週末
椿も連れて30階層まで行ったが、27階層の『アンフィス・バエナ』と言う階層主でも相手しようと思ったが、一週間前アイズ達ロキ・ファミリア一軍が暇な時間を使って討伐していたしく、残念ながら今回は出会す事はなかった
だからそれまでの階層全てのルームに出てくるモンスターを制圧した。無論出てくるまでひたすら数多のモンスターを制圧し、魔石を収集した
おかげでそれなりに金も稼げた。目的として達成したのだ
そしてバベル前へ俺たちは金を椿と分けていたのだが
「ジーク。悪いんだが・・・・・少し一人になってもいいか?」
「ヴェルフ。どうかしたの?」
「いや、大した事じゃないんだ。少しだけ一人にして貰えばそれで・・・・」
「わかった。夕飯までには戻って来い」
「ああ。悪いなジーク」
「構わん。これくらいはな」
『よろしいのですか?主?』
「お前はそれなりに教えたのだろう?ノーム 」
『はい。少なくとも・・・・技術ではない方を』
「それでいい。あとはあいつ次第の心で決まる、これ以上は何もしなくていい。だがお前はこのまま俺と同伴してくれ」
『わかりました』
そうしてヴェルフだけは別行動を取った。お暇が欲しいと俺たちと別れた
覚悟ができたのどうかはわからないが、これはあいつの問題。俺たちではどうしようもならないこと、あいつの悩みは自分で解決するしかない。だから同行する者は付けずに、本当に一人にさせる
「良いのか?ジーク?」
「これ以上は必要は無い。これからはあいつの家族の問題だ。あいつ自身に解決させなければ意味がない」
「あのジークさん?なんの話ですか?」
「以前俺がヴェルフに警戒させたことが、今日来たと言えばわかるな?」
「っ!?まさか!?」
「ヴェルフ・クロッゾの親か?アキレウス?」
「ああ。実は以前から椿からヴェルフの親が率いた集団がここに来ると言う情報があった」
「え!?本当なんですか!?椿さま!?」
「ああ。残念ながら本当だ」
「ではヴェルフ殿のご両親は今もオラリオの中に潜んでいると!?」
「どうしてヴェルフ様を一人にしたのですか!?ジーク様!?」
「確かに一人にさせるのは危険すぎる、だがこれはあいつの家族の問題だ。その家族でもない俺たちが介入する権利は無いと思うが?」
「「「「っ・・・・・」」」」
「それは確かにアキレウスの言う通りだな」
「それにあいつはそれで道を迷っている。魔剣に頼ることをやめて今回の金集めの遠征で魔剣を持たなかった事に、あいつは魔剣無しでは何もできないと初めて自分の弱さを知ったんだ。それでお前らに作ってあげた武器も、脆いと言う事もな」
「な!?ヴェルフに作って貰った武器が!?」
「ああ。残念ながらそれほどあいつは家族と向き合えないことで魔剣を使わなければ何もできない事も、鉄の脆さでさえ。上級鍛治師とは言えない弱体した状態だ」
『そうですね。今のあのヴェルフさんでは、私もそう思います主』
「このままではあいつは弱いまま成長もしない。それではいつまで経っても俺たちの足手まといにしかならない。だが、あいつが今酷くなっているのはその決別した家族のことを今も引きずっているからだ。それを乗り越えればあいつも何が大事なのか気付くはずだ。だからあいつが強くなるためにも、クロッゾの問題はあいつ自身に解決させる」
「では・・・・・僕たちはどうする気ですか?」
「主神殿はヴェル吉の父親は兵士を連れて集団で動いているはずだと推測しているらしい」
「だろうな、あのラキアだ。兵士を連れずにオラリオの中に入るとは思えん。となると・・・アキレウス。私たちのやる事は一つだな?」
「ああ。こちらは勝手に土足で踏み込んだ『不届き者達』を出迎えの準備をする。椿にも手伝って貰う。おそらくもうヘファイストスが動いているぞ?」
「なるほど・・・・承知した」
ヴェルフの家族の問題はヴェルフ自身に解決させる。それは絶対だ
だが、それでも俺たちはヴェルフの仲間だ。家族の問題に介入をする事はできない。でもそれ以外でなら介入しても構わない。だから俺たちは兵士たちをお出迎えする事はできるから、その対応の準備を総出で始める。その事に桜花達やダフネ達もついでだと思い、今回の件に加担してくれた
だから全員一度それぞれのホームに戻る。
ヴェルフの親が接触することが見えている。ならやる事は一つだった
そしてヴェルフは
「いろんな武器には・・・・・魂が宿るか」
ヴェルフはどこへ行くか決めているわけではなく、ダイダロス通りをただひたすら無人の道を歩いている。そしてノームの教えが頭の中で何度も響く
『武器には魂が宿っているんです。いろんな鍛治師の想いが、その想いを持ち主へと魂として込めるのです。武器に持ち主を想う魂を。でもヴェルフさんは『私たちの血』を受け継いだにも関わらず、『断ち切れない未練』があります。それが邪魔していて武器もただの鉄となり、魔剣はすぐに砕け、武器に魂を込める事ができず、どんな武器を製作しても脆くなるのです』
と、確かにその通りだとヴェルフ自身はわかっていた。険悪だった家族と向き合えない。それで魔剣が嫌いだのと。全部自分の一族そのものを否定し過ぎているからだ
わかっている。でも中々に断ち切れない。魔剣を頼らずに普通の武器を製作してもヘファイストスに届かないのも、もはや心の問題にあると知っておきながら、その未練に囚われていた
そして
「ヴェルフ。やはりここに居たか」
「っ!?親父!?なんでここに!?いや、そもそもなんでオラリオの中に!?」
その未練が目の前に来た
目の前に少し枯れた男が一人、その名はヴィル・クロッゾ
紛れもなく、ヴェルフの実の父親である。どうやってオラリオの中に入ったかはもうこの際聞くのをやめて、ここへ何しに来たのかを改めて理由を聞く
まあ聞くまでも無いと思っているが
「俺を連れ戻しに来た・・・・だよな?親父?」
「ああ。そうだ。ウォーゲームやあのベヒーモスの事件でお前が魔剣を使用していることを聞いた。以前からオラリオに攻め入る事は決まっていたのだが、その前にお前の魔剣を奪取する事を優先にアレス様から命令が来たのだ。『ヴェルフ・クロッゾを連れ戻せ』と。そうすればアレス様も国王も。我々にもう一度再興してくれる約束をしてくれた」
「没落からその鍛治貴族の名誉を取り戻すためにそんな事をする気なのか」
「これは我々クロッゾの悲願でもあるのだ。輝かしい栄光が蘇るのだ!お前もその一族の身だ。私と共に戻れ」
「断る」
「なに?」
「断る!ふざけろ!!俺にまた『人殺しの道具』を作らせた魔剣を使うのか!俺はもうあのエルフの森の被害を聞いた時からも!俺は魔剣が嫌いなんだ!親父!魔剣をそんな事に使うのならお断りだ!俺はそんな事のためにあの魔剣を嫌いながらここで使用しているわけじゃねえ!」
魔剣が嫌いな理由は砕けるからではない。ラキアの戦争で人殺しの道具として使われるからだ
あのエルフの里の森を燃やされたと故郷で聞いたヴェルフは、その時からも嫌いになった。それで多くのエルフも死んだと聞いたら、魔剣を悪用されないためにも打たない方がいいと思っていたのだ。当時の事件は張本人ではないため製作者である自分には責任はない。けどその当時のような事件の発端が自分にあるのだと思うと。ヴェルフは耐えきれない。
人殺しの道具に使うラキアの考えを把握していたからこその拒みだった
ここで使用していたのは。全て仲間のために仕方なく我慢して魔剣を製作していたのだ。それを人殺しに使うのであれば、尚更ごめんだった
「俺はもうオラリオの冒険者だ!戦争のために鍛治師なんてなりたくねえ!だから断る!」
「そうか、ならお前が戻らねば・・・・・・・・この魔剣でこの街を燃やす」
「っ!?それは!?」
「念のためラキア王国は先代達が残した魔剣を残しておいたのだ。無論今ここに連れてきている他の兵士にも魔剣を持っている」
「くそ、確かに魔剣をラキアは隠し持っている事は知っていたが・・・・まさか本当にここに持ってくるとはな」
「私は父上は魔剣は作れないが、先代がこんな事もあろうかと王国に隠していたのだ。嘘ではない事はわかるな?」
「く・・・・・」
「時間をやる。今手元にある魔剣を全部持って、今夜でオラリオを脱出する。正午に都市南西にある街外れの倉庫へ一人で来い。もし仲間を連れて来たり、他の者に漏らせば、来なかった場合は・・・・・わかるな?待っているぞ」
「・・・・・くそったれめ」
いつか親と向き合わなければならない事は覚悟していた
そして今度はもう逃げられない。今度こそこの親子喧嘩を自分の手で終わらせなければならない。そうでなかればノームの言う通り、この未練を乗り越えず。あのヘファイストスと言う想い人には届かない
だからもう逃げない。いろんな人たちから教わった物を全て使って、ヴェルフは未練を断ち切るために、ホームへ急いで戻る
ヘスティア・ホーム
「悪い。遅くなった」
「いや、夕飯ならもうできている。手を洗って早く食べろ」
「ああ。悪いな」
ヴェルフは先ほどどこかでふらついていたが。ちゃんとここへ夕飯までに戻って来た。でもダンジョンから出た後には汗など掻いていないのに、今は体からダラダラ流れていた。おそらく急いで帰って来たと見る
さっさと手を洗いに行く、ヴェルフの後ろ姿を俺とアフロディーテとヘファイストスが見る
「接触したようだな・・・」
「ヴェルフ・・・・」
「・・・・・・・・」
その様子を見て、ヴェルフは親と先ほど接触していたのだと見ただけでわかった
それをヘファイストスもアフロディーテも気付いていた。でもアフロディーテはその後ですぐにヘファイストスの方を見た。アフロディーテはヴェルフに迷いがあるのは知ってはいるが、決してヴェルフだけではない事をアフロディーテはわかっていた
だから俺はアフロディーテに聞く
「アフロディーテ。どう思う?」
「不出来にも程があるわ。女として情けない」
「今回ばかりは僕もアフロディーテと同感だよ」
ヘスティアもアフロディーテと同じ事を思っていた。ヴェルフのことを心配する前に、ヘファイストスのことも気に掛けるべきだと
女として不出来。
ハッキリ言うなら女として、子供になにもしてあげないのはあり得ないと。女として何か言うべきだと。元団員だった子供に何か助言をしない行動に
アフロディーテもヘスティアも、流石にヘファイストスの性格に呆れた
その後。夕飯を終え後で、リビングにヘファイストスが残っていた。
そこでただジーとヴェルフが以前製作してくれたナイフをソファーに座って見ていた。心配かけているのが誰もが見てわかる程に、そんなヴェルフは今は鍛冶部屋。そこへ行こうとせずに、ここへ一人その贈り物を眺めていた
その部屋に
「ここでなにをしているんだい?」
「こう言う時こそ、ヴェルフの所へ行くべきじゃないの?」
「ヘスティア・・・アフロディーテ・・・・」
「こんな所でその贈り物を眺めているくらいなら、こんな時こそ側にいてあげるべきじゃないの?」
「いくらなんでも、こんな所に居ないでヴェルフの助言をするべきじゃないのかい?」
「これは・・・・ヴェルフの問題なんだから・・・・・私の出る幕じゃないのよ」
そう言っている割には、本当はヘファイストスだってヴェルフの力になりたい気持ちでいっぱいだ。
だが、今回は力になってはいけない、これはヴェルフの家族の問題だ。女神であろうと介入するべきではないと。元主神でもあるからなのか、何もせずにヴェルフのやる事を見届けることしかできない。
ヴェルフが自分のファミリアを辞めると聞いた時もそうだった。本当は引き止めたかった。いつまでも自分の眷属で居て欲しかった。でもヴェルフの気持ちをわかっているからこそ、あの時も行かせた。
全部我慢していたのだ。素直になれないとは別に、想いは確かにある。でも・・・・・・こればかりはと・・・・・自分を押し殺すのだった
だがその行動は
「本当に情けないわね!」
「グフ!?いきなりなにするのよ!?アフロディーテ!?」
「なにをする?本当に女として情けないわね。あんたは!少しは下界で変わったと思っていたのに、そんな事で自分がなにもしてあげらないと何もしないなんて、本当に不出来な女よ!あんたは!」
「僕もそう思う。それだけ想っているなら彼と所に行ってあげるべきだよ。今のヘファイストスはアフロディーテに叩かれているほど、君は女性としてあのヴェルフ君のことを想っているのになにもしないなんて、女としてどうなの?僕もそれは女としてはあり得ないよ。好きな人の所に居てあげないなんて・・・」
ヘファイストスはアフロディーテに頬を叩かれた
流石に女神の前に女性として、好きな男が居るにも関わらず、その者の所に行かないなど、女として情けないと、アフロディーテは怒って叩いた
ヘスティアはその行動を止めることなく、むしろその通りだと、アフロディーテのやった事は正しいと止めたりはしなかった
「少なくとも私とヘスティアはわかるわよ?ヴェルフがあなたを一番に愛しているのも、今まであなたに惚れた子供は多かったけど、でもどうせあなたの作る武器に付いていけずに死んだとかで、また子供と恋をするのを諦めているんでしょ?」
「っ!?別に諦めているわけじゃあ・・・」
「じゃあどうしてヴェルフの所へ行かないの?こういうと時こそ、貴方がそばに居るべきでしょう!なんでそうやって女らしくないからといつも自分の気持ちを押し殺すのよ!あなたは相変わらず女として情けないわよ!美しさとは別に!」
「僕も今回ばかりは君がそんな態度を取るのはおかしいよ。少なくともヴェルフ君は君のその右目を見ても・・・・・・・君を想い続けているよ。ヘファイストス」
「ヴェルフが・・・まだ・・・・・」
「あなたはそれを気づいているにも関わらず、あなたはそんな態度を取っている。女としてあり得ないわよ。せっかくあなたに恋をしてくれる男よ。女としては最高の喜びでしょ?右目を軽蔑していた他の神々を無視してあなたを選んだ。もしかしたらあなたを愛している最後の男なのかもしれないのよ?子供は長く生きられないとわかっているなら、その恋をしてくれる男に答えてあげるべきでしょう!!女として少しは考えなさい!!!」
「アフロディーテ・・・・・」
「私だってそうよ。私もアドニスに恋をした。あんな私よりも美しい男の子に私はトールの紹介で出会い。それがまさか神の間に生まれるはずのない、あのトールが産んだ半神半人だって聞くから私は驚いているし。あそこまで美しい男の子は何処にもいない。美しくて、強くて、逞ましい男の子。私も彼と結婚してトールみたいに子供を産みたいのよ。トールにできたのなら私もしたいわ」
「ジーク君はそのトールと言う女神から生まれているからね。アフロディーテもトールみたいに自分の子供を産んでみたいんだね?」
「ええ、あのトールに子供を産むことができたなんて、愛の女神でもある私からすれば羨ましいのよ。恋をして、子供の妻になり、更にそこから神が産めるはずのない子供を産んで、母親になる。私からすればまさしく女として幸せなことなのよ。愛した人の妻になって。その愛した人の間の子供を産むのは、女として理想なのよ。ヘファイストスもそんな理想が叶ったら嬉しいでしょ?あのヴェルフとなら」
「それは・・・・・私だって・・・・」
「側にいてあげるべきじゃないの?ヴェルフ君は今迷っているんだよ?想っているなら・・・・・家族の問題でも励ましてあげるべきじゃないの?僕やアフロディーテだったらそうするよ?」
「行きなさいよ。あなたに恋をしている男よ。右目の酷さを見ても、ヴェルフは決して諦めないわよ?あなたがどんな良い武器を作っても・・・・・あなたを超える武器を必ずいつか完成させてね?」
「私よりも・・・あの子が・・・・」
「後悔しないのなら別に構わないわ。あなたがそれでヴェルフのためになるならね・・・大丈夫よ。あの子は私みたいに絶対に浮気なんてしないから」
「・・・・・・」
アフロディーテは自分とは思えないことをしてしまった
でも昔腐れ縁だからこそ、彼女の右目の事を知っているからこその大きなお世話な言葉。じっと待っているだけでは、そんなことをしてヴェルフのためになるはずがない。こんな時こそ子供は迷い道を踏み外すと、よからぬ道を辿る子供も居ると、この下界でアフロディーテは幾度も見て来ているからだ
それに自分の右目を見ても愛してくれているなら、女として答えるべきだと。せっかく愛してくれる子供にそんな態度では冷たすぎると。女としてはあまりにも不器用にも程があると言った
待っているだけでは男は寄り付かない
今その男は自分の問題で道を踏み外そうとしている。いくら椿や俺たちに頼まれているとは言えど、自分から何もしないのでは、気持ち押し殺してヴェルフのすることを見届けるだけでは彼のためにはならないと。
困っている時こそ、女が助けるべきだと。アフロディーテはいい加減女として好意に想ってくれる男の側に行って助言などをするなどをして心を癒せと
ヘファイストスの心を動かす。アフロディーテの愛と、ヘスティアの友情で
それを聞いたヘファイストスは
「そうね・・・・私今からヴェルフの所へ行くわ」
「うん。そうした方がいいよ」
「私に言う前に気づきなさいよ」
そうしてヘファイストスはヴェルフが居ると思われる鍛冶部屋に行く
自分の心を押し殺さずなんてせずに、自分の想いに従って寄り添うだけでも自分気持ちは相手に伝わる。鈍感でもあるヴェルフでもしっかり伝わるはずだと、今自分の想い人が困っているなら、女として支えなければと、今になって自分の気持ちを正直にぶつける事を気づいたヘファイストス だった
「気づくのが遅いのよ。今になって動くなんて、相変わらず女らしさが無いと言うよりも、正直にならないわね」
「ヘファイストスはなんだかんだで手先とは別にそういう所は不器用だからね」
アフロディーテとヘスティアは下界に降りても、恋に関しては不器用な女だと。同じ女神として、相変わらず優柔不断な女だと思っている
恋をしたら『一番浮かれる女』なのにと。二人は思っていた
そしてヴェルフの鍛冶部屋
「ヴェルフ。居る?」
「あ、ヘファイストス様。どうかしたんですか?」
「ちょっと心配になったの。今日元気無かったから・・・・大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。元気が無いのはダンジョンの帰りで疲れただけです」
「そうなの。魔剣・・・・やっぱりヘスティア・ファミリアで使っているのね?」
「はい。まだ簡単に砕けてしまいますけど。ここのファミリアの切り札として使っているんです。また使い切ってしまったので、また製作して今完成した所です」
急いでヘファイストスはヴェルフの鍛治師部屋に着くと、ヴェルフは魔剣の制作をし、今完成したタイミングで出会す
自分のファミリアの時には魔剣なんて嫌いだと制作を拒んでいたのに、こっちではそれに取り組んでいるとなると、ヘファイストスはなんだか嫉妬した。こっちではちゃんと馴染めるのか、仲間のためにプライドをへし折って製作しているのがわかるけど
それでも自分のファミリアではそんなことはしなかったのに、本気を出さずに自分のファミリアのために仕事をしてなかったのだと、私のために働いていなかったと思ってしまい嫉妬してしまう
とにかくそんな事を思うのは忘れて、違う話をする
「元気ないのは疲れているからじゃなくて・・・・・・今日ご両親に会ったからじゃないの?」
「っ!?なぜそれを!?」
「以前ロキ・ファミリアから連絡があったの。ラキア王国からやって来たと思われる人物と集団がオラリオの中に入ったのを見掛けたと言う連絡をね。やっぱりヴェルフに接触してきたのね。今でも彼らの行方はわからないから探しようが無いとギルドから通達があったわ」
「そうですか、親父は以前からここに来ていたのか・・・」
「お父さんが来たの?」
「はい・・・・目的は俺を連れ戻すことだそうです」
「やっぱりね。そんなことだろうと思ったわ。ってことはお父さんは魔剣を打てないの?」
「はい。今没落した俺の一族で魔剣が打てるのは俺だけなんです。だから俺を連れ戻そうとしているんです」
「ヴェルフに魔剣を量産させるのが目的ね」
「その通りです」
ヘファイストスにはもうヴェルフの父親がヴェルフを連れ戻されることはもう知っていた
そしてその連れ戻そうとする理由も、ヴェルフが実の父親と会って元気が無いのも、全部わかっていた。そして今魔剣を製作しているのはダンジョンに行ってもう本数が無いからではなく、今打った魔剣をその父親に渡すためだと。
もうなにもかもわかっていた。彼女は
「どうしてもお父さんの所に行くのね?」
「はい。決着をつけたいんです」
「一人で?」
「ええ。これは俺の家族の問題なんです。その家族として生まれた俺のしなくてはならないケジメです」
「そう・・・・・なら私も付いていくわ」
「な!?危ないですからダメですよ!ヘファイストス様!」
「いいえ。お願いだから側に居させて?」
「え!?へ、ヘファイストス様!?」
「・・・・・・」
今ヘファイストスは一人でヴェルフを行かせるのを止めるために、恥ずかしがりながらも顔を赤くしても女らしく。後ろからヴェルフを強く抱きしめた
もう帰ってこないのかと。確かに家族の問題だけど、辛そうな顔をしているヴェルフを一人にも、そんな姿を見ても居られず、強く抱きしめた
こんな想いは当然ヘファイストスは初めて、もう手放したくない。離れて欲しくない。ずっっと私を求めて欲しい。いろんな女にしか出てこない感情と欲望が出て来た。そう、ヴェルフが自分のファミリアを辞めた時からわかっていたのだ
私はヴェルフに恋をしていると
でも、恋をしてくれる子供は幾度も居た。結局自分の製作する武器に追いつくことなく死んでしまっているが、それでも今度はヴェルフを手放したくないと自分から動いて心を動かした
「ヴェルフ。無理しているのがわかるわ。こんな時こそ私に支えさせて。あなたが辛そうにしているのが私にとっても辛いのよ。こういう時こそ支えさせて」
「別に辛くなんか無いですよ。でも・・・・・今回のダンジョン攻略で思い知ったんです」
「何を?」
「俺は魔剣が無ければ何もできないって事を」
「・・・・・・」
今回の金集めで挑んだダンジョンでは魔剣など持ち出さなかった
それで思い知った。やはり自分は魔剣嫌いでも、力及ばずだと、何もできなかった。正直この金集めダンジョンでは役立たずだと、自分の無力を思い知ったのだ
ノーム の教え通りだった。魔剣がこんな時には必要だ。誰かを守るためや救うためにも必要だと。魔剣が嫌いとかでワガママを言っていられないと。家族を否定ばかりしたせいで魔剣をも嫌うことになったが、すぐ砕けるにしても必要だとわかった
そうでなければ強度の低い脆いタダの鉄に過ぎない武器しか自分には残らない。確かにあの砲撃魔法程の威力がある魔剣は必要だと自分は知った。ものすごく悔しい想いだった。魔剣が無ければこうも足手纏いだったのだと
ヴェルフは初めて自分がどれだけ魔剣無しじゃあどうにもならないかのか、思い知らされたのだ
「そうね。私もジークからヴェルフには魔剣が必要だと言っていたわ」
「ジークの精霊であるノームにも言われました。『あなたは魔剣が無ければ守る者を守れない』と、現実を思い知らされました。椿の言う通りだった。魔剣以外は俺はタダの鉄。みんなの足手纏いです」
「魔剣が嫌いって言ったわよね?理由はすぐ砕けるからでしょ?」
「はい。そうです」
「一度でも砕けない魔剣を製作しようとか思わないの?」
「え、ああ・・・・・・・・そんな努力はしようと思いませんでした。それに・・・人殺しの道具に使われたくないですし」
「あなたがそれを使うのよ」
「っ!?」
「あなたがその魔剣を使ってヘスティア達を守るの。今度は砕けない魔剣をね」
「俺が・・・魔剣を・・・・」
「魔剣が無くてはダメなのはわかるわ。でも利用されないようにあなたが使うの。もう誰にも悪用されないように」
ヴェルフは魔剣は嫌いだ。でもそれを悪用されたり、すぐ砕けるから。
それなら自分が使えばいい
ダンジョンで魔剣無しじゃあどうしようもならないなら、自分が使えばいい。そうすれば仲間も守れる。最初から魔剣を他人に渡さなければいい。ヘファイストスは別に魔剣が必要なのは事実だけど。でもそれなら自分が使えばいい。自分の作る武器が鉄同然なら、魔剣を自分だけもしくはファミリアの団員のみに使わせればいいと
ヴェルフにヘファイストスはまた新しい道を作った
「そのためには家族とも向き合わなければならないけど、大丈夫。私も一緒にいくわ」
「な!?ヘファイストス様がそんな事しなくても・・・」
「お願い・・・」
「っ!?」
「どこにも行って欲しくないの。今違うファミリアに居るけど、私のファミリアを辞めた時からあなたを忘れた事は一度も無いわ。本当だったら私はあなたを手放したくなかった。でもあなたが友人想いの良い子供だとわかっていたから私はヘスティアの所へあなたを行かせたの。本当なら・・・・・・まだ私の所に居て欲しかった」
「ああ・・・・・そんな想いをしていたなど、思いもしませんでした」
「私も今さっきアフロディーテとヘスティアに言われて気づいたけどね。私も女神の前に女なのよ。だからお願い・・・・・・・・・私も一緒に連れてって」
「・・・・・・・」
ヴェルフは思いもしなかっただろう
どんな武器でも防具でも、どんな鍛治師には作れない物ばかりを作って来た。それもあの同じ鍛治師の神でもある『ゴブニュ』にも勝るほどの武器を、そんな女神が誰かを想う心に従って女らしく自分に寄り添ってきた
自分はただ魔剣が作れるだけのヒューマンだと言うのに
武器の製作は完璧な女性だったと思ったのに、まさか彼女も自分にそのような想いをしてくれたなんて思いもしなかった。
今想い人がここまで側に来てくれているんだ
だったら・・・・・・・・男として答えるしかないとヴェルフは決めるだった
「わかりました。ご同行をお願いします。でも俺の親父には勝手に付いてきたと言ってください。親父には一人で来るように言われています」
「わかったわ。大丈夫。私が付いているわ。だから家族と向き合って」
「はい。頑張らせていただきます」
こうして、父親と約束の場所にヘファイストスを連れて行くことを決めた
今度は想い女の前で親父を向き合わないとならない。もう逃げる事も隠れる事もできない。否定する事すらも、だから今度は自分から立ち向かうと、家族を敵にすると、己の全てを、友や先輩が教えを全て生かして
覚悟を決めて、今出来上がった魔剣を持って、この因果を断ち斬りに行くのだった