「アイズ・・・・」
「ジーク・・・やっぱり・・・ジーク!!」
「あ・・・」
彼女は俺と二年ぶりに会ったことを喜び。涙目で俺に抱きついてきた。俺は落ち着いて彼女を抱きとめた
「ジーク!会いたかった・・・」
「お前?まさか遠征帰りか?」
「うん、あれから二年経ってどうしてここに?」
「それは・・・」
「アイズ!」
「アイズ何処に居る・・・・・・・ジーク!?」
「ん!ティオナ。ティオネ。」
アイズを探しにきた。ロキ・ファミリアの幹部でもある。ティオナ・ヒュリテとティオネ・ヒュリテの双子の姉妹。妹のティオナは会う分にはいいが。姉のティオネに会うのは俺としては面倒なのだがな
「ジーク?ジークなの!?」
「ティオナか。見ないうちに大きくなったな?」
「わーい!ジークだ!ティオネ?ジークだよ!あれから二年経って帰ってきた!」
確かにあれから二年も経つとなると。流石に体型も変わってくるか、少し大人びた体をしている。二人は見た目からして少しは大人になったと思うな
「帰ったじゃないんだがな」
「それに・・・・・・なんか性格が変わった?」
「まあ色々とな」
「ジーク!あんたあんなことを仕出かしといて!よくも私たちに顔を見せたわね!」
「俺はお前らに顔を見せた覚えは無い。俺もダンジョン遠征攻略をしていた。それだけだ」
「遠征攻略!?どういうことよ!?」
「お前らを見て遠征をしていたのがよく分かる。外に出ていなかったから知らないかもしれないが、俺はヘスティア・ファミリアに入った。二つ名も貰っている。今は俺たちもここまで遠征だ」
「は!?あんたが別のファミリアに入った!?」
「しかもそれってアルゴノオト君の!」
「ベルのファミリアに・・・」
「あんた。私たちの所をやめて別のファミリアに行くなんて。本当に腑抜けな奴ね!」
「否定はしない。確かに一度はやめた。でもそれで別のファミリアに行くのは俺の自由だ。お前が俺のすることにとやかく言われる筋合いは無いと思うが。もう俺はお前らとは赤の他人だからな」
「な!?あんた性格は変わって言葉も余計悪くなって!相変わらず感じが悪いわね!」
「お前ほどじゃない。すぐ都合が悪くなると怒る癖。その様子だとお前は何も変わってなさそうだな」
「なんだと!!!」
「そういう所だぞ」
「ジークウウウウ!!!」
ティオネとは昔から仲が悪かったわけじゃない。あの事件の時にフィンに嘘をついたことが余程許せないのか俺のことを毛嫌いする。まあその理由はそれだけじゃないのだが。昔ティオネがフィンに勝負を挑んで負けたことで惚れてフィンの女になりたいと忠実にフィンに仇なす奴を徹底的に倒してきたアマゾネス。アマゾネスの性だから仕方ないのだが
ここでこいつと争うのが面倒なのだがな。今も殴りかかろうとしていた
「ダメ!」
「な!?アイズ!?」
「ダメ!ジークに乱暴をしないで!」
「ティオネ!ダメだよ!」
「ティオナ!?あんたまで!?」
「・・・・・・・」
アイズが俺の前に立って盾になった。ティオナもティオネを無理矢理止めて押さえ付けた。この二人は唯一俺を信じてくれた人の内の二人。まだ俺が嘘をついてないと信じているのか。それともロキ・ファミリアとして他のファミリアに暴力行為をさせたくないのか。止めてくれるのは嬉しいが。これでは収拾がつかない
「ん!この魔力は・・・・・・ティオネ?そこまでにしたらどうだ。でないとお前が困ることになるぞ」
「は!?何がよ!」
「もう少しでフィンが来るぞ。お前の後ろからな」
「今度は私に嘘を付くき!?」
「そんなつもりはない」
「あ。フィン」
「アイズまで!?アイズ!あんたまでそんなことを言う気!」
「あ、フィン」
「ティオナまで!?私を騙そうとしても・・・」
「何をしているんだい?ティオネ?」
「え!?団長!?」
「ここで何をしているかは知らないけど・・・・・・・ジーク」
「ジーク・・・・なのか?」
「お前さん!?なぜここに!?」
「フィン。リヴェリア。ガレスか?」
「何の騒ぎ・・・・・・ってアイズさん!?」
「剣姫!?」
「ロキ・ファミリアです!?」
『む!?ロキ・ファミリアだと!?』
「ベル?」
「な!?モンスターだと!?」
流石の騒ぎの大きさにベル達もフィン達も俺たちの方にやってきた。まああれだけ騒いでいれば当然だがな
『お下がりください主様!おのれロキ・ファミリアめ!!主様に暴行を加えるとはどう言う了見だ!』
「なんだこれは・・・」
「モンスターが喋っている!?」
「これは・・・・・まさか天空の精霊グリフォン!?」
『ん!?貴様・・・・リヴェリア・リヨス・アールヴか!?』
「なぜここに!?」
『貴様ロキ・ファミリアだったのか!!フレイ様の幼馴染でもあった主様をよくも信じなかったな!!』
「主!?フレイ様の幼馴染!?ジークが!?」
「グリフォン。喋りすぎだ」
「おいおいなんでここにロキ・ファミリアが?」
「遠征帰りだそうだ。リヴェリア。ティオネを連れて自分たちのアジトに帰ってくれ」
「待ってくれジーク!?フレイ様の幼馴染と言うのはどう言うことだ!?」
「お前に話すことは無い。さっさとティオネを連れて帰れ」
「待ってくれ!話を聞いてくれ!」
「はあ・・・・・グリフォン命令だ。こいつらを追い払え」
『は!帰れロキ・ファミリア!主を侮辱し。信頼しなかった生き物め!去れ!!さもなくば私が竜巻で追い払うぞ!去れ!!』
「く!ティオナ!ティオネ!テントに戻るぞ!」
「な!?フィン!」
「今の彼は僕らの話を聞いてくれそうに無い!行こう!」
「フィンの言う通りじゃ!相手が精霊ならマズイ!行くぞリヴェリア!」
「おいガレス!」
「アイズ。お前も行け」
「でも・・・・」
「話ならまた後でしてやる。今は帰れ。夕飯お支度ができない」
「・・・・・わかった」
そうしてフィン達はグリフォンの脅しにテントへと帰って行った。アイズもとりあえずテントに帰らせた。あのままじゃあ絶対に喧嘩など口喧嘩になっていた
だから一旦帰らせて。俺がオラリオに帰ってきたことだけを知らせておいて落ち着いて話をする状況を作る
「いいんですか?」
「ああ、あのままだと口喧嘩になっていた。落ち着きが必要だ」
『主様?ロキ・ファミリアが居るのでしたら私はこのままここに居てもいいですか?』
「構わんがあまり警戒したり敵として認識するなよ。あいつらは敵じゃない」
「あの様子。あのアマゾネスのティオネ様でしたけ?かなり仲が悪いように見えます」
「ああ。少し揉め事してな?ヴェルフ?しっかり休めたか?」
「ああ」
「すまないが、今の内に研いでくれないか?これで?」
「お!砥石!」
「全員分頼みたい。構わないか?」
「おう!任せておけ!」
「アイズさんとは本当に仲がいいんですね?でもよかったんですか?」
「今は夕飯の支度が先だ。いつでも話すことができる時間より。時間のかかる夕飯が先だ」
ベル達は俺とあいつらの小競り合いを起こすことを恐れたのか。それとも心配したのか。フィン達との接触を恐れた。リヴェリアにはひつこくフレイのことについて聞きたがっているから、後で相当の質問攻め受けることになるだろう
リヴェリアはハイエルフだから。エルフの主神でもあったフレイが気になって当然。行方不明だったあいつが、今まで俺の幼馴染だったなんてあいつが知るわけがないからな。それも今まで俺の故郷に居た事など知らないからな
あいつらとの会話をするのは厄介だ。人にあまり素姓などを話しくないと言うのに。
とにかくそんないつでもできる話など後にして、夕食の支度をする
グリフォンは俺を疑ったフィン達を酷く憎んでいる。憎むことは自由にして構わないが、敵として認識されるのは困るのだがな
本気で俺はあいつらに恨みは一切無い。それを晴らしてもなんの意味も無いことも、全部わかっているからこそ。俺は何もしない
信じてくれないのは、俺に見込みが無いか、アポロン達の言うことを信じたか、それだけのこと。今になって晴らしても意味はない
ただティオネの相手は御免蒙る。ベートも同じだが。にしてもベートの魔力が感じられない。何か急ぎで地上に居るのだろうか。何にしても俺はあいつに会うのも避けたいと思う
何を言うも揉め事にしかならないからだ
そうして辺りはもう暗く。ランプを付けないとならないほどの夜を迎えていた。外でシートを引いて、夕飯にありつける。
今夜のメニューは
鍋には『ビーフシチュー』
パンにソーセージを挟んで『ホットドック』
飲み物はリンゴを潰して『りんごジュース』
今夜はこのメニューで夕飯を過ごす。作ったのはいいが。ヴェルフとリリルカに合えばいいのだが。特にホットドックと言う食べ物。ケチャップはともかく辛子をかけてしまった。辛いと言わないといいのだが、心配だった
「今日も美味しそう!」
「ベル!お前ジークにいつもこんな美味そうなもんをご馳走してもらっているのか!?」
「そうだよ!ジークさん料理が得意なんだよ?」
「美味しそうです!でもこのパンに挟んでいるのは?」
「ん?ソーセージを知らないのか?簡単に言うなら肉みたいなものだ。なんでもいいからそのホットドッグを食べてくれないか?」
「ホットドッグ?このパンのことか?」
「ああ、その黄色いタレみたいなのがあるだろ?」
「ありますね」
「それは辛子と言って辛いんだ。つい掛けてしまったが、そこまで強くない辛子だから大丈夫だと思うが、それだけは心配なんだ」
「なるほど・・・・・」
「食べてみよう!」
「はいです!」
「「「あーん!!んん・・・・・」」」
「どうだ?」
「いや!うまいですよこれ!」
「確かにな!なんかバランスが良いと言うか!」
「確かに少しピリと辛い感じはしますけど、これがなんとも良い味を調節してくれると言うか。これが無いとなんかただ甘いだけのパンがして良い味では無いです!」
「とにかく合ってよかった。じゃあ食べてくれ。あとはシチューと果汁ジュースみたいなものだ」
「はい!じゃあ一緒に!」
「「いただきます!!」」
「・・・いただきます」
よかった。つい辛子を入れてしまったから辛いのが合わないと思った。三人はそこまで辛子が苦手では無いようだ。とにかく合ってよかった
「おいすげえ美味えじゃねえか!」
「本当です!シチューにしては赤いようですけど。すっごく濃くて美味しいです!」
「果汁ジュースって言っていましたけど。リンゴなんですね?」
「ああ。さっきこの階層で取ってきた」
「え!?ダンジョンで果物が実っているんですか!?」
「極稀にな。ダンジョンに生えている木全てとは限らないが。いくつか果物の木がいくつか生えることがある。その木から実る果物は一回取ればもう実らなくなる。生体は謎だが、なかなかに見つけることができないほど。運のある奴のみだけが見つけることができる」
「ダンジョンで実る果物か・・・・」
「いつか僕も見つけたいな」
「でも・・・・・リリたちが知っている果物ですよね?」
「そうだな。見たことの無い果物は俺の知る限りは無いな。あってもリンゴとバナナくらいだな」
『主様?お食事の途中で申し訳ありませんがよろしいですか?』
「どうした?不味かったか?」
『いいえ。料理は今日も最高です。そうではなく・・・・あちらを』
「ん!あれは・・・」
「あれは・・・・剣姫とアマゾン!?」
グリフォンは後ろにある森の木に隠れるアイズとティオナの視線に気づいていたのか。俺に知らせてきた。まだ食事中だから話は後にして貰いたいと思ったのだが・・・・
なにやらよだれの様なものを垂らしている
まさか・・・・・
「ジーク様?もしかしなくても?」
「腹が減っているのか?そんなはずはないだろう。あいつらだって自分の・・・」
俺が喋っている途中でクウウウウウウウと言う音が遠くの方から聞こえた。その音は・・・明らかにアイズとティオネが隠れている方から聞こえた
「なあ?今の俺らじゃなくてあの二人じゃねえのか?」
「ジークさん?料理を少し分けても・・・」
「そうだな。あのまま見られても気まずくて食事に有り付けない。と言うかあの二人が腹が減っているじゃなくて、単に俺の作った料理が食べたいだけだ」
「え!?そんな理由なんですか!?」
「あいつら二人は特に大食いで。団員の中で一番料理を多く食すんだ。特に俺の料理はよく食べてな。食材管理が難しい程だ。どれだけの量を使ったことか。今に思い出すとあの時の疲れが今蘇るようだ」
『よろしいのですか!?ロキ・ファミリアですよ!?』
「あの二人は揉め事はしないから心配するな。どの道この量は俺たちだけじゃあ食べきれないだろう」
まさかとは思うが。あの二人がこのタイミングで来たのは。多分俺の作ったビーフシチューの匂いを辿ってここに来たのだろう。匂いで辿るなんてベートじゃああるまいが。こっちに来てまで俺の飯がそんなに食べたいか
よだれ垂らして。腹の音が鳴るほど食いたいのか?俺以外に美味い料理を作れるやつはそっちでいくらでも・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いや、俺が居なくなってから新人が入っていなければ、料理できる奴は二軍の連中くらいだな
二年前も俺に料理で勝負を仕掛けてきたのは。二軍のメンバーくらいだからな
「おい?そんなところで隠れてないで。俺たちの飯食べてもいいぞ」
「え?いいの?」
「いいのって・・・・そうじゃなかったらお前ら二人そのまま覗くつもりだろ?食べづらいから早く来い」
「でも・・・・・あのモンスター・・・じゃなくて精霊が・・」
「グリフォンなら俺が言い付けてあるから心配するな。それにお前たちは『俺のことを信じてくれた』それだけあいつに言えば問題ない。早く来い。でないとあいつら全部食べるぞ。いいのか?」
「「食べる!!」」
本当に食い意地の張った奴らだ。あれから二年経ってもこんな感じなのだとすぐにわかった。まあこいつらがそう二年で変わるわけも無いしな
そして俺たちの方に座って素早く飯にありつけた。相変わらず飯を食う時は早いな
「美味い!やっぱりジークのは美味い!」
「うん・・・・・今度はジャガ丸くんも作って欲しいな」
「また今度な」
『主に馴れ馴れしいぞ貴様ら!ヴェルフ様やリリルカ様ならともかく!ロキ・ファミリアである貴様らが!』
「やめろグリフォン。それにこの二人は最後まで俺のことを信じていた。俺がファミリアをやめる時も必死に俺のことを止めていた。ロキ・ファミリアをやめたのは俺自身で決めたことだからこいつらを嫌う必要はない」
『そうなのですか!?』
「う、うん。ジークのことを助けたかったんだけど・・・・・みんなジークのことを疑うばかりで」
「ジークのことを誰も信じてくれなかった。あのロキでも・・・私たちが止めてもジークも怒って辞めた」
『そうだったのですか。ごめんなさい。あなた達二人は違うのですね。誤解して申し訳ありません』
「いいよ。ところで・・・・・・これ本当に精霊?ジーク?」
「天空の精霊グリフォンだ。精霊て言うのはモンスターや人型などいろいろな姿をしている。グリフォン以外にも沢山俺は精霊を仕えている」
「どうして精霊達がジークに仕えているの?」
「俺はフレイの跡付きで『精霊の王』を代理とした。『精霊召喚師』だからだ」
「精霊召喚師?」
「簡単に言うなら精霊を操る人のことだ。それを俺はロキ・ファミリアをやめてからフレイと一緒に修行をしてきた」
「フレイって・・・・・あの神フレイヤのお兄さんの?」
「そうだ。俺は幼馴染だった。あいつとはよく剣で喧嘩したものだ」
「剣?フレイ様って剣士だったのかジーク?」
「ああ。あいつはエルフの主神でもあって。大昔ハイエルフに魔法や剣術を教えた主神なんだ。主神の癖に最前線で眷属より先に剣を持って戦いに行くくらいだぞ?『神の力』が無くても剣捌きが上手かったあいつは誰にも勝てなかった」
「ジークでも?」
「あいにく俺とあいつは何度も勝負して、何度も俺はあいつに勝ってきた。552勝548敗で今は俺の勝ちだ」
「え!?ジークさん!?フレイ様と戦う度に勝負した回数を数えていたんですか!?」
「当然だ。俺とあいつはそういう仲だった。どっちが優れているとかで、戦い以外にもいつも勝負して競い合っていた。まあ言うならあいつは俺の兄にあたるが・・・・・・それでも俺のプライドが許さないのか、勉学・家事・料理・戦闘・狩り・編み物・武器の手入れ・魔術などをいくつもの行事でも俺はフレイに負けたくなかったと全て努力して体に身につけた」
「だから料理もこんなに美味しいんですね」
「リリルカ?料理に関しては俺は全勝だ。俺は一回も負けたことがない。誰にも」
「そうですか・・・・」
「でも言われてみると絶対にそうだろうなと思った」
「確かに。美味すぎですよ。これ」
「あ!アルゴノオト君もわかる!?」
「わかりますよティオナさん!ジークさんの料理美味すぎですよ!」
「うん。ベルもわかるんだね?ジークの料理は最高だよ。二年ぶりにまた食べれて嬉しい」
「確かに美味いぜ!あ!そういえば昨日の『豊饒の女主人』の店主が言っていたな。『あいつの料理は私よりヤバい美味い』とか」
「ミアのことか?二年前店でバイトしてくれとか散々なことを言われた」
「この味じゃあそう言われてもおかしくありませんよ?」
「お喋りはそれくらいにして、さっさと食べろよ?」
おふくろにも『あんたは料理がチート』とか言って散々なことを言われた。フレイと小さい頃から競っていたことがここまで成長しただけだ。まあ美味しい分にはいいんだが。あまり俺を料理人として扱われないか心配だ
そう思っていると、更にとんでもないものがこっちに向かっているのを感知した
「ん!?なに!?」
『主?どうかしましたか?』
「何かまた感じたんですか?」
「ベル!ヘスティアが他の眷属を率いて17階層に居るぞ!」
「え!?」
「ヘスティア様が!?」
「は!?なんでだ!?」
俺の感知は鈍ってはいない。ヘスティアの神の力を感知した。五人ほどの眷属とあともう一人神も居る。だがこの五人の眷属は俺が知っている者たち。なんでそいつらがこっちに向かっているのかは知らないが
『ベルくうううううううん!!!ジークくうううううううううん!!!』
「今の声!?」
「ヘスティアだ!」
俺はヘスティアの声がする。17階層の出入り口に向かう。グリフォンを連れて。アイズもティオネも一緒に駆けつけてくれた
そして出入り口前にはサラマンダー・ウールを着た。
ヘスティア・リュー・アスフィ。そしてアスフィの主神であるヘルメルも居た
なんでリューやアスフィまでが
「ヘスティア!リュー!アスフィ!」
「神様!?リューさん!?」
「あ!ジーク君!ベル君も!無事だったんだね!」
「ジークさん!」
「ジーク!無事でしたんですね?」
「は?どういうことだ?」
「やあ。君がジーク君とベル君だね?俺はヘルメス。よろしく」
「あ、ああ」
「はい」
「ヘルメス?ヘスティア?無事だったとはどういうことだ?俺たちがモンスターに襲われて負傷を負って助けにでも来たのか?」
「え?違うのかい?一日で帰ってこなかったじゃないか?」
「ヘスティア?何を勘違いしているかは知らないが。俺は君に今日の朝三日程帰ってこないとも言ったぞ?」
「あれれ?」
「ヘスティア?どうやらジーク君たちは負傷を負っているわけじゃないみたいだよ?」
「あれれ?あれれれれ?」
「ジーク様?もしかしてリリ達」
「どうやらヘスティアが何日も帰ってこないからモンスターに襲われているのではないかと勘違いして他のファミリアにも頼んで救援に来たようだな」
「ヘスティア様って、心配性だったんだな?」
「神様・・・・ジークさんの話しっかり聞いてくださいよ・・」
「ジークさん!?モンスター に襲われて負傷を負っていたのは無いのですか!?」
「違う」
「ジーク?負傷をしていたの?」
「モンスター に苦戦した?」
「してない。誰も」
「ヘルメス様?」
「いやだって!あの子達がジーク君たちにモンスター を押し付けたと言うから!」
「押し付けた?・・・・・・・ん!お前達は・・・」
「あいつらは!」
「リリ達にヘルハウンドを押し付けた冒険者です!」
「あれって・・・・」
「極東人の。タケミカヅチ・ファミリアだ」
ヘスティアの言い分はこうだった
何日も帰ってこないからと心配になっていた。そこへヘスティアの友人でもあるタケミカヅチとその眷属がダンジョンから帰って、ダンジョン帰りで俺たちにへヘルハウンド押し付けたことで『パス・パレード』を起こしたことをヘスティアに報告したらしい。それでもしかしたらそのせいでモンスター に苦戦して一日で帰ってこないとヘスティアが余計心配して。俺たちの救出のためにクエストまで発注したらしい
参加したのはファミリアの冒険者では無い協力者。リュー
ヘルメス・ファミリアである。アスフィとその主神のヘルメスの二名
モンスターを押し付けた行いを謝罪すべくタケミカヅチ・ファミリア。
団長のカシマ・桜花・ヤマト・命・ヒタチ・千草の三名
そしてヘスティア
合計七人で俺たちの無駄な救出をしてくれたようだ
神がダンジョンに入るのはルール違反だと言うのに、ヘルメスもヘスティアも後でギルドからとんでもないペナルティが送られるだろうな。バレなきゃいいと思っているようだが。ギルドはそこまであまくは無いからな
そして今テント前で
「申し訳ありません!」
そのタケミカヅチ・ファミリアの眷属の謝罪を受けている。彼らも押し付けたことへの罪悪感があるのか。土下座を深く地面に顔をつけながらヤマト・命が謝っていた
「この度の仕打ちは深く反省しております!いくら仲間を助けるとは言え。あなた方に迷惑をかけたことを深く謝罪します!」
「確かに仲間を負傷をしていた所はしっかりと見ていた。アルミラージにでもやられたんだな?」
「はい。申し訳ありません!私のせいなんです」
「責めるなら俺を責めろ!あれは俺の指示だ。俺は今でもあの指示が間違ってはいないと思っている!」
「・・・・そうか。まあ普通の冒険者なら色々お前達に罰を与えている所だが。あいにく俺たちはあれを『ハンデ』だと思っている。お前らが起こした『パスパレード』のモンスター はそれほど数も多くない。それにここまで来るならあれくらいの数を倒しておかなければ強くなれない。いい試練だと思って。お前らのした事は忘れよう。ベル達は何か言いたい事はあるか?」
「え?いえ・・・・」
「いいのかよジーク?」
「リリ達は下手をしたら死にかけたんですよ?許すんですか?」
「許すも許さないも。何かこいつらに腹癒せでもして気分でもスッキリするか?」
「それは・・・・」
「しませんけど・・・・」
「確かにこいつらのした事は言い方を変えれば見殺しや人殺しにもなるだろう。だが俺が見る限りは。仲間が負傷をして仕方なく力不足で他人に押し付けるしかなかったと。そこまで中身は腐っていない。誰にでもよくある力不足で他人に頼るしか無かったと言う事だけだ。それで腹癒せをした所で俺たちに得るものはないし。彼らのした事はあまりに相手の命を奪う行為として許し難い事だが。それの当てつけをした所で気分が最悪になるだけだ。腹癒せなどやめるべきだ」
「ジーク・・・」
「ジーク。本当に変わったね?」
「だが桜花。少しいいか?」
「あ、ああ。なんだ?」
「せめて声だけは掛けろ。声だけ掛けるだけでもお前らの立場は変わる。力不足関係なしにできるだろう?それさえ言っていればお前らには悪意が無いとすぐに相手も理解する。だが今回のは声を掛けず無言で立ち去ろうとするから俺たちに『パス・パレード』と言う形になるんだ。『逃げろ』とかそんな簡単な言葉だけでいい。そうすればお前らが力不足で逃げ出したと。決して押し付けたわけじゃないと。相手が理解してくれるぞ?」
「そ、そうだな。すまなかった」
「謝らなくていい。もうしてしまった事は仕方ない。俺たちは無事だ。もしも仲間の負傷で仕方のない選択を迫られる事もこのダンジョンではよくある話だからな。それでいいな二人とも?ベルはもう許している。こいつらを恨んでもなにもならないぞ?」
「・・・・ジーク様がそう仰るなら」
「わかった。納得はいかねえけど。ジークの言うことを聞いておく」
「だそうだ。構わないなヘスティア?」
「うん。タケの子供達には悪意が無い事はジーク君はお見通しな様だね」
「解決した所で、次の話に入るが。ヘスティア?君達は何かここに来るまでに食事はしたか?」
「・・・・・・・・食べてないです」
「パンはもう無いが。スープと飲み物はまだあるから食べていいぞ。飲み物はその大きなタルの中から、スープは鍋の中だ」
「ありがとう!」
「桜花。お前達もいいぞ」
「い、いいのか?」
「いいもなにも。食材はどうせ持ち歩いてないんだろ?」
「あ、ああ」
「仲間はずれにするつもりはない。量は考えずに多く作っておいたから。あと七人増えたくらい問題ないぞ。アスフィ。お前達もいいぞ」
「感謝します」
『主様?この方があなたの主神様ですか?』
「そうだ。名前はヘスティアだ」
『そうですか、初めましてヘスティア様。私は天空の精霊グリフォンと申します』
「さっきから気になっていたけど、やっぱりこれも精霊なんだ。うん!よろしく!」
「ほう・・・・やはり君は精霊を操れるのか?」
「俺の素姓を知っているヘルメスならわかるだろう?」
「へえ・・・・・本当に彼の幼馴染なんだ」
「そういうことだ」
「天空の精霊グリフォン!?」
『ん?エルフの者か?主様はエルフのご友人が多いんですね?』
「そんな事はない。リューは・・・・・・・唯一エルフの友人だ。あとは知人程度だな」
「ジークさん。本当にフレイ様の幼馴染なんですね?」
「でなきゃグリフォンを仕えていない」
「精霊を操る!?どう言う事ですジーク!?」
「俺は精霊召喚師。精霊の王にして精霊達の主。精霊達をこっちに召喚できる。色々とフレイに任されてな。精霊の世話を任されている。精霊達の秩序を守る様に言われた精霊の騎士だ」
「フレイ!?あの豊穣の神にしてあの神フレイヤの兄君!?」
「幼馴染だったなんだ。なぜ俺に任せたのかは知らないが。精霊のために俺は召喚師になった。責任重大で大変だがな」
「君ってじゃあ・・・・・あといくつものの精霊達が君に仕えているってことかい?」
「多くの精霊達に仕えて貰ってはいるが。召喚できるのはステイタスに名前が記載されている者だけだ」
「ああ、あれか」
『ランクアップすれば一人づつ召喚できます。レベル5になったら何になりますかね?』
「ランダムだ。何が召喚できるかは俺でもわからない。だとしてもお前と同じ最上級の精霊だ」
俺に仕えている精霊は全部俺の故郷に住む精霊だ。『精霊樹』と呼ばれる大きな木に集まって住んでいる。精霊達の魂はそこに集まり。俺の魔力を吸うことで実態化しこっちに召喚できる
精霊召喚の仕組みはそういうものだ。
精霊達は死んでも魂は残る。魂はその大樹に集まり永遠にそこに住まわされる。それを狙う者も多く。俺には精霊樹の危機感反応を知らせる魔術もあるため。もしもその知らせが出るとグリフォンで故郷に帰って対象しないとならない
とは言ってもしばらくは『あの爺さん』がなんとかするとは言っているから。しばらく爺さんのファミリアがなんとかしてくれるから問題ないと思うが
オラリオに来てから、俺は心配でつい故郷を出たが。爺さんのファミリアは化け物ぞろいのファミリアだからな。俺が居なくても大丈夫だと思うが
「ジークってレベルいくつなの?」
「レベル4だ」
「レベル4!?二年前はレベルまだ1だったのに!?」
「フレイ・ファミリアに入ってここまで強くなった。とは言っても眷属は俺だけだけどな」
「二年でランクアップするだなんて・・・・・」
「ところでアイズとティオナ?お前ら二人こっちに来ているが、ちゃんとフィン達に言っているんだろうな?」
「あ・・・・」
「してないよ?」
「お前ら・・・・・」
「あ!居た!あんた達何をしているの!」
「見つけました!何をして・・・・・・ジークさん!?」
「ティオネ。レフィーヤか?」
『またエルフですか?』
そこにアイズ達を迎えに来たのは。ティオネとレフィーヤだった。またも懐かしい仲間に出会った。リヴェリアの弟子でもあるレフィーヤ。彼女も俺のことを唯一信じてくれた仲間。ここに居るとは思っては居たが、ティオネと一緒に居るじゃあ揉め事しかならないのだが
「あ、ティオネ。一緒に食べる?」
「ジークの料理だよ美味しいよ!」
「他のファミリアの料理を食べれるわけないでしょ!」
「いいよね?ジーク」
「好きにすればいい。正直今思うんだが。本当に作りすぎた」
「ジークさんどうしてここに?」
「簡単に言うなら。三日前ヘスティア・ファミリアに入った。それだけだ」
「それだけって・・・・」
「説明すると長い。後にしてくれ。食べるなら食べるで好きにしろ」
一々誰かに素姓を話すのが面倒になり。俺はこれ以上は何も言わないようにした。
にしても本当に作りすぎた。材料も確かにあり得ないほどの量をエルドフリームニルが出した。
確かあの鍋には一つデメリットがある。それは『腹満タン』にさせるほどの食材の量を出すこと。しかも何人と言う指定が無い。どんなことがあろうとどんなものでも容赦なく大量に食材へと変換する
使えそうであまりいい物じゃない魔道具
「ジーク!あんたの料理はなんでこんなに美味しいのよ!」
「普段していればこうなる」
「ジークさん。相変わらず料理が美味いです」
「喜んでくれてなによりだ。早く食べろ。片付けが終わらない。その間にヘスティア達のテントでも作るか」
「あ、手伝いますよジークさん!」
「頼むベル」
「なんで二つもテントの材料を持っているんだ?ジーク」
「念のためだヴェルフ。こんなこともあろうかとな」
「用意がいいな」
念の為にこんなこともあろうかと用意していた。このテントは俺の故郷で取り寄せたものだ。パンドラ・ボックスは本当になんでも入るからこれくらいいれても問題なかった
もう夜も遅いからと急いでヴェルフとベルと一緒にテント作りを開始する
少し時間は掛かったが。なんとかテントもうまく完成した。そしてみんな俺の料理を全部完食した。かなり入っていたんだが、よく十一人で食べられたものだ。追加などをもしといて正解だった
「明日はどうするんだい?ジーク君」
「俺たちヘスティア・ファミリアの目的は18階層までの攻略。そして今日でクリアした。明日はこの階層にあるリヴィラの街を観光する。明後日の朝には地上に帰るつもりだヘルメス」
「なるほど、確かロキ・ファミリアも明後日に帰るみたいだからね。そうだよねアイズちゃん?」
「はい。そうです」
「そろそろ17階層に階層主ゴライアスが出てくる頃だから。ロキ・ファミリアに討伐を任せてから帰るんだね?」
「いや、さっきここを通る前に俺たち四人で倒した」
「え!?」
「ゴライアスを・・・・倒したんですか!?その四人のパーティーで!?」
「ああ」
「最後はジークさんが倒してくれましたが、僕たちは正真正銘。ゴライアスを倒しました」
「証拠はあるぜ。ほれ?」
そうしてヴェルフはバックの中からゴライアスの歯牙を取り出して。アスフィに渡す
「間違いありません!ゴライアスの歯牙です!?」
「レベル4とレベル2とレベル1の二人でゴライアスを!?」
「ああ、なんとか勝てたぞ?」
「ヴェルフ様とベル様もゴライアスを相手に足を負傷させたり。腕を燃やしたりなど。無茶にもほどがありましたが、うまく勝ってみせましたよ」
「す、すごい・・・・」
「ありえない・・・・」
「ヘスティア。今言った予定に不都合があるか?」
「いや。構わないよ。君達の目的は確かに達成したからね。僕もこの階層にある街も見てみたいし。今の予定で構わないよ」
「主神の了承は得た。ヘルメス。それが何か問題でも?」
「いや、そうじゃないんだ。ただ俺たちは一応君たちを助ける為にこのクエストに参加したから。帰る時も君たちに合わせたいんだ」
「そうか、じゃあ明日はここで自由にして、明後日の朝に帰る。これで構わないな?」
「うん。OKだよ!」
「よし。今日はもう眠るぞ?」
「そうだね。僕らももう寝ようか?」
「お前達ももう帰れ。フィン達が心配するぞ?」
「うん。また明日ね」
「また俺のところに来るのかお前達は・・」
「ダメ?」
「ダメじゃないが」
明日もアイズ達は俺たちのところに来るのか。まあ来る分にはいいが。変に俺と一緒に居て揉め事を起こさなければいいが
とにかくアイズ達は自分達のテントへ。ヘスティアや女性陣は俺たちが作った新しいテントの方へ。
そして俺とグリフォンは外へ出る
「あれ?ジークさん何処に?」
「少しやる事がある。すぐに帰ってくるから先に眠っててくれ」
「はい・・・・・」
「・・・・・」
ベルに俺とグリフォンだけ少し外に出ることを告げる。その時ヘルメスが怪しいと思うような顔をしている。ヘルメスは考えが鋭いようだな
じゃあこの後俺が何をするか。追いかけるだろうな
そうして俺は外に出ると。グリフォンと一緒に湖の近くまで来た。もちろんそんなところに寄る理由は特にも無いし。水浴びがしたいわけでもない。それでもここに来る必要があるのは常に一つのみ
ここでなら誰にも聞かれなくても済むからな
『主!』
「来たか」
「ジーク・・・」
「グリフォンと一緒か・・・」
「久しいの・・」
あとで話をしたいと言うリヴェリアの要望に応えて。俺はグリフォンと共に俺たちで話ができる湖に移動した。俺の前に居るのはフィンとリヴェリアとガレスの三人。ここでなら誰にも聞かれないで済むし、ベル達と一緒になってまで話す必要はない
だが
「是非君と話がしたい」
「その前に言っておかなくてはならない事がある。おい?ヘルメス?ヘスティア?そこに居るのはわかっている。出てこい」
「あ、あれれれ・・」
「だから言ったろヘルメス。ジーク君には何もかも見通すって」
「なぜ主神が!?」
「あいつらが俺らが心配でダンジョンの中に入ってきた。あとでギルドのペナルティは来るだろうがな・・・」
「俺たちもいいかな?」
「君がロキ・ファミリアと小競り合いになるのが心配でね」
「本当に心配性だな君は?こいつらは俺の素性が知りたいだけだ。小競り合いだなんて俺はこいつらに恨みを持ってはいない」
ヘルメスは俺がフレイの幼馴染とトールの息子だと確認する為。爺さんは言っていたが、ヘルメルはあの『ゼウス』と『ウラノス』と何か繋がりがあると言っていた。ヘルメスが隠し事の多い奴だとは聞いていたが。人の素姓を知りたいか。少し気に食わない奴だ
だがこいつは何でも知っている情報屋でもある為、食えない奴ではあるが、頼めば頼りになる神だ
ヘスティアは俺のロキ・ファミリアの折り合いの悪さを知っているからこそ、喧嘩しないか心配していたようだ。
レベル4の俺じゃあフィンたちにはマトモに勝てない。その気もないからな
俺には本当にこいつらに恨みはない
そうして何十分とかで俺の素姓を全て話す。ただし俺の知る限りのことを。もちろんロキ・ファミリアに入る前から。俺の素姓を話さなかったことも。ロキとは『叔母と甥の関係』だったことも。俺はあれから二年経って久しくフィン達に話した
二年前の俺なら、絶対に話したりはしなかったけどな
「と言うことだ」
「そうか・・・・・・僕たちにあれだけのことを言われて、よく話してくれたよ」
「そうだね。君達は彼を信じなかったのに、彼の素姓を知りたいなんて都合が良すぎるんじゃない?」
「っ!・・・・・・」
「やめろヘルメス。俺は本当にもう恨みは無い。俺たちのやることに邪魔しない限りはな」
「ジーク。どうしてそんな大事なことを団員だった頃に言ってくれなかった?」
「そんな大事なこと?ならそれを言ったらあの時俺のことを信じてくれたのか?ハイエルフとして?」
「それは・・・・・」
「俺は当時特別扱いされるのが嫌だった。それを言ったら絶対にお前らに特別扱いされると思ったからだ。俺はそんなの関係なしに強くなろうと一人前になりたかったんだ。それにフレイには誰も他言しないように頼まれたんだ。でなきゃお前らがうるさいからな?俺がこういうヒューマンだと知ったお前らは、俺に対してそういう態度を取ると理解した」
「ワシらは・・・・そういうわけでは・・」
「なんにしても失った信用は戻らない。俺は自分の意思でやめたんだ。話す分には構わないが。他のファミリアになった以上は俺に対しての介入はあまりして貰わないで貰う。それだけ守ってくれれば・・・あとは文句は無い。お前らが何をしようとな」
「君が本当にあのトールとフレイの?」
「ヘルメス。ジーク君のアレを見ればわかるよ。ジーク君!」
「ヘルメス。これならわかるだろう?」
「ん!?トールのミョルニル!?フレイの勝利の剣レーヴァテイン!?」
「な!?フレイ様の聖剣!?」
俺は首元に掛けていたチェーンに通していた小さい二つの武器。それはネックレスのような小ささ。それがハンマーと剣
それが小さくしたミョルニルとレーヴァテイン
それをリヴェリア達とヘルメスに首元に出して見せる。リヴェリアとヘルメスは知っているはずだから、すぐに俺がトールの息子とフレイの幼馴染だと理解する
『主様はフレイ様の聖剣を受け取っているほど。我ら精霊の王としての資格を得たのだ。我らを召喚できる精霊召喚師。我らの王でもあったフレイ様が次の王の後継者にジーク・フリード様を選んだのだ。我らの王にふさわしいお方だ。それをよくも疑ったな!特にそこのハイエルフ!』
「わ、私は・・・」
『我らに繋がりを持つエルフである貴様が!ハイエルフでもある貴様が!我らの王でもあり貴様らの主神でもあったフレイ様の幼馴染である主様をよくも疑ったな!所詮エルフも野蛮な生き物だな!』
「やめろグリフォン。俺はもう気にしていない。今更腹癒せをしたところでフレイも喜ばないぞ」
『しかし!!』
「いい経験だと思って受け入れるさ。だからあまり酷いことを言うな」
『主がそう仰るなら。運が良かったな貴様!主様は心の広いお方だから危害を加えるなと命令に従うが、そうでなかったら貴様をサラマンダーやグラニと共に貴様を八つ裂きにしていたわ!』
「グリフォン?」
『も。申し訳ありません』
「気にするなリヴェリア。俺は本当に恨みは無い」
「あ、いや・・・・」
「もう終わったんだ。気にしなくていい」
「・・・・・・」
リヴェリアには気の毒だろう。かつて疑った仲間が、自分たち一族が讃えていた主神の幼馴染と精霊の主だったなんて。知らなかったとは言え後悔している・・・・と思うような女には見えないがな。だが初めて見た。リヴェリアが焦る姿を見るのは
相当驚いて、ショックを受けたと思う
「お前さんがそんなデカイ家系の男とは思っていなかった」
「お前らには関係ないからな。トールの息子だろうと、フレイの幼馴染だろうがな」
「関係ないことは無いだろう・・・・・じゃあロキとも?」
「あいつはおふくろとは仲が悪いし、一昨日会ったが俺もあいつに毛嫌いされた。所詮あいつと俺はそんな関係だ。関係ないと言った方があいつも幸せだろう。とは言ってもヘスティアが神会で喋ったがな」
「それでロキは?」
「神会の後は会ってない。だとしても会いたくないだろう?険悪だった姉の息子など。所詮あいつと俺は相反する存在だ」
「ジーク・・・・・」
ガレスだって俺とロキが険悪な仲なのは知っている。どれだけ口喧嘩をしたか、どれだけ言い争いをしたか、俺の存在など邪魔者程度にしか思ってないのだろう
俺だってあんなのが『叔母』など、あまりに認めたくない。あんなだらしが無い奴が俺の叔母など御免だ
「アイズ達から聞いたよ。レベル4なんだってね?」
「ああ」
「あれから二年経って一気にそんなレベルに・・・」
「もちろんお前らのレベルも超えていく。このままで満足する気は無い」
「君は本当に変わった。性格も外見も実力も。なにもかもが変わった。まるで別人のように」
「何かを経験するだけでヒューマンは変わる。俺はもう・・・・立ち止まることができないんだ。お前が一族の再興を目指すように、俺も自分の目的のためにここへ再び戻ってきた」
「そうか。僕たちは・・・・・・・君とは敵対関係かな?」
「俺はそれを望まない。だが俺達のやることに邪魔をするなら実力行使でお前らを敵として認識はする。もしもの場合はな」
「僕らに勝てるのかい?」
「今は無理だな。レベル差がありすぎる。でもいつかは・・・・・お前らを超えて強くなる。今お前らに勝負を挑んでもスキル頼りでなきゃ不可能だな」
「君とは思えない冷静な判断だよ。できるなら仲良くいきたかったよ。君とは」
「それは無理だな。恨んではいないとは言え。一度お前らと縁を切った以上は仲良くとはいかない、せいぜい知り合い程度にしかならない。それにそっちに二人・・・・・いや、三人ほど俺を嫌っている奴が居るから仲良くなんて無理だな。俺とお前らはもう・・・・赤の他人だ」
「ベートとティオネか、君は今でも・・・・二年前の事件はやってないと主張するかい?」
「ああ、くどいようだが俺は本当にアポロン・ファミリアに暴力はしていない。それで信じるか信じないかはお前らが決めることだ。疑いを晴らそうにも証拠も何も無いため。あの時も何も言えなかった。ならいっそ信じられなくなった仲間よりも。俺を信じてくれる今の仲間のファミリアには入った方がマシだと、お前らの所をやめただけだ。それを誰かのせいにしても意味は無い・・・・俺は俺を信用してくれた仲間のために戦えればそれでいい」
「ジーク君」
「俺の疑いはこの先一生付き纏われるが。嘘つき冒険者でもなんでも好きに言えばいい。俺は俺のやるべき事が出来るならあとはどうでもいいからな」
「前を向いて生きているんだね。君とは思えない成長だ」
フィンが俺とは仲良くしたいだなんて無理な話だ。一度切った縁は戻らない。今更フィンが何を言いたいのかは知らないが、俺の素性を知った瞬間。俺の価値を変えたのか、態度が変わっているようには見えないが
相変わらずこいつは詭弁なことしか言わないんだなと
二年経っても変わってないと理解した
「まだ聞きたいことはあるか?もう遅いぞ?」
「君は僕たちに何か言いたいことはある?」
「何も無い」
「そうか、君と久しく話せてよかった。それと元気にしていたこともね?」
『貴様!主様を疑った貴様がよくもそんなことが言えたな!』
「やめろグリフォン。俺は気にしていない」
『は、はい』
「それじゃあ話は終わりでいいな?」
「うん・・・・・・・・本当に何も言いたいこと無いの?」
「しつこいぞ?無いと言ったら無い。だが言うなら・・・・・・ベートはどうした?アイズがお前らに俺が帰ってきたことを言っているはずなら、あいつの耳にも届いているはずだぞ?」
「今彼だけは先に地上に戻っているんだ。少しおつかいでね?」
「そうか・・・」
「やっぱりベートに会うのは嫌かい?」
「嫌だな。あいつと俺はロキと同じように仲が悪い。俺が何を言ってもあいつは自分勝手なことしか言えないからな。あいつと会うのは面倒だ」
「彼には言わないように・・・・・しても無駄だから、もしも聞かれて君に喧嘩をしようものなら止めるよ」
「頼む。それと念の為に言っておくことがある」
「なんだい?」
「お前が悲願している『パルゥムの一族の再興』これは絶対に叶わない」
「なんだって?」
「断言だ。これは絶対に叶わない。お前が如何あってもだ」
「それはどう言う意味だい?」
「お前がしなくても、誰かがやるからだ。それに・・・・・現地点でのお前では・・・絶対に不可能だ」
「僕に何か欠点があるのかい?」
「ああ。それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・『臆病』だ」
「!?」
「それがお前の足りない所だ。以上だ。行くぞ」
「待って!どういうことだい?」
「そのままの意味だ。それを変えない限り『ここでもそれをしたいのなら』それを克服しない限りは不可能だ。自分のことをもっと見つめ直せ。そうすればその悲願はここでも叶う」
「ここでも?」
「ああ。とにかくやってみればそれに辿り着く。あとはやるかやらないかはお前次第だ」
そうして俺はフィンに軽い頼みを言い。更に悲願について足りないものを言い。ヘスティアとヘルメスとグリフォンを連れて帰る。
二年まえもそうだが。フィンには『足りないもの』がある。それを克服しない限り少なくともその一族の再興は不可能。でなければ・・・
俺の故郷でもああにはならない。フィンがそれを聞き入れるかどうかはもちろんあいつ次第だがな
そしてヘスティアとヘルメスが何か不満そうな顔をしていた。俺が一つでも何か言い返したりする所を見たかったのだろうか
一応聞いてみる
「何か不満か?」
「君は本当に恨みはなかったのかい?」
「言い返してもよかったんじゃない?」
「そんなことしても嬉しくない」
『ですが!かなり図々しい事ばっかしか言いませんでしたよ!特にあのパルゥム!生意気です!』
「お前らからは聞いて偉そうには聞こえるかもしれないが、話し方がぎこちなかった。相当申し訳なさそうな口ぶりだった。一度疑った俺が話をしてくれるなんて思っても見なかっただろうな。そこまで恨む必要はない」
『主がそう言うのであれば・・』
「お前ももう帰れ。俺たちはもう眠らせてもらう」
『はい』
俺はルーン文字で空間を空けて、グリフォンを精霊樹に転移させて帰らせる。相変わらずグリフォンも忠義が強すぎて、あの様子じゃあロキ・ファミリアのことは敵として認識したと確実だった。他の精霊もそうだが。あまり敵を作らないで貰いたいものだ
「俺たちももう寝るぞ」
「君は優しいね」
「ジーク君は心が広いんだね」
ヘスティアとヘルメスは俺が優しいなんて言っているが。俺はそんなんじゃない。揉め事をしても争いしかならない。そんなことをしても意味は無い。今更あいつらに何かをしても。また俺に変なことを言われる羽目になる
二度の災害を出さないためにも俺はあいつらに何も言わない
それどころか
もう俺はあいつらに優しい言葉をもらっても。暴言を言われても、何も感じない。どうでもいいほどに