ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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二人のジョーカー

 

「いいかベート?臆するな。一人残らず殺せ。レナ・ナタリーを守るために」

 

「テメエに言われなくも・・・わかってんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

雨の中、一匹の銀狼が雄叫びをした

 

これは狼の怒りのサイン。咆哮を唸ったからには今セクメトの暗殺者も近くにベートが居ると気配があるか関係なく気付くだろう。だが今は姿を眩ましても無駄だ。こうなったベートを止められるのはウチで俺かアイズかフィン達幹部のみだ。

 

傷を負った狼が怒り出したら、どうなるか

 

 

「奴らに思い知らせろ」

 

「がああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

ガコン!!!とベートはその場で立っていた地面をジャンプしただけでヒビが入り、狼の如く、獣の如く、凶狼の如く。瞬足で動いた。建物の屋根を飛び回る。不穏に動く者をベートが見つけたら

 

 

「見つけたぞ!!!」

 

 

「「「「ぐわあああああ!!!」」」」

 

 

「やはり暗殺者がまだこの歓楽街に残っていたか」

 

 

ベートは迷わず殺す

 

狼人はどの獣人よりも、本能に動く生き物だ。狼同様である。特に腹を空かした狼は獲物をこの手で喰らいつくまでは走り続ける。ベートが怒ったら、仕返しをする相手は一人残らず絶対に殺す。獲物は絶対に逃さない。それがあいつだ

 

ヴァレッタは水路だろうが地下だろうがどこだろうが、退路を用意しても無駄だ。ベートが怒ったからには絶対に獲物は逃さない。特に

 

 

大事な女を取られた時は、最上級にな

 

 

「おお、派手にやっているやな」

 

「ロキか?」

 

「リヴェリアの話を聞いておったんやけど。ホンマにジークが一緒に居るとは驚いたや」

 

「こちらも敵に狙われている、今は協力して相手を殲滅する。お前でわかる言葉で言うなら・・・・・・・・・『ジョーカーが二枚』再び揃ったってことだ」

 

「なるほどな・・・・・こりゃあ敵に勝ち目なんてあらへんな・・・・・『ジークとベートが揃って』はな」

 

 

後ろからロキが出てきた

 

手に肩掛けのバックを持っている。おそらくポーションと食べ物が入っていると推測した。今この場にロキが出てくる事に俺は驚きはしないが、ロキ本人はまた俺とベートが『共に戦う』姿が見れるなど、思いもしなかったのか、こんな状況でも笑っていた

 

 

「水路とダイダロス通りはフィン達は警護をしているん。それとこれな。中にポーションと肉果実が入っとる。必要ならジークも食べや。それくらいの量は入っとるから」

 

「そうか、すまない・・・・・と言いたいが、あいつがアレでは要らないかもしれないぞ」

 

「ああ、そうやろうな・・・・ウチのエースが『またジョーカー』になったんや。そしてウチの・・・・正確には元のやけど、『もう一人のジョーカー』がおるん。それだけでもう相手に勝ったも同然や」

 

「だからと言って余裕を見せる気はない。相手は確実に一人残らず消すのみだ」

 

「ホンマにそのやり方がまだ生きとったんやな。フィンの言うとおりやったやな」

 

「俺たちに加勢を付けるつもりだったのか?」

 

「そうなんやけど・・・・要らへんやろ?アイズたん達に自分とベートが敵を殲滅しに行った聞いた時、フィンはこう言っていたんや」

 

 

ロキやフィンもわかっている

 

いや、ロキ・ファミリアの団員なら俺とベートが揃ったらどうなるか、言うなら『混ぜるな、危険』とでも言うようなものだ。何が言いたいのかと言うと。それは

 

 

「『ウチの最強のジョーカーコンビが揃った』。もう誰も止められない。誰も勝てない。ってフィンは加勢などせずに、全てベートの一任にするって言ったんや」

 

「フィンも俺とベートが共に居たらどんなことになるか、わかっているようだな」

 

「そういうことや。歓楽街に住む娼婦達は建物の中に出ないようにしているで。ここから先は存分に暴れてええで。ギルドの方にはウチとフィンで言い訳しているから大丈夫や」

 

「その方がいいだろう。被害が出ることだけは覚えておいてくれ」

 

「おおきに、派手にやってやりや」

 

「言われるまでも無いとは思うがな。あれではな」

 

 

ロキはそれだけを言って去っていく

 

フィンもベートのためにいろいろ手を回しているようだ。今頃ヴァレッタとか言う女の退路を塞いでいるのかもしれないが。

 

全て無駄だ

 

退路を用意しても逃げても、襲い掛かるベートに陣形を整えても無駄。標的を補足してもベートの速度に追いつけない。暗殺者は密かに殺すのが特則な職業だが、ベートはそれよりも早く絶叫と共に消えていく。

 

『仲間を背負った』ベートは負けない。『傷を背負った』ベートは負けない。『弱さを背負った』ベートは負けない

 

そう

 

 

「ベートは守る者がある限り戦って勝ち続けるんだ」

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

「う、うわあ!?」

「おのれ!!」

「数で圧倒する!!」

 

 

「わかってないな。もうお前達は・・・・ベートから逃れられない」

 

 

もう手遅れだ。不器用過ぎる馬鹿だが、それでも仲間のために必死だ。

 

仲間を死なせたくない想いでのベートの怒り

 

お前達はそれを触れたことでもう生きることは叶わないだろう。例え暗殺者として特殊な訓練をされていようが、洗脳に近いことをされて感情に出さなくされようが無理な話だ。今目の前に狼が居る以上は、もう逃げることすらできない

 

狼は獲物を必ず喰らうまでは止まらないのだ。もうこの戦況はベートのものだ。レベル2の暗殺者程度では数多くても弱い。敵わない。

 

 

「ヴァレッタとか言う女。本当に馬鹿なことをしたな。本当に俺はあの女ことは全然知らないが、今まで殺しをたくさんして楽しんでいたのは明白。そういう眼をしていたからな。だが、もう今度ばかりは自分が殺されることになる。今まで人殺しをした報いでもあり、お前の愚かな罪だ。ここに・・・・・・・一匹の狼がお前を餌になるからだ」

 

「うおおおおおおおおおおおオオオオオオオ!!!!!」

 

 

頬に付いている赤い牙のようなタトューがあるが、それは牙ではなく、家族や恋人やリーネを亡くした『深い傷』。牙を磨き上げても全員は守れない。仲間にも相談すればいいのに、一人で抱えて牙を磨き上げても、一人の力だけでは守れない。その現実をわかっていながらも仲間を暴言を吐き、弱さを決して見せなかった。何もかもが不器用なベートだが。それでも仲間を守ろうと必死にしていた。

 

誰かを守れる力が欲しいと、今は牙や爪に血を染めて戦う

 

戦い狂ったベートが暴れ尽くす。ベートを襲う暗殺者は次から次へとベートに返り討ちにされる。しばらくそれを続けると

 

 

 

突然ベートを襲う暗殺者が出てこなくなった

 

 

「暗殺者が急に出てこなくなったな・・・・・雨も降らなかくなった」

 

 

ベートが暴れ回り道端に居る暗殺者を一人残ららず殺したせいなのか、急にセクメトの暗殺者が出てこなくなった。その間にもう雨も止んだ。晴れてはいないが、それは曇りだ。雨が降らなくなったのはよりベートの鼻で感知できやすくなったが、体勢を変えたのか、一向に出てこなくなった

 

だが

 

 

「ん?あれは・・・・」

 

 

俺も探そうと、感知の視野を広げて捜索しようとしたのだが、俺の横、建物の間に動体を引き裂かれた暗殺者の血でメッセージが書かれていた。内容は

 

 

『雷帝、凶狼、宮殿地下に来い!招待してやる!』

 

 

「ほう・・・・・罠に誘い込む気か、ベート!」

 

「あん?今敵を探して・・・っ!あの女のメッセージか?」

 

「そうらしいな。罠ではあるが・・・・・・当然迷うことなく行くだろう?」

 

「ああ、罠だろうが、それすらぶっ壊す」

 

「罠であろうが、敵の居場所がわかるだけマシだろうな。向かうぞ」

 

 

宮殿地下、と言うのはイシュタル・ファミリアホームの地下のことである。そこで罠を張っているか、陣形を取っているのか二つ。どっちにしても俺やベートには関係なく、何があっても突破するだけだと、迷うことなく向かうのだった

 

 

ヴァレッタが誘い込んでいる場所はかつてイシュタル・ファミリアのホームにして宮殿

 

ベーレ・バビリと言う女神の宮殿。その宮殿の入り口に入ると

 

 

「っ!ベート。暗殺者の遺体だ」

 

「芸がねえな」

 

「この遺体の血がこの先に流れている。間違いなく自分の居場所を案内しようとしている。罠であるのは間違いないな」

 

「だとしても進むしかねえだろ」

 

「当然だな」

 

 

宮殿の通路に数名ほどの暗殺者の遺体が転がっていた。その遺体に流れる血が宮殿の奥まで流れている。案内のつもりで部下の血を流させて罠に嵌めようとしているのがわかる。だがもう何があってもあのヴァレッタとか言う女を殺すために、罠であろうとその血が流れた先に歩いていく。その流れる血の先まで歩くと。地下に続くような下り階段がある。ここにも血が流れていた。その階段を降りる。そしてその先に広間のような部屋が目の前に現れる

 

その広間に入ると。柱が数本ある部屋に入る。

 

すると

 

 

「よく来たな!雷帝!凶狼!」

 

 

「テメエ・・・」

 

「追いかけに来たぞ。ヴァレッタ」

 

 

柱の裏からヴァレッタが出てきた。どうやら俺とベートが追いかけるのをわかっていたのか。不意打ちを狙って隠れることなく、潔く正面に出てきた。だが胸に包帯が巻かれている。傷は癒えてないようだが、応急処置だけして俺の先程の一撃を耐えているようだ

 

 

「さっきぶりだな雷帝。だが今度は私が仕返しさせてもらう・・・・ぞ!!!」

 

 

「っ!?」

 

「これは・・・・・結界か」

 

 

突然ヴァレッタの足から蜘蛛の柄をした魔法陣のようなものがこの広場全体の地面に広がる。

 

 

「ここでならお前らの仲間も来ねえ!さあ来いよ!」

 

 

「ほう・・・・・少しは俺たちを殺すために工夫をしてきたようだな。カースの類であるのはわかる。だがこんなものを出されても俺たちは引き下がらない。だろベート?」

 

「ああ!!テメエをぶっ殺す!!!」

 

 

結界を出されようが関係なし、俺たちはただ目の前にある敵を殺すまで。こんな結界を張られても関係なし。ただハンデが付くだけ、その程度で迷うことなく俺たちは正面から挑むのだった

 

だが

 

 

「ふん、雷帝も居て私だけで相手すると思うか?」

 

「っ!これは・・・・・仲間が居るな」

 

「あ?誰だ?」

 

「用心棒様!出番だぜ!」

 

 

ヴァレッタは加勢を呼んでいた。俺の感知でも数人の暗殺者がこのルームに隠れているのを気づいたが、その中で最も魔力の高い人物が、目の前のヴァレッタよりも強い女が居る。その人物は・・・・・

 

 

 

 

 

「おい。アリアは居ないのか?」

 

 

 

「っ!?」

 

「お前は・・・・」

 

 

「ひゃはははははははは!!私らだけで相手するわけねえだろ!用心棒様!相手はあの英雄様だぜ。相手をよろしく頼むよ!」

 

 

「まさか・・・・・・お前がダンジョンから出てくるとはな」

 

 

ヴァレッタの後ろから出てきた赤い髪の女。クリチャー・レヴィス

 

エニュオの暗殺者。イヴィルスの残党であり、魔石を食べて能力を強化する魔石が産み込まれた人型の怪物。今奴はアリアと呼んだ。アイズの事を言っているのだと思うが、少なくとも精霊に関わりのある女だと確信する

 

そしてこいつは俺にとっての因縁

 

 

「タナトスがお前の援護をしろと頼まれて来てみれば、相手に苦戦しているようだな?」

 

「仕方ないだろ。相手はレベル6二人で、一人はあの英雄様だ。用心棒様の力も必要なんだよ」

 

 

「お前がここへ来るとな」

 

「あ?ジーク。お前あの女のことを知っているのか?」

 

 

「またもこんな所で会うとはなアリアの仲間。もう一人は・・・・・・・・っ!?」

 

 

「なんだ?ジークの顔を見て驚いているぞ?」

 

 

「ジーク・・・・やまりお前はジークなのか!?」

 

「そうだ。二年ぶりだなレヴィス」

 

 

俺とレヴィスは二年前殺し合った

 

因縁があると言うのは。二年前俺は一人でダンジョンに入った時のこと、その時に俺は奴と11階層で出会い。俺は奴に理由も言わずに襲われ殺され掛けた。そんな理不尽なことから俺は怒り出し。カオス・ヘルツで叩き潰した

 

その時から彼女は幾度も、俺が一人でダンジョンに潜る度襲ってくる。幾度も俺は奴をカオス・ヘルツで潰す。あと一歩殺せそうな所で逃げられる。そして奴の正体を知った。フレイから教わった人に魔石を埋め込まれた怪物クリーチャーだと

 

あらから二年経ってもこいつはどうやらダンジョンの中で潜んでいたようだ。クノッソスを俺なりに調べて、エニュオの部下になったことも、昨日傷だらけになったフィンを追い込んだことも知っていたが

 

まさか奴が地上に出てくるとは思ってもいなかった。まあこいつは人の姿をしているから地上には好き放題出られると、姿だけでなら誤魔化せるとはわかっていた

 

 

そして二年ぶりに出会った。レヴィスは

 

 

「ふふふふふ」

 

「用心棒様?」

 

「ふははははははははははははははははは!!ふはははははははははははははははははははははははははは!!!」

 

 

「笑いやがった・・・」

 

「あいつは俺を見ると、ああなるからな。二年経っても変わらないな」

 

 

「なんの冗談だ。おい」

 

「ジーク!今までどこに居たんだ!私はお前が居なくて寂しかったぞ!」

 

 

「この世全てが無価値だと。何も興味もせず無感情のお前が、相変わらず俺の時だけは態度が違うんだな」

 

「おい。あいつ、お前にはあんなことを言うのか?ていうか知り合いだったのかよ」

 

「二年前一人でダンジョンに挑んだ時。何度も奴に襲われた。そしてカオス・ヘルツで何度も返り討ちにした。そしたらあいつが中毒になるように俺に挑んで来る。俺を殺すのか殺さないのかハッキリせずにな。ただ言えることは・・・・・・あいつは俺と殺し合うのを楽しんでいる」

 

 

「ああジーク。お前は二年前よりも。更に強くなっているのがわかる。何より美しい。この世で最も綺麗な者だ」

 

 

「興奮してやがるぞ!?」

 

「これがこいつの人間らしさだがな」

 

 

戦闘狂な女。とでも言う者だろう

 

俺が暴言を吐いても喜び。痛め付けても喜ぶ。まさしくドMとでも言うのだろう。他の者には無感情だと言うのに、俺のことだけは興奮してでも意識する。そんなに美しいとは俺は思えないのだがな

 

 

「私はジークを狙う。アリアの仲間が目の前に居るが。最優先はジークだ。私があの者と殺し合う。邪魔するな」

 

「そうかい。それじゃあ私はヴァナルガンドだ!!!」

 

 

「ベート。ヴァレッタと暗殺者たちを頼む」

 

「ああ。今更加勢が増えようが。まとめてぶっ殺してやる!」

 

 

「用心棒様。相手はあの英雄様だ。最悪鍵でも盗んで逃げようぜ!」

 

「どうでもいい。私はただジークと殺し合いを楽しむだけだ。さあ殺り合うぞジーク!私をお前の攻撃で満たしてくれ!」

 

「ち、マジで雷帝にしか眼が無え。目的を見失いやがって、楽しみすぎて鍵を壊すなよ!」

 

 

「またお前と殺し合わねばならないとはな、本当に俺に執着する女が・・・多すぎる」

 

 

そうして俺はレヴィスに二年ぶりに戦う。

 

レヴィスもカースウエポンを持っている。俺にカースなどスキルで通用しないが、斬れ味の強い大剣であるのは事実。特殊武器だから魔剣グラムでも壊せない。確かに二年前よりも遙に強くなっているのがわかる

 

剣を交えて強さのレベルとしては俺と同じレベル6辺りだ。

 

間違いなくレベル6のアイズとフィン達にも負けない力を持っている。あいつらが一度は負けたのもよくわかる。食人花はここまで呼んできたら、俺も全開を出さなければならない。今は俺と剣を交えることに集中して他のモンスターを出す気はないようだ

 

 

ベートもヴァレッタと暗殺者達の相手に苦戦をしている。

 

奴もカースウエポンを所持している。まともに傷でも負われればその付けられた傷が癒えない。そんな攻撃を少しでも当てられる訳にもいかないと。ベートでも慎重に戦っている。特殊武装と言うのはそれほど厄介な武器。ヴェルフの魔剣程の威力はある。でもなぜ奴らがこんな強力な武器を製作できる鍛治師など、いや・・・・・・呪いそのものを武器に宿らせるヘクサーと呼ばれる『呪術師』は

 

 

おそらく今現団員であるタナトスの眷属。『バルカ・ペルディクス』が製作したに違いないと思っている

 

 

奴の家系が長年人工ダンジョンを建設してきたのだ。これくらい問題なく作れると。芸術家でもある奴なら可能だと俺は仮定している。レアカース程のカースウエポンを作れるとは中々な者だと

 

テロリストを褒めると言う形にもなるが、敵として油断できない相手だと思っている

 

 

 

でも、その割には『俺のレアカース』よりは弱いなと、すぐ呪いを解けると俺は対抗策を用意してある

 

だから

 

 

「ふ!」

 

「く!?」

 

 

レヴィスの攻撃など、もはや俺に通用しない。二年前も同様剣の扱いは変わらない。変わっているの威力だけだ。クリーチャーらしいとは思う。魔石を体に口にしただけでは、俺には勝てない

 

 

「ふふふふ・・・やはりお前との戦いは・・・アリアと戦っているより楽しいぞ!」

 

「クリーチャーの癖に戦いを楽しむ感情があるとはな。意外だな」

 

「ああ、私はお前との戦いだけは楽しい。二年前よりもだ。また一段と私より力を感じる。だが私は少しお前に今疑問を感じたんだ」

 

「なんだ?」

 

 

レヴィスは今剣を交えて、俺に何か異変と思うような事を感づいたようだ。それがなんなのか聞く

 

 

「お前は本当にヒューマンなのか?私たちクリーチャーではないが、少なくとも私以上の化け物だと感じる」

 

「・・・・・・・・」

 

 

やはりレヴィスなら気付くと思った。半分は人間でそのまた半分は怪物の体。だからこそなのか野生の感覚なのか、俺が『化物』だと気づいたようだ。二年前ならただヘルを殺しただけのヒューマンに過ぎないと気付くだろうと思ったが、

 

まさか『そっちの方』に気付くとは思わなかった。伊達にモンスターの魔石を命にしているから、繋がりとして俺が『モンスター』だと気づいたのだろう。それがなんなのかわかってはいないようだが

 

でも、ここまで気づいたら俺は告げる

 

 

 

「そうだな、少なくとも・・・・・・・お前ら『下等生物』と一緒にされたくはないな」

 

「っ!?ジーク・・・・お前は・・・・やはり!?」

 

「モンスターの一部であることは事実だ」

 

 

 

俺はレヴィスに『竜の眼』で睨んだ。レヴィスでも恐怖を感じる。やはり奴がどんな強者を多く思い知らせてきたのがわかる。でなきゃあの『二つのファミリアが全滅された』事なんて無いだろうからな。それを殺した俺は奴同様に恐ろしいモンスターになったと、『奴の心臓』を喰らった時点で人間としての体はしてないと

 

もう変わりつつはあった

 

 

「ぐ!」

 

「っ!ベート!」

 

「油断したな!ヴァナルガンド!!」

 

「アリアの仲間が追い詰められているな」

 

 

「まったく」

 

「っ!?ジークどこへ行く!?」

 

 

ベートがやられ掛けているため、援護をしに行こうと。どうでもいい奴だが、使えない奴ではないと一応助けに行く

 

 

「邪魔だ」

 

「ぐう!?雷帝!?テメエ!!」

 

 

「無事か?」

 

「うるせえ!余計な・・・事を・・・・」

 

「傷を負わされたか、雑魚だと思って油断するからだ。それと・・・・・気付いているだろ?」

 

「ああ・・・・・なんで『俺の動きが鈍くなってやがる』!?」

 

「奴の結界魔法だ。ヴァレッタのな」

 

「ち、わかってはいたがな」

 

 

能力を徐々に下げる結界魔法。それがこのヴァレッタの魔法

 

このルームの地面に貼られた蜘蛛の巣のような結界、その結界から無数の糸のようなものが俺とベートの体に徐々に絡まり、どんどん俺たちのステイタスが下がっていく。さっきから俺もレヴィスの攻撃を防ぐのも辛くなっている。

 

だから

 

 

「テメエら!魔剣を使え!」

 

「「「「は!」」」」

 

 

「魔剣か!?」

 

「そうだろうな、でなければ俺達をこの結界だけで倒す訳がない」

 

 

「ジーク!私を無視するな!お前の相手は私だ!」

 

「だろうな。ふ!」

 

 

この結界の中では俺たちは糸に捕まった餌も同然。だからかなり俺も辛く。反撃に出ることができない。もう俺もベートもレベル4並のステイタスまで下がっている。数値で考えるならもう普通に勝てないと思う

 

 

「ははははははは!!私のシャルドーはステイタス降下!私が認めた以外のやつが結果内に侵入した奴は、そいつの力と動きを強制的に下がらせる!その効果は敵が動き回った分だけ重ねがけされる。動けば動くほど私の魔力は見えない糸になってお前らを束縛する!」

 

「そうか、ご丁寧にこの魔法の詳細をしてくれて感謝する。流石は『死に損ない』だな」

 

「なに!?」

 

「このような愚劣をしなければ相手に勝てない臆病者。自分で殺されるのが怖い。でも相手を殺したくて堪らない。そんな貧相の無い女でかつて死ぬはずだった女。ゴミも同然で矛盾の多いカスだ。その程度で意気がるとは余程の『臆病者』だな」

 

「くそ英雄が!だがテメエも私の結界で囚われていることは変わりねえ!それでも私ら用心棒様に勝てる見込みでもあるってか?」

 

「く!」

 

「ああ・・・確かにそうだろうな」

 

 

ヴァレッタと言う女がどれほどイカれた女で、殺さなければ分からないほどのゴミ屑の同然のカスだが

 

確かに俺もベートもこの結界の中では反撃することは不可能だろう

 

動けば動くほどステイタスはどんどん下がる。確かにその通りで俺もベートも中々に反撃はできない。普通ならこのままで終わるだろう。今攻撃されている魔剣の火炎弾にベートは打たれるまま、俺もレヴィスに剣で押し潰されるだけ、抵抗はもはや不可能だが

 

 

 

これでいい

 

 

「ベート。フロスヴィルトは壊れたな?」

 

「ああ・・・しっかりとな・・・・」

 

「じゃあ・・・・・あとは・・・・わかるな?」

 

「当たり前だ・・・お前もやれるんだろうな?」

 

「二ヶ月ぶりだが・・・問題ない・・・だから『貯めろ』」

 

「ああ・・・・存分にな」

 

 

「なにを言ってやがる!構うな!魔剣で燃やし尽くせ!あの英雄様もだ!」

 

「しかし!レヴィス様が!?」

 

「構うな!用心棒様はこの程度じゃあ死なねえ!いいから撃ち続けろ!」

 

「別に構わん。私も・・・・・・ジークと殺り合えればそれでいい!!」

 

 

もはや俺もベートも反撃する余地はない。けどこれでいい。

 

そう、攻撃する必要はない。なぜなら俺とベートはいつも『こんなやり方』をするんだ。本当に不服だが、やはり俺とベートは同じだ。なぜなら

 

 

「ふん・・・」

 

「なに!?ジーク!?なんの真似だ!?」

 

「剣を捨てただげだが?あと・・・・お前の剣を自分の体で受け止めている」

 

 

「戒められし、悪狼の王・・・・一傷拘束・・・二傷痛叫・・・・三傷打抗・・・ぐ・・・餓えなる延が唯一の希望・・・川を築き血潮と交ざり涙を洗え・・・癒せぬ傷を忘れるな・・」

 

「ヴァレッタ様!魔法です!?」

 

「ヴァナルガンドに魔法だと!?情報にはないぞ!?」

 

 

俺は自らグラムを捨て、体でレヴィスの剣を抱きしめて抑える。ベートはヴァレッタ達の魔剣の火炎弾を直撃ながらも魔法を唱えた。いや・・・・・あのベートが魔法を所持していた。その時点で驚くべき事

 

ギルドの情報にはベートが魔法を所持をしていたことなど無い。むしろ今まで持っておいて使わなかっただけ、幹部のフィン達も俺も含め、ベートが魔法を所持していることは知っている。でも滅多に使わない。なぜならいつも魔法を使うのは

 

 

いつも仲間を失った時だけだ

 

 

ロキ・ファミリアでもダンジョンで仲間を失う時はある。ロキ・ファミリアは比較的にどのファミリアよりも団員数は多い。でもレベルが3のみの団員がほとんど。それで幹部達がフォローしきれずにモンスターに追い込まれて助けに間に合わず戦死することが俺が入団する前はそれが多かったらしい。それを必死に受け止め、それ心の傷にして背負ってこの魔法を繰り出して、生き残った者達を守っていたのは

 

 

いつもベートだ

 

 

ヴァレッタ、セクメトの暗殺者も、ふざけた事をしてくれたな

 

むしろ自滅行為にしかならない。お前達がしたことはそれ程許されず、お前は殺す相手を選ぶのを間違えた。今お前が相手にしている俺とベートは

 

 

「雷帝!テメエも無様なこったな!ここでお前を殺して残るお前の仲間も殺してやるよ!」

 

「・・・・・・・・そうか・・・・・なら」

 

 

ヴァレッタは今の状況を有利なことに、調子づいて俺をここで殺した後はベル達をも殺すと宣言した。それを聞いたら俺もタダでは済まさない。なぜなら俺もベートと同じだ。でも少し違う

 

ベートは仲間を失った分だけ怒る

 

それと俺は比例して

 

 

 

 

 

俺は・・・・・・・仲間に手を出した分だけ怒る

 

 

 

「カオス・ヘルツ!!!」

 

「ハティ!!!」

 

 

「な!?」

 

「なに!?」

 

 

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

 

俺の体から黒い闇と、ベートの体から紅い炎が吹き出す

 

その衝撃にレヴィスや暗殺者達もヴァレッタも後ろに吹き飛んだ。俺の怒りのレアスキルとベートのエンチャントの魔法が発動し、俺とベートが吹き出した黒い闇と狼のような火炎が地面に大きなヒビが入り、それより地面が崩壊する

 

 

「「「「ぎゃああああああああ!!!」」」」

 

「「「「ああ・・・ああ・・・息が・・でき・・・ない!」」」」

 

 

セクメトの暗殺者達は俺の黒い闇を吸ったことで呼吸ができなくなり、ベートの火炎が人体の肉をも溶かすように燃えて倒れる。俺たちの怒りはタダでは済まない。俺とベートがフィンにジョーカーだと言われる理由がこれである

 

なんでも火炎で溶かすベートの炎の魔法と、どんな強敵でも圧倒する俺の絶対的な力

 

ここまで厄介な無双できるほどのイカれた能力をフィン達は俺達をジョーカーと呼び、どんな敵をも多数の敵も倒し尽くしてきた。怒りで全てをなぎ払い。仲間を想って怒り尽くす。二年前はこれであの階層主である『ウダイオス』を俺とベートで倒した。

 

仲間を守るためなら恨み尽くし、怒りで全てを破壊する

 

それが俺たちだ。

 

 

「滅びろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「くたばれえええええええええええええええええええええ!!!」

 

 

「「「「「「ぐわああああああああああああああああああ!?」」」」」

 

 

「な・・・なんだそりゃあ!?なんでこの結果の中で雷帝は動ける!?なぜヴァナルガンドは炎が増す!?」

 

「ジーク・・・お前は・・・本当に人間なのか!?・・その黒い・・闇は・・なんだ!?」

 

 

この結界の中で俺とベートは暴れ出す

 

俺はもはやカオス・ヘルツが発動した以上はどんな結界魔法も力で全て争い、例え奴のステイタスを低下させようと関係ない。なぜなら俺のカオス・ヘルツはステイタスなど関係なく相手を必ず殺す異常な力を出す。もはやステイタスは未知数。相手が確実に滅ぶまでは暴れることをやめない。腕力だけで相手の人体を首や腕をバラバラにできる

 

ベートは『ハティ』と言う。魔法を発動させ、周囲にある魔力である物を全て吸収する。しかも奴は自分の傷を負う分だけその火力をも発揮し。周囲にあるものを全て燃やす

 

これであのウダイオスにも勝ってきた

 

当時レベル1の俺でレベル3のベートで勝った必勝法である

 

 

「ただのエンチャントでなんでここまで出せる!?マジックドレインにしては吸い過ぎだろう!?いや・・・・ちげえ!?まさか自分の傷を吸収して強くなっているのか!?そしてなんであの雷帝もあんなに威力を発揮してやがる!?ステイタスは低下しているはずだろう!?」

 

「あはははははは!!!やはりお前のレアスキルか!凄いぞジーク!アリアよりも強力だ!お前が怒ったら全てのステイタス数値が限界を超え、私たちの命を絶対に殺す威力を出す。相手を必ず殺すまで止まらない!素晴らしい、素晴らしいぞジーク!!!」

 

 

俺とベートはティオナ達のスキルとは全然違う。

 

火力を際限なく高めるハティと、威力を限界突破し全てを崩壊させる破壊力を持つカオス・ヘルツは

 

 

 

 

超・強化をし続ける

 

 

「嘘だろ!?私の結界の中でなんで動ける!?なんでそこまで魔力を吸収する!?」

 

 

「「黙れ!!!さっさと死ねええええええええええええええ!!!」

 

 

「ヴァ、ヴァレッタ様!?」

「来ます!?」

 

「よ、よせ!よせ!?うぎゃあああああああああああああああああああああ!!」

 

「ふははははは!あれから二年でここまでとはな、ふはは、ふはははははは!!」

 

 

俺の黒い闇が被さった拳とベートの炎が包まれた拳が

 

ヴァレッタだけでなく、セクメトの暗殺者もレヴィスも巻き込んで。俺たちの拳で叩き込んだヴァレッタの顔面を直撃させ、そのまま壁に打ち当たり、周囲を巻き込んで俺の闇とベートの炎が。このルーム・・・・・・いや・・・・・この地下全体に広がる

 

 

「っ!?これって!?テンペスト!!!」

 

 

俺たちの後を追って、一人で追いかけてきたアイズがいち早くその闇と炎に気付いて、自分の方まで広がる闇と炎を急いで自分も防ごうとエアリアルを展開する。アイズが風の魔法を起こしてまで防がないとならない程、

 

 

俺とベートの闇と炎は、イシュタル・ホームの天井を穿ち吹き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

その天井を穿いた闇と炎が、歓楽街の空を舞っているのと、その方角から少し地震の揺れがする。それを歓楽街の外に居るロキ達が確認していた。

 

 

「炎が!?・・・歓楽街の方角から!?」

 

「どうやらベートが魔法を使ったようじゃな。しかもこの揺れ。間違いなくまたジークがカオス・ヘルツを発動したんじゃな。相変わらずワシより馬鹿力を持っておる。ベヒーモスの戦いの時でも見たが、彼奴を怒らせるのは本当に危険じゃな」

 

「ていうかベートさんに、魔法なんてあったすか!?」

 

「そういやラウルは知らへんかったやな。ベートの詠唱の魔法の在り方が自分の心の傷と向き合わせてしまうから、あいつ滅多に使えへんや」

 

「そうなんですか・・・・・でも・・・・あの黒いのは・・・なに?」

 

「あれはワシも知らん。じゃが・・・おそらくジークじゃろう。あのような黒い煙。以前の『大剣闘祭』でも出しておったしの」

 

「っ・・・・・」

 

「ん?ロキ?どうかしたんすか?」

 

「いや・・・分からへんけど・・・・なんや?」

 

 

外へ警備をしているロキ達が、歓楽街の空に舞う炎と闇を見て、俺とベートが派手に暴れているのが想像できる程、もう相手を圧倒している容易にしているとわかる

 

ベートが魔法を持っていたことにラウルもアキも驚くが、それ以上に俺が出した闇にも驚いている。それに一番驚いているのは・・・・

 

 

「なんや・・・なんで震えが止まらん?あの黒い煙のせいなんか?・・いや・・・あれは・・・闇か?」

 

 

ロキだ

 

神殺しのスキルもあり、この俺が吹き出した闇に恐怖を感じた。これは流石にガレス達でも知らない。これはこの二年で得た力だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その闇と炎が地下の天井を破壊したことで、月が見えていた。ベートは狼。月下の地で狼は獣として発揮する。獣化を果たしたベートは炎牙を剥き出しにした

 

もはや、もう止まることはない

 

ヴァレッタも、セクメトの暗殺者も、相手にしてはいけない、怒らせてはいけない生物である俺たちを嘲笑った。

 

その罪は・・・・殺しで果たす

 

 

「ぐは!!ああ・・・ああああああ・・・ああああああ!?」

 

「これでテメエは終わりだ!!テメエの雇った雑魚も全員死んだ!」

 

「最後だ。テロリストらしく、最後は人の手で朽ちるが良い」

 

「あはははは!ここまで成長しているとはな・・・・」

 

 

ベートと俺の片手でヴァレッタの首を抑えて壁に叩き込まれた。ヴァレッタはもはや見る影も無くなっていた

 

顔はズタボロに引き裂かれ、皮膚が焼かれ、もはやヒューマンとしての顔ですら無くなっていた。周囲に骨や屍が転がっている。レヴィスは違う方向で笑いながらヴァレッタが殺されるを見て壁に寄り掛かり、俺の一撃で左腕を失くしている

 

 

「ヴァレッタ。お前は散々今まで人を笑いながら殺してきたんだ。その罪はどうなるかわかっているだろうな?」

 

「テメエらは冒険者だろうがよ!?いつ死んでもいい覚悟をしている筈だ!」

 

「だからなんだ?だからお前が殺しても許されると思っているのか?確かに冒険者は自分の命を投げ出すような危ない役職だ。だが、だからと言ってお前がその者達を殺していい理由にはならない。そもそもお前らは七年前は市民も襲っていると記録に書いてあった。今更テロリスト如きに慈悲など無い。命乞いなどするな!」

 

「ヴァナルガンド!私たちが手に掛けたアマゾネスの小娘のことで憎んでいるのか!?それとも私が殺したお前の仲間か?それで私に恨みを果たすってことか!?」

 

「弱い奴が死ぬのはあいつらが弱いのが悪い。俺は憎くもなければ、あいつらのためでも、レナのためでもねえ。だが・・・・・・・・テメエみてえなクズが『リーネ』や『レナ』の事を嘲笑うんじゃねえええええ!!!」

 

 

どんな言葉を言おうが関係ない。俺とベートは絶対にこいつを殺すと。許せない

 

仲間を侮辱した罪、仲間を殺した罪、仲間を侮辱しや罪、仲間を殺そうとした罪は全て

 

 

罰と言う名の万死に値する

 

 

「散々人をお前は殺してきたんだ!!今度は自分が殺される感覚を味わえ!!」

 

「どんな事を言おうが関係ねえ!!テメエをぶち殺す!!」

 

 

「ま、待て!?私を殺したら残りの鍵の在処はっ・・・・」

 

 

「消えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「燃えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

もう片方の手で俺とベートが奴の顔面に拳が炸裂した

 

ヴァレッタを抑えていた壁もろとも粉々に壊し。ヴァレッタと言う女は、今度は骨も残らず燃えて灰へと消し済みにされた

 

 

「これで・・・終わりだ」

 

「ああ・・・・これでな」

 

 

「ジーク・・・・まさかここまでとはな・・・」

 

 

「レヴィス・・・二年前よりも魔石を喰って強くなったと思うが、それでも遠く及ばない」

 

 

「だろうな。なぜお前がその闇を出せるのかはわからないが、ここは私も退散させて貰う。ここまでとなれば私でも敵わないからな」

 

 

「っ!?待て!」

 

「いい。追うなベート」

 

「なんでだ!?」

 

「あいつのターゲットは俺とアイズだ。奴はアマゾネス狩りに関わっていない。それにもうお前も酷い傷だ。その状態であいつに挑むの自殺行為だ。あいつはまだ今は放っておいていいい。それにいずれ俺かアイズが倒すからな」

 

 

レヴィスは俺とベートが壊した地面の底へと逃げた

 

追いかける必要はなかった。奴はヴァレッタに頼まれて加勢したまでのこと。俺が持つ鍵に興味もなく、ただ俺と殺し合いをすればいいだけの戦闘狂な女。いずれ奴とまた戦う時が来る。その時に倒せばいいと俺は奴を後回しにした

 

 

「ジーク!ベートさん!」

 

「アイズか・・・今のを見ていたのか?」

 

「アイズ・・・なんでお前がここに?」

 

「心配になって、すぐ後からリヴェリア達もやってくる。ところでジーク、あの女の人を知っているの?」

 

「ダンジョンに潜むクリーチャー。お前でわかりやすく言うなら『精霊のモンスター』だ」

 

「精霊のモンスター・・・・」

 

「奴は魔石を食う分だけどんどん体に魔力が溜まり、魔石を食う分だけ強くなる。奴は二年前俺は一人でダンジョンに挑んでいた時に襲われ、奴は俺の強さに惚れ、それ以来奴は一人になった俺を挑む時があった」

 

 

アイズは心配で一人で俺たちの加勢にやってきたようだが、それよりも俺がレヴィスと関係があったことについて俺に問う。先ほどの戦いをしっかり見ていたようだ。どうやらまたアリアの魔力を手に入るからと、あの女はアイズをここ最近狙っていたのだとわかる

 

エニュオも、厄介な女を仲間にしているようだ

 

 

「あの女はお前でも苦戦していたが、ジークは・・・・・それを尽くあいつを攻め込んでやがった。本当にこいつは強え。なんでここまで強くなれるんだ」

 

「ジークが・・あの女の人を攻め込む程の強さを・・・」

 

「そんなことはどうでもいい。敵は倒せた。今は事件を解決した事を喜ぶべきだろう。また残りを消さなくてはならないがな」

 

 

ヴァレッタ達は殺せた。だがまだセクメト・ファミリアが残っていると、もうここでするべき事はない。セクメト・ファミリアのホームまで向かおうとこのルームを出る。奴らに仕返しなどをされては困ると、すぐにセクメトの所へ向かう

 

 

「あとは任せる。俺は残った仕事を片付けに行く」

 

 

俺は倒すべき者を倒すべく、イシュタルホームの地下を抜け出す。アイズにレヴィスのことについて説明する必要はない。いずれ倒すべき相手に説明など不要。奴は俺が倒すか、アイズが倒すかだ。全てはこれから次第

 

そして残されていく二人を置いて、俺一人で向かう。

 

人殺しもするのだ。ベル達を連れていくわけにはいかない。それに反対される。いくら暗殺者でもあいつらなら許せば見逃してしまう。油断を見せる時に暗殺を企てる者に慈悲など不要だと。敵なら絶対に殺す俺だけが行けばいいと、俺一人で向かう

 

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