけではない。ヘスティアやベル達も・・・・君のことは軽蔑してないと思うぞ?」
「だといいがな・・・・俺には・・・あまりに感じないものだ」
「それは心がレアスキルによって無いからか?」
「ん?ヘスティアから聞いたのか?」
「ああ。ヘスティアから聞いた。ランクアップする事に心が薄れるのであろう?」
「その通りだ。とは言っても全部ではない。負の感情のほとんどが消されている。怒り以外全て俺は感じなくなった。だからもう涙は流せない」
ヘスティアがどうやら勝手にまた俺のレアスキルであるカオス・ヘルツをアルテミスに喋ったようだ
頼むから人のステイタスの詳細を他に言うのはやめてもらいたいのだがな。それは完全なるルール違反だ。でも親友としてアルテミスに教えたかったのだろう。アルテミスが俺に恋をしているからと親友の恋を応援するためにだろうと喋ったのだと想像できた
「感情を失ってでも強くなりたいのか?」
「どうだろうな・・・・目的が今は無い。なんのために強くなるのか、冒険者になったのはおふくろやフレイに『立派な冒険者になれ』と。勧められたからであって、俺の意志でこんな事をしているわけじゃない。なぜあの二人がそんな事を俺にさせるのかは知らないが、冒険すれば俺に生きる意味も。何か学ぶことができるからと冒険させたかったのではないのかと。俺は推測している」
「あの二人の事だからそうと思うな。でもジークが冒険してくれたから私は君に会えた。いろんな出会いはあったんじゃないか?」
「そうだな・・・・・それを言われると。今日に至るまでいろんなことがあったなと苦労が絶え間ない程だ。でも・・・・多くは学べた。一度死んだとは言え。いろんな事を体験し。ここまで強くなれた感じはするな」
それはアルテミスの言う通りだった。
確かに心で感じなくてもいろんな事を見て体験し冒険した事で学べたことはある。その学んだことでそれを理解し強くなれたことはある。誰にも成長と言うのは必要だ。今ここに生きてきたことの全部がその積み重ねでここまで大きくなれたのも事実。
確かに今まで生きたことは無駄ではないと、俺もそう思う
「私は・・・君の心が薄れていても諦めないぞ?ひつこくてもな?」
「そうまでして俺が欲しいか・・・・そんなに俺は魅力的か?」
「まあ、見た目は確かにフレイ同様に美形だな。君に惚れる女は多いと私は思っている。でなきゃ君に恋していると言う女の子のプレゼントでもあるそのネックレスを、いつまでも首に掛けていることなんて無いだろうからな。どうしても負けてられないんだ」
「ああ、これか。そうだな・・・・プレゼントされたのは事実。この女神のシンボルが彫られたペンダントをいつまでも首に掛けている。プレゼントされたものを大事にするのは当然だろう?その者に俺は何も想うことはできなくても・・」
「そうだな。確かにそれは言う通りだ。でもその女性は大事なのだろう?」
「ああ。大事なのは事実だ。ここまで俺の中身をわかっていながらも俺に恋をするなど。俺でも彼女には敵わないからな」
「嫉妬するな私は。そこまで想っているとなると。私は妬ける」
「そんな事を俺に言われてもわからないんだ。お前や彼女のことも含めてどうしたらいいか。なんて答えていいかわからない。恋をされるのと言うのは嬉しいが、俺はお前や彼女にも友人としか想えなくて・・・・・どうしたらいいかわからない。恋をしてくれと言われても・・・・それが理解できてないからわからない」
「側にずっと居たいとは思わないのか?恋と言うのはそういうものだぞ?知ったばかりの私が言うのもなんだが・・・」
「側にずっと居たいか・・・・・・そういうことは一回も考えたことがないな。ずっと一緒に居られるはずの母が離れ離れになると。そんな事を叶わないじゃないのかと思ってしまうんだ」
「確かに・・・・そう言われると・・・・私たちも永遠な寿命でも・・・ここにずっと居られるとは限らないからな・・・」
「それに今回だって俺はお前のために死んだはずだった。それで心残りはあるけど、それでもお前のために死のうとしていたのは本当だ。そんないつ戦場で死ぬかわからないような男と恋するなど。一瞬の愛を手にするだけに過ぎないんじゃないのかと、俺は自分に恋するのは悲しみを生むだけにしかならないとやめたほうがいいと考えている」
「ジーク・・・・・」
俺の血が戦士としての誇りの血統があるのか。どうも俺の最後は戦場に行ってそのまま墓行きで、戦死を求めるような事をする。まるでそれしか望みが無いかのように。最後はそれがいいと決めている
戦士としての誇りか。それとも所詮人間など短い命だと遅いか早いかだけの概念を受け入れているだけなのか。あるいはそれが当たり前だと決めてつけているのか。どういう理由でそんな事をするのか。それが俺の定めだと受け入れているのか。自分のことなのにわからずに行動している
そんな自分を犠牲するだけの戦いなど。偽りであり、哀れにしか過ぎないほどだ。むしろそれしかできないのかも知れない。何かを得るには犠牲が必要だと。現実に抗う事なくその現実を知り受け入れているからだ
だが
「それでもベル達やヘスティアは俺を仲間と呼んで信じ、俺を守ってくれる」
「ああ。君にはあんな良い仲間が居る」
「あいつらには今回の件で更に俺に役立てようとしている。一人だけこのファミリアでレベル六となると。孤立は多くあるし。何より仲間意識ができなくなる。今回だって俺ばかり戦ってばかりで自分たちは何もできなかったと後悔な事をさっきベルが言っていた。それを言った同時にリリルカ達も顔が険しくなった」
「ジークがもう少しベル達に合わせて隣に歩けるようにさせてあげればいいのでは?一人で突っ走りすぎるんじゃないか?」
「ああ。今回のことで俺も認識した。せっかく得た仲間を頼らず。周りを見てないで一人で突っ走るのはお前ではなく俺だと今回で理解した。あいつらのことも考えなければな。団長として・・・」
「私もベル達は良い仲間だと思うぞ」
「ああ。俺には勿体ない仲間だ。大事しなくてはならないのは当然なんだ」
「君もこれから大変になるな」
「お互い様だな。これから苦労する身として」
「ああ。まったくだ」
俺とアルテミスはこれからのためにまた新しきことをせねばならんと。苦労の絶えない生活をすることになると。目標のために歩むのだった。
目標とは言っても俺は団長としてまだ学ぶところ配慮しなくてはならないことが多いと。まだ団長として不出来だと考えている。こういうところはフィンも苦労していたんじゃないのかと。偉くなる身も指示する身も大変だと。人の苦労を理解するのだった
「ジーク。私は絶対にお前を全力で取りに行くからな?心に無くても諦めないからな?」
「ああ。その時を待っている。どうか・・・俺の心が完全に無くなる前にな」
今アルテミス と最後に話ができて楽しかったと本当に思っている
彼女は何十年経っても俺を夫として婿にすると女らしさがあるのか諦めないようだ。今頃ランテとか言うアルテミスの眷属達も天で喜んでいるんじゃないだろうか。恋をした彼女が一歩成長したと。彼女とは思えない姿を見て泣いて喜んでいるのではないのかと。天に行った者達の顔を想像した
これが最後のアルテミスの会話だった。有意義のある時間を過ごせたと思う。最後にしては良い会話だった
そして明日。予定通り近くの村に着き。そこで正真正銘アルテミスとお別れになった。今度会った時はもっと女らしくなって俺を手に入れると宣言した。ヘスティアも親友と最後の別れをして抱き合う。最後と言ってもまた会えるのだから。今度はお互いの眷属と共に楽しい時間を過ごそうと約束する。村の者達は女神がそこに住んでくれると大騒ぎして歓迎してくれた。もう早速ファミリアに入団してくれる眷族も居るようで俺も安心した。村長もアルテミスがそこに所在してくれることに喜び。すぐにでも村の決定権をアルテミスに渡した
またいつの日になるかはわからないが、お互い眷属も揃えて、より強くなりより美しくなったらオラリオに行き。会いに行くと約束した
月女神の依頼一つで、ここまで大きく成長するとは俺も思っていなかったこと。初めは波乱な旅になるのかと思ったが
いろんな事を知れて楽しかったと。アルテミスに会えて良かったと俺は心から本当に思っていた