鍛治師に必要な事
歓楽街でイヴィルスの襲撃から半月が経った
テロリストのファミリアはヴァレッタとか言うタナトスの眷属を一人殺し、セクメト・ファミリアにもいくつか暗殺者を殺し、被害を受けたから、それなりに俺からギルドに頼んでペナルティを賭けたから、しばらくはイヴィルスやタナトス・ファミリアも手出しはできないと考えている。
そしてイヴィルスの事件が過ぎた数週間後でも、オラリオには波乱の事件が起こる
それはラキア王国のファミリア。アレス・ファミリアの侵攻が今オラリオに起きようとしている
ウラノスの通達通り、今ここにラキア王国の派閥、アレス・ファミリアがこちらに向っており、力を示そうとしているのか、オラリオに攻め込もうとしていた。まだここに辿り着いては居ないが、あと数日でアレス・ファミリアがここに到着する予定である
侵攻を妨害するために、オラリオの防衛としてギルドからロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリア。の二つの最大派閥が防衛として派遣した。戦場は無論オラリオの門から50キロ離れた東にある草原と荒野。そこでその上級冒険者のファミリアの双方である派閥連合が、本拠地を作りアレスを食い止める作戦を建てている
もはや戦争に成りゆる自体になるため、今街では売店に売られる食材はほとんど在庫の奥まであっという間に売り尽くされている。いくらデメテル・ファミリアから食材を調達して貰っているとはいえ、その食材の出所はほとんどオラリオ外にある畑や川や森で密猟や栽培された物ばかり、食材制限を掛けられた状況になっている。
戦争が起これば外から食材を調達は不可能であり、もし出たとしてアレス・ファミリアの人質になっても困るため、外からやってきた者は厳重に調べてから危険が無いか確認してからオラリオの街に入れる。そしてオラリオの内部に居る者達はギルドの許可もしくはその門の番人を任せられたファミリアの許可が無い限りはオラリオの外から出ることは許されない
と、戦争になるだけの制限と被害が大きく出た
それはダンジョンでも
もしもアレス・ファミリアがオラリオの内部に侵入された場合を考え、街の中に冒険者がダンジョンに行ってて不在なんて事も困るため、急遽その場合の対策として街中に冒険者を待機するために、来週からダンジョンの出入りが禁止となり、今週までダンジョンの出入りの制限を掛けられた
アレス・ファミリアが街に侵入されて暴れているなんて場合を避けるためにも、それを対応できるようにと全ファミリアの冒険者を街中に待機させ、その侵入したアレス・ファミリアを撃退して貰うために、戦争が起きている数日はダンジョンの出入りを禁止し、アレスの戦争が終わるまではオラリオの街中に居て貰うよう、ギルドから制限を全ファミリアに通達された
だから
「では、今週の週末まで、ダンジョンでお金稼ぎを始める。今ヘスティアとアフロディーテ とペルセフォネ達に食材の買い占めを頼んでいるから問題ないが、こちらもお金稼ぎに念のため収集する。18階層でテントを設置し。それでから中層のモンスターをルーム全て狩りとる。無論他のファミリアも中層まで降りてくる。ルールとして横取りは違法だが、場合によってはあり得る。今回は俺も参加するから全員お金集めでも油断せずに挑め」
「はい!来週からダンジョンに入れませんからね」
「今オラリオでは戦争に近い自体ですからね。念のためのお金集めはリリもジーク様の言う事は賛成です」
「たく、俺の故郷の主神は何を考えているんだか・・・」
「不満一杯だな。ヴェルフ・クロッゾ」
「ヴェルフ殿からすれば気が引ける話ですよヘクトル殿。あれでも自分の故郷の者達ですから、その出身の者としてそんな野蛮な事を自分の故郷の者がしていると考えると、嫌な気持ちにもなります」
「ラキア王国。極東でも多く聞いた事あります。多くの各国と戦争をして数多の戦場を制覇してきたとか。国家系ファミリアではなく武力系ファミリアとも言われていますからね」
「とにかくこちらもそれなりに対応といろんな物質の調達含めて自給自足を始める。いいな?」
「「「「「「はい!(おう!)(了解した)」」」」」」
ヘスティア・ファミリアもそれなりに準備を始めていた。こちらも来週から食材が無くてお金が無くてもしもの事に対応できないなんてことが起こっても困るため、こちらもすぐにギルドの制限の通達と共に自給自足できるように準備を取り掛かる
食材に関しては今頃アフロディーテが魅了を使って店員を誘惑して食材をタダで手に入っているなんて事もあり得るため、食材の買い占めは問題ないと思っている
そして俺たちは、もちろんアレスの侵攻を妨害している状態でのオラリオの街中は売店など安全のためやってないと思っているが、念のためにお金が必要になる自体をも考えて、一応こちらもそれなりに対応している
「今頃ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアは防衛の準備ですかね。ジーク様」
「ああ。いくらアレス・ファミリアでレベル3以下の者達だらけだろうが、用心はしないとならない。それに数だけはどんなファミリアよりも負けない派閥だ。弱いからと言って、烏合の衆に過ぎないとは言っても、見くびる派閥ではない」
「まだ奴らが辿り着くまで数日はある。確かにあのレベル6やレベル7の居るファミリアであろうと、用心しなくてはならない。私も戦争経験者として今のアキレウスの発言は同意だ」
「でも僕らが出なくて本当に良かったんですかね?いくら神様の命で防衛を断ったとは言え、なんか・・・・・悪い気がします」
「お前も含めて、今ここに居るヘクトル以外の俺の団員は皆人を殺すことができない者達だ。人を殺すようなことができないようじゃあ戦争では足手纏い。もしくは仲間が敵にやられて終わりだ。そんな情けしかできないお前らには無理だ。ベル」
「っ・・・・そうですね」
「戦争はそれは命取りになる。ヘスティアは俺だけでなく、お前らのことも考えて断ったんだ。人殺しを好まない優しいファミリアとしてやっていきたいがための俺たちの主神の考えだ。平和らしくていいじゃないか。こればかりは甘えていいものだ。防衛に関しては強い奴らに任せればいい。俺たちの問題に入らない限りはな」
防衛を断ったとはいえ、ベルは防衛に参加しなかった事を、少し悔やんでもいる
だが、人を殺せないのは事実。そんな市民変わらない考えをしている者など。すぐ目の前に敵に何もかも奪われて終わりだ。そんな現実味ある残酷に過ぎない言葉に対してベルだけでなく、他の者達も険しい顔をしていた。その中でヘクトルだけが『残念ながらその通り』だと、ベル達が戦争するにはあまりにも似合わないと。ただの冒険者に過ぎないことが戦争経験者としてヘクトルも理解して普通の顔をしていた
とにかく今週にて、そのようなお金集めに必須としたダンジョンの探索をしてから
三日が経った
「はあ・・・・はあ・・・・・あれが『グレートフォール』とか言われる。巨蒼の滝か!」
「なかなかに・・・自分達じゃあ・・・まだまだ試練にしても限界に近い階層でしたね」
「27階層の・・・・階層主・・『アンフィス・バエナ』が・・・居ないだけマシですよ」
「春姫さんのレベルブーストが無かったら、キツかった」
「私も・・・ヴェルフ様の・・・・黒いゴライアスのドロップアイテムで作られた・・・・マントが無かったら死んでたかもしれないです・・・」
「アキレウス。一旦休憩が必要だな」
「ああ。まだあの階層はベル達はまだ潜っていない階位だ。まだレベル三以下のベル達では生き残れただけでも良くやった」
ヘクトルも居ると言うことで、27階層の階層主アンフィス・バエナが居ると思われる階層まで俺たちは挑んだ。ベルはともかく、ヴェルフ達はまだまだレベルが足りない。ベル達では体力も力も足りない。だから春姫やリリルカもヴェルフが製作してくれた黒いゴライアスを素材としたマントを身に付けていなかったら、ブルークラブやイグアスと言うモンスターによってタダでは済まなかった
命もヴェルフも力が足りないのか、ほとんどのモンスターをあまり倒すことができず、ほぼ春姫とベルのサポートがなければ助かっていないだろう。しかも今回はヴェルフは自分の魔剣を持ってきていない。だからあまりにヴェルフは今回力になってないと
「くそ・・・・・俺全然・・・歯が立たなかった」
「・・・・・・・」
と、最近なぜかヴェルフは魔剣を持たないことが多くなった。あれだけもしもの場合は魔剣を持っていくように指示したのだが、ここ最近なぜかその指示を無視して魔剣を持ち出さない。むしろ最近魔剣でない武器や防具の製作も多い。ベル以外はモンスターを素材とした防具や武器を作るが、ベルに関しては自分のオリジナルの最高傑作を渡している。いくつか俺もモンスターの素材の防具をヴェルフの作るように頼んでいたのだが
それでも最近魔剣を打たなくなっている
なぜ最近になって魔剣の製作をせずに持ち出さないのか
それはおそらく今でも『自分の一家の呪い』に囚われているからだろう
最近アレス・ファミリアが近くに来ている知らせを聞くと、なぜか険しい顔をしている。物凄い気が晴れない顔をしている。ヘファイストスもあのアフロディーテさえも最近それについて気付き始めている。ヴェルフに明らかに迷いがあると、そして何よりこれから俺の警戒した通り、ヴェルフの親が来るかもしれないと通達した瞬間
より、ヴェルフは魔剣に触れる事を恐れているのが分かる。
もしくは関わりたくない。そんな力には頼らない。そんなプライドを持ったまま今でもヴェルフは魔剣を嫌っている。
でもそれが無ければ自分は弱いとヴェルフ自身もわかっている。魔剣が無くても弱い。でも魔剣に頼りたくはない。自分でもわかっていながらそれに争っている
家族と向き合えない罪悪感と魔剣が無ければ弱い。今ヴェルフの迷い。囚われて何もできないままになっていた
「ジーク!やっぱりここに居た!」
「っ!カサンドラ?」
「友人か?アキレウス?」
「ああ、友人だ。ここで合流して午後から共に金集めをすると以前から約束したんだ」
「カサンドラさん!?どうしてあなたがここに!?」
「ベルの言う通りだ。ダフネと桜花と千草はどうした?」
以前からカサンドラとダフネと桜花と千草。ミアハ・ファミリアとタケミカヅチ・ファミリアと共に同じ換金集め同士で協力し合うことを主神達が決めて。桜花達は他に仕事を立て込んでいる事もあり、その仕事が終わり予定である今日の午後から決行することになり、今予定通りここで合流する約束した通りだが、なぜか一人でカサンドラがここまでやってきた
その理由を聞くと
「力を貸してジーク!今17階層で階層主のゴライアスとミノタウロスのモンスターパーティに襲われているの!!」
「「「「「っ!?」」」」」
「そういえばもう復活する期間だったな」
「ほう、このオラリオのダンジョンに居ると言われる『ボスモンスター』のことか、私も挑んでみたい」
「あ!ジークさん!あれ!ボールスさんですよ!」
「ん?」
「いくぞお前ら!!今すぐ17階層のゴライアスを討伐だああああ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」
「リヴィラの冒険者達も動いたか、わかった加勢する。全員で助けに行くぞ!」
「はい!」
「ボスモンスターの強さ。確かめさせてもらうぞ」
「桜花様達の救出開始です!」
「すぐに行きます!桜花殿!千草殿!ダフネ殿!」
「急いで向かいます!」
「・・・・・」
「ヴェルフ。行けるか?」
「あ、ああ!大丈夫だ!行くぞ!」
「・・・・・・」
桜花達はどうやら復活期間にちょうど出くわしてしまったゴライアスに直面し、更に普段あまり出ない、その階層に出てくるゴライアスの群れにやられているようだ。加勢を頼むべくカサンドラだけここまで来て助けを頼んできた
すぐさまボールス達を追うように、俺たちも桜花達を助けに行こうと、ゴライアスの討伐しに行く
その時にヴェルフに再度聞いて助けに行くと聞いたが、少しぎこちない返事をしたが、やはり迷いは確かにあると。アフロディーテとヘファイストスの言う通り
ヴェルフに迷いがあると、確実にわかった
17階層
「みんな!連れてきたよ!」
「全員無事だな?」
「っ!すまないジーク!」
「やっぱり18階層に居たんだ!」
「助かったわ。ジーク。突然のイレギュラーなのよ!」
「これがダンジョンと言うものだからな。突然トラブルは常にあるものだ。ファミリアの仕事を終わらせ、予定通りここまで来たがトラブルか。状況は把握した。ベルとヘクトルと命はゴライアスを引きつけろ!ヴェルフは俺と共にミノタウロスの群れを片付ける!その間にリリルカと春姫は三人に回復薬を!」
「「「「「「はい(おう)(了解した)』!!!」」」」」」
すぐにボールス達リヴィラの冒険者がゴライアスとミノタウロスの群れに対応しているが、こちらも桜花達を援護するべく、ボールス達の支援に回る。
まずは桜花達を一旦避難させて、リリルカと春姫からポーションを貰う。その間に俺とヴェルフはミノタウロスの群れを片付ける。そしてベルとヘクトルと命でゴライアスを遇らう
こんな各自別行動でこの状況を打破する。ボールスが連れてきた百人程のリヴィラの冒険者を連れてきたから負ける事は無いが、油断をすればやられる。だから協力し合って挑むのみ
「助かるぜ雷帝!お前がここに居るとはラッキーだぜ!」
「無駄口を叩く暇は無いぞ!ボールス!・・・見ろ!どうやら今日は『出血大サービス』みたいだぞ!」
「げ!?また壁からミノタウロスが!?くそ!全員こっちにも増援を回せ!」
ボールスから助けがあって良いとは言うが、それでも今日はゴライアスだけには集中できず、また壁から複数のミノタウロスが現れた。たまにここ17階層はゴライアスと同時にミノタウロスも壁から出てくる
今日がその日であり、しかも今回は以前よりも増して出現数が多すぎる。いくらリヴィラの冒険者が多いと言っても処理は難しい。ゴライアスも居る事だしな
だから
「ヴェルフ。魔剣は・・・・・・・・・・持ってきてないんだな?」
「わ、悪い・・・・・今日忘れちまったんだ」
「仕方ない。俺が・・・・・・っ!」
「どうした?」
「『珍しい加勢』だ」
「え?」
ヴェルフに頼んで魔剣を使って一気に蹴散らして貰うようにしたかったのだが、今回は持ってきておらず、仕方なく俺の魔術で消し飛ばそうと思ったが、16階層に続く入り口の方から力を感知し
『ここにあまり来ない加勢』が一人来てくれた
その名は
「手前も混ぜてくれ」
「っ!?お前なんで!?」
「珍しくここに来るとはな・・・・・・・・・・・椿」
「おう!ジーク!久しいな!手前も久しぶりに腕試しだ!」
突然後ろの方から飛び出すようにミノタウロスの群れの中に突っ込んで周囲のミノタウロスの複数を刀で斬った女。その名は椿・コルブランド。ヘファイストスの団長が鍛冶部屋に籠る事なく、ここへ一人でやってきた。レベル5の椿ならここまで一人で来るのは問題ないが、それでもいつも部屋で籠もって武器を作るこの女が一人でここに来るなど珍しい
「あのゴライアスを先に斬って構わんか?」
「お前の好きにしろ。春姫!命にレベルブーストを!」
「はい!」
「命!椿と共に行け!」
「はい!」
「ウチデノコヅチ!!」
「これなら行けます!はああ!!」
「共に行くぞ!でやああああああ!!」
そうして命は春姫からレベルブーストを受け取り、一時的レベル3の状態で居合を繰り出す。椿も先ほどの攻撃を超える一閃を斬り付ける
「「はああああああああああああああ!!」」
『グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
「椿さんが右腕を斬り落として!」
「命様が左足を落としました!」
「最後は決めろ!ヘクトル!!」
「ああ!これで終わりだ!!行け!デュランダーナ!!!」
椿と命が上手くゴライアスの手足を斬り落としてくれた事で好機が狙えた、最後にヘクトルが魔石があると思われる胸を槍であるデュランダーナを大きく構えて投げて放った
『グガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!』
「死んだか、良い威力だな。その槍は」
「この程度の敵なら何度でも貫通できる」
「デュランダル属性なら尚更だな。全員無事か?」
「はい!」
「桜花様達も無事です!」
「ミノタウロスも全部倒し終えたようです!」
「リヴィラの方々がやってくれました!」
「すまない。助かった」
「ありがとう。加勢に来てくれて」
「ジーク達が助けてくれなかったら、死ぬかと思った・・・」
「大丈夫?ダフネちゃん」
「全員無事だな」
「・・・・・・」
「ヴェルフ。お前は?」
「あ、ああ。大丈夫だ。俺は怪我はねえよ」
「そうか、ならいい」
なんとかゴライアスもミノタウロスの群れも片付いた。もうこの階層にモンスターは居ない。リヴィラの冒険者達の協力もあり、死者が出る事なく全部倒し終えた
「すまんなジーク。勝手に混ざったとは言え。横取りをしてすまんな」
「むしろ感謝する。一人第一冒険者が加勢してくれただけでも戦いの勝率が高くなるからな、にしてもさっきの一振りは見事だ。剣捌きはともかく、良い武器を使用しているな。その刀ならゴライアスの体も簡単に斬り裂いて当然だな」
「ジーク様失礼ですよ。褒めるのは武器なんですか?普通はそこは椿さまの腕を褒めるべきでは・・」
「いやいや、手前は嬉しいぞ!この武器を褒めてくれる方が鍛治師としても嬉しい限りだ!」
「椿はこう言う女だ」
「椿様の性格をわかっていますね」
椿の加勢を感謝はするが、武器を褒めた方が本人も喜ぶだろうと、根が鍛治師魂でできた女には武器を褒めた方が良いと、こいつを知っている限りのことを理解した上で、俺は本人ではなく武器を褒めた。それに本人の腕を褒めても喜びやしないことを把握している。女らしさが無い椿にそんなことを褒めても無駄
武器を褒めた方が本職として喜ぶのがこの女だ
「ヴェル吉。今のどう考えても魔剣を放つタイミングにふさわしいと思うが、持っておらんのか?お主ジークのファミリアに入団してからは何度も使用していただろ?」
「今日は・・・・忘れた」
「なんだそれは?まさかまだプライドとかで制作をしてないのか?」
「・・・・・・」
「ふん、答えぬか、まあいい。それとジーク。お主に今日はウチの主神から伝言を預かっている」
「伝言?ヘファイストスからか?」
「ああ。急でな。それを伝えるためにもここに来たのだ。その話をしたいから18階層に移動して貰えぬか?」
「わかった。全員18階層に戻るぞ。ゴライアスのドロップアイテムはリヴィラの連中にくれてやれ、魔石だけ拾って行くぞ」
椿から見てもヴェルフがプライドで魔剣を最近使用できなくなっているのが見えている。正直それを見えて情けないと椿は見ている。それは俺も同じだからな。そうでなければヴェルフは・・・・・・・・・・・と思っている
とにかく今はトラブルも対応にも完了し、桜花達と共に無事合流できたため、もうここに用は無いと、ゴライアスのドロップアイテムは手に入れてももう流石に使い道が無い為、本来の目的であるお金集めのために魔石だけ回収して、18階層にある本拠にしているテントに戻る
18階層
全員テントに先ほどの戦いの疲れを癒すために食事などをして休ませて、俺と椿だけ別の所で移動をする。その理由は急にヘファイストスに頼まれたと言われる伝言を、ベル達に聞かれないように所で移動するためである
でも、ヘファイストスの伝言などは大体想像は付くが、一応聞く
その内容は
「やはり来たか、『ヴェルフの親』が」
「ああ。お前さんも警戒していたと思うが。読通り。ヴェル吉の父親と思う人物がここに入ったと、見つけたのはあのロキ・ファミリアだが、それを今お主に通達するようにと、主神殿に頼まれた次第だ」
ヘファイストスの急な伝言
それは元から今アレス・ファミリアを遠くから監視していたロキ・ファミリアからの伝言でもある。オラリオの侵入経路をなんとか見つけ、そしてそのオラリオの中に『内通者』が居るらしく、今回の戦争を起こすことを目的にそれを起こす条件として、ヴェルフの親と思われる集団が都市に入ったことを。ロキ・ファミリアの監視部隊からヘファイストス・ファミリアに伝言を回され、今椿がヘファイストスに頼まれて俺たちの方まで通達された
まさか内通者と言うオラリオの裏切り者が居たとは知らなかったが、まあ『その正体は大体想像付く』から、あとで始末するとして、もっと詳しい話を聞く
「うむ、それでギルドはそのヴェル吉の父親らしき人物とその集団をオラリオの中に入る所は見掛けても、オラリオのどこに居るかなどわかるまい、そこで・・」
「フィンの考えにより、『ヴェルフを餌に』すれば、必ずそのヴェルフの父親が接触をし、姿を見せるはずだと、その集団を含んだ連中を見つけるために、ギルドはヴェルフを囮にしているわけだな?」
「っ!?お主。よくわかったな?」
「と言うより、俺もそう考えていた。どこに潜んでいるかもわからない。そして広すぎるオラリオの都市中を探し回るよりも、ヴェルフを囮にした方が早く見つかると、俺も団長ながら仲間を売るのは心苦しいが、敵を見つけるにはちょうどいいと思った。それにお前が一人ここに居るのも不自然だ。どうせヘファイストスに頼まれてここまであいつを監視に来たんだろう?」
「そこまで見破るとは、お主。予想以上に頭が回る上に鋭いな」
見つからないヴェルフの父親も、それを引き連れている集団も未だにオラリオの中で見つからないとなれば、そう考えるだろうと。俺もフィンと同じ考えをしていた。そして椿が一人でいる事も全部わかっていた。あのヘファイストスのことだ
俺の眼で見ても『愛している我が子を、他のファミリアに行っても、想いだけは私が手にれている』と、アフロディーテ同様に、俺もヘファイストスの気持ちがわかっていた
そんな愛情なども理解しないはずの俺が、他人の気持ちなど情が無いはずだが、あれだけ『わかりやすい気持ち』を持った女神など。恋に疎く無ければ見るだけで誰にでもわかる。だからなぜ椿がここに居るのか、すぐに考えが付いた。何もわかっていた
だが
「ちょうどいい。今回お前らは何もするな。親子同士であいつに決着を付けさせる」
「な!?何をする気だジーク?あのヴェル吉にそんな一人で・・・」
「あいつは今迷っている。魔剣を打たない事も、家族として向き合わない事も、プライドで本気を出さないのも、なにもかもあいつは全てに悩んで道を違えている。それを解決するにはこの事件はちょうどいい。あいつが成長をさせるには十分だ。だからお前らはその父親が連れている兵士達を捕らえろ。それだけでいい」
「あのヴェル吉が、まだそんな事で悩んでいるのか?」
「ああ。男と言うのはそういうものだ。女とは訳が違う。女からすれば小さく感じるが、男と言うのはプライド一つでなんでも我慢する生き物だ。特に・・・・・・想いを抱く女の前ではな」
「ああ・・・・ジークもヴェル吉が主神殿を想っていることを知っているのか?」
「ヴェルフ本人が話してくれた」
それは知っている。男同士の話を椿に言ってしまったが
知っているなら別に構わないと明かした。想いを伝えることはヴェルフは未だにしていないが、今でもヘファイストスを想っている。その想いは消えることのない熱。その熱さを今でもヴェルフはヘファイストスに見せつけようとしている
でもそれが、今その輝かしい熱い炎が無い。冷めきっている
「今回あいつ自身にこの事件が解決ができないようなら、ヘファイストスを手に入れるなど不可能。だからあいつに解決させる。だからお前やその団員もあいつのやる事に見届けろ」
「うむ・・・・ジークがそう言うなら仕方あるまい。だがあのヴェル吉にそんなことができるのか?」
「少なくとも俺はあいつのことがわかる。仲間を一番に想い。そのためならあいつは魔剣を打った。プライドを折ってな。そんな『熱苦しい男』なら解決できると、団長としてではなく、仲間としてわかる。だからあいつに解決させる」
「そうか・・・・・・だが・・・・・・あれではな・・・」
「ん?あれは・・・・・」
ヴェルフに任せると俺は決めているが
椿はそれを心配している、遠くで今ヴェルフが集団に囲まれて、何かを訴えているのが見えた。それを椿は見ていると、流石に任せられないと一人にはできないと言った
まあ囲まれている理由は簡単にわかる。そして今ヴェルフは誰に囲まれているのかも
「リヴィラの冒険者だな、どうせヴェルフに魔剣を作って貰う魂胆だろうな」
「ヴェル吉の魔剣は本当に恐ろしい程、他の魔剣とは威力が来た違いだからな。ああなって当然だな」
「そろそろ追い払う手伝いをするか」
リヴィラの冒険者に囲まれているヴェルフを助けるために、今群がっている者達を追い払おうと、俺も椿もヴェルフの所へ行った。
これ以上何を言っても魔剣は打って貰えないと、圧力を賭ける
「そこまでだ」
「な!?雷帝!?」
「キュクロプスも居るぞ!?」
「これ以上ヴェルフに何を言っても無駄だ。お前らに魔剣を打つことは無い。諦めるんだな。無論これを言っても引き下がらないなら、実力行使でお前らを追い払うが?」
「くそ!別に俺たちに魔剣を打ってくれたっていいじゃねえか!!」
「ケチな鍛治師だな!」
「これだからクロッゾは!」
「魔剣に頼ろうとした下級冒険者が何を言うか」
「悪い、助かったジーク」
「別に構わないが、魔剣をもう打たないのか?」
「そう言うわけじゃあねえ。けど・・・・・・」
「迷っているな。それもかなり・・・」
「ヴェル吉。情けないぞ。あれだけ強い魔剣を打てると言うのに打たんとは、お主は本当になにをしているんだ?それであの主神殿に追いつけると思っているのか?」
「く!俺だってそれくらいわかっているんだよ!俺だって・・・・・このままじゃあいけないことだって気付いてんだよ・・・」
「気付いてやらないのなら余計情けない。そんな事も話からにならあの主神に追いつく事など、到底叶わぬまま終わるぞ」
「っ・・・・・・」
リヴィラの冒険者を追い払うことはできたが、椿から説教のように魔剣を打たないことを情けなく思うのか、それは主神には届かないと、厳しい言動を送った
でも魔剣を打たなければ、ヴェルフは弱いのは事実
正直今のヴェルフは足手纏いなのは、情けないは別として俺も否定できなかった
「ジーク。お主はわかっているのだろう?最近ヴェルフの防具や武器はあまりに『脆い鈍』だと気付いている事に」
「・・・・・・」
「な!?俺の打つ武器と防具が・・・・鈍!?」
「ああ・・・」
「っ!?」
「確かにリリルカと命と春姫の武器と防具はモンスターの素材をしているから問題ないが、ベルに作った『あの短剣』はあまりに脆い。簡単に砕けるぞ」
「簡単に・・・・砕ける・・」
「ああ。残念がらモンスターの素材もしていないあのベルの短剣はな・・・」
ベルにはモンスターの素材をせずに、タダの鉄で製作していた
命とリリルカと春姫はいろんなモンスターの素材をしているからそう簡単には壊れる事はない。だがベルのために製作した防具はともかく、武器はあまりに脆すぎる。ベルだけには友人としてモンスターの素材ばかりには頼れないと、プライドながら鉄だけ製作していたのだ
だがあまりに脆い。少し剣を交えただけで簡単に砕ける程に
ヴェルフからすれば自信満々のいい作品だったのだが、俺の証言により。脆い武器だと評価されて、またも自信喪失となった
「そうか・・・・・俺の打った武器は脆いか、ジーク」
「ああ、残念ながらな。下級鍛治師なら誰にもできる短剣だ。まだモンスターの素材をした武器の方がいい。正直レベル2になった『上級鍛治師の製作する武器では無い』」
「くそ・・・・・俺にはまだ全然足りないって事か・・・・」
「ああ。そこまでのレベルでその程度では、あのヘファイストスに追い付く武器を製作するなど到底無理だ」
「そうか・・・・・」
「落胆したか?」
「いや・・・・・なんとなくわかっていたんだ・・・・この程度では弱すぎるとな・・・」
「わかっているなら・・・これからどうする気だ?」
「どうするって・・・それは・・・・」
「何か一つでも学ばないと、そのままだぞ?」
「誰に何を学べばいい?」
「一応言っておくが、お前が学ぶのは技術ではない」
「なに?」
「お前が学ぶのは・・・・・・・・・熱い魂だ」
「魂?」
ヴェルフの製作した武器には魂が無い
それを学ばない限り、どんな武器を製作をしても脆いと俺はヴェルフに言った。鍛治師には魂があるのだと、そんな基本なことを知らないヴェルフに、俺は『あいつ』をここへ召喚する
「それをこいつが教える。来いノーム !!」
『はい、主!』
「お!?ノーム !?」
『こんばんは、ヴェルフさん』
「おお?これがジークが召喚する精霊か?」
「ああ。土の四大精霊のノーム だ」
俺はここへノームを召喚した
ノームは知性も高く、手先が器用で、俺の故郷では鍛治師の先生をしていた。むしろノーム の教えで俺の故郷に居る鍛治師は徐々に成長をしている。
今鍛治師として基本を無くしているヴェルフの先生になって貰うようにと、頼む
「ノーム 。ヴェルフに鍛治師としての基本を教えてやって欲しい」
『基本ですか?』
「簡単に言うなら、『こいつの作る武器は魂』が無い」
『っ!そう言う事ですか。ではただの鉄で作った武器はとても脆いですか?』
「ああ。俺は所持してないから、ベルが持っているからあとで見せる。相当の迷いが多くある。いろんな事をこいつに教えてやってくれ」
『わかりました。そう言う事でならお任せください』
「ジーク。ノームは鍛冶もできるのか?」
「むしろこいつの教えで俺たちの故郷は鍛冶力を強めてきた。こいつならなんでも教えてくれる。『鍛治師の心構え』もな」
「っ!?鍛治師の心構え・・・」
「俺はテントに戻ってやることがあるからノームにいとんな事を教えて貰え。頼むぞノーム 」
『はい!お任せください!』
「行くぞ椿。これ以上なにを言ってもヴェルフのためにはならないぞ?」
「あのパルゥムのような少女に任せていいのか?と言うより鍛治師の腕前はそれほどのものなのか?」
「ああ。腕前は確かだ。お前の作品を見た事は無いからお前と比べられないが、かなり腕を持っている。あいつとて魔剣を打てるからな。だから任せて行くぞ」
「あ、ああ」
ノームの腕は確かだ。そしてヴェルフも初代がやらかした事から精霊の血を貰っている
だからある意味あの二人は相性が良い。鍛治師であり、精霊でもある存在。ヴェルフにとっては良い勉強なれるはずだと思った。
だからこれ以上のことを言う必要は無い。それに意外な事を感じたんだ
「にしてもお前はヴェルフのことが心配なんだな?」
「なに?」
「ここまで来てあいつにそんなことを吐くとはな。元やめた団員にそこまでするなど、普通とは思えない。お前もヘファイストスと同じように気に掛けているな。人を心配するなど、能天気なお前の癖に意外だと思っていた」
「言ってくれるなジーク。まあ手前はヴェル吉のことを弟だと思っているから、確かに心配と言えば心配だ。手前も勝手ながら姉として振る舞い。ヴェル吉を茶化したりなど、放って置けなかったのは確かにジークの言う通りだ」
椿の意外な一面に疑問を抱いていた。
人を心配掛けるなど、能天気で軽々な女のする事は俺の知る限りでは思えなかった。椿はそこまで気の回る事などしない。至極単純な女だ。物事を考えられないハーフドワーフ。そんな女が散々茶化してきたヴェルフを心配掛けるなど。俺からすれば想像つかない
まあでも、こいつにも大事にしている者がいると言うのは理解できた
「どうせお前はこのままヴェルフを監視するようにヘファイストスに言われているのだろう?ならこのまま俺たちとパーティーを組め。無論お前がヴェルフを監視している事は秘密にする。ベル達にはヘファイストスに頼まれてお金集めを頼んだと誤魔化すから心配するな」
「それはありがたい。と言う事は来週はダンジョンは出入り禁止になるから、今週一杯までダンジョンに居るのか?」
「ああ、お前もレベル5だ。30階層まで同伴して貰うぞ」
「うむ、任された」
このままヴェルフの監視をヘファイストスに頼まれたのであれば、このままパーティーを同伴した方がいいいと思い、このまま俺たちと共に金集めのために更に下層へ向かうことを提案し、これに同伴することを引き受けた
わざわざ別になる必要も無いし、どの道ヴェルフ本人が必ず一人になる時間を取る事もわかっている。だから椿と共に行動して問題ない
それに仮に奴らが接触し、魔剣を繰り出す事になっても・・・・・・
『俺が出ればいい』