ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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イヴィルスの残党

「あら・・・活気があっていいじゃない」

 

「うう・・・・ここが歓楽街なんだ」

 

「凄い匂いと凄い空気だ」

 

 

「ペルセフォネもフィルヴィスもここは初めてなんだな?」

 

 

歓楽街の門に潜ろうとしたが、街壁の門に警備する者達に警戒される。でもアフロディーテの能力で魅了し、俺たちは歓楽街に入った。あまりに性欲など出さないペルセフォネとフィルヴィスは中に入ると、色気の多いこの街の空気に酔っている

 

俺たちが半壊させたは歓楽街は、イシュタル・ファミリアのホーム以外は元通りになっていた。ギルドから聞いた話ではここの常連客やここを利用している者達から寄付金を送ってくれた事で、復旧作業はなるべく早く済んだとか、済んだ後ですぐに営業を開始して

 

今も活気ある商売をしている。道中歩く男や女は娼婦やホストが誘う光景を見る

 

 

だが俺たちに誘いは無い

 

 

エイナの言う通り、店の前に立つ娼婦達は俺の方を見る事なく違う方を向いて遠ざけている。恐れているのが明白だった

 

歓楽街を破壊して、イシュタルの眷属達を半分も殺して遺体を燃やしているのだ。遺体まで燃やすなど、恐ろしいにも程があるのか、俺達に声を掛けたりしない。せいぜいチラチラとこちらを見るだけだった

 

 

「ジーク。お前は娼婦達にやはり恐れられているな」

 

「英雄でも限度というものがあるからな。流石に人殺しをしては、英雄としては扱う事はできない」

 

「恨んでいる人は・・・・居ないようね?悪口も言ってこないし」

 

「イシュタルの悪行の履歴をギルドで明かし公開されている。悪いのは自分たちイシュタル・ファミリアだと、誰がどう聞いても悪いのは自分たちだとわかっているから。文句を言える立場では無いから何も言ってこないのだろう」

 

「そのイシュタルがアドニスに何かしたのかしら?」

 

「俺を捕まえて、フレイの居場所を聞き出すためにダンジョンで奇襲されたんだ。なんとか必死で地上へ逃げて、その後歓楽街を総攻撃してイシュタルを送還させた」

 

 

「あら、イシュタルまだフレイのことを追いかけていたのね。愛しい男神を手に入れるために外道な手段を選ぶなんて、あの子はバカなことをするのね。同じ美と愛の女神として呆れるわ」

 

 

イシュタルの悪行に関してはアフロディーテも知っているようだ

 

同じ美と愛で性の女神でも、そのようなやり方で過ごすと言うのは、アフロディーテも信じられないと否定な言葉を口にする

 

ロクでもない女神であった事では間違いないと。今ここにあいつは居なくても、そう俺は思っている

 

 

「それでここがあのイシュタルのホーム?」

 

「ああ。ここはまだ復旧してないようだな。俺が派手に壊したからか」

 

「凄い戦いをしたのでしょうね」

 

「ああ。ここまで建物が破壊し尽くされた後は私でも初めて見る。魔法を何度か使って壊したかのような跡だ」

 

 

やはり全部までは建て直されてはおらず。ここイシュタルの元ホームは破壊された後のままだった。街を直すのが優先で、こっちまで復旧は回らなかったようだ

 

とは言ってもそこまで壊れてはいない。ここも半壊であり、まだ中も綺麗な所もある。まだタワーの方は健在であり、まだ人が住める

 

 

「派手に暴れたのね?ジーク」

 

「まあな。あいつが俺に手を出し、フレイの居場所を聞き出すのが悪い」

 

「そうなのか、やはり女神イシュタルがフレイ様を狙っていたのは本当だったのか」

 

「イシュタルも馬鹿なことをしたものね」

 

 

フィルヴィスもギルドの通達でイシュタルの悪評とその目的をしっかりと聞いていた。フレイを狙った事で、俺たちやフレイヤ・ファミリアに返り討ちにされたと。フィルヴィスも俺たちの襲撃がフレイのためだと。襲撃の理由をギルドの方で聞いて納得している

 

エルフとして、自分たち種族の主神に手を出すなど。フィルヴィスもエルフとして不満だった。まあ、エルフの反感を買ったあいつが悪い。だから今ここに居なくても、ここオラリオではイシュタルをエルフ達は邪神扱いしていた。もはや未来永劫、奴はここに住むエルフ達に恨まれるだろう

 

 

「このホームはどうなるのかな?ジーク」

 

「さあな、立て直したとしても使い道が無いだろう。娼館だけ復旧できれば、娼婦達には必要感じないと思う。戦闘娼婦達はもう別のファミリアにコンバージョンしたと聞くしな」

 

 

以前アイシャ達に会い。無事別のファミリアへと全員コンバージョンできたと聞いた。歓楽街にはあまり帰らないと聞く。だからホームを立て直す気は無いと、立て直しても使い道はないと

 

俺が殺したアイシャの仲間の墓として扱う道がないと想定する

 

そこでペルセフォネが俺に一つ質問をしてくる

 

 

「ジーク。ここで人を殺したと言うのは・・・・本当なの?」

 

 

「本当だ。俺はイシュタルの眷属は半分殺した。敵に情けは必要ない。しかも相手はアマゾネスだ。手加減なんてできない。やらなければやられる。だから殺した」

 

「そうなの・・・・」

 

「幻滅したか?俺のことを?」

 

「別に、そう言うわけじゃあ・・・」

 

「正直言って構わない。民間人であるお前には、人殺しが悪だと認識して当然だ。だが、俺は冒険者だ。時には下界の生き物相手に戦わなければならない。情けなどをすればこっちがやられる。戦って殺さなねば殺されるんだ。それが俺たち冒険者だ」

 

「でも・・・・・人殺しなんて・・・・」

 

「ペルセフォネ。ジークの言う通りだ。我々は時にはファミリア同士と争う時があるように、殺しを持ち合わさなければならない時もある。生き残るためには必要なことだ。分かり合えないファミリアもここオラリオで居るように、争いをしなくてはならないこともあるんだ。こればかりは我々は否定できないぞ?」

 

「フィルヴィスさん」

 

「民間人として、俺のした事は悪いと認識してくれて構わない。でも必要なことだと理解してくれ」

 

 

民間人からすれば人殺しは悪だ

 

でも必ず生き残るために必要なこと。ダンジョンではそれが当たり前であり。冒険者には当然の行動だ。だから悪だと認識しても必要なことだと。命に危機が訪れる事のない。ましてや弱肉強食の世界を見た事のないペルセフォネには難しい話だった

 

 

そこにアフロディーテが

 

 

「アドニス、別にこの娘は貴方のことを軽蔑しているわけではなく、貴方が心配なのよ。そうまでしなくてはならないのかって。貴方が人殺しをして辛いのではないのかと、気に掛けているだけなのよ」

 

「人殺しなどをして辛いか・・・・・・・辛くはない。仲間を失うよりはマシなんだ。仲間を失うくらいなら敵を殺して守る。何かを守るために相手を殺さなければならない。もしもお前達が殺されそうになったら俺はその敵を殺す。俺に血を浴びて、お前らに傷が付かないなら本望だ。それが俺を敵を殺す理由だ」

 

「ジーク・・・・・」

 

「アドニス。貴方は仲間のために必死なのね」

 

「ベヒーモスの戦いの時も、お前はそうだったな」

 

「でもペルセフォネ。貴方もアドニスの事をわかってあげて、決して悪気はない事を。私たちも戦争とかをしているけど、相手を殺さなきゃ生き残れないの。そこはわかってあげなさい」

 

「はい。悪気がない事は理解しています」

 

 

仲間を守る為に相手を殺す

 

言葉で理解してくれない分かり合えない敵が来た時。その敵に仲間を狙ったら、武力で相手を殺すしかない。誰も彼もただ撃退され、その後俺たちを襲うのを諦める奴なんて全員ではない。

 

特に経験としては、俺はそんな敵に出会えなかった。

 

アイシャ達くらいは理解してくれる相手だが、戦争ばかりしている俺にはそんな奴存在しないと思っている。だから仲間のために故郷を守るためには人を殺すしかできなかった。完璧ではない俺のやり方だ

 

でも全部そうしているわけではない。必ずしも投降するなら俺だってそう言う事はしない。敵を殺すことに辛い事はんてない。それで仲間が死ぬほうが辛いから俺は殺す。仲間を守るために最善を尽くしている。全部守れないと言う現実を乗り越えるためのやり方

 

 

仲間を守るために人を殺すしかないと、心配してくれているペルセフォネに、少し厳しい現実を言った

 

それで理解してくれるかは彼女次第だ。難しい事だから簡単ではない。でも悪意があってそんな事をしているわけではないと、それだけでも理解してくれれば俺はペルセフォネにこれ以上な事は言わない。彼女から軽蔑な言葉ではないことくらい知っている。だからこそ俺もこんな事をしている理由がしっかりあると知って欲しかったが故の言い訳だ

 

もちろんアフロディーテもそういう事はわかっているから、今フォローしていると、アフロディーテも厳しい現実を知っているから故の言葉だった

 

 

 

人殺しするのもされるのも苦しい気持ちになるのは当然。それでも世の中それを平然とし、それを楽しむ奴が居るから俺はその悪を殺す。

 

仲間を守るためなら殺しだって、俺には迷わずできる事だと、善や悪だとかは関係なく。生き残る術だと、俺は『人間らしい限界』をしていたのだ。

 

 

「っ!」

 

 

「ん?どうしたアドニス?」

 

「すまん。知人が目の前に居る」

 

「知人?」

 

「あ。貴方は・・・」

 

「なぜお前がここに!?」

 

 

そんな話をしていると、目の前に俺はある知人の魔力に反応して気づいた。その知人は二人。その片方は俺とフィルヴィスは知っていた。俺もフィルヴィスも嫌な相手

 

その二人は

 

 

「ジーク!」

 

「あれ?雷帝だ!女神様やマイナデス達とここで何をしているの?」

 

 

「ベート。レナ・タリー」

 

 

見た事ない組み合わせで俺たちは出会した。あのベートが女連れをするとはフィン達でもお目に掛かれないだろうし、そんなベートが、こんな興味のない街にぶらつくなど、そして弱い女に興味ないと喚いた犬が、こんな所に居るなど、俺からすれば不思議で、絶対に二度も見る事の無い光景だと思っていた

 

でも、その原因を作ったのは明らかに俺のせいだと、理解していた

 

以前俺はアイシャに春姫を守るために殺生石の輸入を阻止しろと。ヘルメス・ファミリアに入れと、対価を差し出すから入団しろと頼んだ。その対価が今目の前に居るレナに、ベートの居場所を教えて欲しいと、詳しく言ったからだ

 

レナの望み通りに答えたら、すぐにレナは会いに行ったようで、今では共に街を歩いていると推測した。レナは嬉しくても、ベートは嫌そうにしている

 

そしてベート達が俺たちに会うと。ベートがグルルと犬が警戒して睨んで今でも吠えるように、俺の方へ近づき、一言を言ってくる

 

 

「ジーク!テメエよくも俺を売ったな!!」

 

「何の話だ?」

 

「とぼけるんじゃねえ!テメエがこいつに俺の居場所を教えたと。しっかりこいつから聞いたぞ!」

 

「お前を売った覚えはない。俺はこいつの上司に取り引きをして、対価としてこいつがお前の居場所を教えて欲しいと取引として要求されたから答えたまでだ。別にお前を売った覚えはない」

 

「テメエ!またいろんな言葉を重ねやがって!」

 

「まともに言葉を交わせない奴にそんな事を言われる筋合い無い。それに仮にお前を売ったとしても別にいいだろう。俺の勝手だ。そして俺はお前のことはどうでもいい。だからお前の居場所を教えた。それだけだ」

 

「このクソ野郎が!!今度こそここでテメエをぶっ殺してやる!」

 

「ここで争ったら、フィン達がタダではおかないぞ?それでもいいのか?」

 

「うるせえ!!もうあいつらとは決別同然なんだよ!」

 

 

「その様子だと、また暴言を吐いて、ホームを叩き出されたみたいだな。相変わらず言葉を選ばない本能の犬だな」

 

「テメエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

 

 

またベートが暴言を吐いてホームを叩き出されてこんなところに居ると、すぐに俺は推測し、見事その言葉通り当たった

 

弱いからとかの理由で、いつもこいつは暴言を部下や仲間に巻き散らす。二年前もそんな事をしてよくフィンにホームを叩き出されたことが幾度もあった。そして今回もまた何か暴言を吐いてホームを叩き出されたようだ

 

今ではおそらくレナに頼んで歓楽街の宿で過ごしていると。もう言葉からで前歴を理解した

 

 

「ベート・ローガ!英雄相手にそんな事を無理だよ!」

 

「うるせえ!お前は黙っていろ!」

 

「まったく、面倒な奴だ」

 

 

 

 

 

「そうね、まったくよね」

 

 

 

「「っ!?」」

 

「っ!よせアフロディーテ」

 

「ごめんなさい。アドニス。大事な時間を邪魔されて私は不機嫌なのよ。それにこんな子犬ちゃんが、私のアドニスに暴言吐くのは個人的に許せないのよね」

 

 

ベートが俺に暴言を言ってくると。流石のアフロディーテも気に入らないのか、神威をベートに放った。いくらベートでも女神の神威は抵抗できず、恐れて一歩下がる。魅了は使ってはいないが、少なくとも神威一つで子供達は恐れている

 

やはり能力としてはアフロディーテは強いと俺は推測した。でもあまりそういう強引な事をしなくてもいいと。神の神威すら効かない俺が止める

 

例え俺のためでも

 

 

「アフロディーテ。気持ちは嬉しいが、神威を放つのはやめてくれ。お前の神威は強すぎるんだ。こいつの相手も抑えるのも俺は慣れているから。別にお前が何もしなくていい。俺に任せてくれ」

 

「そう、でもこんなの相手によく対応するわね?確か元アドニスはロキの団員だったんだって?」

 

「まあな。こいつの相手はその二年前からの馴染みだ」

 

「その割には貴方を嫌っているように見えるけど?」

 

「こいつは強さに熱するあまり、仲間のことをよく思わないんだ。強い者以外はな」

 

「なるほど、強さだけが全ての男か、まさしく力に溺れた男ね」

 

「そういう男だ」

 

 

「うるせえ!テメエに俺の全てをわかった気でいるな!」

 

「それよりどうして英雄雷帝がここに?」

 

 

「この女神がここを観光したいと言うから。ここを彷徨いているだけだ。そういうお前らは、またベートが口喧嘩をしてホームを叩き出されたから、ひとまず此処で寝床にしているのだろう?」

 

 

「あら正解。よくわかったね?ベート・ローガ。英雄雷帝に事情を当てられたね?」

 

「ここに居る理由だけだろうが!こんな奴に俺のことをわかってて溜まるか!」

 

 

「相変わらずうるさい奴だな。ジークもよくこんな奴の相手ができるな」

 

「そういうお前もこいつに馴染みがあると見えるぞ?フィルヴィス。こいつと以前何か関わりがあるのか?」

 

「以前。ディオニュソス様の頼みで、あるクエストをこいつと共にな」

 

 

俺がよくベートの行動が読めると、フィルヴィスは驚いているが、そういうフィルヴィスもこいつの行動パターンが分かるような感じをして、以前何かこいつと関わりがあるのかと聞いたら

 

フィルヴィスは以前ベートと共に、デュオニュソスの頼みでクエストをしたらしい。それでベートのことを何か初対面ではないと、俺に説明してくれた

 

 

「相変わらず怖い性格をしているのね。ジーク」

 

「それがこいつだペルセフォネ。俺たちはもう行く。話はこれで終わりだ」

 

 

いつまでもベート達と長話をする気はなく、さっさと違う地区の歓楽街を回りたいからと、アフロディーテの要望通りに俺たちは移動する

 

のだが

 

 

「おい!待てジーク!」

 

「なんだ?何か俺に聞きたいことでもあるのか?」

 

 

さっさと違う場所に移動しようとしたが、そこで何か俺に一つ質問したいとベートが止める。俺に聞きたいことなど、こいつから聞いてくるなどあり得ないと思っているが

 

とにかく何が聞きたいのか、聞いてみる

 

 

「お前?確かここを拠点としたイシュタル・ファミリアを、お前らのファミリアが滅したんだよな?あの主神も天界に還して」

 

「ああ、それがなんだ?」

 

 

「なら、目玉みてえのが入った赤い玉・・・・・・・鍵を知っているか?そのイシュタルって言う女神が持っていたんだ。知ってるか?」

 

「お前も、『アレ』を探しているのか?・・・・・・・クノッソスの鍵を?」

 

「っ!?やっぱり知っているんだな!」

 

「何!?なぜジークがクノッソスの事を!?」

 

「俺も個人的に調べていた。オラリオの闇って奴をな」

 

 

ベートがここに居るのは。決してホームを追い出されたからではない。イヴィルスの残党と繋がっていたイシュタル・ファミリアを、クノッソス攻略の時に知ったようで

 

そのクノッソスの鍵をイシュタルが持っていると推測して、俺がそのイシュタルを潰した張本人として、その鍵を知らないのかと聞いてくる

 

フィルヴィスも攻略をしたのか、クノッソスの事を知っているようだ。そして俺が攻略にも参加していないのに、その存在知っていたことに驚いている

 

 

「ジーク。また昨日もロキ様達に聞かれた事よ?」

 

「アドニス。私たちに関係ないと思うけど、それはなんの話なの?」

 

「クノッソス。あのバベルの下にあるダンジョンとは別の、ヒューマンが千年賭けて作った『人工ダンジョン』が、オラリオ市民街の地下にある。」

 

「オラリオの市民街の地下に、もう一つのダンジョン!?」

 

「ああ。そして以前こいつらはそこに挑み、タナトスの策略に嵌り、ボロボロにやられて、リベンジするために鍵を探しているようだと、推測している」

 

「ほう、あのタナトスもここに居るのか。それもイヴィルスとはな」

 

「それで合っているのだろう?ベート」

 

「ああ、それでお前はそれがどこにあるのか知っているのか?」

 

 

「知っているではない・・・・・・・・・俺が今持っている」

 

 

「っ!?テメエ!?しかも二つも!?」

 

 

クノッソスの鍵を俺はベートに見せた。それも二つも

 

一つはイシュタルの愛人であるタンムズを脅して強奪。もう一つは三ヶ月前、二年ぶりに18階層でベル達と初めて入った時に、そこでイヴィルスが不穏な動きをしている所を見掛けて殺して、そいつから強奪

 

つまり、今クノッソスの扉を開ける手段を俺が持っているのだ

 

そのことにベートは

 

 

「そうか、ならそれを俺に寄越せ。俺たちはそれが必要だ」

 

「断る」

 

「あ!?」

 

「俺たちもいつかあそこに行かなくてはならない時が来るかもしれない。もしものために取っておく。だからお前らにこいつ二つを渡す気はない」

 

「へ。ならテメエをぶっ殺して奪うだけだ」

 

「いいのか?ここで争ったらギルドのペナルティを喰らうぞ?周囲を考えずに戦えば、お前とてタダでは済まないぞ?」

 

「知ったことか!今テメエが必要な物を持っていて渡さねえなら、ブッ殺して奪うまでだ!!」

 

「相変わらず野蛮だな」

 

「お前はレベル6だ!やっと俺と対等になったんだ!俺と戦え!!」

 

「聞く耳は持たないか。フィルヴィス」

 

「やるのか?」

 

「もうこうなったら仕方ない。アフロディーテに魅了を使わせるな」

 

「わかった。二人ともこっちに」

 

「念のためにこれを掛けておく。スヴェルヘイム!」

 

 

もう何を言ってもベートは引き下がらない。目の前にターゲットである物が俺の手にあり、それを渡さないなら俺を倒して奪うと、手段を選ばずに俺に襲い掛かろうとしている。

 

こいつが言葉なんて聞くわけなく、俺を倒してでも手に入れると。こいつに話し合いなど無駄な事は知っていた。ギルドのルールも無視することも

 

仕方ないと、俺はフィルヴィスにアフロディーテとペルセフォネを連れて建物の裏に下がらせて、スヴェルヘイムを張って防御サークルが展開し三人を包む。そしてパンドラ・ボックスから魔剣グラムを出す

 

 

「ちょ!?二人とも本気!?」

 

「俺はこいつが止まってくれるならやめる。だがこいつは引き下がらない。だから戦うしかない」

 

「そうだ!ガキ女も下がっていろ!ここは俺とジークの喧嘩だ!」

 

「喧嘩をする気は俺には無いと言うのに、本当に人の話を聞かない。クソ犬だ」

 

「テメエに言われたくないんだよ!!クソヒューマン!」

 

 

もはや誰も止める事はできない

 

あれだけベートもやる気だと、何を言っても聞かない。ここはベートを撃退してでも治める以外、ベートは止まる事はないと、

 

立ち向かうしかなかった

 

 

 

 

だが

 

 

 

「おや?これはどういうことかな?なんでヴァナルガンドとあの英雄雷帝が居るんだ?」

 

 

 

「っ!?テメエは!?」

 

「ん?誰だ。お前は?」

 

 

ベートの突進に立ち向かおうとしたその時、突然横から貧相の悪そうな顔をした。赤髪の女が出てきた。手に大剣のような物を持っている

 

 

「誰だ、あいつは?ベート。お前の知り合いか?」

 

「ヴァレッタ・グレーデ。タナトスの眷属だ」

 

「名前は知らないが、タナトスの眷属なのはわかった」

 

「は!英雄様がなぜここに居るかは知らねえが、私らは探し物があるんだ。邪魔な奴は全員殺す!!!」

 

 

ヴァレッタ・グレーデ

 

タナトスの眷属なのは分かるが、俺には知らない名前だ。二つ名も知らない。だがイヴィルスである事は確実だろう。でなければこいつの名前はギルドに出ているはず、ギルドから登録している冒険者の名簿を確認している出ていないのであれば。イヴィルスの残党で間違いないと理解した

 

 

「っ!?」

 

「暗殺者!?」

 

「セクメト・ファミリアの暗殺者か・・・・・」

 

 

突然廃墟の建物の上に黒いフードを被り、手には『カースウエポン』と思われる武器を所持していた暗殺者らしき者達が現れた。間違いなくタナトス・ファミリアに依頼されたセクメト・ファミリアの暗殺ファミリアだと理解した。

 

数からして・・・・・30名以下、これくらいなら問題ないが、ここではあるが地上で戦闘を行うのであれば派手になると推測する

 

 

「セクメト・ファミリアの暗殺者が数十名と・・・・・・死に損ないの女が一人か」

 

「っ!?死に損ないだと!?」

 

「俺はお前など知らない上に、お前はテロリスト。七年前起きたイヴィルスの事件は俺も知っているが、お前のような死に損ないは知らない。まあどの道お前を覚える必要もない。なぜなら・・・・・・・ここでお前もそいつらも含めて死ぬからだ」

 

「テメエ・・・・・英雄の癖に似合わねえ言葉を出しやがって・・・」

 

「お前のような品性の劣る女に言われたくない。お前は七年前に死ぬはずだった女だ。だからここで正式に死んで貰う。俺の手でな?」

 

「この数をテメエ一人とそこのヴァナルガンドとアマゾネスでやれるのか?」

 

「こいつら二人の力を借りなくても殺せる。その証拠に・・・・・ふ!」

 

「っ!?」

 

「手始めに今一人殺した」

 

「ガハ!?」

 

 

俺はグラムを後ろに投げた。まずは後ろに居る暗殺者の一人の首にグラムが刺さり、俺は手で引き寄せてグラムを手元に飛んで戻ってくる

 

早速一人殺した。冗談なく、今この場に一般人も含めたアフロディーテと共にペルセフォネの前であろうと関係なく、ベート達の力を借りなくとも、一人で殺せる

 

 

「お前らテロリストはここで死ぬ。それがお前らの定めだ。カースウエポンをこいつらに持たせた程度では俺には通用しない上に、レベル5のお前が居ようと力の差がありすぎて終わる。どうあっても死ぬのはお前達だ。それでもやるか?」

 

「く!この化け物が!!だがこの数な上に全員カースウエポンを所持している。テメエでも耐え切れる筈がねえ!」

 

「カース如き、レアカースでも俺に通用しない。そんながらくたを持って俺の前にノコノコと地上に出るとは、哀れな連中だ。余程死に急ぎたいと見える。セクメト・ファミリアと言う。暗闇の中で無ければ動けない真正面で戦う事もできない『臆病者』共を連れて来るなど、それで戦力になると思っているとは、本当に品性も考えも劣るな」

 

「く、貴様・・・・」

 

「我々を侮辱するのか?」

 

「暗殺者と言うのはそう言う者だ。身を潜めて不意打ちを狙う事しかできない臆病者と変わりない。それともこの後お前らを殺した後に、お前らの主神であるセクメトを俺一人でファミリアごとを壊滅する事も可能だが?まあ当然俺を狙うんだ。俺に何もかも殺され尽くす覚悟もあってここに居るのだろう?侮辱も何も、お前ら如きなど。すぐにいつでもどこでも殺せる」

 

「おのれ・・・・・」

 

「英雄からの脅し・・・・正気とは思えん」

 

「暗殺を企てるファミリアに言われたくない。所詮お前らもイヴィルスと変わりないテロリストだ。つまりは敵。黙ってやられて死ぬがいい。お前らのような『オラリオのゴミ』。この世に価値無し」

 

 

改めてセクメト。ファミリアを見る

 

いくつかギルドの情報を聞くが、これほど大した敵では無いと。品性が劣るにも程があるゴミ同然の組織に、意味も価値も無いとすぐさま掃除すべきだと、殺すべきだと。この戦いの後に知らないベル達にも奇襲するのでは無いのかと、ここでこいつらを殺した後に、ファミリアそのものも壊すべきだと。この後に予定に入れた

 

暗殺者など、すぐに恨みを買って密かに襲い掛かる。そんないつ襲撃してもおかしくない職種をした者たちなど。ヘスティア・ファミリアの被害になるような連中はこの場で滅ぼすべきだと判断した

 

 

「クソが、言いたい放題言いやがって。テメエもあのヴァナルガンドの団員のように殺してやる!」

 

「ん?ヴァナルガンドの団員?てことはお前がリーネ達をやったのか?」

 

「そうだ!なんだ?団員をやめたお前が元団員のあいつらを殺して怒ったか?」

 

「元団員だから、あいつらを殺した事に恨みは無い。今はタダお前が殺したのか聞きたかっただけだ」

 

「そうか、確かにあのヴァナルガンドの団員を殺したのは私だ。どうだ?憎いだろう?私が?ヴァナルガンド?」

 

「は?そんな事を知るか」

 

「あ?」

 

 

「俺は弱い女が嫌いなんだよ!!!」

 

 

「ベート・ローガ」

 

「・・・・・・・」

 

 

ベートはリーネ達のことは何も想っておらず、弱い女なら価値無いと捨て言葉を吐いた

 

弱い女であるならもうどうでもいいと、どんな事を言ってもベートには何も感じず、例え自分を愛していようが弱い者であるなら自分には関係ないと投げ捨てた

 

俺はこいつがこういう奴だとわかっているから、俺は理解していると何も言わずにグラムを構える

 

 

「お前の言いたいことはそれだけだな?お前が誰を殺そうがどうでもいい。お前もここで死ぬんだ。今誰が死のうが俺には関係ない」

 

「け、英雄様の癖に冷たい言葉を吐きやがる。まあいい・・・・・私らの目的は鍵さえ手に入ればいいが・・・・・その前に『消さなくちゃな』。その『邪魔』を」

 

 

「っ!まさか・・・・・お前も鍵か?だとするなら・・・・・」

 

 

俺はヴァレッタと言う女が今突然言った言葉にあることの気づいた

 

鍵を狙っているのはわかった。これ以上クノッソスに入らせないためだろう。鍵を探しているのは明白。でも奴は俺が持っている事に気付いていない。だが今こいつは邪魔を消さないと言った。

 

こいつが暗殺者の派閥に依頼してまでここへ呼んできた目的に

 

俺は気付いてしまった。だとするなら今ここ『歓楽街』は

 

 

「ベート!そのレナ・ナタリーをしっかり守れ!」

 

「あ?なんでだ!?」

 

 

「奴らの目的は元イシュタル・ファミリアのアマゾネス狩りだ!!」

 

「っ!?」

 

「え!?」

 

 

「ちぃ!気づきやがったか、流石は英雄様ってわけか!そこに居るアマゾネスを殺せ!!!イシュタル・ファミリアの元団員を皆殺しにするんだ!!!」

 

「「「「「「はっ!!」」」」」

 

 

「来るぞ!ベート!レナを守れ!でないと彼女が死ぬぞ!」

 

「くそ!なんでこうなるんだ!」

 

「なんで私が!」

 

 

一斉にセクメト・ファミリアの暗殺者が特攻してきた

 

俺は気付いてしまった。奴らの目的は鍵を探しにきたのだが、もう一つ理由がある。それがアマゾネス狩、これ以上鍵の有りかを知る情報源そのものを口封じをすると言う事で、イシュタルが居なくなった今、イシュタルの元眷属が誰かに鍵の有りかを他の誰かに言ってしまう可能性が高いとヴァレッタは感づき

 

同盟を組んだイシュタル・ファミリアの眷属を。主神が居なくなったのなら用済みだと、これ以上鍵の情報を流さないためにもイシュタルの元眷属を一人残らず殺す作戦を立てたようだ

 

 

「私たちが狙われている!?」

 

「お前たちがタナトスと手を組んでいたことを眷属であるお前らが知る由もないかもしれないが、俺たちがイシュタルを天に帰したから、同盟は破断。そしてそのイシュタルが天に帰ったことでお前たちはタナトス・ファミリアからすれば邪魔者。もしかしたらタナトス・ファミリアに繋がる情報を持っているかもしれないと、これ以上情報を流さないために、元団員だったお前を皆殺しにする気だ!!」

 

「じゃあ今ではオラリオ中が!」

 

「ああ。おそらく元イシュタルの団員だったアマゾネスがセクメト・ファミリアに襲われているはず」

 

「今頃フィンたちも気付いて迎撃しているはずだ」

 

 

「は!気付いても、もう遅いぜ!ヴァナルガンド!!!」

 

 

「ぐ!」

 

「ベート!」

 

「ベート・ローガ!!」

 

 

一斉に襲いかかるから、俺でも対応が難しい。なにせ俺やベートではなく、レナに攻撃をしているからだ。自分一人なら簡単に片付けられただろう。でも俺も他者を狙われているのだから動きとしてもただ殺すだけでは守れきれない。レナの周りに付かねば、レナが死ぬ。しかもレナやベートも、今建物の後ろにスヴェルヘイムで守れているアフロディーテやペルセフォネやフィルヴィスも居て。デカイ魔法を発揮することができない。ムスペルヘイムもニブルヘイムも使うにしては周りの被害が大きく出る

 

完全に足場を取られたとしか言いようがない。

 

今頃、街ではセクメト・ファミリアが総力を上げてイシュタルの元眷属を殺しに行っているに違いない、フィンやアイシャ達が迎撃をしていると思うが、どの道このままでは俺たちがレナ・ナタリーを守ることはできない。全方位に暗殺者が居るこの場を切り抜けるには一つ

 

 

「ベート!俺が囮になる!お前はレナ・ナタリーを連れて逃げろ!」

 

「は!?なんで俺がお前を置いて逃げなければならないんだ!?」

 

「いいから行け!レナ・ナタリーが本気で死ぬぞ!それでもいいのか?」

 

「でも雷帝!この状況でどうやってあなたが囮になるの!」

 

 

「こいつらはまだ『知らない』。だからこれを出せば俺が標的になれる!」

 

「おい!?テメエまさか!?」

 

 

この面倒な状況を切り抜けるには、少しでも俺に標的になれば片付けられる。周囲の者を安全な所へ確保するには、俺がやりやすい場所に移動するしかない。こんな戦法も奴らの作戦かもしれないが

 

こちらには、奴らが欲しい物を持っている

 

 

「おい!これを見ろ!」

 

 

「っ!?クノッソスの鍵!?しかも二つも!?テメエが持っていたのか雷帝!!」

 

 

「こっちに来い!お前らの目的の物を持っているぞ!欲しければこっちに来い!」

 

 

「くそ!テメエらは私と来い!その他はそっちでヴァナルガンドとアマゾネスを襲え!!」

 

 

「ジーク!テメエ!く!」

 

「ベート・ローガ!少しでも数は減ったよ!」

 

「くそ!ここでも俺はジークに助けられるのかよ!」

 

 

「そんなことを言っている場合じゃないだろ」

 

 

 

そう言って俺はベートたちと離れた

 

ヴァレッタとか言う女と複数の暗殺者をこちらに引きつける、あとはベートとレナで残った暗殺者を殺せるだろうとそちらはそちらで任せる

 

俺がやり易い場所へ移動すれば、この数も俺の魔法で消せると、なるべく周りに被害が出さない場所へ移動し

 

着くと、俺はグラムと構え直して、追ってきたヴァレッタたちに向き合う

 

 

「さて・・・・ここまで来ればいいだろう。ここまでしてきたからには、必ずお前たちのファミリアをも壊滅させる、手始めに今ここに居るお前たちを殺して、その後にセクメト・ファミリアを殲滅する予定を入れた」

 

 

「け、英雄の癖にとんでもない言葉を出しやがって、レベル6の英雄様でもこの数はやれないんじゃないのか?」

 

 

「はあ・・・・・・本当に理解の無い、狂った女だ」

 

 

「あ?」

 

 

「お前たちなど『烏合の衆』に過ぎない。それ程お前達は取るにたらない。これだけの人数を用意して、俺を囲むなど。死に来ているとしか思えない。数が多ければ勝てると思っているのか?それに・・・・・・」

 

 

そう、ここまで追いかけるのはまずかったとヴァレッタたちは気付いていない。

 

なぜならもうここは俺の罠の設置場所。と言うより、もう『発動』している

 

 

「俺の氷魔術がもう発動している」

 

 

「あん?魔術?・・・・・っ!?」

 

「これは!?」

「あ、足が凍っています!?」

「いつの間に!?」

 

 

「気づくのが遅い時点で、お前らの敗北は決まりだな」

 

 

俺はここに移動し、着いたと同時に『ニブルヘイム』のルーン文字を地面に投げていたのだ。そして俺以外の特定の敵だけを凍てつかせる。おかげで足だけを瞬時に凍った。それに気づかないとは、レベル5のヴァレッタも哀れな者だと思った

 

もうこいつらの下らない話にも聞きたくない。だからさっさと終わらせる

 

 

「くそ!くそ!」

 

 

「無駄だ。お前ら如きではその程度の氷魔術でも砕けない。もうお前らの話など聞きたくないから、全員消してやる。死んだ後はタナトスにでも生き返らせて貰うんだな、とは言っても、あいつは『下界の子供を殺したい』だけのただの死神だがな」

 

 

「くそ!!雷帝!このクソ英雄様が!!」

 

 

もう全員動きは止まっているなら、簡単に殺せる。ここでムスペルヘイムを使っても構わないが、これ以上歓楽街を壊せば、またしてもペナルティを増やしかねないと、またヘスティアに叱られるのも御免だ。だから直接グラムで殺した方が周囲に被害が出ないと、面倒だが一人残らず消すことにする

 

 

だが

 

 

 

「本当に面倒な事をしてくれるわね・・・・タナトスも、セクメトも」

 

 

 

「っ!アフロディーテ・・・・・・サークルに出るとは勝手な事を・・・・」

 

「すまない。ジーク」

 

「アフロディーテ様がもう待つのを飽きたと・・・・言うものだから」

 

 

「なに!?なんだその別品な女神は!?」

 

 

突然アフロディーテ が出てきた。その後ろにペルセフォネとフィルヴィスも出てくる

 

どうやらもう待ってられずに、スヴェルヘイムのサークルから勝手に出てきたようだ。まあヴァレッタたちと言う突然の乱入者がいなければすぐに済むはずが、これが乱入して長引いたせいで、流石のアフロディーテも待ってられないと、当然の退屈だった

 

 

「おお!」

「なんだ!?あの女神は!?」

「う、美しい!?」

「ああ!是非とも触れたい!」

「どうか・・・女神様!」

 

 

「ん?あら?私に触れたいの?そうなの、じゃあ・・・・・」

 

「アフロディーテ。お前まさか・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「自分の首にそれを刺してくれないかしら?そしたら私が愛してあげる」

 

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

 

「だろうと思った。フィルヴィス!」

 

「わかっている!ペルセフォネ・コレー!目を塞ぐんだ!!」

 

「まさかアフロディーテ様の魅了!?う!」

 

 

アフロディーテがセクメトの暗殺者が自分を物欲しがっている。だから今手に持っている『カース・ウエポン』で自分の首を刺せと魅了する。

 

もうアフロディーテはイライラしているのだ。せっかくのデートを台無しにされて怒り奮闘だ。

 

それを邪魔したセクメトの眷属を自分に触れさせるなど、嘘であり。死んだ状態なら触れてもいいと、魅了の言葉でセクメトの暗殺者を誘惑した

 

もちろん俺も、アフロディーテの態度にすぐに魅了を使うとわかっていたから俺はフィルヴィスに、近くに居る人殺しを見る事を好まない一般市民同然であるペルセフォネの眼をフィルヴィスが手で塞いで後ろの方へ向ける

 

 

そして誘惑されたセクメトの暗殺者は

 

 

「「「「「うおお!!女神様のために!!」」」」

 

「おいバカ!!その女神の魅了されるな!ぐ!」

 

「「「「「女神様!愛してください!!」」」」

 

 

そうしてアフロディーテの言葉のままにセクメトの暗殺者は自分の首をカース・ウエポンで刺した

 

もちろん一度刺せば、呪いを解く魔法でなければ治せないため、治すことも不可能なまま全員息の根を引き取ってそのまま倒れた。アフロディーテの命を捧げたのだ。だがアフロディーテが嘘を付いたと気づかないまま、これが自分たちへの罰だと気づかないのは、余程の哀れにしか俺には感じなかった

 

でもヴァレッタは魅了しなかった。おそらく女だからとあまり性欲とかがなく、もしくは人を殺す快楽を味わったせいで、狂った性格だからなのか、アフロディーテの魅了を保ったと思っている

 

 

「くそ!こんな所でここまで追い詰められるなんて!」

 

 

「運が悪かったと、自分の不運を呪え!」

 

 

「ぐう!!ぐはああああああああ!!!」

 

 

そうして身動きが取れないヴァレッタに俺はグラムで胸を切り裂いた。その衝撃でヴァレッタの足を凍らせていた氷も砕いてしまい、止め刺さないままヴァレッタは胸を左手で抑えながら後ろに下がり、建物の屋根に着地する

 

 

「くそ!くそ!くそ!くそおおお!!おのれ雷帝!今は退散してやる!次こそテメエの首を斬って、鍵を貰うからな!」

 

 

「逃げるか、判断は正しいな」

 

「追いかけないの?アドニス」

 

「必要ない。それに俺はお前たちのデートをするのが本来の目的、まあこんな事になっては続けるのは難しいだろうがな、フィルヴィス。ペルセフォネをこちらに向けるな。今死体処理をする」

 

「ああ、ペルセフォネ。目を開けてもいいが、こちらを見ないように・・・」

 

「はい・・・・フィルヴィスさん。あんなのがオラリオに?」

 

「デメテル ・ファミリアはギルドを通してない商業系ファミリアだから知らないかもしれないが、ああいう暗殺者がオラリオには確かに実在されている。それがセクメト・ファミリアだ」

 

 

ヴァレッタを追わずに今この場で処理をしなくてはならない。このセクメトの暗殺者の死体をそのままにする気はない。燃やして完全に処理する。その間にフィルヴィスがペルセフォネにセクメト・ファミリアについて説明する

 

 

「フィルヴィス。私にも説明して欲しいわ。セクメトがファミリアを結成したのは暗殺系ファミリア?」

 

「はい。暗殺者集団で構成されている犯罪系派閥、それがセクメト・ファミリアです。主に眷属を暗殺者へと育成し、依頼にあった者から暗殺を企てる派閥です。ギルドにはもちろんテロリストとして認識していますが、ギルドも仕方なくその暗殺を頼む非常手段もありまして、派閥を潰さない代わりに汚れを仕事を引き受ける条件でギルドから生かして貰っているんです」

 

「そんなのがオラリオのファミリアなんて・・・」

 

「セクメトらしいファミリアね。やられたらやり返す復讐者の女だからね。家庭では穏やかな女なのに、妬みだけは他の神々よりも底が違うのよね」

 

 

「だとしても、この事件が済んだ後で俺はセクメトを潰しに行く」

 

 

「ジーク。処理は終わったのか?」

 

「ああ。あいつの居場所は知っている。だから俺一人で自らあの女のところに行って消してやる。もう俺は眷属に手を出した。妬みに強い女なら、必ず俺の仲間も暗殺を企てるはずだ。こちらもやられらたやり返すのみだ」

 

「セクメトのことだからそうするでしょうね。雨が降りそうだけど、もう一旦にホームに帰る?」

 

「いや、まだ気になる事がある」

 

「あのヴァナルガンド、どうなったでしょうか?」

 

「ああ。私も気になる」

 

「あの狼の坊やね」

 

 

「ああ。問題ないと思うが、すぐにベートたちが居たところに戻るぞ?あいつはともかく・・・・・・『レナ・ナタリー』が無事でいるのか、気がかりだ」

 

 

俺たちは今になって雲行きがおかしい空である状況の中、俺たちはベートたちの今戦っていると思われる所へ戻る

 

一つ気がかりな事があるからの理由である

 

 

それはベートと共に居た、レナ・ナタリーが無事でいるかだ

 

 

奴らの目的は元イシュタルの眷属であるアマゾネスを暗殺する事。レナ・ナタリーはレベル3。先ほどのセクメトの眷属もレベル3でカース・ウエポンを所持していた。どう考えても数で押されれば、いくらベートが付いてくれても命の保証はない

 

 

それに、あいつが他人を『守れるはずがない』

 

 

だからすぐさま急いで、ベートたちの所へ先ほど戦った場所に移動する

 

 

 

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